JP2018118523A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】、後席用通路を、上側通路および下側通路の前席用通路と完全に分け隔てる場合と比較して、デフロスタモード時にデフロスタ開口部から流出する空調風の風量低下を抑制できる車両用空調装置を提供する。【解決手段】後側仕切壁17のうち上側通路41と後席用通路42cとを仕切る部位の一部に、上側通路41と後席用通路42cとを連通させる第2連通口47bを設ける。そして、デフロスタモード時に、兼用ドア48によって、第2連通口47bを開いて、後席用通路42cと上側通路41とが連通した状態とする。これにより、デフロスタモード時に、後席用通路42cから第2連通口47bを介してデフロスタ開口部25に向かう空気流れを形成できる。【選択図】図14

Description

本発明は、車両用空調装置に関するものである。
従来、空調ケース内部を上側通路と下側通路に仕切り、上側通路を流れる空気の温度と下側通路を流れる空気の温度とを独立して調整可能な車両用空調装置がある(例えば、特許文献1参照)。
このような車両用空調装置では、空調ケースは、上側通路に連なるデフロスタ開口部および前席フェイス開口部と、下側通路に連なる前席フット開口部とを有している。そして、上側通路と下側通路とを仕切る仕切壁に、上側通路と下側通路とを連通させる連通口が設けられている。これにより、デフロスタモードおよびフェイスモード時に、上側通路の空気だけでなく、下側通路の空気を、連通口を介して、デフロスタ開口部や前席フェイス開口部から流出させることができる。なお、この連通口は、前席フット開口部から空気を流出させ際に、開閉ドアによって閉じられる。
特開平11−151929号公報
ところで、上記した車両用空調装置において、後席への吹出空気温度を独立して制御する機能を持たせるために、空調ケース内部の下側通路を前席用通路と後席用通路とに仕切る構成が考えられる。後席用通路は、後席に向けて吹き出すための空気が流れる空気通路である。後席用通路の空気流れ下流側に後席開口部が連なっている。なお、前席用通路の空気流れ下流側に前席フット開口部が連なっている。
この構成においては、後席用通路の空調風の温度を、上側通路の空調風および下側通路の前席用通路の空調風に対して独立して制御するために、後席用通路を、上側通路および下側通路の前席用通路に対して完全に分け隔てることが望ましい。
しかし、後席用通路を上側通路および下側通路の前席用通路と完全に分け隔てると、後席への送風を必要としないデフロスタモード時に、後席用通路からデフロスタ開口部に向かう空気流れが形成されない。このため、後席用通路を上側通路および下側通路の前席用通路と完全に分け隔てる場合では、上記した従来の車両用空調装置と比較して、空調ケース内部の圧損が上昇し、デフロスタ開口部から流出する空調風の風量低下が生じてしまう。
本発明は上記点に鑑みて、後席用通路を、上側通路および下側通路の前席用通路と完全に分け隔てる場合と比較して、デフロスタモード時にデフロスタ開口部から流出する空調風の風量低下を抑制できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
空気が流れる空気通路および空気通路を流れる空気を車室内に向かって流出させる複数の開口部が形成された空調ケース(11)と、
空調ケースの内部に設けられ、空気通路を流れる空気の温度を調整する温度調整装置(12、13、18、19)とを備え、
空調ケースは、温度調整装置によって温度調整される空気が流れる空気通路を上側に位置する上側通路(41)と下側に位置する下側通路(42)に仕切る第1仕切壁(16、17)と、下側通路を前席用通路(42a、42b)と後席用通路(42c)に仕切る第2仕切壁(44、45)とを有し、
複数の開口部は、上側通路を流れる空気を車両前面の窓ガラスに向かって流出させるデフロスタ開口部(25)と、上側通路を流れる空気を前席の上方側に向かって流出させるフェイス開口部(27)と、前席用通路を流れる空気を前席の下方側に向かって流出させるフット開口部(29)と、後席用通路を流れる空気を後席に向かって流出させる後席開口部(30)とを含み、
温度調整装置は、上側通路、前席用通路、後席用通路のそれぞれを流れる空気の温度を独立して温度調整するように構成され、
第1仕切壁のうち上側通路と前席用通路とを仕切る部位の一部に、上側通路と前席用通路とを連通させる少なくとも1つの第1連通口(46a、46b)が設けられており、
第1仕切壁のうち上側通路と後席用通路とを仕切る部位の一部に、上側通路と後席用通路とを連通させる少なくとも1つの第2連通口(47a、47b)が設けられており、
空調ケースは、第2連通口を開閉するドア(48)を備え、
フット開口部および後席開口部からの空気の流出を禁止した状態で、上側通路を流れる空気をデフロスタ開口部から流出させるとともに、前席用通路を流れる空気を第1連通口および上側通路を介してデフロスタ開口部から流出させるデフロスタモード時において、ドアは、第2連通口を開いて、後席用通路と上側通路とが連通した状態とすることを特徴としている。
これによれば、デフロスタモード時に、後席用通路から第2連通口を介してデフロスタ開口部に向かう空気流れを形成できる。よって、本発明によれば、後席用通路を上側通路および下側通路の前席用通路と完全に分け隔てる場合と比較して、デフロスタモード時にデフロスタ開口部から流出する空調風の風量低下を抑制できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
ドアは、第1連通口を開閉する第1ドア部(48a)と、第2連通口を開閉する第2ドア部(48b)と、フット開口部を開閉するフットドア部(48c)とが一体的に回転するように構成されているとともに、デフロスタモード時およびフェイス開口部から空気を流出させるフェイスモード時に、フット開口部を閉じるとともに第1連通口および第2連通口を開き、フット開口部から空気を流出させるフットモード時に、フット開口部を開くとともに第1連通口および第2連通口を閉じるようになっており、
第2連通口の全開口面積は、第1連通口の全開口面積よりも小さいことを特徴としている。
