図1に示すように、スロットマシン(遊技機)10は、収納箱12と、前面扉14とを備えている。収納箱12にはリールユニットやホッパ装置などが収納されている。前面扉14は上扉14aと下扉14bとに分割されており、これら上扉14a及び下扉14bはそれぞれ収納箱12に軸着され、開閉自在に支持されている。
上扉14aには、スピーカ15、液晶ディスプレイ16、及び、表示窓18が設けられている。スピーカ15は、各種演出音を出力する。また、液晶ディスプレイ16は、各種演出画像を表示する。スロットマシン10は、これらスピーカ15、液晶ディスプレイ16を制御することによって遊技を演出する。
表示窓18の奥には、回転自在な第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cが設けられている。各リール20a〜20cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、各リール20a〜20cが停止すると表示窓18を通して1リール当たり3個の図柄が表示される。そして、スロットマシン10では、各リール20a〜20cが停止したときに表示された図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが報知される。
また、スロットマシン10では、各リール20a〜20cを、前述のように当選役の入賞の有無の報知に用いる他、演出用に用いて回胴演出を行う。本実施形態では、回胴演出として、各リール20a〜20cの回転や停止に関する遊技者の操作を無効化したフリーズ状態とし、このフリーズ状態中に各リール20a〜20cの回転を制御する。そして、この回胴演出中に特徴的な図柄(本実施形態では「7」「7」「7」を例に説明を行う)が表示(停止表示と移動表示とのいずれでもよい)された場合、後述するチャンスモードの期間が上乗せされる。
また、本実施形態では、1回当たりの回胴演出の所要時間が2秒に設定され、この2秒の間に1回の回胴演出が行われる。さらに、本実施形態では、後述するボーナス内部状態において回胴演出を実行するか否かの抽選が行われ、この抽選に当選した場合に回胴演出を実行することが決定される。また、回胴演出を実行することが決定されると、回胴演出の実行回数が決定される。そして、決定された実行回数に応じた時間だけ前述したフリーズ状態となり、このフリーズ状態中に、決定された実行回数分の回胴演出が連続して実行される。
下扉14bには、メダルを投入するメダル投入口24、クレジットされたメダルをベットする際に操作されるベットボタン25、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー26、回転しているリールを停止させるための第1ストップボタン30a、第2ストップボタン30b、第3ストップボタン30c、メダルを払い出す払い出し口32、払い出し口32から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿34が設けられている。
スロットマシン10は、メダル投入口24にメダルを投入、または、クレジットされたメダルが存在する状態でベットボタン25を操作することでメダルがベットされ、スタートレバー26が有効化される。そして、有効化されたスタートレバー26が操作されると、これに伴って遊技が開始される。
遊技が開始されると、当選役抽選が行われて複数種類の当選役のいずれか又はハズレが決定されるとともに、各リール20a〜20cが一斉に回転を開始する。この後、各ストップボタン30a〜30cが有効化され、有効化されたストップボタン30a〜30cが操作されると、対応するリールの回転が個別に停止される。そして、全てのリールが停止することで1回の遊技が終了し、この遊技の結果、当選役抽選で決定された当選役が入賞すると、入賞した当選役に対応付けされた処理が実行される。
スロットマシン10には、当選役として、リプレイ、小役、BBが設けられている。リプレイは、入賞すると新たなメダルをベットすることなく、次回の遊技を行うことができる。小役は、入賞すると入賞した小役の種類に対応する枚数のメダルが払い出される。BBは、入賞すると後述するボーナス状態へと移行する。リプレイ及び小役は、当選した回の遊技で入賞させることができないと入賞の権利が消失し、BBは、当選した回の遊技で入賞させることができなくても入賞の権利が次回以降の遊技に持ち越される。また、これらの当選役には、「リプレイ>小役>BB」の順で入賞優先度が設定されており、2つ以上の当選役が同時に当選した場合には、入賞優先度の高い当選役の入賞が優先される。
