JP6423591B2 - 基地局、通信処理装置、送信方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
このような高度道路交通システムのための通信方式については、標準規格及びガイドラインが制定されている(非特許文献1,2参照)。
アプリケーションデータは、その種類が複数あり、かつ個々のアプリケーションデータのサイズが大きいため、非特許文献1の標準規格に従って送信するには、比較的小さいサイズのデータにする必要があるためである。
このため、仮に、一の種類のアプリケーションデータに関する分割データ群が揃っていたとしても、それのみを送信することができないという問題を有していた。
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一実施形態である通信機は、データカテゴリが異なる複数のアプリケーションデータを送信可能な通信機であって、前記アプリケーションデータと、前記アプリケーションデータに対応するデータカテゴリを示すカテゴリ情報と、を出力する第1処理部と、前記通信機に割り当てられた周期的な送信期間を示す送信期間情報が記憶された記憶部と、前記第1処理部から出力された前記アプリケーションデータが、送信すべき数だけ揃うと、前記アプリケーションデータを前記送信期間情報が示す送信期間において送信させる送信処理部と、を備え、前記送信処理部は、前記アプリケーションデータが送信すべき数だけ揃っているか否かを、前記カテゴリ情報が示すデータカテゴリ毎に判定し、一のデータカテゴリにおいて前記アプリケーションデータか揃っていると判定されると、揃っている前記アプリケーションデータを前記送信期間情報が示す送信期間において送信させる。
前記送信期間情報は、前記送信期間において送信可能なデータカテゴリを示す送信可能カテゴリ情報を含み、前記送信処理部は、前記記憶部に記憶された送信可能カテゴリ情報を参照し、前記第1処理部から出力された前記カテゴリ情報に基づいて、前記送信期間が前記アプリケーションデータを送信可能な送信期間であるか否かを判断することが好ましい。
この場合、アプリケーションデータに対応するカテゴリ情報が第1処理部から出力されるとともに、記憶部には送信可能カテゴリ情報が記憶されているので、送信処理部は、記憶部に記憶された送信可能カテゴリ情報を参照し、第1処理部から出力されたカテゴリ情報に基づいて、その送信期間がアプリケーションデータを送信可能な送信期間であるか否かを判断することができる。この結果、データカテゴリ毎に送信可否の判断が可能となり、データカテゴリ毎の送信制御を適切に行うことができる。
この場合、干渉を生じさせることなく1つの送信期間を複数の通信機に割り当てるような設定が可能となる。この結果、通信リソースを有効に活用することができる。
また、1つの送信期間を周期毎に割り当てが異なるように設定し複数の通信機に割り当てるような設定をすると、仮に、アプリケーションデータが第1処理部から送信処理部に与えられるまでの間に遅延が生じると、送信処理部は、自機に割り当てられていない送信期間でアプリケーションデータを送信してしまい、干渉の可能性を生じさせてしまうことが考えられる。
しかし、本発明では、データカテゴリに基づいてアプリケーションデータに対して送信可能と判断された送信期間についてさらに、上述の判断情報に基づいて、当該送信期間の使用の可否を判断するので、仮に、アプリケーションデータが第1処理部から送信処理部に与えられるまでの間に遅延が生じたとしても、他の通信機の送信期間では送信されないように送信を制限することができ、干渉の可能性を生じさせてしまうのを防止することができる。
この場合、送信処理部は、データカテゴリ毎に設定される第1シーケンス番号と、対応するデータカテゴリ毎のアプリケーションデータにおける送信すべき数とを含むカテゴリ毎シーケンス番号情報に基づいて、送信期間で送信すべき前記アプリケーションデータが揃っているか否かを判定するので、データカテゴリ毎に前記アプリケーションデータが揃ったことを容易に判定することができる。
この場合、送信処理部は、データカテゴリ毎に前記アプリケーションデータが揃ったことを容易に判定することができることに加え、送信期間毎シーケンス番号情報を参照することで、送信期間で送信すべきアプリケーションデータが全て揃っているか否かを判定することができ、さらに、送信期間で送信すべきアプリケーションデータの中での遅延等の発生の有無も判定できる。この結果、より適切に送信処理を行うことができる。
この場合、第1アプリケーションデータが順番通りに揃い、その後、第2アプリケーションデータが1つでも与えられれば、送信処理部は、少なくとも第1アプリケーションデータについては全て揃ったものと判断することができる。
この場合、データカテゴリの内容に応じて、破棄の判定の仕方を異なるように設定することができる。
より具体的に、前記送信処理部は、前記送信期間で送信すべき前記アプリケーションデータが新たに与えられると、過去に与えられた前記アプリケーションデータを破棄することができる。
また、前記送信処理部は、前記送信期間で送信すべき前記アプリケーションデータが与えられてから所定期間が経過すると、当該アプリケーションデータを破棄することもできる。
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
[1.通信システムの構成について]
図1は、実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機(通信機)2、車載通信機(通信機)3(図2参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
なお、本実施形態において特に説明しない点については、非特許文献1,2に準拠する。
中央装置4は、自身が管轄するエリアの交通信号機1および路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2とも無線通信(路路間通信、路車間通信)が可能である。
また、同じく無線通信システムを構成する車載通信機(通信機)3は、路側通信機2との間で無線通信を行うとともに、キャリアセンス方式で他の車載通信機3と無線通信(車車間通信)が可能である。
路側通信機2は、図2に示すように、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部(RF部;PHY部)21と、有線通信回線7を介して中央装置4と通信するための有線通信部22と、通信制御処理を行う通信処理装置25と、を備えている。
