JP5834911B2 - 空調室内機 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の一実施形態に係る運転停止時の空調室内機10の断面図である。また、図2Aは、運転時の空調室内機10の断面斜視図である。図1及び図2Aにおいて、空調室内機10は壁掛けタイプであり、本体ケーシング11、室内熱交換器13、室内ファン14、底フレーム16、及び制御部40が搭載されている。
(2−1)前面パネル11b
図1に示すように、前面パネル11bは本体ケーシング11の上部前方からなだらかな円弧曲面を描きながら下部水平板11dの前方エッジに向かって延びている。前面パネル11bの下部に本体ケーシング11の内側に向かって窪んだ領域がある。この領域の窪み深さはコアンダ羽根32の厚み寸法に合うように設定されており、コアンダ羽根32が収容される収容部130を成している。収容部130の表面もなだらかな円弧曲面である。
図1及び図2Aに示すように、吹出口15は、本体ケーシング11の下部に設けられており、横方向(図1紙面と直交する方向)を長辺とする長方形の開口である。吹出口15の下端は下部水平板11dの前方エッジに近接しており、吹出口15の下端と上端とを結ぶ仮想面は前方上向きに傾斜している。
スクロール17は、室内ファン14に対峙するように湾曲した隔壁であり、底フレーム16の一部である。スクロール17の終端Fは、吹出口15の周縁近傍まで到達している。吹出流路18を通る空気は、スクロール17に沿って進み、スクロール17の終端Fの接線方向に送られる。したがって、吹出口15に風向調整羽根31がなければ、吹出口15から吹き出される吹出空気の風向は、スクロール17の終端Fの接線L0に概ね沿った方向である。
垂直風向調整板20は、図1及び図2Aに示すように、複数の羽根片201と、複数の羽根片201を連結する連結棒203を有している。また、垂直風向調整板20は、吹出流路18において、風向調整羽根31よりも室内ファン14近傍に配置されている。
風向調整羽根31は、図1及び図2Aに示すように、円弧状の部材である。風向調整羽根31は、凸状の外側湾曲面を含む外側面31aと、凹状の内側湾曲面を含む内側面31bを有している。
コアンダ羽根32は、図1及び図2Aに示すように、円弧状の部材である。コアンダ羽根32は、凸状の外側湾曲面を含む外側面32aと、凹状の内側湾曲面を含む内側面32bを有している。
フィルタ清掃装置70は、少なくともフィルタ71と、フィルタ駆動ローラー73と、ブラシ75と、ダストボックス77とを含んでいる。フィルタ71は、フィルタ駆動ローラー73の回転によって、所定の環状軌道に沿って周回することができる。ブラシ75は、フィルタ清掃用のブラシであり、フィルタ71に付着した塵埃を掻き落すため、フィルタ71を挟んでフィルタ駆動ローラー73と対向している。ダストボックス77は、ブラシ75がフィルタ71から掻き落した塵埃を溜める。
本実施形態の空調室内機は、吹出空気の方向を制御する手段として、風向調整羽根31のみを回動させて吹出空気の方向を調整する通常吹出モードと、風向調整羽根31及びコアンダ羽根32を回動させてコアンダ効果によって吹出空気をコアンダ羽根32の外側面32aに沿わせたコアンダ気流にするコアンダ効果利用モードと、風向調整羽根31及びコアンダ羽根32それぞれの先端を前方下向きにして吹出空気を下方に導く下吹きモードを有している。
通常吹出モードは、風向調整羽根31のみを回動させて吹出空気の方向を調整するモードであり、「通常前吹き」と「通常前方下吹き」とを含む。
図3Aは、吹出空気が通常前吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Aにおいて、ユーザーが「通常前吹き」を選択したとき、制御部40は風向調整羽根31の内側面31bが略水平になる位置まで風向調整羽根31を回動させる。なお、本願実施形態のように風向調整羽根31の内側面31bが円弧曲面をなしている場合は、内側湾曲面31bbの前方端E1における接線L1が略水平になるまで風向調整羽根31を回動させる。その結果、吹出空気は、前吹き状態となる。
図3Bは、吹出空気が通常前方下吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Bにおいて、ユーザーは吹出方向を「通常前吹き」よりも下方に向けたいとき、「通常前方下吹き」を選択すればよい。
コアンダ(効果)とは、気体や液体の流れのそばに壁があると、流れの方向と壁の方向とが異なっていても、壁面に沿った方向に流れようとする現象である(朝倉書店「法則の辞典」)。コアンダ利用モードは、このコアンダ効果を利用した「コアンダ気流前方吹き」および「コアンダ気流天井吹き」を含む。
図3Cは、コアンダ気流前方吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Cにおいて、「コアンダ気流前方吹き」が選択されたとき、制御部40は、風向調整羽根31の内側湾曲面31bbの前方端E1における接線L1が水平よりも前下がりになるまで風向調整羽根31を回動させる。
