第1の実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
変換器を模式的に表すブロック図である。
第1の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
図4(a)及び図4(b)は、アーム電流の一例を模式的に表すグラフ図である。
第1の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
第1の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
第1の実施形態に係る制御回路の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
変換器の変形例を模式的に表すブロック図である。
主回路部の変形例を模式的に表すブロック図である。
直流電流値決定部の変形例を模式的に表すブロック図である。
第2の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
第2の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
第3の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、電力変換装置10は、主回路部12と、制御回路14と、を備える。電力変換装置10は、例えば、直流送電システムに用いられる。電力変換装置10は、直流送電システムにおいて、交流電力系統2(交流回路)及び一対の直流送電線3、4(直流回路)に接続される。
直流送電システムは、例えば、変圧器6を有する。電力変換装置10の主回路部12は、変圧器6を介して交流電力系統2に接続される。変圧器6は、交流電力系統2の交流電力を主回路部12に対応した交流電力に変換する。変圧器6は、主回路部12に合わせて交流電力の実効値を変化させる。変圧器6は、必要に応じて設けられ、省略可能である。主回路部12には、交流電力系統2の交流電力を直接供給してもよい。
電力変換装置10は、交流電力系統2から供給された交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を直流送電線3、4に供給する。また、電力変換装置10は、直流送電線3、4から供給された直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を交流電力系統2に供給する。このように、電力変換装置10は、交流から直流への交直変換、及び、直流から交流への交直変換を行う。
交流電力系統2の交流電力は、例えば、三相交流電力である。電力変換装置10は、例えば、三相交流電力から直流電力への変換、及び、直流電力から三相交流電力への変換を行う。交流電力系統2の交流電力は、単相交流電力などでもよい。
例えば、直流送電線3は、直流電力の高圧側の送電線であり、直流送電線4は、直流電力の低圧側の送電線である。電力変換装置10は、直流送電線3側が高圧、直流送電線4側が低圧となるように、変換後の直流電力を直流送電線3、4に出力する。
電力変換装置10は、直流送電システムに限ることなく、交流から直流への変換及び直流から交流への変換が必要な他の任意のシステムなどに適用してもよい。電力変換装置10による交直変換は、交流から直流及び直流から交流の双方に限ることなく、交流から直流又は直流から交流の一方のみでもよい。電力変換装置10は、交流から直流及び直流から交流の少なくとも一方の交直変換を実行可能であればよい。また、この例では、交流電力系統2を交流回路、各直流送電線3、4を直流回路として示している。交流回路は、例えば、交流負荷や交流電力源などでもよい。直流回路は、例えば、直流負荷や直流電力源などでもよい。
主回路部12は、交流電力系統2と各直流送電線3、4との間に設けられる。主回路部12は、交流電力から直流電力への変換、及び、直流電力から交流電力への変換を行う。主回路部12は、例えば、MMC(Modular Multilevel Converter)型の電力変換器である。MMC型の主回路部12は、直列に接続された複数の変換器を有する。各変換器は、ハーフブリッジ接続又はフルブリッジ接続された複数のスイッチング素子と、各スイッチング素子に並列に接続された電荷蓄積素子と、を有する。主回路部12は、各スイッチング素子のスイッチングにより、交直変換を行う。
制御回路14は、主回路部12に接続されている。制御回路14は、各スイッチング素子のオン・オフを制御することにより、主回路部12による交流電力から直流電力への変換、及び、直流電力から交流電力への変換を制御する。
主回路部12は、第1及び第2の一対の直流端子20a、20bと、第1〜第3の3つの交流端子21a〜21cと、第1〜第6の6つのアーム部22a〜22fと、を有する。
第1直流端子20aは、高圧側の直流送電線3に接続される。第2直流端子20bは、低圧側の直流送電線4に接続される。これにより、主回路部12によって変換された直流電力が直流送電線3、4に供給されるとともに、直流送電線3、4から供給された直流電力が主回路部12に入力される。
第1アーム部22aは、第1直流端子20aに接続される。第2アーム部22bは、第1アーム部22aと第2直流端子20bとの間に接続される。第1アーム部22a及び第2アーム部22bは、各直流端子20a、20bの間に直列に接続される。
第3アーム部22cは、第1直流端子20aに接続される。第4アーム部22dは、第3アーム部22cと第2直流端子20bとの間に接続される。第3アーム部22c及び第4アーム部22dは、第1アーム部22a及び第2アーム部22bに対して並列に接続される。
第5アーム部22eは、第1直流端子20aに接続される。第6アーム部22fは、第5アーム部22eと第2直流端子20bとの間に接続される。すなわち、第5アーム部22e及び第6アーム部22fは、第1アーム部22a及び第2アーム部22bに対して並列に接続されるとともに、第3アーム部22c及び第4アーム部22dに対して並列に接続される。
主回路部12では、第1アーム部22a及び第2アーム部22bによって第1レグLG1が構成され、第3アーム部22c及び第4アーム部22dによって第2レグLG2が構成され、第5アーム部22e及び第6アーム部22fによって第3レグLG3が構成される。すなわち、この例において、主回路部12は、3レグ、6アームの三相インバータである。第1アーム部22a、第3アーム部22c及び第5アーム部22eは、上側アームである。第2アーム部22b、第4アーム部22d及び第6アーム部22fは、下側アームである。主回路部12は、例えば、2レグ、4アームの単相インバータでもよい。すなわち、主回路部12は、第1アーム部22a〜第4アーム部22dを少なくとも有していればよい。
第1アーム部22aは、直列に接続された複数の変換器UP1、UP2…UPM1を有する。第2アーム部22bは、直列に接続された複数の変換器UN1、UN2…UNM2を有する。第3アーム部22cは、直列に接続された複数の変換器VP1、VP2…VPM3を有する。第4アーム部22dは、直列に接続された複数の変換器VN1、VN2…VNM4を有する。第5アーム部22eは、直列に接続された複数の変換器WP1、WP2…WPM5を有する。第6アーム部22fは、直列に接続された複数の変換器WN1、WN2…WNM6を有する。
但し、以下では、各変換器UP1、UP2…UPM1、UN1、UN2…UNM2、VP1、VP2…VPM3、VN1、VN2…VNM4、WP1、WP2…WPM5、WN1、WN2…WNM6をまとめて呼称する場合に、「変換器CEL」と称す。
各アーム部22a〜22fにおいて、M1、M2、M3、M4、M5、M6は、直列接続された変換器CELの台数を表す。各アーム部22a〜22fにおいて、直列接続される変換器CELの台数は、例えば、100台〜120台程度である。但し、直列接続される変換器CELの台数は、これに限ることなく、任意の台数でよい。
各アーム部22a〜22fに設けられる変換器CELの台数は、実質的に同じである。例えば、多数の各変換器CELが接続される場合には、主回路部12の動作に影響のない範囲において、各アーム部22a〜22fに設けられる変換器CELの台数が異なってもよい。例えば、1つのアーム部に100台の変換器CELを直列に接続する場合、別のアーム部に設ける変換器CELの台数は、1〜2台異なってもよい。
各アーム部22a〜22fのそれぞれは、バッファリアクトル23a〜23fと、複数の電流検出器24a〜24fと、をさらに有する。また、電力変換装置10は、電圧検出器25をさらに有する。
各バッファリアクトル23a〜23fは、各アーム部22a〜22fのそれぞれにおいて、各変換器CELに直列に接続される。第1アーム部22aのバッファリアクトル23aは、交流端子21aと第1アーム部22a及び第2アーム部22bとの接続点と変換器UP1との間に設けられる。第2アーム部22bのバッファリアクトル23bは、交流端子21aと第1アーム部22a及び第2アーム部22bとの接続点と変換器UN1との間に設けられる。第3アーム部22cのバッファリアクトル23cは、交流端子21bと第3アーム部22c及び第4アーム部22dとの接続点と変換器VP1との間に設けられる。第4アーム部22dのバッファリアクトル23dは、交流端子21bと第3アーム部22c及び第4アーム部22dとの接続点と変換器VN1との間に設けられる。第5アーム部22eのバッファリアクトル23eは、交流端子21cと第5アーム部22e及び第6アーム部22fとの接続点と変換器WP1との間に設けられる。第6アーム部22fのバッファリアクトル23fは、交流端子21cと第5アーム部22e及び第6アーム部22fとの接続点と変換器WN1との間に設けられる。
