JP2019193383A - 電力変換装置、及び異常検出方法 - Google Patents

電力変換装置、及び異常検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電力変換装置における電流検出器の異常を適切に検出できるようにする。【解決手段】交流を複数の電位に変換するコンバータ電力変換部21と、複数の電位の電圧を交流に変換するインバータ電力変換部31とを備える電力変換装置100において、交流電源1とコンバータ電力変換部21との間に流れる電流を検出する電流検出器26,27,28、又はインバータ電力変換部31と電動機4の間に流れる複数の電流を検出する電流検出器34,35,36と、電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値に基づいて、電流検出器の異常を判断するコンバータ側異常判断器71とインバータ側異常判断器72と、を備えるように構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、コンバータ変換部とインバータ変換部との少なくとも一方の電力変換部を備える電力変換装置、及び電力変換装置における異常を検出する異常検出方法に関し、特に、電力変換装置の電流検出器の異常を検出する技術に関する。
交流電源の電力を可変電圧可変周波数の電力に変換する電力変換装置が知られている。電力変換装置には、電源と電力変換装置の間に流れる電流を測定する電流検出器が備えられ、電流が所定の値となるように制御される。また、電力変換装置と負荷装置の間に流れる電流を測定する電流検出器が備えられ、電流が所定の値となるように制御される。
例えば、電力変換器と電動機の間に流れる電流を検出する電流検出器の健全性を確認するための技術として、単相直流励磁を行い、その際に流れる電流の挙動から異常を判断するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−090611号公報
電力変換器と電動機の間に流れる電流を検出する電流検出器や、電力変換器と電源との間に流れる電流を検出する電流検出器は、電力変換装置の電流を制御するために必須なものであり、電流検出器の異常は、システムの動作の不安定をもたらし、最悪の場合にはシステムの計画外停止をもたらし、大きな被害を及ぼす虞がある。
特許文献1には、電力変換装置と電動機の間に流れる電流を測定する電流検出器の健全性を確認するために単相直流励磁を行い、その際に流れる電流の挙動から異常を判断する技術が示されているが、電源と電力変換装置の間に流れる電流を測定する電流検出器の異常を判断するための技術は開示されていない。
また、電力変換装置と負荷装置の間に流れる電流を測定する電流検出器の健全性を確認するための他の技術についても要請されている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、電力変換装置における電流検出器の異常を適切に検出することのできる技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、一観点に係る電力変換装置は、交流を複数の電位に変換するコンバータ電力変換部又は複数の電位の電圧を交流に変換するインバータ電力変換部との少なくとも一方の電力変換部を備える電力変換装置であって、電力変換部と電源又は負荷装置との間に流れる電流を検出する電流検出器と、電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値に基づいて、電流検出器の異常を判断する異常判断器と、を備える。
本発明によれば、電力変換装置における電流検出器の異常を適切に検出することができる。
図1は、第1実施形態に係る電力変換装置の全体構成図である。 図2Aは、第1実施形態における電流検出器により検出される電流値に含まれると想定されるリプル電流の電流値のデータ(リファレンスデータ)を説明する図である。 図2Bは、第1実施形態における電流検出器により検出される電流値に含まれるリプル電流の電流値のデータを説明する図である。 図3は、第1実施形態に係る異常判断処理のフローチャートである。 図4Aは、第1実施形態における3相の交流電流を検出するそれぞれの電流検出器により検出される電流値に含まれるリプル電流の電流値を示す図である。 図4Bは、第1実施形態における、各電流検出器が正常である場合の各相についての、他の複数の相の電流検出器により検出された電流値に基づいて推定される各相に対応するリプル電流の電流値と、各相の検出値との差分値のデータを示す図である。 図4Cは、第1実施形態における、R相の電流検出器が異常である場合の各相についての、他の複数の相の電流検出器により検出された電流値に基づいて推定される各相に対応するリプル電流の電流値と、各相の検出値との差分値のデータを示す図である。 図4Dは、第1実施形態における、S相の電流検出器が異常である場合の各相についての、他の複数の相の電流検出器により検出された電流値に基づいて推定される各相に対応するリプル電流の電流値と、各相の検出値との差分値のデータを示す図である。 図4Eは、第1実施形態における、T相の電流検出器が異常である場合の各相についての、他の複数の相の電流検出器により検出された電流値に基づいて推定される各相に対応するリプル電流の電流値と、各相の検出値との差分値のデータを示す図である。 図5は、第2実施形態に係る電力変換装置の全体構成図である。 図6は、第3実施形態に係る電力変換装置の全体構成図である。 図7は、第3実施形態に係る電力変換装置の出力推定器を含む一部の構成図である。
いくつかの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、第1実施形態に係る電力変換装置について説明する。
図1は、第1実施形態に係る電力変換装置の全体構成図である。
電力変換装置100は、電源の一例としての交流電源1と、交流電源1からの交流電力を直流電力に変換するコンバータユニット(コンバータともいう)2と、コンバータユニット2が出力する直流電力を所望の交流電力に変換するインバータユニット(インバータともいう)3と、インバータユニット3が出力する交流電力で駆動される、負荷装置の一例としての電動機4と、コンバータユニット2を制御するコンバータ制御装置5と、インバータユニット3を制御するインバータ制御装置6と、を備える。