図3Dは、コアンダ気流天井吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Dにおいて、「コアンダ気流天井吹き」が選択されたとき、制御部40は風向調整羽根31の内側湾曲面31bbの前方端E1における接線L1が水平になるまで風向調整羽根31を回動させる。
図3Eは、下吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Eにおいて、「下吹き」が選択されたとき、制御部40は風向調整羽根31の内側湾曲面31bbの前方端E1における接線が下向きなるまで風向調整羽根31を回動させる。
(3−4−1)第1横吹き
横吹きモードでは、制御部40は風向調整羽根31の前端部と、コアンダ羽根32の前端部とが近接するように風向調整羽根31及びコアンダ羽根32を回動させる。
また、風向調整羽根31の前端部とコアンダ羽根32の前端部とは必ずしも近接している必要はなく、風向調整羽根31の前端部とコアンダ羽根32の外側面32aとの最短距離が所定値以内に収めることによっても横吹きが可能である。
上記のような吹出空気の方向制御を利用した空調室内機の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
(4−1−1)コアンダ羽根32の第1姿勢
図6Aは、コアンダ羽根32が第1姿勢をとるときのコアンダ気流の風向を示す空調室内機設置空間の側面図である。図6Aにおいて、空調室内機10は室内側壁の上方に設置されている。コアンダ羽根32は、収容部130に収納されている状態(以後、第1姿勢とよぶ)である。コアンダ羽根32が第1姿勢のときに風向調整羽根31の姿勢を水平よりも上向きにすることによって、風向調整羽根31の内側面31bで風向調整された吹出空気がその内側面31bを離れた後、コアンダ羽根32の外側面32aに引っ張られるように方向を変え、第1コアンダ気流となってコアンダ羽根32の外側面32aおよび前面パネル11bに沿うように流れる。
次に、図6Bは、コアンダ羽根32が第2姿勢をとるときのコアンダ気流の風向を示す空調室内機設置空間の側面図である。図6Bにおけるコアンダ羽根32の第2姿勢は、図7Bにおいてカーソル52aで第2コアンダ角度を指定し確定することによって成し得る。コアンダ羽根32が第2姿勢のときに発生するコアンダ気流は、「(3−2−2)コアンダ気流天井吹き」の段で説明したコアンダ気流に相当する。第2コアンダ角度が選択されたとき、図3Dに示すように、制御部40は風向調整羽根31の内側湾曲面31bbの前方端E1における接線L1が水平になるまで風向調整羽根31を回動させ、次に、外側面32aの外側湾曲面32aaの前方端E2における接線L2が前方上向きとなるまでコアンダ羽根32を回動させる。したがって、風向調整羽根31の内側湾曲面31bbの前方端E1における接線L1方向が前方吹きであっても、コアンダ羽根32の外側湾曲面32aaの前方端E2における接線L2方向が前方上吹きであるので、吹出空気は、コアンダ効果によってコアンダ羽根32の外側湾曲面32aaの前方端E2における接線L2方向、すなわち天井方向に吹き出される。
さらに、図6Cは、コアンダ羽根32が第4姿勢をとるときのコアンダ気流の風向を示す空調室内機設置空間の側面図である。図6Cにおけるコアンダ羽根32の第4姿勢は、図7Bにおいてカーソル52aで第4コアンダ角度を指定し確定することによって成し得る。コアンダ羽根32が第4姿勢のときに発生するコアンダ気流は、「(3−2−1)コアンダ気流前方吹き」の段で説明したコアンダ気流に相当する。第4コアンダ角度が選択されたとき、図3Cに示すように、制御部40は、風向調整羽根31の内側湾曲面31bbの前方端E1における接線L1が水平よりも前下がりになるまで風向調整羽根31を回動させ、次に、外側面32aの外側湾曲面32aaの前方端E2における接線L2が略水平になる位置までコアンダ羽根32を回動させる。したがって、風向調整羽根31の内側湾曲面31bbの前方端E1における接線L1方向が前方下吹きであっても、コアンダ羽根32の外側湾曲面32aaの前方端E2における接線L2方向が水平であるので、吹出空気は、コアンダ効果によってコアンダ羽根32の外側湾曲面32aaの前方端E2における接線L2方向、すなわち水平方向に吹き出される。
(4−2−1)第1横吹き姿勢
図6Dは、風向調整羽根31とコアンダ羽根32とが第1横吹き姿勢をとるときの吹出空気の方向を示す空調室内機設置空間の側面図である。図7Cは、「風向設定」メニューの下位メニューを表した表示部52の正面図である。図7Cにおいて、「風向設定」メニューの下位メニューには、[通常前吹き]、[通常前方下吹き]、[第1横吹き]、及び[第2横吹き]が予め準備されており、ユーザーはカーソル52aで任意の項目を指定して確定する。
図6Eは、風向調整羽根31とコアンダ羽根32とが第2横吹き姿勢をとるときの吹出空気の方向を示す空調室内機設置空間の側面図である。図7Cにおいて、[第2横吹き]が選択されたとき、図3Gに示すように、制御部40は風向調整羽根31の前端部とコアンダ羽根32の外側面32aとの最短距離が15mm以内に収まるように、風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の姿勢を調整する。このときの風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の姿勢が第2横吹き姿勢である。