電流検出器24aは、第1アーム部22aに設けられ、第1アーム部22aに流れる電流を検出する。すなわち、電流検出器24aは、第1アーム部22aのアーム電流を検出する。また、電流検出器24aは、複数の電流検出器で構成され、同一の電流を複数の電流検出器で検出している。電流検出器24aを構成する各電流検出器は、図示を省略した配線などを介して制御回路14に接続されている。電流検出器24aを構成する各電流検出器のそれぞれは、検出した第1アーム部22aの電流値を制御回路14に入力する。これにより、制御回路14には、複数の第1アーム部22aの電流値が入力される。
このように、第1アーム部22aに複数の電流検出器24aを設ける。すなわち、第1アーム部22aにおいて、複数の電流検出器24aを冗長させる。これにより、例えば、1つの電流検出器24aが故障した場合などにおいても、残りの電流検出器24aによって電力変換装置10の運転を継続することができる。これにより、電力変換装置10の運用性を向上させることができる。この例では、第1アーム部22aに4つの電流検出器24aを設けている。電流検出器24aの数は、4つに限ることなく、3つ以上の任意の数でよい。電流検出器24aは、第1アーム部22aに少なくとも3つ設けられていればよい。
電流検出器24bは、第2アーム部22bに設けられ、第2アーム部22bに流れる電流を検出する。すなわち、電流検出器24bは、第2アーム部22bのアーム電流を検出する。また、電流検出器24bは複数の電流検出器で構成され、同一の電流を複数の電流検出器で検出している。電流検出器24bを構成する各電流検出器は、図示を省略した配線などを介して制御回路14に接続されている。電流検出器24bを構成する各電流検出器のそれぞれは、検出した第2アーム部22bの電流値を制御回路14に入力する。これにより、制御回路14には、複数の第2アーム部22bの電流値が入力される。
以下同様に電流検出器24cは、第3アーム部22cに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御回路14に入力する。電流検出器24dは、第4アーム部22dに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御回路14に入力する。電流検出器24eは、第5アーム部22eに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御回路14に入力する。電流検出器24fは、第6アーム部22fに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御回路14に入力する。
各電流検出器24b〜24fは、電流検出器24aと同様であるから、詳細な説明は省略する。この例において、各電流検出器24a〜24fの数は、それぞれ同じである。各アーム部22a〜22fに設けられる各電流検出器24a〜24fの数は、必ずしも同じでなくてもよい。
電圧検出器25は、交流電力系統2の各相の交流電圧(相電圧)を検出し、検出値を制御回路14に入力する。
主回路部12では、第1アーム部22aと第2アーム部22bとの接続点、第3アーム部22cと第4アーム部22dとの接続点、及び、第5アーム部22eと第6アーム部22fとの接続点のそれぞれが、交流出力点となる。
第1交流端子21aは、第1アーム部22aと第2アーム部22bとの接続点に接続される。第2交流端子21bは、第3アーム部22cと第4アーム部22dとの接続点に接続される。第3交流端子21cは、第5アーム部22eと第6アーム部22fとの接続点に接続される。各交流端子21a〜21cは、例えば、変圧器6に接続される。
各変換器CELは、信号線26を介して制御回路14と接続される。制御回路14は、信号線26を介して変換器CELに制御信号を入力することにより、変換器CELの動作を制御する。また、変換器CELは、例えば、変換器CELの制御及び動作保護に関する制御信号や保護信号を図示されていない別の信号線を介して制御回路14に入力する。
図2は、変換器を模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、変換器CELは、第1接続端子40aと、第2接続端子40bと、第1スイッチング素子41と、第2スイッチング素子42と、電荷蓄積素子45と、ドライバ回路46と、を有する。
各スイッチング素子41、42のそれぞれは、一対の主端子と、制御端子と、を含む。制御端子は、一対の主端子間に流れる電流を制御する。各スイッチング素子41、42には、例えば、IGBTなどの自己消弧素子が用いられる。一対の主端子は、例えば、エミッタ及びコレクタであり、制御端子は、例えば、ゲートである。また、各スイッチング素子41、42には、例えば、ノーマリオフ型の半導体素子が用いられる。
第2スイッチング素子42の一対の主端子は、第1スイッチング素子41の一対の主端子に対して直列に接続される。電荷蓄積素子45は、第1スイッチング素子41及び第2スイッチング素子42に対して並列に接続される。電荷蓄積素子45は、例えば、コンデンサである。第1接続端子40aは、第1スイッチング素子41と第2スイッチング素子42との間に接続される。第2接続端子40bは、第1スイッチング素子41の第2スイッチング素子42に接続された主端子と反対側の主端子に接続される。
また、第1スイッチング素子41には、一対の主端子に対して逆並列に整流素子41dが接続されている。整流素子41dの順方向は、第1スイッチング素子41の一対の主端子間に流れる電流の向きに対して逆向きである。同様に、第2スイッチング素子42には、一対の主端子に対して逆並列に整流素子42dが接続されている。整流素子41d、42dは、いわゆる還流ダイオードである。
変換器CELに対する電力の供給は、各接続端子40a、40bを介して行われる。変換器CELにおいて、各スイッチング素子41、42は、ハーフブリッジ接続されている。換言すれば、変換器CELは、双方向チョッパである。第1スイッチング素子41は、いわゆるローサイドスイッチであり、第2スイッチング素子42は、いわゆるハイサイドスイッチである。
各スイッチング素子41、42の制御端子は、ドライバ回路46に入力されている。ドライバ回路46は、信号線26を介して制御回路14に接続されている。制御回路14は、各スイッチング素子41、42のオン・オフを制御するための制御信号を信号線26を介してドライバ回路46に送信する。ドライバ回路46は、入力された制御信号に基づいて、各スイッチング素子41、42のオン・オフを切り替える。これにより、制御回路14からの制御信号に応じて、各スイッチング素子41、42のオン・オフが制御される。制御回路14は、各変換器CEL毎に制御信号を生成し、各変換器CELのそれぞれの各スイッチング素子41、42のオン・オフを制御する。これにより、制御回路14は、主回路部12による電力の変換を制御する。
図3は、第1の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
図4(a)及び図4(b)は、アーム電流の一例を模式的に表すグラフ図である。
図4(a)は、主回路部12から各直流送電線3、4側へ電力を出力する場合のアーム電流の一例を模式的に表す。図4(b)は、各直流送電線3、4側から主回路部12に電力が流入する場合のアーム電流の一例を模式的に表す。なお、この例においては、図3の紙面において下から上に向かう方向の電流を正とする。
図3に表したように、制御回路14は、直流電流値決定部50と、交流電流値決定部60と、を有する。ここでは、第1アーム部22aに設けられた電流検出器24aを構成する各電流検出器を個別に称す場合に、電流検出器CTU1〜CTU4とする。第2アーム部22bに設けられた電流検出器24bを構成する各電流検出器を個別に称す場合に、電流検出器CTX1〜CTX4とする。第3アーム部22cに設けられた電流検出器24cを構成する各電流検出器を個別に称す場合に、電流検出器CTV1〜CTV4とする。第4アーム部22dに設けられた電流検出器24dを構成する各電流検出器を個別に称す場合に、電流検出器CTY1〜CTY4とする。第5アーム部22eに設けられた電流検出器24eを構成する各電流検出器を個別に称す場合に、電流検出器CTW1〜CTW4とする。第6アーム部22fに設けられた電流検出器24fを構成する各電流検出器を個別に称す場合に、電流検出器CTZ1〜CTZ4とする。なお、図3では、主回路部12の各変換器CELなどの図示を便宜的に省略している。
直流電流値決定部50は、各電流検出器24a〜24fの検出値を基に、各直流送電線3、4に流れる直流電流Idcの検出値を決定する。直流電流値決定部50は、複数の加算回路51a〜51dと、最大値選択回路52と、最小値選択回路53と、切替スイッチ54と、を有する。各加算回路51a〜51dは、上側アームである各アーム部22a、22c、22eに設けられた各電流検出器24a、24c、24eを構成する電流検出器の数に応じて設けられる。従って、この例では、電流検出器24aを構成する電流検出器の数(電流検出器24cを構成する電流検出器の数又は電流検出器24eを構成する電流検出器の数)に応じた4つの加算回路51a〜51dが直流電流値決定部50に設けられる。
加算回路51aは、加算器55と、切り離しスイッチ56と、を有する。加算器55には、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTV1の検出値と、電流検出器CTW1の検出値と、が入力される。すなわち、加算回路51aの加算器55には、各相のアーム電流の検出値が、それぞれ1つずつ入力される。加算器55は、入力された各検出値を加算し、加算結果を最大値選択回路52及び最小値選択回路53に入力する。
