以下に、図面を参照しながら開示技術を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
開示技術を適用した第1実施形態について、図1〜図22を参照して説明する。
本実施形態の車両用空調装置の通風系は、大別して、図1に示す空調ユニット20と、この空調ユニット20に空気を送風する送風機ユニットとの2つの部分に分かれている。送風機ユニットは、例えば車室内の計器盤下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されている。これに対し、空調ユニット20は車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置されている。送風機ユニットは車室外空気である外気と車室内空気である内気を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して空気を吸入して送風する送風機とから構成されている。送風機ユニットの送風空気の出口部は、空調ユニット20の空気流入口24に接続されている。
空調ユニット20は、共通の空調ケース21内に、冷却用熱交換器である蒸発器22と、加熱用熱交換器であるヒータコア23を内蔵している。空調ケース21は、その内部に、車室内へ吹き出す空調風の空気通路を形成する。
空調ケース21は、例えばポリプロピレン樹脂のような、ある程度弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなる。空調ケース21は、例えば、個別に成形された複数のケースを組み合わせてなる。空調ケース21は、例えば、上ケース、中ケース、および、下ケースを組み合わせて構成することができる。個別に成形された複数のケースは、蒸発器22、ヒータコア23、後述のドア等の機器を収納した後に、金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合されて空調ケース21を構成する。
空調ケース21の車両前方側となる図示左方側の部位には、空気流入口24が設けられている。この空気流入口24には、送風機ユニットから送風される空気が流入する。
空調ケース21内において、空気流入口24直後の部位に蒸発器22が空気通路の全域を横切るように配置されている。蒸発器22は、冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空気から吸収して、空気を冷却するものである。蒸発器22は、車両前後方向には薄型で、車両上下方向に長手方向が向く形態で、若干傾斜して空調ケース21内に設置されている。蒸発器22は、積層型のものであって、アルミニウム等の金属薄板等により構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたコア部を有する。
蒸発器22の空気流れ下流側に、所定の間隔を開けてヒータコア23が隣接配置されている。ヒータコア23は、蒸発器22を通過した冷風を加熱するものであって、その内部に例えば高温のエンジン冷却水が流れ、この冷却水を熱源として空気を加熱するものである。ヒータコア23も蒸発器22と同様に、車両前後方向には薄型で、車両上下方向に長手方向が向く形態で、空調ケース21内に若干傾斜して設置されている。ヒータコア23は、アルミニウム等の金属薄板等により構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたコア部を有する。
空調ケース21内で、ヒータコア23の上方側の部位には、蒸発器22から流出した冷風がヒータコア23をバイパスして流れるバイパス通路である冷風通路25が形成されている。一方、空調ケース21内において、ヒータコア23の空気流れ下流側には、ヒータコア23の直後から上方に向かう温風通路28が形成されている。冷風通路25の下流側の部位には、冷風通路25からの冷風と温風通路28からの温風とを交差する方向から合流させて、冷風と温風とを混合させる冷温風混合空間30が形成されている。
そして、ヒータコア23より空気流れ下流側となる上方側には、ヒータコア23を通る温風と冷風通路25を通る冷風の風量割合を調整するエアミックスドア40が配置されている。
空調ケース21の上面部において、車両前方側の部位にはデフロスタ開口部31が開口している。このデフロスタ開口部31は冷温風混合空間30から温度制御された空気が流入するものであって、デフロスタダクトを介してデフロスタ吹出口に接続され、この吹出口から車両前面窓ガラスの内面に向けて風を吹き出すようになっている。
空調ケース21の上面部において、デフロスタ開口部31よりも車両後方側の部位にはセンタフェイス開口部33が開口している。このセンタフェイス開口部33も冷温風混合空間30から温度制御された空気が流入するものである。センタフェイス開口部33は、センタフェイスダクトを介して、例えばインストルメントパネルの車両幅方向中央部に設けられたセンタフェイス吹出口に接続され、この吹出口から車室内の乗員頭部に向けて風を吹き出すようになっている。
また、空調ケース21の後方面部には、フット開口部35が開口している。このフット開口部35も冷温風混合空間30から温度制御された空気が流入するものであって、フット開口部35の下流側は、フットダクトを介してフット吹出口に接続され、この吹出口から乗員の足元に向けて風を吹き出すようになっている。
上述した複数の開口部、すなわち、デフロスタ開口部31、センタフェイス開口部33、およびフット開口部35は、吹出モードドア50により開閉されるようになっている。吹出モードドア50は、その回動停止位置に応じて、デフロスタ開口部31、センタフェイス開口部33、およびフット開口部35のいずれか1つもしくは複数を開く吹出モードを形成するようになっている。
図6に示すように、空調ケース21の上面部において、センタフェイス開口部33の車両幅方向における両側部位にはサイドフェイス開口部33Aが開口している。このサイドフェイス開口部33Aも冷温風混合空間30から温度制御された空気が流入するものである。サイドフェイス開口部33Aは、サイドフェイスダクトを介して、例えばインストルメントパネルの車両幅方向両端部に設けられたサイドフェイス吹出口に接続されている。そして、この吹出口から車室内の乗員頭部側または車両側面窓ガラスに向けて風を吹き出すようになっている。サイドフェイス吹出口からの空調風の吹出方向は、サイドフェイス吹出口に設けられた吹出方向変更手段である吹出ルーバにより変更可能となっている。
前述したデフロスタ開口部31、センタフェイス開口部33、およびフット開口部35は、本実施形態におけるサイドフェイス開口部33A以外の他の開口部に相当する。
上記構成の車両用空調装置は、例えば、空調操作パネルに設けられた各種操作部材からの操作信号および空調制御用の各種センサからのセンサ信号が入力される電子制御装置を備えている。そして、この制御装置の出力信号により各ドア40、50の位置が制御されるようになっている。