コンバータユニット2は、いわゆる3レベルコンバータであり、交流電力を、正の電位(第1電位)レベルと、中性点(零)電位(第2電位)レベルと、負の電位(第3電位)レベルとの直流電力に変換する。インバータユニット3は、いわゆる3レベルインバータであり、正の電位(第1電位)レベルと、中性点(零)電位(第2電位)レベルと、負の電位(第3電位)レベルとの直流電力を、電動機4用の交流電力に変換する。コンバータユニット2と、インバータユニット3との正の電位レベルは、P配線40で接続され、中性点電位レベルは、C配線41で接続され、負の電位レベルは、N配線42で接続されている。
コンバータユニット2は、3相の各相毎に、電力変換部の一例としてのコンバータ電力変換部21と、直流電圧の変動を抑制するためのコンバータP側平滑コンデンサ22と、コンバータN側平滑コンデンサ23と、コンバータP側平滑コンデンサ22の端子間電圧を測定するためのコンバータP側直流電圧検出器24と、コンバータN側平滑コンデンサ23の端子間電圧を測定するためのコンバータN側直流電圧検出器25と、を備える。なお、図1においては、コンバータユニット2の1相分の構成を示している。
インバータユニット3は、3相の各相毎に、電力変換部の一例としてのインバータ電力変換部31と、インバータP側平滑コンデンサ32と、インバータN側平滑コンデンサ33と、を備える。なお、図1においては、インバータユニット3の1相分の構成を示している。
コンバータ制御装置5は、変換される直流電力が所望の値となるようにコンバータ電力変換部21を制御する。インバータ制御装置6は、電動機4の出力トルクや速度が所望の特性を満たすようにインバータ電力変換部31を制御する。
コンバータユニット2は、コンバータユニット2(コンバータユニット2と交流電源1との間)の3相の中のR相の出力電流を検出して出力するR相電流検出器26(以下、単に電流検出器26という)と、コンバータユニット2の3相の中のS相の出力電流を検出して出力するS相電流検出器27(以下、単に電流検出器27という)と、コンバータユニット2の3相の中のT相の出力電流を検出して出力するT相電流検出器28(以下、単に電流検出器28という)と、をさらに備える。インバータユニット3は、インバータユニット3(インバータユニット3と電動機4との間)の3相の中のU相の出力電流を検出して出力するU相電流検出器34(以下、単に電流検出器34という)と、インバータユニット3の3相の中のV相の出力電流を検出して出力するV相電流検出器35(以下、単に電流検出器35という)と、インバータユニット3の3相の中のW相の出力電流を検出して出力するW相電流検出器36(以下、単に電流検出器36という)とをさらに備える。電力変換装置100は、電動機4に直結され、電動機4の速度を検出して出力する速度検出器7をさらに備える。
電流検出器26,27,28、及び直流電圧検出器24,25により検出された検出値の信号(出力信号)は、コンバータ制御装置5に入力される。コンバータ制御装置5は、入力された検出値に基づいて、各種演算処理を行い、コンバータ電力変換部21を制御する信号を出力する。
電流検出器34,35,36、及び速度検出器7により検出された検出値の信号(出力信号)は、インバータ制御装置6に入力される。インバータ制御装置6は、入力された検出値に基づいて、各種演算処理を行い、インバータ電力変換部31を制御する信号を出力する。
コンバータ制御装置5は、直流電圧指令発生器51と、直流電圧制御器52と、電流制御器53と、パルス生成器54とを備える。
直流電圧指令発生器51は、コンバータユニット2から出力させる直流電圧の電圧値を示す直流電圧指令値を直流電圧制御器52に出力する。
直流電圧制御器52は、直流電圧指令発生器51から入力される直流電圧指令値と、直流電圧検出器24,25から入力される直流電圧の検出値とに基づいて、コンバータ出力電流指令値を演算して、電流制御器53に出力する。具体的には、直流電圧制御器52は、直流電圧検出器24,25のそれぞれから入力される直流電圧の検出値の合計値が直流電圧指令値と一致するようにコンバータ出力電流指令値を演算する。
電流制御器53は、電流検出器26,27,28から出力されるコンバータ出力電流検出値が、直流電圧制御器52から入力されるコンバータ出力電流指令値と一致するようにコンバータ電圧指令値を演算してパルス発生器54に出力する。
パルス生成器54は、コンバータ電力変換部21による出力電圧が、電流制御器53から入力されるコンバータ出力電圧指令値に一致するように、コンバータ電力変換部21の各スイッチング素子をオン・オフ制御するためのパルス信号を演算して、パルス信号をコンバータ電力変換部21に出力する。
インバータ制御装置6は、速度指令発生器61と、速度制御器62と、電流制御器63と、パルス生成器64とを備える。
速度指令発生器61は、電動機4を動作させる速度を示す速度指令値を速度制御器62に出力する。
速度制御器62は、速度検出器7から入力される速度検出値が、速度指令発生器61から入力される速度指令値と一致するようにインバータ出力電流指令値を演算し、インバータ出力電流指令値を電流制御器63に出力する。
電流制御器63は、電流検出器34,35,36から入力されるインバータ出力電流検出値が、速度制御器62から入力されるインバータ出力電流指令値と一致するようにインバータ電圧指令値を演算してパルス生成器64に出力する。
パルス生成器64は、インバータ電力変換部31による出力電圧が、電流制御器63から入力されるインバータ出力電圧指令値に一致するように、インバータ電力変換部31の各スイッチング素子をオン・オフ制御するためのパルス信号を演算して、パルス信号をインバータ電力変換部31に出力する。
次に、電力変換装置100における異常判断に関わる構成について説明する。
電力変換装置100は、コンバータ側異常判断器71と、インバータ側異常判断器72と、表示器73とを備える。
表示器73は、例えば、液晶ディスプレイ等の情報を表示可能な表示装置であり、各種情報を表示する。
コンバータ側異常判断器71は、メモリ71a(記憶部)を有する。メモリ71aは、コンバータ電力変換部21によるスイッチングによって電流値に生じると想定されるリプル電流の電流値(基準値:リファレンス値)に関するデータ(リプル電流データ:リファレンスデータ)を記憶する。リファレンスデータは、コンバータユニット2におけるパルス条件と、交流電源1側のインピーダンス値とに基づいて、算出することができる。メモリ71aには、算出されたリファレンスデータを格納しておくようにしてもよい。