通信処理装置25は、制御部23と、必要な情報を記憶する記憶部24と、を備えている。制御部23は、無線通信及び有線通信の通信制御処理を行う。記憶部24は、無線通信及び優先通信のために必要な情報を記憶する。
図3は、第1実施形態に係る無線フレーム(スーパーフレーム)を示し、(a)はタイムチャート、(b)は送信期間と送信禁止期間とを示す図、(c)は後述する送信カテゴリの設定例を示す図である。
図3(a)に示すように、無線フレームは、その時間軸方向の長さ(フレーム長)が100msに設定されている。つまり、1秒間に10のフレームが発生する。
フレームは、例えば、路側通信機2が有するGPS受信機(図示せず)によって受信したGPS信号に含まれる1PPS(1秒周期の信号)に基づいて生成される。
路車間通信期間SL1は、路側通信機2に割り当てられる路車間通信用のタイムスロット(路側通信機用送信期間)であり、この期間SL1においては、路側通信機2による無線送信が許容される。路車間通信期間SL1は、一つの無線フレーム(100ms)内に最大16個まで設定可能である。
路車間通信期間SL1には、それぞれ路車間通信期間番号n(=1〜16)が付されている。
図3(b)では、路側通信機2にn=4,5,6の3つの路車間通信期間SL1が送信期間として割り当てられている場合の送信禁止期間を示している。路側通信機2は、送信禁止期間以外の期間(送信期間)でデータ送信を行う。
例えば、図3(b)中、m=1の送信期間は、送信開始タイミング変数RTC(1).TST、及び送信期間長変数RTC(1).TRPによって、無線フレーム中における期間を特定することができる。他の送信期間も同様である。
送信カテゴリは、送信カテゴリに対応する(送信カテゴリと同一の)データカテゴリを有するアプリケーションデータを送信するための送信期間であることを示す情報として、各送信期間に設定されている。
そこで、路路間通信を実現するため、無線フレーム内に、路車間通信期間とは別に、路路間通信期間を設けることが考えられる。しかし、この場合、非特許文献1の標準規格及び非特許文献2のガイドラインの大幅な変更が必要となる。
このため、無線フレーム内に、路車間通信期間とは別に、路路間通信期間を設けるのは現実的には困難である。
送信インターバルRTC(m).Int、及び送信オフセットRTC(m).Offsetは、無線フレーム内において送信タイミングRTC(m).TSTや、送信期間長RTC(m).TRPによって設定される路車間通信期間に対して、無線フレームによる周期毎(100ms毎)に使用可能な路車間通信期間を設定するための変数である。
送信インターバルRTC(m).Intは、使用可能な路車間通信期間の無線フレーム単位の周期をインターバルとして設定するための変数である。
また、送信オフセットRTC(m).Offsetは、基準となる時間から、使用可能な路車間通信期間を設定する時期までの期間を設定するための変数である。
図中、無線フレームは、上述のように、GPS信号に含まれる1PPS信号に基づいて生成される。
図5では、n=6の路車間通信期間SL1の設定について説明する。
n=6の路車間通信期間SL1は、各無線フレームそれぞれに存在するが、例えば、送信インターバルRTC(m).Intを200ms(2つの無線フレーム分の長さ)と設定した場合、使用可能な路車間通信期間SL1は、図5(a)(b)に示すように、2つの無線フレームごとに1つ設定される。つまり、使用可能な路車間通信期間SL1は、1無線フレームおきに設定され、200msの送信周期で設定される。
このように、送信インターバルRTC(m).Int、及び送信オフセットRTC(m).Offsetの設定によって、1つの路車間通信期間SL1を、干渉を生じさせることなく複数の路側通信機2に割り当てることができ、通信リソースを有効に活用することができる。
なお、このように、1つの路車間通信期間SL1を、複数の路側通信機2に割り当てた場合、各無線フレーム毎に通信期間が割り当てられる場合よりも、送信頻度は低下するが、緊急性が低いデータ等、送信すべきデータの性質に応じて使い分けることで、通信リソースを有効活用することができる。
非特許文献1に規定されるプロトコルスタックは、レイヤ1(L1,物理層:Physical Layer)、レイヤ2(L2,データリンク層:Data Link Layer)、車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層:Inter−Vehicle Communication − Road to Vehicle Communication Layer)及びレイヤ7(L7,アプリケーション層:Application Layer)の4構造である。各層及びアプリケーションAPは、システム管理のための情報を有するシステム管理にアクセスすることができる。
レイヤ2は、MAC副層(Medium Access Control sublayer)と、LLC副層(Logical Link Control sublayer)と、から構成される。なお、MAC副層を、単に、MAC層(Medium Access Control layer)ともいい、LLC副層(Logical Link Control sublayer)を、単に、LLC層(Logical Link Control layer)ともいう。
LLC層は、上位層のエンティティ間でパケット伝送を行うために、確認なしコネクションレス型通信のサービスを提供する。
拡張層ELは、アプリケーションAPに対してデータ伝送サービスを提供する。アプリケーションAPは、送信される通信パケットに格納されるアプリケーションデータ(交通情報、車両情報など)を拡張層ELに与える。データ伝送サービス提供のため、拡張層ELは、レイヤ7以下の下位階層に対してデータ伝送要求を出す。
また、レイヤ7から受け取った分割データを結合させてアプリケーションAPに与えることができる。
なお、拡張層ELは、レイヤ7とともに、セキュリティ管理にアクセスすることができる。
なお、例えば、アプリケーションAPの機能は、コンピュータプログラムによって実現し、拡張層ELからレイヤ2までの機能は、ハードウェアによって構成することができる。また、拡張層ELからレイヤ2までの機能をコンピュータプログラムによって実現してもよい。
この通信パケットは、路側通信機2および車載通信機3によって送信される。図7に示す通信パケットの構成は、非特許文献1,2に準拠したものである。