請求項1に記載のドアとして、請求項2に記載のドアを用いることで、第1ドア部と第2ドア部とフットドア部の全てが別体の場合や、第2ドア部が、第1ドア部とフットドア部が一体化されたものと別体とされる場合と比較して、車両用空調装置の構成部品を減らすことができる。
ここで、請求項2に記載のドアを用いた場合、フットモード時に、このドアが第1連通口と第2連通口を閉じるので、後席用通路を、上側通路および下側通路の前席用通路と分け隔てることができる。また、デフロスタモード時に、このドアが第1連通口および第2連通口を開くので、デフロスタ開口部から流出の空調風の風量を確保できる。
しかし、請求項2に記載のドアを用いた場合、フェイスモード時に、このドアが第2連通口を開くので、第2連通口を介して後席用通路と上側通路の一方から他方へ空調風が流入する。このため、他方の空調風の温度が変化してしまう。このとき、第2連通口の開口面積が大きいほど、他方の空調風の温度変化が大きくなり、他方の空調風の温度制御が阻害されてしまう。
そこで、本発明では、第2連通口の全開口面積を、第1連通口の全開口面積よりも小さく設定している。これにより、第2連通口の全開口面積が、第1連通口の全開口面積よりも大きい場合と比較して、後席用通路と上側通路の一方から他方への空調風の流入を抑制でき、他方の空調風の温度変化を小さく抑えることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態における空調ユニットの斜視図である。 図1のII−II線断面図であり、図1の空調ユニットの左右方向端部側に位置するサイド部での断面図である。 図1のIII−III線断面図であり、図1の空調ユニットの左右方向中央に位置するセンター部での断面図である。 図1の空調ユニットの模式的な断面図である。 図4のV−V線断面図である。 図4のVI−VI線断面図である。 図4のVII−VII線断面図である。 後席用開口部に接続される接続ダクトの模式的な断面図である。 図7中の後側仕切壁17の上面図である。 図2、3中の兼用ドアの平面図である。 フェイスモード時における図1の空調ユニットのサイド部での断面図である。 フェイスモード時における図1の空調ユニットのセンター部での断面図である。 デフロスタモード時における図1の空調ユニットのサイド部での断面図である。 デフロスタモード時における図1の空調ユニットのセンター部での断面図である。 比較例1における空調ユニットの模式的な断面図である。 比較例1における後側仕切壁17の上面図である。 比較例1における空調ユニットのセンター部での断面図である。 第1実施形態における第2連通口の全開口面積とデフロスタ風量との関係および第2連通口の全開口面積と前席フェイス吹出空気の温度変化との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本実施形態の車両用空調装置は、大別して送風機ユニット(図示略)と図1に示す空調ユニット10との2つの部分に分かれている。送風機ユニットは、車室内の計器盤の内側における中央部から助手席側にオフセットして配置されている。これに対して、空調ユニット10は、車室内の計器盤の内側における左右方向の略中央部に配置されている。
送風ユニットは、周知の如く、その外殻を形成するブロワケース、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替箱、内外気切替箱から導入された空気を送風する送風機等から構成されている。本実施形態の送風機は、遠心多翼ファンを電動モータにて回転駆動させて空気を送風する。
また、送風機ユニットは、後述する空調ケース11の上側通路41に外気を流入させ、空調ケース11の下側通路42に内気を流入させることができるように構成されている。これにより、外気の乾いた空気を用いた空調風を前面窓ガラス等に吹き出し、内気の暖かい空気を用いた空調風を乗員の足下に吹き出すことができる。
空調ユニット10は、図1に示すように、外殻を形成すると共に、送風ユニットからの送風空気を車室内に向かって流す空気通路を形成する空調ケース11を有する。空調ケース11は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂、例えば、ポリプロピレンにて成形されている。なお、図1中の前後、左右、上下を示す矢印は、空調ユニット10を車両に搭載した状態での車両前後方向、車両左右方向、車両上下方向を示している。このことは、図1以外の図面についても同様である。
空調ケース11は、具体的には複数の分割ケースからなる。この複数の分割ケースは、空調ユニット10を構成する各種機器を収容した状態で、金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合されている。
続いて、空調ユニット10における空調ケース11の内部構造等について、図2、3を用いて説明する。なお、図2、3は、吹出モードが後述する前席フットモードおよび後席フットモードの状態を図示している。
空調ケース11のうち最も車両前方側の部位の側面には空気入口(図示せず)が形成されている。この空気入口には、前述の送風機ユニットのブロワケースからの送風空気が流入する。
空調ケース11内において空気入口直後の部位に蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は、図示しない蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する機器の1つである。蒸発器12は、冷凍サイクル内の低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることにより、送風空気を冷却する冷却部材である。空調ケース11の内部のうち蒸発器12よりも空気流れ上流側の部位に仕切壁11aが設けられている。この仕切壁11aによって、空調ケース11の内部において、蒸発器12よりも空気流れ上流側の空気流路が、上側の空気流路と下側の空気流路に仕切られている。
蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)には、ヒータコア13が配置されている。ヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を加熱する加熱部材である。ヒータコア13は、その内部に図示しないエンジン冷却水回路を循環する高温の冷却水が流れ、当該冷却水を熱源として空気を加熱する。