コンバータ側異常判断器71は、電流検出器26,27,28から入力される電流値(検出値)と、メモリ71a(記憶部)に格納されているリファレンスデータとを比較して、電流検出器26,27,28に異常があるか否かを判断する。コンバータ側異常判断器71は、例えば、電流検出器26,27,28の検出値からリプル電流の電流値を抽出し、その大きさの平均値がリファレンス値から所定の閾値以上外れている場合に、その検出値を検出している電流検出器が異常であると判断する。電流検出器26,27,28の検出値からリプル電流の電流値を抽出する方法としては、例えば、検出値に対してリプル電流のみを抽出するフィルタ処理を行う方法を用いることができる。
コンバータ側異常判断器71は、異常がある電流検出器を検出した場合には、異常に関する情報(例えば、異常のある電流検出器を特定できる情報(例えば、デバイス番号))と、点検、交換等を推奨するメッセージとを表示器73に表示させる。なお、コンバータ側異常判断器71は、図示しないプロセッサが、メモリに格納されたプログラムを実行することにより構成されてもよい。
インバータ側異常判断器72は、メモリ72a(記憶部)を有する。メモリ72aは、インバータ電力変換部31によるスイッチングによって電流値に生じると想定されるリプル電流の電流値(基準値:リファレンス値)に関するデータ(リプル電流データ:リファレンスデータ)を記憶する。リファレンスデータは、インバータユニット3におけるパルス条件と、電動機4側のインピーダンス値とに基づいて、算出することができる。メモリ72aには、算出されたリファレンスデータを格納しておくようにしてもよい。
インバータ側異常判断器72は、電流検出器34,35,36から入力される電流値(検出値)と、メモリ72aに格納されているリファレンスデータとを比較して、電流検出器34,35,36に異常があるか否かを判断する。インバータ側異常判断器72は、例えば、電流検出器34,35,36の検出値からリプル電流の電流値を抽出し、その大きさの平均値が、リファレンス値から所定の閾値以上外れている場合に、その検出値を検出している電流検出器が異常であると判断する。電流検出器34,35,36の検出値からリプル電流の電流値を抽出する方法としては、例えば、検出値に対してリプル電流のみを抽出するフィルタ処理を行う方法を用いることができる。
インバータ側異常判断器72は、異常がある電流検出器を検出した場合には、異常に関する情報(例えば、異常のある電流検出器を特定できる情報(例えば、デバイス番号))と、点検、交換等を推奨するメッセージとを表示器73に表示させる。なお、インバータ側異常判断器72は、図示しないプロセッサが、メモリに格納されたプログラムを実行することにより構成されてもよい。
次に、第1実施形態に係るコンバータ側異常判断器71による異常判断について具体的に説明する。なお、インバータ側異常判断器72による異常判断も同様である。
図2Aは、第1実施形態における電流検出器により検出される電流値に含まれると想定されるリプル電流の電流値のデータ(リファレンスデータ)を説明する図であり、図2Bは、第1実施形態における電流検出器により検出される電流値に含まれるリプル電流の電流値のデータを説明する図である。なお、図2Bにおいては、T相の電流を検出する電流検出器28が異常である場合の例を示している。
図2Aに示すように、電流検出値26,27,28が正常であるとした場合において、各電流検出器から検出される電流値から得られると想定されるリプル電流の電流値のデータ(リファレンスデータ)は、それぞれ、(a−1)、(a−2)、(a―3)に示すようになる。このリファレンスデータは、上述したように、メモリ71aに格納されている。
ここで、電流検出器に異常が無い場合には、各時点における電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値は、リファレンスデータの各時点の値に一致し、または近い値となるが、電流検出器に異常がある場合には、異常のある電流検出器により検出された電流値に含まれるリプル電流の電流値は、図2Bの(b−3)に示すようになり、対応するリファレンスデータ(ここでは、図2A(a−3))との間に乖離が発生する。
そこで、コンバータ側異常判断器71は、所定のパルス条件において、3つの電流検出器26,27,28の検出値に含まれるリプル電流の電流値(検出値)が、リファレンスデータのリプル電流の電流値(リファレンス値)から所定の閾値以上外れているか否かを判定し、検出値がリファレンス値から所定の閾値以上外れている場合には、この検出値を検出した電流検出器が異常であると判定し、表示器73に、その電流検出器が異常であることと、その電流検出器の点検と交換を推奨するメッセージとを表示する。
ここで、電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値を特定する方法としては、検出値からフィルタを用いてリプル電流の電流値のみを抽出する方法がある。次のような方法もある。例えば、コンバータユニット2が無負荷状態である場合には、コンバータユニット2と交流電源1との間には、リプル電流のみが流れ、各電流検出器26,27,28から検出される検出値は、リプル電流の電流値を示すこととなるので、例えば、稼働に必要なコンデンサ(22、23,32,33)の初充電後の待機状態(無負荷状態)において、上記した電流検出器の異常判断を行うようにすると、電流検出器の検出値からリプル電流の電流値を抽出する必要がなく、電流検出器の検出値をそのまま利用して容易に電流検出器の異常を検出することができ、実際の操業状態に入る前に早期に異常への対応を行うことができる。また、同様に、インバータユニット3が無負荷状態(励磁入り時(無負荷で直流時))である場合には、インバータユニット3と電動機4との間には、直流の電流にリプル電流が重畳した電流が流れ、各電流検出器34,35,36から検出される検出値は、直流成分を差し引くことでリプル電流の電流値を示すこととなるので、この状態において、上記した電流検出器の異常判断を行うようにすると、電流検出器の検出値からリプル電流の電流値を容易に抽出して電流検出器の異常を検出することができ、実際の操業状態に入る前に早期に異常への対応を行うことができる。なお、無負荷状態において処理をする場合には、メモリ71a(メモリ72a)には、無負荷状態に対応するリプル電流の基準値(無負荷時基準値)を含むリファレンスデータを格納しておく必要がある。