(5−1)
空調室内機10では、制御部40が、水平面に対する風向調整羽根31およびコアンダ羽根32それぞれの角度を組み合わせた複数の角度組合せ姿勢を使って、吹出空気の方向を調整する。第1角度組合せ姿勢では、コアンダ気流を利用する時のコアンダ羽根32および風向調整羽根31それぞれの角度が組み合わせられ、コアンダ効果利用モードにおけるコアンダ羽根32の第1姿勢から第5姿勢を実現している。
また、第2角度組合せ姿勢では、コアンダ羽根32および風向調整羽根31それぞれの先端を最短まで近接させる第1横吹き姿勢、コアンダ羽根32および風向調整羽根31のいずれか一方の先端と他方の近接面との距離が15mm以内に収められる第2横吹き姿勢を実現している。コアンダ羽根32と風向調整羽根31とに挟まれた空間は後方から前方に向って狭くなり通風抵抗が大きくなるので、この空間に入った吹出空気は側方へ流れ易くなる。その結果、吹出空気の横吹きが可能となる。
また、第2角度組合せ姿勢におけるコアンダ羽根32および風向調整羽根31のいずれか一方の先端と他方の近接面とが最も近接する位置が、吹出口15よりも吹出空気の下流側にある。それゆえ、コアンダ羽根32と風向調整羽根31とに挟まれた空間内で側方に方向転換した吹出空気が確実に側方に吹き出される。
空調室内機10では、本体ケーシング11に吹出口15を形成する上壁111、下壁112、及び左右の側壁113,114から成る形成壁115が設けられており、吹出空気の一部はコアンダ羽根32の後端322と上壁111との隙間からコアンダ羽根32の上側面32aに沿って流れる。それゆえ、吹出空気の前方および側方への同時吹き、或いは、下方および側方への同時吹きが実現される。なお、吹出空気の半分以上の空気量がコアンダ羽根32および風向調整羽根31に挟まれた空間の側方から吹出される。
11 本体ケーシング
15 吹出口
31 風向調整羽根
32 コアンダ羽根
32a 外側面(下面)
40 制御部
Claims (6)
- 吹出口(15)から吹き出される吹出空気の流れをコアンダ効果により所定の方向へ誘導可能な空調室内機であって、
前記吹出空気の方向を上下に調整する水平羽根(31)と、
前記吹出口(15)の近傍に設けられ、前記水平羽根(31)で方向調整された前記吹出空気を自己の下面(32a)に沿わせたコアンダ気流にするコアンダ羽根(32)と、
空調運転が停止している間、前記吹出口(15)を含む送風路の外側で前記コアンダ羽根(32)の少なくとも一部を収容する収容部(130)と、
水平面に対する前記水平羽根(31)及び前記コアンダ羽根(32)それぞれの角度を組み合わせた複数の角度組合せ姿勢を使って、前記吹出空気の方向を調整する制御部(40)と、
を備え、
前記複数の角度組合せ姿勢には、
前記コアンダ気流を利用する時の前記コアンダ羽根(32)及び前記水平羽根(31)それぞれの角度を組み合わせる第1角度組合せ姿勢と、
前記コアンダ羽根(32)及び前記水平羽根(31)それぞれの先端を近接させ、前記吹出空気が前方へ進行するときの通風抵抗を増大させることによって前記吹出空気の側方吹きを実現する第2角度組合せ姿勢と、
が含まれ、
前記コアンダ羽根(32)は前端と後端(322)とを有し、前記第2角度組合せ姿勢において、前記コアンダ羽根(32)が回動して前記収容部(130)から離れるほど、前記後端(322)の高さ位置が低くなり、前記吹出口(15)の上壁(111)と前記後端(322)との隙間が広がり、且つ前記前端は前記後端(322)よりも前記上壁(111)から離れている、
空調室内機(10)。 - 前記第2角度組合せ姿勢における前記コアンダ羽根(32)及び前記水平羽根(31)のいずれか一方の先端と他方の近接面とが最も近接する位置が、前記吹出口(15)よりも前記吹出空気の下流側にある、
請求項1に記載の空調室内機(10)。 - 前記第2角度組合せ姿勢において、前記吹出空気の半分以上の空気量が前記コアンダ羽根(32)及び前記水平羽根(31)に挟まれた空間の側方から吹出される、
請求項1に記載の空調室内機(10)。 - 前記制御部(40)は、前記コアンダ羽根(32)及び前記水平羽根(31)の先端同士の距離が最短になるように前記第2角度組合せ姿勢を調整する、
請求項1に記載の空調室内機(10)。 - 壁に掛けるタイプの空調室内機であって、
前記収容部(130)は、前記吹出口(15)を挟んで前記壁とは反対側に位置し、
前記コアンダ羽根(32)は、前記収容部(130)の端部近傍で且つ前記吹出口(15)を形成する形成壁(115)のうちの上壁(111)の上方に設けられている回動軸(321)を有している、
請求項1に記載の空調室内機(10)。 - 前記第2角度組合せ姿勢では、前記コアンダ羽根(32)及び前記水平羽根(31)のいずれか一方の先端と他方の近接面との距離が15mm以内である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の空調室内機(10)。
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