以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である車両用駆動装置としてのパワーユニット10を上方から示す概略図である。図1に示すように、車両に搭載されるパワーユニット10は、エンジン11とこれに連結されるトランスミッション12とを有している。エンジン11を構成するシリンダブロック13にはジャーナルボア14が形成されており、ジャーナルボア14には図示しない軸受メタルを介してクランク軸15が回転自在に支持されている。なお、図示するエンジン11は、水平対向型の4気筒エンジンである。
クランク軸15は、回転中心に設けられる複数のクランクジャーナルJ1〜J5と、クランクジャーナルJ1〜J5を連結する複数のクランクスローT1〜T4と、を有している。クランクスローT1〜T4は、回転中心から偏心するクランクピンP1〜P4と、クランクジャーナルJ1〜J5およびクランクピンP1〜P4を連結するクランクアーム20とを有している。また、クランクピンP1〜P4には、コネクティングロッド21を介してピストン22が連結されている。また、各クランクスローT1〜T4には、クランクアーム20からクランクピンP1〜P4の逆位相側に延びるバランスウェイト23が設けられている。さらに、クランク軸15の一端部には出力用フランジ24が設けられており、クランク軸15の他端部には補機駆動軸25が設けられている。なお、補機駆動軸25にはクランクプーリ26が取り付けられる。
図2はパワーユニット10が備えるトルクコンバータ30を示す断面図である。図2に示すように、クランク軸15の出力用フランジ24には、複数のボルト孔24aが形成されている。この出力用フランジ24には、ドライブプレート(プレート部材)31の中央部が、締結ボルト32を用いて固定されている。また、回転体であるトルクコンバータ30には外殻を構成するポンプシェル33が設けられており、ポンプシェル33の外周面にはボルト孔34aを備えた取付部34が固定されている。このポンプシェル33の取付部34には、ドライブプレート31の外周部が締結ボルト35を用いて固定されている。すなわち、クランク軸15とこれに軸方向に対向するトルクコンバータ30との間には、クランク軸15とトルクコンバータ30とを連結するドライブプレート31が設けられている。
なお、トルクコンバータ30は、ポンプシェル33に固定されるポンプインペラ36と、ポンプインペラ36に対向するタービンランナ37とを備えている。タービンランナ37にはタービン軸38が連結されており、タービン軸38には変速機構39が連結されている。また、トルクコンバータ30のポンプシェル33は、軸受40を介してミッションケースに支持されている。さらに、滑り要素であるトルクコンバータ30には、直結クラッチであるロックアップクラッチ41が設けられている。
図3は図1のA−A線に沿ってドライブプレート31を示す図である。図3にはトルクコンバータ30を取り外した状態のドライブプレート31が示されている。また、図4(a)はドライブプレート31を構成するプレート本体45を示す図であり、図4(b)はドライブプレート31を構成する補剛部材46を示す図である。図3および図4に示すように、ドライブプレート31は、円盤状のプレート本体45と、長板状の補剛部材46とを有している。プレート本体45は、クランク軸15の出力用フランジ24に締結される中央締結部47と、トルクコンバータ30のポンプシェル33に締結される外縁締結部48とを有している。中央締結部47には、締結ボルト32が挿入される複数の貫通孔47aが形成されており、外縁締結部48には、締結ボルト35が挿入される複数の貫通孔48aが形成されている。また、補剛部材46は、クランク軸15の出力用フランジ24に締結される中央締結部(第1締結部)49と、円形の中央締結部49から径方向に伸びる一対のアーム部50,51とを有している。それぞれのアーム部50,51の端部には、ポンプシェル33に締結される外縁締結部(第2締結部)52,53が設けられている。中央締結部49には、締結ボルト32が挿入される複数の貫通孔49aが形成されており、それぞれの外縁締結部52,53には締結ボルト35が挿入される貫通孔52a,53aが形成されている。
図3に示すように、ドライブプレート31を構成するプレート本体45と補剛部材46とは、中央締結部47,49や外縁締結部48,52,53を互いに重ね合わせた状態のもとで、クランク軸15およびトルクコンバータ30に取り付けられる。このように、プレート本体45および補剛部材46からなるドライブプレート31は、補剛部材46が設けられていない基本構成部(第1構成部)54と、補剛部材46が設けられるプレート補剛部(第2構成部)55とを有している。プレート本体45および補剛部材46を備えるプレート補剛部55は、プレート本体45のみを備える基本構成部54よりも、高い剛性を有している。