PHYヘッダは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)におけるレイヤ1(物理層)において読み取られて、受信側のレイヤ1における通信制御処理に用いられる。なお、PHYヘッダを含む通信パケット全体が、PPDU(Physical Layer Protocol Data Unit)である。PHYヘッダよりも後側のMPDUは、PSDU(Physical Layer Convergence Protocol Service Data Unit)でもある。
PPDU(MPDU)は、その最後端にFCS(Frame Check Sequence)を含んでいる。
MAC制御フィールドは、受信側の通信機2,3のレイヤ2のMAC層において読み取られて、受信側のMAC層における通信制御処理に用いられる。
MAC制御フィールドよりも後側のLPDUは、MSDU(MAC Service Data Unit)でもある。
LLC制御フィールドは、受信側の通信機2,3のレイヤ2のLLC層において読み取られて、受信側のLLC層における通信制御処理に用いられる。
また、LLC制御フィールドよりも後側のIPDUは、LSDU(LLC Service Data Unit)でもある。
IR制御フィールドは、受信側の路側通信機2(車載通信機3)のIVC−RVC層において読み取られて、受信側のIVC−RVC層における通信制御処理に用いられる。
IR制御フィールドよりも後側のAPDUは、ISDU(IVC−RVC Service Data Unit)でもある。
レイヤ7ヘッダは、受信側の通信機2,3のレイヤ7において読み取られて、受信側のレイヤ7における通信制御処理に用いられる。
レイヤ7ヘッダよりも後側のELフレーム(EL−PDU;EL−Protocol Data Unit)は、ASDU(Application Service Data Unit)でもある。
ELヘッダは、受信側の通信機2,3の拡張レイヤELにおいて読み取られて、受信側の拡張レイヤELにおける処理に用いられる。
路側通信機(基地局)2によって付加されるELヘッダ(EL基地局ヘッダ)は、図8(a)に示すように、バージョンフィールド、ELヘッダ種別フィールド、ELセキュリティ区分情報フィールド、データ関連情報フィールド、分割番号フィールド、予約フィールドを有している。
図8(b)に示すように、アプリケーションデータのDataAssociatedInformation(データ関連情報)としては、BaseStationID(基地局ID情報)、DataSequence(データ順番情報)、DataTotalNumber(データ総数情報)が設けられている。
BaseStationID(基地局ID情報)は、送信元の基地局を識別するための情報であり、これによって、送信元の基地局を個別に識別することができる。
DataSequence(データ順番情報)は、一つの無線フレーム(送信周期=100ms)で送信されるべき1又は複数のアプリケーションデータの順番を示す。
DataTotalNumber(データ総数情報)は、一つの無線フレーム(送信周期=100ms)で送信されるべき1又は複数のアプリケーションデータの総数を示す。
図8(c)に示すように、分割番号は、「順番」及び「総数」を情報として含んでいる。「順番」は、データ分割の順番を示している。「総数」はデータ分割の総数を示している。
アプリケーションAPには、路車間通信データを生成するアプリケーション、路路間通信データを生成するアプリケーションなど、異なる種類のアプリケーションが含まれる。
従って、アプリケーションAPでは、アプリケーションデータとして、複数の異なる種類(カテゴリ)のデータが生成される。
各カテゴリのアプリケーションデータは、対応する(同一の)送信カテゴリに設定された送信期間にて送信される。
アプリケーションAPが生成するDataAssociatedInformation(データ関連情報)は、図10(a)に示すように、図8(b)に示すDataAssociatedInformation(データ関連情報)と同様である。すなわち、アプリケーションAPが生成するDataAssociatedInformation(データ関連情報)は、アプリケーションAPが生成したアプリケーションデータの順番と総数とを含んでいる。
例えば、3つのアプリケーションデータが生成された場合、アプリケーションAPは、各アプリケーションデータそれぞれに対するデータ関連情報のデータ総数を「3」に設定し、3つのアプリケーションデータそれぞれの順番として、「1」〜「3」の内、いずれかを設定する。
ControlInformation(制御情報)は、アプリケーションが、EL及びレイヤ7以下の各層に伝える無線パラメータである。
非特許文献1,2においては、ControlInformation(制御情報)は、図11に示すデータレート(DataRate)だけを有しており、TransmissionCategory(送信カテゴリ)に対応するフィールドは、予約フィールドとされているにすぎない。
TransmissionCategory(送信カテゴリ)は、送信されるべきアプリケーションデータのデータカテゴリ(データの種類)を示す。
アプリケーションAPは、生成したアプリケーションに対するControlInformation(制御情報)のTransmissionCategory(送信カテゴリ)フィールドに、生成したアプリケーションデータのデータカテゴリを設定する。
EL−BaseStationBroadcastData要求には、生成したApplicationData(アプリケーションデータ)のほか、アプリケーションデータに対応するControlInformation(制御情報)、及び、アプリケーションデータに対応するDataAssociatedInformation(データ関連情報)が含まれる。
つまり、アプリケーションAPは、拡張層ELに対し、アプリケーションデータとともに、そのアプリケーションデータについてのDataSequence(データ順番情報)/DataTotalNumber(データ総数)と、データカテゴリ(送信カテゴリ)と、を与える。
また、拡張層ELは、アプリケーションAPが出力するアプリケーションデータと、データカテゴリを示す情報とを受け付ける第2処理部を構成している。
すなわち、拡張層ELは、アプリケーションAPからアプリケーションデータを受け取った際に、セキュリティ管理を経由する旨の指示を受け取った場合には、アプリケーションAPから受け取ったアプリケーションデータ(アンセキュアなアプリケーションデータ)を、セキュリティ管理に渡す。
セキュリティ管理において、アンセキュアなアプリケーションデータをセキュアなアプリケーションデータにする処理(セキュリティ処理)には、暗号化処理、署名処理などの処理が含まれる(ただし、非特許文献1,2では規定されていない)。
