しかしながら、エアウィングをオプション品として追加設置するものでは、エアウィングを別購入しなければならないだけでなく、いったんパネル本体に設置されると、天井近くの高所位置に取付けられた状態となるため、その向きを簡単に変更することができない等の課題があった。また、エアウィングを設置することにより、常時パネル本体の表面からエアウィングが下方に垂下った状態となるため、パネル本体や天井面の見栄えを損ねることにもなる等の問題があった。
一方、特許文献1のものは、ドラフト感の抑制を優先した構成とされているため、ドラフト感を積極的に得たい場合の風向制御と、ドラフト感を抑制したい場合の風向制御とを両立することが難しく、使用者が好みに応じて任意に選択することができなくなるだけではなく、リンク機構により幅広の風向制御用ルーバの両端を上下動する構成のため、ねじれが発生し易く、円滑な作動を長期間に亘って保障することが難しい等の課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、専用のルーバによる風向制御と、そのルーバ位置でのドラフト感の抑制とを両立し得るとともに、構成が簡素で円滑な作動性と外観のデザイン性を確保し得るエアウィングを備えた空気調和機を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる空気調和機は、パネル本体に設けられた空調風の吹出し口と、前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、前記パネル本体の前記吹出し口の外側に配設され、前記パネル本体に対して面一となる収納位置と、前記吹出し口から吹出される空調風に対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされているエアウィングと、前記エアウィングを前記収納位置と前記ルーバ方向位置と の間において回動する回動機構とを備える。
本発明によれば、パネル本体に設けられた吹出し口の外側に、パネル本体に対して面一となる収納位置と、吹出し口から吹出される空調風に対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされたエアウィングを配設し、そのエアウィングを回動機構により収納位置と、ルーバ方向位置との2位置間において選択的に回動自在としているため、ルーバ位置によって吹出し口から吹出される空調風が下方に居る人に直接当たり、ドラフト感を与えることがあるが、かかる場合、吹出し口の外側に配設されているエアウィングを吹出し口から吹出される空調風に対向するルーバ方向位置に回動させ、ルーバ方向への空調風の流れを遮って変更することにより、ドラフト感を低減することができる。また、ドラフト感を感じない場合や積極的にドラフト感を得たい場合は、エアウィングを収納位置に回動させて収納することにより、パネル本体と面一にし、一体に同化させた状態にして収納することができる。従って、エアウィングの使用、不使用を任意に選択し、ドラフト感による不快感を簡易に解消して空調フィーリングを改善することができるとともに、不使用時には、エアウィングをパネル本体に一体に同化させて収納することにより、デザイン性を維持することができる。しかも、専用のルーバによる風向制御と、そのルーバ位置でのドラフト感の抑制とを両立することができる。
また、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記エアウィングは、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向してルーバ方向への吹出しを遮るウィング部と、そのウィング部の両端に一体に設けられ、基端部が前記パネル本体側に回転自在に支持されるアーム部とを備えた構成とされていることを特徴とする。
本発明によれば、エアウィングが、ルーバ方向に吹出される空調風と対向してルーバ方向への吹出しを遮るウィング部と、その両端に一体に設けられ、基端部がパネル本体側に回転自在に支持されるアーム部とを備えた構成とされているため、パネル本体側に回転自在に支持されているアーム部を介してウィング部をルーバ方向位置に回動し、吹出し口から吹出される空調風と対向する位置とすることにより、ルーバ方向への空調風の流れを遮って変更することができる。従って、吹出し口に設けられているルーバによる風向制御機能を維持したまま、必要に応じてエアウィングをルーバ方向位置に回動し、ドラフト感を選択的に低減または解消することができる。