なお、別部材であるプレート本体45および補剛部材46については、別部材のままクランク軸15およびトルクコンバータ30に取り付けても良い。また、プレート本体45と補剛部材46とを溶接や接着等によって接合し、ドライブプレート31を一体に構成した上でクランク軸15およびトルクコンバータ30に取り付けても良い。さらに、プレート本体45と補剛部材46とを密着させてドライブプレート31を構成しても良く、プレート本体45と補剛部材46とを部分的に離してドライブプレート31を構成しても良い。
続いて、クランク軸15とこれに連結されるドライブプレート31との位置関係について説明する。図5はクランク軸15とドライブプレート31との位置関係を示す概略図である。図5にはクランク軸15の軸方向に沿ってドライブプレート31側から見た位置関係が示されている。図5に示すように、クランク軸15のクランクジャーナルJ1〜J5およびクランクピンP1〜P4が、ドライブプレート31のプレート補剛部55に対して軸方向に重なるように配置されている。すなわち、クランク軸15の回転中心CxとクランクピンP1〜P4の軸中心C1,C2とを結ぶ直線L1に沿って、ドライブプレート31にはプレート補剛部55が設けられている。換言すれば、ドライブプレート31には、クランク軸15の回転中心Cxから各クランクピンP1〜P4の位相方向に伸びるプレート補剛部55が設けられている。
このように、ドライブプレート31にプレート補剛部55を設けることにより、ドライブプレート31の剛性に異方性を持たせることができる。すなわち、ドライブプレート31の剛性は直線L1方向に高められており、ドライブプレート31は直線L1方向に変形し難い構造を有している。なお、水平対向型のエンジン11が備えるクランク軸15においては、クランクピンP1,P4が同位相に配置されており、クランクピンP2,P3が同位相に配置されている。そして、クランクピンP1,P4とクランクピンP2,P3とは、互いに位相が180°ずれて配置されている。このため、何れのクランクピンP1〜P4においても、クランク軸15の回転中心Cxとクランクピンの軸中心C1,C2とを結ぶ直線とは、符号L1で示した直線である。
以下、比較例としてのパワーユニット200が備えるクランク軸15の曲げ振動について説明した後に、本発明の一実施の形態であるパワーユニット10が備えるクランク軸15の曲げ振動について説明する。図6は比較例としてのパワーユニット200が備えるクランク軸15の曲げ振動の発生状況を示す図である。図7は本発明の一実施の形態であるパワーユニット10が備えるクランク軸15の曲げ振動の発生状況を示す図である。図6および図7には、クランクピンP1〜P4に作用する慣性力が白抜きの矢印を用いて示されている。なお、図6に示すパワーユニット200が備えるドライブプレート201は、前述したプレート本体45だけで構成されている。また、図6において、図1に記載される部品と同様の部品については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、クランク軸15が回転する際には、白抜きの矢印で示すように、クランクピンP1〜P4に対して、コネクティングロッド21およびピストン22の慣性力が作用する。特に、クランクピンP1〜P4が上死点や下死点を通過する際に、クランクピンP1〜P4に対してピストン22等の慣性力が、前述した直線L1方向に大きく作用する。図示するクランク軸15の回転角においては、慣性力によってクランク軸15の中央部が矢印A方向に付勢され、慣性力によってクランク軸15の両端部が矢印B方向に付勢されるため、クランク軸15は矢印A方向に凸の弓形に変形する。そして、更にクランク軸15が180°回転すると、クランク軸15の中央部が矢印B方向に付勢され、クランク軸15の両端部が矢印A方向に付勢されるため、クランク軸15は矢印B方向に凸の弓形に変形する。このようなクランク軸15の弓形変形が繰り返され、クランク軸15の曲げ振動は矢印A,B方向に発生する。つまり、クランク軸15の曲げ振動は、前述した直線L1に沿う方向に発生すると考えられる。
このようなクランク軸15の曲げ振動は、ドライブプレート201を介してトルクコンバータ30に伝達される。しかしながら、トルクコンバータ30は高剛性の重量物であることから、トルクコンバータ30に比べて低剛性のドライブプレート201が大きく変形することになる。換言すれば、ドライブプレート201が大きく変形した場合には、クランク軸15に大きな曲げ振動が発生することになっていた。クランク軸15の曲げ振動は、ジャーナルボア14内でクランクジャーナルJ1〜J5を変位させることから、クランクジャーナルJ1〜J5と軸受メタルとを接触させて異音を発生させる要因であった。このため、ドライブプレート201の剛性を高めることにより、クランク軸15の曲げ振動を抑制することが求められている。