セキュリティ管理は、セキュリティ処理が施されたセキュアなアプリケーションデータを、拡張層ELに戻す。
拡張層ELは、アプリケーションデータを分割するにあたって、アプリケーションAPからアプリケーションデータを受け取った際に、セキュリティ管理を経由しない旨の指示を受け取った場合には、アプリケーションAPから受け取ったアプリケーションデータ(アンセキュアなアプリケーションデータ)を分割して、分割データを生成する。
つまり、データ分割サイズ(DDS)、及び、路車間通信期間最小利用時間(SES)に従って、送信期間の期間長に応じたデータ分割が行われる。
拡張層ELは、ELヘッダの生成のため、ELヘッダを構成するDataAssociatedInformation(データ関連情報)及び分割番号などの情報を生成する。
なお、EL−SDUとされるアプリケーションデータが分割データの場合、その分割データの元となったアプリケーションデータに対応するDataAssociatedInformationを引き継ぐ。
EL−SDUとされる複数のアプリケーションデータの内、分割データではないアプリケーションデータに対して付加されるELヘッダの分割番号は、総数及び順番に対して共に「1」が格納される。
SequenceNumber(シーケンスナンバ:送信期間毎シーケンス番号情報)は、一つの無線フレーム(送信周期=100ms)毎の送信期間で送信すべき複数のアプリケーションデータの順番、及び複数のアプリケーションデータの総数(送信期間で送信すべきアプリケーションデータにおける送信すべき数)を示すものである。
拡張層ELは、複数のアプリケーションデータの総数を特定し、複数のアプリケーションデータ(EL−PDU)それぞれに対して、送信期間毎シーケンス番号、及び複数のアプリケーションデータの総数を情報として含むSequenceNumber(シーケンスナンバ:送信期間毎シーケンス番号情報)を生成する。
SequenceNumber(シーケンスナンバ:送信期間毎シーケンス番号情報)は、図12に示すように、各データ(パケット)のSequence(順番:送信期間毎シーケンス番号)及びTotalNumber(総数:送信期間で送信すべきアプリケーションデータにおける送信すべき数)を情報として含んでいる。
つまり、拡張層ELは、「各アプリケーションデータの送信カテゴリ(データカテゴリ)」から、「1又は複数のアプリケーションデータの送信カテゴリ(データカテゴリ)」を生成し、生成した送信カテゴリ(データカテゴリ)を示す情報(カテゴリ情報)を、1又は複数のアプリケーションデータに対応するControlInformation(制御情報)の「送信カテゴリ」フィールドに設定する。データレートも同様に設定される。
BaseStationBroadcastData要求には、複数のアプリケーションデータ(EL−PDU)のほか、複数のアプリケーションデータそれぞれに対応するControlInformation(制御情報)、及び、複数の分割データそれぞれに対応するSequenceNumber(シーケンスナンバ:送信期間毎シーケンス番号情報)が含まれる。
このように、複数のアプリケーションデータは、拡張層ELから、レイヤ7−LLC層を経由して、MAC層へ与えられる。
つまり、MAC層は、アプリケーションAPから出力された複数のアプリケーションデータが、送信すべき数だけ揃うと、前記アプリケーションデータを記憶部24に記憶された送信制御変数RTC(m)が示す送信期間において送信させる送信処理部として機能する。
このように、MAC層(送信処理部)は、複数のアプリケーションデータのデータカテゴリ毎に送信制御を行う。
例えば、データカテゴリが”Ca1”のアプリケーションデータは、送信カテゴリが”Ca1”の送信期間で送信される。また、データカテゴリが”Ca2”の分割データは、送信カテゴリが”Ca2”である別の送信期間で送信される。
つまり、複数のアプリケーションデータそれぞれにデータカテゴリが設定されていない場合、MAC層は、各アプリケーションデータ(MPDU)のデータカテゴリを把握できない。
図13(a)では、MAC層に、上位層から5つのMSDU51〜55が、一連の複数のMSDU群として与えられている場合を示している。
これら5つのMSDU51〜55の内、MSDU51とMSDU52は、路車間通信データ(車載通信機3向けデータ)であるアプリケーションデータ「路車1」を元のアプリケーションデータとするデータ(分割データ)である。
MSDU53は、路車間通信データ(車載通信機3向けデータ)であるアプリケーションデータ「路車2」を元のアプリケーションデータとするデータである。
MSDU54とMSDU55は、路路間通信データ(他の路側通信機2向けデータ)であるアプリケーションデータ「路路1」を元のアプリケーションデータとするデータである。
これら3つのアプリケーションデータ「路車1」「路車2」「路路1」、が、一つの無線フレーム(送信周期=100ms)において送信されるべきアプリケーションデータであるものとする。
以下、このような状況下における各種情報の具体例について示す。
拡張層ELは、これら5個のデータ(MSDU)を一連のMSDU群としてみなしてSequenceNumber(シーケンスナンバ:送信期間毎シーケンス番号情報)を設定する。
よって、シーケンスナンバ(送信期間毎シーケンス番号情報)の「総数」(TotalNumber:送信期間で送信すべきアプリケーションデータにおける送信すべき数)は、「5」に設定される。また、シーケンスナンバ(送信期間毎シーケンス番号情報)の「シーケンス(順番;Sequence:送信期間毎シーケンス番号)」は、5個のデータそれぞれに対して順番に「1」〜「5」の値が設定される。
この場合、上記のように、MAC層に与えられるTransmissionCategory(送信カテゴリ;データカテゴリ)は、アプリケーションが設定する内容が引き継がれる。
よって、図13(b)に示すように、アプリケーションデータ「路車1」及び「路車2」を元のアプリケーションデータとするデータ(MSDU51〜53)のデータカテゴリは、「0」に設定され、アプリケーションデータ「路路1」を元のアプリケーションデータとするデータ(MSDU54及び55)のデータカテゴリは、「1」に設定される。
まず、MSDU51が与えられると、MAC層は、一連のMSDU群の総数(送信期間で送信すべきアプリケーションデータにおける送信すべき数)が「5」であること、及び、その内の1番目であるMSDU51のデータカテゴリが「0」であることを認識する。
その後、順次MAC層にMSDUが与えられ、MSDU54が与えられると、MAC層は、4番目のMSDU54のデータカテゴリが「1」であることを認識する。
