以下に添付図面を参照して、本発明に係るガイドチューブの芯出装置及び方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
原子力発電プラントは、図示しないが、原子炉格納容器内に配置される原子炉及び蒸気発生器と、蒸気タービン発電設備とを有している。本実施形態の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
原子炉は、燃料の核分裂により一次冷却水を加熱し、蒸気発生器は、この高温高圧の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換し、高圧の蒸気を生成する。蒸気タービン発電設備は、この蒸気により蒸気タービンを駆動することで発電を行う。一方、蒸気タービンを駆動した蒸気は、復水器で冷却されて復水となり、蒸気発生器に戻される。
まず、原子炉について説明する。図7は、加圧水型原子炉を表す縦断面図である。
図7に示すように、加圧水型原子炉10において、原子炉容器11は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体12とその上部に装着される原子炉容器蓋(上鏡)13により構成されており、この原子炉容器本体12に対して原子炉容器蓋13が複数のスタッドボルト14及びナット15により開閉可能に固定されている。
原子炉容器本体12は、原子炉容器蓋13を取り外すことで上部が開口可能であり、下部が半球形状をなす下鏡16により閉塞された円筒形状をなしている。原子炉容器本体12は、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を供給する入口ノズル(入口管台)17と、軽水を排出する出口ノズル(出口管台)18が形成されている。
原子炉容器本体12は、内部に炉心槽21が配置されており、上部が原子炉容器本体12の内壁面に支持されている。また、原子炉容器本体12は、内部に上部炉心支持板22が配置されており、上部炉心支持板22は、上部が炉心槽21の上部に支持されている。上部炉心支持板22は、複数の炉心支持ロッド23により上部炉心板24が吊下げ支持されている。
炉心槽21は、下方に下部炉心支持板25が支持され、下部炉心支持板25は、外周部が位置決め部材26により原子炉容器本体12の内壁面に位置決め支持されている。炉心槽21は、下部に下部炉心板27が支持されている。炉心28は、炉心槽21における上部炉心板24と下部炉心板27により区画された領域に多数の燃料集合体29が配置されて構成されている。炉心28は、内部に多数の制御棒30が配置されており、この制御棒30は、複数がまとめられて制御棒クラスタ31を構成し、燃料集合体29に挿入可能となっている。上部炉心支持板22は、上部炉心支持板22を貫通して上下に延出する多数の制御棒クラスタ案内管32が固定されている。各制御棒クラスタ案内管32は、下端部が上部炉心板24に連結され、内部に制御棒クラスタ31が挿通可能となっている。
原子炉容器蓋13は、上部が半球形状をなし、上部に磁気式ジャッキの制御棒駆動装置33が配置されている。複数の制御棒クラスタ案内管32は、上端部が原子炉容器蓋13の管台を通してその上方まで延出され、制御棒駆動装置33から下方に延出された制御棒クラスタ駆動軸34が、制御棒クラスタ案内管32内に挿通されている。制御棒クラスタ駆動軸34は、制御棒駆動装置33により上下方向に移動可能であり、制御棒クラスタ案内管32内を通って炉心28まで延出され、制御棒クラスタ31に連結されている。制御棒駆動装置33は、制御棒クラスタ31の各制御棒30を炉心28に対して抜き差しすることで、原子炉出力を制御する。
原子炉容器本体12は、下鏡16を貫通する多数の計装管台35が設けられ、この各計装管台35は、炉内側の上端部に炉内計装案内管36が連結される一方、炉外側の下端部にコンジットチューブ37が連結されており、各炉内計装案内管36に複数の連接板38が取付けられている。シンブルチューブ39は、コンジットチューブ37内から計装管台35及び炉内計装案内管36内を通し、下部炉心支持板25及び下部炉心板27を貫通して炉心28(燃料集合体29)まで挿通されている。
原子炉容器11は、炉心28の上方に上部プレナム40が設けられ、下方に下部プレナム41が設けられ、その間にダウンカマー部42が形成されている。