そこで、前述したように、本発明の一実施の形態であるパワーユニット10においては、ドライブプレート31にプレート補剛部55を設けることにより、ドライブプレート31の剛性を直線L1方向に高めている。これにより、図7に示すように、クランクピンP4に作用する慣性力が、クランクジャーナルJ5を介してドライブプレート31に伝達されたとしても、ドライブプレート31の変形を抑制することができるため、クランク軸15の曲げ振動を抑制することが可能となる。
すなわち、図示するクランク軸15の回転角においては、主としてクランクピンP4に作用する慣性力が、クランクジャーナルJ5を介してドライブプレート31に伝達される。これにより、ドライブプレート31の一方側には矢印α1で示すように圧縮荷重が作用し、ドライブプレート31の他方側には矢印α2で示すように引張荷重が作用する。ここで、前述したように、ドライブプレート31には、クランク軸15の曲げ振動が作用する直線L1方向に沿ってプレート補剛部55が設けられる。このため、矢印α1で示した圧縮荷重は、プレート本体45によって受けられるだけでなく、補剛部材46のアーム部51によって受けられる。また、矢印α2で示した引張荷重は、プレート本体45によって受けられるだけでなく、補剛部材46のアーム部52によって受けられる。これにより、ドライブプレート31の変形を抑制することができるため、クランク軸15の曲げ振動を抑制することが可能となる。
しかも、ドライブプレート31全体の剛性を高めるのではなく、クランク軸15の曲げ振動が作用する方向にドライブプレート31の剛性を高めることから、ドライブプレート31の質量増加を抑制することが可能となる。また、ドライブプレート31をプレート本体45と補剛部材46とによって構成するようにしたので、ドライブプレート31の低コスト化を達成することが可能となる。すなわち、ドライブプレート31を構成する補剛部材46の形状を変更することにより、様々なクランク軸15の曲げ振動に対応することができるため、様々なドライブプレートを構成するプレート本体45を共用部品として設定することが可能となる。
前述の説明では、プレート本体45に補剛部材46を設けることにより、ドライブプレート31にプレート補剛部55を形成しているが、この構成に限られることはない。ここで、図8はドライブプレートの他の例を示す図である。なお、図8において、図4に示した部位と同様の部位については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、ドライブプレート(プレート部材)60は、円弧状の開口部61が形成される円盤状のプレート本体62を有している。プレート本体62は、クランク軸15の出力用フランジ24に締結される中央締結部(第1締結部)63と、トルクコンバータ30のポンプシェル33に締結される環状の外縁締結部(第2締結部)64とを有している。また、中央締結部63と外縁締結部64とは、直線L1に沿って伸びる連結プレート65を介して連結されている。このような構成のドライブプレート60は、連結プレート65を備えていない基本構成部(第1構成部)66と、連結プレート65を備えることで基本構成部66よりも剛性の高いプレート補剛部(第2構成部)67とを有している。このように、直線L1に沿ってドライブプレート60にプレート補剛部67を設けることにより、ドライブプレート60の剛性を直線L1方向に高めることが可能となる。これにより、前述したドライブプレート31と同様に、ドライブプレート60の変形を抑制することができ、クランク軸15の曲げ振動を抑制することが可能となる。
また、前述の説明では、直線L1に沿ってドライブプレート31,60を横断するように、ドライブプレート31,60にプレート補剛部55,67を設けているが、これに限られることはない。ここで、図9(a)および(b)はドライブプレートの他の例を示す図である。なお、図9において、図5に示した部品や部位と同様の部品や部位については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9(a)に示すように、ドライブプレート(プレート部材)70は、長板状の補剛部材71を有している。補剛部材71は、クランク軸15の出力用フランジ24に締結される中央締結部(第1締結部)72と、円形の中央締結部72から径方向の一方に伸びるアーム部73とを有している。このアーム部73の端部には、ポンプシェル33に締結される外縁締結部(第2締結部)74が設けられている。ドライブプレート70は、補剛部材71が設けられていない基本構成部(第1構成部)75と、補剛部材71が設けられるプレート補剛部(第2構成部)76とを有している。プレート本体45および補剛部材71を備えるプレート補剛部76は、プレート本体45のみを備える基本構成部75よりも高い剛性を有している。