図2に示すように、スロットマシン10は、BBが未当選の通常状態と、BBが当選してはいるが入賞はしていないボーナス内部状態と、BBが入賞することによって移行され、規定枚数のメダルの払い出しや規定回数の遊技が行われるなどの所定条件を満たすと終了するボーナス状態との3つの遊技状態で遊技が行われる。そして、スロットマシン10では、BBを当選し易く、かつ、入賞し難く設定することによって、ほぼ全ての遊技をボーナス内部状態で行わせるようにしている。
具体的には、例えば、BBの当選確率をリプレイや小役よりも高く設定する(BBが当選し易くする)とともに、BBが常にリプレイや小役と同時当選するように設定し、入賞優先度の関係でBBが当選した回の遊技ではリプレイや小役が優先的に入賞することによってBBを入賞し難くしている。また、BBが当選した回以降の遊技、すなわち、ボーナス内部状態では、リプレイの当選確率を通常状態よりも高く設定し(例えば、ほとんど全ての遊技でリプレイが当選するなど)、入賞優先度によりリプレイが優先的に入賞することによってBBを入賞し難くしている。
このように、スロットマシン10では、ほぼ全ての遊技をボーナス内部状態で行わせるので、ボーナス内部状態の遊技性を向上させることが遊技者の興趣を盛り上げるうえで重要となる。このため、スロットマシン10では、ボーナス内部状態中に、回胴演出の有無や、AT(小役を入賞させる手順の報知)の有無などによって複数の遊技モードを発現させている。
図3に示すように、スロットマシン10では、ボーナス内部状態中に発現させる遊技モードとして、一般モードと、ATモードとを設けている。一般モードは、ボーナス内部状態への移行とともに最初に移行される遊技モードである。そして、一般モード中にリプレイまたは小役の一種である第1チャンス役が入賞(当選でもよい)すると、ATモードへと移行する。
ATモードは、小役の一種である第2チャンス役を入賞させるための手順が報知される遊技モードである。第2チャンス役は、報知された手順に従って遊技が行われた場合に入賞し、この入賞に対応した枚数のメダルが払い出される。一方、第2チャンス役は、報知された手順に従わず、報知された手順とは異なる手順で遊技を行った場合には入賞させることができないようになっている。このように、ATモードでは、報知に従って遊技を行うことで第2チャンス役を入賞させてメダルの払い出しを受けられるので、遊技者にとって有利となる。ATモードは、後述するATカウンタが「0」となると終了し、一般モードへと戻る。
図4に示すように、スロットマシン10の内部には、スロットマシン10を統括的に制御する制御部50が設けられている。制御部50には、前述した当選役抽選を行う当選役決定部51の他、メモリ52、メダルセンサ54、ベット信号センサ55、スタート信号センサ56、ストップ信号センサ58、リール駆動コントローラ60、が接続されている。
メモリ52には、遊技の実行プログラム、実行データなどの各種設定情報が格納されている。制御部50は、メモリ52に記憶された情報に基づいてスロットマシン10の各部を駆動制御する。また、メモリ52は、毎回の遊技ごとに利用される当選フラグ(当選役抽選で当選した当選役の種類を示すフラグ)などのデータの一時的な保管や書き換えなどに用いられる。制御部50は、当選役抽選でいずれかの当選役が当選すると、この当選役に対応する当選フラグをメモリ52に書き込むとともに、遊技が終了したときにリプレイや小役に対応する当選フラグが書き込まれていた場合は、これらをメモリ52から消去する。
メダルセンサ54はメダル投入口24から投入されたメダルを検知し、メダル検知信号を制御部50に入力する。ベット信号センサ55は、ベットボタン25が押下されたことを検知してベット信号を制御部50に入力する。スタート信号センサ56はスタートレバー26が押下されたことを検知し、スタート信号を制御部50に入力する。ストップ信号センサ58は、ストップボタン30a〜30cが押下されたことを検知し、ストップ信号を制御部50に入力する。