また、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記ウィング部には、前記エアウィングが前記収納位置に回動されたとき、該ウィング部に沿う位置とされ、前記空調風と対向する前記ルーバ方向位置に回動されたとき、該空調風と対向する位置に自立するサブウィングが設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、ウィング部に、エアウィングが収納位置に回動されたとき、ウィング部に沿う位置とされ、空調風と対向するルーバ方向位置に回動されたとき、空調風と対向する位置に自立するサブウィングが設けられているため、エアウィング自体の回動角度に係わりなく、ウィング部がルーバ方向位置に回動されたとき、サブウィングが空調風と対向する位置に自立することにより、空調風の流れを確実に遮ることができ、また、ウィング部が収納位置に回動されたとき、ウィング部に沿う位置とされることから収納の障害となることがなく、従って、エアウィングによるドラフト感の低減効果を確実に確保することができる。
さらに、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記パネル本体には、複数の前記吹出し口が設けられ、それぞれの吹出し口に対応して前記エアウィングが配設された構成とされていることを特徴とする。
本発明によれば、パネル本体に複数の吹出し口が設けられ、それぞれの吹出し口に対応してエアウィングが配設された構成とされているため、例えば二方向あるいは四方向に設けられている複数の吹出し口のいずれの吹出し口から吹出される空調風に対しても、個別にエアウィングを機能させてドラフト感を低減することができる。従って、複数の吹出し口のいずれの下方に居た場合においても、選択的にドラフト感を低減または解消することができる。
さらに、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記エアウィングは、それぞれ独立して設けられている前記回動機構により個別に回動自在とされていることを特徴とする。
本発明によれば、エアウィングが、それぞれ独立して設けられている回動機構により個別に回動自在とされているため、複数の吹出し口のルーバ位置が異なることにより、いずれかの吹出し口から吹出される空調風がドラフト感を与えている場合でも、その吹出し口に対応して配設されているエアウィングを独立した回動機構により個別に回動して所定のルーバ方向位置とすることができる。従って、複数の吹出し口に設けられているルーバが個別に回動可能とされている空気調和機においても、各ルーバ位置に対応して個別にエアウィングを回動し、必要に応じてドラフト感を低減または解消することができる。
さらに、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記エアウィングは、前記空調風と対向する前記ルーバ方向位置に回動指令が出されたとき、前記回動機構を介して前記ルーバの位置と対応した位置に回動可能な構成とされていることを特徴とする。
本発明によれば、エアウィングが、空調風と対向するルーバ方向位置に回動指令が出されたとき、回動機構を介してルーバの位置と対応した位置に回動可能な構成とされているため、エアウィングを回動してドラフト感を低減しようとしたとき、エアウィングを確実にルーバの回動位置と対応した位置へと回動させ、ルーバ方向に吹出される空調風と対向する位置にエアウィングを位置させることができる。従って、ルーバの回動位置に係わりなく、ルーバ位置と対応して位置にエアウィングを回動させることにより、確実にドラフト感の低減または解消効果を得ることができる。
さらに、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記回動機構は、前記パネル本体側における前記エアウィングの一端側の回動支点付近に設けられた正逆回転可能なアクチュエータと、該アクチュエータの出力軸に設けられたリールと、一端が前記リールに接続されて巻取り、繰出し可能とされ、他端が前記エアウィングの一端部と対応する前記パネル本体側位置、前記エアウィングの一端部位置、前記エアウィングの他端部位置、前記エアウィングの他端部と対応する前記パネル本体側位置に設けられたワイヤガイドを経由して、前記エアウィングの他端側の回動支点付近に接続されたワイヤとからなるワイヤ式の回動機構とされていることを特徴とする。
