JP6421596B2 - 熱交換機構 - Google Patents
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Description
吸気は、温度が低下するほど単位質量あたりの体積が小さくなる。そのため、吸気を冷却することで、エンジンの充填効率を向上させることができ、エンジンの出力を高めることができる。一方、冬期や寒冷地といった低温環境下でエンジンを暖機運転する場合には、吸気温度を上昇させることで、機械的摩擦損失の低下や燃焼の安定化を促すことができる。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(4)前記ボア部の内壁面に沿った曲面形状に形成され、前記第一回路および前記第二回路内のそれぞれに挿入されたスペーサを備えることが好ましい。
(6)前記吸気通路において前記スロットルボディよりも吸気流通方向上流側に介装され、吸気を冷却する冷却装置を備えることが好ましい。前記冷却装置の具体例としては、インタークーラが挙げられる。
(8)前記吸気通路において前記スロットルボディよりも吸気流通方向上流側に介装され、吸気を過給する過給機を備えることが好ましい。
(9)前記第一回路の前記第一熱媒体による加熱度合いと前記第二回路の前記第二熱媒体による冷却度合いとを制御する制御装置を備えることが好ましい。
(10)もう一つの本発明の熱交換機構は、内燃機関の吸気通路に介装され、吸気の流通量を調整するスロットルバルブを有するスロットルボディと、前記スロットルボディ内の前記吸気通路となるボア部の外周で前記スロットルバルブよりも吸気流通方向上流側に配置されて吸気よりも高温の第一熱媒体が流通する第一回路と、前記ボア部の外周で前記スロットルバルブよりも吸気流通方向下流側に配置されて吸気よりも低温の第二熱媒体が流通する第二回路と、前記ボア部の内壁面に沿った曲面形状に形成され、前記第一回路および前記第二回路内のそれぞれに挿入されたスペーサと、を備えたことを特徴としている。
本熱交換機構では、内燃機関の吸気系に設けられたスロットルボディに二系統の熱交換回路が設けられている。ここでは、内燃機関として、車両に搭載されたエンジンを例に挙げて説明する。
なお、本実施形態では、吸気および排気の流通方向を基準に上流(吸気流通方向上流)および下流(吸気流通方向下流)を定め、同様に、熱交換回路を流通する熱媒体の流通方向を基準に上流および下流を定める。また、重力の作用方向を下方とする。
[1.構成]
以下、本実施形態の熱交換機構の基本的な構成について、エンジンの吸排気系,熱交換回路の順に説明する。
はじめに、図1を参照して、エンジン1の吸気系および排気系の構成を説明する。以下、エンジン1,吸気系および排気系に跨って設けられるターボチャージャ(過給機)40およびEGR通路50,吸気系ならびに排気系の順に各構成を説明する。なお、白抜きの矢印で吸気通路10における吸気の流通方向を示し、黒塗りの矢印で排気通路30における排気の流通方向を示し、斜線を付した矢印でEGR通路50において還流する排気の流通方向を示す。
エンジン1は、シリンダ1a(破線で示し一箇所のみに符号を付す)内で燃料を燃焼させた熱エネルギーにより出力を得る内燃機関である。ここでは、複数のシリンダ1aが設けられた多気筒型であって図示省略する点火プラグが装備されたガソリンエンジンをエンジン1の例に挙げて説明する。
エンジン1には、吸気ポート2および排気ポート3(それぞれ破線で示し一箇所のみに符号を付す)が、燃焼室となるシリンダ1aのそれぞれに連通して設けられている。吸気ポート2のそれぞれは、上流側から下流側に向けて複数に分岐しており、同様に、排気ポート3のそれぞれは、下流側から上流側に向けて複数に分岐している。ここでは、各ポート2,3が二つに分岐したものを例示している。
なお、四つのシリンダ1aを例示するが、シリンダ1aは、三つ以下であってもよいし五つ以上であってもよい。
これらの吸排気系10,30に跨って、ターボチャージャ40およびEGR通路50が設けられている。
ターボチャージャ40は、吸気を過給する機構である。このターボチャージャ40は、同軸に設けられたタービン41およびコンプレッサ42を有する。これらのタービン41およびコンプレッサ42は一体に回転するように結合されている。タービン41は排気通路30に介装され、コンプレッサ42は吸気通路10に介装されている。