リール駆動コントローラ60には、第1〜第3ステッピングモータ61a〜61c、第1〜第3センサ62a〜62cが接続されている。第1〜第3ステッピングモータ61a〜61cの回転軸には、第1〜第3リール20a〜20cが取り付けられている。第1〜第3ステッピングモータ61a〜61cは、周知のように供給された駆動パルスの個数に応じた量(角度)だけ回転軸を回転させる。また、第1〜第3センサ62a〜62cは、第1〜第3リール20a〜20cに立設された第1〜第3インデックス63a〜63cと対面した際に検出信号を出力する。
リール駆動コントローラ60は、第1〜第3センサ62a〜62cからの検出信号の出力、及び、各ステッピングモータ61a〜61cに供給した駆動パルスの個数から各リール20a〜20cの回転位置を把握できる。また、リール駆動コントローラ60は、把握した各リール20a〜20cの回転位置に基づいて、各ステッピングモータ61a〜61cに供給する駆動パルスの個数を制御することで、各リール20a〜20cの回転位置を自在に制御できる。さらに、リール駆動コントローラ60は、各ステッピングモータ61a〜61cに供給する駆動パルスの供給スピード(単位時間当たりの供給量)を制御することで、各リール20a〜20cの回転スピードを自在に制御できる。
制御部50は、メダル検知信号やベット信号に基づいてメダルがベットされたか否かを監視し、メダルがベットされた場合にスタートレバー26の操作を有効化する。スタートレバー26が有効化された後、スタート信号が入力されると遊技が開始される。制御部50は、遊技開始に伴って当選役決定部51を作動させて当選役抽選を実行させるとともに、リール駆動コントローラ60を介して各リール20a〜20cを駆動し、各リール20a〜20cの回転を一斉に開始させる。
第1〜第3リール20a〜20cの回転後にストップボタン30a〜30cが押下されるとストップ信号センサ58からストップ信号が制御部50に入力される。これに応答し、制御部50は、リール駆動コントローラ60を作動して、押下されたストップボタン30a〜30cに対応するリールの停止制御を行う。停止制御では、当選役抽選の結果に基づいて、周知の引き込み制御や蹴飛ばし制御が行われる。
制御部50は、全てのリールが停止したときに当選役抽選に当選した当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する処理を行う。すなわち、リプレイが入賞すると新たなベット無しで次回の遊技を可能とし、小役が入賞するとホッパ装置(図示せず)を駆動して入賞した小役の種類に応じた枚数のメダルを払い出し、BBが入賞するとボーナス状態へと移行させる。
また、制御部50には、演出制御部(実行回数決定手段、ループ確率設定手段、総所要時間算出手段、回胴演出実行手段)70が設けられており、演出制御部70には、制御部50から当選役抽選の結果や各リール20a〜20cの停止位置(いずれの当選役が入賞したか)など各種情報が入力される。演出制御部70は、入力された情報に基づいてスピーカ15及び液晶ディスプレイ16を制御して遊技を演出する。
演出制御部70には、ATカウンタ71が設けられており、演出制御部70は、BB当選を示す情報の入力を受けると、すなわち、通常状態からボーナス内部状態の一般モードへの移行が決定されると、一般モード用の演出態様での遊技の演出を開始する。また、一般モード中に第1チャンス役が入賞(当選でもよい)したことを示す情報の入力を受けると、すなわち、一般モードからATモードへの移行が決定されると、ATカウンタ71にATモードの期間(ATモードの遊技回数)として初期値(例えば、50)をセットし、1回の遊技が終了する毎にATカウンタ71の値を「1」減算する。
そして、演出制御部70は、ATカウンタ71の値が「1」以上の場合、ATモード用の演出態様で遊技の演出を行うとともに、第3チャンス役が当選するとスピーカ15及び液晶ディスプレイ16を制御して第2チャンス役を入賞させるための手順を報知する。このようにスロットマシン10では、ATカウンタ71の値が「1」以上である期間がATモードの期間となっている。
また、演出制御部70は、ATモードへの移行が決定されると、回胴演出を行うか否かを決定し、回胴演出を行うと決定された場合、リール駆動コントローラ60を介して各リール20a〜20cの挙動を制御することによって回胴演出を行う。そして、この回胴演出の結果に応じてATモードの期間を上乗せする。以下、図5を用いて、回胴演出によりATモードの期間が上乗せされる手順について説明を行う。
