JP6422833B2 - 消臭紙 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス質消臭剤を担持させた消臭紙に関するものである。
紙に特定の機能を付与する技術として、例えば、ダニの駆除に有効なBを溶出する溶解性ガラスを微粉末としてバインダーと混合し、紙の表面にスプレーして、防虫機能を備えた紙を得る方法(特許文献1)や、消臭や抗菌等の機能を有する銀イオンを溶出する溶解性ガラスを微粉末としてバインダーおよび水と混合攪拌してスラリーとし、そこに紙シートを浸漬し、含浸、乾燥の各工程を経て消臭や抗菌等の機能を備えた紙を得る方法(特許文献2)が開示されている。
しかし、特許文献1、2の技術は、溶解性ガラスから溶出させた成分により特定の機能を奏するものであるため、溶出が進行するとともに、その特定の機能(例えば、特許文献1では抗かび効果、特許文献2では消臭効果や抗菌効果)が低下することが避けられず、長期間に亘っての使用が想定される製品への応用には適さないという問題があった。
また、特許文献2に関し、銀イオンは抗菌効果があるために菌が生成する悪臭を防ぐ効果があるが、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質に対する消臭効果はなく、これらの臭気が主となる介護分野等で用いる製品への応用には適さないという問題があった。
特開平5−246812号公報 特開平7−202227号公報
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、消臭効果の持続性に優れ、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質のみならず、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質をも消臭する機能を備えた消臭紙を提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本発明は、紙を構成する繊維間または紙の表面にガラス質消臭剤を担持させた消臭紙であって、このガラス質消臭剤は銅成分を含有し、Al の含有率を0〜5.5モル%としたアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有し、Al の含有率を0〜5.5モル%としたアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、銅成分をガラス中に保持させたまま、ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、紙と接触する空気中の悪臭成分を分解する機能を有することを特徴とするものである。ここで「紙」とは、植物繊維その他の繊維を絡み合わせ、こう着させて作った紙の他、合成高分子物質を使用して作った合成紙、合成繊維紙、合成パルプ紙、古紙パルプ紙、繊維状無機材料を配合した紙も含むものとする。
なお請求項2に記載の通り、紙を構成する繊維間に担持させたガラス質消臭剤の含有量を、0.1〜10質量%とすることが好ましい。また請求項3に記載の通り、紙の表面に担持させたガラス質消臭剤の含有量を、0.1〜5g/mとすることが好ましい。また請求項4に記載の通り、ガラス質消臭剤が、D96=40μm以下の粉体であることが好ましい。また請求項5に記載の通り、上記した消臭紙を積層して、もしくは、ガラス質消臭剤を含有しない紙と積層して、積層構造を持つ積層紙とすることもできる。
本発明の消臭紙は、銅成分を含有し、Al の含有率を0〜5.5モル%としたアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有し、Al の含有率を0〜5.5モル%としたアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなるガラス質消臭剤を紙に保持させ、銅成分をガラス中に保持させたまま、ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する。
溶解性ガラスを用いた消臭剤は各種開発されていたが、それらは何れも、溶解性ガラスから溶出させた特定成分に悪臭成分を化学的もしくは物理的に吸着させるものであり、従来、「触媒作用による消臭効果を示すガラス剤」は知られていなかった。本発明者らは、長年による研究の結果、「上記組成のガラス中に含有させた銅成分が触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏する」という新たな知見を見出した。