ターボチャージャ40では、排気によってタービン41が回転してコンプレッサ42が回転し、吸気が圧縮される。そして、圧縮された吸気がエンジン1に供給される。すなわち、吸気が過給される。
EGRクーラ51は、還流する排気を冷却する装置である。EGRクーラ51を流通する排気は、外気と熱交換することで冷却される。
EGRバルブ52は、排気の還流量を調整するものである。ここでは、開度調整可能なEGRバルブ52が採用されている。
吸気系では、新気の吸気が流通する順に、エアクリーナ11,上述したコンプレッサ42,インタークーラ(冷却装置)12,スロットルボディ20,サージタンク13,インテークマニホールド(以下、「インマニ」と略称する)14が吸気通路10に介装されている。
インタークーラ12は、吸気を冷却するものである。このインタークーラ12では、吸気と外気との熱交換により、ターボチャージャ40で圧縮されて上昇した吸気の温度が低下され、吸気の空気密度の低下が回復する。
インマニ14は、エンジン1の各シリンダ1aに向かってサージタンク13から分岐するように形成された多岐管である。ここでは、エンジン1に四つのシリンダ1aが設けられているため、インマニ14は四つの分岐管14a,14b,14c,14dを有する。
また、分岐管14aには、燃料を噴射するインジェクタ15aが設けられている。同様に、分岐管14b,14c,14dのそれぞれには、対応するインジェクタ15b,15c,15dが設けられている。すなわち、インジェクタ15a,15b,15c,15dは、対応する各分岐管14a,14b,14c,14dの内部に燃料を噴射するポート噴射型のものである。
排気系では、排気が流通する順に、エキゾーストマニホールド(以下、「エキマニ」と略称する)31,上述したタービン41,排気処理装置32が排気通路30に介装されている。
エキマニ31は、エンジン1の各シリンダ1aから合流するように形成された多岐管である。ここではエンジン1に四つのシリンダ1aが設けられているため、エキマニ31は、インマニ14と同様に、四つの分岐管が複数の列をなしており、各分岐管の内部に排気通路30が形成されている。
三元触媒コンバータとは、排気に含まれる炭化水素(以下、「HC」という),一酸化炭素(以下、「CO」という),およびNOxの三成分を酸化または還元させて浄化処理する変換装置である。この三元触媒コンバータでは、HCが水(H2O)と二酸化炭素(CO2)に、COが二酸化炭素に、NOxが窒素(N2)に、酸化または還元される。三元触媒コンバータとしては、セラミックスやコーディエライトなどで生成された触媒担体にプラチナ,パラジウム,ロジウムなどの貴金属の微粒子を担持させたものが挙げられる。
次に、熱交換回路の基本的な構成について説明する。
熱交換回路では、循環して流通する熱媒体と熱交換対象とが熱エネルギーを授受(すなわち熱交換)する。このようにして、熱交換対象が加熱または冷却される。
エンジン冷却回路60を流通するエンジン冷却水は、エンジン1によって昇温される。そのため、空調冷却回路70を流通する空調冷媒やIC冷却回路80を流通するIC冷媒よりも比較的高温になるものといえる。
エンジン冷却回路60には、冷却対象のエンジン1と放熱器のラジエータ62との間を環状に接続する流路と、ラジエータ62と並列に接続される流路とが設けられる。前者は、おもに作動中のエンジン1を冷却する機能を持つのに対し、後者はラジエータ62を迂回してエンジン冷却水の過冷却を防止する機能を持つ。また、本実施形態ではこれらの流路に加えて、スロットルボディ20を冷却するための流路が設けられ、ラジエータ62に対して並列に接続される。
第三分岐路60cには、ラジエータ62が介装されている。ラジエータ62は、エンジン冷却水の熱を放出させる放熱器である。ラジエータ62の内部を流通するエンジン冷却水は、外気と熱交換することで冷却される。
サーモスタット63は、エンジン冷却水の温度に応じてエンジン冷却水の流通量を調整する温度感応型の弁である。具体的に言えば、サーモスタット63は、エンジン冷却水の温度が所定温度よりも高くなれば第三分岐路60cの流路を開放し、逆に、エンジン冷却水の温度が所定温度よりも低くなるに連れて第三分岐路60cの流路の開度を小さくし、更にエンジン冷却水の温度が低くなると第三分岐路60cの流路を閉鎖する弁である。ここでいう所定温度は、例えば75℃や80℃である。