図5に示すように、演出制御部70は、ATモードへの移行が決定された後、有効化されたスタートレバー26が初めて操作されたとき、すなわち、ATモードでの最初の遊技開始に伴って、回胴演出抽選を行って回胴演出を行うか否かを決定する。そして、回胴演出を行うことが決定されると回胴演出の実行回数を記憶する回胴演出カウンタ72に「1」をセットする。これにより、回胴演出の実行回数が1回、すなわち、回胴演出を1回実行することが決定される。
また、演出制御部70は、回胴演出を行うことが決定されると、回胴演出の実行回数を加算するか否か(回胴演出を連続させるか否か)の決定に用いるループ率を決定する。ループ率は、例えば、遊技状態に応じた一律の値を用いてもよいし、遊技状態によらず抽選などによりランダムに決定してもよいし、遊技状態応じて値の幅(上限と下限)を定めておき、この幅の中から抽選で1つの値を決定してもよい。
ループ率が決定されると、演出制御部70は、決定されたループ率に基づいて回胴演出を連続させるか否かを決定する。例えば、ループ率が66%に決定された状態では、66%の確率で回胴演出を連続させることが決定される。そして、回胴演出を連続させることが決定されると、演出制御部70は、回胴演出カウンタ72に「1」加算する。演出制御部70は、回胴演出を連続させないことが決定されるまで、回胴演出を連続させるか否かの決定を繰り返すことによって、回胴演出を連続させる回数(回胴演出の実行回数)を決定する。つまり、回胴演出を連続させないことが決定されたときに回胴演出カウンタ72に記憶されている値が回胴演出の実行回数となる。
回胴演出の実行回数が決定されると、演出制御部70は、回胴演出カウンタ72の値に、1回の回胴演出の所要時間(本実施形態では2秒)を乗じることによって、連続して実行される1セット分の回胴演出(一連の回胴演出)の総所要時間を算出する。この後、演出制御部70は、スロットマシン10をフリーズ状態へと移行させ、総所要時間が経過するまで、回胴演出を繰り返し(連続して)実行し、特徴的な図柄(本実施形態では「7」「7」「7」)が表示される毎に、ATカウンタ71の値に所定値(例えば、10)を加算することによって、ATモードの期間の上乗せを行う。
このように、スロットマシン10では、回胴演出が繰り返される(連続して実行される)ようにしたので回胴演出の演出効果を高めることができる。また、先にフリーズ状態とする時間(総所要時間)を決め、この時間内に収まるように回胴演出の実行回数を決定する場合と比較して、時間的な制限を受けることなく回胴演出に多様性を持たせることが可能である。
なお、本発明は、回胴演出を行う遊技機に広く適用できるので、遊技状態や遊技モードの数や種類、各遊技モードでの遊技性など(どのような当選役でどのような特典を付与するかや、どのような条件を満たしたときに回胴演出を行うかなど)細部の構成は上記実施形態に限定されず自由に設定できる。
例えば、上記実施形態では、回胴演出で「7」「7」「7」が表示されたときに遊技者に特典を付与(ATモードの期間を上乗せ)する例で説明をしたが、これ以外の図柄組み合わせが表示されたときに特典を付与してもよい。また、付与する特典もATモードの期間の上乗せに限定されず周知の各種特典を付与してよい。
さらに、上記実施形態では、ATモードへの移行が決定された際に抽選により回胴演出を行うか否かを決定する例で説明をしたが、抽選によらず、ATモードへの移行決定とともに回胴演出を行うようにしてもよい。もちろん、これ以外の契機で回胴演出を行うか否かを決定してもよい。
また、上記実施形態では、ATモード中に回胴演出が行われる例で説明をしたが、他の遊技モード中や遊技状態中に回胴演出を行ってもよい。また、上記実施形態では、遊技の開始とともに回胴演出を行う例で説明をしたが、遊技の途中や終了直前または遊技の終了後に回胴演出を行ってもよい。
なお、上記実施形態では、回胴演出の実行回数を加算すると決定された場合に、回胴演出の実行回数を1回ずつ加算する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。回胴演出の実行回数を加算すると決定された場合に、回胴演出の実行回数を所定回数ずつ(例えば、5回ずつ)加算してもよい。また、遊技状態や遊技モードに応じて実行回数を加算する際の加算回数を異ならせてもよい(例えば、一般モードでは加算回数を5回とし、ATモードでは加算回数を10回とするなど)。さらに、一連の回胴演出毎、または、一回の加算毎に加算回数を異ならせてもよい。この場合、例えば、回胴演出の実行が決定されたときや、加算を行うことが決定されたときに抽選を行って加算回数を決定すればよい。もちろん、回胴演出の実行が決定されたときや、加算を行うことが決定されたときの遊技状態などに応じて加算回数を決定してもよい。