図2Aでは、リプル電流の電流値のリファレンスデータとして時系列のリプル電流の電流値(電流波形)とし、電流検出値の時系列の検出値に含まれるリプル電流の電流値(リプル電流波形)とを比較するようにしているが、本発明はこれに限られず、所定のパルス条件におけるリプル電流の電流値をリファレンス値とし、電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値に対して所定の処理(例えば、絶対値化、平均化したりすることによるフィルタリング)を行った値とを比較して、電流検出器の異常を判定するようにしてもよい。
ここで、電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値が、リファレンス値から所定の閾値以上外れている場合であっても、必ずしも電流検出器の異常であるとは限らないこともあり得る。そこで、本実施形態に係るコンバータ側異常判断器71は、電流検出器の異常以外の要因によって、電流検出器が異常であると誤判断されるリスクを低減するために、以下に示す異常判断処理を行っている。
図3は、第1実施形態に係る異常判断処理のフローチャートである。異常判断処理は、電力変換装置100の駆動時において、コンバータ側異常判断器71とインバータ側異常判断器72とのそれぞれによって実行される。以下は、コンバータ側異常判断器71の異常判断処理を主として説明し、インバータ側異常判断器72による処理については、異なる点を[]内に記載することとする。
コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、3つの電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]の検出値がすべて零(又は零に近い値)であるか否かを判定する(ステップS11)。なお、本実施形態では、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、3つの電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]の検出値がすべて零、すなわち、リプル電流の成分無しであるか否かを判定している。
ここで、異常判断処理は、電力変換装置100の駆動時に行っているので、電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]が正常であれば、電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]の検出値には、リプル電流が含まれている。したがって、3つの電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]の検出値がすべて零である場合(ステップS11:Yes)には、例えば、コンバータ電力変換部21[インバータ変換部31]に異常がある等の可能性が考えられるため、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、コンバータ電力変換部21[インバータ変換部31]に異常があると判断し、電力変換部に異常があることを示す情報(「電力変換部異常」)を表示器73に表示させ(ステップS12)、処理をステップS19に進める。なお、リプル電流の成分の有無でコンバータ電力変換部21の異常を判断するようにしているが、例えば、コンバータユニット2で初充電後にコンバータ電力変換部21を駆動した時に流れる電流が3つの電流検出器26,27,28で検出されず、すべて零である場合に電力変換部異常と判断してもよい。
また、上記処理では、リプル電流の成分の有無でインバータ電力変換部31の異常を判断するようにしているが、例えば、インバータユニット3側で励磁入り(電動機4を駆動する場合に励磁電流を流す状態)を行うためにインバータ電力変換部31を駆動した時に流れる電流が3つの電流検出器34,35,36で検出されず、すべて零である場合に電力変換部異常と判断してもよい。
一方、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、3つの電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]の検出値がすべて零(又は零に近い値)でない場合(ステップS11:No)には、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、3つの電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]のいずれかの検出値に零があるか否かを判定する(ステップS13)。
この結果、3つの電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]のいずれかの検出値に零がある場合(ステップS13:Yes)には、検出値が零である電流検出器が利用している電流検出を行うためのループ(電流検出ループ:配線)の断線、緩みなどによる異常が考えられるため、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は電流検出ループに異常があると判断し、電流検出ループに異常があることを示す情報(「電流検出ループ異常」)を表示器73に表示させ(ステップS14)、処理をステップS19に進める。なお、ステップS11と同じように、リプル電流の成分の有無、コンバータユニット2側で初充電後にコンバータ電力変換部21を駆動させた状態、またはインバータユニット3側で励磁入りの状態とするためにインバータ電力変換部31を駆動させた状態での電流の有無で異常を判定してもよい。