また、図9(b)に示すように、ドライブプレート(プレート部材)80は、長板状の補剛部材81を有している。補剛部材81は、クランク軸15の出力用フランジ24に締結される中央締結部(第1締結部)82と、円形の中央締結部から径方向の一方に伸びるアーム部83とを有している。このアーム部83の端部には、ポンプシェル33に締結される外縁締結部(第2締結部)84が設けられている。ドライブプレート80は、補剛部材81が設けられていない基本構成部(第1構成部)85と、補剛部材81が設けられるプレート補剛部(第2構成部)86とを有している。プレート本体45および補剛部材81を備えるプレート補剛部86は、プレート本体45のみを備える基本構成部85よりも高い剛性を有している。
図9(a)および(b)に示すように、プレート補剛部76,86がドライブプレート70,80の中央から一方にのみ伸びる場合であっても、直線L1に沿ってドライブプレート70,80にプレート補剛部76,86を設けることにより、前述したドライブプレート31と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、ドライブプレート70,80の剛性を直線L1方向に高めることにより、ドライブプレート70,80の変形を抑制することができ、クランク軸15の曲げ振動を抑制することが可能となる。なお、図9(a)に示したドライブプレート70は、図7に矢印α1で示した圧縮荷重に耐える構造を有しており、図9(b)に示したドライブプレート80は、図7に矢印α2で示した引張荷重に耐える構造を有している。
また、前述の説明では、水平対向型のエンジン11が備えるクランク軸15を例に挙げて説明したが、このクランク軸15を備えるパワーユニットに限られることはなく、他の形式のクランク軸を備えたパワーユニットに対して本発明を適用することが可能である。ここで、図10は本発明の他の実施の形態である車両用駆動装置としてのパワーユニットを側方から示す図である。なお、図10においては、パワーユニット90が備えるクランク軸91の曲げ振動の発生状況が示されている。また、図10において、図7に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、パワーユニット90は、直列3気筒のエンジン92を有している。このエンジン92に設けられるクランク軸91は、回転中心に設けられる複数のクランクジャーナルJ1〜J4と、クランクジャーナルJ1〜J4を連結する複数のクランクスローT1〜T3とを有している。クランクスローT1〜T3は、回転中心から偏心するクランクピンP1〜P3を有している。各クランクピンP1〜P3の位相は、互いに120°ずらされている。また、クランク軸91とこれに軸方向に対向するトルクコンバータ30との間には、クランク軸91とトルクコンバータ30とを連結するドライブプレート(プレート部材)93が設けられている。
図11は図10のA−A線に沿ってドライブプレート93を示す概略図である。図11にはトルクコンバータ30を取り外した状態のドライブプレート93が示されている。図11に示すように、ドライブプレート93は、円盤状のプレート本体45と、放射状に伸びるアーム部を備えた補剛部材94とを有している。補剛部材94は、クランク軸91の出力用フランジ24に締結される中央締結部(第1締結部)95と、中央締結部95から径方向に伸びる6つのアーム部96a〜96fとを有している。それぞれのアーム部96a〜96fの端部には、ポンプシェル33に締結される外縁締結部(第2締結部)97a〜97fが設けられている。このように、プレート本体45および補剛部材94からなるドライブプレート93は、補剛部材94が設けられていない基本構成部(第1構成部)98と、補剛部材94が設けられるプレート補剛部(第2構成部)99とを有している。プレート本体45および補剛部材94を備えるプレート補剛部99は、プレート本体45のみを備える基本構成部98よりも、高い剛性を有している。