エアミックスドア40は、例えば、樹脂材料からなる。図5に示すように、エアミックスドア40は、ドア板部41、回転軸部42、および、側板部43が一体成形されている。ドア板部41は、回転軸線から所定量離れた円弧面状に形成されている。回転軸部42は、回転軸線上に配置された一対の略円筒形状をなしている。側板部43は、ドア板部41と回転軸部42とを連結する略扇形状をなしている。エアミックスドア40は、ドア板部41が回転軸部42を中心に回動するロータリドアである。ドア板部41は、エアミックスドア板部である。
図6にも示すように、エアミックスドア40は、回転軸線方向におけるドア板部41の両端側に回転軸部42を一対有しており、側板部43は、ドア板部41の回転軸線方向の両端部411と一対の回転軸部42とを連結している。それぞれの回転軸部42は、回転軸線方向においてドア板部41の端部411とほぼ同じ位置を基端部として先端部が外方突出するように延設されており、回転軸部42の基端部が側板部43に接続している。
一方、吹出モードドア50も、例えば、樹脂材料からなる。図2〜図5に示すように、吹出モードドア50は、ドア板部51、ドア基部58、および、シール部材59を備えている。ドア基部58は、回転軸部52、側板部53、区画板54、ガイド板55、ガイド板56、および抑制壁部57を備えている。ドア基部58は、回転軸部52、側板部53、区画板54、ガイド板55、ガイド板56および抑制壁部57を一体成形して構成されている。
ドア板部51、および、ドア基部58は、例えば、ポリプロピレン樹脂等の硬質部材により形成することができる。また、シール部材59は、例えば、発泡ウレタン樹脂等の軟質部材により形成することができる。
ドア板部51は、回転軸線AAから所定量離れた円弧面状に形成されている。ドア板部51は、本実施形態における吹出モードドアのドア板部であり、モードドア板部に相当する。回転軸部52は、回転軸線AA上に配置された一対の略円柱形状をなしている。側板部53は、ドア板部51と回転軸部52とを連結する略円盤状をなしている。側板部53は、回転軸線AAに直交する方向に拡がっている。一対の側板部53は、回転軸線AA方向におけるドア板部51の両端側に設けられている。一対の側板部53は、回転軸部52の軸線が延びる方向におけるドア板部51の両端部と回転軸部52とを連結するように配置される。以下、回転軸部52の軸線が延びる方向を、単に、軸線方向と呼ぶ場合がある。すなわち、回転軸線AA方向を軸線方向と呼ぶ場合がある。
吹出モードドア50は、ドア板部51が回転軸部52を中心に回動するロータリドアである。吹出モードドア50は、回転軸線AAを中心に回動するロータリドアである。
図2〜図5に示す例では、ドア板部51は、ドア基部58とは別体として成形されている。すなわち、ドア板部51は、側板部53とは別体に成形されている。本実施形態では、ドア板部51は、第1ドア板部51aと、第2ドア板部51bとを有している。第1ドア板部51aおよび第2ドア板部51bは、それぞれが円弧面状に形成されている。第1ドア板部51aおよび第2ドア板部51bは、回転軸線AAから同じ距離だけ離れた位置に配設されている。第1ドア板部51aおよび第2ドア板部51bは、吹出モードドア50の回動方向において異なる位置に配設されている。
図5に示すように、第1ドア板部51aおよび第2ドア板部51bの回転軸線AA方向の両端部には、それぞれ爪状の係止部513が設けられている。また、側板部53の外周側の縁部には、係止部513に対応して爪状の係止部533が設けられている。そして、係止部513と係止部533とが相互に係止することにより、ドア板部51は、一対の側板部53に接続されている。なお、ドア板部51と側板部53との接続構造は、上述した係止構造に限定されるものではない。ドア板部51と側板部53とは、別体に成形された後に、例えば、接着、溶着、螺子止め等により接続されるものであってもよい。
ドア板部51の外周側の表面には、シール部材59が設けられている。シール部材59は、ドア板部51と空調ケース21との間をシールするために設けられている。シール部材59は、シール部材59aとシール部材59bとを有している。第1ドア板部51aの外周側の表面には、シール部材59aが設けられている。第2ドア板部51bの外周側の表面には、シール部材59bが設けられている。
本例では、シール部材59aは、第1ドア板部51aの外表面の全域を覆うように設けられている。また、シール部材59bは、第2ドア板部51bの外表面の全域を覆うように設けられている。
シール部材59は、例えば貼着することにより、ドア板部51の外周側の表面に配設される。本例では、シール部材59の外周縁部の一部は、ドア板部51の内周側の表面に貼着されている。各ドア板部51a、51bは、回動方向の両端の辺部がシール部材59により覆われている。ドア板部51とシール部材59との接続は、粘着や接着に限定されるものではない。例えば、ドア板部51およびシール部材59の一方の部材を成形する際に他方の部材をインサート成形するものであってもよい。
吹出モードドア50は、軸線方向において側板部53よりも外方に突出する一対の抑制壁部57を有している。一対の抑制壁部57は、一対の側板部53の軸線方向両側において、それぞれ外方に向かって突出している。一方の抑制壁部57は、一方の側板部53配設部位を基端として、軸線方向における一対の側板部53間ではなく一対の側板部53の外方に向かって突出している。また、他方の抑制壁部57は、他方の側板部53配設部位を基端として、軸線方向における一対の側板部53間ではなく一対の側板部53の外方に向かって突出している。
図5に示すように、抑制壁部57は、回転軸線AAから所定量離れた円弧面状に形成されている。抑制壁部57は、回転軸線AAから、ドア板部51とほぼ同じ距離だけ離れた位置に配設されている。抑制壁部57は、吹出モードドア50の回動方向において、第1ドア板部51a配設領域の一部に設けられている。抑制壁部57は、吹出モードドア50の回動方向において、第1ドア板部51a配設領域のうち第2ドア板部51b側の領域に対応して設けられている。抑制壁部57の回動方向長さは、例えば、第1ドア板部51aの回動方向長さの1/4〜1/5程度である。
抑制壁部57は、側板部53と空調ケース21との間を流れる空調風の流れを抑制するために設けられる。抑制壁部57は、一対の側板部53のそれぞれと空調ケース21との間における空調風の流れを抑制可能である。抑制壁部57は、抑制突起部に相当する。抑制壁部57は、回転軸線AAから離れた位置に円弧面状に形成された壁部である。なお、抑制壁部57の表面には、シール部材が設けられていない。抑制壁部57は、表面がシール部材に覆われておらず、表面を露出している。
区画板54は、回転軸線に直交する方向に拡がる板状をなしている。区画板54は、一対の側板部53の間に配置されている。本例では、4枚の区画板54が側板部53と平行に設けられて、一対の側板部53の間の空気通路となる空間を、回転軸線AA方向において5つに区画している。
