JP6426989B2 - 表面保護フィルム及び表面保護フィルム付き脂環式オレフィン樹脂フィルム - Google Patents
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Description
このような透明導電性フィルムは、タッチパネル、液晶ディスプレイ等における透明電極等の製造過程において、多くの加熱工程又は薬液処理工程にさらされる。このため、透明導電性フィルムの透明導電膜が形成された面とは反対側の基材表面に、汚染、損傷等を防ぐために表面保護フィルム(一般に、プロテクトテープ等と称されることもある)を貼り合わせることが一般的である。
しかしながら、脂環式オレフィン樹脂フィルムの一方の面に透明導電膜が形成された透明導電性フィルムに対して、特許文献1に記載のようなポリエステルフィルムの一方の面に粘着剤層を有する従来の表面保護フィルムを用いると、透明導電性フィルムと表面保護フィルムとの間の熱収縮特性の差の影響により、加熱工程又は薬液処理工程中で表面保護フィルムの剥がれ、反り等が生じるという問題がある。
以下、本発明を詳述する。
これに対して、本発明者は、表面保護フィルムの粘着剤層中の残留溶剤の含有量を所定値以下に調整することにより、表面保護フィルムの使用後に脂環式オレフィン樹脂フィルムから表面保護フィルムを剥がした後、脂環式オレフィン樹脂フィルムの表面に残る表面荒れを抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
なお、本発明の表面保護フィルムの被着体となる脂環式オレフィン樹脂フィルムは、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ等における透明電極等として広く利用されている透明導電性フィルムの基材等として用いられるものである。
本発明の表面保護フィルムを、上記脂環式オレフィン樹脂を含有する基材層と、上記粘着剤層とを有するものとすることにより、脂環式オレフィン樹脂フィルムに対する表面保護フィルムの接着性を向上させ、加熱工程又は薬液処理工程中の表面保護フィルムの剥がれ、反り等を抑制することができる。
上記脂環式オレフィンの開環重合体の水素化物は、例えば、脂環式オレフィンをメタセシス重合触媒を用いて開環重合し、得られた開環重合体を水素化して得ることができる。
上記ノルボルネンモノマーは、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン等の骨格中に存在する二重結合以外に、更に二重結合を有していてもよい。
上記芳香族ビニル化合物は特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が挙げられる。これらの芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記極性基含有モノマーとして、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、不飽和ニトリル化合物、アクリルアミド等が挙げられる。上記極性基含有モノマーの添加量は特に限定されないが、全モノマー中の10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
また、上記スチレン系エラストマーとして、例えば、一般式A−B−A又は一般式(A−B)m−Z(式中、A及びBは上記と同じであり、mは2以上の整数を表し、Zはカップリング剤残基を表す。)で表される構造を有する共重合体又はその水素添加物等も挙げられる。
これらのスチレン系エラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記粘着付与剤は特に限定されないが、軟化点が90〜140℃のものが好ましく、例えば、脂肪族共重合体、芳香族共重合体、脂肪族芳香族共重合体、脂環式共重合体等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、及び、これらの水素添加物等が挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂との混合物として市販されている粘着付与剤を用いてもよい。これらの粘着付与剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、上記粘着剤層の剥離性、耐候性等を高めるためには、上記粘着付与剤は、水素添加物であることが好ましい。
上記粘着剤層が上記スチレン系エラストマーを含有する場合、上記粘着付与剤は、上記スチレン系エラストマーにおける芳香族アルケニル−共役ジエン共重合体Bに対して相溶することが好ましい。
上記粘着剤層中の残留溶剤の含有量を上記値以下に調整することにより、表面保護フィルムの使用後に脂環式オレフィン樹脂フィルムから表面保護フィルムを剥がした後、脂環式オレフィン樹脂フィルムの表面に残る表面荒れを抑制することができる。
なお、粘着剤層中の残留溶剤の含有量は、粘着剤層から採取した評価サンプル100mgを1mLのメタノールに浸漬させ24時間振とうさせて抽出液を作製し、この抽出液を300℃10分間加熱し、このとき生じた揮発成分をGC−MS装置(JMS K−9、日本電子社製、GCカラムSLBTM−5ms(微極性)0.25mm×30m×0.25μm)を用いて測定し、得られた揮発成分量から算出することができる。
