JP6419675B2 - アナログ−デジタル変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、アナログ信号をデジタル値に変換するアナログ-デジタル変換器に関するものである。
無線通信やセンシングの分野などでは、入力信号に含まれる正弦波の信号成分の振幅を、アナログ-デジタル変換器によってデジタル値に変換することが必要な場合がある。この場合、簡易的には、チョッピング回路などを用いて正弦波を整流し、整流後の脈流信号からローパスフィルタにより直流信号を抽出し、直流信号をデジタル値に変換する方法が用いられる。しかしながら、正弦波を整流して脈流信号にすることは、半周期ごとに振幅「1」と振幅「−1」とを交互に繰り返す方形波を正弦波に乗算することと等しい。方形波には、基本波の周波数に対して奇数倍の周波数を持つ高調波が含まれる。高調波と同じ周波数のノイズ成分が入力信号に含まれていると、ローパスフィルタにより抽出した直流信号には、方形波に含まれる高調波とノイズ成分との乗算に起因した成分が含まれることになる。そのため、入力信号のノイズ成分が大きい場合には、正弦波の正しい振幅を得ることが難しくなる。
上述した高調波の問題は、入力信号に方形波ではなく正弦波を乗算することにより回避可能である。入力信号に正弦波を乗算する場合、ギルバートセルなどのアナログ乗算器が一般的に用いられる(下記特許文献1を参照)。
特開2000−315919号公報
ギルバートセル型のアナログ乗算器は、例えば上記特許文献1の図1で示されるような構成で実用化されている。ギルバートセルをバイポーラトランジスタで構成した場合、特許文献1の式(14)や式(20)で示されるように、乗算結果には熱電圧VTが係数として含まれる。熱電圧VTは「k・T/q」で表わされ、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の素電荷である。従って、ギルバートセルの乗算結果すなわち出力電圧は、温度に応じて変化してしまう。このことは、MOSトランジスタで構成される他のアナログ乗算器においても同様である。また、アナログ乗算器では、トランジスタの入出力特性の非線形性により、乗算精度を確保するには入力電圧の範囲を制限する必要がある。このようなことから、例えば静電容量方式の入力装置においてアナログ乗算器を用いる場合、信号のダイナミックレンジの確保や温度による変動が課題となっている。
また、アナログ乗算器を用いて正弦波の乗算を行う場合には、正弦波を別途発生させる必要がある。従って、例えば入力信号に正弦波を乗算することで高精度な信号抽出を行うためには、高精度な正弦波を発生させる必要があるため、正弦波発生用の回路規模が大きくなり、消費電力が増大するという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力信号に正弦波を乗算した結果の信号からデジタル値を得ることが可能であるとともに、構成が簡易で入力信号のレベルの範囲が広く、温度による特性の変動が少ないアナログ−デジタル変換器を提供することにある。
本発明に係るアナログ−デジタル変換器は、入力アナログ信号と所定の周波数の正弦波とを乗算し、当該乗算結果の信号を出力デジタル値に変換するアナログ−デジタル変換器であって、それぞれ異なる周波数の方形波を前記入力アナログ信号に乗算する複数の方形波乗算部と、前記複数の方形波乗算部における乗算結果の信号を合成する信号合成部と、前記信号合成部の合成結果を示す信号に基づいて前記出力デジタル値を取得するデジタル値取得部とを備える。前記方形波は、最も周波数が低い正弦波である基本波と、前記基本波に対してそれぞれ整数倍の周波数を持つ正弦波である複数の高調波との和として近似可能である。前記複数の方形波乗算部は、1つの第1方形波乗算部と1つ又は複数の第2方形波乗算部とを含む。前記第1方形波乗算部は、前記所定の周波数の正弦波を前記基本波とする第1方形波を前記入力アナログ信号に乗算する。前記第2方形波乗算部は、前記第1方形波に含まれる1つの前記高調波と等しい正弦波若しくは当該1つの高調波の位相を反転させた正弦波を前記基本波とする第2方形波を前記入力アナログ信号に乗算する。前記信号合成部は、前記第1方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第1方形波の少なくとも1つの前記高調波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分を、前記第2方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第2方形波の前記基本波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分によって相殺する。
上記の構成によれば、前記第1方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第1方形波の少なくとも1つの前記高調波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分が、前記第2方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第2方形波の前記基本波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分によって相殺される。そのため、前記信号合成部の合成結果の信号においては、前記第1方形波の高調波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分が低減し、前記第1方形波の基本波(前記所定の周波数の正弦波)と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分が支配的な成分となる。
上記アナログ−デジタル変換器では、前記方形波乗算部を用いて正弦波(前記第1方形波の基本波)と前記入力アナログ信号との乗算を行うため、アナログ乗算器のようにトランジスタ等の温度特性の影響を受け難くなり、温度による特性の変動が少ない。また、前記方形波乗算部を用いることによって、アナログ乗算器のようにトランジスタの入出力非線形特性の影響を受け難くなるため、正弦波との乗算が可能な前記入力アナログ信号のレベルの範囲が広くなる。
更に、上記アナログ−デジタル変換器では、前記方形波乗算部を用いることによって正弦波発生器を省略できることから、回路構成が簡易となる。
好適に、前記方形波乗算部は、少なくとも1つのキャパシタを有してよい。前記方形波乗算部は、前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期と他方の半周期のそれぞれにおいて、前記入力アナログ信号に応じた電荷を前記キャパシタに蓄積する充電動作と、前記充電動作により前記キャパシタに蓄積した電荷を前記信号合成部へ出力する電荷出力動作とを所定の間隔で交互に反復してよい。また、前記方形波乗算部は、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に1つの前記キャパシタから前記信号合成部へ出力する電荷の極性若しくは前記電荷出力動作時に2つの前記キャパシタから前記信号合成部へ出力する電荷の差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転してよい。前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により出力される電荷を合成してよい。前記デジタル値取得部は、前記信号合成部において合成された前記複数の方形波乗算部からの電荷に基づいて前記出力デジタル値を取得してよい。
上記の構成によれば、前記キャパシタに対する前記充電動作と前記信号合成部への前記電荷出力動作を反復することにより前記入力アナログ信号と方形波との乗算が行われるため、アナログ乗算器のようにトランジスタの温度特性や入出力非線形特性の影響を受け難くなる。
好適に、前記第1方形波乗算部が前記充電動作において電荷を蓄積する前記キャパシタの静電容量と、1つの前記第2方形波乗算部が前記充電動作において電荷を蓄積する前記キャパシタの静電容量との比が、前記第1方形波の基本波の振幅と、当該1つの第2方形波乗算部における前記第2方形波の基本波と等しい周波数を有する前記第1方形波の高調波の振幅との比に応じた値を有してもよい。