このように構成された加圧水型原子炉10にて、制御棒クラスタ31は、制御棒クラスタ駆動軸34が把持可能な連結部(クラスタ部)に複数の制御棒30がスパイダ状に取付けられて構成されている。制御棒クラスタ案内管32は、制御棒クラスタ31(制御棒30)の燃料集合体29への円滑な出し入れを行うために設けられているものであり、燃料集合体29の健全性を損なうことのないように制御棒30を適切に位置決めすると共に、燃料集合体29を適切に冷却するための流路を確保する。
ここで、制御棒クラスタ案内管32について説明する。図8は、制御棒クラスタ案内管を表す概略図、図9は、第2ガイドチューブの水平断面図である。
制御棒クラスタ案内管32は、図8に示すように、ステンレス鋼製であり、上部の第1ガイドチューブ51と中間部の第2ガイドチューブ52と下部の第3ガイドチューブ53とから構成されている。第2ガイドチューブ52は、四角筒形状をなす囲板61の上部に上板62が設けられると共に、囲板61の下部に底板63が設けられている。また、第2ガイドチューブ52は、内部に上下方向に所定間隔で案内板64が配置されている。
第2ガイドチューブ52は、図8及び図9に示すように、囲板61と、上板62と、底板63と、複数の案内板64とから構成されている。囲板61は、同じL字断面形状をなす2個の板材81が組み合わされた四角筒形状をなしている。板材81は、所定長さで所定幅を有する板材を直角に折曲して形成されている。この場合、所定長さは、囲板61における長手方向の長さであり、所定幅は、囲板61における周方向の2辺の長さであり、板材81は、幅方向における中間位置に折曲部が形成される。
また、板材81は、長手方向に所定間隔で複数の取付孔82が形成されている。各取付孔82は、板材81における長手方向における所定の位置で、幅方向に所定間隔で複数形成されている。囲板61は、2個の板材81が正方形をなす四角筒形状をなすように組み合わされ、端部同士が接合されて構成されている。
上板62は、四角いリング形状をなし、囲板61の内側と同形状をなす貫通孔83が形成されている。底板63は、丸いリング形状をなし、囲板61の内側と同形状をなす貫通孔84(図2参照)が形成されている。
案内板64は、正方形をなす四角い板形状をなし、中央部に制御棒クラスタ31(制御棒30)を案内するガイド孔85が形成されている。このガイド孔85は、案内板64の中心部に形成される第1ガイド孔86と、第1ガイド孔86から放射状に形成される3種類の第2ガイド孔87,88,89と、第2ガイド孔87,88,89の中間部や先端部に形成される第3ガイド孔90,91,92とから構成されている。この場合、第1ガイド孔86は、制御棒クラスタ31のスパイダの軸部が挿通可能な円形孔であり、第2ガイド孔87,88,89は、制御棒クラスタ31の複数のアームが挿通可能なスリット孔であり、第3ガイド孔90,91,92は、制御棒30が挿通可能な円形孔である。
また、各案内板64は、外周部に複数の取付突起93,94が形成されている。第1取付突起93は、案内板64の4個の角部に形成されている。第2取付突起94は、各第1取付突起93の間で、案内板64の各辺に形成されている。複数の取付突起93,94は、囲板61の各取付孔82に対応して、周方向に所定間隔を空けて設けられている。この場合、案内板64は、各取付突起93,94のない外径寸法が囲板61の内径寸法より小さく設定されており、各取付突起93,94を含めた外径寸法が囲板61の外径寸法より大きく設定されている。
そのため、2個の板材81が四角筒形状をなすように組み合わされると共に、内側の所定の位置に複数の案内板64を組付けられる。このとき、案内板64の各取付突起93,94が板材81の各取付孔82に遊嵌される。ここで、板材81同士が溶接により接合されて囲板61を形成されると共に、囲板61に対する各案内板64の位置決めが行われた後、取付孔82を通して外側に突出した各取付突起93,94が囲板61に溶接により接合される。
本実施形態のガイドチューブの芯出装置は、上述した第2ガイドチューブ52に適用されるものである。以下、本実施形態のガイドチューブの芯出装置について説明する。図1は、本実施形態のガイドチューブの芯出装置を表す正面図、図2は、ガイドチューブの芯出装置を表す要部断面図、図3は、ガイドチューブの芯出装置を表す側面図、図4は、図2のIV−IV断面図、図5は、図2のV−V断面図、図6は、ガイドチューブの芯出方法を表すフローチャートである。