図2および図3に示すように、4枚の区画板54のうち回転軸線AA方向の中央部に位置する2枚の区画板54は、2つのガイド板55により互いに接続されている。また、側板部53と、4枚の区画板54のうち回転軸線AA方向の最外方に位置する区画板54とも、2つのガイド板55により接続されている。
ガイド板55は、回転軸線AA方向に延設されている。図3に示すように、2つのガイド板55のうち、一方のガイド板55は、平板状に形成されている。他方のガイド板55は、断面形状が、底部に突出部を有するカップ状に形成されている。ガイド板55は、区画板54で区画された空気通路のうち、ガイド板55が設けられた空気通路において、冷風と温風との混合を促進するために設けられている。ガイド板55は、冷温風混合空間30での混合促進のために、冷風および温風が冷温風混合空間30の中央部に集まるように案内する。ガイド板55は、単にガイドと呼ばれることがある。
なお、図3に示すように、第1ドア板部51aは、ガイド板55が配設された空気通路に対応する位置に、内方に向かって突出するガイド板511を一体的に備えている。このガイド板511は、ガイド板55とともに、冷温風混合空間30における冷風と温風との混合を促進する。
また、図2および図3に示すように、4枚の区画板54のうち回転軸線AA方向の最外方に位置する区画板54と、これに隣り合う区画板54とは、2つのガイド板56により互いに接続されている。
ガイド板56は、回転軸線AA方向に延設されている。図4に示すように、2つのガイド板56は、いずれも若干湾曲した板状に形成されている。ガイド板56は、区画板54で区画された空気通路のうち、ガイド板56が設けられた空気通路において、温風への冷風の混合を妨げて、温風が冷温風混合空間30の所定領域に到達することを助けるために設けられている。ガイド板56は、空気通路への進入を妨げるように冷風を案内するとともに、空気通路への進入を促すように温風を案内するために設けられている。ガイド板56は、温風通路28の温風出口から吹き出された温風が、冷温風混合空間30のうち温風通路28の温風出口側とは反対側の領域に到達するように、温風を案内する。ガイド板56は、バッフルと呼ばれることがある。
区画板54、ガイド板55、および、ガイド板56は、一対の側板部53を連結するように一対の側板部53と一体的に成形されている。一対の側板部53は、複数の区画板54と各空気通路にそれぞれ複数設けられたガイド板55、ガイド板56とからなる格子状体により、相互に強固に連結される。
区画板54、ガイド板55、および、ガイド板56は、一対の側板部53を相互に連結する連結部である。また、区画板54、ガイド板55、および、ガイド板56は、一対の側板部53の間を流れる空気を案内するガイド部材である。
ドア基部58は、一対の側板部53の間にガイド板55やガイド板56を備えているものの、回転軸線AAに直交する方向に型開きする成形型により成形可能となっている。一対の側板部53の互いに対向する対向面を成形する成形型により、区画板54、ガイド板55およびガイド板56からなる構成を容易に成形することができる。
このように、ドア基部58は、一対の側板部53の間に、成形型の型開き方向に対してアンダーカット部を有していない。したがって、スライド機構を有しないシンプルな構造の成形型により、一対の側板部53を相互に連結する格子状体の連結部を容易に成形することができる。区画板54、ガイド板55およびガイド板56からなるグリッド状のガイド部材を、シンプルな構造の成形型により容易に成形することができる。
ドア基部58は、一対の側板部53を格子状体の連結部で連結しており、比較的剛性が高い強固な構造体とすることができる。そのため、ドア基部58とは別体であるドア板部51は、構造的な強度を比較的小さなものとしても、ドア基部58によりドア板部51を支持することが可能である。そこで、本実施形態では、ドア基部58の各部の肉厚に対して、ドア板部51の肉厚を小さくしている。例えば、側板部53の厚さを1.2mmとし、ドア板部51の厚さを、0.9mmとすることができる。このように、ドア板部51の厚さを側板部53の厚さよりも薄くしてもドア板部51を安定して支持することが可能である。
なお、本例では、抑制壁部57は、側板部53と一体的に成形されている。抑制壁部57の厚さは、例えば側板部53と同様に1.2mmとすることができる。また、抑制壁部57には、それほど大きな構造的強度が要求されない。したがって、抑制壁部57の厚さは、例えばドア板部51と同様に0.9mmとすることができる。抑制壁部57の厚さは、0.9〜1.2mm程度に設定することができる。抑制壁部57の厚さは、空調風流れの抑制のために必要な剛性を有し、振動等の特性を満足するものであれば、更に薄く設定することも可能である。
前述したように、吹出モードドア50は、ドア板部51が回転軸部52を中心に回動するロータリドアである。吹出モードドア50は、回転軸線AA方向におけるドア板部51の両端側に回転軸部52を一対有しており、側板部53は、ドア板部51の回転軸線方向の両端部と一対の回転軸部52とを連結している。それぞれの回転軸部52は、回転軸線方向においてドア板部51の端部とほぼ同じ位置を基端部として先端部が外方突出するように延設されており、回転軸部52の基端部が側板部53に接続している。
吹出モードドア50の回転軸部52は、それぞれエアミックスドア40の回転軸部42の内側に配設されており、回転軸部42の軸線と回転軸部52の軸線とが同軸上に配置されている。また、エアミックスドア40のドア板部41の回転軸線からの離間距離は、吹出モードドア50のドア板部51の回転軸線からの離間距離よりも若干大きく設定されている。エアミックスドア40のドア板部41の回転軸部42の軸線からの離間距離は、吹出モードドア50のドア板部51の回転軸部52の軸線からの離間距離よりも若干大きく設定されているとも言える。
エアミックスドア40のドア板部41の回転軸線方向の寸法は、吹出モードドア50のドア板部51の回転軸線方向の寸法よりも大きく設定されている。したがって、エアミックスドア40の側板部43の間隔の方が吹出モードドア50の側板部53の間隔よりも広くなっている。すなわち、エアミックスドア40の一対の側板部43の方が吹出モードドア50の一対の側板部53よりも回転軸線方向において外方に位置している。
回転軸部42および回転軸部52は、空調ケース21に直接または間接的に支持されている。上述した構成により、回転軸線を同一として空調ケース21に組み付けられたエアミックスドア40および吹出モードドア50は、互いに干渉することなく回動可能となっている。エアミックスドア40のドア板部41の回動軌跡は、吹出モードドア50のドア板部51に回動軌跡の外側で、ドア板部51に回動軌跡に沿うようになっている。抑制壁部57は、エアミックスドア40の側板部43の外方にまで突出しているが、両ドア40、50の使用回動範囲においては、抑制壁部57がエアミックスドア40に干渉することはない。