上記の構成によれば、前記第1方形波乗算部のキャパシタと前記第2方形波乗算部のキャパシタとの静電容量比に基づいて、前記第1方形波の高調波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分と、前記第2方形波の基本波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分とを相殺することが可能となる。キャパシタの静電容量比は、温度や製造プロセスによるばらつきの影響を受け難いため、上記信号成分の相殺を精度よく行うことが可能となる。
本発明の第1の観点において、前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作によって繰り返し出力される電荷を蓄積する少なくとも1つのキャパシタを有しており、当該キャパシタが蓄積する電荷に応じた信号を出力してよい。前記デジタル値取得部は、前記信号合成部の合成結果を示す信号と基準値とを比較し、当該比較結果を示す信号を出力する第1比較器と、前記第1比較器の出力信号に応じた電荷を生成し、前記複数の方形波乗算部の前記電荷出力動作に同期したタイミングで当該電荷を前記信号合成部に出力する電荷生成部と、前記第1比較器の出力信号に基づいて前記出力デジタル値を生成する第1デジタル値生成部とを有してよい。
上記本発明の第1の観点において、上記アナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備えてもよい。
前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有してよい。前記方形波乗算部は、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と共通電位との間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記共通電位との間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの一方に蓄積される電荷を前記第1共通ノードへ出力するとともに、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの他方に蓄積される電荷を前記第2共通ノードへ出力してよい。また、前記方形波乗算部は、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1共通ノードへ出力する電荷から前記第2共通ノードへ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転してよい。
前記信号合成部は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有してよい。前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第1共通ノードへ出力される電荷を前記第3キャパシタに蓄積し、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第2共通ノードへ出力される電荷を前記第4キャパシタに蓄積し、前記第3キャパシタの電荷と前記第4キャパシタの電荷との差に応じた信号を出力してよい。
前記前記電荷生成部は、前記複数の方形波乗算部の前記電荷出力動作に同期したタイミングで前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードにそれぞれ電荷を出力するとともに、前記第1共通ノードに出力する電荷から前記第2共通ノードに出力する電荷を引いた電荷差を、前記第1比較器の出力信号に応じた値に設定してよい。
上記の構成によれば、前記複数の方形波乗算部において、前記入力アナログ信号に応じた電荷の差に基づいて前記入力アナログ信号と前記方形波との乗算が行われ、この乗算結果の信号として得られる電荷の差が前記信号合成部において合成されることにより、前記入力アナログ信号と正弦波との積に応じた出力デジタル値が得られる。そのため、同相ノイズが除去され易くなり、耐ノイズ性が向上する。
上記本発明の第1の観点において、上記アナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備えてもよい。
前記方形波乗算部は、一端が前記第1共通ノードに接続された第1キャパシタと、一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1キャパシタと同じ静電容量を持つ第2キャパシタと、前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第2スイッチ回路と、前記充電動作において前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを前記共通電位に接続し、前記電荷出力動作において前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを前記共通電位から切り離す第3スイッチ回路とを有してよい。
前記信号合成部は、反転入力端子と非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられた第3キャパシタと、前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられ、前記第3キャパシタと同じ静電容量を持つ第4キャパシタと、前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合、前記第1共通ノードを前記演算増幅器の前記反転入力端子から切り離すとともに前記第2共通ノードを前記演算増幅器の前記非反転入力端子から切り離し、前記複数の方形波演算部が前記電荷出力動作を行う場合、前記第1共通ノードを前記演算増幅器の前記反転入力端子に接続するとともに前記第2共通ノードを前記演算増幅器の前記非反転入力端子に接続する第4スイッチ回路とを有してよい。
前記電荷生成部は、前記複数の方形波乗算部の前記電荷出力動作に同期したタイミングで前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードにそれぞれ電荷を出力するとともに、前記第1共通ノードに出力する電荷から前記第2共通ノードに出力する電荷を引いた電荷差を、前記第1比較器の出力信号に応じた値に設定してよい。
上記の構成においても、差動信号に対して方形波の乗算が行われるため、同相ノイズが除去され易くなる。
好適に、前記第1比較器は、前記演算増幅器の前記反転出力端子の電圧と前記非反転出力端子の電圧との比較を示す信号を出力してよい。前記電荷生成部は、一端が前記第1共通ノードに接続された第5キャパシタと、一端が前記第2共通ノードに接続された第6キャパシタと、前記第5キャパシタの他端と前記第6キャパシタの他端との間の経路に設けられ、前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合にオフし、前記複数の方形波乗算部が前記電荷出力動作を行う場合にオンする第5スイッチ回路と、前記複数の方形波乗算部の前記充電動作に同期したタイミングで前記第5キャパシタの他端と前記第6キャパシタの他端にそれぞれ電圧を供給するとともに、前記第1比較器の出力信号に応じて、前記第5キャパシタの前記他端を前記第6キャパシタの前記他端より所定の電圧だけ高い電圧に設定するか、または、前記第6キャパシタの前記他端を前記第5キャパシタの前記他端より前記所定の電圧だけ高い電圧に設定する電圧供給回路とを含んでよい。
本発明の第2の観点において、前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作によって繰り返し出力される電荷を蓄積する少なくとも1つのキャパシタと、当該キャパシタの電荷を放電する第1放電回路とを有しており、当該キャパシタが蓄積する電荷に応じた信号を出力してよい。前記デジタル値取得部は、前記信号合成部の合成結果を示す信号と基準値との比較に基づいて、前記信号生成部のキャパシタに蓄積される電荷が所定の初期値と等しくなるタイミングを示す信号を出力する第2比較器と、前記信号合成部のキャパシタに蓄積される電荷を一定の電流で放電する第2放電回路と、入力されるクロック信号を計数するカウンタと、前記カウンタの計数値を取得し、当該取得した計数値に基づいて前記出力デジタル値を生成する第2デジタル値生成部とを有してよい。前記第1放電回路は、前記信号合成部のキャパシタに蓄積される電荷を前記初期値まで放電してよい。前記複数の方形波乗算部は、前記第1放電回路による前記放電の後、前記充電動作と前記電荷出力動作とを一定の期間だけ反復してよい。前記第2放電回路は、前記一定の期間の後、前記複数の方形波乗算部が前記充電動作及び前記電荷出力動作を停止した状態において前記信号合成部のキャパシタに蓄積される電荷を前記一定の電流で放電してよい。前記第2デジタル値生成部は、前記第2放電回路による前記放電が開始した時点から、前記信号合成部のキャパシタに蓄積される電荷が前記初期値と等しくなるタイミングを示す信号が前記第2比較器において出力される時点までの間における前記カウンタの計数値を取得してよい。