第一合流路60eの下流端である合流箇所E3には、第四分岐路60dが合流している。この合流箇所E3よりも下流側の第二合流路60fは、その下流端にエンジン1の流入口1bが接続されており、上記したエンジン冷却水ポンプ61が介装されている。
空調冷却回路70は、空調用のメイン回路70aと、このメイン回路70aの一部を迂回するサブ回路70bとを有する。
メイン回路70aには、空調冷媒が流通する順に、コンプレッサ71,コンデンサ72,膨張弁73,エバポレータ74が介装されている。
コンデンサ72は、コンプレッサ71で圧縮された空調冷媒を凝縮し液化する凝縮機である。コンデンサ72には、空調冷媒が凝縮するときには凝縮熱が発生するため、送風して凝縮熱の発散を促すファンが設けられていてもよい。
エバポレータ74は、膨張弁によって霧化された空調冷媒を気化させる蒸発器である。空調冷媒が気化するときの潜熱によってエバポレータ74は冷却される。このエバポレータ74には、ブロア74aが付設されている。ブロア74aは、冷却されたエバポレータ74に送風することで、冷却された空気を車室に送る。
サブ回路70bには、空調冷媒が流通する方向の順に、第二切替弁75およびスロットルボディ20が介装されている。第二切替弁75は、空調冷媒の流通とその停止とを切り替える弁である。ここでは、第二切替弁75が開度調整可能に構成されており、空調冷媒の流通量を連続的あるいは段階的に調整することができる。
IC冷却回路80には、IC冷媒が流通する順に、IC冷媒を圧送するIC冷媒ポンプ81とIC冷媒を冷却する放熱器82とインタークーラ12とが介装されている。
IC冷媒は、インタークーラ12において吸気通路10とは異なる内部通路を流通する。このIC冷媒がインタークーラ12において熱交換することでインタークーラ12が冷却される。
なお、IC冷媒ポンプ81は、エンジン1によって機械的に駆動されてもよいし、電気的に駆動されてもよい。同様に、上述したエンジン冷却水ポンプ61およびコンプレッサ71も、機械的に駆動されてもよいし、電気的に駆動されてもよい。
次に、図2〜図4を参照して、スロットルボディ20の構成を詳細に説明する。
ここでは、スロットルバルブ22として、アクセルペダルの操作量が電気的に伝達されることで作動するドライブバイワイヤ方式のものを例に挙げて説明する。ただし、アクセルペダルの操作量が機械的に伝達されることで作動するスロットルバルブを用いてもよい。
はじめに、スロットルボディ20の構造を説明する。
図2および図3に示すように、スロットルボディ20には、ボア部20aの吸気流通方向中間部にスロットルバルブ22が設けられている。すなわち、ボア部20aは、図3に示すように、スロットルバルブ22に対して上流側のボア部(以下、「上流ボア部」という)201と下流側のボア部(以下、「下流ボア部」という)202とを有する。
図2および図4に示すように、ボア壁部21は、吸気通路10(図1参照)の一部をなすボア部20aの周りを囲む円筒状の部位である。ボア壁部21の内部では、ボア部20aが円柱状の空間をなしている。すなわち、ボア壁部21の内壁面21aはボア部20aがなす円柱空間の外表面に対応している。
図2〜図4に示すように、下流ボア壁部212の下部には排水口29aが穿設されており、この排水口29aには排水管29が接続されている。
次に、図3および図4を参照して、スロットルボディ20に設けられたエンジン冷却回路60および空調冷却回路70について説明する。
エンジン冷却回路60を流通するエンジン冷却水は、エンジン1(図1参照)に流入した吸気の燃焼エネルギーによって昇温される。よって、エンジン冷却水は吸気よりも高温になりやすい。また、スロットルボディ20を流通するエンジン冷却水は、ラジエータ62で冷却されていない点からも吸気に対して高温になりやすい。一方、エンジン冷却水に対して比較的低温の空調冷媒は、吸気に対して低温になりやすい。また、スロットルボディ20を流通する空調冷媒は、エバポレータ74で放熱した後にスロットルボディ20を流通する点からも吸気に対して低温になりやすい。
図3に示すように、スロットルバルブ22に対して、上流側にエンジン冷却回路60が配置され、下流側に空調冷却回路70が配置されている。
同様に、空調冷却回路70には、下流ボア部202を囲繞する下流ボア壁部212の下流内壁面212aに沿った曲面形状のスペーサ79(二点鎖線で示す)が挿入されていてもよい。
次に、図1を参照して、本熱交換機構を制御する制御装置100について説明する。