本発明によれば、回動機構が、エアウィングの一端側の回動支点付近に設けられた正逆回転可能なアクチュエータと、その出力軸に設けられたリールと、一端がリールに接続されて巻取り、繰出し可能とされ、他端が各々所定の位置に設けられたワイヤガイドを経由してエアウィングの他端側の回動支点付近に接続されたワイヤとからなるワイヤ式回動機構とされているため、アクチュエータを正転または逆転し、リールにより巻取りまたは繰出されるワイヤを介してエアウィングをその回動支点を支点に吊り上げまたは吊り下ろすことにより、収納位置またはルーバ方向位置に回動することができる。従って、吹出し口に沿って横長形状とされたエアウィングの両端部を一本のワイヤで同時に吊り上げまたは吊り下ろし、スムーズに収納位置またはルーバ方向位置に回動することができ、可動の信頼性を確保することができるとともに、回動機構を少部品数化し、構成の簡素化、低コスト化することができる。
さらに、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記回動機構は、前記エアウィングの長さ方向に延長され、その両端部が各々前記パネル本体に対して回動自在に支持された回転軸と、正逆回転可能なアクチュエータと、該アクチュエータの回転を前記回転軸に伝達する歯車機構とからなるギア式の回動機構とされていることを特徴とする。
本発明によれば、回動機構が、エアウィングの長さ方向に延長され、両端部が各々パネル本体に対して回動自在に支持された回転軸と、正逆回転可能なアクチュエータと、アクチュエータの回転を回転軸に伝達する歯車機構とからなるギア式の回動機構とされているため、アクチュエータを正逆回転し、歯車機構(減速歯車機構)を介して回転軸を回転することにより、その回転軸を介してエアウィングの両端部を一本の回転軸を介して同時に収納位置またはルーバ方向位置に回動することができる。従って、吹出し口に沿って横長形状とされたエアウィングの両端部を一本の回転軸を介して同時にスムーズに収納位置またはルーバ方向位置に回動することができ、長期に亘って可動の信頼性を確保することができる。
本発明によると、ルーバ位置によって吹出し口から吹出される空調風が下方に居る人に直接当たり、ドラフト感を与えることがあるが、かかる場合、吹出し口の外側に配設されているエアウィングを吹出し口から吹出される空調風に対向するルーバ方向位置に回動させ、ルーバ方向への空調風の流れを遮って変更することにより、ドラフト感を低減することができる。また、ドラフト感を感じない場合や積極的にドラフト感を得たい場合は、エアウィングを収納位置に回動させて収納することによって、パネル本体と面一にし、一体に同化させた状態にして収納することができるため、エアウィングの使用、不使用を任意に選択し、ドラフト感による不快感を簡易に解消して空調フィーリングを改善することができるとともに、不使用時には、エアウィングをパネル本体に一体に同化させて収納することによって、デザイン性を維持することができる。しかも、専用のルーバによる風向制御と、そのルーバ位置でのドラフト感の抑制とを両立することができる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図11用いて説明する。
図1には、本実施形態に係る空気調和機を斜め下方から見た一部を破断した状態の斜視図が示され、図2には、そのパネル本体に設けられたエアウィングを収納位置とした状態の斜視図、図3には、そのエアウィングをルーバ方向位置とした状態の斜視図が示されている。ここでの空気調和機1は、図1に示されるように、室内の天井面に設置されるタイプの空気調和機であって、ユニット本体2の下部に設けられるパネル本体3の4方向に吹出し口14が設けられた構成の空気調和機1が例示されている。
ユニット本体2は、天井内に設置される四方体形の下方が開口された箱体であり、内部の中心部位に設置されたターボファン4と、その周りを囲むように配置された四角形状に曲げ成形されている熱交換器5と、熱交換器5の下部に配置されたドレンパン6と、ドレンパン6の周囲壁とユニット本体2の内周面との間に形成された吹出し風路7と、ターボファン4の吸込み側に配置されたベルマウス8等を備えた構成とされている。なお、この空気調和機1は、室外機に対して液管およびガス管からなる2本の冷媒配管9および電気配線10を介して接続されることになる。
ユニット本体2の下面を覆うように設置される天井パネル、化粧パネルとも称されるパネル本体3は、略正方形状をなすパネルであって、中央部位に室内の空気を吸込むための開口(吸込み口)11が設けられており、その吸込み口11には、吸込みグリル12が設置されている。吸込みグリル12は、グリル内面側にエアフィルタ(図示省略)が設置されており、そのエアフィルタを交換あるいは清掃するため、パネル本体3に対して、ワイヤ13、図示省略の昇降モータ等を介して室内の床面近くまで降下されるように昇降自在に設置されている。なお、エアフィルタを自動清掃するため、エアフィルタ自動清掃機構を組み込んだ構成としてもよい。