上記本発明の第2の観点において、上記アナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備えてもよい。
前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有してよい。前記方形波乗算部は、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と共通電位との間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記共通電位との間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの一方に蓄積される電荷を前記第1共通ノードへ出力するとともに、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの他方に蓄積される電荷を前記第2共通ノードへ出力してよい。また、前記方形波乗算部は、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1共通ノードへ出力する電荷から前記第2共通ノードへ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転してよい。
前記信号合成部は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有しており、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第1共通ノードへ出力される電荷を前記第3キャパシタに蓄積し、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第2共通ノードへ出力される電荷を前記第4キャパシタに蓄積してよい。
前記第1放電回路は、前記第3キャパシタの電荷及び前記第4キャパシタの電荷をそれぞれ放電してよい。
前記第2放電回路は、前記第3キャパシタの電荷及び前記第4キャパシタの電荷をそれぞれ前記一定の電流で放電してよい。
上記の構成においても、差動信号に対して方形波の乗算が行われるため、同相ノイズが除去され易くなる。
上記本発明の第2の観点において、上記アナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備えてよい。
前記方形波乗算部は、一端が前記第1共通ノードに接続された第1キャパシタと、一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1キャパシタと同じ静電容量を持つ第2キャパシタと、前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第2スイッチ回路と、前記充電動作において前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを前記共通電位に接続し、前記電荷出力動作において前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを前記共通電位から切り離す第3スイッチ回路とを有してよい。
前記信号合成部は、反転入力端子と非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられた第3キャパシタと、前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられ、前記第3キャパシタと同じ静電容量を持つ第4キャパシタと、前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合、前記第1共通ノードを前記演算増幅器の前記反転入力端子から切り離すとともに前記第2共通ノードを前記演算増幅器の前記非反転入力端子から切り離し、前記複数の方形波演算部が前記電荷出力動作を行う場合、前記第1共通ノードを前記演算増幅器の前記反転入力端子に接続するとともに前記第2共通ノードを前記演算増幅器の前記非反転入力端子に接続する第4スイッチ回路とを有してよい。前記第1放電回路は、前記第3キャパシタの電荷及び前記第4キャパシタの電荷をそれぞれ放電してよい。前記第2放電回路は、前記第3キャパシタの電荷及び前記第4キャパシタの電荷をそれぞれ前記一定の電流で放電してよい。
上記の構成においても、差動信号に対して方形波の乗算が行われるため、同相ノイズが除去され易くなる。
好適に、前記第2放電回路は、一端が前記第1共通ノードに接続された第1抵抗と、一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1抵抗と同じ抵抗値を持つ第2抵抗と、放電動作時に前記第1抵抗の他端及び前記第2抵抗の他端を基準電位に接続する第6スイッチ回路とを含んでよい。
好適に、上記本発明の第1の観点及び第2の観点において、前記複数の方形波演算部の少なくとも一部が前記第3スイッチ回路を共有してもよい。
本発明の第3の観点において、前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作によって出力される電荷の和に応じた信号を、前記電荷出力動作の度に生成してよい。前記デジタル値取得部は、前記信号合成部において生成された信号を初段において入力し、前記初段より後の段では前段から出力される信号を入力し、当該入力した信号のレベルに応じた部分デジタル値をそれぞれ出力する複数の従属接続されたパイプライン段と、前記複数のパイプライン段からそれぞれ出力される前記部分デジタル値に基づいて前記出力デジタル値を生成する第3デジタル値生成部とを含んでよい。前記パイプライン段は、前記複数の方形波乗算部における前記電荷出力動作に同期して、前記信号合成部若しくは前段のパイプライン段から入力した信号をサンプリングし、当該サンプリングした信号を所定の増幅率で増幅し、前記部分デジタル値に基づいて選択した基準信号を当該増幅した信号から減算し、当該減算結果の信号を後段に出力してよい。
上記本発明の第3の観点において、上記アナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備えてもよい。
前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有してよい。前記方形波乗算部は、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と共通電位との間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記共通電位との間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの一方に蓄積される電荷を前記第1共通ノードへ出力するとともに、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの他方に蓄積される電荷を前記第2共通ノードへ出力してよい。また、前記方形波乗算部は、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1共通ノードへ出力する電荷から前記第2共通ノードへ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転してよい。
前記信号合成部は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有しており、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第1共通ノードへ出力される電荷を前記第3キャパシタに蓄積し、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第2共通ノードへ出力される電荷を前記第4キャパシタに蓄積し、前記第3キャパシタの電荷と前記第4キャパシタの電荷との差に応じた信号を出力してよい。また、前記信号合成部は、当該信号の出力後、前記複数の方形波乗算部において次の前記電荷出力動作が行われる前に前記第3キャパシタ及び前記第4キャパシタの電荷を放電してよい。
