JP6423232B2 - 伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 Download PDF

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Description

この出願はフィルター用やスクリーン印刷メッシュ用等の極細線素材に関し、特に伸線工程において断線を生じることが少ない、伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼に関する。
ステンレス鋼線は線径を20μm程度まで伸線して使用されることがある。しかし、この20μm程度に伸線されたステンレス鋼線は鋼中の介在物の大きさに起因して断線することがある。そこで、このステンレス鋼線は、繰り返し脱酸やEBR(電子ビーム溶解)による特殊溶解により、鋼中の介在物の量や径を減少させることで、伸線性を向上させることが可能であるが、一方、コストが増加する。
上記のEBRの溶解による技術の他の技術として、伸線時に巨大介在物が鋼中に存在していても、伸線中に巨大介在物が伸びるようにするために、この巨大介在物を可塑性介在物に組成制御して軟質化および微細化することで、伸線性に優れたステンレス鋼が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この提案のステンレス鋼はその化学成分であるAlやSiの成分範囲が広いため、介在物組成は不均一となってCaOの多い硬質介在物が生成されるので、このステンレス鋼からなる線材が断線する要因となる。
特開平06−346194号公報
本発明が解決しようとする課題は、鋼中の介在物を生成する元素の成分範囲を限定することで、均一な軟質介在物を持つ伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を提案することである。
上記の課題を解決するための手段は、請求項1の手段では、質量%で、C:0.1%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜15.0%、Cr:16.0〜20.0%、Al:0.0008〜0.0014%、Ca:0.0024〜0.0075%、O:0.005〜0.015%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、上記のCa、Al、Siは軟質酸化物生成元素として、ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2、ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4、ln([Si]×10C):0.0〜0.9の関係を有し、さらに、鋼中に生成する短径が3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%、MnO:15%以下、Cr23:5%以下、MgO:5%以下から成り、かつ該酸化物系介在物の組成は合計で100%であることを特徴とする伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼である。
ただし、上記の自然対数のA、B、Cは、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。
なお、上記の[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
請求項2の手段では、質量%で、C:0.1%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜15.0%、Cr:16.0〜20.0%、Al:0.0008〜0.0014%、Ca:0.0024〜0.0075%、O:0.005〜0.015%を含有し、さらに、Mo:3.0%以下、Cu:4.0%以下、Ti:1.0%以下、Nb:1.0%以下、V:1.0%以下、W:1.0%以下、Ta:1.0%以下、Zr:1.0%以下の中の1種又は2種以上を選択的に含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、上記のCa、Al、Siは軟質酸化物生成元素として、ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2、ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4、ln([Si]×10C):0.0〜0.9の関係を有し、さらに、鋼中に生成する短径が3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%、MnO:15%以下、Cr23:5%以下、MgO:5%以下から成り、かつ該酸化物系介在物の組成は合計で100%であることを特徴とする伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼である。
ただし、上記の自然対数のA、B、Cは、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。
なお、上記の[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