さらに、上記実施形態では、1回の回胴演出が2秒である例で説明をしたが、1回の回胴演出の時間は自由に設定できる。また、1回あたりの時間が異なる複数種類の回胴演出の態様を用意しておき、例えば、一連の回胴演出の最初や最後などは、他の回の回胴演出とは異なる種類の回胴演出を実行するといったように、各回の回胴演出の所要時間が異なっていてもよい。この場合、総所要時間を算出する際に、各回の回胴演出の所要時間を合計すればよい。もちろん、回胴演出の前後にオープニング演出やエンディング演出を実行するようにし、これらオープニングやエンディング演出の所要時間を総所要時間に加えてもよい。
また、例えば、回胴演出の実行回数が1回の場合は、所定の第1態様で回胴演出を行い、回胴演出の実行回数が2回の場合は、所定の第2態様の回胴演出に続けて所定の第3態様で回胴演出を行うといったように、回胴演出の実行回数に応じて、各回の回胴演出の態様が自動的に決定されるようにしてもよい。この場合、回胴演出の実行回数と、各回の回胴演出の態様とを対応付けしたルックアップテーブルを設ける。そして、演出制御部が、このルックアップテーブルに基づいて各回の回胴演出の態様を決定すればよい。なお、このように、回胴演出の実行回数に応じて各回の回胴演出の態様が定められている場合、回胴演出の実行回数が決定されれば、各回の回胴演出の所要時間の合計、すなわち、総所要時間も定まるようにしてもよい。このため、前述したルックアップテーブルに、回胴演出の実行回数と総所要時間との対応関係を記憶させておき、回胴演出の実行回数の決定に伴って、各回の回胴演出の演出態様と総所要時間とが自動的に決定されるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、回胴演出中は、遊技者の操作を受け付けない例で説明をしたが、例えば、回胴演出中に遊技者の操作によってリールが回転を開始したり停止するといったように、遊技者の操作に応答して回胴演出が進行(リールの挙動が変化)するようにしてもよい。この場合、例えば、回胴演出の開始条件(または、回胴演出の終了条件)として「所定(または任意)の操作部材(スタートレバー、ベットボタン、ストップボタン、演出ボタンなど)の操作をする」といった条件を設定する。そして、演出制御部が、操作部材が操作されたときに回胴演出を開始(または終了)すればよい。
なお、回胴演出を繰り返す場合に、1回の回胴演出を開始する毎に操作部材を操作するようにしてもよいし、初めの1回の回胴演出を開始するときにのみ操作部材を操作するようにしてもよい。また、回胴演出を繰り返す場合に、1回の回胴演出を終了する毎に操作部材を操作するようにしてもよいし、最後の回胴演出を終了するときにのみ操作部材を操作するようにしてもよい。
もちろん、所定の操作部材の操作によって回胴演出が開始され、所定の操作部材(回胴演出を開始する際の操作部材と同じであってもよいし異なっていてもよい)の操作によって回胴選出が終了するようにしてもよい。また、1回の回胴演出中に所定の操作部材を操作することで回胴演出が進行するように(例えば、回胴演出の開始に伴って全てのリールが回転を開始し、回胴演出中にストップボタンを押下すると対応するリールの回転が疑似停止され、全てのリールが疑似停止されることで1回の回胴演出が終了するなど)してもよい。さらには、スタートレバーの操作によって回胴演出が開始されて全てのリールが回転を開始し、回胴演出中にストップボタンが操作されたときに対応するリールの回転を擬似停止させるなどによって、あたかも遊技を行っているかのように演出してもよい。
また、上記実施形態では、遊技者がループ率を知ることができない例で説明をしたが、ループ率を遊技者に報知してもよい。同様に、回胴演出の実行回数が決定された時点で回胴演出の実行回数を報知してもよい。