本実施形態において、図1及び図2に示すように、ガイドチューブの芯出装置100は、複数(本実施形態では、2個)の芯出リング101と、回転支持装置102と、調整装置103と、芯出治具104と、第1計測器105と、第2計測器106とを有している。
即ち、定盤111は、所定幅及び所定長さを有し、上面に基準面111aが形成されている。定盤111は、長手方向の各端部に脚部112が設けられ、所定の高さに支持され、且つ、基準面111aが水平をなすように調整されている。
定盤111は、長手方向の一端部(図1にて、右端部)にて、基準面111a上に固定台113が固定されると共に、移動台114が移動自在に支持されている。この場合、固定台113は、図示しない固定治具により定盤111に固定されている。図1及び図3に示すように、固定台113は、定盤111に固定される固定部115と、固定部115の各端部から立設する左右の支持部116とを有し、固定部115と各支持部116における支持面に支持球117が設けられている。移動台114は、定盤111の長手方向に沿って移動自在に支持される移動部118と、移動部118の各端部から立設する左右の支持部119とを有し、移動部118と各支持部119における支持面に支持球120が設けられている。固定台113と移動台114は、支持面が対向するように配置されており、各支持球117,120が同位置に対向して設けられている。
また、固定台113は、各支持部116にエアシリンダ121が定盤111の長手方向に沿って設けられており、駆動ロッド122の先端部が移動台114の支持部119に連結されている。そのため、エアシリンダ121を駆動すると、駆動ロッド122を介して移動台114を移動することができ。つまり、駆動ロッド122を伸長すると、固定台113に対して移動台114を離間させることができ、駆動ロッド122を収縮すると固定台113に対して移動台114を接近させることができる。この固定台113と移動台114は、回転支持装置102における芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を水平支持する構成となる。なお、回転支持装置102による第2ガイドチューブ52の水平支持とは、略水平支持を含むものであり、作業員の技量、部品の加工精度、組立誤差などにより若干のばらつきが発生してもよい。
図1及び図2、図4に示すように、定盤111は、固定台113と移動台114との間に位置して支持台123が固定されている。支持台123は、左右の支持ローラ124が設けられている。この各支持ローラ124は、回転軸が定盤111の長手方向に沿って配置され、軸受125により回転自在に支持されている。この支持台123は、回転支持装置102における芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を回転させる構成となる。
また、図1に示すように、定盤111は、長手方向の他端部(図1にて、左端部)にも、固定台113と移動台114と支持台123が配置されており、回転支持装置102は、固定台113と移動台114と支持台123が2組設けられて構成される。
芯出リング101は、第2ガイドチューブ52の長手方向の各端部(図1にて、左端部)に装着される。第2ガイドチューブ52は、囲板61内に複数の案内板64が組付けられており、一方の芯出リング101は、最も上板62側に配置される案内板64の外側に装着され、他方の芯出リング101は、最も底板63側に配置される案内板64の外側に装着される。そして、図2及び図5に示すように、芯出リング101の内側に芯出リング101と第2ガイドチューブ52との径方向における位置を調整する調整装置103が設けられている。
芯出リング101は、リング形状をなし、内径寸法が第2ガイドチューブ52における囲板61及び上板62の外径寸法より大きく形成され、第2ガイドチューブ52を芯出リング101内に挿通することができる。芯出リング101は、周方向に90度間隔で調整ボルト131,132,133,134が設けられている。即ち、図5にて、芯出リング101は、直交する中心線O1,O2が設定されるとき、中心線O1に沿って外周側からそれぞれ3本の調整ボルト131,132が螺合しており、中心線O2に沿って外周側からそれぞれ3本の調整ボルト133,134が螺合している。そして、各調整ボルト131,132,133,134の先端部に押え金135,136,137,138が配置されている。各押え金135,136,137,138は、長さが第2ガイドチューブ52における囲板61の1辺の長さとほぼ同様の長さに設定されている。