制御装置100は、例えばCPU(Central Processing Unit)に代表されるマイクロプロセッサ(MPU,Micro Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリなどを集積した電子デバイスである。マイクロプロセッサは、制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ群)などを内蔵する処理装置(プロセッサ)である。また、ROM,RAMおよび不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。不揮発メモリの具体例としては、フラッシュメモリ,相変化メモリ(Phase Change Memory),抵抗変化メモリ(Resistive RAM),強誘電体メモリ(Ferroelectric RAM),磁気抵抗メモリ(Magneto-resistive RAM)などが挙げられる。制御装置100での制御内容は、例えばアプリケーションプログラムとしてROMや不揮発メモリ内に記録される。また、プログラムの実行時には、プログラムの内容がRAMや不揮発メモリ内のメモリ空間内に展開され、マイクロプロセッサによって実行される。
この制御装置100は、入力側に接続された各種センサ類からの情報に基づいて各制御を実施する。
まず、制御装置100の入力側に接続された各種センサ類について具体的に説明する。
制御装置100の入力側には、三つの温度センサ90,91,92,湿度センサ93,スロットルポジションセンサ94およびブーストセンサ95が接続されている。各センサ90,91,92,93,94,95によって検出されたそれぞれの情報は制御装置に伝達される。
第二温度センサ91は、インタークーラ12とスロットルボディ20との間に配置される。すなわち、第二温度センサ91は、インタークーラ12によって冷却されてスロットルボディ20のボア部20aに流入する吸気の温度を検出する。
湿度センサ93は、吸気の湿度を検出するものである。この湿度センサ93は、インタークーラ12の直上流に配置される。すなわち、湿度センサ93は、インタークーラ12に流入する吸気の湿度を検出する。
ブーストセンサ95は、吸気の圧力を検出するものである。このブーストセンサ95は、サージタンク13に配置される。すなわち、ブーストセンサ95は、エンジン1に流入する吸気の圧力(以下、「ブースト圧」という)を検出する。
次に、制御装置100によって実施される各種の制御について説明する。
制御装置100は、エンジン1の吸排気系やこれに適用される熱交換回路に関する広汎なシステムを制御する。ここでは、制御装置100によって実施される制御のうち、吸排気系については排気を還流させるEGR制御を説明し、熱交換回路についてはエンジン冷却回路60および空調冷却回路70による熱交換度合いに関する熱交換制御を説明する。
制御装置100は、EGR条件の成立を判断するとEGR制御を実施する。ここでいうEGR条件は、エンジン1の作動状態に応じて予め実験的または経験的に設定されている。
次に、熱交換制御について説明する。熱交換制御における具体的な制御対象としては、第一切替弁65および第二切替弁75が挙げられる。これらの切替弁65,75は、制御線を介して制御装置100に接続されている。
上述したように、スロットルボディ20では、エンジン冷却回路60のエンジン冷却水が吸気に対して高温になりやすく、空調冷却回路70の空調冷媒が吸気に対して低温になりやすい。したがって、エンジン冷却回路60のエンジン冷却水によって吸気が加熱されやすく、空調冷却回路70の空調冷媒によって吸気が冷却されやすい。これらより、以下の説明では、吸気に対してエンジン冷却水が高温であるとともに空調冷媒が低温であるものとして説明する。すなわち、スロットルボディ20では、エンジン冷却回路60のエンジン冷却水によって吸気が加熱されるものとし、空調冷却回路70の空調冷媒によって吸気が冷却されるものとする。
制御装置100は、熱交換条件が成立すると熱交換制御を実施する。
熱交換条件は、制御装置100によって成立または不成立が判断される。この熱交換条件には、凝縮水生成条件,固着条件および乾燥条件が含まれる。これらの凝縮水生成条件,固着条件および乾燥条件は、それぞれ予め実験的または経験的に設定されている。
以下、凝縮水生成条件,固着条件および乾燥条件の順に説明する。
以下、凝縮水生成条件について、吸気の温度,吸気に含まれる水蒸気量,吸気の圧力の三つの要因に着目して説明する。なお、吸気には水蒸気が含有されることを前提とする。