ヒータコア13は、冷却水が通過するチューブ、当該チューブに接合されたフィンで構成される熱交換用のコア部を有している。ヒータコア13のコア部は、コア部の前面側に位置する前側仕切壁16、およびコア部の後面側に位置する後側仕切壁17により、上側コア部13aと下側コア部13bとに仕切られている。各仕切壁16、17は空調ケース11内部で、車両幅方向(図2、図3の紙面垂直方向)全域にわたって延びるように形成されている。また、後側仕切壁17は、ヒータコア13のコア部の後面付近から空調ケース11の車両後方側壁面付近まで延びるように形成されている。
ヒータコア13の上端側には、蒸発器12を通過した冷風を、ヒータコア13を迂回して流す第1冷風バイパス通路14が形成されている。ヒータコア13の下端側には、蒸発器12を通過した冷風を、ヒータコア13を迂回して流す第2冷風バイパス通路15が形成されている。
また、ヒータコア13と蒸発器12との間には、第1、第2エアミックスドア18、19が配置されている。第1エアミックスドア18は、上側コア部13aを通過した温風と、第1冷風バイパス通路14を通過した冷風との風量割合を調整する。上側コア部13aを通過した温風と第1冷風バイパス通路14を通過した冷風は、所望温度の空気となるように第1空気混合部20で混合される。
第2エアミックスドア19は、下側コア部13bを通過した温風と、第2冷風バイパス通路15を通過した冷風との風量割合を調整する。下側コア部13bを通過した温風と第2冷風バイパス通路15を通過した冷風は、所望温度の空気となるように第2空気混合部21で混合される。
本実施形態の各エアミックスドア18、19は、蒸発器12の前面に沿ってスライド移動するスライドドアで構成されている。各エアミックスドア18、19は、図示しないアクチュエータに連結され、当該アクチュエータによりスライド位置が調整可能となっている。本実施形態の車両用空調装置は、各エアミックスドア18、19それぞれのドア開度を独立して調整することで、空調ケース11内の空気を上下で異なる温度に調整可能となっている。
空調ケース11におけるヒータコア13の空気流れ下流側(車両後方側)には、上側コア部13aを通過した温風が流れる第1温風通路22が形成されている。第1温風通路22の下流側(上方側)は、第1冷風バイパス通路14の下流側と合流しており、冷風と温風の混合を行う第1空気混合部20を形成している。
後側仕切壁17の下方側には、下側コア部13bを通過した温風が流れる第2温風通路23が形成されている。第2温風通路23の空気流れ下流側(車両後方側)は、第2冷風バイパス通路15の下流側と合流し、冷風と温風の混合を行う第2空気混合部21を形成している。
本実施形態の第2温風通路23には、加熱部材を構成する電気ヒータ24が配置されている。電気ヒータ24としては、例えば、PTC素子に通電することで発熱するPTCヒータを採用することができる。
空調ケース11の上面部には、デフロスタ開口部25および前席フェイス開口部27が形成されている。デフロスタ開口部25および前席フェイス開口部27は、空調ケース11のうち前側仕切壁16および後側仕切壁17よりも上側に形成され、第1空気混合部20の空気流れ下流側に連なっている。
デフロスタ開口部25は、第1空気混合部20で温度調整された空気が流入する。デフロスタ開口部25には、図示しないデフロスタダクトを介してデフロスタ吹出口に接続されている。デフロスタ開口部25を通過した空気は、デフロスタ吹出口から車両前面窓ガラスの内面に向けて吹き出される。
デフロスタ開口部25は、デフロスタドア26により切替開閉される。デフロスタドア26は、空調ケース11の上面部に近接して設けられている。デフロスタドア26は、車両左右方向に配置された回転軸により回動する片持ちドアで構成されている。デフロスタドア26は、図示しないアクチュエータに連結されて、当該アクチュエータにより回転操作される。
前席フェイス開口部27は、空調ケース11のうちデフロスタ開口部25よりも車両後方側の部位に形成されている。前席フェイス開口部27は、第1空気混合部20で温度調整された空気が流入する。前席フェイス開口部27は、図示しないフェイスダクトを介して、計器盤上方側に配置されているフェイス吹出口に接続されている。前席フェイス開口部27を通過した空気は、フェイス吹出口から車室内前席の上方側、すなわち、乗員の上半身に向けて吹き出される。
前席フェイス開口部27は、フェイスドア28により切替開閉される。フェイスドア28は、空調ケース11の上面部に近接して設けられている。フェイスドア28は、車両左右方向に配置された回転軸により回動するロータリドアで構成されている。フェイスドア28は、図示しないアクチュエータに連結され、当該アクチュエータにより回転操作される。
空調ケース11の車両後方部には、前席フット開口部29(図1参照)および後席開口部30(図3参照)が形成されている。前席フット開口部29および後席開口部30は、空調ケース11のうち前側仕切壁16および後側仕切壁17よりも下側に形成され、第2空気混合部21の空気流れ下流側に連なっている。
前席フット開口部29は、図1に示すように、空調ケース11の左右両側の側面に形成されている。前席フット開口部29は、連通路31を介して、第2空気混合部21と連通している。前席フット開口部29は、第2空気混合部21で温度制御された空調空気が通過する。前席フット開口部29を通過した空気は、図示しない左右両側の前席用フット吹出口を経て前席の下方側、すなわち、乗員の下半身へ吹き出される。
後席開口部30は、図1に示すように、空調ケース11の車両後方側の面に形成されている。後席開口部30は、後述する接続ダクト50を介して、後席用吹出口に接続されている。後席開口部30は、第2空気混合部21で温度調整された空気が通過する。後席開口部30を通過した空気は、後席用吹出口から後席に向けて吹き出される。
本実施形態の空調ユニット10は、運転席、助手席、後席のそれぞれの乗員に向けて吹き出す空気の温度を、それぞれ、独立して制御可能に構成されている。ここで、理解を容易にするために、図4に、空調ユニット10の模式的な断面図を示し、図5に、図4のV−V線断面図を示し、図6に図4のVI−VI線断面図を示し、図7に図4のVII−VII線断面図を示す。