ここで、MAC層は、データカテゴリが「0」のMSDUが現段階まで順番に従って与えられることで揃っており、かつ、次に与えられたMSDUのデータカテゴリが、それまで与えられていたMSDUのデータカテゴリ「0」とは異なっていることから、今後与えられるMSDUのデータカテゴリは「1」になっていることを認識する。
これによって、MAC層は、少なくともデータカテゴリが「0」であるMSDU群(MSDU51〜53)については、全て揃ったものと判断することができる。
MAC層は、各MSDUのデータカテゴリ(カテゴリ情報)を参照し、データカテゴリ「0」である複数のMSDUが順番に従って揃っており、かつ、データカテゴリが「1」である複数のMSDUの内の1つであるMSDU54が与えられると、データカテゴリが「0」である複数のMSDUが全て揃ったと判定し、データカテゴリが「0」である複数のMSDUを送信するように構成されている。
上述したように、MIB24aは、路車間通信期間情報変数RRC(n)と、送信制御変数RTC(m)とを有している。
ここでは、路側通信機2は、n=4,5,10の3つの路車間通信期間が割り当てられており、路側通信機2のMAC層は、路車間通信期間情報変数RRC(n)におけるnの値が、4,5,10である各送信制御変数RTC(m)を参照する。
よって、路車間通信用に割り当てられるn=4,5の路車間通信期間は、送信カテゴリが「0」に設定され、路路間通信用に割り当てられるn=10の路車間通信期間は、送信カテゴリが「1」に設定される。
これによって、MAC層は、送信カテゴリが「0」である路車間通信期間においては、データカテゴリが「0」である路車間通信データを送信し、送信カテゴリが「1」である路車間通信期間においては、データカテゴリが「1」である路路間通信データを送信する。
本実施形態では、図13(c)に示すように整数で表されているが、この整数に100msを乗算した値が、送信インターバルRTC(m).Int、及び送信オフセットRTC(m).Offsetの具体的な設定値である。
例えば、n=4,5の路車間通信期間では、当該路車間通信期間に対応するm=1,2の送信インターバルRTC(m).Intが「1」(100ms)、送信オフセットRTC(m).Offsetが「0」(0ms)に設定されている。この場合、周期毎の無線フレームそれぞれについて使用が許可される設定となっている。
n=10の路車間通信期間では、当該路車間通信期間に対応するm=3の送信インターバルRTC(m).Intが「2」(200ms)、送信オフセットRTC(m).Offsetが「1」(100ms)に設定されている。この場合、200ms(1無線フレームおき)の周期でかつ、基準時間に対するオフセット量が100msとなるように設定される。つまり、図5(b)に示す設定となる。
MAC層は、まず、送信期間毎シーケンス番号情報に含まれる総数に示された個数の一連の複数のアプリケーションデータ(MSDU)群が揃っているか否かを判定する(ステップS101)。
一連のMSDU群が揃っている場合、MAC層は、古い(過去の)MSDU(古い一連のMSDU群を含む)を保持しているか否かをデータカテゴリごとに判定する(ステップS102)。
古いMSDUを保持している場合、MAC層は、保持している古いMSDUと同じデータカテゴリにおいて、一連のMSDU群が揃った場合、そのデータカテゴリにおける古いMSDUを破棄する(ステップS103)。このようにMAC層は、データカテゴリごとに古いMSDUを破棄して新しく与えられたMSDUに更新する。
なお、ステップS101において、一連のMSDU群が揃っていないと判断された場合、及びステップS102において、古いMSDUを保持していないと判断された場合、MAC層は、ステップS104に進む。
次いで、MAC層は、100ms周期で到来する所定タイミングであるか否かを判定する(ステップS105)。なお、所定タイミングとは、一連のMSDU群が揃っているか否かを判断すべきタイミングである。
所定タイミングではないと判定すると、MAC層は、ステップS101に戻り、上記処理を反復する。
ステップS106にて、MSDUを保持していると判定する場合、MAC層は、送信期間毎シーケンス番号情報に含まれる総数に示された個数の一連の複数のMSDU群が揃っているか否かを判定する(ステップS107)。
MAC層は、ステップS108の判定について、送信制御変数RTC(m)を参照することで、揃っているMSDU群のデータカテゴリに係るアプリケーションデータの送信が許容されている送信期間を特定した上で、データカテゴリ毎に行う。
上記のように判断することで、MAC層は、次に到来する無線フレームに含まれる送信期間が、揃っているMSDU群を送信可能とする送信期間に該当するか否かを判定する。
このとき、MAC層は、古い(保持時間の長い)MSDUから順番に、一致した送信カテゴリの送信期間で送信させる。
ステップS110におけるMAC層によるカテゴリ毎にMSDUが揃っているか否かの判定の方法は、上記図13(b)における説明にて述べた通りである。
図15は、第1実施形態に係る通信処理の具体例を示す図であり、処理を実行する上で遅延等が発生していない場合の一例を示す図である。
図中、横軸方向は、時間を示しており、時間軸に並ぶ無線フレームが複数表されている。
図中、縦軸方向は、上から順に、アプリケーションAP(APL)、拡張層EL(EL)、レイヤ7(L7)、MAC層(MAC)、及びレイヤ1(PHY)を示しており、それぞれ、上位層からの受信(rx)、下位層への送信(tx)を示している。
また、図中、数字を囲んでいる多数の正方形は、それぞれアプリケーションデータを示している。また、互いに左右方向にすき間なく表されている複数の正方形は、一連のアプリケーションデータ群であることを示している。
さらに、白抜きの正方形は、路車間通信データのアプリケーションデータ、ハッチングが付されている正方形は、路路間通信データのアプリケーションデータを示している。
さらに、対象の路側通信機2は、路車用期間については、無線フレーム毎、つまり、100ms周期で使用が許可されている。一方、路路用期間については、無線フレームB及び無線フレームDと、200ms周期で使用が許可されており、無線フレームA及び無線フレームCにおける路路用期間については、他の路側通信機2に割り当てられている。
ELは、受信したアプリケーションデータ群に対してセキュリティ処理等を行い、L7に向けて送信する。ELから送信されたアプリケーションデータ群を受信したL7は、送信期間毎シーケンス番号情報を各アプリケーションデータに設定してMACに送信する。