上記の構成においても、差動信号に対して方形波の乗算が行われるため、同相ノイズが除去され易くなる。
上記本発明の第3の観点において、上記アナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備えてもよい。
前記方形波乗算部は、一端が前記第1共通ノードに接続された第1キャパシタと、一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1キャパシタと同じ静電容量を持つ第2キャパシタと、前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第2スイッチ回路とを有してよい。
前記信号合成部は、前記第1共通ノードに接続された反転入力端子と前記第2共通ノードに接続された非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられた第3キャパシタと、前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられ、前記第3キャパシタと同じ静電容量を持つ第4キャパシタと、前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合、前記第3キャパシタ及び前記第4キャパシタをそれぞれ短絡し、前記複数の方形波乗算部が前記電荷出力動作を行う場合、当該短絡を解除する第1放電回路とを有してよい。
上記の構成においても、差動信号に対して方形波の乗算が行われるため、同相ノイズが除去され易くなる。
上記第3の観点において、上記アナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード、第2共通ノード、第3共通ノード及び第4共通ノードとを備えてもよい。
前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有してよい。前記方形波乗算部は、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と前記第1共通ノードとの間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記第2共通ノードとの間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタを前記第1共通ノードと前記第3共通ノードとの間に接続するとともに、前記第2キャパシタを前記第2共通ノードと前記第4共通ノードとの間に接続してよい。また、前記方形波乗算部は、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1キャパシタに蓄積される電荷より前記第2キャパシタに蓄積される電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転してよい。
前記信号合成部は、前記第1共通ノードの電圧と前記第2共通ノードの電圧とが等しくなるように前記第3共通ノードの電圧及び前記第4共通ノードの電圧を調節してよい。
上記の構成においても、差動信号に対して方形波の乗算が行われるため、同相ノイズが除去され易くなる。
本発明の第3の観点において、上記アナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード、第2共通ノード、第3共通ノード及び第4共通ノードとを備えもよい。
前記方形波乗算部は、一端が前記第1共通ノードに接続された第1キャパシタと、一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1キャパシタと同じ静電容量を持つ第2キャパシタと、前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、前記第1キャパシタの前記他端と前記第3共通ノードとの間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第7スイッチ回路と、前記第2キャパシタの前記他端と前記第4共通ノードとの間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第8スイッチ回路とを有してよい。
前記信号合成部は、前記第1共通ノードに接続された反転入力端子と前記第2共通ノードに接続された非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を、前記第3共通ノードに接続された非反転出力端子と前記第4共通ノードに接続された反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオンし、前記電荷出力動作においてオフする第9スイッチ回路と、前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオンし、前記電荷出力動作においてオフする第10スイッチ回路とを有してよい。
上記の構成においても、差動信号に対して方形波の乗算が行われるため、同相ノイズが除去され易くなる。
好適に、本発明のアナログ−デジタル変換器は、前記入力アナログ信号に含まれたノイズ成分であって、前記充電動作が反復される周波数に対して整数倍の周波数から前記入力信号の信号帯域へ折り返し雑音を生じ得る前記ノイズ成分を減衰させる第1ローパスフィルタを有してよい。
これにより、前記信号合成部において生成される信号中の前記折り返し雑音が低減する。
好適に、本発明のアナログ−デジタル変換器は、前記第1方形波に含まれる前記高調波の中で、周波数が低い順における1番目からN番目までの前記高調波に対応したNパターンの前記第2方形波を前記入力信号に乗算するN個の前記方形波乗算部を有してよく、この場合、前記第1ローパスフィルタは、前記第1方形波に含まれる前記高調波であって、前記周波数が低い順における(N+1)番目以降の前記高調波に相当する周波数を持つ前記入力信号のノイズ成分を減衰させてよい。
これにより、前記入力信号のノイズ成分と前記第1方形波に含まれる前記高調波との積に応じた直流成分が前記信号合成部の合成結果の信号に混入され難くなる。
好適に、本発明のアナログ−デジタル変換器は、前記出力デジタル値に含まれる直流成分を抽出する第2ローパスフィルタ第2ローパスフィルタを有してよい。
これにより、前記入力アナログ信号に含まれる前記正弦波の周波数成分の振幅に応じた直流成分が抽出される。
本発明によれば、入力信号に正弦波を乗算した結果の信号からデジタル値を得ることが可能であるとともに、構成が簡易で入力信号のレベルの範囲が広く、温度による特性の変動が少ないアナログ−デジタル変換器を提供できる。
入力信号に方形波を乗算する回路の構成例を示す図である。図1Aはブロック図を示し、図1Bは回路構成の一例を示す。 正弦波と方形波の周波数成分を示す図である。図2Aは方形波の周波数成分を示し、図2Bは方形波の周波数成分を示す。 方形波の周波数成分を示す図である。図3Aは、所定の周波数を有する方形波の周波数成分を示し、図3B及び図3Cは、図3Aの方形波の高調波と等しい基本波を含んだ方形波の周波数成分を示す。 第1の実施形態に係るアナログ−デジタル変換器の構成の一例を示す図である。 第2の実施形態に係るアナログ−デジタル変換器の構成の一例を示す図である。 充電動作時と電荷出力動作時における各スイッチ素子の状態を説明するための図である。図6Aは充電動作時のスイッチ素子の状態を示し、図6Bは電荷出力動作時のスイッチ素子の状態を示す。 第2の実施形態に係るアナログ−デジタル変換器における各スイッチ素子の状態を示すタイミング図である。 第3の実施形態に係るアナログ−デジタル変換器の構成の一例を示す図である。 第3の実施形態に係るアナログ−デジタル変換器における信号合成部の出力信号の時間的な変化の一例を示すグラフである。 第4の実施形態に係るアナログ−デジタル変換器の構成の一例を示す図である。 図10に示すA/D変換器における正弦波乗算部の構成の一例を示す図である。 図11に示す正弦波乗算部における各スイッチ素子の状態を示すタイミング図である。 第5の実施形態に係るアナログ−デジタル変換器における方形波乗算部の構成の一例を示す図である。 図13に示す正弦波乗算部の充電動作時と電荷出力動作時における各スイッチ素子の状態を説明するための図である。図14Aは充電動作時のスイッチ素子の状態を示し、図14Bは電荷出力動作時のスイッチ素子の状態を示す。 図13に示す正弦波乗算部における各スイッチ素子の状態を示すタイミング図である。 入力側にローパスフィルタを設けた変形例を示す図である。 出力側にローパスフィルタを設けた変形例を示す図である。 第2方形波乗算部における方形波の基本波と、第1方形波乗算部における方形波の高調波とを同相にした場合の変形例を示す図である。