図4に示すように、前述の空調ケース11の内部において、蒸発器12よりも空気流れ下流側の空気通路は、前側仕切壁16および後側仕切壁17によって、上側に位置する上側通路41と下側に位置する下側通路42に仕切られている。上側通路41に、第1冷風バイパス通路14と、第1温風通路22と、第1空気混合部20とが形成されている。下側通路42に、第2冷風バイパス通路15と、第2温風通路23と、第2空気混合部21とが形成されている。本実施形態では、前側仕切壁16および後側仕切壁17が、本発明における温度調整装置によって温度調整される空気が流れる空気通路を上側通路41と下側通路42に仕切る第1仕切壁を構成している。
図5、7に示すように、上側通路41は、上側仕切壁43によって、車両右側の上側運転席用通路41aと車両左側の上側助手席用通路41bの2つの空気通路に仕切られている。
図5に示すように、前述の第1エアミックスドア18は、上側運転席用通路41aに配置された上側運転席用エアミックスドア18aと、上側助手席用通路41bに配置された上側助手席用エアミックスドア18bとで構成されている。上側運転席用エアミックスドア18aおよび上側助手席用エアミックスドア18bは、それぞれ、図示しないアクチュエータ機構に連結されて、このアクチュエータ機構によりこの2つのエアミックスドアのスライド位置を独立して調整するようになっている。
前述の第1空気混合部20は、上側運転席用通路41aに形成された上側運転席用混合部20aと、上側助手席用通路41bに形成された上側助手席用混合部20b(図2、3参照)とで構成されている。
前述のデフロスタ開口部25は、上側運転席用通路41aの下流側に形成された運転席デフロスタ開口部25aと、上側助手席用通路41bの下流側に形成された助手席デフロスタ開口部25bとで構成されている。運転席デフロスタ開口部25aと助手席デフロスタ開口部25bは、共通のデフロスタドア26(図2参照)によって開閉される。
前述の前席フェイス開口部27は、上側運転席用通路41aの下流側に形成された運転席フェイス開口部27aと、上側助手席用通路41bの下流側に形成された助手席フェイス開口部27bとで構成されている(図1、2、3参照)。運転席フェイス開口部27aと助手席フェイス開口部27bは、共通のフェイスドア28によって開閉される。なお、運転席フェイス開口部27aと助手席フェイス開口部27bとを、それぞれ専用のフェイスドアで開閉するようにしてもよい。
図6、7に示すように、下側通路42は、2つの下側左右仕切壁44、45によって、下側運転席用通路42aと、後席用通路42cと、下側助手席用通路42bの車両左右方向に並ぶ3つの空気通路に仕切られている。下側運転席用通路42aは車両右側に位置しており、下側助手席用通路42bは車両左側に位置しており、後席用通路42cは下側運転席用通路42aと下側助手席用通路42bの間に位置している。本実施形態では、下側左右仕切壁44、45が、下側通路42を前席用通路42a、42bと後席用通路42cに仕切る第2仕切壁を構成している。
図6に示すように、前述の第2エアミックスドア19は、下側運転席用通路42aに配置された下側運転席用エアミックスドア19a、下側助手席用通路42bに配置された下側助手席用エアミックスドア19b、および後席用通路42cに配置された後席用エアミックスドア19cで構成されている。これら3つのエアミックスドア19a、19b、19cはそれぞれ、図示しないアクチュエータ機構に連結されて、このアクチュエータ機構により3つのエアミックスドア19a、19b、19cのスライド位置を独立して調整するようになっている。
前述の第2空気混合部21は、下側運転席用通路42aに形成された下側運転席用混合部21a、下側助手席用通路42bに形成された下側助手席用混合部21b、および後席用通路42cに形成された後席用混合部21cで構成されている。
前述の前席フット開口部29のうち、空調ケース11の運転席側の側面に形成され、運転席側の乗員足元に空気を吹き出すための運転席フット開口部29aは、下側運転席用通路42aの下流側に形成されている。前席フット開口部29のうち空調ケース11の助手席側の側面に形成され、助手席側の乗員足元に空気を吹き出すための助手席フット開口部29b(図1参照)は、下側助手席用通路42bの下流側に形成されている。
前述の後席開口部30は、空調ケース11のうち後席用通路42cの下流側に形成されている。後席開口部30は、図8に示す接続ダクト50に接続される。接続ダクト50は、計器盤付近から車室内前席の下部付近まで延びるダクトである。接続ダクト50は、後席フェイス用通路51と後席フット用通路52に分岐している。後席フェイス用通路51は、後席フェイス吹出口53に接続されている。後席フット用通路52は、後席フット吹出口54に接続されている。後席フェイス用通路51には、後席フェイス用通路51を開閉する後席フェイスドア55が設けられている。後席フット用通路52には、後席フット用通路52を開閉する後席フットドア56が設けられている。なお、後席フェイスドア55は、後席フェイス用通路51から後席フェイス吹出口53の間に設けられていればよい。後席フットドア56についても、同様である。
したがって、後席フェイスドア55および後席フットドア56が閉じられることにより、後席への空調風の吹出が禁止された状態となる。すなわち、後席開口部30からの空調風の流出が禁止された状態となる。また、後席フェイスドア55が開かれることにより、後席フェイス吹出口53から後席乗員の上半身に向けて空調風が吹き出される。後席フットドア56が開かれることにより、後席フット吹出口54から後席乗員の下半身に向けて空調風が吹き出される。
図9に、後側仕切壁17の平面図を示す。なお、図9は、図7中の後側仕切壁17を上方から見た図である。図7、9に示すように、後側仕切壁17のうち上側運転席用混合部20aと下側運転席用混合部21aとを仕切る部位の一部に、両者を連通させる運転席側の第1連通口46aが設けられている。同様に、後側仕切壁17のうち上側助手席用混合部20bと下側助手席用混合部21bとを仕切る部位の一部に、両者を連通させる助手席側の第1連通口46bが設けられている(図2参照)。
また、後側仕切壁17のうち上側運転席用混合部20aと後席用混合部21cとを仕切る部位の一部に、両者を連通させる運転席側の第2連通口47aが設けられている。同様に、後側仕切壁17のうち上側助手席用混合部20bと後席用混合部21cとを仕切る部位の一部に、両者を連通させる助手席側の第2連通口47bが設けられている(図3参照)。