また、パネル本体3には、室内空気の吸込み口11の周りを取り囲むように、パネル本体3の4辺に対応して4方向にそれぞれ吹出し口14が設けられており、各吹出し口14から熱交換器5で冷却または加熱された空気が空調風として室内に吹出されるようになっている。4方向の吹出し口14には、それぞれ空調風の吹出し方向(風向)を調整するためのルーバ15が回動自在に設置されており、アクチュエータ(モータ)16(図12等を参照)を介して個別に独立して回動されるようになっている。
さらに、パネル本体3には、図2,3に示されるように、各吹出し口14の外側に配設され、パネル本体3に対して面一となる収納位置(図2位置)と、吹出し口14から吹出される空調風と対向するルーバ方向位置(図3位置)との間で回動自在とされているエアウィング17が設けられている。このエアウィング17は、吹出し口14と対向するルーバ方向位置にせり出すことにより空調風を遮って風向を変える平板状の部材であり、各吹出し口14から吹出される空調風が下方に居る人に直接当たることによるドラフト感を低減あるいは解消するためのものである。
エアウィング17は、各吹出し口14からルーバ方向に吹出される空調風と対向する位置にせり出して空調風を遮るウィング部18と、そのウィング部18の両端部に一体に設けられているアーム部19とを備えた門型形状をなすものであり、アーム部19の基端部がパネル本体3に対して、支軸20(図6等を参照)を介して回動自在に支持され、上記した収納位置とルーバ方向位置との2位置間で回動可能とされている。以下に、エアウィング17の具体的構成を、図4ないし図11を用いて詳しく説明する。
エアウィング17のウィング部18およびアーム部19は、パネル本体3の一部を形成するものであり、図2に示される収納位置に回動されたとき、各々の表面(下面)がパネル本体3の表面(下面)と面一とされるようになっている。ウィング部18は、吹出し口14と同等の長さを有し、その外側に沿って配置され、パネル本体3の各辺の一部を形成する一定の幅寸法を有する樹脂製の平板状部材であり、その両端部にウィング部18よりも幅の狭いアーム部19が一体に成形された門型形状とされている。このウィング部18および両アーム部19の裏面側には、リブが一体に成形され、各々の強度および剛性が確保されるように構成されている。
また、両アーム部19の基端部には、エアウィング17をパネル本体3に対して回動自在に支持する支軸20が一体に設けられている。更に、ウィング部18には、基端側がウィング部18の内端縁側に回動自在に支持され、エアウィング17が収納位置に回動されたとき、外端側がウィング部18の裏面に沿った収納位置(図9参照)とされ、エアウィング17がルーバ方向位置に回動されたとき、外端側が上方に自立して空調風を遮る位置に回動(図10および11参照)するサブウィング21が設けられている。
このサブウィング21は、両端の支軸22がウィング部18に設けられた軸承部23に回動自在に支持されており、また、ルーバ方向位置に回動するため、後述するようにワイヤ29が架けられ、吊り下げまたは吊り上げられるようになっていることから、エアウィング17が自重により吊り下げられたとき、上記のようにウィング部18から外端側が上方に自立するようになっている。なお、後述する第2実施形態のように、コイルばね24を設けることにより自立方向に回動付勢するようにしてもよい。
エアウィング17は、回動機構25を介してパネル本体3と面一となる収納位置(図2位置)と、吹出し口14から吹出される空調風と対向するルーバ方向位置(図3位置)との2位置間において回動自在されている。この回動機構25は、エアウィング17の一方のアーム部19の回動支点近傍位置において、パネル本体3側に固定配置されたアクチュエータ(モータ)27と、アクチュエータ27の出力軸に固着されたリール28と、一端がリール28に接続されることにより巻取り、繰出し可能とされているワイヤ29を備えている。
上記ワイヤ29の他端は、アーム部19に沿うパネル本体3側位置、ウィング部18の一端部と対応する直上のパネル本体3側位置、サブウィング21の一端部位置、サブウィング21の他端部位置、ウィング部18の他端部と対応する直上のパネル本体3側位置にそれぞれ設置された複数のワイヤガイド30ないし34を経由して、エアウィング17の他端側アーム部19の回動支点付近位置に接続固定されている。