そのため、各調整ボルト131,132,133,134を正転して芯出リング101の中心側に移動させると、押え金135,136,137,138が同方向に移動し、第2ガイドチューブ52を押圧して支持することができる。なお、第2ガイドチューブ52は、案内板64の各取付突起93,94が囲板61の各取付孔82に挿通して溶接されることから、各取付突起93,94の先端が囲板61の外面より外側に突出している。そのため、押え金135,136,137,138は、囲板61の外面に接触することなく、案内板64の各取付突起93,94の先端を押圧して支持することとなる。
図2及び図4に示すように、芯出治具104は、円板のリング形状をなし、内周面が内周検出面141となっており、内周検出面141は、周方向に連続するリング形状をなしている。そして、芯出治具104は、中心部にこの内周検出面141が設けられ、内周検出面141の周囲に複数の位置決め孔142が設けられている。なお、各位置決め孔142は、内径が第3ガイド孔90と同径寸法に設定されている。芯出治具104は、最も上板62側に配置される案内板64に装着されると共に、最も底板63側に配置される案内板64に装着される。この場合、各芯出治具104は、外径寸法が囲板61の内径寸法や上板62及び底板63の各貫通孔83,84の内径寸法より小さく設定されており、各貫通孔83,84を通して各案内板64における外側となる面に密着して装着される。
そして、芯出治具104は、案内板64に密着した状態で、複数(本実施形態では、4本)の芯出ピン143により位置決め固定される。芯出ピン143は、長さ寸法が芯出治具104及び案内板64を合わせた厚さより長い寸法に設定されている。即ち、各芯出ピン143は、芯出治具104の位置決め孔142と案内板64の第3ガイド孔90に挿通することで、案内板64に対して芯出治具104を適正位置に装着することができる。
図2に示すように、第1計測器105は、芯出治具104の内周検出面141の位置を計測するものである。また、第2計測器106は、底板63(または、上板62)の倒れ量を計測するものである。第1計測器105は、例えば、ダイヤルゲージであって、定盤111に支持された支持部材151に支持され、内周検出面141に接触する検出片105aを有している。第2計測器106は、例えば、ダイヤルゲージであって、定盤111に支持された支持部材152に支持され、底板63の底面63aに接触する検出片106aを有している。
以下、本実施形態のガイドチューブの芯出方法について説明する。
本実施形態のガイドチューブの芯出方法は、上板62及び底板63側に配置される案内板64の外周側にそれぞれ芯出リング101を装着する工程と、各芯出リング101により第2ガイドチューブ52を回転自在に水平支持する工程と、上板62及び底板63側に配置される案内板64にそれぞれ芯出治具104を装着する工程と、芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を回転する工程と、芯出治具104の内周検出面141の位置を計測する工程と、計測された内周検出面141の位置に応じて芯出リング101と第2ガイドチューブ52との径方向における相対位置を調整する工程とを有する。
また、本実施形態のガイドチューブの芯出方法は、上板62及び底板63の倒れ量を計測し、計測された上板62及び底板63の倒れ量に応じて芯出リング101と第2ガイドチューブ52との径方向における相対位置を調整する工程とを有する。
具体的に説明すると、図6に示すように、ステップS11にて、回転支持装置102の位置調整を行う。即ち、図2に示すように、回転支持装置102は、第2ガイドチューブ52を芯出リング101を介して回転自在に支持することから、固定台113と移動台114と支持台123が芯出リング101を適正に支持することができるように、定盤111上に2個の芯出リング101を適正位置に載置し、特に、固定台113の固定位置を調整する。