本発明では、このように、ガラス中に含まれる銅成分を触媒として硫黄系悪臭物質の分解反応を促進するメカニズムを有するものであるため、化学吸着、物理吸着を利用した従来技術に比べて、消臭容量を増大させることができ、消臭効果を長期間に亘って安定して発揮することができる。すなわち、従来の化学吸着、物理吸着は何れも吸着剤の表面露出量に依存し、露出量によって消臭限界が決定されるのであるが、本発明では触媒反応を利用するため、露出量が少量であっても大きい消臭総量を得ることができる。このため消臭量のみに着目すればガラス質消臭剤の添加量は少量添加でもよいが、消臭スピードを加えるためには前記したように、紙を構成する繊維間に担持させたガラス質消臭剤の含有量は0.1〜10質量%とし、また紙の表面に担持させたガラス質消臭剤の含有量は0.1〜5g/mとすることが好ましい。
本発明で用いたガラス質消臭剤は、特にメチルメルカプタンに対し、優れたな消臭効果を発揮することができる。すなわちこのガラス質消臭剤は、メチルメルカプタンを触媒的に酸化分解し、二量体のジメチルジスルフィドを生成する。このときラジカルが発生し、酸化分解される。同様に、他のガスに対しても同様の酸化分解が可能である。しかし、消臭可能な悪臭は硫黄系悪臭物質に限られるものではない。具体的には、低級脂肪酸や、体臭(汗、足臭)として知られる酢酸、イソ吉草酸を始め、悪臭防止法で定められるプロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸や、中鎖脂肪酸のカプロン酸、エナント酸や、加齢臭として知られるトランス−2−ノネナールも消臭可能である。一般的に、炭素数2〜4個のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)というが、本明細書においては炭素数1個の酢酸、5個の吉草酸も低級脂肪酸として取り扱う。
なお、本発明の消臭紙は、食品包装用、ゴミ用、レジ袋、おむつ用などの消臭効果が望まれる用途に適したものである。おむつ臭の主成分は硫化水素、メチルメルカプタン、低級脂肪酸であり、介護分野においては低級脂肪酸の消臭効果が求められている。また生ゴミ臭の主成分も、硫化水素、メチルメルカプタン、低級脂肪酸の一種であるプロピオン酸であり、本発明の消臭紙はこれらの用途に好適である。さらに最近ではゴミの分別化が進んだことから、自治体等のゴミ焼却施設でゴミが燃えにくいという事例がある。本発明のガラス質消臭剤はラジカルによる酸化分解を促進することから、消臭効果のみならず、燃焼促進触媒としての機能も有している。つまり、可燃ゴミに分類される紙への利用に適している。
このほか、医薬品や電子部品・精密機器の技術分野でも悪臭成分の除去が求められることがある。すなわち、製造工程で使用される薬剤からのアウトガスで硫化水素や酢酸が発生することがあり、これらは悪臭であるのみならず、金属腐食、製品劣化につながる腐食ガスでもある。本発明の消臭紙を用いることにより、製品寿命の延長や製品品質の安定化に寄与することができる。上記したように、本発明の消臭紙(消臭多層紙)は、医療用包装紙、食品用包装紙、鮮度保持紙、紙製衣料、壁紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、セパレートシート、段ボールなどの様々な用途に用いることができる。
第1の実施形態の消臭紙を示す模式的な断面図である。 第2の実施形態の消臭紙を示す模式的な断面図である。 実施例Cの結果を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を説明する。
第1の実施形態の消臭紙は、図1に示すように、紙を構成する繊維1の間にガラス質消臭剤2の粉末を含有させたものであり、第2の実施形態の消臭紙は、紙の表面にガラス質消臭剤を含む消臭層3を形成したものである。ガラス質消臭剤は、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、D96=40μm以下の粉体であることが望ましい。
ここでD96は粒度分布測定を行い、累積分布させたときの積分値が96%に当たる粒径を意味する。D96が40μmを超えるとガラス質消臭剤2が紙から脱落し易くなったり、平滑性が悪くなる。なお、粒径が1μm未満になるとガラスの粉砕や分級の効率が極端に低下するので、製造上好ましくない。1〜25μm程度の粒径が実用的である。このようなガラス質消臭剤は、調合原料を溶融したうえ急冷してプレ成形体を得た後、粉砕を行なう方法で製造することができる。粉砕には一般的に知られる粉砕機(例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、CFミル等)を用いることができ、乾式でも湿式でも構わない。以下にガラス質消臭剤の組成について説明する。
(アルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラス)