続いて、クランク軸91とこれに連結されるドライブプレート93との位置関係について説明する。図11に示すように、クランク軸91のクランクジャーナルJ1〜J4およびクランクピンP1〜P3が、ドライブプレート93のプレート補剛部99に対して軸方向に重なるように配置されている。すなわち、ドライブプレート93のプレート補剛部99は、クランク軸91の回転中心CxとクランクピンP1の軸中心C1aとを結ぶ直線L1aに沿って設けられる。また、ドライブプレート93のプレート補剛部99は、クランク軸91の回転中心CxとクランクピンP2の軸中心C2aとを結ぶ直線L2aに沿って設けられる。さらに、ドライブプレート93のプレート補剛部99は、クランク軸91の回転中心CxとクランクピンP3の軸中心C3aとを結ぶ直線L3aに沿って設けられる。換言すれば、ドライブプレート93には、クランク軸91の回転中心Cxから各クランクピンP1〜P3の位相方向に伸びるプレート補剛部99が設けられている。
直列3気筒のエンジン92に組み込まれるクランク軸91においても、前述したクランク軸15と同様に、クランクピンP1〜P3に対して、コネクティングロッド21およびピストン22の慣性力が作用する。特に、クランクピンP1〜P3が上死点や下死点を通過する際に、クランクピンP1〜P3に対してピストン22等の慣性力が大きく作用する。すなわち、クランクピンP1が上死点や下死点を通過する際に、クランクピンP1に対してピストン22等の慣性力が直線L1a方向に作用する。また、クランクピンP2が上死点や下死点を通過する際に、クランクピンP2に対してピストン22等の慣性力が直線L2a方向に作用する。さらに、クランクピンP3が上死点や下死点を通過する際に、クランクピンP1に対してピストン22等の慣性力が直線L1a方向に作用する。これら慣性力の作用により、クランク軸91の曲げ振動は、直線L1a,L2a,L3aに沿う方向に発生すると考えられる。
このようなクランク軸91が連結されるドライブプレート93には、直線L1a,L2a,L3aに沿ってプレート補剛部99が設けられている。すなわち、ドライブプレート93の剛性は直線L1a,L2a,L3a方向に高められており、ドライブプレート93は直線L1a,L2a,L3a方向に変形し難い構造を有している。これにより、ドライブプレート93の変形を抑制することができるため、クランク軸91の曲げ振動を抑制することが可能となる。
また、前述の説明では、直線L1a,L2a,L3aに沿ってドライブプレート93を横断するように、ドライブプレート93にプレート補剛部99を設けているが、これに限られることはない。ここで、図12(a)および(b)はドライブプレートの他の例を示す図である。なお、図12において、図11に示した部品や部位と同様の部品や部位については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図12(a)に示すように、ドライブプレート(プレート部材)100は、略Y字状の補剛部材101を有している。補剛部材101は、クランク軸91の出力用フランジ24に締結される中央締結部(第1締結部)102を有している。また、補剛部材101は、中央締結部102から径方向の一方に直線L1aに沿って伸びるアーム部103aと、中央締結部から径方向の一方に直線L2aに沿って伸びるアーム部103bと、中央締結部から径方向の一方に直線L3aに沿って伸びるアーム部103cとを有している。これらアーム部103a〜103cの端部には、ポンプシェル33に締結される外縁締結部(第2締結部)104a〜104cが設けられている。ドライブプレート100は、補剛部材101が設けられていない基本構成部(第1構成部)105と、補剛部材101が設けられるプレート補剛部(第2構成部)106とを有している。プレート本体45および補剛部材101を備えるプレート補剛部106は、プレート本体45のみを備える基本構成部105よりも高い剛性を有している。
また、図12(b)に示すように、ドライブプレート(プレート部材)110は、略Y字状の補剛部材111を有している。補剛部材111は、クランク軸91の出力用フランジ24に締結される中央締結部(第1締結部)112を有している。また、補剛部材111は、中央締結部112から径方向の一方に直線L1aに沿って伸びるアーム部113aと、中央締結部から径方向の一方に直線L2aに沿って伸びるアーム部113bと、中央締結部から径方向の一方に直線L3aに沿って伸びるアーム部113cとを有している。これらアーム部113a〜113cの端部には、ポンプシェル33に締結される外縁締結部(第2締結部)114a〜114cが設けられている。ドライブプレート110は、補剛部材111が設けられていない基本構成部(第1構成部)115と、補剛部材111が設けられるプレート補剛部(第2構成部)116とを有している。プレート本体45および補剛部材111を備えるプレート補剛部116は、プレート本体45のみを備える基本構成部115よりも高い剛性を有している。