図6に戻り、ステップS12にて、第2ガイドチューブ52の上板62側に配置される案内板64の外周側に芯出リング101を装着すると共に、底板63側に配置される案内板64の外周側に芯出リング101を装着する。即ち、図5に示すように、各芯出リング101の内側に調整装置103を構成する調整ボルト131,132,133,134及び押え金135,136,137,138を装着し、第2ガイドチューブ52をこの芯出リング101内に挿通する。そして、調整ボルト131,132,133,134を正転して押え金135,136,137,138を内側に移動し、この押え金135,136,137,138を第2ガイドチューブ52における案内板64の各取付突起93,94に押し付けることで、芯出リング101を第2ガイドチューブ52に装着する。
図6に戻り、ステップS13にて、所定の位置に各芯出リング101が装着された第2ガイドチューブ52を回転支持装置102に回転自在に水平支持する。即ち、図2に示すように、芯出リング101が装着された第2ガイドチューブ52を定盤111上の所定の位置に載置する。このとき、各芯出リング101が固定台113と移動台114との間で支持台123に支持されるように載置する。ここで、エアシリンダ121を駆動すると、駆動ロッド122を収縮伸縮すると、固定台113に対して移動台114が接近して各支持球117,120により芯出リンク101の端面を挟持する。すると、第2ガイドチューブ52は、2個の芯出リング101を介して回転支持装置102に支持されることとなる。
図6に戻り、ステップS14にて、上板62及び底板63側に配置される各案内板64に対して芯出ピン143により芯出治具104をそれぞれ取付ける。この場合、芯出治具104を取付ける案内板64は、芯出リング101が装着された案内板64である。即ち、図2及び図3に示すように、各芯出治具104を上板62及び底板63の各貫通孔83,84から囲板61の内部に挿入し、各案内板64に密着させる。このとき、芯出治具104の各位置決め孔142と案内板64の各第3ガイド孔90の位置を合わせる。そして、芯出ピン143を芯出治具104の位置決め孔142から案内板64の第3ガイド孔90まで挿通することで、案内板64に芯出治具104を装着する。
図6に戻り、ステップS15にて、第2ガイドチューブ52の芯出作業を実施する。この第2ガイドチューブ52の芯出作業とは、芯出リング101の中心に第2ガイドチューブ52の中心を合わせることである。即ち、図2及び図5に示すように、まず、第2ガイドチューブ52を回転させる。この場合、各芯出リング101が支持台123の支持ローラ124上に載置されていることから、作業者は、第2ガイドチューブ52を容易に回転することができる。このとき、第1計測器105は、検出片105aが芯出治具104の内周検出面141に接触していることから、この内周検出面141を介して芯出治具104の位置、つまり、案内板64(第2ガイドチューブ52)の位置を計測することができる。
ここで、回転転支持装置102の支持台123は、芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を回転支持している。このとき、芯出リング101の中心と第2ガイドチューブ52の中心が合っていないと、芯出リング101は、自身の中心を支点として回転するものの、第2ガイドチューブ52は、芯出リング101の中心に対して偏心するように回転する。第1計測器105は、この偏心量を計測する。作業者は、この偏心量が所定の許容値以内になるように調整装置103を用いて芯出リング101に対する第2ガイドチューブ52の径方向における位置を調整する。即ち、調整装置103にて、例えば、調整ボルト131を逆転して押え金135を外側に移動すると共に、調整ボルト132を正転して押え金136を内側に移動することで、芯出リング101に対して第2ガイドチューブ52の径方向の一方側に移動する。
図6に戻り、ステップS15で第2ガイドチューブ52の芯出作業が完了したら、ステップS16にて、第2ガイドチューブ52の面振れ調整作業を実施する。この第2ガイドチューブ52の面振れ調整作業とは、芯出リング101と上板62及び底板63との平行度を高めることである。即ち、図2及び図5に示すように、まず、第2ガイドチューブ52を回転させる。このとき、第2計測器106は、検出片106aが底板63(また、上板62)の底面63aに接触していることから、この底面63aを介して底板63の位置、つまり、囲板61に対する底板63の傾きを計測することができる。