一方、3つの電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]のいずれの検出値にも零がない場合(ステップS13:No)には、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、所定のパルス条件において、3つの電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]の検出値に含まれるリプル電流の電流値(検出値)と、リファレンスデータのリプル電流の電流値(リファレンス値)とを比較し、それらが所定の閾値よりも大きい乖離があるか否かを判定する(ステップS15)。
この結果、リファレンス値と、検出値との間に、所定の閾値よりも大きい乖離がある場合(ステップS15:Yes)には、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、所定の閾値よりも大きい乖離がある検出値に対応する電流検出器が異常であると判断し、この電流検出器に異常があることを示す情報(「電流検出器異常」)を表示器73に表示させ(ステップS16)、処理をステップS19に進める。
ステップS19では、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、「異常個所を点検及び交換してください」との文章を表示器73に表示させて、処理を終了する。
一方、リファレンス値と、検出値との間に、所定の閾値以下の乖離しかない場合(ステップS15:No)には、各電流検出器26,27,28[電流検出器34,35,36]に異常がないことを意味しているので、コンバータ側異常判断器71[インバータ側異常判断器72]は、異常判定処理を終了する。
以上説明したように、第1実施形態に係る電力変換装置100では、電流検出器の出力(検出値)に含まれるリプル電流の電流値に基づいて電流検出器の異常を判断し、異常のある電流検出器の点検、交換を推奨する表示を行うようにしたので、実際の操業状態に入る前に電流検出器の点検および交換を行うように仕向けることができる。
上記した第1実施形態において、例えば、リファレンスデータとして、予め計算したデータを用いる場合には、予め計算した際に想定した条件と、電力変換装置100を配置した実際の場所における条件とが異なる場合があり得る。この場合には、予め計算したリファレンスデータを用いると、リファレンスデータの誤差により、電流検出器の異常判断が間違ってしまうリスクがある。
これに対して、例えば、電力変換装置100の検出値が正常であることが保証できる時点(例えば、電力変換装置100の最初の設置時(据付時)等)において、電力変換装置100を駆動することにより、各電流検出器の検出値に生じるリプル電流の電流値のデータを取得して、このデータをリファレンスデータとしてメモリ71a(72a)に記憶するようにしてもよい。このようにすると、リファレンスデータを、電力変換装置100の実際の使用状態に適合したデータとすることができ、電流検出器の異常の誤判断のリスクを低減できる。
また、電流検出器により検出される検出値に含まれるリプル電流の電流値は、電力変換装置100の直流電圧の影響により変化するため、検出値に含まれるリプル電流の電流値に対して、直流電圧の変動分を考慮した係数を掛けて補正した電流値(補正電流値)のデータ(補正リプル電流データ)を、リファレンスデータと比較するようにしてもよい。このようにすると、直流電圧の変動の影響による誤判断のリスクを低減できる。
また、上記した第1実施形態においては、リファレンスデータと、各電流検出器26,27,28,34,35,36の検出値に含まれるリプル電流の電流値とを比較することにより、電流検出器の異常を判断するようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、以下に示すように、3つの電流検出器26,27,28(電流検出器34,35,36)の検出値から相互に得られる値を用いて比較すること(相互比較)により異常を判断するようにしてもよい。
以下に相互比較により異常を判断する方法について記載する。相互比較により異常を判断する方法は、3相の電流値の和が零になることを利用したものであり、コンバータ側異常判断器71(インバータ側異常判断器72)は、他の2相の電流値に含まれるリプル電流の電流値から推定した或る相の電流値に含まれるリプル電流の電流値(算出値)と、或る相の検出値に含まれるリプル電流の電流値(検出値)との差分値に関するデータと、各相の検出値に含まれるリプル電流の電流値とを相互に比較することで異常を判断する。
この方法について、コンバータユニット2が無負荷状態である場合を例により詳細に説明する。なお、コンバータユニット2が無負荷状態である場合においては、各電流検出器26,27,28の検出値は、リプル電流の電流値に相当する。
ここで、コンバータユニット2の3相電流の真値をIr、Is、Itとし、各電流検出器26,27,28による検出値をIrd、Isd、Itdとする。また、例えばT相の電流検出器28の検出値に異常があり、真値Itに誤差ΔItdが加算されたItd=It+ΔItdが検出されたとする。
上記したように3相電流の和は零となることから、コンバータ側異常判断器71は、零から他の2相の検出値の合算を差し引くことで各相のリファレンスデータを作成し、その各相のリファレンスデータと、対応する相の検出値とを比較(例えば差分をとる)することで異常誤差を検出する。次いで、コンバータ側異常判断器71は、異常誤差に基づいて、電流検出器の異常の有無を判断する。
具体的には、R相のリファレンスデータIrdhは、式(1)に示すようになり、S相のリファレンスデータIsdhは、式(2)に示すようになり、T相のリファレンスデータItdhは、式(3)に示すようになる。
Irdh=0−(Isd+Itd)=0−(Is+It+ΔItd)=Ir−ΔItd ・・・(1)
Isdh=0−(Ird+Itd)=0−(Ir+It+ΔItd)=Is−ΔItd ・・・(2)
Itdh=0−(Ird+Isd)=0−(Ir+Is)=It ・・・(3)
各相の検出値と、リファレンスデータとの差分値を取ると、R相については、Ird−Irdh=Ir−(Ir−ΔItd)=ΔItdとなり、S相については、Isd−Isdh=Is−(Is−ΔItd)=ΔItdとなり、T相については、Itd−Itdh=It+ΔItd−It=ΔItdとなり、すべての相について、ΔItd、すなわち、異常分が算出されることとなる。
全ての電流検出器が正常である場合には、ΔItdが零であるので、全ての相についての差分値が零または、零に近い値となる。このため、すべての相についての差分値が所定の閾値以内であるか否かを判定することで、電流検出器の異常の有無を判断できる。