上記した銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスは、SiO:46〜70モル%、B+RO(R:アルカリ金属):15〜50モル%、R´O(R´:アルカリ土類金属):0〜10モル%、Al:0〜5.5%、CuO:0.01〜23モル%含有するガラスである。ここで、B:5〜20モル%、RO:10〜30モル%とすることができる。
このガラス質消臭剤の好ましい組成は、SiO:51〜63モル%、B+RO:21〜39モル%、R´O:2〜7モル%、Al:0〜5.5%、CuO:1〜13モル%である。ここで、B:8〜17モル%、RO:13〜22モル%とすることができる。
またこのガラス質消臭剤の最も好ましい組成は、SiO:53〜62モル%、B:10〜17モル%、RO:13〜19モル%、R´O:3〜6モル%、Al:0〜4.5%、CuO:4〜13モル%である。以下に、各ガラス組成について詳細に説明する。
(SiO
SiOは、ガラスの構造骨格を形成する主成分であり、その含有量は46〜70モル%、好ましくは、51〜63モル%、更に好ましくは53〜62モル%とする。46モル%未満の場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となり、またガラスが失透しやすくなり好ましくない。更に、46モル%未満の場合、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。70モル%を超える場合、融点が上昇することにより、ガラスの溶融性が困難となる他、粘度上昇も起こるため好ましくない。
(B
は、ガラスの溶解性、清澄性を向上させる成分であり、特定の組成においてはガラスの構造骨格を形成する成分ともなる。Bは、その含有量によって、ガラスの安定性を大きく左右するものであり、本願発明ではガラスの融剤としての意味合いが大きい。その含有量は、Bの揮発量を勘案して、5〜20モル%、好ましくは8〜17モル%、さらに好ましくは10〜17モル%とする。20モル%を超える場合、Bは溶融過程において揮発しやすく、組成制御が困難となるため好ましくない。
(RO)
O(R=Li、Na、K)は、ガラスの構造骨格におけるSiとOの結合を切断して非架橋酸素を形成し、その結果、ガラスの粘性を低下させ、成形性や溶解性を向上させる成分であり、B同様の融剤である。その含有量は、ROの一種もしくは二種以上を、多成分との含有比も考慮しつつ、合計10〜30モル%、好ましくは13〜22モル%、更に好ましくは13〜19モル%とする。30モル%を超える場合、ガラスの化学的耐久性が不十分となる。具体的には、ガラス剤と大気中の水分が反応してブルームと称される白化現象が引き起こされる。ブルームが発生することにより、悪臭ガスとの接触面積が減少するため望ましくない。
(B+RO)
前記のように、BとROは、共に、融剤として使用される。BとROの合計含有量が、15〜50モル%、好ましくは21〜39モル%の範囲が、安全に消臭効果を示す領域となる。15モル%未満の場合、ガラスの溶融性が不十分となり、成形の際に失透が発生しやすくなるため好ましくない。50モル%を超えると、ガラスの耐水性が不十分となり、水分存在下(大気中の水分を含む)で銅イオンが溶出しやすくなる結果、触媒作用による消臭効果よりも、イオン溶出によって起こる硫化反応による消臭効果が強くなるため好ましくない。また、50モル%を超えると、溶融の際に分相を起こしやすく、それに伴いガラス剤の消臭効果が不十分となるため好ましくない。
(R´O)
R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)は、ガラスの化学的耐久性を向上させる成分である。その含有量は、R´O(R´=Mg、Ca、Sr、Ba)の一種もしくは二種以上を、合計0〜10モル%、好ましくは2〜7モル%、更に好ましくは3〜6モル%とする。10モル%を超えると溶融時の粘性が高くなるとともに、ガラスが失透しやすくなるため好ましくない。なおR´Oは発明の消臭剤において必須成分ではなく、その含有量は0モル%でもよいが、2モル%以上とすることが好ましい。
(Al
Alは、ガラスの化学的耐久性を向上させ、結晶構造安定性に影響を与える成分である。また、Alは、ガラスの分相を抑制しガラス剤の均質性を高める働きをする。粘性を上げること、添加によってガラス中の銅イオンの酸化還元状態に影響を与える可能性があることから、その含有量は5.5モル%以下、最も好ましくは4.5モル%以下とする。
(CuO)
CuOは、触媒として機能して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進し、硫黄系悪臭物質の消臭効果を奏するものである。その含有量は、0.01〜23モル%、好ましくは1〜13モル%、さらに好ましくは4〜13モル%とする。23モル%を超えると未溶解物が残留しやすくなる他、急冷の際や加工時に金属銅が析出しやすくなるため好ましくない。金属銅の析出に伴いガラスに変色を生じるため、ガラスの変色が問題となる用途には適さない。また、金属銅として析出した場合、被毒が進行してしまう。これに対し、CuOをガラス成分として含ませれば被毒が進行し難く、触媒機能を長期間に亘って安定して発揮することができる。