また、吸気は、圧力が高くなるほど飽和水蒸気量が小さくなる。そのため、吸気の圧力が高くなるほど、実水蒸気量よりも飽和水蒸気量のほうが小さくなり、凝縮水が生成されやすくなる。
(A1)EGRバルブ52が開放されていること。
(A2)第一温度センサ90により検出された温度が所定温度以下であること。
(A3)第二温度センサ91により検出された温度が所定温度以下であること。
(A4)第三温度センサ92により検出された温度が所定温度以下であること。
(A5)湿度センサ93により検出された湿度が所定湿度以上であること。
(A6)ブーストセンサ95により検出されたブースト圧が所定圧力以上であること。
熱交換制御では、エンジン冷却回路60のエンジン冷却水による加熱度合いと空調冷却回路70の空調冷媒による冷却度合いとが制御される。例えば、エンジン冷却水による加熱度合いと空調冷媒による冷却度合いとが同程度に制御されてもよいし、エンジン冷却水による加熱度合いよりも空調冷媒による冷却度合いのほうが増大されてもよい。
制御装置100は、第一切替弁65の開度を開放側または閉鎖側に制御することでエンジン冷却水による加熱度合いを増減させることができ、第二切替弁75の開度を開放側または閉鎖側に制御することで空調冷媒による冷却度合いを増減させることができる。
熱交換制御は、凝縮水生成条件が成立した場合に第一熱交換制御が実施され、固着条件が成立した場合に第二熱交換制御が実施され、乾燥条件が成立した場合に第三熱交換制御が実施される。
第一熱交換制御では、エンジン冷却回路60のエンジン冷却水による加熱度合いを増大させ、空調冷却回路70の空調冷媒による冷却度合いを減少させる。このようにして、スロットルバルブ22への凝縮水の付着を防止するための制御が実施される。
第二熱交換制御では、少なくともエンジン冷却水による加熱度合いが増大される。合わせて、空調冷媒による冷却度合いが減少されることが好ましい。
第三熱交換制御では、少なくとも空調冷媒による冷却度合いが減少される。
本発明の一実施形態における熱交換機構は、上述したように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
本熱交換機構によれば、ボア部20aを流通する吸気が、スロットルバルブ22よりも上流側でエンジン冷却回路60を流通するエンジン冷却水によって加熱される。したがって、スロットルバルブ22よりも上流側の吸気(以下、「上流側吸気」という)は、温度が上昇することで、飽和水蒸気量が大きくなる。そのため、上流側吸気は、実水蒸気量よりも飽和水蒸気量のほうが大きくなりやすくなる。言い換えれば、上流側吸気では、飽和水蒸気量と実水蒸気量との差が確保されやすくなる。よって、上流側吸気から水が凝縮されにくくなり、スロットルバルブ22への凝縮水の付着を抑えることができる。
例えば、スロットルバルブは、凝縮水が付着したままエンジン1が停止され、冬期や寒冷地といった低温環境下におかれることで、凝縮水の凍結により固着するおそれがある。しかしながら、本熱交換機構によれば、スロットルバルブ22への凝縮水の付着が抑えられるため、凝縮水の凍結によってスロットルバルブ22が固着するのを抑えることができる。このようにして、スロットルバルブ22の固着を未然に防ぐことができる。
このようにして、スロットルバルブ22を安定して作動させることができるとともにエンジン1の出力を確保することができる。
また、吸気は、圧力が高くなるほど凝縮水が生成されやすい。具体的に言えば、ターボチャージャ40によって圧縮された吸気は、凝縮水が生成されやすい。そのため、ターボチャージャ40が設けられていると凝縮水が生成されやすい。
EGR通路50によって還流される排気の量が抑えられれば、凝縮水の生成は抑えられるものの、排気の還流に関する制御性が低下する。また、ターボチャージャ40のコンプレッサ42による吸気の過給が抑えられれば、凝縮水の生成は抑えられるものの、吸気の充填効率を確保することができないおそれがある。しかしながら、本熱交換機構によれば、凝縮水の生成を抑えることができるため、排気の還流に関する制御性を向上させることができ、また、吸気の充填効率を確実に向上させることができる。
スロットルボディ20において、上流側の熱交換回路にエンジン1を冷却するエンジン冷却回路60を兼用し、また、下流側の熱交換回路に空調用の空調冷却回路70を兼用しているため、例えばスロットルボディ20に熱交換回路を別途の設ける必要がない。したがって、製造コストを低減させることができ、熱交換機構の小型化に寄与する。