図4(a)及び図4(b)に表したように、電力変換装置10の主回路部12において、アーム電流には、直流成分と交流成分とが重畳する。このアーム電流の直流成分は、3相のアーム電流の和で求めることができる。すなわち、加算回路51aは、換言すれば、各電流検出器CTU1、電流検出器CTV1、電流検出器CTW1のそれぞれの検出値からアーム電流の直流成分を算出し、算出値を最大値選択回路52及び最小値選択回路53に入力する。また、各アーム電流の直流成分の和は、各直流送電線3、4に流れる直流電流Idcと実質的に同じである。
切り離しスイッチ56は、加算器55の出力側に設けられる。より詳しくは、切り離しスイッチ56は、加算器55と最大値選択回路52との間、及び加算器55と最小値選択回路53との間に設けられる。切り離しスイッチ56は、加算器55を最大値選択回路52及び最小値選択回路53に接続するオン状態と、加算器55を最大値選択回路52及び最小値選択回路53から切り離すオフ状態と、を有する。
直流電流値決定部50は、例えば、各電流検出器CTU1、電流検出器CTV1、電流検出器CTW1のそれぞれが正常に動作している場合に、加算回路51a内の切り離しスイッチ56をオン状態にし、算出値の最大値選択回路52及び最小値選択回路53への入力を許容する。そして、直流電流値決定部50は、例えば、各電流検出器CTU1、電流検出器CTV1、電流検出器CTW1のいずれかが故障している場合に、加算回路51a内の切り離しスイッチ56をオフ状態にし、算出値の最大値選択回路52及び最小値選択回路53への入力を禁止する。各電流検出器CTU1、CTV1、CTW1が正常に動作しているか故障しているかの判別については後述する。
図3では図示を省略しているが、加算回路51b〜51dは、加算回路51aと同様に、加算器55と、切り離しスイッチ56と、を有する。加算回路51bには、電流検出器CTU2の検出値と、電流検出器CTV2の検出値と、電流検出器CTW2の検出値と、が入力される。加算回路51bは、入力された各検出値を加算し、算出値を最大値選択回路52及び最小値選択回路53に入力する。加算回路51cには、電流検出器CTU3の検出値と、電流検出器CTV3の検出値と、電流検出器CTW3の検出値と、が入力される。加算回路51cは、入力された各検出値を加算し、算出値を最大値選択回路52及び最小値選択回路53に入力する。加算回路51dには、電流検出器CTU4の検出値と、電流検出器CTV4の検出値と、電流検出器CTW4の検出値と、が入力される。加算回路51dは、入力された各検出値を加算し、算出値を最大値選択回路52及び最小値選択回路53に入力する。
また、各加算回路51b〜51dにおいても、切り離しスイッチ56をオン状態とオフ状態とに切り替えることで、最大値選択回路52及び最小値選択回路53への算出値の入力、及び入力の停止を切り替えることができる。各加算回路51b〜51d内の切り離しスイッチ56のオン状態とオフ状態の切り替え条件は、加算回路51a内の切り離しスイッチ56のオン状態とオフ状態の切り替え条件と同様である。すなわち各各加算回路51b〜51dに各々入力される各電流検出器CTU2〜CTU4、各電流検出器CTV2〜CTV4、各電流検出器CTW2〜CTW4、の対応するそれぞれが正常に動作している場合に、対応する各加算回路51b〜51d内の切り離しスイッチ56をオン状態にし、各各加算回路51b〜51dに各々入力される各電流検出器CTU2〜CTU4、各電流検出器CTV2〜CTV4、各電流検出器CTW2〜CTW4、の対応するいずれかが故障している場合に、対応する各加算回路51b〜51d内の切り離しスイッチ56をオフ状態にする。
最大値選択回路52は、入力されたアーム電流の直流成分の各算出値から最大値を選択する。この例において、最大値選択回路52は、4つの算出値の中から最大値を選択する。そして、最大値選択回路52は、選択した最大値を切替スイッチ54に入力する。
最小値選択回路53は、入力されたアーム電流の直流成分の各算出値から最小値を選択する。この例において、最小値選択回路53は、4つの算出値の中から最小値を選択する。そして、最小値選択回路53は、選択した最小値を切替スイッチ54に入力する。
切替スイッチ54は、最大値選択回路52の最大値と最小値選択回路53の最小値とのいずれか一方を選択的に出力する。直流電流値決定部50は、切替スイッチ54の出力を直流電流Idcの検出値として決定する。
図3の紙面において下から上に向かう方向の電流を正とした場合、図4(a)及び図4(b)に表したように、アーム電流の直流成分は、主回路部12から各直流送電線3、4側に電流が出力される時に正側にシフトし、各直流送電線3、4側から主回路部12に電流が流入する時に負側にシフトする。
直流電流値決定部50は、例えば、図示されない上位の制御装置からの潮流方向指令に従って、切り替えスイッチ54を制御する。直流電流値決定部50は、各直流送電線3、4側に流れる潮流方向の場合、最大値選択回路52から出力された最大値を直流電流Idcの検出値として決定し、最大値選択回路52の側に切替スイッチ54を切り替える。一方、直流電流値決定部50は、主回路部12側に流れる潮流方向の場合、最小値選択回路53から出力された最小値を直流電流Idcの検出値として決定し、最小値選択回路53の側に切替スイッチ54を切り替える。なお、直流電流値決定部50は、例えば、各電流検出器24a〜24fの検出値から潮流方向を判断し、その潮流方向に応じて切替スイッチ54を制御してもよい。
なお、この例では、上側アームの各電流検出器24a、24c、24eの検出値から直流電流Idcを決定している。これとは反対に、下側アームの各電流検出器24b、24d、24fの検出値から直流電流Idcを決定してもよいし、上側アーム及び下側アームの各電流検出器24a〜24fの検出値から直流電流Idcを決定してもよい。
交流電流値決定部60は、各電流検出器24a〜24fの検出値を基に、交流電力系統2の各相の交流電流Iacu、Iacv、Iacwの検出値を決定する。交流電流値決定部60は、交流電力系統2の相毎に設けられた3つの決定回路61a、61b、61cを有する。決定回路61aは、例えば、第1レグLG1に対応する相(U相)の交流電流Iacuの検出値を決定する。決定回路61bは、例えば、第2レグLG2に対応する相(V相)の交流電流Iacvの検出値を決定する。決定回路61cは、例えば、第3レグLG3に対応する相(W相)の交流電流Iacwの検出値を決定する。
決定回路61aは、複数の上半波整流回路62a〜62dと、複数の下半波整流回路63a〜63dと、減算器64と、最大値選択回路65と、最小値選択回路66と、加算器67と、を有する。各上半波整流回路62a〜62d及び各下半波整流回路63a〜63dは、第1レグLG1の第1アーム部22aに設けられた電流検出器24aを構成する電流検出器の数、及び第2アーム部22bに設けられた電流検出器24bを構成する電流検出器の数に応じて設けられる。また、図3では図示を省略しているが、実際には、減算器64も電流検出器24aを構成する電流検出器の数、及び第2アーム部22bに設けられた電流検出器24bを構成する電流検出器の数に応じて複数設けられる。従って、この例では、電流検出器24aを構成する電流検出器の数(電流検出器24bを構成する電流検出器の数)に応じた4つの上半波整流回路62a〜62d、4つの下半波整流回路63a〜63d、及び4つの減算器64が、決定回路61aに設けられる。
1つの減算器64には、電流検出器CTU1の検出値及び電流検出器CTX1の検出値が入力される。減算器64は、電流検出器CTU1の検出値から電流検出器CTX1の検出値を減算する。そして、減算器64は、減算結果を上半波整流回路62a及び下半波整流回路63aに入力する。アーム電流の交流成分は、上側アームのアーム電流と下側アームのアーム電流との差で求めることができる。すなわち、減算器64は、アーム電流の交流成分を算出し、算出値を上半波整流回路62a及び下半波整流回路63aに入力する。また、アーム電流の交流成分は、U相の交流電流Iacuと実質的に同じである。
上半波整流回路62aは、上半波整流器70と、切り離しスイッチ71と、を有する。上半波整流器70は、入力されたアーム電流の交流成分を上半波整流し、整流後の電流値を最大値選択回路65に入力する。切り離しスイッチ71は、上半波整流器70と最大値選択回路65との間に設けられる。切り離しスイッチ71は、上半波整流器70を最大値選択回路65に接続するオン状態と、上半波整流器70を最大値選択回路65から切り離すオフ状態と、を有する。
上半波整流回路62b〜62dは、上半波整流回路62aと実質的に同じである。上半波整流回路62b〜62dは、上半波整流回路62aと同様に、上半波整流器70と、切り離しスイッチ71と、を有する。
上半波整流回路62bには、電流検出器CTU2の検出値から電流検出器CTX2の検出値を減算した減算結果が入力される。上半波整流回路62bは、入力された減算結果を上半波整流し、整流後の電流値を最大値選択回路65に入力する。
上半波整流回路62cには、電流検出器CTU3の検出値から電流検出器CTX3の検出値を減算した減算結果が入力される。上半波整流回路62cは、入力された減算結果を上半波整流し、整流後の電流値を最大値選択回路65に入力する。
上半波整流回路62dには、電流検出器CTU4の検出値から電流検出器CTX4の検出値を減算した減算結果が入力される。上半波整流回路62dは、入力された減算結果を上半波整流し、整流後の電流値を最大値選択回路65に入力する。
このように、最大値選択回路65には、各電流検出器CTU1〜CTU4、CTX1〜CTX4の検出結果に基づく4つの電流値が入力される。最大値選択回路65は、入力された各電流値から最大値を選択し、選択した最大値を加算器67に入力する。
上半波整流回路62aは、例えば、各電流検出器CTU1、電流検出器CTX1のそれぞれが正常に動作している場合に、上半波整流回路62a内の切り離しスイッチ71をオン状態にし、算出値の最大値選択回路65への入力を許容する。そして、上半波整流回路62aは、例えば、各電流検出器CTU1、電流検出器CTX1のいずれかが故障している場合に、上半波整流回路62a内の切り離しスイッチ71をオフ状態にし、算出値の最大値選択回路65への入力を禁止する。