さらに、上記実施形態では、回胴演出を行うと決定された際にループ率を決め、回胴演出を繰り返さないことが決定されるまで共通のループ率を継続して使用する例で説明をしたが、回胴演出を行うか否かを決定する毎にループ率を決め直してもよい。なお、ループ率が下がったことが報知されると遊技者の興趣を低下させてしまう恐れがある。このため、ループ率を報知する場合は、回胴演出を行うか否かの決定を重ねる毎にループ率が上昇するように、ループ率を決め直すことが好ましい。
また、回胴演出を行うか否かの決定が奇数回目のときと偶数回目のときとでループ率(またはループ率として選択される値の範囲)を異ならせるといったことも考えられる。こうすることで、例えば、回胴演出が奇数回目で終了する確率よりも偶数回目で終了する確率を高くするなど、演出に変化を与え遊技者の興趣を盛り上げることができる。もちろん、回胴演出を行うか否かの決定が10回目、20回目など所定回数目のときとそれ以外のときとでループ率(またはループ率として選択される値の範囲)を異ならせてもよい。
なお、回胴演出が行われると、特徴的な図柄を揃えた状態で各リールが回転または停止されるため、遊技者の意志により停止した出目が、遊技者の意志とは無関係の異なる出目に変更されてしまう場合がある。このため、回胴演出の終了後そのまま遊技を再開(リールの回転を開始)すると、遊技結果が改変されたような違和感を遊技者に与えてしまうといった問題や、目押しの補助となってしまう場合があり問題である。
このような問題を防止するために、回胴演出の終了後に、各リールの回転位置を変化させる再配置処理を行うことが好ましい。なお、再配置処理としては後述するパターン1〜5の5つのパターンが考えられるが、これらいずれのパターンも本発明に適用できる。以下、パターン1〜5について図6〜10を用いて説明をするが、以降の説明においては、上述した実施形態と同様の部材については、同様の符号を付して説明を省略する。
[パターン1]
図6に示すように、パターン1では、例えば、上限と下限とが定められた幅のある値の中から抽選によりランダムな数値を3つ抽出し、これらを第1〜第3遅延時間とする。そして、回胴演出の終了後、第1遅延時間が経過したときに第1リール20aの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させる。また、回胴演出の終了後、第2遅延時間が経過したときに第2リール20bの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させる。さらに、回胴演出の終了後、第3遅延時間が経過したときに第3リール20cの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させる。そして、全てのリール20a〜20cが一定速度に達したときに第1〜第3ストップボタン30a〜30cの操作を有効化する。
[パターン2]
図7に示すように、パターン2では、パターン1と同様に第1〜第3遅延時間を決定する。そして、回胴演出の終了と同時に第1リール20aの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させ、第1リール20aの回転が一定速度に達してから第1遅延時間が経過したときに第2リール20bの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させ、第2リール20bの回転が一定速度に達してから第2遅延時間が経過したときに第3リール20cの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させ、第3リール20cの回転が一定速度に達してから第3遅延時間が経過したときに第1〜第3ストップボタン30a〜30cの操作を有効化する。
[パターン3]
図8に示すように、パターン3では、パターン1と同様に第1〜第3遅延時間を決定する。そして、回胴演出の終了後、第1遅延時間が経過したときに第1リール20aの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させ、第1リール20aの回転開始から第2遅延時間が経過したときに第2リール20bの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させ、第2リール20bの回転開始から第3遅延時間が経過したときに第3リール20cの回転を開始し、加速した後、一定速度で回転させ、第3リール20cの回転が一定速度に達したときに第1〜第3ストップボタン30a〜30cの操作を有効化する。