次に、リプル電流の電流値、及び電流検出器の状態と各相についての差分値の具体例について説明する。
図4Aは、第1実施形態における3相の交流電流を検出するそれぞれの電流検出器により検出される電流値に含まれるリプル電流の電流値を示す図である。図4Bは、第1実施形態における、各電流検出器が正常である場合の各相についての、他の複数の相の電流検出器により検出された電流値に基づいて推定される各相に対応するリプル電流の電流値と、各相の検出値との差分値のデータを示す図である。図4Cは、第1実施形態における、R相の電流検出器が異常である場合の各相についての、他の複数の相の電流検出器により検出された電流値に基づいて推定される各相に対応するリプル電流の電流値と、各相の検出値との差分値のデータを示す図である。図4Dは、第1実施形態における、S相の電流検出器が異常である場合の各相についての、他の複数の相の電流検出器により検出された電流値に基づいて推定される各相に対応するリプル電流の電流値と、各相の検出値との差分値のデータを示す図である。図4Eは、第1実施形態における、T相の電流検出器が異常である場合の各相についての、他の複数の相の電流検出器により検出された電流値に基づいて推定される各相に対応するリプル電流の電流値と、各相の検出値との差分値のデータを示す図である。
各電流検出器26,27,28のすべてが正常である場合には、例えば、図4Aに示すように、R相におけるリプル電流の電流値は、(a−1)に示すようになり、S相におけるリプル電流の電流値は、(a−2)に示すようになり、T相におけるリプル電流の電流値は、(a−3)に示すようになる。
各電流検出器26,27,28のすべてが正常である場合には、図4Bの(b−1),(b−2),(b−3)に示すように、すべての相についての差分値は、常に零(又は、零に近い値)となる。
一方、R相の電流検出器26に異常がある場合(例えば、電流検出器26にゲイン故障がある場合を想定)には、図4Cの(c−1),(c−2),(c−3)に示すように、全ての相についての差分値は、零から離れた値が含まれるようになり、いずれかの電流検出器に異常があることがわかる。また、各相についての差分値のデータは、(c−1),(c−2),(c−3)に示すような同様な波形(時間に対する変化の方向が同様な波形:形状が類似する波形)となる。この波形は、異常のある電流検出器26により正常時に検出される波形(a−1)と同様な波形であることがわかる。ゲイン故障であれば、異常のある電流検出器26により検出される波形は、この波形(a−1)と同様な波形となるので、差分値の波形は、異常のある電流検出器26により検出される波形とも同様な波形であることが言える。コンバータ側異常判断器71は、この特徴を利用して、差分値のデータの波形と、各電流検出器により検出された波形を比較することにより、類似する波形が検出されている電流検出器26が異常であると特定する。
また、S相の電流検出器27に異常がある場合(例えば、電流検出器27にゲイン故障がある場合を想定)には、図4Dの(d−1),(d−2),(d−3)に示すように、全ての相についての差分値は、零から離れた値がふくまれるようになり、いずれかの電流検出器に異常があることがわかる。各相についての差分値のデータは、(d−1),(d−2),(d−3)に示すような同様な波形となる。上記同様に、差分値の波形は、異常のある電流検出器27により検出される波形とも同様な波形であることが言える。コンバータ側異常判断器71は、この特徴を利用して、差分値のデータの波形と、各電流検出器により検出された波形を比較することにより、類似する波形が検出されている電流検出器27が異常であると特定する。
また、T相の電流検出器28に異常がある場合(例えば、電流検出器28にゲイン故障がある場合を想定)には、図4Eの(e−1),(e−2),(e−3)に示すように、全ての相についての差分値は、零から離れた値が含まれるようになり、いずれかの電流検出器に異常があることがわかる。各相についての差分値のデータは、(e−1),(e−2),(e−3)に示すような同様な波形となる。上記同様に、差分値の波形は、異常のある電流検出器28により検出される波形とも同様な波形であることが言える。コンバータ側異常判断器71は、この特徴を利用して、差分値のデータの波形と、各電流検出器により検出された波形を比較することにより、類似する波形が検出されている電流検出器28が異常であると特定する。
なお、インバータユニット3側においても上記同様な処理を行うことにより、各電流検出器34,35,36のいずれが異常であるかを特定することができる。
以上説明したように、3つの電流検出器26,27,28(電流検出器34,35,36)の検出値から相互に得られる値を用いて比較すること(相互比較)により異常を判断するようにすると、リファレンスデータを記憶せずとも、異常な電流検出器を特定することができる。
次に、第2実施形態に係る電力変換装置について説明する。
図5は、第2実施形態に係る電力変換装置の全体構成図である。なお、図1に示す第1実施形態に係る電力変換装置と同様な構成については同一の符号を付す。
第2実施形態に係る電力変換装置101は、第1実施形態に係る電力変換装置100において、コンバータユニット2を2レベルコンバータとし、インバータユニット3を2レベルインバータとし、コンバータ側の平滑コンデンサ22,23の電極間の電位を直流電圧検出器29で検出するようにしたものである。
3レベルと2レベルの変換方式(パルス波形)の違いにより、発生するリプル電流が異なるが、電力変換装置101においても、コンバータ側異常判断器71が、電流検出器26,27,28による検出値に基づいて、第1実施形態と同様な処理(例えば、リファレンスデータとの比較)を行うことにより、電流検出器26,27,28の異常を適切に判断することができる。また、インバータ側異常判断器72が、電流検出器34,35,36による検出値に基づいて、第1実施形態と同様な処理(例えば、リファレンスデータとの比較)を行うことにより、電流検出器34,35,36の異常を適切に判断することができる。
次に、第3実施形態に係る電力変換装置について説明する。
図6は、第3実施形態に係る電力変換装置の全体構成図である。なお、図1に示す第1実施形態に係る電力変換装置と同様な構成については同一の符号を付す。