各上半波整流回路62b〜62d内の切り離しスイッチ71のオン状態とオフ状態の切り替え条件および最大値選択回路65への信号入力は、上半波整流回路62aの動作と同様であるので説明を省略する。
下半波整流回路63aは、下半波整流器72と、切り離しスイッチ73と、を有する。下半波整流器72は、入力されたアーム電流の交流成分を下半波整流し、整流後の電流値を最小値選択回路66に入力する。切り離しスイッチ73は、下半波整流器72と最小値選択回路66との間に設けられる。切り離しスイッチ73は、下半波整流器72を最小値選択回路66に接続するオン状態と、下半波整流器72を最小値選択回路66から切り離すオフ状態と、を有する。
下半波整流回路63b〜63dは、下半波整流回路63aと実質的に同じである。下半波整流回路63b〜63dは、下半波整流回路63aと同様に、下半波整流器72と、切り離しスイッチ73と、を有する。
下半波整流回路63bには、電流検出器CTU2の検出値から電流検出器CTX2の検出値を減算した減算結果が入力される。下半波整流回路63bは、入力された減算結果を下半波整流し、整流後の電流値を最小値選択回路66に入力する。
下半波整流回路63cには、電流検出器CTU3の検出値から電流検出器CTX3の検出値を減算した減算結果が入力される。下半波整流回路63cは、入力された減算結果を下半波整流し、整流後の電流値を最小値選択回路66に入力する。
下半波整流回路63dには、電流検出器CTU4の検出値から電流検出器CTX4の検出値を減算した減算結果が入力される。下半波整流回路63dは、入力された減算結果を下半波整流し、整流後の電流値を最小値選択回路66に入力する。
このように、最小値選択回路66には、各電流検出器CTU1〜CTU4、CTX1〜CTX4の検出結果に基づく4つの電流値が入力される。最小値選択回路66は、入力された各電流値から最小値を選択し、選択した最小値を加算器67に入力する。
下半波整流回路63aは、例えば、各電流検出器CTU1、電流検出器CTX1のそれぞれが正常に動作している場合に、下半波整流回路63a内の切り離しスイッチ73をオン状態にし、算出値の最小値選択回路66への入力を許容する。そして、下半波整流回路63aは、例えば、各電流検出器CTU1、電流検出器CTX1のいずれかが故障している場合に、下半波整流回路63a内の切り離しスイッチ73をオフ状態にし、算出値の最小値選択回路66への入力を禁止する。
各下半波整流回路63b〜63d内の切り離しスイッチ73のオン状態とオフ状態の切替え条件および最小値選択回路66への信号入力は、下半波整流回路63aの動作と同様であるので説明を省略する。
加算器67は、最大値選択回路65から入力された最大値と、最小値選択回路66から入力された最小値と、を加算する。決定回路61aは、加算器67の出力をU相の交流電流Iacuの検出値として決定する。
決定回路61b及び決定回路61cは、決定回路61aと同様であるから、詳細な説明は省略する。決定回路61bは、各電流検出器CTV1〜CTV4、CTY1〜CTY4の検出結果を基に、決定回路61aと同様の手順でV相の交流電流Iacvの検出値を決定する。そして、決定回路61cは、各電流検出器CTW1〜CTW4、CTZ1〜CTZ4の検出結果を基に、決定回路61aと同様の手順でW相の交流電流Iacwの検出値を決定する。以上により、交流電流値決定部60は、各相の交流電流Iacu、Iacv、Iacwのそれぞれの検出値を決定する。
制御回路14は、直流電流値決定部50によって決定された直流電流Idcの検出値、及び交流電流値決定部60によって決定された各相の交流電流Iacu、Iacv、Iacwの検出値を基に、各変換器CELのそれぞれの各スイッチング素子41、42のオン・オフを制御する。
制御回路14は、例えば、電圧検出器25から送られる交流電力系統2の各相の交流電圧(相電圧)信号および図示されてい各変換器CELから送られる各電荷蓄積素子45の電圧等に基づき、決定された直流電流Idcの検出値及び各相の交流電流Iacu、Iacv、Iacwの検出値のそれぞれが、直流電流指令値及び交流電流指令値と一致するように、各変換器CELのそれぞれにおいて各スイッチング素子41、42のオン・オフのタイミングを決定し、決定したタイミングで各スイッチング素子41、42のオン・オフを制御する。このように、制御回路14は、各電流検出器24a〜24fの検出値を基に、直流電流指令値及び交流電流指令値に応じた電流値となるように、主回路部12の動作を制御する。
図5は、第1の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
図5は、制御回路14に設けられる故障検出回路80の一例を模式的に表している。故障検出回路80は、各アーム部22a〜22fに設けられた各電流検出器24a〜24fを構成する複数の電流検出器のそれぞれの検出値を用いた比較により、各電流検出器24a〜24fの故障の検出を行う。図5では、第1アーム部22aに設けられた各電流検出器24a(CTU1〜CTU4)の故障検出に関する部分のみ便宜的に表している。
図5に表したように、故障検出回路80は、複数の判定回路81a〜81dを有する。各判定回路81a〜81dは、第1アーム部22aの各電流検出器CTU1〜CTU4に対応して設けられる。従って、この例では、4つの判定回路81a〜81dが、故障検出回路80に設けられる。
判定回路81aは、電流検出器CTU1の故障の判定を行う。判定回路81aは、3つの比較器82a〜84aと、3つのORゲート85a〜87aと、ANDゲート88aと、遅延回路89aと、ANDゲート90a、91aと、NOTゲート92aと、フリップフロップ93aと、を有する。
比較器82aには、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU2の検出値と、が入力される。比較器82aは、例えば、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU2の検出値と、の差の絶対値が所定値以上の時に、Hi(例えば、+5V)をORゲート85aに出力し、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU2の検出値と、の差の絶対値が所定値未満の時に、Lo(例えば、0V)をORゲート85aに出力する。
比較器83aには、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU3の検出値と、が入力される。比較器83aは、例えば、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU3の検出値と、の差の絶対値が所定値以上の時に、HiをORゲート86aに出力し、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU3の検出値と、の差の絶対値が所定値未満の時に、LoをORゲート86aに出力する。
比較器84aには、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU4の検出値と、が入力される。比較器84aは、例えば、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU4の検出値と、の差の絶対値が所定値以上の時に、HiをORゲート87aに出力し、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU4の検出値と、の差の絶対値が所定値未満の時に、LoをORゲート87aに出力する。
各比較器82a〜84aにおいて、所定値は、例えば、アーム電流の定格値の数%である。所定値は、例えば、アーム電流の定格値の絶対値の0.5%以上5%以下である。
ORゲート85aには、比較器82aの出力が入力されるとともに、電流検出器CTU2の故障信号が入力される。ORゲート85aの出力は、ANDゲート88aに入力される。故障信号は、例えば、故障の非検出時にLoになり、故障の検出時にHiになる。この場合、ORゲート85aの出力は、電流検出器CTU1、CTU2の各検出値の差が所定値以上である場合、又は、電流検出器CTU2の故障が検出されている場合にHiになる。
ORゲート86aには、比較器83aの出力が入力されるとともに、電流検出器CTU3の故障信号が入力される。ORゲート86aの出力は、ANDゲート88aに入力される。ORゲート87aには、比較器84aの出力が入力されるとともに、電流検出器CTU4の故障信号が入力される。ORゲート87aの出力は、ANDゲート88aに入力される。
ANDゲート88aの出力は、遅延回路89aに入力されている。遅延回路89aは、ANDゲート88aの出力を所定時間遅らせてANDゲート90aに入力する。遅延回路89aは、例えば、電流急変などが生じた際に、各電流検出器CTU1〜CTU2の特性のばらつき等により、後述する過電流検出よりも先に電流検出器CTU1の故障が検出されてしまうことを抑制する。遅延回路89aは、例えば、電流検出器CTU1の故障の検出を電流検出器CTU1の過電流の検出よりも遅らせる。これにより、電流急変時の誤検出の発生を抑制することができる。遅延回路89aの遅延時間は、例えば、数ms(ミリ秒)程度である。遅延回路89aの遅延時間は、例えば、0.1ms以上1ms以下である。
ANDゲート90aには、遅延回路89aの出力が入力されるとともに、NOTゲート92aを介してANDゲート91aの出力が入力される。ANDゲート91aには、電流検出器CTU2の故障信号、電流検出器CTU3の故障信号、及び電流検出器CTU4の故障信号が入力される。