かかる回動機構25は、アクチュエータ27により正逆回転されるリール28を介してワイヤ29を繰出し、または巻取ることにより、エアウィング17の外端部側を吊り下げまたは吊り上げて回動するワイヤ式の回動機構とされており、1本のワイヤ29の繰出しまたは巻取りによって、エアウィング17の両端部を同時にスムーズに収納位置と、ルーバ方向位置との2位置間において回動可能としたものである。
上記回動機構25は、4方向の吹出し口14に対応して設けられている4組のエアウィング17を各々独立して個別に回動できるように、各々のエアウィング17に対応して4組設けられている。この4組の回動機構25は、4方向の対角上の2箇所位置に各々2組のアクチュエータ27およびリール28が対向して配設されており、それらを共通の蓋部材(図示省略)で覆うことによって、天井裏からの動物や虫の侵入あるいは塵埃の侵入を防ぐようにした構成とされている。
また、各回動機構25は、使用者が選択したエアウィング17を動作させてドラフト感を低減または解消するため、リモコンをON操作したとき、そのエアウィング17に対応した回動機構25のアクチュエータ27を正回転し、リール28をワイヤ29の繰出す方向に回転することにより、エアウィング17を自重によって下降させ、ルーバ15により調整されている空調風の吹出し方向と対向したルーバ方向位置に回動させる構成とされている。つまり、各回動機構25は、リモコンのON操作時、ルーバ15を回動するアクチュエータ16(図12等参照)の回動位置を検知し、その位置と対応したルーバ方向位置にエアウィング17を回動する構成とされている。
これによって、例えば図10に示されるように、ルーバ15が水平方向吹出し位置とされているとき、エアウィング17はその位置に対応したルーバ方向位置に回動され、自立したサブウィング21がルーバ方向への空調風の流れを遮って変更することにより、ドラフト感を低減し、また、図11に示されるように、ルーバ15が下方吹出し位置とされているとき、エアウィング17はその位置に対応したルーバ方向位置に回動され、自立したサブウィング21がルーバ方向への空調風の流れを遮って変更することにより、ドラフト感を低減または解消し得るようになっている。
一方、特に空調風によるドラフト感を感じない場合や積極的にドラフト感を得たい場合には、リモコンをOFF操作することにより回動機構25のアクチュエータ27を逆回転させ、リール28をワイヤ29の巻取り方向に回転させてワイヤ29を巻取り、エアウィング17を吊り上げることによって、図9に示されるように、エアウィング17をパネル本体3の表面と面一となる収納位置に回動し得るようになっている。
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記空気調和機1の運転時、室内空気はターボファン4が回転されることにより、パネル本体3の吸込み口11から吸込みグリル12、ベルマウス8を経てユニット本体2内に吸込まれる。ユニット本体2内でターボファン4から遠心方向に吹出された空気は、ターボファン4の周囲に配置されている熱交換器5を通過する過程で冷媒と熱交換され、冷却または加熱されて温調された後、吹出し風路7、パネル本体3の四方向に設けられている吹出し口14から室内に吹出され、室内の空調に供される。
パネル本体3の吹出し口14から室内に吹出される空調風は、吹出し口14に設けられているルーバ15により吹出し方向が調整可能であり、使用者の設定によりリモコンを介してアクチュエータ(モータ)16(図12参照)を駆動し、ルーバ角度を任意の方向に変えることで吹出方向を調整することができる。ルーバ15の角度は、吹出し口14毎にリモコンによりアクチュエータ16を介して個別に独立して変更できるため、使用者が任意にその角度を設定し、吹出し方向を調整することができる。
空調風の吹出し方向は、一般に冷房時は水平方向、暖房時は下向き方向とするのがよいとされているが、ルーバ15の角度や空気調和機1の下方での居場所によっては、空調風が直接当たることによるドラフト感により、不快感を与える場合がある。このようなドラフト感は、ルーバ15の角度を変えることによって或る程度解決できるが、全体の空調フィーリングへの影響もあるので、ルーバ15の角度を変更するだけでドラフト感を全て解消することは困難である。