請求項3の手段では、質量%で、C:0.1%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜15.0%、Cr:16.0〜20.0%、Al:0.0008〜0.0014%、Ca:0.0024〜0.0075%、O:0.005〜0.015%を含有し、さらに、N:0.3%以下、B:0.01%以下の中のいずれか1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、上記のCa、Al、Siは軟質酸化物生成元素として、ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2、ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4、ln([Si]×10C):0.0〜0.9の関係を有し、さらに、鋼中に生成する短径が3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%、MnO:15%以下、Cr23:5%以下、MgO:5%以下から成り、かつ該酸化物系介在物の組成は合計で100%であることを特徴とする伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼である。
ただし、上記の自然対数のA、B、Cは、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。
なお、上記の[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
請求項4の手段では、質量%で、C:0.1%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜15.0%、Cr:16.0〜20.0%、Al:0.0008〜0.0014%、Ca:0.0024〜0.0075%、O:0.005〜0.015%を含有し、さらに、Mo:3.0%以下、Cu:4.0%以下、Ti:1.0%以下、Nb:1.0%以下、V:1.0%以下、W:1.0%以下、Ta:1.0%以下、Zr:1.0%以下の中の1種又は2種以上を選択的に含有し、さらに、N:0.3%以下、B:0.01%以下のいずれか1種または2種を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、上記のCa、Al、Siは軟質酸化物生成元素として、ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2、ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4、ln([Si]×10C):0.0〜0.9の関係を有し、さらに、鋼中に生成する短径が3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%、MnO:15%以下、Cr23:5%以下、MgO:5%以下から成り、かつ該酸化物系介在物の組成は合計で100%であることを特徴とする伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼である。
ただし、上記の自然対数のA、B、Cは、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。
なお、上記の[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
本発明は、鋼中の酸化物系介在物が均一な軟質介在物となって鋼中に含有されるので、3μmを超える酸化物系介在物が存在する場合においても、伸線とともに酸化物系介在物が伸線方向に引き伸ばされることで断線することが少なく容易に極細線へ伸線できる。その結果、本発明によって、オーステナイト系ステンレス鋼の極細線からなる各種のフィルター用の素材やスクリーン印刷用のメッシュ素材などとしての優れた極細線を得ることができる。
先ず、本願の各請求項に係るオーステナイト系ステンレス鋼の構成要素である化学成分の範囲の限定理由、ln([Ca]×10A)、ln([Al]×10B)、ln([Si]×10C)の範囲の限定理由、CaO、Al23、SiO2、MnO、Cr23、およびMgOの酸化物系介在物の組成の範囲の限定理由について以下に説明する。
C:0.1%以下
Cは、鋼中のFe、Cr、V、Nbなどと炭窒化物を形成し高温での強度を高める。しかし、Cは0.1%より多いとCrと結合することにより耐酸化性に有効なCr量を減少して耐食性を悪化する。そこで、Cは0.1%以下とする。
Si:0.5〜1.0%
Siは、脱酸剤であり、軟質酸化物の生成に必要な元素で、このためには0.5%以上とする必要がある。しかし、Siは1.0%より過度に含有されると靱性を低下する。そこで、Siは0.5〜1.0%とする。
Mn:0.2〜2.0%
Mnは、溶製時の脱酸剤としての働きをする元素で、このためには0.2%以上が必要である。しかし、Mnは0.2%より多く添加されると耐食性を悪化する。そこで、Mnは0.2〜2.0%とする。
P:0.045%以下
Pは、不純物として含有される元素であるであるが、Pは0.045%より多いと、鋼の硬さを高めて熱間加工性を阻害する。そこで、Pは0.045%以下とする。
S:0.030%以下
Sは、不純物として含有される元素であるであるが、0.030%より多いと耐食性が低下する。そこで、Sは0.030%以下とする。
Ni:8.0〜15.0%
Niは、オーステナイト安定化元素である。しかし、Niは8.0%未満ではオーステナイトは安定化しない。一方、Niは高価な元素であるので15.0%より多く含有するとコストが上昇する。そこで、Niは8.0〜15.0%とする。
Cr:16.0〜20.0%
Crは、耐食性を確保するために必要な元素である。しかし、Crは16.0%未満では十分な耐食性が得られない。一方、Crは高価な元素であるので20.0%より多く含有するとコストが上昇する。そこで、Crは16.0〜20.0%とする。
Al:0.0008〜0.0014%
Alは、脱酸剤であり、軟質酸化物の生成に必要な元素で、このためには0.0008%以上とする必要がある。しかし、Alは0.0014%より多く含有されると、Al23濃度が25%を超える高融点介在物である硬質酸化物が形成され、伸線時に断線する原因となる。そこで、Alは0.0008〜0.0014%とする。
Ca:0.0024〜0.0075%