ANDゲート90aの出力は、フリップフロップ93aに入力される。フリップフロップ93aは、ANDゲート90aの出力を保持する。そして、フリップフロップ93aは、ANDゲート90aの出力を電流検出器CTU1の故障信号として出力する。すなわち、ANDゲート90aの出力がLoの時に、電流検出器CTU1の故障信号が非検出状態となり、ANDゲート90aの出力がHiの時に、電流検出器CTU1の故障信号が検出状態となる。フリップフロップ93aのリセット入力はフリップフロップ93aの図示されていないリセット信号が入力され、リセット信号がHiのときにフリップフロップ93aの出力はリセットされる。
上記のように構成された判定回路81aでは、例えば、電流検出器CTU1の検出値が、電流検出器CTU2の検出値、電流検出器CTU3の検出値、及び電流検出器CTU4の検出値のいずれかと実質的に同じである場合、ANDゲート88a、90aの出力がLoになり、電流検出器CTU1の故障信号が非検出状態となる。
一方、電流検出器CTU1の検出値が、電流検出器CTU2の検出値、電流検出器CTU3の検出値、及び電流検出器CTU4の検出値のそれぞれと所定値以上差がある場合、ANDゲート88a、90aの出力がHiになり、電流検出器CTU1の故障信号が検出状態(Hi)となる。すなわち、電流検出器CTU1が故障していると検出される。
このように、この例において、制御回路14は、1つのアーム部22aに設けられた複数の電流検出器CTU1〜CTU4のそれぞれの検出値同士を比較し、1つのアーム部22aに設けられた複数の電流検出器CTU1〜CTU4のうちの1つの検出値が、1つのアーム部22aに設けられた複数の電流検出器CTU1〜CTU4のうちの他の検出値のそれぞれと所定値以上差がある場合に、その1つの検出値の電流検出器を故障と検出する。
電流検出器CTU1の故障信号は、加算回路51aの切り離しスイッチ56に入力される。切り離しスイッチ56は、電流検出器CTU1の故障信号が非検出状態の時にオン状態になり、電流検出器CTU1の故障信号が検出状態の時にオフ状態になる。これにより、電流検出器CTU1の故障が検出された場合には、電流検出器CTU1の検出値が、直流電流Idcの検出値の決定から除外される。
また、電流検出器CTU1の故障信号は、上半波整流回路62aの切り離しスイッチ71及び下半波整流回路63aの切り離しスイッチ73に入力される。切り離しスイッチ71、73は、電流検出器CTU1の故障信号が非検出状態の時にオン状態になり、電流検出器CTU1の故障信号が検出状態の時にオフ状態になる。これにより、電流検出器CTU1の故障が検出された場合には、電流検出器CTU1の検出値が、交流電流Iacuの検出値の決定から除外される。さらに、電流検出器CTU1の故障信号は、他の判定回路81b〜81dに入力される。
電流検出器CTU2が故障している場合(故障信号がHiの場合)には、比較器82aの出力に関わらずORゲート85aの出力がHiになる。すなわち、電流検出器CTU2が故障している場合には、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU2の検出値と、の比較の結果が、故障の状態で保持される。これにより、故障した電流検出器CTU2の検出値との誤った判定が抑制される。
同様に、電流検出器CTU3が故障している場合には、ORゲート86aの出力がHiになり、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU3の検出値と、の比較の結果が、故障の状態で保持される。電流検出器CTU4が故障している場合には、ORゲート87aの出力がHiになり、電流検出器CTU1の検出値と、電流検出器CTU4の検出値と、の比較の結果が、故障の状態で保持される。
また、他の電流検出器CTU2〜CTU4が全て故障している場合には、ANDゲート91aの出力がHiとなり、NOTゲート92aを介してANDゲート90aにLoが入力され、ANDゲート90aの出力がLoになる。すなわち、他の電流検出器CTU2〜CTU4が全て故障している場合には、他の電流検出器CTU2〜CTU4の検出値との比較が停止され、電流検出器CTU1の検出値が、直流電流Idcの検出値の決定、及び交流電流Iacuの検出値の決定に用いられる。
判定回路81bは、電流検出器CTU2の故障の判定を行う。判定回路81bは、3つの比較器82b〜84bと、3つのORゲート85b〜87bと、ANDゲート88bと、遅延回路89bと、ANDゲート90b、91bと、NOTゲート92bと、フリップフロップ93bと、を有する。
判定回路81cは、電流検出器CTU3の故障の判定を行う。判定回路81cは、3つの比較器82c〜84cと、3つのORゲート85c〜87cと、ANDゲート88cと、遅延回路89cと、ANDゲート90c、91cと、NOTゲート92cと、フリップフロップ93cと、を有する。
判定回路81dは、電流検出器CTU4の故障の判定を行う。判定回路81dは、3つの比較器82d〜84dと、3つのORゲート85d〜87dと、ANDゲート88dと、遅延回路89dと、ANDゲート90d、91dと、NOTゲート92dと、フリップフロップ93dと、を有する。
各判定回路81b〜81dは、判定回路81aと実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。このように、故障検出回路80は、各判定回路81a〜81dにより、第1アーム部22aに設けられた各電流検出器24a(CTU1〜CTU4)の故障を検出する。そして、故障検出回路80は、同様の処理により、他のアーム部22b〜22fの各電流検出器24b〜24fの故障を検出する。これにより、複数の電流検出器24a〜24fを設けた場合にも、各電流検出器24a〜24fによって直流電流Idcの検出値及び交流電流Iacu、Iacv、Iacwの検出値を決定でき、かつ故障した電流検出器を制御から取り除くことができる。例えば、各電流検出器24a〜24fに含まれる4つの電流検出器の1つ又は2つが故障した場合でも、残りの2つの電流検出器で電力変換装置10の運転を継続することができる。
図6は、第1の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
図6は、制御回路14に設けられる過電流検出回路100の一例を模式的に表している。過電流検出回路100は、各電流検出器24a〜24fの検出値を基に、各アーム部22a〜22fの過電流の検出を行う。なお、図6では、第1アーム部22aに設けられた各電流検出器24a(CTU1〜CTU4)による過電流の検出に関する部分のみを便宜的に表している。
図6に表したように、過電流検出回路100は、複数の判定回路101a〜101dと、ORゲート105と、を有する。各判定回路101a〜101dは、第1アーム部22aの各電流検出器CTU1〜CTU4に対応して設けられる。従って、この例では、4つの判定回路101a〜101dが、過電流検出回路100に設けられる。
判定回路101aは、電流検出器CTU1の検出値の過電流の判定を行う。判定回路101aは、比較器102aと、切り離しスイッチ103aと、を有する。比較器102aには、電流検出器CTU1の検出値と、所定の閾値Ithと、が入力される。比較器102aは、例えば、電流検出器CTU1の検出値の絶対値が閾値Ith以上である場合に、Hiを出力し、電流検出器CTU1の検出値の絶対値が閾値Ith未満である場合に、Loを出力する。判定回路101aは、例えば、電流検出器CTU1の検出値の絶対値が閾値Ith未満である場合に、電流検出器CTU1の検出値を適正な範囲内と判定し、電流検出器CTU1の検出値の絶対値が閾値Ith以上である場合に、電流検出器CTU1の検出値を過電流と判定する。閾値Ithは、例えば、定格電流の1.5倍以上2倍以下である。
切り離しスイッチ103aは、比較器102aの出力に接続されている。また、切り離しスイッチ103aには、電流検出器CTU1の故障信号が入力される。切り離しスイッチ103aは、電流検出器CTU1の故障信号が非検出状態の時にオン状態になり、電流検出器CTU1の故障信号が検出状態の時にオフ状態になる。これにより、切り離しスイッチ103aは、電流検出器CTU1の故障が検出された場合に、電流検出器CTU1を過電流の検出から除外する。
また、切り離しスイッチ103aは、ORゲート105に接続されている。切り離しスイッチ103aは、オン状態の時に、比較器102aの出力をORゲート105に入力する。
判定回路101bは、電流検出器CTU2の検出値の過電流の判定を行う。判定回路101bは、比較器102bと、切り離しスイッチ103bと、を有する。判定回路101cは、電流検出器CTU3の検出値の過電流の判定を行う。判定回路101cは、比較器102cと、切り離しスイッチ103cと、を有する。判定回路101dは、電流検出器CTU4の検出値の過電流の判定を行う。判定回路101dは、比較器102dと、切り離しスイッチ103dと、を有する。各判定回路101b〜101dは、判定回路101aと実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
ORゲート105には、各比較器102a〜102dのそれぞれの出力が入力される。従って、ORゲート105の出力は、各比較器102a〜102dの出力のいずれかがHiの時に、Hiを出力する。なお、ORゲート105の代わりに2out of4(複数の入力のうち2信号以上がHiのときHiを出力する回路)を用いてもよい。
過電流検出回路100は、各電流検出器CTU1〜CTU4のそれぞれで過電流ではないと判定されている場合に、過電流の非検出状態となり、各電流検出器CTU1〜CTU4のいずれかにおいて過電流が判定された場合に、過電流の検出状態となる。
過電流検出回路100は、同様の処理により、他の電流検出器24b〜24fの過電流の検出を行う。すなわち、過電流検出回路100は、各電流検出器24a〜24fのいずれかで過電流が判定された場合に、過電流の検出状態となる。
