JP5408228B2 - 空調室内機 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の一実施形態に係る運転停止時の空調室内機10の断面図である。また、図2は、運転時の空調室内機10の断面図である。図1及び図2において、空調室内機10は壁掛けタイプであり、本体ケーシング11、室内熱交換器13、室内ファン14、底フレーム16、及び制御部40が搭載されている。
(2−1)前面パネル11b
図1に示すように、前面パネル11bは本体ケーシング11の上部前方からなだらかな円弧曲面を描きながら下部水平板11dの前方エッジに向かって延びている。前面パネル11bの下部に本体ケーシング11の内側に向かって窪んだ領域がある。この領域の窪み深さはコアンダ羽根32の厚み寸法に合うように設定されており、コアンダ羽根32が収容される収容部130を成している。収容部130の表面もなだらかな円弧曲面である。
図1に示すように、吹出口15は、本体ケーシング11の下部に形成されており、横方向(図1紙面と直交する方向)を長辺とする長方形の開口である。吹出口15の下端は下部水平板11dの前方エッジに接しており、吹出口15の下端と上端とを結ぶ仮想面は前方上向きに傾斜している。
スクロール17は、室内ファン14に対峙するように湾曲した隔壁であり、底フレーム16の一部である。スクロール17の終端Fは、吹出口15の周縁近傍まで到達している。吹出流路18を通る空気は、スクロール17に沿って進み、スクロール17の終端Fの接線方向に送られる。したがって、吹出口15に風向調整羽根31がなければ、吹出口15から吹き出される吹出空気の風向は、スクロール17の終端Fの接線L0に概ね沿った方向である。
垂直風向調整板20は、図1及び図2に示すように、複数の羽根片201と、複数の羽根片201を連結する連結棒203を有している。また、垂直風向調整板20は、吹出流路18において、風向調整羽根31よりも室内ファン14近傍に配置されている。
風向調整羽根31は、吹出口15を塞ぐことができる程度の面積を有している。風向調整羽根31が吹出口15を閉じた状態において、その外側面31aは前面パネル11bの曲面の延長上にあるような外側に凸のなだらかな円弧曲面に仕上げられている。また、風向調整羽根31の内側面31b(図2参照)も、外面にほぼ平行な円弧曲面を成している。
コアンダ羽根32は、空調運転が停止している間や後述する通常吹出モードでの運転では収容部130に収納されている。コアンダ羽根32は回動することによって収容部130から離れる。コアンダ羽根32の回動軸321は、収容部130の下端近傍で且つ本体ケーシング11の内側の位置(吹出流路18上壁の上方の位置)に設けられており、コアンダ羽根32の下端部と回動軸321とは所定の間隔を保って連結されている。それゆえ、回動軸321が回動してコアンダ羽根32がケーシング前面部の収容部130から離れるほど、コアンダ羽根32の下端の高さ位置は低くなるように回転する。また、コアンダ羽根32が回転して開いたときの傾斜はケーシング前面部の傾斜よりも緩やかである。
本実施形態の空調室内機は、吹出空気の方向を制御する手段として、風向調整羽根31のみを回動させて吹出空気の方向を調整する通常吹出モードと、風向調整羽根31及びコアンダ羽根32を回動させてコアンダ効果によって吹出空気をコアンダ羽根32の外側面32aに沿わせたコアンダ気流にするコアンダ効果利用モードと、風向調整羽根31及びコアンダ羽根32それぞれの先端を前方下向きにして吹出空気を下方に導く下吹きモードを有している。
通常吹出モードは、風向調整羽根31のみを回動させて吹出空気の方向を調整するモードであり、「通常前吹き」と「通常前方下吹き」とを含む。
図3Aは、吹出空気が通常前吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Aにおいて、ユーザーが「通常前吹き」を選択したとき、制御部40は風向調整羽根31の内側面31bが略水平になる位置まで風向調整羽根31を回動させる。なお、本願実施形態のように風向調整羽根31の内側面31bが円弧曲面をなしている場合は、内側面31bの前方端E1における接線が略水平になるまで風向調整羽根31を回動させる。その結果、吹出空気は、前吹き状態となる。
図3Bは、吹出空気が通常前方下吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Bにおいて、ユーザーは吹出方向を「通常前吹き」よりも下方に向けたいとき、「通常前方下吹き」を選択すればよい。
コアンダ(効果)とは、気体や液体の流れのそばに壁があると、流れの方向と壁の方向とが異なっていても、壁面に沿った方向に流れようとする現象である(朝倉書店「法則の辞典」)。コアンダ利用モードは、このコアンダ効果を利用した「コアンダ気流前方吹き」および「コアンダ気流天井吹き」を含む。
図3Cは、コアンダ気流前方吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Cにおいて、「コアンダ気流前方吹き」が選択されたとき、制御部40は、風向調整羽根31の内側面31bの前方端E1における接線L1が水平よりも前下がりになるまで風向調整羽根31を回動させる。
図3Dは、コアンダ気流天井吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Dにおいて、「コアンダ気流天井吹き」が選択されたとき、制御部40は風向調整羽根31の内側面31bの前方端E1における接線L1が水平になるまで風向調整羽根31を回動させる。
図3Eは、下吹き時の風向調整羽根31及びコアンダ羽根32の側面図である。図3Eにおいて、「下吹き」が選択されたとき、制御部40は風向調整羽根31の内側面31bの前方端E1における接線が下向きなるまで風向調整羽根31を回動させる。