図2〜図5を用いて説明した例では、吹出モードドア50は、ドア板部51と、一対の側板部53を含むドア基部58とが別体として成形されて、相互に組み合わされていた。しかしながら、吹出モードドア50の構成は、これに限定されるものではない。例えば、吹出モードドア50は一体成形されていてもよい。また、例えば、前述例とは異なる位置が組み合わせ位置となるように吹出モードドア50を複数に別体成形し、相互に組み合わせるものであってもよい。
例えば、図6に示す例のように、ドア板部51、回転軸部52および側板部53を一体成形してもよい。ドア板部51、回転軸部52および側板部53を含む成形体と、区画板54、ガイド板55およびガイド板56を含む成形体とを組み合わせて、吹出モードドア50を構成してもかまわない。なお、図6に示す例では、ガイド板55、56等の形状も、図1〜図5を用いて説明した例とは若干異なる。
吹出モードドア50は、別体として成形された複数の構成部材を組み合わせて提供することができる。複数の構成部材を組み合わせて接続する位置はいずれであってもよい。例えば、側板部53の中に接続位置があってもよい。すなわち、1つの側板部53を複数の構成部材として別々に成形し、これらの複数の構成部材を組み合わせて側板部53をなしてもよい。
また、一対の抑制壁部57は、側板部53と一体的に成形されたものでなくてもよい。抑制壁部57は、例えば、ドア板部51と一体的に成形されたものでもよい。また、抑制壁部57は、例えば、ドア板部51や側板部53とは別体として成形され、ドア板部51や側板部53に取り付けられるものでもよい。
図6に示すように、エアミックスドア40の回転軸部42および吹出モードドア50の回転軸部52は、空調ケース21のうち車両左右方向の両側で上下方向に延びる側壁部211に、直接または間接的に支持されている。吹出モードドア50の一対の側板部53の間には、第1導風通路301が形成されている。第1導風通路301は、一対の側板部53の間に位置する。第1導風通路301は冷温風混合空間30としても機能する。
第1導風通路301を流れる空調風は、デフロスタ開口部31、センタフェイス開口部33、およびフット開口部35のうち、ドア板部51の回動停止位置に応じて開口される開口部に流入する。第1導風通路301を流れる空調風は、デフロスタ開口部31、センタフェイス開口部33、およびフット開口部35の少なくともいずれかに流入する。第1導風通路301は、本実施形態において他の開口部へ空調風を導く導風通路である。なお、センタフェイス開口部33が開かれる吹出モードが設定された場合には、第1導風通路301を流れる空調風の一部は、サイドフェイス開口部33Aに流入する。
吹出モードドア50の一対の側板部53のそれぞれと、各側板部53と対向する空調ケース21の側壁部211との間には、第2導風通路302が形成されている。第2導風通路302は、それぞれの側板部53と、側板部53に対向する側壁部211との間に位置する。
図6からも明らかなように、側板部53は、軸線方向においてサイドフェイス開口部33Aの開口範囲内に配設されている。サイドフェイス開口部33Aは、軸線方向において側板部53を跨いで開口している。サイドフェイス開口部33Aは、軸線方向において側板部53の両側に跨るように開口している。サイドフェイス開口部33Aは、軸線方向において第1導風通路301の下流端及び第2導風通路302の下流端に跨るように開口している。
前述したように、エアミックスドア40のドア板部41の回転軸線方向の寸法は、吹出モードドア50のドア板部51の回転軸線方向の寸法よりも大きい。図6からも明らかなように、ドア板部41の両端部411は、それぞれの側板部53よりも外方に位置している。ドア板部41の軸線方向の両端部411は、ドア板部51の軸線方向の両端部5111よりも外方に位置している。ドア板部41は、第2導風通路302の下方にまで張り出している。これにより、第2導風通路302は冷温風混合空間30としても機能する。
第2導風通路302を流れる空調風は、ドア板部51の回動位置に係らず、側板部53に沿って流れた後にサイドフェイス開口部33Aへ流入する。第2導風通路302を流れる空調風は、通風方向における側板部53の全域に亘って側板部53に沿って流れる。本例では、第2導風通路302を流れる空調風は、上下方向における側板部53のほぼ全域に亘って側板部53に沿って流れる。第2導風通路302を流れる空調風は、側壁部211に沿っても第2導風通路302を流れる。第2導風通路302は、本実施形態においてサイドフェイス開口部33Aへ空調風を導く導風通路である。サイドフェイス開口部33Aは、いずれの吹出モード時にも開口する常開の開口部である。
第2導風通路302を流れる空調風は、第1導風通路301を通過することなく、側板部53に沿ってサイドフェイス開口部33Aへ導かれる。第2導風通路302は、一対の側板部53のそれぞれと、各側板部53と対向する空調ケース21の側壁部211との間に形成されている。第2導風通路302は、空調風を、第1導風通路301を介さずに、側板部53に沿ってサイドフェイス開口部33Aへ導く。
本実施形態の吹出モードドア50の側板部53には、開口が設けられていない。側板部53は、第1導風通路301と第2導風通路302とを隔絶するように区画する。側板部53は、側板部53を間にして側板部53のそれぞれの側方に形成された第1導風通路301と第2導風通路302とを区画する。側板部53は、第1導風通路301から第2導風通路302への空調風の流入を阻止する。また、側板部53は、第2導風通路302から第1導風通路301への空調風の流入を阻止する。
このように、一対の側板部53は、側板部53を介する第1導風通路301から第2導風通路302への空調風の流入を阻止するように、第1導風通路301と第2導風通路302との間に配置されている。側板部53は開口や切欠きを有していない。これにより、側板部53は、開口や切欠きを介する第1導風通路301から第2導風通路302への空調風の流入を抑止する。
さらに、一対の側板部53は、側板部53を介する第2導風通路302から第1導風通路301への空調風の流入を阻止するように、第1導風通路301と第2導風通路302との間に配置されている。側板部53は開口や切欠きを有していない。これにより、側板部53は、開口や切欠きを介する第2導風通路302から第1導風通路301への空調風の流入を抑止する。
したがって、センタフェイス開口部33が閉じられる吹出モードが設定された場合には、第2導風通路302を流れる空調風のみがサイドフェイス開口部33Aに流入する。また、センタフェイス開口部33が開かれる吹出モードが設定された場合には、第1導風通路301を流れる空調風の一部と第2導風通路302を流れる空調風とが、サイドフェイス開口部33Aに流入する。
第2導風通路302を間にして対向する側板部53と側壁部211とは、相互にほぼ平行に配設されている。したがって、第2導風通路302の幅は、上流側である下方側から下流側である上方側まで、ほぼ均一となる。したがって、第2導風通路302の通風抵抗は比較的小さい。これにより、第2導風通路302を下方から上方へ向かって直線的に流れる空調風の圧力損失も比較的小さく抑制される。