制御回路14は、過電流を検出した場合、主回路部12の各変換器CELの動作を停止させる。制御回路14は、例えば、過電流を検出して各変換器CELの動作を停止させた後、過電流を検出した電流検出器の故障の検出を故障検出回路80によって行う。制御回路14は、過電流を検出した電流検出器が正常である場合には、各変換器CELの停止を継続させる。すなわち、実際に過電流が発生していると考えられる場合には、各変換器CELの停止を継続させる。一方、制御回路14は、過電流を検出した電流検出器が故障している場合には、その電流検出器の検出値を制御から除外し、各変換器CELの動作を再開させる。この場合、各変換器CELの停止の期間は、例えば、数十ミリ秒程度である。
図7は、第1の実施形態に係る制御回路の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図7に表したように、制御回路14は、動作を開始すると、例えば、直流電流指令値及び交流電流指令値に基づいて各変換器CELを動作させ、主回路部12による交直変換を制御する(図7のステップS101)。
制御回路14は、各変換器CELの動作を開始すると、故障検出回路80に各電流検出器24a〜24fの故障を検出させる(図7のステップS102)。
制御回路14は、各電流検出器24a〜24fのいずれかの故障が検出された場合、故障した電流検出器に対応する直流電流値決定部50の切り離しスイッチ56、交流電流値決定部60の切り離しスイッチ71、73、及び過電流検出回路100の切り離しスイッチなどをオフ状態とし、故障した電流検出器を制御から除外する(図7のステップS103)。なお、故障した電流検出器の制御からの除外は、入力された検出値を使用しないようにするものでもよいし、信号線や電流検出器などの接続を物理的に切り離すものでもよい。
このように、例えば、検出値が緩やかに変化するように各電流検出器24a〜24fが故障した場合には、各変換器CELの動作を停止させることなく、各電流検出器24a〜24fの故障の検出、及び制御からの除外を行うことができる。
制御回路14は、各電流検出器24a〜24fの故障が検出されなかった場合、又は、故障が検出された電流検出器の除外を行った場合、直流電流値決定部50に直流電流Idcの検出値を決定させるとともに、交流電流値決定部60に各相の交流電流Iacu、Iacv、Iacwの検出値を決定させる(図7のステップS104)。
制御回路14は、直流電流Idcの検出値、及び各相の交流電流Iacu、Iacv、Iacwの検出値を決定した後、直流電流指令値、交流電流指令値、電圧検出器25で検出された各相の交流電圧の検出値、直流電流Idcの検出値、及び各相の交流電流Iacu、Iacv、Iacwの検出値に基づいて、各変換器CELの動作を制御する(図7のステップS105)。
また、制御回路14は、各変換器CELを動作させている際に、各アーム部22a〜22fに流れるアーム電流の過電流の検出を過電流検出回路100に行わせる(図7のステップS106)。制御回路14は、過電流が検出されていない場合、ステップS102に戻り、各電流検出器24a〜24fの故障の検出、直流電流Idcの検出値の決定、交流電流Iacu、Iacv、Iacwの検出値の決定、及び各変換器CELの動作の制御などを繰り返す。
一方、制御回路14は、過電流検出回路100によって過電流が検出された場合、各変換器CELの動作を停止させる(図7のステップS107)。この際、過電流検出回路100は、各電流検出器24a〜24fのそれぞれの検出値が過電流か否かを判定する。これにより、過電流の発生を適切に検出することができる。例えば、過電流に対する主回路部12の保護性能を高めることができる。
制御回路14は、各変換器CELの動作を停止させた後、過電流を検出した電流検出器の故障の検出を故障検出回路80によって行う(図7のステップS108)。制御回路14は、過電流を検出した電流検出器が正常である場合には、各変換器CELの停止を継続させる(図7のステップS109)。そして、制御回路14は、過電流を検出した電流検出器が故障している場合には、その電流検出器の検出値を制御から除外し、各変換器CELの動作を再開させる。
このように、本実施形態に係る電力変換装置10によれば、検出値が緩やかに変化するように各電流検出器24a〜24fが故障した場合には、各変換器CELの動作を停止させることなく、各電流検出器24a〜24fの故障の検出、及び制御からの除外を行うことができる。そして、電流検出器の故障によって過電流が検出された場合には、各変換器CELの動作を一時的(例えば、数ミリ秒程度)に停止させるだけで、各変換器CELの動作を継続させることができる。
このように、本実施形態に係る電力変換装置10では、各電流検出器24a〜24fのいずれかに故障が生じた場合でも、各変換器CELの運転を継続することができ、信頼性及び運用性を向上させることができる。
また、電力変換装置10では、直流電流値決定部50及び交流電流値決定部60が、アーム電流の直流成分、交流成分のそれぞれに対して絶対値での最大値を選択する。従って、仮に各電流検出器24a〜24fを構成する個別の電流検出器CTU1〜CTU4、電流検出器CTX1〜CTX4、電流検出器CTV1〜CTV4、CTY1〜CTY4、電流検出器CTW1〜CTW4及び電流検出器CTZ1〜CTZ4、が過大値を検出した場合でも、制御により、その電流を抑えようとする方向に動作するため、各アーム部22a〜22fに流れる電流を抑制することができる。また、これらの個別の電流検出器が過小値を検出した場合は直流電流値決定部50及び交流電流値決定部60が、アーム電流の直流成分、交流成分のそれぞれに対して絶対値での最大値を選択するので、過小値は無視され、電力変換装置は正常に運転を継続できる。また、各電流検出器24a〜24fの故障などの場合には、切り離しスイッチにより、故障した電流検出器の切り離しを行うが、最大値選択では、1つのアーム部に設けられる電流検出器が残り2つになった場合においても、選択が可能なため高い冗長性を得ることができる。
図8は、変換器の変形例を模式的に表すブロック図である。
図8に表したように、この例において、変換器CELは、第3スイッチング素子43と、第4スイッチング素子44と、をさらに含む。第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44には、第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42と実質的に同じ素子が用いられる。
第4スイッチング素子44の一対の主端子は、第3スイッチング素子43の一対の主端子に対して直列に接続される。また、第3スイッチング素子43及び第4スイッチング素子44は、第1スイッチング素子41及び第2スイッチング素子42に対して並列に接続される。電荷蓄積素子45は、第1スイッチング素子41及び第2スイッチング素子42に対して並列に接続されるとともに、第3スイッチング素子43及び第4スイッチング素子44に対して並列に接続される。
第3スイッチング素子43には、一対の主端子に対して逆並列に整流素子43dが接続されている。第4スイッチング素子44には、一対の主端子に対して逆並列に整流素子44dが接続されている。
変換器CELの第1接続端子40aは、第1スイッチング素子41と第2スイッチング素子42との間に接続されている。第2接続端子40bは、第3スイッチング素子43と第4スイッチング素子44との間に接続されている。この例において、第2接続端子40bは、第3スイッチング素子43を介して第1スイッチング素子41の第2スイッチング素子42に接続された主端子と反対側の主端子に接続される。すなわち、この例において、各スイッチング素子41〜44は、フルブリッジ接続されている。この例において、変換器CELは、フルブリッジ回路である。ドライブ回路46は、図示されていない制御信号線により制御回路14と接続されている。
このように、MMC型の主回路部12に用いられる変換器CELは、ハーフブリッジ回路でもよいし、フルブリッジ回路でもよい。
図9は、主回路部の変形例を模式的に表すブロック図である。
図9に表したように、この例の主回路部12aでは、図1に表した変圧器6、及びバッファリアクトル23a〜23fが省略され、これらの代わりに、3巻線トランス111〜113が設けられている。
3巻線トランス111は、第1アーム部22aと第2アーム部22bとの間に設けられている。3巻線トランス111は、一次巻線111aと、二次巻線111bと、三次巻線111cと、を有する。3巻線トランス111の一次巻線111aは、交流電力系統2に接続されている。二次巻線111bは、上側アームである第1アーム部22aの負端子に接続されている。三次巻線111cは、下側アームである第2アーム部22bの正端子に接続されている。
3巻線トランス112は、第3アーム部22cと第4アーム部22dとの間に設けられている。3巻線トランス112は、一次巻線112aと、二次巻線112bと、三次巻線112cと、を有する。3巻線トランス112の一次巻線112aは、交流電力系統2に接続されている。二次巻線112bは、上側アームである第3アーム部22cの負端子に接続されている。三次巻線112cは、下側アームである第4アーム部22dの正端子に接続されている。
3巻線トランス113は、第5アーム部22eと第6アーム部22fとの間に設けられている。3巻線トランス113は、一次巻線113aと、二次巻線113bと、三次巻線113cと、を有する。3巻線トランス113の一次巻線113aは、交流電力系統2に接続されている。二次巻線113bは、上側アームである第5アーム部22eの負端子に接続されている。三次巻線113cは、下側アームである第6アーム部22fの正端子に接続されている。
また、各3巻線トランス111〜113では、二次巻線111bと三次巻線111cとの中性点、二次巻線112bと三次巻線112cとの中性点、及び二次巻線113bと三次巻線113cとの中性点のそれぞれが、互いに接続されている。