(その他の微量成分)
上記成分以外にも、微量成分として、ZnO、SrO、BaO、TiO、ZrO、Nb、P、CsO、RbO、TeO、BeO、GeO、Bi、La、Y、WO、MoO、またはFe等も含めることができる。さらに、F、Cl、SO、Sb、SnO、あるいはCe等を清澄剤として添加してもよい。
(アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラス)
また本発明ではガラス質消臭剤として、銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスを用いることもできる。このガラスは、SiO:50〜70モル%、RO:10〜33モル%、R´O:0〜15モル%、Al:0〜6%、CuO:0.01〜23モル%含有するガラスである。
このガラス質消臭剤の好ましい組成は、SiO:55〜70モル%、RO:12〜24モル%、R´O:2〜10モル%、Al:0〜5.5%、CuO:1〜20モル%である。またこのガラス質消臭剤の最も好ましい組成は、SiO:55〜65モル%、RO:12〜20モル%、R´O:3〜7モル%、Al:0〜5%、CuO:4〜13モル%である。
アルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスは、上記したアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスとは異なりBを含有しないため組成の数値範囲が多少変化しているが、数値限定の理由はアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスと同様である。
上記した銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有するアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなるガラス質消臭剤は、紙を構成する繊維間または紙の表面に含有される。紙の種類は、セルロース繊維を主成分とするものであることが好ましいが、特に限定されるものではなく、木材パルプ、非木材パルプ(藁、サトウキビ、ヨシ、ケナフ、クワ、コウゾ、ミツマタ、竹を由来とする)、合成パルプ(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アルミナ繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ジルコニア繊維、アルミナ・シリカ繊維等)、古紙パルプから製造されるものであればよい。例えば、和紙、洋紙、中性紙、再生紙、合成紙など任意の紙とすることができる。
前記したように、紙を構成する繊維間に担持させる場合には、消臭紙中のガラス質消臭剤の含有量は0.1〜10質量%とし、また紙の表面に担持させる場合には、ガラス質消臭剤の含有量は0.1〜5g/mとすることが好ましい。この範囲より少ないと消臭効果が不足し、逆にこの範囲を超えると、紙の特性、すなわち、柔軟性や平滑性が失われる可能性があるためである。本発明において、ガラス質消臭剤は触媒効果によって消臭機能を発揮するため、消臭量がガラス質消臭剤の露出量に依存しない。このため長期的には、少量が紙の表面に露出していればよく、上記の範囲を超えて含有させても消臭量の増加を見込むことができない。
上記したように、第1の実施形態の消臭紙は紙を構成する繊維1の間にガラス質消臭剤2を含有させたものであり、第2の実施形態の消臭紙は紙の表面にガラス質消臭剤2を含有する消臭層3を形成したものである。第1の実施形態の場合には、ガラス質消臭剤を含ませたスラリー中に紙を含浸した後に絞って乾燥する方法で消臭紙を得ることができる。第2の実施形態の場合には、バインダー中にガラス質消臭剤を含ませ塗布、スプレーする方法で消臭紙を得ることができる。第2の実施形態の消臭紙のように、紙の表面にガラス質消臭剤を担持させたものでは、繊維の内部に埋没して消臭に寄与しないガラス質消臭剤を減少させることができるので、消臭効果をより高めることができる。バインダーとしては、例えば、以下のものがある。アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂、スチレン樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂、天然樹脂誘導体、石油樹脂、塩化ゴム、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、塩素化ポリプロピレンなどを使用することができる。
また、上記した消臭紙を積層して、もしくは、上記した消臭紙と、ガラス質消臭剤を含有しない紙とを積層して、積層構造を持つ積層紙とすることもできる。