第2導風通路302の軸線方向の幅は、例えば、10〜25mmに設定することが好ましい。すなわち、側板部53と側壁部211との間隔は、例えば、10〜25mmとすることが好ましい。側板部53と側壁部211との間隔を10mm未満にすると、センタフェイス開口部33が閉じられる吹出モードが設定された場合に、サイドフェイス開口部33Aへ流入する空調風の風量が低下し易く好ましくない。また、側板部53と側壁部211との間隔が25mmを超えると、空調ケース21の体格が大きくなり過ぎ好ましくない。
一方、側板部43と側壁部211との間隔は、相互の干渉を防止しつつ冷温風のエアミックスを行なうために、例えば5mm以下に設定することが好ましい。側板部53と側壁部211との間隔は、サイドフェイス吹出口からの所望吹出風量に応じて設定することができる。サイドフェイス吹出口からの吹出風量は、側板部53と側壁部211との離間距離の設定変更により、容易に変更可能である。また、側板部43と側壁部211との間隔は、所望の温度調節特性に応じて設定することができる。サイドフェイス吹出口からの吹出温度調節特性は、側板部43と側壁部211との離間距離の設定変更等により、容易に変更可能である。
次に、上記構成に基づき車両用空調装置の空調ユニット20の作動について簡単に説明する。
上記構成の空調ユニット20に対し送風機ユニットが作動して送風が行われると、送風機ユニットからの送風空気が空気流入口24より空調ユニット20内へ流入する。そして、この流入空気がエアミックスドア40により、冷風通路25を流れる部分とヒータコア23で加熱される部分とに振り分けられる。その後、ヒータコア23で加熱され温風通路28を流れた温風と冷風通路25からの冷風とは、冷温風混合空間30において混合される。
冷温風混合空間30で冷風と温風とが混合された空調風は、下流側の各吹出口方向に流れ、吹出モードドア50により形成された吹出モードに応じて開口する開口部に流入し、車室内に吹き出される。
図1は、エアミックスドア40が、冷風通路25を全開とし温風通路28を全閉とする最大冷房状態を設定する位置にあり、吹出モードドア50が、センタフェイス開口部33を開き他の開口部を閉じるフェイス吹出モードを設定する位置にある状態を示している。フェイス吹出モード設定時に閉じられる開口部は、デフロスタ開口部31およびフット開口部35である。
図1に示す状態から、図1図示時計回り方向にエアミックスドア40が回動すると、冷温風混合空間30へ流入する冷風の割合が減少し温風の割合が増加していく。エアミックスドア40は、図8に示す位置にまで回動可能である。
一方、図1に示す状態から、図1図示時計回り方向に吹出モードドア50が回動すると、冷温風混合空間30から車室内へ吹き出される空調風の吹出モードは、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモード、デフロスタモードの順に変更されていく。
図7に示すバイレベルモードは、センタ、サイドフェイス開口部33、33Aとフット開口部35とにほぼ均等に風量を振り分けるモードである。図8に示すフットモードは、大部分をフット開口部35へ僅かな部分をデフロスタ開口部31へ風量を振り分けるモードである。図8に示すフットモードでは、例えば空調ケース21に設けた溝状の通路311を介してデフロスタ開口部31への送風が行なわれる。
図9に示すフットデフロスタモードは、デフロスタ開口部31とフット開口部35とにほぼ均等に風量を振り分けるモードである。図10に示すデフロスタモードは、ほぼ全風量をデフロスタ開口部31へ送るモードである。吹出モードドア50は、図10に示す位置にまで回動可能である。
図8、図9、図10では、エアミックスドア40が、冷風通路25を全閉とし温風通路28を全開とする最大暖房状態を設定する位置にある状態を示している。
図7に示すように、エアミックスドア40が冷風と温風とを冷温風混合空間30へ導入可能な状態では、ガイド板55およびガイド板511により、冷温風混合空間30における温風と冷風との混合が促進される。また、図1、図8〜図10に示す状態からエアミックスドア40が回動して、冷風と温風とを冷温風混合空間30へ導入する状態となった場合にも、ガイド板55およびガイド板511により、冷温風混合空間30における冷風と温風との混合が促進される。
空調ユニット20に各吹出モードが設定されているときには、吹出モードドア50のガイド板56の形成部位においては、図11〜図15に示すような状態となる。図11は、フェイスモードの状態を示している。図12は、バイレベルモードの状態を示している。図13は、フットモードの状態を示している。図14は、フットデフロスタモードの状態を示している。図15は、デフロスタモードの状態を示している。
エアミックスドア40が冷風と温風とを冷温風混合空間30へ導入可能な状態では、ガイド板56により、冷風通路25からの冷風が冷温風混合空間30へ流入することが阻害され易くなる。また、ガイド板56により、温風通路28から流入する温風が、冷温風混合空間30のうちデフロスタ開口部31近傍の領域へ到達し易くなる。
特に、デフロスタ開口部31への送風が行なわれる吹出モードで、冷風と温風とが流入する場合には、ガイド板56が、冷温風混合空間30への冷風の流入を妨げるとともに、冷温風混合空間30のうちデフロスタ開口部31近傍の領域へ温風を到達させる。デフロスタ開口部31への送風が行なわれる吹出モードは、図13に示すフットモード、図14に示すフットデフロスタモード、および、図15に示すデフロスタモードである。
フットモード、フットデフロスタモード、および、デフロスタモードでは、ガイド板56が、冷温風混合空間30への冷風の流入を妨げる。これとともに、ガイド板56が、冷温風混合空間30のうちデフロスタ開口部31近傍の領域へ温風を到達させる。したがって、フットモード、フットデフロスタモード、および、デフロスタモードでは、デフロスタ開口部31に対して比較的温度の高い風が供給される。
なお、上述した作動説明では、各吹出モードにおけるデフロスタ開口部31、センタフェイス開口部33およびフット開口部35の開閉状態を説明した。前述したように、サイドフェイス開口部33Aは、常開の開口部である。吹出モードドア50がセンタフェイス開口部33を開くフェイス吹出モード時には、サイドフェイス開口部33Aも全開状態となる。例えば図16に示すように、サイドフェイス開口部33Aは、第2導風通路302ばかりでなく、第1導風通路301とも連通する。
図16に示すように、フェイス吹出モードが設定された場合には、センタフェイス開口部33およびサイドフェイス開口部33Aがいずれも全開状態となる。抑制壁部57はデフロスタ開口部31の軸線方向側方に位置付けられており、いずれの開口部とも重ならない。これにより、フェイス吹出モードでは、センタフェイス吹出口からの吹出風量とサイドフェイス吹出口からの吹出風量とのバランスが良好となる。フェイス吹出モードは、本実施形態における第1吹出モードに相当する。