図9に表した主回路部12aも、図1に表した主回路部12と同様の動作で交直変換を行うことができる。各電流検出器24a〜24fのいずれかに故障が生じた場合でも、各変換器CELの運転を継続することができ、信頼性及び運用性を向上させることができる。また、この例の主回路部12aでは、主回路部12に比べてバッファリアクトル23a〜23fなどを省略することができ、部品点数を削減することができる。例えば、電力変換装置10の大型化やコスト増を抑制することができる。
図10は、直流電流値決定部の変形例を模式的に表すブロック図である。
図10に表したように、直流電流値決定部120は、最大値選択回路121a〜121cと、最小値選択回路122a〜122cと、加算器123a、123bと、切替スイッチ124と、切り離しスイッチ125U1〜125U4と、切り離し切替スイッチ125V1〜125V4と、切り離し切替スイッチ125W1〜125W4と、を有する。
最大値選択回路121aには、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値が切り離しスイッチ125U1〜125U4を経由して入力される。最大値選択回路121aは、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値の最大値を加算器123aに出力する。最大値選択回路121bには、各電流検出器CTV1〜CTV4の検出値が切り離しスイッチ125V1〜125V4を経由して入力される。最大値選択回路121bは、各電流検出器CTV1〜CTV4の検出値の最大値を加算器123aに出力する。最大値選択回路121cには、各電流検出器CTW1〜CTW4の検出値が切り離しスイッチ125W1〜125W4を経由して入力される。最大値選択回路121cは、各電流検出器CTW1〜CTW4の検出値の最大値を加算器123aに出力する。
加算器123aは、各最大値選択回路121a〜121cから入力された各最大値を加算し、加算結果を切替スイッチ124に入力する。
最小値選択回路122aには、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値が切り離しスイッチ125U1〜125U4を経由して入力される。最小値選択回路122aは、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値の最小値を加算器123bに出力する。最小値選択回路122bには、各電流検出器CTV1〜CTV4の検出値が切り離しスイッチ125V1〜125V4を経由して入力される。最小値選択回路122bは、各電流検出器CTV1〜CTV4の検出値の最小値を加算器123bに出力する。最小値選択回路122cには、各電流検出器CTW1〜CTW4の検出値が切り離しスイッチ125W1〜125W4を経由して入力される。最小値選択回路122cは、各電流検出器CTW1〜CTW4の検出値の最小値を加算器123bに出力する。
加算器123bは、各最小値選択回路122a〜122cから入力された各最小値を加算し、加算結果を切替スイッチ124に入力する。
切替スイッチ124は、加算器123aの加算結果と、加算器123bの加算結果と、のいずれか一方を選択的に出力する。直流電流値決定部120は、切替スイッチ124の出力を直流電流Idcの検出値として決定する。
直流電流値決定部120は、各直流送電線3、4側に流れる潮流方向の場合、加算器123aの加算結果を直流電流Idcの検出値として決定し、加算器123aの側に切替スイッチ124を切り替える。一方、直流電流値決定部120は、主回路部12側に流れる潮流方向の場合、加算器123bの加算結果を直流電流Idcの検出値として決定し、加算器123bの側に切替スイッチ124を切り替える。
潮流方向は、図示されない上位の制御装置からの潮流方向指令に従ってもよく、あるいは各電流検出器24a〜24fの検出値から潮流方向を判断してもよい。
直流電流値決定部120は、例えば、電流検出器CTU1が正常に動作している場合に、切り離しスイッチ125U1をオン状態にし、電流検出器CTU1の検出値の最大値選択回路121a及び最小値選択回路121bへの入力を許容する。そして、直流電流値決定部120は、例えば、電流検出器CTU1が故障している場合に、切り離しスイッチ125U1をオフ状態にし、電流検出器CTU1の検出値の最大値選択回路121a及び最小値選択回路122bへの入力を禁止する。
切り離しスイッチ125U2〜125U4と、切り離し切替スイッチ125V1〜125V4と、切り離し切替スイッチ125W1〜125W4動作も切り離しスイッチ125U1と同様であるので説明は省略する。
上記実施形態の直流電流値決定部50では、各相の検出値の加算結果の最大値又は最小値を直流電流Idcの検出値として決定している。これに対して、この例の直流電流値決定部120は、各相の検出値毎に最大値又は最小値を選択し、選択した各相の最大値又は最小値を加算することによって直流電流Idcの検出値を決定している。このように、最大値又は最小値の選択は、各相の検出値の加算前に行ってもよいし、各相の検出値の加算後に行ってもよい。
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
図11は、制御回路14に設けられる中間値演算回路130の一例を模式的表している。本実施形態で示す中間値演算回路130は信号入力数がn個の場合、n個の入力の信号の和からn個の入力のうちの最大値と最小値を減算した値を(n−2)で除算した値を中間値とする回路である。
図11に表したように、中間値演算回路130は、加算回路131と、最大値選択回路132と、最小値選択回路133と、減算器134と、演算器135と、切り離しスイッチ136U1〜136U4と、を有する。なお、図11では、第1アーム部22aに設けられた各電流検出器24a(CTU1〜CTU4)による中間値演算に関する部分のみを便宜的に表している。
加算回路131には、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値が切り離しスイッチ136U1〜136U4を経由して入力される。加算回路131は、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値を加算し、加算結果を減算器134に出力する。
最大値選択回路132には、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値が切り離しスイッチ136U1〜136U4を経由して入力される。最大値選択回路132は、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値の最大値を減算器134に出力する。
最小値選択回路133には、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値が切り離しスイッチ136U1〜136U4を経由して入力される。最小値選択回路133は、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値の最小値を減算器134に出力する。
中間値演算回路130は、例えば、電流検出器CTU1が正常に動作している場合に、切り離しスイッチ136U1をオン状態にし、電流検出器CTU1の検出値の加算回路131と最大値選択回路132及び最小値選択回路133への入力を許容する。そして、中間値演算回路130は、例えば、電流検出器CTU1が故障している場合に、切り離しスイッチ136U1をオフ状態にし、電流検出器CTU1の検出値の最大値選択回路132及び最小値選択回路133への入力を禁止する。
切り離しスイッチ136U2〜136U4の動作も切り離しスイッチ136U1と同様であるので説明は省略する。
減算器134は、最大値選択回路132で選択された最大値及び最小値選択回路133で選択された最小値を、加算回路131の加算結果から減算し、減算結果を演算器135に入力する。
演算器135は、例えば、減算器134の減算結果に1/2を乗算し、乗算結果を中間値として出力する。演算器135の乗算する係数は、第1アーム部22aに設けられた各電流検出器24aの数に応じて設定される。この例では、第1アーム部22aに4つの各電流検出器CTU1〜CTU4が設けられる。従って、4つの各電流検出器CTU1〜CTU4から最大値及び最小値の分を差し引いた残りの2つ分に対して1/2倍を乗算する。これにより、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値の中間値が、演算器135によって算出される。より詳しくは、演算器135は、第1アーム部22aの各電流検出器24aの各検出値から最大値及び最小値を差し引いた残りの中間値の平均値を算出する。従って、第1アーム部22aに設けられる各電流検出器24aの数が5つである場合、演算器135は、1/3を乗算する。そして、第1アーム部22aに設けられる各電流検出器24aの数が3つである場合には、演算器135は省略可能である。
中間値演算回路130は、例えば、他の各アーム部22b〜22fに設けられた各電流検出器24b〜24fのそれぞれの検出値についても、上記の第1アーム部22aと同様に、中間値を選択する。
制御回路14は、例えば、第1アーム部22aの各電流検出器24aの中間値と、第3アーム部22cの各電流検出器24cの中間値と、第5アーム部22eの各電流検出器24eの中間値と、を加算し、加算結果を直流電流Idcの検出値として決定する。
また、制御回路14は、例えば、第1アーム部22aの各電流検出器24aの中間値から、第2アーム部22bの各電流検出器24bの中間値を減算し、減算結果をU相の交流電流Iacuの検出値として決定する。同様に、制御回路14は、例えば、第3アーム部22cの各電流検出器24cの中間値から、第4アーム部22dの各電流検出器24dの中間値を減算し、減算結果をV相の交流電流Iacvの検出値として決定する。そして、制御回路14は、例えば、第5アーム部22eの各電流検出器24eの中間値から、第6アーム部22fの各電流検出器24fの中間値を減算し、減算結果をW相の交流電流Iacwの検出値として決定する。