Caは、脱酸剤であり、軟質酸化物の生成に必要な元素で、このためには0.0024%以上とする必要がある。しかし、Caは0.0075%より多く含有されると、CaO濃度が45%を超える高融点介在物である硬質酸化物が形成され、伸線時に断線する原因となる。そこで、Caは0.0024〜0.0075%とする。
O:0.005〜0.015%
Oは、低融点介在物の生成に必要な元素で、このために0.005%以上とする必要がある。しかし、Oが0.015%より多く含有されると、MnやCrを主体とする高融点介在物である硬質酸化物が形成され、靱性が悪化する。そこで、Oは0.005〜0.015%とする。
Mo:3.0%以下
Moは、耐食性を改善する元素として選択的に用いられるが、高価な元素であるのでコストの上昇を抑制する必要がある。そこで、Moは3.0%以下とする。
Cu:4.0%以下
Cuは、耐食性を改善する元素として選択的に用いられるが、4.0%を超えて使用すると熱間加工性を悪化する。そこで、Cuは4.0%以下とする。
Ti:1.0%以下
Tiは、鋼中での炭化物形成元素で、耐食性を改善する元素として選択的に用いられる。しかし、Tiは1%を超えて含有されると熱間加工性を悪化する。そこで、Tiは1.0%以下とする。
Nb:1.0%以下
Nbは、鋼中での炭化物形成元素で、耐食性を改善する元素として選択的に用いられる。しかし、Nbは1%を超えて含有されると熱間加工性を悪化する。そこで、Nbは1.0%以下とする。
V:1.0%以下
Vは、鋼中での炭化物形成元素で、耐食性を改善する元素として選択的に用いられる。しかし、Vは1%を超えて含有されると熱間加工性を悪化する。そこで、Vは1.0%以下とする。
W:1.0%以下
Wは、鋼中での炭化物形成元素で、耐食性を改善する元素として選択的に用いられる。しかし、Wは1%を超えて含有されると熱間加工性を悪化する。そこで、Wは1.0%以下とする。
Ta:1.0%以下
Taは、鋼中での炭化物形成元素で、耐食性を改善する元素として選択的に用いられる。しかし、Taは1%を超えて含有されると熱間加工性を悪化する。そこで、Taは1.0%以下とする。
Zr:1.0%以下
Zrは、鋼中での炭化物形成元素で、耐食性を改善する元素として選択的に用いられる。しかし、Zrは1%を超えて含有されると熱間加工性を悪化する。そこで、Zrは1.0%以下とする。
N:0.3%以下
Nは、鋼の耐食性を改善し強度を向上させる元素である。しかし、Nは0.3%を超えて含有されると熱間加工性を悪化する。そこで、Nは0.3%以下とする。
B:0.01%以下
Bは、鋼の強度を向上する元素である。しかし、Bは0.01%を超えて含有されると熱間加工性を悪化する。そこで、Bは0.01%以下とする。
ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2
ln([Ca]×10A)は、軟質酸化物を生成するためには−7.5以上である必要がある。しかし、ln([Ca]×10A)が−6.2より大きくなると硬質酸化物が生成され、伸線性が悪化する。そこで、ln([Ca]×10A)は−7.5〜−6.2とする。
ただし、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]である。なお、[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4
ln([Al]×10B)は、軟質酸化物を生成するためには−7.1以上である必要がある。しかし、ln([Al]×10B)が−6.4より大きくなると硬質酸化物が生成され、伸線性が悪化する。そこで、ln([Al]×10B)は−7.1〜−6.4とする。
ただし、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]である。なお、[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
ln([Si]×10C):0.0〜0.9
ln([Si]×10C)は、軟質酸化物を生成するためには0.0以上である必要がある。しかし、ln([Si]×10C)が0.9より大きくなると硬質酸化物が生成され、伸線性が悪化する。そこで、ln([Si]×10C)は0.0〜0.9とする。
ただし、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。なお、[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
CaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%
本発明の鋼が伸線工程において断線が少なく伸線されるためには、鋼中の3μmを超える大きさの酸化物系介在物がCaO−Al23−SiO2を主体とする低融点の軟質介在物であることを必要とする。そして、CaO−Al23−SiO2を主体とする介在物が融点の低い軟質介在物であるためには、介在物の組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%の範囲内である必要があり、これを逸脱すると介在物の融点は高くなり高質化する。そこで、CaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%とする。
MnO:15%以下
CaO−Al23−SiO2を主体とする介在物中にMnOは不純物として15%まで含有されてもよい。しかし、MnOが15%を超えると硬質酸化物の生成が多くなり、伸線性が悪化する。そこで、MnOは15%以下とする。
Cr23:5%以下
CaO−Al23−SiO2を主体とする介在物中にCr23は不純物として5%まで含有されていてもよい。しかし、Cr23が5%を超えると介在物が硬質となり、伸線性が悪化する。そこで、Cr23は5%以下とする。
MgO:5%以下
CaO−Al23−SiO2を主体とする介在物中にMgOは不純物として5%まで含有されてもよい。しかし、MgOが5%を超えると介在物は硬質となり、伸線性が悪化する。そこで、MgOは5%以下とする。