吹出モードドア50がセンタフェイス開口部33を中間開度で開くバイレベル吹出モード時には、サイドフェイス開口部33Aも中間開度状態となる。バイレベル吹出モードには、吹出モードドア50が、センタ、サイドフェイス開口部33、33Aを、いずれもフェイス吹出モード時の約半分の開度とする。バイレベル吹出モードにおいても、図17に例示するように、サイドフェイス開口部33Aは、第2導風通路302ばかりでなく、第1導風通路301とも連通する。
図17に示すように、バイレベル吹出モードが設定された場合には、センタフェイス開口部33およびサイドフェイス開口部33Aがいずれも中間開度状態となる。側板部53よりも軸線方向における外方側へ突出する抑制壁部57は、サイドフェイス開口部33Aの一部を覆うように位置付けられる。センタフェイス開口部33は、ドア板部51により所定中間開度に設定される。サイドフェイス開口部33Aは、ドア板部51と抑制壁部57とにより、センタフェイス開口部33とほぼ同じ所定中間開度に設定される。これにより、バイレベル吹出モードでは、センタフェイス吹出口からの吹出風量とサイドフェイス吹出口からの吹出風量とのバランスが良好となる。バイレベル吹出モードは、本実施形態における第2吹出モードに相当する。
吹出モードドア50がセンタフェイス開口部33を閉じる吹出モード時には、サイドフェイス開口部33Aの開度が絞られる。例えば図18に示すように、デフロスタ吹出モードが設定された場合には、ドア板部51によりサイドフェイス開口部33Aの一部が閉塞されて開度が絞られ、サイドフェイス開口部33Aは、第2導風通路302のみと連通する。抑制壁部57はフット開口部の軸線方向側方に位置付けられており、いずれの開口部とも重ならない。
図18にデフロスタ吹出モードを例示するように、センタフェイス開口部33が閉塞される吹出モードが設定された場合には、サイドフェイス開口部33Aがいずれも開度が絞られた半開状態となる。これにより、センタフェイス開口部33が閉塞される吹出モードでは、サイドフェイス吹出口からの吹出風量が抑制され、開口している他の開口部への空調風の流入風量が確保される。図16〜図18から明らかなように、例えばデフロスタ開口部31やフット開口部は、車両幅方向において、ドア板部51の幅、すなわちドア板部51の軸線方向長さまで開口幅を拡げることが可能である。
いずれの吹出モードが設定された場合であっても、第2導風通路302を流れサイドフェイス開口部33Aへ導かれる空調風は、大きな圧力損失を生じ難い。
例えば、図16および図18で示した例では、比較的通風抵抗が小さい第2導風通路302を図示紙面裏側から表側へ向かって流れた空調風が、サイドフェイス開口部33Aに流入する。したがって、図18に示すように、サイドフェイス開口部33Aの開度が絞られても、サイドフェイス吹出風量の確保が容易である。
また、例えば、図17で示した例では、比較的通風抵抗が小さい第2導風通路302を図示紙面裏側から表側へ向かって流れた空調風が、抑制壁部57で流れを抑制されつつサイドフェイス開口部33Aに流入する。抑制壁部57による空調風流れの抑制は、センタフェイス開口部33へ流入する空調風の風量とサイドフェイス開口部33Aへ流入する空調風の風量とをバランスさせるために行なわれる。したがって、図17に示すように、サイドフェイス開口部33Aの開度を絞っても、サイドフェイス吹出風量を所望風量とすることが容易である。
このように、空調ユニット20は、エアミックスドア40および吹出モードドア50の回動位置に応じて、空調ケース21内の空気通路を流れる空気の流れ状態を切り替える空気通路切替装置を備えている。すなわち、空調ユニット20は、ドア板部41およびドア板部51の回動位置に応じて、空調ケース21内の空気通路を流れる空気の流れ状態を切り替える空気通路切替装置を備えている。
本実施形態の車両用空調装置によれば、以下に述べる作用効果を得ることができる。
本実施形態の空調装置は、車室内へ吹き出す空調風の通路が内部に形成された空調ケース21を備えている。そして、空調ケース21に設けられ、車室内の車両幅方向中央部から乗員頭部側に向けて空調風を吹き出すことが可能なセンタフェイス吹出口に接続されるセンタフェイス開口部33を備えている。また、空調ケース21に設けられ、車室内の左右両端部から乗員頭部側および車両側面窓ガラス側に向けて空調風を吹き出すことが可能なサイドフェイス吹出口に接続されるサイドフェイス開口部33Aを備えている。
また、車室内への空調風の吹出モードを設定する吹出モードドア50を備えている。吹出モードドア50は、空調ケース21に軸支される回転軸部52と、回転軸部52の軸線から離れた位置に円弧面状に形成されたドア板部51と、軸線が延びる方向におけるドア板部51の両端部と回転軸部52とを連結する一対の側板部53とを有している。吹出モードドア50は、ドア板部51の回動位置に応じて車室内への空調風の吹出モードを設定する。
側板部53は、軸線方向においてサイドフェイス開口部33Aの開口範囲内に配設されている。吹出モードドア50は、軸線方向において側板部53よりも外方に向かって突出するように設けられ、側板部53と空調ケース21との間における空調風の流れを抑制可能な抑制突起部として抑制壁部57を有している。抑制壁部57は、ドア板部51がセンタフェイス開口部33及びサイドフェイス開口部33Aをいずれも全開にするフェイス吹出モードが設定されたときには、サイドフェイス開口部33Aへ向かう空調風の流れの抑制を禁止する。抑制壁部57は、ドア板部51がセンタフェイス開口部33及びサイドフェイス開口部33Aをいずれも中間開度とするバイレベル吹出モードが設定されたときには、サイドフェイス開口部33Aへ向かう空調風の流れを抑制する構成である。
これによると、バイレベル吹出モード時には、吹出モードドア50のドア板部51が、センタフェイス開口部33及びサイドフェイス開口部33Aを中間開度とする。また、吹出モードドア50の抑制壁部57が、側板部53と空調ケース21との間を流れてサイドフェイス開口部33Aへ向かおうとする空調風の流れを抑制する。したがって、バイレベル吹出モード時に、センタフェイス吹出口からの吹出風量とサイドフェイス吹出口からの吹出風量とをバランスさせ易い。また、フェイス吹出モード時には、抑制壁部57が側板部53と空調ケース21との間を流れてサイドフェイス開口部33Aへ向かおうとする空調風の流れを抑制しない。したがって、フェイス吹出モード時にも、センタフェイス吹出口からの吹出風量とサイドフェイス吹出口からの吹出風量とをバランスさせ易い。このようにして、センタフェイス吹出口からの吹出風量とサイドフェイス吹出口からの吹出風量とのアンバランスを抑制することができる。
また、抑制壁部57は、回転軸線から離れた位置に円弧面状に形成された壁部である。これによると、円弧面状の壁部を抑制突起部とすることができる。したがって、側板部53と空調ケース21との間を流れてサイドフェイス開口部33Aへ向かおうとする空調風の流れを抑制し易い構成を、比較的シンプルな壁部により提供することができる。