図12は、第2の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
図12は、制御回路14に設けられる故障検出回路140の一例を模式的に表している。故障検出回路140は、各電流検出器24a〜24fの故障を検出する。なお、図12では、第1アーム部22aに設けられた各電流検出器24a(CTU1〜CTU4)の故障検出に関する部分のみ便宜的に表している。
図12に表したように、故障検出回路140は、比較器141a〜141dと、遅延回路142a〜142dと、フリップフロップ143a〜143dと、を有する。
比較器141aには、電流検出器CTU1の検出値と、中間値演算回路130で選択された第1アーム部22aの各電流検出器24a(CTU1〜CTU4)の中間値と、が入力される。比較器141aは、例えば、電流検出器CTU1の検出値と中間値との差の絶対値が所定値以上の時に、Hiを遅延回路142aに出力し、電流検出器CTU1の検出値と中間値との差の絶対値が所定値未満の時に、Loを遅延回路142aに出力する。
遅延回路142aは、比較器141aの出力を所定時間遅らせてフリップフロップ143aに入力する。フリップフロップ143aは、遅延回路142aの出力を保持する。そして、フリップフロップ143aは、遅延回路142aの出力を電流検出器CTU1の故障信号として出力する。すなわち、比較器141aの出力がLoの時に、電流検出器CTU1の故障信号が非検出状態となり、比較器141aの出力がHiの時に、電流検出器CTU1の故障信号が検出状態となる。フリップフロップ143aのリセット入力はフリップフロップ143aの図示されていないリセット信号が入力され、リセット信号がHiのときにフリップフロップ143aの出力はリセットされる。
この例では、電流検出器CTU1の検出値が、中間値と実質的に同じである場合に、電流検出器CTU1の故障信号が非検出状態となる。そして、電流検出器CTU1の検出値が、中間値と所定値以上差がある場合に、電流検出器CTU1の故障信号が検出状態となる。すなわち、電流検出器CTU1が故障していると検出される。このように、この例において、制御回路14は、1つのアーム部22aに設けられた複数の電流検出器CTU1〜CTU4のそれぞれの検出値と中間値とを比較し、中間値と所定値以上差がある検出値の電流検出器を故障と検出する。
図11において、電流検出器CTU1の故障が検出された場合には、切り離しスイッチ136U1〜136U4などにより、電流検出器CTU1の検出値が、中間値演算回路130による中間値の選択から除外される。この場合、演算器135の係数の分母から1が減算される。すなわち、この例では、1つの電流検出器を制御から除外した場合、演算器135の係数は、「1/2」から「1」に変化する。
なお、同一相の複数の電流検出器のうち2個が故障した段階で変換装置10を停止する運用の場合は、図11において切り離しスイッチ136U1〜136U4を省略してもよい。
各比較器141b〜141d、各遅延回路142b〜142d、及びフリップフロップ143b〜143dは、比較器141a、遅延回路142a、及びフリップフロップ143aと、実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
このように、この例では、中間値演算回路130が、各電流検出器24a〜24fのそれぞれの検出値の中間値を選択する。中間値を選択する方法においても、最大値を選択する場合と同様に、各電流検出器24a〜24fのいずれかに故障が生じた場合でも、各変換器CELの運転を継続することができ、信頼性及び運用性を向上させることができる。また、中間値を選択する方法では、過大値及び過小値を示す電流検出器の影響を受けない制御が可能となる。
制御回路14は、例えば、各電流検出器24a〜24fのそれぞれの中間値が閾値Ith以上である場合に、過電流を検出する。この場合、1つの電流検出器の異常によって過大値が検出されたとしても、中間値には影響が無い。このため、他の電流検出器が正常である場合には、例えば、電流検出器の故障にともなう各変換器CELの一時的な動作の停止を抑制することができる。中間値を選択する方法では、例えば、最大値を選択する方法に比べて、運用性をより向上させることができる。一方、最大値を選択する方法では、例えば、中間値を選択する方法に比べて、信頼性をより向上させることができる。
また、この例では、故障検出回路140が、中間値と所定値以上差がある場合に、故障を検出する。これにより、中間値を選択する場合にも、故障した電流検出器を適切に検出することができる。
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態に係る制御回路の一部を模式的に表すブロック図である。
図13は、制御回路14に設けられる平均値算出回路150の一例を模式的表している。
図13に表したように、平均値算出回路150は、加算回路151と、演算器152と、を有する。なお、図13では、第1アーム部22aに設けられた各電流検出器24a(CTU1〜CTU4)による平均値算出に関する部分のみを便宜的に表している。
加算回路151には、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値が入力される。加算回路151は、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値を加算し、加算結果を演算器152に出力する。
演算器152は、例えば、加算回路151の加算結果に1/4を乗算し、乗算結果を平均値として出力する。演算器152の乗算する係数は、第1アーム部22aに設けられた各電流検出器24aの数に応じて設定される。この例では、第1アーム部22aに4つの各電流検出器CTU1〜CTU4が設けられる。従って、演算器152は、加算回路151の加算結果に1/4倍を乗算することにより、各電流検出器CTU1〜CTU4の検出値の平均値を算出する。例えば、第1アーム部22aに設けられる各電流検出器24aの数が5つである場合、演算器152は、1/5を乗算する。
平均値算出回路150は、例えば、他の各アーム部22b〜22fに設けられた各電流検出器24b〜24fのそれぞれの検出値についても、上記の第1アーム部22aと同様に、平均値を算出する。
制御回路14は、例えば、第1アーム部22aの各電流検出器24aの平均値と、第3アーム部22cの各電流検出器24cの平均値と、第5アーム部22eの各電流検出器24eの平均値と、を加算し、加算結果を直流電流Idcの検出値として決定する。
また、制御回路14は、例えば、第1アーム部22aの各電流検出器24aの平均値から、第2アーム部22bの各電流検出器24bの平均値を減算し、減算結果をU相の交流電流Iacuの検出値として決定する。同様に、制御回路14は、例えば、第3アーム部22cの各電流検出器24cの平均値から、第4アーム部22dの各電流検出器24dの平均値を減算し、減算結果をV相の交流電流Iacvの検出値として決定する。そして、制御回路14は、例えば、第5アーム部22eの各電流検出器24eの平均値から、第6アーム部22fの各電流検出器24fの平均値を減算し、減算結果をW相の交流電流Iacwの検出値として決定する。
この例においては、上記第2の実施形態に関して説明した故障検出回路140の各比較器141a〜141dに入力される中間値を、平均値算出回路150で算出された平均値に置き換える。これにより、この例においても、各電流検出器24a〜24fの故障を検出することができる。すなわち、この例において、制御回路14は、1つのアーム部に設けられた複数の電流検出器のそれぞれの検出値と平均値とを比較し、平均値と所定値以上差がある検出値の電流検出器を故障と検出する。
各電流検出器24a〜24fのいずれかの故障が検出された場合には、例えば、図示を省略した切り離しスイッチなどにより、故障した電流検出器の検出値を、平均値算出回路150による平均値の算出から除外する。この場合、演算器152の係数の分母から1を減算する。すなわち、この例では、1つの電流検出器を制御から除外した場合、演算器152の係数は、「1/4」から「1/3」に変化する。
このように、この例では、平均値算出回路150が、各電流検出器24a〜24fのそれぞれの検出値の平均値を算出する。この場合、例えば、4つの電流検出器のうちの1つの検出値が指令値に対して0%になったとしても、((100%+100%+100%+0%)/4)=75%の値がフィードバックされるため、133%(1/75%)に制御することができる。
また、制御回路14は、例えば、各電流検出器24a〜24fのそれぞれの平均値が閾値Ith以上である場合に、過電流を検出する。この場合、例えば、1つの電流検出器の異常によって過大値(例えば200%)が検出されたとしても、他の電流検出器が正常である場合には、125%((100%+100%+100%+200%)/4)となる。従って、例えば、電流検出器の故障にともなう各変換器CELの一時的な動作の停止を抑制することができる。平均値を算出する方法では、例えば、最大値を選択する方法に比べて、運用性をより向上させることができる。一方、最大値を選択する方法では、例えば、平均値を算出する方法に比べて、信頼性をより向上させることができる。
上記各実施形態では、主回路部12、12aにMMC型の電力変換器を用いている。主回路部12、12aは、MMC型に限ることなく、複数の変換器CELを直列に接続する他の方式の電力変換器でもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。