JP6424597B2 - ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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また、硬度の低下を抑制するためにカーボンブラック等の補強性フィラーを増量すると、タイヤの低燃費性能を悪化させてしまう。このように、加工性、硬度および低燃費性能を同時に向上させることは、当業界では困難な事項とされていた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
前記ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度(Tg)が−60℃〜−20℃であり、かつ
下記式(1)で表されるシランカップリング剤を前記シリカに対して2〜20質量%配合してなることを特徴とするタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表し、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0≦d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。)
2.前記1に記載のゴム組成物をキャップトレッドに使用した空気入りタイヤ。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、ゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
また本発明で使用されるジエン系ゴムは、平均ガラス転移温度(平均Tg)が−60〜−20℃であることが必要である。平均Tgが−60℃未満であると、硬度が低下する。逆に−20℃を超えると、耐摩耗性が悪化する。平均Tgは、ガラス転移温度の平均値であり、各ジエン系ゴムのガラス転移温度と各ジエン系ゴムの配合割合から平均値として算出することができる。すなわち平均Tgは、各成分のガラス転移温度に、各成分の重量分率を乗じた積の合計、すなわち加重平均に基づき算出される値である。
スチレン化フェノール化合物は、下記式で表すことができる。
本発明で使用されるシリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカおよび沈降シリカなど、従来からゴム組成物において使用することが知られている任意のシリカを単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
なお本発明では、本発明の効果がさらに向上するという観点から、シリカのCTAB比表面積(JIS K6217−3)は、70〜240m2/gであるのが好ましく、80〜240m2/gであるのがさらに好ましい。
本発明で使用されるシランカップリング剤は、下記式(1)で表される。
*−(CH2)n−Sx−(CH2)n−* (12)
上記式(12)中、nは1〜10の整数を表し、なかでも、2〜4の整数であることが好ましい。
上記式(12)中、xは1〜6の整数を表し、なかでも、2〜4の整数であることが好ましい。
上記式(12)中、*は、結合位置を示す。
上記式(12)で表される基の具体例としては、例えば、*−CH2−S2−CH2−*、*−C2H4−S2−C2H4−*、*−C3H6−S2−C3H6−*、*−C4H8−S2−C4H8−*、*−CH2−S4−CH2−*、*−C2H4−S4−C2H4−*、*−C3H6−S4−C3H6−*、*−C4H8−S4−C4H8−*などが挙げられる。
*−OR2 (13)
上記式(13)中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアラルキル基(アリールアルキル基)または炭素数2〜10のアルケニル基を表し、なかでも、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。上記炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。上記炭素数6〜10のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、トリル基などが挙げられる。上記炭素数6〜10のアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる。上記炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、プロぺニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
上記式(13)中、*は、結合位置を示す。
*−(CH2)m−SH (14)
上記式(14)中、mは1〜10の整数を表し、なかでも、1〜5の整数であることが好ましい。
上記式(14)中、*は、結合位置を示す。
上記式(14)で表される基の具体例としては、*−CH2SH、*−C2H4SH、*−C3H6SH、*−C4H8SH、*−C5H10SH、*−C6H12SH、*−C7H14SH、*−C8H16SH、*−C9H18SH、*−C10H20SHが挙げられる。
上記式(1)中、bは、本発明の効果が向上するという理由から、0<bであることが好ましく、0.10≦b≦0.89であることがより好ましい。
上記式(1)中、cは、本発明の効果が向上するという理由から、1.2≦c≦2.0であることが好ましい。
上記式(1)中、dは、本発明の効果が向上するという理由から、0.1≦d≦0.8であることが好ましい。
上記ポリシロキサンの酢酸/ヨウ化カリウム/ヨウ素酸カリウム添加−チオ硫酸ナトリウム溶液滴定法によるメルカプト当量は、加硫反応性に優れるという観点から、550〜700g/molであるのが好ましく、600〜650g/molであるのがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部、シリカを30〜180質量部、前記式(1)で表されるシランカップリング剤を前記シリカに対して2〜20質量%配合してなることを特徴とする。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量が1.0質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると硬度が低下する。
シリカの配合量が30質量部未満であると、低燃費性能を得ることができない。逆に180質量部を超えると、加工性が悪化する。
シランカップリング剤の配合量が前記シリカに対して2質量%未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量%を超えるとスコーチ性が悪化する。
さらに好ましい前記シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、30〜160質量部である。
さらに好ましい前記シランカップリング剤の配合量は、前記シリカに対し、2〜18質量%である。
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物および加硫ゴム試験片の物性を測定した。
硬度(20℃):JIS K6253に基づき、20℃にて測定した。結果は、標準例の値を100として指数で示した。指数が大きいほど硬度が高いことを示す。
低燃費性能:(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。結果は、標準例の値を100として指数表示した。指数が小さいほど低燃費性能であることを示す。
結果を表1に示す。
*2:BR(日本ゼオン(株)社製Nipol BR1220、Tg=−105℃)
*3:カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製N339)
*4:シリカ(ローディア社製ZEOSIL 1165MP、CTAB比表面積=159m2/g)
*5:スチレン化フェノール化合物−1(三光(株)製SP−F。モノスチレン化フェノール65モル%以上、ジスチレン化フェノール32モル%以下、トリスチレン化フェノール1モル%以下)
*6:スチレン化フェノール化合物−2(三光(株)製SP−24。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール60モル%以上、トリスチレン化フェノール40モル%以下)
*7:スチレン化フェノール化合物−3(三光(株)製TSP。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール30モル%以下、トリスチレン化フェノール65モル%以上)
*8:シランカップリング剤−1(エボニックデグサ社製Si363。化学式=C13H27O(CH2CH2O)5]2(CH2CH2O)Si(CH2)3SH))
*9:シランカップリング剤−2(国際公開WO2014/002750号パンフレットの合成例1に従って合成した、上記式(1)を満たす化合物。組成式=(−C3H6−S4−C3H6−)0.083(−C8H17)0.667(−OC2H5)1.50(−C3H6SH)0.167SiO0.75、平均分子量=860)
*10:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸YR)
*11:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*12:老化防止剤(フレキシス社製6PPD)
*13:プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*14:加硫促進剤−1(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*15:加硫促進剤−2(フレキシス社製Perkacit DPG)
*16:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄、硫黄含有量=95.24質量%)
これに対し、比較例1は、モノスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を使用しているので、硬度が低下した。
比較例2は、シリカの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、低燃費性能を得ることができなかった。
比較例3は、ジエン系ゴムの平均Tgが本発明で規定する下限未満であるので、硬度が低下した。
比較例4は、スチレン化フェノール化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、硬度が低下した。
Claims (2)
- ジエン系ゴム100質量部に対し、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部およびシリカを30〜180質量部配合し、
前記ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度(Tg)が−60℃〜−20℃であり、かつ
下記式(1)で表されるシランカップリング剤を前記シリカに対して2〜20質量%配合してなることを特徴とするタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表し、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0≦d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。) - 請求項1に記載のゴム組成物をキャップトレッドに使用した空気入りタイヤ。
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