ここで、回転転支持装置102の支持台123は、芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を回転支持している。このとき、囲板61に対して底板63が傾いていると、底板63の底面63aは、第2ガイドチューブ52の長手方向にずれながら回転する。第2計測器106は、このずれ量、つまり、面振れ量(倒れ量)を計測する。作業者は、この面振れ量が所定の許容値以内になるように調整装置103を用いて芯出リング101に対する第2ガイドチューブ52の径方向における位置を調整する。
なお、ここでは、第2ガイドチューブ52の芯出作業をした後に、第2ガイドチューブ52の面振れ調整作業を実施したが、逆の手順で実施してもよく、また、同時に実施してもよい。即ち、第2ガイドチューブ52の芯出作業と第2ガイドチューブ52の面振れ調整作業は、同じ調整装置103を用いて実施するものであることから、第2ガイドチューブ52の偏心量と上板62及び底板63の面振れ量との両方が許容値内となるように、芯出リング101に対する第2ガイドチューブ52の径方向位置を調整する。
図6に戻り、ステップS17にて、第2ガイドチューブ52に対して、加工基準用の各種の計測を行う。第2ガイドチューブ52に対して芯出作業と面振れ調整作業を行ったが、偏心量や面振れ量を0にすることは困難であり、その後の仕上げ加工のために、例えば、各案内板64の取付ずれ量、囲板61のねじれ量、上板62及び底板63のずれ量などを計測し、この各計測値を表記しておく。
第2ガイドチューブ52の芯出作業、面振れ調整作業、加工基準用計測作業が完了すると、ステップS18にて、第2ガイドチューブ52を回転支持装置102から取り外した後に、第2ガイドチューブ52から芯出治具104を取外す。そして、ステップS19にて、芯出リング101が装着されたままの第2ガイドチューブ52を養生する。
なお、その後、第2ガイドチューブ52に対して各種の仕上げの切削加工を実施するが、このとき、芯出リング101に対する第2ガイドチューブ52の偏心量と面振れ量が許容値内になっていることから、切削加工装置は、芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を回転状態として切削加工を実施することで、高精度な切削加工を実現できる。
このように本実施形態のガイドチューブの芯出装置にあっては、上板62及び底板63側に配置される案内板64の外周側に装着する複数の芯出リング101と、芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を水平支持して回転する回転支持装置102と、芯出リング101と第2ガイドチューブ52との径方向における位置を調整する調整装置103と、内周検出面141が設けられて上板62及び底板63側に配置される案内板64に装着する芯出治具104と、芯出治具104の内周検出面141の位置を計測する第1計測器105とを設けている。
従って、第2ガイドチューブ52における案内板64の外周側に芯出リング101を装着し、芯出リング101により第2ガイドチューブ52を回転自在に水平支持し、案内板64に芯出治具104を装着し、この状態で、芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を回転する。このとき、第1計測器105が芯出治具104の内周検出面141の位置を計測し、計測された内周検出面141の位置に応じて調整装置103により芯出リング101と第2ガイドチューブ52との径方向における相対位置を調整する。即ち、芯出リング101を基準として第2ガイドチューブ52を回転しながら、調整装置103により芯出リング101の軸中心に芯出治具104の軸中心、つまり、第2ガイドチューブ52(案内板64)の軸中心が一致するように調整することとなる。その結果、第1計測器105により第2ガイドチューブ52の芯出のずれ量を容易に計測することができ、芯出作業を簡素化することで作業時間を短縮し、作業性の向上を図ることができる。
本実施形態のガイドチューブの芯出装置では、芯出治具104の中心部に内周検出面141を形成すると共に、内周検出面141の周囲に案内板64の第3ガイド孔90に一致する複数の位置決め孔142とを設け、芯出ピン143を位置決め孔142と第3ガイド孔90に挿通させることで、案内板64に芯出治具104を装着している。従って、案内板64に対する芯出治具104の装着に既存の第3ガイド孔90を用い、芯出ピン143を位置決め孔142と第3ガイド孔90に挿通させることで、案内板64の中心と芯出治具104の中心を高精度に一致させることができ、また、容易に芯出治具104を案内板64の所定の位置に装着することができ、作業性を向上することができる。