なお、上記のCaO−Al23−SiO2を主体とする酸化物系介在物の組成は短径3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成である。
次いで、発明の実施形態について記載する。すなわち、酸化物系介在物を生成する元素の成分範囲を限定することで、均一に軟質介在物を生成させ、伸線工程で断線を生じ難くし得るための、実施の形態について以下に記載する。
本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼として、表1に示す化学成分のC、Si、Mn、P、S、Ni、Cr、Oと残部Feおよび不可避不純物からなるNo.1〜6の請求項1に係る発明鋼と、表1の化学成分と選択成分であるMo、Cu、Ti、Nb、V、W、Ta、Zrのいずれか1種又は2種以上と残部Feおよび不可避不純物からなるNo.7〜15の請求項2に係る発明鋼と、表1の化学成分と選択成分であるN、Bの1種又は2種と残部Feおよび不純物からなるNo.16〜17の請求項3に係る発明鋼と、表1の化学成分と選択成分であるMoとさらに他の選択成分であるNの組み合わせからなるNo.18と、表1の化学成分と選択成分であるTiと他の選択成分であるBの組み合わせからなるNo.19と、表1の化学成分と選択成分であるTiと他の選択成分であるBとNの組合せと残部Feおよび不可避不純物からなるNo.20、および表1の化学成分と選択成分であるTi、Nbの2種とさらに他の選択成分であるN、Bの2種との組合せと残部Feおよび不可避不純物からなるNo.21の請求項4に係る発明鋼と、並びにNo.22〜27の比較鋼とからなるNo.1〜27の全ての鋼について、それぞれ100kg真空誘導溶解炉により溶解して鋼とし、該鋼からなる鋼材を、圧下による鍛造比を約30として径15mmの棒鋼に鍛伸した。
Figure 0006423232
次いで、この棒鋼について、介在物組成について分析を行ない(SEM/EDS)、鍛伸方向に平行な面を観察面として、光学顕微鏡にて100mm2の範囲を観察し、短径3μmを超える酸化物系介在物についてアスペクト比を測定し、アスペクト比が5以上の酸化物系径介在物を○とし、5未満の酸化物系介在物を×として、これらの酸化物系介在物の可塑性を評価して、表2に示した。
Figure 0006423232
表1の発明鋼のNo.1〜21は、それらの全ての化学成分値が本願の請求項に係る発明の化学成分値の範囲内のものであり、さらにln([Ca]×10A)、ln([Al]×10B)、およびln([Si]×10C)の値が本願の請求項に係る発明の範囲内の値である。したがって、表2のNo.1〜21の全ての発明鋼の酸化物系介在物からなる矩形3μmを超える全介在物のアスペクト比は5以上で、可塑性の評価が○である。
表1の比較鋼のNo.22は、Siの含有量が0.41%で本発明のSiの下限値の0.50%より少なく、ln([Si]×10C)の値が−0.2で本発明の範囲の下限値の0.0より小さい。したがって、表2の比較鋼22の酸化物系介在物からなる矩形3μmを超える全介在物のアスペクト比は5未満で可塑性の評価が×である。
表1の比較鋼のNo.23は、Alの含有量が0.0002%で本発明のAlの下限値の0.0008%より少なく、ln([Al]×10B)の値が−8.4で本発明の範囲の下限値の−7.5より小さい。したがって、表2の比較鋼23の酸化物系介在物からなる矩形3μmを超える全介在物のアスペクト比は5未満で可塑性の評価が×である。
表1のNo.24は、Caの含有量が0.0093%で本発明のCaの上限値の0.0075%より多く、ln([Ca]×10A)の値が−5.7で本発明の範囲の上限値の−6.2より大きい。したがって、表2の比較鋼24の2種の酸化物系介在物からなる矩形3μmを超える全介在物のアスペクト比は5未満で可塑性の評価が×である。
表1の比較鋼のNo.25は、Alの含有量が0.0021%で本発明のAlの上限値の0.0014%より多く、ln([Al]×10B)の値が−6.1で本発明の範囲の上限値の−6.4より大きい。したがって、表2比較鋼25の2種の酸化物系介在物からなる矩形3μmを超える全介在物のアスペクト比は5未満で可塑性の評価が×である。
表1のる比較鋼のNo.26は、Caの含有量が0.0019%で本発明のCaの下限値の0.0024%より多く、ln([Ca]×10A)の値が−7.7で本発明の範囲の下限値の−7.5より小さい。したがって、表2の比較鋼26の3種の酸化物系介在物からなる矩形3μmを超える全介在物のアスペクト比は5未満で可塑性の評価が×である。
表1の比較鋼のNo.27は、Oの含有量が0.019%で本発明のOの上限値の0.015%より多い。したがって、表2の比較鋼27の3種の酸化物系介在物からなる矩形3μmを超える全介在物のアスペクト比は5未満で可塑性の評価が×である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.1%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜15.0%、Cr:16.0〜20.0%、Al:0.0008〜0.0014%、Ca:0.0024〜0.0075%、O:0.005〜0.015%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、上記のCa、Al、Siは軟質酸化物生成元素として、ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2、ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4、ln([Si]×10C):0.0〜0.9の関係を有し、さらに、鋼中に生成する短径が3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%、MnO:15%以下、Cr23:5%以下、MgO:5%以下から成り、かつ該酸化物系介在物の組成は合計で100%であることを特徴とする伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