本発明の消臭紙は、ガラス質消臭剤のガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、悪臭成分を分解する機能を有するものである。溶解性ガラスとは異なり、銅成分はガラス中に保持されたままで触媒作用により悪臭成分を分解するため、長期間にわたり消臭効果が維持され、持続性に優れる。また、溶解性ガラスは酸性ガラスであるため酸性悪臭である低級脂肪酸に対する消臭効果はないが、本発明におけるガラス質消臭剤は、低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質に対する消臭効果を持つ。
本発明の消臭紙はそのまま使用できることは勿論であるが、袋にして食品用袋、菓子袋、レジ袋、ゴミ袋など等として使用するに適している。ガラス質消臭剤は人体に対して無害であるから、食品包装用袋として使用することができる。また低級脂肪酸や体臭成分等の悪臭物質に対する消臭効果を持つので、介護分野におけるおむつ用袋等として使用することができる。また、トイレットペーパーやその芯材用紙としても適している。さらに障子紙、襖紙等として使用すれば、室内の臭気をなくす効果がある。
その他、ティッシュペーパー、塗工紙、非塗工紙、印刷用紙、画用紙、ラミネート紙、ペット用シート、靴箱、靴の包装紙、衣類用包装紙、新聞紙、セパレートシート、段ボールなど、広い用途に用いることができる。特にセパレートシートは、食品や食品容器の保管、運搬に繰返し使用されるため、用途として適している。また、特におむつ向け対し、密封容器内で紙と保持し消臭効果を高めることができる。水分で消臭効果が助長されるため、簡易トイレと併用して使用することも可能である。
なお、上記した実施形態ではガラス質消臭剤を単独で使用したが、汎用のシリカゲル、ゼオライト、活性炭、粘土鉱物、光触媒(二酸化チタン)等の無機系消臭剤と複合使用することもできる。また銀を含有する溶解性ガラスとともに使用することもできる。このような複合使用により、消臭速度のスピードアップや対象ガス拡大、コストダウン等の効果を狙うことが可能となる。特に簡易トイレと併用して使用するような場合には、銀イオンを溶出させる溶解性ガラスとの複合使用により、抗菌・消臭効果をさらに高めることができる。
以下に本発明の実施例を示す。なお、表中のn.d.は未検出を意味する。
表1に示す組成となるようにガラス原料を調合し、びんガラスなどの汎用ガラス組成と同様の常法により溶融、成形、粉砕してガラス質消臭剤を製造した。得られたガラス質消臭剤を表2に示す条件で紙に含有させて消臭紙を得た。この消臭紙をテドラーバッグに封入し、消臭効果の確認試験を行った。なお、表2において「繊維の種類」とは、「紙を構成する繊維の主成分の種類」を意味する。ここで、主成分とは、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は最も多い含有割合を占めるものであり、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占める意を包含するものである。
表2中の実施形態1は、木材パルプにガラス質消臭剤を添加し、JIS P 8222に基づいて手すき紙を調整したものであり、実施形態2は、古紙(100%)に対し、セルロール系バインダーを用いて両面にスプレーコートしたものである。いずれも、100×100mmに断裁し、テドラーバッグに悪臭成分と封入した。また表2に記載した含有量は、いずれも明細書中で示した含有量(実施形態1:○質量、実施形態2:○質量%/m)を示しており、実験ではその条件に該当する試料を断裁した。
(実施例A)
表2の実験例1〜11、13〜22の紙を1Lのテドラーバッグに悪臭成分と封入し、室温で、経過時間に伴う袋内の悪臭濃度を測定した。硫化水素、メチルメルカプタンはガスクロマトグラフで、プロピオン酸、イソ吉草酸はガス検知管で、トランス−2‐ノネナールは高速液体クロマトグラフで測定した。比較として、表3に示す溶解性ガラス1〜3からなるガラス質消臭剤を製造し、第1の実施形態でガラス質消臭剤の含有率が1質量%の紙を作製し、同様に断裁した。なお、銅成分を含まないブランクは、実験例6、16に該当する。その結果、表4に示すように、いずれの悪臭に対しても消臭効果があることが確認された。
(実施例B)
表2の実験例5、12の紙を1Lのテドラーバッグに悪臭成分と封入し、室温で、経過時間に伴う袋内の悪臭濃度をガスクロマトグラフで測定した。比較として、表3に示す溶解性ガラス2〜4からなるガラス質消臭剤を製造し、第1の実施形態で1質量%の紙を作製し、同様に断裁した。その結果、表5に示すように、溶解性ガラスは消臭限界に達したのに対し、実験例5は消臭総量が大きいことが確認された。溶解性ガラスは、露出量に応じて消臭限界が決定するのに対し、銅成分を含有させたガラス質消臭剤は、触媒作用を示すため、少量でも露出すれば消臭総量が期待できる。しかし、ガラスは組成によって連続的に変化し、その効果も触媒反応から溶解性ガラスの吸着反応まで連続的に変化する。実験例12は、耐久性が低下した組成のため、溶解性ガラス同様に吸着反応を示し、消臭限界に達したことが確認された。