そして、図9に示すように、第2連通口47a、47bの全開口面積が、第1連通口46a、46bの全開口面積よりも小さくなるように、第2連通口47a、47bのそれぞれの開口面積が設定されている。第2連通口47a、47bの全開口面積とは、運転席側の第2連通口47aと助手席側の第2連通口47bのそれぞれの開口面積の合計である。同様に、第1連通口46a、46bの全開口面積とは、運転席側の第1連通口46aと助手席側の第1連通口46bのそれぞれの開口面積の合計である。なお、本実施形態では、運転席側の第2連通口47aと助手席側の第2連通口47bのそれぞれの開口面積は同じであり、運転席側の第1連通口46aと助手席側の第1連通口46bのそれぞれの開口面積は同じである。
図2、3に示すように、空調ケース11には、第1連通口46a、46bと第2連通口47a、47bと連通路31とを選択的に開閉する兼用ドア48が設けられている。兼用ドア48は、第1連通口46a、46bを開閉するドアと、第2連通口47a、47bを開閉するドアと、連通路31を開閉するフットドアとを兼用するものである。
図10に示すように、兼用ドア48は、第1連通口46a、46bを開閉する第1ドア部48aと、第2連通口47a、47bを開閉する第2ドア部48bと、連通路31を開閉するフットドア部48cとが一体化され、これらが一体的に回転するように構成されたものである。具体的には、兼用ドア48は、第1連通口46a、46bおよび第2連通口47a、47bを開閉する板状の第1ドア本体部49aと、前席フット開口部29を開閉する板状のドア本体部49bと、両方のドア本体部49a、49bを回転させる共通の回転軸49cとを有するバタフライドアで構成されている。第1ドア本体部49aが第1ドア部48aおよび第2ドア部48bを構成し、第2ドア本体部49bがフットドア部48cを構成している。兼用ドア48は、図示しないアクチュエータに連結されて、このアクチュエータにより回転操作されるようになっている。なお、本実施形態では、第1ドア本体部49aと、ドア本体部49bと、回転軸49cとは、別々に樹脂成形された後、互いに結合されて一体化されている。第1ドア本体部49aと、ドア本体部49bと、回転軸49cとを同時に樹脂成形して一体のドアとしてもよい。
本実施形態では、第1連通口46a、46bおよび第2連通口47a、47bが兼用ドア48によって開閉されるため、第1連通口46a、46bおよび第2連通口47a、47のそれぞれの開閉状態は同じとなる。なお、本実施形態では、1つの兼用ドア48を用いたが、別体とされた運転席側の兼用ドアと助手席側の兼用ドアを用いて、各兼用ドアを独立して制御できるようにしてもよい。
次に、本実施形態の車両用空調装置の電気制御部の概要を説明する。車両用空調装置は、図示しない電子制御装置(ECU)により自動制御されるようになっている。このECUはマイクロコンピュータ等から構成されるもので、前述の送風機ユニットおよび空調ユニット10に装備される各種空調機器を予め設定されたプログラムに従って制御するものである。
ECUにはセンサ群からのセンサ信号、車室内前方の計器盤部に設置される空調用の前席側操作パネル(図示せず)、および車室内後席側に設置される空調用の後席側操作パネル(図示せず)からの操作信号が入力される。
センサ群としては、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温センサ(図示せず)、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温センサ(図示せず)、車室内への日射量Tsを検出する日射センサ(図示せず)、蒸発器12の吹出空気温度TEを検出する蒸発器後温度センサ(図示せず)、ヒータコア13への温水温度Twを検出する水温センサ(図示せず)等が設けられている。
図示を省略しているが、前席側操作パネルには、運転席側設定温度Tset1を設定する運転席側温度設定スイッチ、助手席側設定温度Tset2を設定する助手席側温度設定スイッチ、吹出モード設定スイッチ、内外気モード設定スイッチ、空調モード設定スイッチ等が設けられ、後席側操作パネルには、後席側設定温度Tset3を設定する後席側温度設定スイッチ等が設けられる。
ECUにより制御される各種空調機器の駆動手段としては、前述の内外気切替ドア(図示せず)の駆動用モータ(図示せず)、送風ファン(図示せず)の駆動用モータ(図示せず)、ならびに第1、第2エアミックスドア18、19、デフロスタドア26、フェイスドア28、兼用ドア48、後席フェイスドア55および後席フットドア56の各種ドア用のアクチュエータ機構の駆動用モータ(図示せず)等が設けられている。
次に、上記構成において本実施形態の車両用空調装置の作動を説明する。車両用空調装置は、吹出モード切替ドアをなすデフロスタドア26、フェイスドア28、兼用ドア48、後席フェイスドア55および後席フットドア56の操作位置を選択することにより、以下の基本的な吹出モードを設定できる。吹出モード切替ドアは、乗員による吹出モード設定スイッチの操作によって選択された吹出モード、もしくは、ECU内での吹出モード算出結果に基づいて選択された吹出モードを実現するように、ECUによって操作される。
(1)前席フェイスモードおよび後席フェイスモード
フェイスモードが選択されると、吹出モード切替ドア26、28、48、55、56は、図11、12に示す位置に操作される。これにより、運転席フェイス開口部27a、助手席フェイス開口部27b、第1連通口46a、46bが開いた状態となり、デフロスタ開口部25、連通路31(運転席フット開口部29a、助手席フット開口部29b)が閉じられた状態となる。このとき、兼用ドア48によって、図11に示すように、第1連通口46a、46bが開いた状態とされるのに伴って、図12に示すように、第2連通口47a、47bも開いた状態となる。さらに、図11、12中に図示されていないが、後席フェイス用通路51(後席フェイス吹出口53)が開いた状態となり、後席フット用通路52(後席フット吹出口54)が閉じられた状態となる。