また、本実施形態の空調装置は、図19にも示すように、ドア板部51の表面に設けられ、ドア板部51と空調ケース21との間をシールするためのシール部材59を備えている。一方、抑制壁部57は、表面の全域を露出している。
これによると、抑制壁部57は、表面に空調ケース21との間をシールするためのシール部材を備えていない。したがって、空調ケース21との間をシールするためのシール部材59をドア板部51には設け、抑制壁部57には設けないので、吹出モードドア50の製造が比較的容易である。シール部材は、ドア板部51に形状に対応した形状とすればよく、抑制壁部57の形状を考慮する必要がない。
本実施形態の空調装置によれば、例えば図20に示すように、優れた吹出風量バランスを得ることができる。図20は、本発明者が確認した全風量に対する各吹出口からの吹出風量の比率を示している。図20の左部は、本実施形態のフェイス吹出モードにおけるセンタフェイス吹出口CF及びサイドフェイス吹出口SFからの風量比率である。図20の中央部は、本実施形態のバイレベル吹出モードにおけるセンタフェイス吹出口CF、サイドフェイス吹出口SF及びフット吹出口Ftからの風量比率である。図20の右部は、比較例のバイレベル吹出モードにおけるセンタフェイス吹出口CF、サイドフェイス吹出口SF及びフット吹出口Ftからの風量比率である。比較例は、抑制壁部57を有しない以外は、本実施形態と同様の空調装置である。本実施形態の空調装置によれば、フェイス吹出モード、バイレベル吹出モードとも、センタフェイス吹出口からの吹出風量とサイドフェイス吹出口からの吹出風量とをバランスさせることができた。
なお、本実施形態では、抑制壁部57にシール部材を設けていなかったが、例えば、図21に示すように、抑制壁部57の外周側の表面に、シール部材591を設けてもよい。シール部材591は、抑制壁部57と空調ケース21との間をシールすることができる。空調装置は、ドア板部51の表面に設けられ、ドア板部51と空調ケース21との間をシールするためのシール部材59と、抑制壁部57の表面に設けられ、抑制壁部57と空調ケース21との間をシールするためのシール部材591とを備えることができる。これによれば、ドア板部51及び抑制壁部57は、いずれも表面に空調ケース21との間をシールするためのシール部材59、591を備えている。したがって、センタフェイス開口部33及びサイドフェイス開口部33Aへの配風コントロールを比較的精度良く行なうことができる。例えば、バイレベル吹出モードにおけるセンタフェイス吹出口からの吹出風量とサイドフェイス吹出口からの吹出風量とを一層近似させることができる。
また、本実施形態の空調装置は、空調ケース21に設けられ、車室内へ向けて空調風を吹き出すサイドフェイス吹出口以外の吹出口に接続される、センタフェイス開口部33を含むサイドフェイス開口部33A以外の他の開口部を備えている。サイドフェイス開口部33A以外の他の開口部は、デフロスタ開口部31、センタフェイス開口部33およびフット開口部35である。また、吹出モードドア50は、ドア板部51の回動位置に応じてドア板部51で上記した他の開口部の開閉を行ない、他の開口部から車室内への空調風の吹出モードを設定する。
そして、一対の側板部53の間に、他の開口部へ空調風を導く第1導風通路301が形成され、一対の側板部53のそれぞれと空調ケース21との間に、側板部53に沿ってサイドフェイス開口部33Aへ空調風を導く第2導風通路302が形成されている。
これによると、サイドフェイス開口部33Aへ空調風を導く第2導風通路302を、吹出モードドア50の側板部53に沿った、例えば図22に矢印で示すような直線的な通路とすることができる。したがって、サイドフェイス開口部33Aへ空調風を導く第2導風通路302の通風抵抗を低減することができる。なお、図22では、空調風を案内するガイド部材の図示を省略している。
また、空調ケース21の車両左右方向の幅を、上下方向にほぼ同一幅とすることができるため、第1導風通路301および第2導風通路302からなる導風通路の全体において、空調風の圧力損失を低減することが可能である。
本実施形態の空調装置は、一対の側板部53のそれぞれと空調ケース21との間に、空調風を、第1導風通路301を介さずに、側板部53に沿ってサイドフェイス開口部33Aへ導く第2導風通路302が形成されている。
これによると、第2導風通路302を、第1導風通路301を介さずに空調風をサイドフェイス開口部33Aへ導く、側板部53に沿った直線的な通路とすることができる。したがって、サイドフェイス開口部33Aへ空調風を導く第2導風通路302の通風抵抗を低減することができる。
また、一対の側板部53は、側板部53を介する第1導風通路301から第2導風通路302への空調風の流入を阻止するように、第1導風通路301と第2導風通路302との間に配置されている。さらに、一対の側板部53は、側板部53を介する第2導風通路302から第1導風通路301への空調風の流入を阻止するように、第1導風通路301と第2導風通路302との間に配置されている。
換言すれば、一対の側板部53は、側板部53の配設部位を介して第1導風通路301から第2導風通路302へ空調風を流入させないように、第1導風通路301と第2導風通路302との間に配置されている。また、一対の側板部53は、側板部53の配設部位を介して第2導風通路302から第1導風通路301へ空調風を流入させないように、第1導風通路301と第2導風通路302との間に配置されている。
これによると、側板部53により、一対の側板部53の間の第1導風通路301と側板部53よりも外方の第2導風通路302との相互間で、空調風の移動を抑止することができる。したがって、第1導風通路301を流れる空調風流れ、および、第2導風通路302を流れる空調風流れが、乱され難い。また、一対の側板部53に開口を設けないので、構成を簡素化することが可能である。
また、本実施形態の車両用空調装置は、空調ケース21内に設けられ、通過する空気を加熱する加熱用熱交換器であるヒータコア23と、エアミックスドア40とを備えている。エアミックスドア40は、空調ケース21内においてモードドア板部であるドア板部51よりも空調風流れ上流側に設けられたエアミックスドア板部であるドア板部41を有している。そして、ドア板部41の移動位置に応じて、ヒータコア23を通過する温風と、ヒータコア23をバイパスする冷風との混合割合を調節して、空調風の温度を調節する。軸線が延びる方向において、ドア板部41の長さがドア板部51の長さよりも大きく、ドア板部41の両端部411は、それぞれ一対の側板部53よりも外方に位置している。
これによると、エアミックスドア40のドア板部41は、軸線方向において吹出モードドア50の一対の側板部53よりも外方にまで張り出している。したがって、ドア板部41の移動位置に応じて、第1導風通路301を流れる空調風の温度と、第2導風通路302を流れる空調風の温度とを、ほぼ同一温度に調節することができる。