[パターン4]
図9に示すように、パターン4では、回胴演出が開始される前の各リール20a〜20cの回転位置を記憶する。そして、回胴演出の終了後、各リール20a〜20cの回転位置を回胴演出が開始される前の回転位置まで戻して停止させ、全てのリール20a〜20cが停止した(すなわち、全てのリール20a〜20cが回胴演出が開始される前の回転位置まで戻った)後、一定時間が経過したときに全てのリール20a〜20cを一斉に回転させ、加速した後、これらが一定速度に達したときに第1〜第3ストップボタン30a〜30cの操作を有効化する。
なお、パターン4では、回胴演出前の回転位置へ戻すために必要な各リール20a〜20cの回転量はリール20a〜20c毎に異なるので、各リール20a〜20cを同じ回転速度で回転させると、回胴演出前の回転位置に戻るまでの所要時間がリール20a〜20c毎に異なる。このため、回胴演出前の回転位置に戻るまでの所要時間がリール20a〜20cによらず等しくなるように、回胴演出前の回転位置へ戻すために必要な各リール20a〜20cの回転量に基づいて回胴演出前の回転位置に戻るまでの各リール20a〜20cの回転速度を異ならせてもよい。
[パターン5]
図10に示すようにパターン5では、回胴演出が終了してから全てのリール20a〜20cが加速を完了して一定速度で回転を開始するまでの制限時間が設定されており、この制限時間内に各リール20a〜20cの回転速度を調整することによって、各リール20a〜20cの回転位置を回胴演出前の回転位置に戻した後、各リール20a〜20cを加速させ、制限時間経過とともに全てのリール20a〜20cが一定速度で回転している状態とする。そして、この後、抽選などでランダムに設定される遅延時間が経過したときに第1〜第3ストップボタン30a〜30cの操作を有効化する。なお、パターン5では、制限時間が経過した時点で全てのリール20a〜20cの回転位置が回胴演出前の状態となっているので、制限時間が経過した時点で(遅延時間が経過するのを待たずに)第1〜第3ストップボタン30a〜30cの操作を有効化してもよい。
これらパターン1〜5のように再配置処理を行うことによって、各リール20a〜20cの回転位置を回胴演出終了時とは異ならせることによって、遊技結果が改変されたような違和感を遊技者に与えてしまうといった問題や、目押しの補助となってしまうといった問題を防止できる。なお、再配置処理では、各リール20a〜20cの回転位置が回胴演出が終了したときからランダムに変化、もしくは、回胴演出終了前の位置に戻っていればよいので、具体的な処理内容については上記に限定されず適宜変更できる。また、このような再配置処理を回胴演出とは別に実行する例で説明をしたが、このような再配置処理の一部または全部を回胴演出の一環として実行してもよい。
なお、上記実施形態では、演出制御部70がリール駆動コントローラ60を介して各リール20a〜20cの回転を制御することによって回胴演出が行われる例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。制御部50がリール駆動コントローラ60を介して各リール20a〜20cの回転を制御することによって回胴演出を行ってもよい。この場合、回胴演出抽選に当選したときに(すなわち、回胴演出を実行することが決定された場合)にこの旨を示す信号を演出制御部70から制御部50に送り、制御部50がこの信号を受けて回胴演出を行うことが考えられる。また、演出制御部70から制御部50に対して信号を送ることができない場合は、回胴演出抽選部を制御部50に設け、第1チャンス役が当選したときに制御部50が回胴演出抽選を行い、当選した場合に回胴演出を行えばよい。もちろん、第1チャンス役が当選した場合に必ず回胴演出を行う構成、すなわち、回胴演出部を廃止し、第1チャンス役が当選すると必ず制御部50が回胴演出を行う構成としてもよい。
なお、上記実施形態では、3つのリールを備えたスロットマシンに本発明を適用する例で説明をしたが、2つ以下または4つ以上のリールを備えた遊技機に本発明を適用してもよい。さらに、本発明はリール駆動タイプのスロットマシンに限らず、液晶パネルなどを用いたスロットマシンや遊技媒体としてパチンコ球を使用するスロットマシンなどにも等しく適用することができる。