まず、本発明の実施形態に係るアナログ−デジタル変換器(以下、「A/D変換器」と略記する。)において入力信号に正弦波を乗算する方法の概要を説明する。
図1は、入力信号Siに方形波を乗算する回路の構成例を示す図である。方形波の乗算は正弦波の乗算とは異なり、例えば図1Bにおいて示すように、固定ゲインのアンプ回路2,4とスイッチ回路3を用いた簡易な回路で実現可能である。図1Bに示す方形波乗算回路では、入力信号Si又は入力信号Siをゲイン「−1」のアンプ回路2によって反転した信号が、スイッチ回路3を介してゲインAのアンプ回路4に入力される。方形波の一方の半周期において、入力信号SiがゲインAのアンプ回路4により増幅され(A倍され)、方形波の他方の半周期においては、入力信号SiがゲインAのアンプ回路4とゲイン「−1」のアンプ回路2とによって増幅される(−A倍される)。
図2は、正弦波と方形波の周波数成分を示す図である。正弦波は、図2Aに示すように単一の周波数成分のみからなるが、方形波は、図2Bにおいて示すように基本波と高調波からなる。従って、図1に示す方形波の乗算結果の信号は、入力信号Siに基本波を乗算した信号成分(入力信号Si×基本波)と、入力信号Siに高調波を乗算した信号成分(入力信号Si×高調波)とを重ね合わせた信号になる。
図1において示すように、方形波の乗算は回路構成が簡易であり、アナログ乗算器を用いる場合のようにトランジスタの温度特性や入出力非線形特性の影響を受け難くなるという利点がある。しかしながら、方形波の乗算結果の信号には、上述したように高調波の信号成分(入力信号Si×高調波)が含まれるため、そのままでは入力信号Siと正弦波の乗算結果として使用できない。そこで、本実施形態に係るA/D変換器では、入力信号と方形波との乗算を行う回路を複数設けて、それらの出力を合成することにより、入力信号と方形波との乗算結果に含まれる不要な信号成分(入力信号×高調波)を相殺する。
図3は、方形波の周波数成分を示す図である。図3Aは、周波数fsの方形波の周波数成分を示す。図3Bは、図3Aの方形波に対して3倍の周波数(3fs)かつ3分の1の振幅(A/3)を有する方形波の周波数成分を示す。また図3Cは、図3Aの方形波に対して5倍の周波数(5fs)かつ5分の1の振幅(A/5)を有する方形波の周波数成分を示す。
周波数fsの方形波には、周波数fsの基本波と、その奇数倍の周波数(3fs,5fs,7fs,…)を有する高調波が含まれる。基本波の振幅を「B」とすると、周波数が「K×fs」の高調波(以下、「第K次高調波」と記す。)の振幅は「B/K」である。図3Bに示す周波数3fs,振幅B/3の方形波における基本波は、図3Aに示す周波数fs,振幅Bの方形波における第3次高調波と等しくなる。また、図3Cに示す周波数5fs,振幅B/5の方形波における基本波は、図3Aに示す周波数fs,振幅Bの方形波における第5次高調波と等しくなる。
従って、図3Aに示す方形波を入力信号Siに乗算するとともに、図3B,図3Cに示す方形波の逆位相の方形波をそれぞれ入力信号Siに乗算し、それらの乗算結果を合成することにより、周波数fsの方形波における第3次高調波及び第5次高調波の成分を相殺することができる。このように、本実施形態に係るA/D変換器では、アナログ乗算器を用いて入力信号と正弦波との直接的な乗算を行う替わりに、入力信号と複数の方形波との乗算を行って、それらの乗算結果を合成することにより、入力信号と正弦波との乗算を実現する。そのため、トランジスタの温度特性や入出力非線形特性の影響を受け難くなるとともに、回路構成が簡易になる。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図4は、本発明の第1の実施形態に係るA/D変換器の構成の一例を示す図である。図4に示すA/D変換器は、それぞれ異なる周波数の方形波W1,W2,W3を入力アナログ信号Viに乗算する3つの方形波乗算部U1,U2,U3と、当該方形波乗算部U1,U2,U3の乗算結果の信号Qu1,Qu2,Qu3を合成する信号合成部10と、信号合成部10において合成された信号Voに基づいて出力デジタル値Doを取得するデジタル値取得部20とを有する。以下、3つの方形波乗算部(U1〜U3)における任意の1つを「方形波乗算部U」と記し、乗算結果の信号Qu1〜Qu3における任意の1つを「信号Qu」と記し、方形波W1〜W3の任意の1つを「方形波W」と記す。
方形波乗算部Uにおいて入力アナログ信号Viに乗ぜられる方形波Wは、一方の半周期と他方の半周期とで振幅が等しく極性が逆となる波形を有する。この方形波Wは、図2,図3において示すように基本波と高調波の和として近似可能であり、第K次高調波は基本波に対してK倍の周波数とK分の1の振幅を持つ。
方形波乗算部Uは、例えば、入力アナログ信号Viに乗算する方形波Wの1周期中における一方の半周期と他方の半周期のそれぞれにおいて、入力アナログ信号Viに比例した出力信号Quを生成するとともに、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで、入力アナログ信号Viと出力信号Quとの比の絶対値が等しく、かつ、当該比の符号が反転するように出力信号Quを生成する。すなわち、方形波乗算部Uは、方形波Wの1周期中における一方の半周期において、入力アナログ信号Viに対する出力信号Quの比を「A」とし、方形波Wの1周期中における他方の半周期において、入力アナログ信号Viに対する出力信号Quの比を「−A」とする。
方形波乗算部U1(以下、「第1方形波乗算部U1」と記す。)は、周波数fsの正弦波を基本波とする方形波W1(以下、「第1方形波W1」と記す。)を入力アナログ信号Viに乗算する。図4の例において、第1方形波W1の周波数は「fs」、振幅は「A」である。
方形波乗算部U2,U3(以下、「第2方形波乗算部U2」「第2方形波乗算部U3」と記す。)は、周波数fsの第1方形波W1に含まれる1つの高調波の位相を反転させた正弦波を基本波とする方形波W2、W3(以下、「第2方形波W2」「第2方形波W3」と記す。)をそれぞれ入力アナログ信号Viに乗算する。
すなわち、第2方形波乗算部U2は、第1方形波W1における第3次高調波の位相を反転させた正弦波を基本波とする第2方形波W2を入力アナログ信号Viに乗算する。図4において示すように、この第2方形波W2の周波数は「3fs」、振幅は「A/3」である。
また、第2方形波乗算部U3は、第1方形波W1における第5次高調波の位相を反転させた正弦波を基本波とする第2方形波W3を入力アナログ信号Viに乗算する。図4において示すように、この第2方形波W3の周波数は「5fs」、振幅は「A/5」である。
信号合成部10は、第1方形波乗算部U1の信号Qu1と、第2方形波乗算部U2,U3の信号Qu2,Qu3とを加算する。信号合成部10は、信号Qu1〜Qu3の加算を行うことにより、信号Qu1に含まれる第1方形波W1の第3次高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分を、信号Qu2に含まれる第2方形波W2の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分によって相殺する。また、信号合成部10は、信号Qu1に含まれる第1方形波W1の第5次高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分を、信号Qu3に含まれる第2方形波W3の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分によって相殺する。
デジタル値取得部20は、信号合成部10における信号Qu1〜Qu3の加算結果の信号Voに基づいて、入力アナログ信号Viと正弦波との積に対応する出力デジタル値Doを取得する。デジタル値取得部20におけるデジタル値の取得には種々の方式を用いることが可能であり、例えば、デルタ・シグマ型や、積分型、パイプライン型、逐次比較型、フラッシュ型などのA/D変換方式を用いることができる。