具体的には、制御装置100は、第一熱交換制御において、エンジン冷却回路60のエンジン冷却水による加熱度合いを増大させ、空調冷却回路70の空調冷媒による冷却度合いを減少させるため、上流側吸気が温度上昇しやすく、下流側吸気が温度低下しにくくなる。よって、凝縮水が生成されやすい凝縮水生成条件の成立下で、凝縮水の生成を抑えることができる。延いては、スロットルバルブ22の固着を効果的に抑えることができ、スロットルバルブ22を更に安定して作動させることができる。
また、制御装置100は、第三熱交換制御において空調冷媒による冷却度合いを減少させるため、乾燥条件の成立下で吸気の湿度低下を抑えることができ、延いては、エンジン1におけるノッキングの発生を抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
以下、本発明の変形例を説明する。変形例で説明する点を除いては上述した一実施形態と同様の構成になっており、これらについては、同様の符号を付し、各部の説明を省略する。
[1−1.インマニにスロットルボディを配設した例]
上述の一実施形態では、スロットルボディ20が吸気通路10においてインタークーラ12とサージタンク13との間に配置されたものを説明したが、このような配置に替えて、図5に示すように、スロットルボディ20′がインマニ14に介装されていてもよい。
このように構成されたスロットルボディ20′において、エンジン冷却回路60′の第四分岐路60′dと空調冷却回路70′のサブ回路70′bとのそれぞれが、ボア部20′a,20′b,20′c,20′dそれぞれの外周を覆うようにボア部20′a,20′b,20′c,20′dの並ぶ方向に沿って連設されている。言い換えれば、ボア部20′a,20′b,20′c,20′dの並ぶ方向に沿って、エンジン冷却回路60′の第四分岐路60′dと空調冷却回路70′のサブ回路70′bとのそれぞれが延びて設けられている。
スロットルボディ20′がエンジン1に連結されたインマニ14に介装されるため、エンジン1に流入する直前の吸気に対して、凝縮水の生成を抑えつつ冷却することができる。また、エンジン冷却回路60′の配管を短くすることもできる。これにより、構造の簡素化に寄与し、重量増加の抑制に寄与しうる。
その他、上述した一実施形態の熱交換機構による効果を得ることもできる。
また、吸気通路10においてコンプレッサ42とインタークーラ12との間にスロットルボディが設けられていてもよい。この場合、制御装置100は、湿度センサ93により検出された湿度が高いほど、下流側吸気を冷却することで吸気の除湿を促すことが好ましい。
上述の一実施形態では、EGR通路50およびインタークーラ12が設けられたものを説明したが、EGR通路50またはインタークーラ12は設けられていなくてもよい。また、ターボチャージャ40に替えてまたは加えて、エンジン1により駆動されるスーパーチャージャ(過給機)が設けられていてもよい。
上述の一実施形態では、排水口29aがスロットルボディ20,20′に穿設されたものを示したが、スロットルボディ20,20′よりも下流側であってエンジン1よりも上流側の吸気通路10に排水口が穿設され、この排水口に排水管が接続されていてもよい。この場合、下流側吸気から生成された凝縮水を確実に排水することができる。一方、排水口を省略してもよい。この場合、製造コストを低減させることができる。
さらに、IC冷却回路80と空調冷却回路70,70′とが連通されていてもよい。つまり、IC冷却回路80と空調冷却回路70,70′とで共通の冷媒を用いてもよい。
1a シリンダ
10 吸気通路
11 エアクリーナ
12 インタークーラ(冷却装置)
13 サージタンク
14 インテークマニホールド
14a,14b,14c,14d 分岐管
20 スロットルボディ
20a,20′a,20′b,20′c,20′d ボア部
201 上流ボア部
202 下流ボア部
21 ボア壁部
211 上流ボア壁部
212 下流ボア壁部
21a ボア内壁面(内壁面)
211a 上流内壁面
212a 下流内壁面
22,22′a,22′b,22′c,22′d スロットルバルブ
22a,221 スロットルシャフト
29 排水管
29a 排水口
30 排気通路
40 ターボチャージャ(過給機)
50 EGR通路