しかるに、本実施形態によれば、ルーバ15とは別に、パネル本体3に下向きに開口されている吹出し口14の外側に、パネル本体3に対して面一となる収納位置と、吹出し口14から吹出される空調風に対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされたエアウィング17を配設し、そのエアウィング17を回動機構25により収納位置と、ルーバ方向位置との2位置間において選択的に回動自在としているため、ルーバ位置により吹出し口14から吹出される空調風が下方に居る人に直接当たることでドラフト感を受けるような場合、エアウィング17を吹出し口14から吹出される空調風に対向するルーバ方向位置にせり出させ、ルーバ方向への空調風の流れを遮って変更することにより、ドラフト感を低減することができる。
また、ドラフト感を感じない場合や積極的にドラフト感を得たい場合は、エアウィング17を収納位置に回動させて収納することにより、パネル本体3と面一にし、一体に同化させた状態にして収納することができる。従って、エアウィング17の使用、不使用を任意に選択し、ドラフト感による不快感を簡易に解消して空調フィーリングを改善することができるとともに、不使用時には、エアウィング17をパネル本体3に一体に同化させて収納することにより、デザイン性を維持することができる。しかも、専用のルーバによる風向制御と、そのルーバ位置でのドラフト感の抑制とを両立することができる。
さらに、上記エアウィング17は、ルーバ方向に吹出される空調風と対向してルーバ方向への吹出しを遮るウィング部18と、その両端に一体に設けられ、基端部がパネル本体3側に回転自在に支持されるアーム部19とを備えた構成とされているため、パネル本体3側に回転自在に支持されているアーム部19を介してウィング部18をルーバ方向位置に回動し、吹出し口14からルーバ方向に吹出される空調風と対向する位置にせり出させることにより、空調風の流れを遮って変更することができる。従って、吹出し口14に設けられているルーバ15による風向制御機能を維持したまま、必要に応じてエアウィング17をルーバ方向位置に回動することにより、ドラフト感を選択的に低減または解消することができる。
また、エアウィング17は、ウィング部18に対して、エアウィング17が収納位置に回動されたとき、ウィング部18に沿う位置とされ、空調風と対向するルーバ方向位置に回動されたとき、空調風と対向する位置に自立するサブウィング21が設けられた構成とされている。このため、エアウィング17自体の回動角度に係わりなく、ウィング部18がルーバ方向位置に回動されたとき、サブウィング21が空調風と対向する位置に自立することによって空調風の流れを確実に遮ることができ、しかも、ウィング部18が収納位置に回動されたとき、サブウィング21がウィング部18に沿う位置とされることから収納の障害となることがなく、エアウィング17によるドラフト感の低減効果を確実に確保することができる。
また、本実施形態では、パネル本体3の四方向に吹出し口14が設けられ、それぞれの吹出し口14に対応してエアウィング17が配設された構成とされているため、例えば一方向、二方向あるいは四方向に設けられている複数の吹出し口14のいずれの吹出し口14から吹出される空調風に対しても、個別にエアウィング17を機能させることにより、ドラフト感を低減することができる。従って、複数の吹出し口14のいずれの下方に居た場合においても、選択的にドラフト感を低減または解消することができる。
さらに、上記エアウィング17は、それぞれ独立して設けられている回動機構25により個別に回動自在とされている。このため、複数の吹出し口14のルーバ位置が異なることによって、いずれかの吹出し口14から吹出される空調風がドラフト感を与えている場合でも、その吹出し口14に対応して配設されているエアウィング17を独立した回動機構25により個別に回動して所定のルーバ方向位置とすることができる。従って、複数の吹出し口14に設けられているルーバ15が個別に回動可能とされている空気調和機1においても、各ルーバ位置に対応して個別にエアウィング17を回動し、必要に応じてドラフト感を低減または解消することができる。
また、上記エアウィング17は、空調風と対向するルーバ方向位置に回動指令が出されたとき、回動機構25を介してルーバ15の位置と対応した位置に回動可能な構成とされているため、エアウィング17を回動してドラフト感を低減しようとしたとき、エアウィング17を確実にルーバ15の回動位置と対応した位置に回動させ、ルーバ方向に吹出される空調風と対向する位置にエアウィング17を位置させることができる。従って、ルーバ15の回動位置に係わりなく、ルーバ位置と対応して位置にエアウィング17を回動させることにより、確実にドラフト感の低減または解消効果を得ることができる。