第3実施形態に係る電力変換装置102は、第1実施形態に係る電力変換装置100において、新たにコンバータ側出力推定器74とインバータ側出力推定器75とを備えるようにしたものである。
コンバータ側出力推定器74は、複数の電流検出器26,27,28からの検出値に基づいて、異常となった電流検出器の検出対象についての正確な検出値(本来検出されるべき検出値)を推定する。なお、コンバータ側出力推定器74は、図示しないプロセッサが、メモリに格納されたプログラムを実行することにより構成されてもよい。
ここで、異常となった電流検出器の検出対象についての正確な検出値を推定する方法は、電力変換装置102においては、各電流検出器が正常な状態であれば、コンバータ側の電流検出器26,27,28との検出値を加算した合成電流値は零となるという関係を利用している。このような関係により、いずれか1つの電流検出器が異常となった場合には、健全な2つの電流検出器の検出値を加算した値を、零から減算することにより、異常な電流検出器の測定対象の正確な検出値を推定することができる。
次に、コンバータ側出力推定器74の具体的な構成及び動作を説明する。
図7は、第3実施形態に係る電力変換装置の出力推定器を含む一部の構成図である。図7において、R相の電流検出器26の検出値をIRFB_cとし、S相の電流検出値27の検出値をISFB_cとし、T相の電流検出器28の検出値をITFB_cとしている。また、図7は、T相の電流検出器28に異常がある場合の例を示している。
コンバータ側異常判断器71は、R相の電流検出器26の検出値(IRFB_c)と、S相の電流検出器27の検出値(ISFB_c)と、T相の電流検出器28の検出値(ITFB_c)とが入力されており、いずれかの電流検出器が異常であると判断すると、異常である電流検出器を示す異常判断情報をコンバータ側出力推定器74に出力する。図7に示す例においては、コンバータ側異常判断器71は、電流検出器28が異常であると判断し、電流検出器28が異常であるとの情報(ITFB_c異常判断情報)をコンバータ側出力推定器74に出力する。
コンバータ側出力推定器74は、電流検出器26の検出値(IRFB_c)と、電流検出器27の検出値(ISFB_c)とを加算して、2つの相の合成電流値(IRS_c)を算出する。
コンバータ側出力推定器74は、零から2つの相の合成電流値(IRS_c)を減算して、正常であれば電流検出器28に検出されると推定される推定値(ITFBH_c)を算出する。
コンバータ側出力推定器74の選択部74aは、電流検出器28の検出値(ITFB_c)と、電流検出器28の推定値(ITFBH_c)とを入力として、コンバータ側異常判断器71から電流検出器28が異常であるとの情報(ITFB_c異常判断情報)の入力がある場合には、電流検出器28の推定値(ITFBH_c)を選択して所定の送信先(この例では、コンバータ制御装置5)へ出力し、コンバータ側異常判断器71から電流検出器28が異常であるとの情報(ITFB_c異常判断情報)の入力がない場合には、電流検出器28の検出値(ITFB_c)を選択して所定の送信先へ出力する。
このような構成により、電流検出器28に異常があった場合において、電流検出器28の検出値に変えて、適切な推定値を出力することができる。なお、図7においては、電流検出器28に異常があった場合において、関係する構成を示しているが、他の電流検出器においても同様な構成で、異常がある場合に適切な推定値を出力することができる。
例えば、電流検出器26については、電流検出器28を電流検出器26に読み替えた構成を含んでいればよく、電流検出器27については、電流検出器28を電流検出器27に読み替えた構成を含んでいればよい。
また、コンバータ側の構成及び動作について説明したが、インバータ側についても同様な構成(インバータ側推定器75)及び動作で、電流検出器34,35,36のいずれかに異常がある場合に適切な推定値を出力することができる。上記した説明において、R相をU相に、S相をV相に、T相をW相に読み替え、電流検出器26,27,28を電流検出器34,35,36に読み替えることにより、インバータ側の動作となる。なお、図7は、W相の電流検出器36に異常がある場合に関係する構成の例を示している。
以上説明したように、第3実施形態による電力変換装置102では、電流検出器に異常があると判断した場合に、異常がある電流検出器以外の健全な電流検出器の検出値に基づいて、異常がある電流検出器における検出対象の正常な検出値を推定するようにしたので、異常がある電流検出器を交換せずに電力変換装置102を使用することができ、例えば、次の定期点検時まで電力変換装置102を継続して運転させる、しのぎ運転を行うことができる。これにより、電力変換装置102を計画外停止させる必要がない。
なお、図7に示す構成によるしのぎ運転については、図5で示した第2実施形態に係る電力変換装置101においても同様に適用することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、コンバータ側異常判断器71と、コンバータ側出力推定器74と、インバータ側異常判断器72と、インバータ側出力推定器75とが行っていた処理の一部又は全部を、専用のハードウェア回路で行うようにしてもよい。
また、上記したいずれかの実施形態において、コンバータ側異常判断器71またはインバータ側異常判断器72が、電流検出器による検出値の異常予備値(異常予備値とは異常判断までに至らない異常値)の履歴(例えば、実行日時と異常予備値)を記憶し、異常予備値の履歴に基づいて、電流検出器による異常予備値の変化を把握し、電流検出器の出力が異常を判断するための所定の閾値を超えるまでの期間、すなわち、異常発生までの期間を予測し、その予測結果を表示器73に表示させるようにしてもよい。このようにすると、異常発生の時期を前もって把握することができ、異常発生の予防や、異常発生時の対応の準備を予め行うことができる。
また、上記実施形態では、コンバータユニット2と、インバータユニット3とを含む電力変換装置としていたが、コンバータユニット2又はインバータユニット3のいずれか一方のみを備える電力変換装置に対して本発明を適用することができる。