送信期間毎シーケンス番号情報が設定されたアプリケーションデータ群を受信したMACは、例えば、隣接する無線フレーム同士の境界で、一連のアプリケーションデータ群が揃っているか否かを判定し(図14中、ステップS107)、カテゴリ毎(路車間通信データ及び路路間通信データ毎)に送信制御を行う。そして、これらアプリケーションデータ群は、無線フレームBにおける路車用期間及び路路用期間で送信される。
ここで、例えば、ELにおけるセキュリティ処理等、何らかの理由によって遅延が生じた場合について検証する。
つまり、非特許文献1に準拠した送信制御では、MAC層は、図16に示すように、所定タイミングと判定されるまで(ステップS105)、データカテゴリごとに古いMSDUを破棄して新しく与えられたMSDUに更新する(ステップS101〜S103)。
ステップS106にて、MSDUを保持していると判定する場合、MAC層は、送信期間毎シーケンス番号情報に含まれる総数に示された個数の一連の複数のMSDU群が揃っているか否かを判定する(ステップS107)。
ステップS107において、一連の複数のMSDU群が揃っていると判定された場合、MAC層は、その揃っているMSDU群を、次に到来する無線フレームにて送信させる(ステップS109)。一方、一連の複数のMSDU群が揃っていないと判定された場合、MAC層は、その揃っていないMSDUを保持した状態で、ステップS101に戻る。
このため、MACにおいては、無線フレームAが終わるまでに一連のアプリケーションデータ群の全てのアプリケーションデータが揃わなかったために、次の無線フレームBでは送信されず、そのまま保持され、次の無線フレームCで送信される。
このため、上記図16のフローチャートに従うと、これら路車間通信データのアプリケーションデータ、及び路路間通信データのアプリケーションデータは、無線フレームBの次の無線フレームCで送信されることとなる。
また、路路間通信データのアプリケーションデータは、自機2に割り当てられている無線フレームBの路路用期間で送信させようとしたにも関わらず、他の路側通信機2に割り当てられている路路用期間で送信されてしまい、他の路側通信機2との間で干渉の可能性を生じさせてしまう。
図18中、無線フレームAのAPLのtxに位置する、「1」と表されているアプリケーションデータ群(路車間通信データを2つ、路路間通信データを1つ含んでいる)に着目すると、APLは、これらアプリケーションデータ群を、次の無線フレームBで送信させるべくELに送信する。これらアプリケーションデータ群は、ELにおいてセキュリティ処理において遅延が発生したことにより、MAC層への到達が遅れている。
よって、MAC層は、カテゴリ情報が示すデータカテゴリに基づいてアプリケーションデータが送信可能な路車間通信期間と判断した当該路車間通信期間について、その使用可否を送信インターバルRTC(m).Int、及び送信オフセットRTC(m).Offsetに基づいてさらに判断することができる。
しかし、本実施形態では、データカテゴリに基づいてアプリケーションデータに対して送信可能と判断された路路用期間についてさらに、判断情報としての送信インターバルRTC(m).Int、及び送信オフセットRTC(m).Offsetに基づいて、当該路路用期間の使用の可否を判断するので(図14中、ステップS108)、仮に、アプリケーションデータがアプリケーション等の上位層からMACに与えられるまでの間に遅延が生じたとしても、他の路側通信機2の路路用期間では送信されないように送信を制限することができ、干渉の可能性を生じさせてしまうのを防止することができる。
上記第1実施形態において、MAC層が行うカテゴリ毎にMSDU群が揃っているか否かの判断は、先頭側に位置するカテゴリのMSDU群が全て揃った後、次のカテゴリのMSDUが与えられることで、初めて先頭側に位置するMSDU群が全て揃ったことを認識することができる。
しかし、先頭側に位置するカテゴリのMSDU群が全て揃った段階で判断することができれば、より速やかに後の処理を実行することができる点で有利である。
図19(b)に示すように、本実施形態のSequenceNumber(シーケンスナンバ)は、各アプリケーションデータのデータカテゴリ毎に設定されている、カテゴリ毎のSequenceNumber(カテゴリ毎シーケンス番号情報)とされている。
拡張層ELは、生成したカテゴリ毎のSequenceNumber(カテゴリ毎シーケンス番号情報)を、対応するアプリケーションデータとともにMAC層等の下位層に与える。
また、カテゴリ毎のSequenceNumber(カテゴリ毎シーケンス番号情報)の「シーケンス(順番;Sequence:カテゴリ毎シーケンス番号)」は、データカテゴリが「0」のMSDU51〜53については、3個のデータそれぞれに対して順番に1〜3の値が設定され、データカテゴリが「1」のMSDU54,55については、2個のデータそれぞれに対して順番に1と2の値が設定される。
まず、MSDU51が与えられると、MAC層は、MSDU群の総数が「3」であること、及び、その内の1番目であるMSDU51のデータカテゴリが「0」であることを認識する。
その後、順次MAC層にMSDUが与えられ、MSDU53が与えられると、MAC層は、このMSDU53が、データカテゴリが「0」でかつ、総数が「3」であるMSDU群の3番目の最後のデータであることを認識する。
これによって、MAC層は、少なくともデータカテゴリが「0」であるMSDU群(MSDU51〜53)については、全て揃っていると判定することができる。
本実施形態のフローチャートと、図14で示した第1実施形態でのフローチャートとが異なる点は、本実施形態のステップS107では、MAC層がカテゴリ毎に判定する点、及び第1実施形態のフローチャートに存在していたステップS110、S111が本実施形態のフローチャートにはない点である。
他の点については、第1実施形態の図14で示したフローチャートと同様である。
図21は、第2実施形態に係る通信処理において遅延が生じた場合の一例を示す図である。
図21中、無線フレームAのAPLのtxに位置する、「1」と表されているアプリケーションデータ群(路車間通信データを2つ、路路間通信データを1つ含んでいる)に着目すると、APLは、これらアプリケーションデータ群を、次の無線フレームBで送信させるべくELに送信する。これらアプリケーションデータ群は、ELにおいてセキュリティ処理において遅延が発生したことにより、MAC層への到達が遅れている。
図22は、第3実施形態に係るMAC層が行う送信制御の手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のMAC層は、MSDUのデータカテゴリ毎に異なる制御を行う点で、第2実施形態と相違している。