図4に示すA/D変換器によれば、信号Qu1に含まれる第1方形波W1の第3高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分が、信号Qu2に含まれる第2方形波W2の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分によって相殺され、信号Qu1に含まれる第1方形波W1の第5次高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分が、信号Qu3に含まれる第2方形波W3の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分によって相殺される。そのため、信号Qu1〜Qu3の合成結果として得られる信号Voでは、第1方形波W1の第3高調波及び第5次高調波に対応した信号成分が低減し、第1方形波W1の基本波(周波数fsの正弦波)と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分が支配的な成分となる。従って、信号合成部10の信号Voに基づいて、周波数fsの正弦波と入力アナログ信号Viとの積に応じた精度の良い出力デジタル値Doを取得することができる。
また、図4に示すA/D変換器によれば、方形波乗算部Uにおいて、入力アナログ信号Viに乗算する方形波Wの1周期中における一方の半周期と他方の半周期とで、入力アナログ信号Viと出力信号Quとの比の絶対値が等しく、かつ、当該比の符号が反転するように出力信号Quが生成される。すなわち、入力アナログ信号Viに対する出力信号Quの比(信号ゲイン)の絶対値を保ったままその正負の符号を方形波Wの半周期ごとに反転することで、入力アナログ信号Viと方形波Wの乗算が行われる。このような方形波Wの乗算は、固定の信号ゲインを半周期ごとに切り替える離散的な信号処理であり、トランジスタの電流と電圧のアナログ的な特性が乗算結果に与える影響が小さくなる。従って、アナログ乗算器を用いる場合のようなトランジスタの温度特性や入出力非線形特性の影響を受け難くすることができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態として、デルタ・シグマ型の変換方式を用いたA/D変換器の一例を説明する。
図5は、第2の実施形態に係るA/D変換器の構成の一例を示す図である。図5に示すA/D変換器は、入力アナログ信号Viに第1方形波W1を乗算する第1方形波乗算部UA1と、入力アナログ信号Viに第2方形波W2,W3を乗算する第2方形波乗算部UA2及びUA3と、第1方形波乗算部UA1及び第2方形波乗算部UA2,UA3の乗算結果の信号を合成する信号合成部10Aと、信号合成部10Aの合成結果を示す信号Voに基づいて出力デジタル値Doを取得するデジタル値取得部20Aを有する。以下の説明では、第1方形波乗算部UA1及び第2方形波乗算部UA2,UA3を区別せずに「方形波乗算部UA」と記す場合がある。
また、本実施形態に係るA/D変換器は、入力アナログ信号Viとして差動信号が入力される第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2と、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)が共通に接続される第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2を有する。
方形波乗算部UAは、同じ静電容量を持つ2つのキャパシタ(第1キャパシタC1,第2キャパシタC2)を有する。方形波乗算部UAは、入力アナログ信号Viに乗算する方形波(第1方形波又は第2方形波)の1周期中における一方の半周期と他方の半周期のそれぞれにおいて、入力アナログ信号Viに応じた電荷をキャパシタ(C1,C2)に蓄積する充電動作と、充電動作によりキャパシタ(C1,C2)に蓄積した電荷を信号合成部10Aへ出力する電荷出力動作とを所定の間隔で交互に反復する。また、方形波乗算部UAは、充電動作時における入力アナログ信号Viの極性と、電荷出力動作時に2つのキャパシタ(C1,C2)から信号合成部10Aへ出力する電荷の差の極性との関係を、当該方形波の1周期中における一方の半周期と他方の半周期とで反転する。例えば入力アナログ信号Viの極性が「正」の場合において、方形波の一方の半周期では、2つのキャパシタ(C1,C2)から信号合成部10Aへ出力する電荷の差の極性を「正」とし、方形波の他方の半周期では、当該電荷の差の極性を「負」とする。方形波乗算部UAは、このような半周期ごとの極性の反転により、入力アナログ信号Viと方形波(第1方形波又は第2方形波)との乗算を行う。
例えば方形波乗算部UAは、充電動作において、第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2の一方と共通電位(図5の例では基準電位Vref)との間に生じる電圧を第1キャパシタC1に印加するとともに、第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2の他方と共通電位との間に生じる電圧を第2キャパシタC2に印加する。電荷出力動作において、方形波乗算部UAは、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の一方に蓄積される電荷を第1共通ノードN1へ出力するとともに、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の他方に蓄積される電荷を第2共通ノードN2へ出力する。方形波乗算部UAは、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2を介して、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の電荷を信号合成部10Aに出力する。また、方形波乗算部UAは、充電動作時における入力アナログ信号Viの極性と、電荷出力動作時に第1共通ノードN1へ出力する電荷から第2共通ノードN2へ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、方形波の1周期における一方の半周期と他方の半周期とで反転する。
第1方形波乗算部UA1は、図5の例において、静電容量が等しい第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2と、第1スイッチ回路31と、第2スイッチ回路32と、第3スイッチ回路33を有する。
第1キャパシタC1は、一方の端子が第1共通ノードN1に接続され、他方の端子が第1スイッチ回路31を介して第1入力端子Ti1又は第2入力端子Ti2に接続される。
第2キャパシタC2は、一方の端子が第2共通ノードN2に接続され、他方の端子が第1スイッチ回路31を介して第1入力端子Ti1又は第2入力端子Ti2に接続される。
第1スイッチ回路31は、入力アナログ信号Viに乗算する第1方形波W1の1周期中における一方の半周期の充電動作においては、第1キャパシタC1の他方の端子を第1入力端子Ti1に接続するとともに第2キャパシタC2の他方の端子を第2入力端子Ti2に接続する。また、第1スイッチ回路31は、第1方形波W1の1周期中における他方の半周期の充電動作においては、第1キャパシタC1の他方の端子を第2入力端子Ti2に接続するとともに第2キャパシタC2の他方の端子を第1入力端子Ti1に接続する。電荷出力動作においては、第1スイッチ回路31は、第1キャパシタC1の他方の端子及び第2キャパシタC2の他方の端子を第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2から切り離す。
第1スイッチ回路31は、例えば図5において示すように、4つのスイッチ素子(S1〜S4)を有する。スイッチ素子S1は、第1キャパシタC1の他方の端子と第1入力端子Ti1との間の経路に設けられる。スイッチ素子S2は、第1キャパシタC1の他方の端子と第2入力端子Ti2との間の経路に設けられる。スイッチ素子S3は、第2キャパシタC2の他方の端子と第1入力端子Ti1との間の経路に設けられる。スイッチ素子S4は、第2キャパシタC2の他方の端子と第2入力端子Ti2との間の経路に設けられる。第1方形波W1の1周期中における一方の半周期の充電動作において、スイッチ素子S1,S4がオン状態、スイッチ素子S2,S3がオフ状態となる。第1方形波W1の1周期中における他方の半周期の充電動作において、スイッチ素子S1,S4がオフ状態、スイッチ素子S2,S3がオン状態となる。電荷出力動作において、スイッチ素子S1〜S4が全てオフ状態となる。
第2スイッチ回路32は、第1キャパシタC1の他方の端子と第2キャパシタC2の他方の端子との間の経路に設けられており、方形波乗算部UAの充電動作においてオフし、電荷出力動作においてオンする。第2スイッチ回路32は、例えば図5において示すように、第1キャパシタC1の他方の端子と第2キャパシタC2の他方の端子に接続されたスイッチ素子S5を有する。