図12(a)および(b)に示すように、プレート補剛部106,116がドライブプレート100,110の中央から三方に伸びる場合であっても、直線L1a,L2a,L3aに沿ってプレート補剛部106,116を設けることにより、前述したドライブプレート93と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、ドライブプレート100,110の剛性を直線L1a,L2a,L3a方向に高めることにより、ドライブプレート100,110の変形を抑制することができ、クランク軸91の曲げ振動を抑制することが可能となる。なお、図12(a)に示したドライブプレート100は、曲げ振動の圧縮荷重に耐える構造を有しており、図12(a)に示したドライブプレート110は、曲げ振動の引張荷重に耐える構造を有している。
また、図11および図12に示す場合には、直線L1a,L2a,L3aに沿ってドライブプレート93,100,110にプレート補剛部99,106,116を設けているが、これに限られることはない。すなわち、ドライブプレートのプレート補剛部は、直線L1a,L2a,L3aの少なくともいずれか1つに沿って設けられていれば良い。ここで、図13および図14は、ドライブプレートの他の例を示す図である。なお、図13および図14において、図11に示した部品や部位と同様の部品や部位については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図13に示すように、ドライブプレート(プレート部材)120は、円盤状のプレート本体45と、長板状の補剛部材121とを有している。補剛部材121は、クランク軸91の出力用フランジ24に締結される中央締結部(第1締結部)122と、中央締結部122から直線L3aに沿って径方向に伸びる一対のアーム部123a,123bとを有している。このアーム部123a,123bの端部には、ポンプシェル33に締結される外縁締結部(第2締結部)124a,124bが設けられている。ドライブプレート120は、補剛部材121が設けられていない基本構成部(第1構成部)125と、補剛部材121が設けられるプレート補剛部(第2構成部)126とを有している。プレート本体45および補剛部材121を備えるプレート補剛部126は、プレート本体45のみを備える基本構成部125よりも高い剛性を有している。
このように、ドライブプレート120に対してプレート補剛部126が直線L3aのみに沿って設けられる場合であっても、ドライブプレート120の変形を抑制することができ、クランク軸91の曲げ振動を抑制することが可能となる。特に、ドライブプレート120の変形には、ドライブプレート120に最も近いクランクピンP3、つまりトルクコンバータ30側のクランクピンP3に作用する慣性力が大きく影響すると考えられる。このため、回転中心Cxと軸中心C3aとを結ぶ直線L3aに沿うように、ドライブプレート120に対してプレート補剛部126を設けることにより、補剛部材121の小型化を図りつつクランク軸91の曲げ振動を抑制することが可能となる。これにより、ドライブプレート120の質量増加を抑制することが可能となる。
図13に示す場合には、直線L3aに沿って伸びる一対のアーム部123a,123bを補剛部材121に設けているが、これに限られることはない。例えば、図14(a)に示すように、直線L3aに沿って一方のアーム部123aだけを補剛部材131に形成し、この補剛部材131を用いてドライブプレート(プレート部材)130を構成しても良い。また、図14(b)に示すように、直線L3aに沿って一方のアーム部123bだけを補剛部材141に形成し、この補剛部材141を用いてドライブプレート(プレート部材)140を構成しても良い。また、図13および図14に示す場合には、直線L3aに沿ってドライブプレート120,130,140にプレート補剛部126を設けているが、これに限られることはない。例えば、直線L1aのみに沿ってドライブプレートにプレート補剛部を設けても良く、直線L2aのみに沿ってドライブプレートにプレート補剛部を設けても良い。また、直線L1a,L2a,L3aのうちの何れか2本の直線に沿って、ドライブプレートにプレート補剛部を設けても良い。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前述の説明では、エンジン11,91として、水平対向型の4気筒エンジンや直列型の3気筒エンジンを用いているが、これに限られることはなく、シリンダ数やシリンダ配列を変更した他の形式のエンジンを用いても良い。また、前述の説明では、回転体としてトルクコンバータ30を挙げているが、これに限られることはなく、回転体としてフライホイールを用いても良い。