2…コンバータユニット、3…インバータユニット、4…電動機、5…コンバータ制御装置、6…インバータ制御装置、21…コンバータ電力変換部、26…R相電流検出器、27…S相電流検出器、28…T相電流検出器、31…インバータ電力変換部、34…U相電流検出器、35…V相電流検出器、36…W相電流検出器、71…コンバータ側異常判断器、72…インバータ側異常判断器、73…表示器、74…コンバータ側出力推定器、75…インバータ側出力推定器、100,101,102…電力変換装置

Claims (15)

  1. 交流を複数の電位に変換するコンバータ電力変換部又は複数の電位の電圧を交流に変換するインバータ電力変換部との少なくとも一方の電力変換部を備える電力変換装置であって、
    前記電力変換部と電源又は負荷装置との間に流れる電流を検出する電流検出器と、
    前記電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値に基づいて、前記電流検出器の異常を判断する異常判断器と、
    を備える電力変換装置。
  2. 前記電流検出器の検出値に含まれると想定されるリプル電流の基準値を記憶する記憶部をさらに備え、
    前記異常判断器は、前記記憶部に記憶された前記リプル電流の基準値と、前記電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値とに基づいて、前記電流検出器の異常を判断する
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記記憶部は、前記基準値として、前記電力変換部の負荷がない条件での動作時に前記電流検出器の検出値に含まれると想定されるリプル電流の基準値である無負荷時基準値を記憶し、
    前記異常判断器は、前記電力変換部を負荷がない条件で動作させた際における前記電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値と、前記無負荷時基準値とに基づいて、前記電流検出器の異常を判断する
    請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記電流検出器を、前記電力変換部と電源又は負荷装置との間に流れる複数相のそれぞれの電流を検出するために複数備える
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  5. 前記異常判断器は、前記複数の電流検出器のすべての検出値が零又は零に近い値である場合に、前記電力変換部が異常であると判断する
    請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記異常判断器は、前記電流検出器のいずれか1つの電流検出器による検出値が零又は零に近い値である場合に、当該電流検出器に接続された配線の異常であると判断する
    請求項4又は請求項5に記載の電力変換装置。
  7. 前記異常判断器は、前記電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値が、前記記憶部に記憶された前記リプル電流の基準値から所定値以上外れている場合に、前記電流検出器が異常であると判断する
    請求項2に記載の電力変換装置。
  8. 前記記憶部に記憶された前記リプル電流の基準値は、前記電力変換装置を設置して動作させた際における前記電流検出器の検出値に基づいて算出された基準値であり、
    前記異常判断器は、前記電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値が、前記記憶部に記憶された前記リプル電流の基準値から所定値以上外れている場合に、前記電流検出器が異常であると判断する
    請求項2に記載の電力変換装置。
  9. 前記異常判断器は、前記検出値に含まれるリプル電流の電流値に前記電力変換部による直流電圧の変動分を考慮した係数を掛けた補正電流値が、前記記憶部に記憶された前記基準値から所定値以上外れている場合に異常と判断する
    請求項2に記載の電力変換装置。
  10. 前記電流検出器を、前記電力変換部と電源又は負荷装置との間に流れる3相のそれぞれの電流を検出するために複数備え、
    前記異常があると特定された電流検出器が検出対象とする相以外の2相の電流検出器による検出値に基づいて、前記異常があると特定された電流検出器の検出対象とする電流の電流値を推定する出力推定部をさらに備える
    請求項4に記載の電力変換装置。
  11. 前記電流検出器を、前記電力変換部と電源又は負荷装置との間に流れる3相のそれぞれの電流を検出するために複数備え、
    前記異常判断器は、一の相についての検出値に含まれるリプル電流の電流値と、他の2相についての検出値に含まれるリプル電流の電流値から算出される前記一の相のリプル電流の電流値と、の差分値と、各相についての検出値に含まれるリプル電流の電流値と、に基づいて、複数の前記電流検出器の中の異常がある電流検出器を特定する
    請求項1に記載の電力変換装置。
  12. 前記異常があると特定された電流検出器が検出対象とする相以外の2相の電流検出器による検出値に基づいて、前記異常があると特定された電流検出器の検出対象とする電流の電流値を推定する出力推定部をさらに備える
    請求項11に記載の電力変換装置。
  13. 前記異常判断器は、異常の発生を判断した場合に、異常に関する情報を表示装置に表示させる
    請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  14. 前記異常判断器は、前記電流検出器による検出値の履歴を記憶し、前記検出値の履歴に基づいて、前記電流検出器の異常発生までの期間を予測し、予測結果を前記表示装置に表示させる
    請求項13に記載の電力変換装置。
  15. 交流を複数の電位に変換するコンバータ電力変換部又は複数の電位の電圧を交流に変換するインバータ電力変換部との少なくとも一方の電力変換部を備える電力変換装置による異常検出方法であって、
    電流検出器により、前記電力変換部と電源又は負荷装置との間に流れる電流を検出し、
    前記電流検出器の検出値に含まれるリプル電流の電流値に基づいて、前記電流検出器の異常を判断する
    異常検出方法。

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