ステップS201において、与えられたMSDUに設定されているデータカテゴリが「0」であると判定すると、MAC層は、ステップS202に進み、そのMSDUについては路車用制御を実行する(ステップS202)。
一方、ステップS201において、与えられたMSDUに設定されているデータカテゴリが「0」でないと判定すると、MAC層は、ステップS203に進み、そのMSDUについては路路用制御を実行する(ステップS203)。
一方、ステップS203における路路用制御については、第2実施形態の図20にて示した送信制御とは異なる制御を行う。
路路用の送信制御において、MAC層は、保持しているMSDUが存在する場合、保持するMSDUそれぞれの保持時間を確認し、予め定めた所定時間以上経過しているMSDUについては破棄する(ステップS301)。
次いで、MAC層は、100ms周期で到来する所定タイミングであるか否かを判定する(ステップS302)。なお、所定タイミングとは、上述したように、一連のMSDU群が揃っているか否かを判断すべきタイミングである。
所定タイミングではないと判定すると、MAC層は、ステップS301に戻り、上記処理を反復する。
ステップS303にて、MSDUを保持していると判定する場合、MAC層は、カテゴリ毎シーケンス番号情報に含まれる対応するデータカテゴリ(ここではデータカテゴリ=1)に係る総数に示された個数のMSDU群が揃っているか否かを判定する(ステップS304)。
なお、ステップS304における、対応するデータカテゴリのMSDU群が揃っているか否かの判定の方法は、第2実施形態における図19(b)での説明にて述べた通りである。
しかし、本実施形態のように、送信されなかったMSDUは、保持することなく全て破棄すれば、遅延送信を防止でき、他の路側通信機2に割り当てられている送信期間で送信されるのを防止できる。
この場合、データカテゴリの内容に応じて、破棄の判定の仕方を異なるように設定することができる。
つまり、本実施形態では、データカテゴリ(路車間通信データ及び路路間通信データ)の違いによって、送信制御変数RTC(m)に含まれる送信インターバルRTC(m).Int、及び送信オフセットRTC(m).Offsetの設定が異なるため、無線フレームにおける送信可能な送信期間に相違がある。
よって、その相違内容に応じて、好適に破棄の判定の仕方を設定することができる。
図24は、第3実施形態に係る通信処理において遅延が生じた場合の一例を示す図である。
図24中、無線フレームAのAPLのtxに位置する、「1」と表されているアプリケーションデータ群(路車間通信データを2つ、路路間通信データを1つ含んでいる)に着目すると、APLは、これらアプリケーションデータ群を、次の無線フレームBで送信させるべくELに送信する。これらアプリケーションデータ群は、ELにおいてセキュリティ処理において遅延が発生したことにより、MAC層への到達が遅れている。
これにより、上述したように、他の路側通信機2に割り当てられている路路用期間で送信されるのを防止できる。
図25は、第3実施形態の変形例に係るMAC層が行う路路用の送信制御の手順の一例を示すフローチャートである。
本変形例の路路用の送信制御のフローチャートと、図23で示した路路用の送信制御のフローチャートとが異なる点は、図23のフローチャートに存在していたステップS307が、本実施形態のフローチャートにはない点である。
このように、本実施形態では、送信されなかった路路間通信データに係るMSDUは、保持時間が所定時間を経過しなければ破棄されることがない。
一方、路路間通信データに係るアプリケーションデータは、路車間通信データに係るアプリケーションデータほど送信頻度が高くないという性質を有している上に、路路間通信データに係るアプリケーションデータよりもそのデータ量が少ない場合が多い。
図26中、無線フレームAのAPLのtxに位置する、「1」と表されているアプリケーションデータ群(路車間通信データを2つ、路路間通信データを1つ含んでいる)に着目すると、APLは、これらアプリケーションデータ群を、次の無線フレームBで送信させるべくELに送信する。これらアプリケーションデータ群は、ELにおいてセキュリティ処理において遅延が発生したことにより、MAC層への到達が遅れている。
また、MACは、無線フレームCにおいて、路路間通信データのアプリケーションデータ(「2」と表されている1つのデータ)が新たに与えられるが、新たに与えられた路路間通信データに係るアプリケーションデータ(「2」と表されている1つのデータ)とともに、それまで保持していた路路間通信データに係るアプリケーションデータ(「1」と表されている1つのデータ)も保持し続ける。
このとき、MACは、保持時間が長く古いデータである、無線フレームBにおいて与えられたアプリケーションデータ(「1」と表されている1つのデータ)を先に送信し、その後、他方のアプリケーションデータを送信する。
図27は、変形例に係る各層において授受される各種情報の具体例を示す図であり、(a)は、無線フレームに配列された路車間通信期間に配置されるデータを模式的に示した図、(b)は、3つのアプリケーションデータ(5つのMSDU)に関して生成されるデータ関連情報、分割番号、SequenceNumber(カテゴリ毎シーケンス番号情報)、及びControlInformation(制御情報)を示す図、(c)は、(a)の送信を実行する路側通信機2の記憶部24が記憶するMIB24aの一例を示す図である。
図27(b)に示すように、本変形例ではカテゴリ毎のSequenceNumber(カテゴリ毎シーケンス番号情報)と、送信期間毎のSequenceNumber(送信期間毎シーケンス番号情報)の両方が設定されている。
これに対し、上記第2実施形態では、設定内容を異なる内容に置換することで、上記判定をより速やかに行えるように構成されている。
本実施形態のフローチャートと、図20で示した第2実施形態でのフローチャートとが異なる点は、本実施形態ではMSDUが送信されるとその旨を示す送信完了通知をアプリケーション等の上位層に送信するステップS112が設けられている点である。
MSDU群を送信すると、MAC層は、その送信した最後のMSDUのカテゴリ毎のSequenceNumber(カテゴリ毎シーケンス番号情報)を、送信したアプリケーションデータを特定するための情報として送信完了通知に含めて、上位層に送信する(ステップS112)。
例えば、上記各実施形態では、アプリケーションデータの送信カテゴリ(データカテゴリ)として、路車間通信データのアプリケーションデータと、路路間通信データのアプリケーションデータの2つのカテゴリを含む場合について例示したが、より多数のカテゴリを含んでいてもよい。