60 エンジン冷却回路(内燃機関冷却回路,第一回路)
60a,60b,60c,60d 分岐路
60e,60f 合流路
61 エンジン冷却水ポンプ
62 ラジエータ
63 サーモスタット
65 第一切替弁
69 スペーサ
70 空調冷却回路(第二回路)
70a メイン回路
70b サブ回路
71 コンプレッサ
72 コンデンサ
73 膨張弁
74 エバポレータ
74a ブロア
75 第二切替弁
79 スペーサ
80 IC冷却回路
81 IC冷媒ポンプ
82 放熱器
90,91,92 温度センサ
93 湿度センサ
94 スロットルポジションセンサ
95 ブーストセンサ
100 制御装置
A1,A2,E1,E2,E3, 分岐箇所,合流箇所
Claims (10)
- 内燃機関の吸気通路に介装され、吸気の流通量を調整するスロットルバルブを有するスロットルボディと、
前記スロットルボディ内の前記吸気通路となるボア部の外周で前記スロットルバルブよりも吸気流通方向上流側に配置されて吸気よりも高温の第一熱媒体が流通する第一回路と、
前記ボア部の外周で前記スロットルバルブよりも吸気流通方向下流側に配置されて吸気よりも低温の第二熱媒体が流通する第二回路と、を備え、
前記吸気通路が複数の列をなして並んで設けられ、
前記スロットルボディは、前記吸気通路のそれぞれに対応して前記ボア部が配置された多連型であって、
前記第一回路および前記第二回路のそれぞれが、前記ボア部のそれぞれの外周を覆うように前記ボア部の並ぶ方向に沿って連設された
ことを特徴とする、熱交換機構。 - 前記内燃機関から流出する排気が流通する排気通路と前記吸気通路とを連通して前記排気通路内の排気を前記吸気通路に還流させるEGR通路を備えた
ことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換機構。 - 前記吸気通路において前記スロットルバルブよりも吸気流通方向下流側に設けられ、結露した凝縮水を排出する排水口を備えた
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換機構。 - 前記ボア部の内壁面に沿った曲面形状に形成され、前記第一回路および前記第二回路内のそれぞれに挿入されたスペーサを備えた
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の熱交換機構。 - 前記第一回路は、前記内燃機関を冷却する前記第一熱媒体が循環して流通する内燃機関冷却回路である
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の熱交換機構。 - 前記吸気通路において前記スロットルボディよりも吸気流通方向上流側に介装され、吸気を冷却する冷却装置を備えた
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の熱交換機構。 - 前記第二回路は、空調用の前記第二熱媒体が循環して流通する空調冷却回路である
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の熱交換機構。 - 前記吸気通路において前記スロットルボディよりも吸気流通方向上流側に介装され、吸気を過給する過給機を備えた
ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の熱交換機構。 - 前記第一回路の前記第一熱媒体による加熱度合いと前記第二回路の前記第二熱媒体による冷却度合いとを制御する制御装置を備えた
ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の熱交換機構。 - 内燃機関の吸気通路に介装され、吸気の流通量を調整するスロットルバルブを有するスロットルボディと、
前記スロットルボディ内の前記吸気通路となるボア部の外周で前記スロットルバルブよりも吸気流通方向上流側に配置されて吸気よりも高温の第一熱媒体が流通する第一回路と、
前記ボア部の外周で前記スロットルバルブよりも吸気流通方向下流側に配置されて吸気よりも低温の第二熱媒体が流通する第二回路と、
前記ボア部の内壁面に沿った曲面形状に形成され、前記第一回路および前記第二回路内のそれぞれに挿入されたスペーサと、を備えた
ことを特徴とする、熱交換機構。
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