上記粘着剤層を形成するときに用いる溶剤は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。混合溶剤の場合、その組み合わせは特に限定されないが、酢酸エチル等の比較的低沸点の溶剤と、トルエン等の比較的高沸点の溶剤とを組み合わせることが一般的である。
これに対して、本発明の表面保護フィルムは、上記粘着剤層中の残留溶剤がトルエンを含有している場合であっても、該残留溶剤の含有量を上記値以下に調整することにより、表面荒れを効果的に抑制することができる。特に、上記粘着剤層がウレタン粘着剤を含有する場合、上記粘着剤層中の残留溶剤の含有量を1ppm以下に調整することができ、これにより表面荒れをより効果的に抑制することができる。
本発明の表面保護フィルムにおいては、上記粘着剤層がアクリル粘着剤を含有し、上記粘着剤層中の残留溶剤がトルエンを含有することが好ましい。また、上記粘着剤層がウレタン粘着剤を含有し、上記粘着剤層中の残留溶剤がトルエンを含有し、上記粘着剤層中の残留溶剤の含有量が1ppm以下であることも好ましい。
本発明の表面保護フィルムが、脂環式オレフィン樹脂フィルムの表面に貼り合わせられている表面保護フィルム付き脂環式オレフィン樹脂フィルムもまた、本発明の1つである。上記脂環式オレフィン樹脂フィルムは、ITOフィルム等の透明導電性フィルムの基材として用いられる脂環式オレフィン樹脂フィルムであれば特に限定されず、例えば、本発明の表面保護フィルムの基材層に含まれる脂環式オレフィン樹脂と同様の樹脂からなるフィルム等が挙げられる。
ノルボルネン樹脂(ゼオノア、日本ゼオン社製)をTダイ法により押出成形し、厚さ50μmの基材層を得た。得られた基材層に、粘着剤A(アクリル粘着剤、MS3999、サイデン化学社製)を酢酸エチルとトルエンとの混合溶剤に添加混合して得られた粘着剤溶液をコンマロールを用いて塗布し、130℃3分間加熱して混合溶剤を乾燥させて厚さ10μmの粘着剤層を形成した。これにより、基材層と粘着剤層とを有する表面保護フィルムを得た。
得られた粘着剤層から採取した評価サンプル100mgを1mLのメタノールに浸漬させ24時間振とうさせて抽出液を作製し、この抽出液を300℃10分間加熱し、このとき生じた揮発成分をGC−MS装置(JMS K−9、日本電子社製、GCカラムSLBTM−5ms(微極性)0.25mm×30m×0.25μm)を用いて測定し、得られた揮発成分量から粘着剤層中の残留溶剤の含有量を算出した。残留溶剤の含有量を表1に示した。
表1及び2に示すように基材層の厚み、粘着剤の種類、又は、粘着剤層の厚みを変更したこと以外は実施例1と同様にして、基材層と粘着剤層とを有する表面保護フィルムを得た。また、実施例1と同様にして、粘着剤層中の残留溶剤の含有量を算出した。なお、使用した粘着剤は下記のとおりである。
・粘着剤B(アクリル粘着剤、SKダイン1439U、綜研化学社製)
・粘着剤C(ウレタン粘着剤、US−902A、一方社油脂工業社製)
実施例、比較例で得られた表面保護フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
ITOフィルムとして、ノルボルネン樹脂(ゼオノア、日本ゼオン社製)からなる厚さ50μmの基材の一方の面に、厚さ0.01μmのITO膜が形成されたITOフィルムを用いた。このITOフィルムのITO膜が形成された面とは反対側の基材表面に、実施例、比較例で得られた表面保護フィルムを貼り合わせ、試験サンプルを作製した。試験サンプルに対して150℃1時間の加熱処理を行った後、ITOフィルムから表面保護フィルムを剥がした。その後、ITOフィルムの基材表面の表面状態を目視にて観察し、オレンジピールと呼ばれる微細な表面凹凸(表面荒れ)の有無を評価した。
Claims (3)
- 脂環式オレフィン樹脂フィルムに貼り合わせるために用いられる表面保護フィルムであって、
脂環式オレフィン樹脂を含有する基材層と、粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層は、アクリル粘着剤を含有し、
前記粘着剤層中の残留溶剤の含有量が5ppm以下であり、
前記粘着剤層中の残留溶剤は、トルエンを含有する
ことを特徴とする表面保護フィルム。 - 脂環式オレフィン樹脂フィルムに貼り合わせるために用いられる表面保護フィルムであって、
脂環式オレフィン樹脂を含有する基材層と、粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層は、ウレタン粘着剤を含有し、
前記粘着剤層中の残留溶剤は、トルエンを含有し、
前記粘着剤層中の残留溶剤の含有量が1ppm以下である
ことを特徴とする表面保護フィルム。 - 請求項1又は2記載の表面保護フィルムが、脂環式オレフィン樹脂フィルムの表面に貼り合わせられていることを特徴とする表面保護フィルム付き脂環式オレフィン樹脂フィルム。
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