また、エアミックスドア40は、ドア板部41が回転軸線から所定量離れた位置に円弧面状に形成されており、吹出モードドア50の回転軸線とエアミックスドア40の回転軸線とが同軸上に配置されている。
これによると、吹出モードドア50とエアミックスドア40とをいずれもロータリドアとし、両ロータリドアを同軸上に配置することができる。したがって、吹出モードドア50およびエアミックスドア40の動作域を比較的コンパクトにすることができる。
(他の実施形態)
この明細書に開示される技術は、その開示技術を実施するための実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。開示される技術は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。実施形態は追加的な部分をもつことができる。実施形態の部分は、省略される場合がある。実施形態の部分は、他の実施形態の部分と置き換え、または組み合わせることも可能である。実施形態の構造、作用、効果は、あくまで例示である。開示技術の技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示技術のいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上記実施形態では、抑制壁部57を抑制突起部としていたが、これに限定されるものではない。抑制突起部は、例えば、円弧面状以外の壁部であってもよい。また、抑制突起部は、例えば、角柱状の突起部であってもかまわない。
また、上記実施形態では、エアミックスドア40は、回転軸部42や側板部43を有するロータリドアであったが、これに限定されるものではない。例えば、エアミックスドア板部を回転軸線から所定量離れた円弧面状のドア板部とし、このドア板部を、回転軸線を中心として円弧状にスライドさせるロータリスライドドアとしてもかまわない。このようなエアミックスドアを採用し、エアミックスドアの回転軸線を吹出モードドアの回転軸線と同軸上に配置すれば、上記実施形態と同様に、両ドアの回動動作域を比較的コンパクトにすることができる。
また、エアミックスドアとして、他のタイプのドアを用いることも可能である。例えば、回転軸部から回転軸部の径方向の1つにドア板部が延びる所謂片持ちドアを用いてもかまわない。また、平板状のスライドドアを用いてもかまわない。
また、上記実施形態では、エアミックスドア40を備えていたが、エアミックスドアを備えないものであってもよい。例えば、ヒータコアに空調風の全量を通し、ヒータコアへの熱媒体の流通量を調節して空調風の温度を調節する、所謂リヒート方式の空調装置であっても、開示技術を適用して有効である。
また、上記実施形態では、吹出モードドア50の側板部53に開口を設けずに、側板部53で、側板部53の両面側の各側方に形成された第1導風通路301と第2導風通路302とを区画していたが、これに限定されるものではない。側板部53が、第1導風通路301と第2導風通路302との相互間での空調風の移動を抑止できる程度の小さな開口を有するものであってもよい。
また、側板部53に開口を設けて、第1導風通路301と第2導風通路302との相互間での当該開口を介した空調風の移動を許容してもかまわない。
例えば、図23に示すように、側板部53が、第1導風通路301と第2導風通路302とを繋ぐ開口53aを有していてもよい。開口53aの開口形状は、例えば、円形状である。開口53aの形状は円形状に限定されない。開口の形状は、例えば長円形状であってもよい。開口の形状は、例えば矩形状であってもよい。
図23に示すように、側板部53に複数の開口53aが形成されていてもよい。側板部53が有する開口は、複数ではなく、1つであってもよい。第1導風通路301と第2導風通路302とを連通する開口は、一対の側板部53のそれぞれに、1つまたは複数設けることができる。第1導風通路301と第2導風通路302とを連通する開口は、一対の側板部53の片方のみに、1つまたは複数設けることができる。また、側板部53における開口の大きさや形成位置は、図23に例示した大きさや位置に限定されるものではない。
この形態の車両用空調装置では、側板部53は、第1導風通路301と第2導風通路302とを連通する開口53aを有する。これによると、第1導風通路301と第2導風通路302とに圧力差が発生することを抑制できる。また、側板部53の軽量化にも寄与することが可能である。
また、例えば、側板部53が切欠きを有していてもよい。例えば、側板部53が、外周縁部から回転軸線の向かって凹むように切り欠かれた切欠きを有していてもよい。すなわち、側板部53が、外周縁部から回転軸線方向へ向かって凹むように形成された凹部構造を有していてもよい。側板部53の切欠きは、第1導風通路301と第2導風通路302との相互間での空調風の移動を抑止できるものである。側板部53の切欠きは、第1導風通路301と第2導風通路302との相互間での当該切欠きを介した空調風の移動を許容するものでもよい。
側板部53が有する切欠きは、複数であってもよいし、1つであってもよい。第1導風通路301と第2導風通路302とを繋ぐ切欠きは、一対の側板部53のそれぞれに、1つまたは複数設けることができる。第1導風通路301と第2導風通路302とを繋ぐ切欠きは、一対の側板部53の片方のみに、1つまたは複数設けることができる。
また、上記実施形態では、サイドフェイス開口部33Aへ空調風を導く導風通路を、吹出モードドア50の側板部53に沿った直線的な通路としていたが、これに限定されるものではない。例えば、図24に示す例のように、第2導風通路302を有さず、吹出モードドアの側板部53に設けた開口953を介してサイドフェイス開口部33Aへ導く空調風を漏らす構成の空調ユニットであってもよい。このような空調ユニットにも、開示技術を適用して有効である。
なお、第1実施形態で説明した空調装置は、図24に示す二点鎖線よりも空調ケース21側壁部9211側の空間領域を有効利用して直線的に空調風を流す第2導風通路302を形成することができる。また、側板部53と空調ケース21との間に第2導風通路302を設けるため、側板部53と空調ケース21との間にシール構造を設ける必要がない。また、空調ケース21の車両左右方向の幅を、上下方向にほぼ同一幅とすることができるため、第1導風通路301および第2導風通路302からなる導風通路の全体において、空調風の圧力損失を低減することが可能である。
また、上記実施形態では、空調ユニット20を車両幅方向の中央部に配置し、送風機ユニットを中央部からオフセット配置した、所謂セミセンタタイプの空調装置について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、送風機ユニットおよび空調ユニットをいずれも車両幅方向の中央部に配置した、所謂フルセンタタイプの空調装置であってもかまわない。