このため、図11に示すように、上側助手席用混合部20bの空調風と下側助手席用混合部21bの空調風とが、助手席フェイス開口部27bから流出して、助手席乗員の上半身(顔)に向けて吹き出される。同様に、図11に示されていないが、上側運転席用混合部20aの空調風と下側運転席用混合部21aの空調風とが、運転席フェイス開口部27aから流出して、運転席乗員の上半身(顔)に向けて吹き出される。
また、図12に示すように、後席用混合部21cの空調風が、後席開口部30から流出して、後席乗員の上半身(顔)に向けて吹き出される。
(2)前席フットモードおよび後席フットモード
フットモードが選択されると、吹出モード切替ドア26、28、48、55、56は、図2、3に示す位置に操作される。これにより、図2に示すように、連通路31(運転席フット開口部29a、助手席フット開口部29b)が開いた状態となり、第1連通口46a、46bが閉じられた状態となる。運転席フェイス開口部27aおよび助手席フェイス開口部27bは閉じられた状態となる。デフロスタ開口部25は、わずかに開いた状態となる。
このため、図2に示すように、下側助手席用混合部21bの空調風が、助手席フット開口部29bから流出して、助手席乗員の足元に向けて吹き出される。同様に、図2に示されていないが、下側運転席用混合部21aの空調風が、運転席フット開口部29aから流出して、運転席乗員の足元に向けて吹き出される。このときの下側運転席用混合部21aの空調風と下側助手席用混合部21bの空調風は、内気を温度調整したものである。
また、デフロスタ開口部25をわずかに開けているので、図2に示すように、下側助手席用混合部21bの空調風が、助手席フット開口部29bから流出して、助手席乗員の足元に向けて吹き出される。同様に、図2に示されていないが、上側運転席用混合部20aの空調風が、デフロスタ開口部25から流出して、車両前面窓ガラスに向けて吹き出される。このときの上側運転席用混合部20aの空調風と上側助手席用混合部20bの空調風は、外気を温度調整したものである。
また、兼用ドア48によって、第1連通口46a、46bが閉じた状態とされるのに伴って、図3に示すように、第2連通口47a、47bも開いた状態となる。さらに、図2、3中に図示されていないが、後席フェイス用通路51(後席フェイス吹出口53)が閉じられた状態となり、後席フット用通路52(後席フット吹出口54)が開いた状態となる。
このため、図3に示すように、後席用混合部21cの空調風が、後席開口部30を通過し、後席フット吹出口54から吹き出される。このときの後席用混合部21cの空調風は、内気を温度調整したものである。
(3)デフロスタモード
デフロスタモードが選択されると、吹出モード切替ドア26、28、48、55、56は、図13、14に示す位置に操作される。これにより、デフロスタ開口部25が開いた状態となる。フェイス開口部27は閉じられた状態となる。第1連通口46a、46bが開いた状態となり、連通路31(運転席フット開口部29a、助手席フット開口部29b)が閉じられた状態となる。このとき、兼用ドア48によって、図13に示すように、第1連通口46a、46bが開いた状態とされるのに伴って、図14に示すように、第2連通口47a、47bも開いた状態となる。さらに、図13、14中に図示されていないが、後席フェイス用通路51(後席フェイス吹出口53)および後席フット用通路52(後席フット吹出口54)が閉じられた状態となる。
このため、図13に示すように、上側助手席用混合部20bの空調風がデフロスタ開口部25に向かって流れるとともに、下側助手席用混合部21bの空調風が第1連通口46bを介して、デフロスタ開口部25に向かって流れる。同様に、図13に示されていないが、上側運転席用混合部20aの空調風がデフロスタ開口部25に向かって流れるとともに、下側運転席用混合部21aの空調風が第1連通口46aを介して、デフロスタ開口部25に向かって流れる。
さらに、図14に示すように、後席用混合部21cの空調風も、第2連通口47bおよび図示しない第2連通口47aを介して、デフロスタ開口部25に向かって流れる。そして、デフロスタ開口部25流出した空調風が、車両前面窓ガラスに向けて吹き出されることにより、前面窓ガラスの曇り止めを行う。
なお、これらの各吹出モードでは、前述の各エアミックスドア18a、18b、19a、19b、19cの操作位置(スライド位置)をそれぞれ独立に制御することにより、運転席側、助手席側および後席側の吹出空気温度を独立に制御できる。
また、本実施形態の車両空調装置は、乗員が操作パネルの空調モード設定スイッチを操作することにより、後席への空調風の吹き出しを禁止することが可能となっている。この場合、後席フェイスドア55および後席フットドア56によって、後席フェイス用通路51(後席フェイス吹出口53)および後席フット用通路52(後席フット吹出口54)が閉じられることで、後席への空調風の吹き出しが禁止される。
次に、本実施形態の車両用空調装置の特徴について説明する。
(1)本実施形態の空調ユニット10と、比較例1の空調ユニットとを比較する。比較例1の空調ユニットは、図15、16、17に示すように、後側仕切壁17に、図7に示される第2連通口47a、47bが設けられていない点と、兼用ドア48が図10に示される第2ドア部48bを有していない点が、本実施形態と異なるものであり、その他の構成は、本実施形態と同じである。なお、図15は、比較例1の空気混合部20、21の模式図であり、図7に対応する図である。図16は、図15中の後側仕切壁17の上面図であり、図9に対応する図である。図17は、比較例1の空調ユニットのデフロスタモード時の風流れを示す図であり、図14に対応する図である。また、比較例1の空調ユニットは、デフロスタモード時において、吹出モード切替ドア26、28、48、55、56が、本実施形態と同様に、図13に示す位置に操作される。
発明が解決しようとする課題の欄での説明の通り、後席用通路42cの空調風の温度を、上側通路41a、41bの空調風および下側通路42の前席用通路42a、42bの空調風に対して独立して制御するためには、図15に示す比較例1のように、後席用通路42cを、上側通路41a、41bおよび前席用通路42a、42bに対して完全に分け隔てることが望ましい。