上記のような吹出空気の方向制御を利用した空調室内機の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
図6Aは、コアンダ羽根32が第1姿勢をとるときのコアンダ気流の風向を示す空調室内機設置空間の側面図である。図6Aにおいて、空調室内機10は室内側壁の上方に設置されている。コアンダ羽根32は、収納部130に収納されている状態(以後、第1姿勢とよぶ)である。コアンダ羽根32が第1姿勢のときに風向調整羽根31の姿勢を水平よりも上向きにすることによって、風向調整羽根31の内側面31bで風向調整された吹出空気がその内側面31bを離れた後、コアンダ羽根32の外側面32aに引っ張られるように方向を変え、第1コアンダ気流となってコアンダ羽根32の外側面32aおよび前面パネル11bに沿うように流れる。
次に、図6Bは、コアンダ羽根32が第2姿勢をとるときのコアンダ気流の風向を示す空調室内機設置空間の側面図である。図6Bにおけるコアンダ羽根32の第2姿勢は、図7Bにおいてカーソル52aで第2コアンダ角度を指定し確定することによって成し得る。コアンダ羽根32が第2姿勢のときに発生するコアンダ気流は、「(3−2−2)コアンダ気流天井吹き」の段で説明したコアンダ気流に相当する。第2コアンダ角度が選択されたとき、図3Dに示すように、制御部40は風向調整羽根31の内側面31bの前方端E1における接線L1が水平になるまで風向調整羽根31を回動させ、次に、外側面32aの前方端E2における接線L2が前方上向きとなるまでコアンダ羽根32を回動させる。したがって、風向調整羽根31の前方端E1における接線L1方向が前方吹きであっても、コアンダ羽根32の前方端E2における接線L2方向が前方上吹きであるので、吹出空気は、コアンダ効果によってコアンダ羽根32の外側面32aの前方端E2における接線L2方向、すなわち天井方向に吹き出される。
コアンダ羽根32の形状について、コアンダ羽根32の外側面32aは、凸状に湾曲している形状であっても、平面形状であってもよいが、以下の点で、外側面32aは凸状に湾曲していることが好ましい。
さらに、図6Cは、コアンダ羽根32が第4姿勢をとるときのコアンダ気流の風向を示す空調室内機設置空間の側面図である。図6Cにおけるコアンダ羽根32の第4姿勢は、図7Bにおいてカーソル52aで第4コアンダ角度を指定し確定することによって成し得る。コアンダ羽根32が第4姿勢のときに発生するコアンダ気流は、「(3−2−1)コアンダ気流前方吹き」の段で説明したコアンダ気流に相当する。第4コアンダ角度が選択されたとき、図3Cに示すように、制御部40は、風向調整羽根31の内側面31bの前方端E1における接線L1が水平よりも前下がりになるまで風向調整羽根31を回動させ、次に、コアンダ羽根32の外側面32aが略水平になる位置までコアンダ羽根32を回動させる。したがって、風向調整羽根31の前方端E1における接線L1方向が前方下吹きであっても、コアンダ羽根32の前方端E2における接線L2方向が水平であるので、吹出空気は、コアンダ効果によってコアンダ羽根32の外側面32aの前方端E2における接線L2方向、すなわち水平方向に吹き出される。
(5−1)
空調室内機10では、コアンダ羽根32が、利用時に吹出空気の風向を調整し、非利用時に吹出空気の風路および吹出口の前方から外れた位置、すなわち、収容部130に収容される。制御部40は、コアンダ羽根32の利用時に、コアンダ羽根32と吹出口15の上部形成壁15aとの隙間が収容時よりも大きくなるようにコアンダ羽根32を制御するので、コアンダ羽根32の両面に空気が通過するようになる。その結果、コアンダ羽根32への結露が防止される。
空調室内機10では、コアンダ羽根32と吹出口15の上部形成壁15aとの隙間は、収容時にほぼゼロとなるので、少なくとも意匠性の低下を抑制することができる。
上記実施形態では、コアンダ羽根32と吹出口15の上部形成壁15aとの隙間を通過する空気は、量としてはそれほど多くなく、ほとんどがコアンダ羽根32の内側面32bに沿って流れる。
15 吹出口
32 コアンダ羽根
32a 外側面(下面)
40 制御部
130 収容部
Claims (2)
- 前記本体ケーシング(11)の前面部ではなく天面に設けられた吸込口から取り入れられ前記本体ケーシング(11)内で調和された後に吹出口(15)から吹き出される吹出空気の流れを、その流れのそばにあってその流れと異なる方向の面に沿った方向へ気体が流れようとする現象であるコアンダ効果を利用して所定の方向へ誘導するコアンダ効果利用モードを有する空調室内機であって、
前記吹出口(15)の近傍に設けられ、非利用時に吹出空気の風路および前記吹出口(15)の前方から外れた位置で前記吹出口(15)の形成壁との隙間がほぼゼロとなるように収容され、利用時に前記吹出空気を前記コアンダ効果により風向変更して自己の下面(32a)に沿わせたコアンダ気流にして風向を調整する可動のコアンダ羽根(32)と、
前記コアンダ羽根(32)の利用時に、前記コアンダ羽根(32)と前記吹出口(15)の形成壁との隙間が収容時よりも大きくなるように前記コアンダ羽根(32)を制御する制御部(40)と、
を備え、
前記制御部(40)は、前記コアンダ効果利用モードのうちの一モードにおいて、前記コアンダ羽根(32)の下面前方端における接線が前方上向きとなるまで前記コアンダ羽根(32)を動作させて、天井吹きコアンダ気流を発生させる、
空調室内機(10)。 - 前記収容部(130)は前記本体ケーシング(11)の前面部に設けられており、
前記本体ケーシング(11)の前面部に、コアンダ効果の発生を防止する形状が形成されている、
請求項1に記載の空調室内機(10)。
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