本実施形態のガイドチューブの芯出装置では、内周検出面141を周方向に連続するリング形状としている。従って、芯出リング101を基準として第2ガイドチューブ52を回転しながら、芯出リング101の軸中心に芯出治具104の軸中心(第2ガイドチューブ52の軸中心)が一致するように調整することができ、作業性の向上を図ることができる。
本実施形態のガイドチューブの芯出装置では、芯出リング101を案内板64における複数の取付突起93,94に対して装着している。従って、案内板64は、第2ガイドチューブ52を構成する上で高い精度を有する部材であり、芯出リング101をこの案内板64に装着することで、芯出リングを基準としてガイドチューブが回転することとなり、芯出リング101の軸中心に案内板64の軸中心が一致するように調整することができ、高精度な芯出しを実施することができる。
本実施形態のガイドチューブの芯出装置では、上板62及び底板63の倒れ量を計測する第2計測器106を設けている。従って、芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を回転し、第2計測器106が上板62及び底板63の倒れ量を計測し、計測された上板62及び底板63の倒れ量に応じて調整装置103により芯出リング101と第2ガイドチューブ52との径方向における相対位置を調整することとなり、第2ガイドチューブ152の芯出作業と上板62及び底板63の倒れ量調整を同時に実施することができ、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態のガイドチューブの芯出方法にあっては、上板62及び底板63側に配置される案内板64の外周側にそれぞれ芯出リング101を装着する工程と、各芯出リング101により第2ガイドチューブ52を回転自在に水平支持する工程と、上板62及び底板63側に配置される案内板64にそれぞれ芯出治具104を装着する工程と、芯出リング101を介して第2ガイドチューブ52を回転する工程と、芯出治具104の内周検出面141の位置を計測する工程と、計測された内周検出面141の位置に応じて芯出リング101と第2ガイドチューブ52との径方向における相対位置を調整する工程とを有している。
従って、芯出リング101を基準として第2ガイドチューブ52を回転しながら、調整装置103により芯出リング101の軸中心に芯出治具104の軸中心、つまり、第2ガイドチューブ52(案内板64)の軸中心が一致するように調整することとなる。その結果、第1計測器105により第2ガイドチューブ52の芯出のずれ量を容易に計測することができ、芯出作業を簡素化することで作業時間を短縮し、作業性の向上を図ることができる。
本実施形態のガイドチューブの芯出方法では、上板62及び底板63の倒れ量を計測し、計測された上板62及び底板63の倒れ量に応じて芯出リング101と第2ガイドチューブ52との径方向における相対位置を調整している。従って、第2ガイドチューブ52の芯出作業と上板62及び底板63の倒れ量調整を同時に実施することができ、作業性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態にて、第2ガイドチューブ52を、囲板61の上部に上板62を固定すると共に下部に底板63を固定し、内部に複数の案内板64を固定したものとしたが、本発明のガイドチューブは、この構成に限定されるものではない。例えば、囲板61と上板62と底板63と案内板64の形状は、実施形態に限定されるものではなく、また、案内板の数や取付位置も実施形態に限定されるものではない。また、ガイドチューブの芯出装置及び方法は、第1ガイドチューブ51や第3ガイドチューブ53に対しても適用することができる。
また、上述した実施形態では、回転支持装置102は、第2ガイドチューブ52を支持し、作業者が手動により回転するものとしたが、駆動モータなどにより自動で回転するように構成してもよい。また、調整装置103は、芯出リング101に対し、作業者が第2ガイドチューブ52を手動により位置調整するものとしたが、駆動モータなどにより自動で回転するように構成してもよい。