しかし、比較例1では、後席用通路42cが上側通路41a、41bおよび前席用通路42a、42bに対して完全に分け隔てられているため、図17に示すように、デフロスタモード時に、後席用混合部21c(すなわち、後席用通路42c)からデフロスタ開口部25に向かう空気流れが形成されない。このため、比較例1では、本実施形態の空調ユニット10において後席用通路42cを設けない場合と比較して、空調ケース11の内部の圧損が上昇し、デフロスタ開口部25から流出する空調風の風量低下が生じてしまう。
これに対して、本実施形態では、上述の通り、後側仕切壁17に第2連通口47a、47bを設けている。そして、デフロスタモード時に、兼用ドア48は、第2連通口47a、47bを開いて、後席用混合部21cと、上側運転席用混合部20a、上側助手席用混合部20bとが連通した状態、すなわち、後席用通路42cと上側通路41とが連通した状態とする。
このため、図14に示すように、後席用混合部21c(すなわち、後席用通路42c)からこの第2連通口47a、47bを介してデフロスタ開口部25に向かう空気流れを形成できる。よって、本実施形態によれば、比較例1と比較して、デフロスタモード時にデフロスタ開口部25から流出する空調風の風量低下を抑制できる。
(2)本実施形態では、第2連通口47a、47bを開閉するドアとして、図10に示すように、第1連通口46a、46bを開閉する第1ドア部48aと、第2連通口47a、47bを開閉する第2ドア部48bと、連通路31を開閉するフットドア部48cとが一体的に回転するように構成された兼用ドア48を用いている。
本実施形態と異なり、第2連通口47a、47bを開閉する専用のドアを用いると、ドアの数が増大し、専用のドアを駆動する機構も別途必要となる。このため、車両用空調装置の構成部品が増大してしまう。
これに対して、本実施形態によれば、第2連通口47a、47bを開閉する専用のドアを用いる場合と比較して、車両用空調装置の構成部品を減らすことができる。すなわち、第1ドア部48aと第2ドア部48bとフットドア部48cの全てが別体の場合や、第2ドア部48bが、第1ドア部48aとフットドア部48cが一体化されたものと別体とされる場合と比較して、車両用空調装置の構成部品を減らすことができる。
(3)本実施形態では、フットモード時に、兼用ドア48が、第1連通口46a、46bと第2連通口47a、47bを閉じることで、後席用通路42cを、上側通路41a、41bおよび前席用通路42a、42bと分け隔てることができる。また、デフロスタモード時に、兼用ドア48が、第1連通口46a、46bと第2連通口47a、47bを開くので、デフロスタ開口部25から流出の空調風の風量を確保できる。
しかし、本実施形態では、図14に示すように、フェイスモード時に、兼用ドア48が第2連通口47a、47bを開くので、第2連通口47a、47bを介して後席用通路42cと上側通路41の一方から他方へ空調風が流入する。このため、他方の空調風の温度が変化してしまう。このとき、第2連通口47a、47bの開口面積が大きいほど、他方の空調風の温度変化が大きくなり、他方の空調風の温度制御が阻害されてしまう。
そこで、本実施形態では、図9に示すように、第2連通口47a、47の全開口面積が、第1連通口46a、46bの全開口面積よりも小さくなるように、第2連通口47a、47bのそれぞれの開口面積を設定している。これにより、第2連通口47a、47bの全開口面積が、第1連通口46a、46bの全開口面積よりも大きい場合と比較して、後席用通路42cと上側通路41の一方から他方への空調風の流入を抑制でき、他方の空調風の温度変化を小さく抑えることができる。
ここで、第2連通口47a、47bの全開口面積の大きさとデフロスタ風量および空調風の温度変化との関係について、図18を用いて説明する。図18は、これらの関係を示す解析結果である。図18の横軸が示す第2連通口47a、47bの面積割合とは、第1連通口46a、46bの全開口面積に対する第2連通口47a、47の全開口面積の割合である。図18の左側の縦軸が示す風量低下率とは、第2連通口47a、47bの開口面積割合を100%としたときのデフロスタ風量を基準とし、その基準に対するデフロスタ風量の低下率を示す。また、風量低下率は、送風機の送風能力が同じ条件のときの比較結果である。デフロスタ風量は、デフロスタモード時にデフロスタ開口部25から流出する空調風の風量である。
図18に示すように、第2連通口47a、47bの全開口面積の割合が0のとき、すなわち、比較例1のように第2連通口47a、47bを設けないとき、デフロスタ風量の低下率が7%と最も大きい。そして、図18より、第2連通口47a、47の全開口面積の割合が0から増大するにつれて、デフロスタ風量の低下率が小さくなるという関係があることがわかる。
第2連通口47a、47bの開口面積割合を100%、すなわち、第2連通口47a、47bの開口面積を、第1連通口46a、46bの開口面積と同じ大きさとすれば、所望のデフロスタ風量を十分に確保でき、前面窓ガラスの曇り止めの機能を発揮する。このとき、デフロスタ風量の低下率が2%以内であれば、デフロスタモード時の前面窓ガラスの曇り止めの機能に影響がないことがわかっている。そこで、図18に示すように、第2連通口47a、47の全開口面積の割合は、32%以上であることが好ましい。この場合に、デフロスタ風量の低下率を2%以内に抑えることができる。
また、図18の右側の縦軸が示す連れ上がり温度とは、前席フェイス開口部27および後席フェイス吹出口の両方から空調風を吹き出すフェイスモード時において、前席フェイス開口部27から流出する空調風、すなわち、前席吹出空気の上昇温度である。より詳細には、第1エアミックスドア18の開度を最大冷房開度(MAXCOOL)とし、後席用エアミックスドア19cの開度を最大暖房開度(MAXHOT)とした条件において、第2連通口47a、47bを設けないときの前席吹出空気の温度に対する上昇温度である。なお、第1エアミックスドア18の開度を最大冷房開度(MAXCOOL)とし、後席用エアミックスドアの開度を最大暖房開度(MAXHOT)としたのは、この場合に、後席用通路42cの空調風が上側通路41の空調風に混入することによる上側通路41の空調風の温度上昇が最も大きくなるからである。