第3スイッチ回路33は、方形波乗算部UAの充電動作において第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2を基準電位Vrefに接続し、方形波乗算部UAの電荷出力動作において第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2を基準電位Vrefから切り離す。第3スイッチ回路33は、例えば図5において示すように、第1共通ノードN1と基準電位Vrefに接続されたスイッチ素子S6と、第2共通ノードN2と基準電位Vrefに接続されたスイッチ素子S7を有する。
第2方形波乗算部UA2及びUA3は、第1方形波乗算部UA1から第3スイッチ回路33を省略したものと同様の構成を有する。図5の例において、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)は、1つの第3スイッチ回路33を共有している。
第1方形波乗算部UA1及び第2方形波乗算部UA2,UA3における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量は、第1方形波W1の高調波と第2方形波W2,W3の基本波とが同じ振幅を持つように設定される。
すなわち、第2方形波乗算部UA2におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量は、第1方形波乗算部UA1におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量に対して1/3に設定される。この静電容量の比は、第1方形波W1の基本波の振幅と、第2方形波W2の基本波と等しい周波数(3fs)を有する第1方形波W1の第3次高調波の振幅との比と同じである。静電容量が1/3になることで、同一電圧に対する電荷量が1/3になるため、第2方形波乗算部UA2において入力アナログ信号Viに乗算される第2方形波W2の振幅は、第1方形波W1の振幅の1/3になる。
また、第2方形波乗算部UA3におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量は、第1方形波乗算部UA1におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量に対して1/5に設定される。この静電容量の比は、第1方形波W1の基本波の振幅と、第2方形波W3の基本波と等しい周波数(5fs)を有する第1方形波W1の第5次高調波の振幅との比と同じである。静電容量が1/5になることで、同一電圧に対する電荷量が1/5になるため、第2方形波乗算部UA3において入力アナログ信号Viに乗算される第2方形波W3の振幅は、第1方形波W1の振幅の1/5になる。
第1方形波乗算部UA1における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu1」、第2方形波乗算部UA2における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu2」、第2方形波乗算部UA3における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu3」とすると、これらの静電容量は次のように設定される。
Cu1:Cu2:Cu3 = 1:1/3:1/5 = 15:5:3 …(1)
電荷出力動作によって第1方形波乗算部UA1の第1キャパシタC1から第1共通ノードN1へ出力される電荷より、第2キャパシタC2から第2共通ノードN2へ出力される電荷を減算した値である電荷差を「ΔQ1」とし、この電荷差ΔQ1の中で、第1方形波W1の第3次高調波(周波数3fs)と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ1(3fs)」と記す。また、電荷差ΔQ1の中で、第1方形波W1の第5次高調波(周波数5fs)と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ1(5fs)」と記す。
他方、電荷出力動作によって第2方形波乗算部UA2の第1キャパシタC1から第1共通ノードN1へ出力される電荷より、第2キャパシタC2から第2共通ノードN2へ出力される電荷を減算した値である電荷差を「ΔQ2」とし、この電荷差ΔQ2の中で、第2方形波W2の基本波(周波数3fs)と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ2(3fs)」と記す。
また、電荷出力動作によって第2方形波乗算部UA3の第1キャパシタC1から第1共通ノードN1へ出力される電荷より、第2キャパシタC2から第2共通ノードN2へ出力される電荷を引いた値である電荷差を「ΔQ3」とし、この電荷差ΔQ3の中で、第2方形波W3の基本波(周波数5fs)と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ3(5fs)」と記す。
各方形波乗算部のキャパシタ(C1,C2)の静電容量が式(1)のように設定されることにより、上述した電荷差の成分には次の関係が成立する。
ΔQ1(3fs) = −ΔQ2(3fs) …(2)
ΔQ1(5fs) = −ΔQ3(5fs) …(3)
ただし、第1方形波W1と第2方形波W2との位相関係は、第1方形波W1の第3次高調波と第2方形波W2の基本波とが逆相となるように設定される。また、第1方形波W1と第2方形波W3の位相関係は、第1方形波W1の第5次高調波と第2方形波W3の基本波とが逆相となるように設定される。
式(2),(3)の関係が成立することから、電荷差ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3が信号合成部10Aにおいて合成(加算)されることにより、第1方形波W1の第3次高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分ΔQ1(3fs)は、第2方形波W2の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分ΔQ2(3fs)により相殺される。また、第1方形波W1の第5次高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分ΔQ1(5fs)は、第2方形波W3の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分ΔQ3(5fs)によって相殺される。すなわち、第1方形波W1の第3次高調波及び第5次高調波に起因した信号成分は、第2方形波乗算部UA2,UA3から出力される信号成分との加算によって除去される。
信号合成部10Aは、同じ静電容量を持つ第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4を有しており、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)から電荷出力動作により第1共通ノードN1へ出力される電荷を第3キャパシタC3に蓄積し、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)から電荷出力動作により第2共通ノードN2へ出力される電荷を第4キャパシタC4に蓄積する。信号合成部10Aは、第3キャパシタC3の電荷と第4キャパシタC4の電荷との差に応じた信号Voを出力する。
信号合成部10Aは、図5の例において、静電容量が等しい第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4と、演算増幅器11と、第4スイッチ回路12を有する。
演算増幅器11は、反転入力端子と非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差、すなわち信号Voとして出力する。
第3キャパシタC3は、演算増幅器11の反転入力端子と非反転出力端子との間の経路に設けられる。第4キャパシタC4は、演算増幅器11の非反転入力端子と反転出力端子との間の経路に設けられる。