(実施例C:ガラス質消臭剤の基本特性・分解作用)
50=4.2μmまで粉砕した表1の組成番号6からなるガラス1gとメチルメルカプタンを5Lのテドラーバッグに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内のメチルメルカプタン、ジメチルジスルフィドをガスクロマトグラフで測定した。またブランクとして、ガラス質消臭剤なしで同様の操作を行った。なお、事前にガスクロマトグラフ質量分析計にて、袋内に存在するガス成分がこの二成分のみであることを確認していた。その結果、図3に示すように、本発明のガラス質消臭剤がメチルメルカプタンを分解し、ジメチルジスルフィドを生成する作用を示すことを確認した。ガラス質消臭剤の基本特性は、紙に含有させても、当然保持される。
(実施例D:ガラス質消臭剤の基本特性・ラジカル発生)
50=5.0μmまで粉砕した表1の組成番号6、9、表3の溶解性ガラス1からなるガラス200mgに対し、pH=7.4の0.1mоl・L−1のリン酸緩衝溶液200μLを添加した。そこに9.2mоl・L−1のDMPO(LABOTEC.製、LM−2110)10μLを添加し、シェイクした。DMPO添加時点から10秒後、1分後、5分後にシェイクをやめ、溶液のみをヘマトクリット管で採取し、ESR(日本電子株式会社製、FR−30、Xバンド)測定を実施した。また、ガラスを除いたものをブランクとした。全て、室温、蛍光灯下で実施した。当手法は、ラジカル測定の一般的手法であるスピントラップ法に該当し、DMPOがラジカルを補足するとスピンアダクトが生成する。この生成物(DMPO−OH)をESRで検出した。なお、検出値の単位は、基準物質Mn2+に対するピーク面積値比率(エリアシングル/エリアマンガン、S/M)である。その結果を表6に示す。組成番号6のガラスはDMPO−OHの生成が確認されたのに対し、組成番号9、溶解性ガラス1はブランクと同様にバックグラウンドの値を示しただけであった。本発明のガラス質消臭剤がラジカルを発生する可能性が高いことが確認された。
(実施例E:ガラス質消臭剤の基本特性・触媒劣化の抑制)
50=4.2μmまで粉砕した表2の組成番号6からなるガラス0.1gとCuO試薬(平均粒径4μm)0.1gのそれぞれを1Lのテドラーバッグに封入し、室温で、経過時間に伴う袋内のメチルメルカプタン濃度をガスクロマトグラフで測定した。メチルメルカプタンの初期濃度は55ppmとし、繰返し10回まで実施した。また、ブランクとしてガラスなしで同様の操作を行った。その結果、表7に示すように、CuO試薬は、繰返しに伴い消臭効果が低減している。これは、一般的に知られるCuOの触媒劣化(硫黄吸着)である。それに対し、ガラスは消臭効果を維持しており、持続性が高いことが確認された。このメカニズム解明は課題が残るが、ガラス化することで触媒劣化が抑制されることが確認された。このときのガラス表面をXPS(アルバックファイ(株)製、PHI 5000 VersaProbe)で解析したところ、表8に示すように、確かに消臭後に硫黄の吸着がないことが確認された。ガラス質消臭剤の基本特性は、紙に含有させても、当然保持される。
1 繊維
2 ガラス質消臭剤
3 消臭層

Claims (5)

  1. 紙を構成する繊維間または紙の表面にガラス質消臭剤を担持させた消臭紙であって、このガラス質消臭剤は銅成分を含有し、Al の含有率を0〜5.5モル%としたアルカリ−アルカリ土類−ホウケイ酸ガラスまたは銅成分を含有し、Al の含有率を0〜5.5モル%としたアルカリ−アルカリ土類−ケイ酸塩ガラスからなり、銅成分をガラス中に保持させたまま、ガラス中に保持された銅成分の触媒作用により、紙と接触する空気中の悪臭成分を分解する機能を有することを特徴とする消臭紙。
  2. 紙を構成する繊維間に担持させたガラス質消臭剤の含有量を、0.1〜10質量%としたことを特徴とする請求項1記載の消臭紙。
  3. 紙の表面に担持させたガラス質消臭剤の含有量を、0.1〜5g/mとしたことを特徴とする請求項1記載の消臭紙。
  4. ガラス質消臭剤が、D96=40μm以下の粉体であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の消臭紙。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の消臭紙を積層して、もしくは、ガラス質消臭剤を含有しない紙と積層して、積層構造としたことを特徴とする消臭紙。
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