図18より、第2連通口47a、47bの全開口面積の割合が0より増大するにつれて、前席フェイス吹出空気の温度上昇が大きくなるという関係があることがわかる。前席吹出空気の温度上昇が5℃以内であれば、乗員の快適性への影響は小さい。そこで、図18に示すように、第2連通口47a、47の全開口面積の割合は、61%以下であることが好ましい。この場合に、上側通路41の空調風に、後席用通路42cの空調風が混入することによる前席吹出空気の温度上昇を5℃以内に抑えることができる。すなわち、前席吹出空気の温度変化を最小限に抑えることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)第1実施形態では、第2連通口47a、47bを開閉するドアとして、兼用ドア48を用いたが、第2連通口47a、47bを開閉する専用のドアを用いてもよい。この場合においても、デフロスタモード時に、専用のドアが第2連通口47a、47bを開くことで、第1実施形態と同様に、デフロスタモード時にデフロスタ開口部25から流出する空調風の風量低下を抑制できる。また、フェイスモード時に、専用のドアが第2連通口47a、47bを閉じることで、後席用通路42cの空調風が上側通路41の空調風に混入することを回避できる。
(2)第1実施形態では、上側通路41を上側運転席用通路41aと上側助手席用通路41bとに分け隔てていたが、分け隔てていなくてもよい。すなわち、第1実施形態の空調ユニット10は、運転席、助手席、後席の3席の乗員に向けて吹き出す空気の温度を、それぞれ、独立して制御可能に構成されていたが、前席と後席の2席の乗員に向けて吹き出す空気の温度を独立して制御可能な構成としてもよい。
(3)第1実施形態では、後側仕切壁17のうち上側運転席用混合部20aと後席用混合部21cとを仕切る部位の一部に、第2連通口47aを一つ設けたが、第2連通口47aを複数設けてもよい。同様に、後側仕切壁17のうち上側助手席用混合部20bと後席用混合部21cとを仕切る部位の一部に、第2連通口47bを一つ設けたが、第2連通口47bを複数設けてもよい。この場合においても、第2連通口47a、47の全開口面積が、第1連通口46a、46bの全開口面積よりも小さくなっていればよい。
(4)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
11 空調ケース
12 蒸発器(温度調整装置)
13 ヒータコア(温度調整装置)
16 前側仕切壁(第1仕切壁)
17 後側仕切壁(第1仕切壁)
18 第1エアミックスドア(温度調整装置)
19 第2エアミックスドア(温度調整装置)
25 デフロスタ開口部
30 後席開口部
41 上側通路
42 下側通路
42a 下側運転席用通路(前席用通路)
42b 下側助手席用通路(前席用通路)
42c 後席用通路
44、45 下側左右仕切壁(第2仕切壁)
46a、46b 第1連通口
47a、47b 第2連通口
48 兼用ドア(ドア)

Claims (4)

  1. 空気が流れる空気通路および前記空気通路を流れる空気を車室内に向かって流出させる複数の開口部が形成された空調ケース(11)と、
    前記空調ケースの内部に設けられ、前記空気通路を流れる空気の温度を調整する温度調整装置(12、13、18、19)とを備え、
    前記空調ケースは、前記温度調整装置によって温度調整される空気が流れる空気通路を上側に位置する上側通路(41)と下側に位置する下側通路(42)に仕切る第1仕切壁(16、17)と、前記下側通路を前席用通路(42a、42b)と後席用通路(42c)に仕切る第2仕切壁(44、45)とを有し、
    前記複数の開口部は、前記上側通路を流れる空気を車両前面の窓ガラスに向かって流出させるデフロスタ開口部(25)と、前記上側通路を流れる空気を前席の上方側に向かって流出させるフェイス開口部(27)と、前記前席用通路を流れる空気を前席の下方側に向かって流出させるフット開口部(29)と、前記後席用通路を流れる空気を後席に向かって流出させる後席開口部(30)とを含み、
    前記温度調整装置は、前記上側通路、前記前席用通路、前記後席用通路のそれぞれを流れる空気の温度を独立して温度調整するように構成され、
    前記第1仕切壁のうち前記上側通路と前記前席用通路とを仕切る部位の一部に、前記上側通路と前記前席用通路とを連通させる少なくとも1つの第1連通口(46a、46b)が設けられており、
    前記第1仕切壁のうち前記上側通路と前記後席用通路とを仕切る部位の一部に、前記上側通路と前記後席用通路とを連通させる少なくとも1つの第2連通口(47a、47b)が設けられており、
    前記空調ケースは、前記第2連通口を開閉するドア(48)を備え、
    前記フット開口部および前記後席開口部からの空気の流出を禁止した状態で、前記上側通路を流れる空気を前記デフロスタ開口部から流出させるとともに、前記前席用通路を流れる空気を前記第1連通口および前記上側通路を介して前記デフロスタ開口部から流出させるデフロスタモード時において、前記ドアは、前記第2連通口を開いて、前記後席用通路と前記上側通路とが連通した状態とすることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記ドアは、前記第1連通口を開閉する第1ドア部(48a)と、前記第2連通口を開閉する第2ドア部(48b)と、前記フット開口部を開閉するフットドア部(48c)とが一体的に回転するように構成されているとともに、前記デフロスタモード時および前記フェイス開口部から空気を流出させるフェイスモード時に、前記フット開口部を閉じるとともに前記第1連通口および前記第2連通口を開き、前記フット開口部から空気を流出させるフットモード時に、前記フット開口部を開くとともに前記第1連通口および前記第2連通口を閉じるようになっており、
    前記第2連通口の全開口面積は、前記第1連通口の全開口面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記第1連通口の全開口面積に対する前記第2連通口の全開口面積の割合が、32%以上であることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記第1連通口の全開口面積に対する前記第2連通口の全開口面積の割合が、61%以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空調装置。


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