さらに、本実施形態においては、回動機構25が、エアウィング17の一端側の回動支点付近に設けられた正逆回転可能なアクチュエータ(モータ)27と、その出力軸に設けられたリール28と、一端がリール28に接続されて巻取り、繰出し可能とされ、他端が各々所定の位置に設けられたワイヤガイド30ないし34を経由してエアウィング17の他端側の回動支点付近に接続されたワイヤ29とからなるワイヤ式の回動機構25とされている。
このため、アクチュエータ27を正転または逆転し、リール28により巻取りまたは繰出されるワイヤ29を介してエアウィング17をその回動支点を支点に吊り上げまたは吊り下ろすことにより、収納位置またはルーバ方向位置に回動することができる。これによって、吹出し口14に沿って横長形状とされたエアウィング17の両端部を一本のワイヤ29で同時に吊り上げまたは吊り下ろし、スムーズに収納位置またはルーバ方向位置に回動することができ、可動の信頼性を確保することができるとともに、回動機構25を少部品数化し、構成の簡素化、低コスト化することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図12ないし図18を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、エアウィング17を回動する回動機構40の構成が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態の回動機構40は、図12、図13に示されるように、各吹出し口14に設けられたルーバ15を回動するアクチュエータ(モータ)16と隣接してパネル本体3側に配設された正逆回転可能なアクチュエータ(モータ)41と、エアウィング17の両端アーム部19の基端部近傍において、パネル本体3に支持部43を介して回動自在に支持され、支軸20を介して回動自在に支持された両端アーム部19の基端部近くでリンクアーム44を介して連結された回転軸42と、アクチュエータ41の回転を回転軸42に伝達する歯車機構(減速歯車機構)45とからなるギア式の回動機構とされている。
このギア式回動機構40は、吹出し口14毎に設けられるエアウィング17に対応してそれぞれ4組設けられ、各エアウィング17を個別に独立して回動し、収納位置とルーバ方向位置との2位置間において選択的に回動自在としている。また、回転軸42は、エアウィング17の両端部のアーム部19を同時に回動するため、エアウィング17の長さ方向に延長し、その両端部をパネル本体3に対して回動自在に支持し、同時に回動可能な軸としている。
なお、本実施形態においては、図14、図15に示されるように、各エアウィング17のウィング部18に設けられるサブウィング21は、両端の支軸22がウィング部18に設けられた軸承部23に回動自在に支持されるとともに、その長さ方向の例えば3箇所でウィング部18側とサブウィング21側との間に介在されたコイルばね24を介して常に自立方向に回動付勢されるように設置されている。
斯くして、本実施形態においても、回動機構40が、エアウィング17の長さ方向に延長され、その両端部が各々パネル本体3に対して回動自在に支持する回転軸42と、正逆回転可能なアクチュエータ41と、アクチュエータ41の回転を回転軸42に伝達する歯車機構45とからなるギア式の回動機構とされているため、アクチュエータ41を正逆回転し、歯車機構(減速歯車機構)45を介して回転軸42を回転することにより、その回転軸42を介してエアウィング17の両端アーム部19を一本の回転軸42を介して同時に収納位置またはルーバ方向位置に回動することができる。
これによっても、吹出し口14に沿って横長形状とされたエアウィング17の両端部を一本の回転軸42を介して同時にスムーズに収納位置またはルーバ方向位置に回動することができ、長期に亘って可動の信頼性を確保することができる等、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、パネル本体3の四方向にルーバ15を備えた吹出し口14を設け、それぞれの吹出し口14に対応してエアウィング17を配設した空気調和機1の例について説明したが、吹出し口14が二方向に設けられている空気調和機等に対しても同様に適用できることはもちろんである。
また、エアウィング17は、吹出し風路中におかれ、冷房時は冷風により冷却状態とされることから、室内空気が接触することにより結露の発生が予測されるので、必要に応じて結露防止用のインシュレーションを貼り付けてもよい。
さらに、ルーバ15用のアクチュエータ16と、エアウィング17用のアクチュエータ27,41を共用化し、リンク機構を介して共通のアクチュエータによりルーバ15およびエアウィング17を回動可能としてもよい。