    ただし、上記の自然対数の指数であるA、B、Cは、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。
    なお、上記の[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
  2. 質量%で、C:0.1%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜15.0%、Cr:16.0〜20.0%、Al:0.0008〜0.0014%、Ca:0.0024〜0.0075%、O:0.005〜0.015%を含有し、さらに、Mo:3.0%以下、Cu:4.0%以下、Ti:1.0%以下、Nb:1.0%以下、V:1.0%以下、W:1.0%以下、Ta:1.0%以下、Zr:1.0%以下の中の1種又は2種以上を選択的に含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、上記のCa、Al、Siは軟質酸化物生成元素として、ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2、ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4、ln([Si]×10C):0.0〜0.9の関係を有し、さらに、鋼中に生成する短径が3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%、MnO:15%以下、Cr23:5%以下、MgO:5%以下から成り、かつ該酸化物系介在物の組成は合計で100%であることを特徴とする伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
    ただし、上記の自然対数の指数であるA、B、Cは、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。
    なお、上記の[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
  3. 質量%で、C:0.1%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜15.0%、Cr:16.0〜20.0%、Al:0.0008〜0.0014%、Ca:0.0024〜0.0075%、O:0.005〜0.015%を含有し、さらに、N:0.3%以下、B:0.01%以下の中のいずれか1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、上記のCa、Al、Siは軟質酸化物生成元素として、ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2、ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4、ln([Si]×10C):0.0〜0.9の関係を有し、さらに、鋼中に生成する短径が3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%、MnO:15%以下、Cr23:5%以下、MgO:5%以下から成り、かつ該酸化物系介在物の組成は合計で100%であることを特徴とする伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
    ただし、上記の自然対数の指数であるA、B、Cは、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。
    なお、上記の[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
  4. 質量%で、C:0.1%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜15.0%、Cr:16.0〜20.0%、Al:0.0008〜0.0014%、Ca:0.0024〜0.0075%、O:0.005〜0.015%を含有し、さらに、Mo:3.0%以下、Cu:4.0%以下、Ti:1.0%以下、Nb:1.0%以下、V:1.0%以下、W:1.0%以下、Ta:1.0%以下、Zr:1.0%以下の中の1種又は2種以上を選択的に含有し、なお、さらに、N:0.3%以下、B:0.01%以下のいずれか1種または2種を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、上記のCa、Al、Siは軟質酸化物生成元素として、ln([Ca]×10A):−7.5〜−6.2、ln([Al]×10B):−7.1〜−6.4、ln([Si]×10C):0.0〜0.9の関係を有し、さらに、鋼中に生成する短径が3μmを超える大きさの酸化物系介在物の平均組成がCaO:20〜45%、Al23:10〜25%、SiO2:30〜65%、MnO:15%以下、Cr23:5%以下、MgO:5%以下から成り、かつ該酸化物系介在物の組成は合計で100%であることを特徴とする伸線性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
    ただし、上記の自然対数の指数であるA、B、Cは、A=−0.34[C]−0.09[Si]−0.044[Ni]−0.072[Al]、B=0.091[C]+0.056[Si]+0.045[Al]、C=0.39[C]+0.14[Si]+0.002[Mn]+0.005[Ni]+0.008[Cr]+0.058[Al]である。
    なお、上記の[元素]は鋼中に含まれる元素の質量%を示す。
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