本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 路側通信機
3 車載通信機
4 中央装置
5 車両
6 路側センサ
7 有線通信回線
8 ルータ
20 アンテナ
21 無線通信部
22 有線通信部
23 制御部
24 記憶部
24a MIB
25 通信処理装置
SL1 路車間通信期間
SL2 車車間通信期間
A1〜A5 交差点
B1〜B5 交差点
C1〜C5 交差点
D1〜D5 交差点
Claims (12)
- データカテゴリが異なる複数のアプリケーションデータを送信可能であるとともに、車両に搭載された移動局及び他の基地局と通信可能な路側に設置される基地局であって、
前記アプリケーションデータと、前記アプリケーションデータに対応するデータカテゴリを示すカテゴリ情報と、を出力する第1処理部と、
前記基地局に割り当てられた周期的な送信期間を示す送信期間情報が記憶された記憶部と、
前記第1処理部から出力された前記アプリケーションデータが、送信すべき数だけ揃うと、前記アプリケーションデータを前記送信期間情報が示す送信期間において送信させる送信処理部と、を備え、
前記データカテゴリは、前記アプリケーションデータが前記移動局向けの路車間通信データであることを示すカテゴリを含み、
前記送信処理部は、前記データカテゴリ毎の送信すべき数だけ前記アプリケーションデータが揃っているか否かを判定し、一のデータカテゴリにおいて前記アプリケーションデータか揃っていると判定されると、揃っている前記アプリケーションデータを前記送信期間情報が示す送信期間において送信させる
基地局。 - 前記送信処理部は、前記第1処理部が出力する前記アプリケーションデータと、前記カテゴリ情報とを受け付ける第2処理部から与えられる情報であって、前記データカテゴリ毎の前記アプリケーションデータにおける前記送信すべき数を示す情報に基づいて、前記送信期間で送信すべき前記アプリケーションデータが揃っているか否かを判定する
請求項1に記載の基地局。 - 前記路車間通信データであることを示すカテゴリのアプリケーションデータを送信するための送信期間と、前記路車間通信データであることを示すカテゴリ以外のカテゴリのアプリケーションデータを送信するための送信期間とは、同一周期に割り当てられている
請求項1又は請求項2に記載の基地局。 - 前記送信期間情報は、前記送信期間において送信可能なデータカテゴリを示す送信可能カテゴリ情報を含み、
前記送信処理部は、前記記憶部に記憶された送信可能カテゴリ情報を参照し、前記第1処理部から出力された前記カテゴリ情報に基づいて、前記送信期間が前記アプリケーションデータを送信可能な送信期間であるか否かを判断する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基地局。 - 前記送信期間情報は、前記送信期間の周期毎の使用可否を判断するための情報を示す判断情報を更に含み、
前記送信処理部は、前記カテゴリ情報に基づいて前記アプリケーションデータを送信可能な送信期間と判断した当該送信期間の使用可否を、前記判断情報に基づいてさらに判断する
請求項4に記載の基地局。 - 前記送信処理部は、与えられた前記アプリケーションデータを破棄するか否かを、前記データカテゴリ毎に判定する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の基地局。
- 前記送信処理部は、前記送信期間で送信すべき前記アプリケーションデータが新たに与えられると、過去に与えられた前記アプリケーションデータを破棄する請求項6に記載の基地局。
- 前記送信処理部は、前記送信期間で送信すべき前記アプリケーションデータが与えられてから所定期間が経過すると、当該アプリケーションデータを破棄する請求項6に記載の基地局。
- 前記送信処理部は、前記アプリケーションデータを送信すると、送信したアプリケーションデータを特定するための情報を前記第1処理部に与える請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の基地局。
- データカテゴリが異なる複数のアプリケーションデータを、車両に搭載された移動局及び他の基地局と通信可能な路側に設置される基地局に送信させる方法であって、
前記アプリケーションデータと、前記アプリケーションデータに対応するデータカテゴリを示すカテゴリ情報と、を出力する第1ステップと、
前記第1ステップにて出力された前記アプリケーションデータが、送信すべき数だけ揃うと、前記アプリケーションデータを前記基地局に割り当てられた周期的な送信期間を示す送信期間情報が示す送信期間において送信させる第2ステップと、を含み、
前記データカテゴリは、前記アプリケーションデータが前記移動局向けの路車間通信データであることを示すカテゴリを含み、
前記第2ステップは、前記データカテゴリ毎の送信すべき数だけ前記アプリケーションデータが揃っているか否かを判定し、一のデータカテゴリにおいて前記アプリケーションデータか揃っていると判定されると、揃っている前記アプリケーションデータを前記送信期間情報が示す送信期間において送信させる
方法。 - 請求項1に記載の基地局が備える、データカテゴリが異なる複数のアプリケーションデータを送信させるための処理を行う通信処理装置であって、
前記アプリケーションデータと、前記アプリケーションデータに対応するデータカテゴリを示すカテゴリ情報と、を出力する第1処理部と、
前記基地局に割り当てられた周期的な送信期間を示す送信期間情報が記憶された記憶部と、
前記第1処理部から出力された前記アプリケーションデータが、送信すべき数だけ揃うと、前記アプリケーションデータを前記送信期間情報が示す送信期間において送信させる送信処理部と、を備え、
前記データカテゴリは、前記アプリケーションデータが前記移動局向けの路車間通信データであることを示すカテゴリを含み、
前記送信処理部は、前記データカテゴリ毎の送信すべき数だけ前記アプリケーションデータが揃っているか否かを判定し、一のデータカテゴリにおいて前記アプリケーションデータか揃っていると判定されると、揃っている前記アプリケーションデータを前記送信期間情報が示す送信期間において送信させる
通信処理装置。 - コンピュータを、請求項11に記載の通信処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
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