第4スイッチ回路12は、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)が充電動作を行う場合、第1共通ノードN1を演算増幅器11の反転入力端子から切り離すとともに第2共通ノードN2を演算増幅器11の非反転入力端子から切り離し、3つの方形波演算部(UA1〜UA3)が電荷出力動作を行う場合は、第1共通ノードN1を演算増幅器11の反転入力端子に接続するとともに第2共通ノードN2を演算増幅器11の非反転入力端子に接続する。例えば図5において示すように、第4スイッチ回路12は、演算増幅器11の反転入力端子と第1共通ノードN1との間に接続されたスイッチ素子S8と、演算増幅器11の非反転入力端子と第2共通ノードN2との間に接続されたスイッチ素子S9を有する。
デジタル値取得部20Aは、図5の例において、第1比較部21と、電荷生成部22と、第1デジタル値生成部23を有する。
第1比較部21は、信号合成部10Aの合成結果を示す信号Voと基準値とを比較し、当該比較結果を示す信号B1を出力する。例えば第1比較部21は、差動信号である信号Voの極性が正であるか否かを示す1ビットの信号B1を出力する。
第1デジタル値生成部23は、第1比較部21の出力信号B1に基づいて、入力アナログ信号Viに対応する出力デジタル値Doを取得する。例えば、第1デジタル値生成部23は、所定値の信号B1が発生する頻度などから出力デジタル値Doを取得する。
電荷生成部22は、第1比較部21の出力信号B1に応じた電荷を生成し、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)の電荷出力動作に同期したタイミングで当該電荷を信号合成部10Aに出力する。例えば、電荷生成部22は、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)の電荷出力動作に同期したタイミングで第1共通ノードN1及び第1共通ノードN1にそれぞれ電荷を出力するとともに、第1共通ノードN1に出力する電荷から第2共通ノードN2に出力する電荷を引いた電荷差(以下、「電荷差ΔQf」と記す。)を、第1比較部21の出力信号B1に応じた値に設定する。具体的には、電荷生成部22は、信号Voの極性が正であることを示す信号B1を入力した場合、信号Voの電圧を低下させる極性を持った電荷差ΔQfに設定し、信号Voの極性が正であることを示す信号B1を入力した場合は、信号Voの電圧を上昇させる極性を持った電荷差ΔQfに設定する。
電荷生成部22は、図5の例において、一方の端子が第1共通ノードN1に接続された第5キャパシタC5と、一方の端子が第2共通ノードN2に接続された第6キャパシタC6と、第5スイッチ回路221と、電圧供給回路222を有する。
第5スイッチ回路221は、第5キャパシタC5の他方の端子と第6キャパシタC6の他方の端子との間の経路に設けられており、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)が充電動作を行う場合にオフし、電荷出力動作を行う場合にオンする。第5スイッチ回路221は、例えば図5に示すように、第5キャパシタC5の他方の端子と第6キャパシタC6の他方の端子との間に接続されたスイッチ素子S10を有する。
電圧供給回路222は、2つの方形波乗算部(UA1〜UA3)の充電動作に同期したタイミングで第5キャパシタC5の他方の端子と第6キャパシタC6の他方の端子にそれぞれ電圧を供給するとともに、第1比較器の出力信号B1に応じて、第5キャパシタC5の他方の端子を第6キャパシタC6の他方の端子より所定の電圧(VDD)だけ高い電圧に設定するか、または、第6キャパシタC6の他方の端子を第5キャパシタC5の他方の端子より所定の電圧(VDD)だけ高い電圧に設定する。
電圧供給回路222は、図5の例においてスイッチ素子S11〜S14を有する。スイッチ素子S11は第5キャパシタC5の他方の端子と電源電圧VDDとの間に接続され、スイッチ素子S12は第5キャパシタC5の他方の端子とグランドGNDとの間に接続され、スイッチ素子S13は第6キャパシタC6の他方の端子と電源電圧VDDとの間に接続され、スイッチ素子S14は第6キャパシタC6の他方の端子とグランドGNDとの間に接続される。スイッチ素子S11及びS14がオン、スイッチ素子S12及びS13がオフすることにより、第5キャパシタC5の他方の端子が第6キャパシタC6の他方の端子より電圧VDDだけ高い電圧となり、スイッチ素子S11及びS14がオフ、スイッチ素子S12及びS13がオンすることにより、第6キャパシタC6の他方の端子が第5キャパシタC5の他方の端子より電圧VDDだけ高い電圧となる。
ここで、上述した構成を有する本実施形態に係るA/D変換器の動作を説明する。
図6は、充電動作時と電荷出力動作時における各スイッチ素子の状態を説明するための図である。図6Aは充電動作時のスイッチ素子の状態を示し、図6Bは電荷出力動作時のスイッチ素子の状態を示す。
なお、図6の例では第1方形波乗算部UA1のみを示しているが、第2方形波乗算部UA2,UA3についても、充電動作及び電荷出力動作において同様のスイッチ状態となる。また、電荷生成部22については、第5スイッチ回路221のスイッチ素子S10を第2スイッチ回路32のスイッチ素子S5とみなし、電圧供給回路222のスイッチ素子S11〜S14を第1スイッチ回路31のスイッチ素子S1〜S4とみなし、第5キャパシタC5及び第6キャパシタC6を第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2とみなした場合、充電動作及び電荷出力動作において第1方形波乗算部UA1と同様のスイッチ状態となる。
充電動作時には、図6Aにおいて示すように、第1キャパシタC1が第1入力端子Ti1と基準電位Vrefの間に接続され、第2キャパシタC2が第2入力端子Ti2と基準電位Vrefの間に接続される。このとき、第4スイッチ回路12のスイッチ素子S8,S9はオフ状態のため、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4に蓄積される電荷は直前の電荷出力動作時の電荷と同じ値に保持される。
第1入力端子Ti1の電圧から第2入力端子Ti2の電圧を引いた差の電圧を「Vi」、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「C」、充電動作において第1キャパシタC1に蓄積される電荷を「Qa」、充電動作において第2キャパシタC2に蓄積される電荷を「Qb」とすると、図6Aに示すスイッチ状態において電荷Qaから電荷Qbを引いた電荷差「Qa−Qb」は次の式で表わされる。
Qa−Qb = Vi×C …(4)
電荷出力動作時には、図6Bにおいて示すように、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の他方の端子が第2スイッチ回路32によって短絡される。第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2の電圧は演算増幅器11の負帰還動作によってほぼ等しい電圧になるため、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の電圧もほぼ等しくなり、両者に蓄積される電荷もほぼ等しくなる。充電動作によって第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2には合計「Qa+Qb」の電荷が蓄積されているため、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2のそれぞれに蓄積される電荷は、その半分の「(Qa+Qb)/2」となる。
第1キャパシタC1の電荷は「Qa」から「(Qa+Qb)/2」に変化するため、その変化分である「(Qa−Qb)/2」が第1キャパシタC1から第3キャパシタC3へ転送される。また、第2キャパシタC2の電荷は「Qb」から「(Qa+Qb)/2」に変化するため、その変化分である「−(Qa−Qb)/2」が第2キャパシタC1から第4キャパシタC3へ転送される。従って、第3キャパシタC3に蓄積される電荷から第4キャパシタC4に蓄積される電荷を引いた電荷差を「ΔQS」とすると、第1方形波乗算部UA1の電荷出力動作による電荷差ΔQSの増加は「Qa−Qb=Vi×C」となる。
ただし、この結果は、図6Aに示す第1スイッチ回路31のスイッチ状態において得られるものであり、第1スイッチ回路31が他方のスイッチ状態(スイッチ素子S1及びS4がオフ、スイッチ素子S2及びS3がオンの状態)にある場合は、正負の極性が反転する。すなわち、この場合、第1方形波乗算部UA1の電荷出力動作による電荷差ΔQSの増加は「−(Qa−Qb)=−Vi×C」となる。
以上のことから、第1方形波乗算部UA1の1回の電荷出力動作によって電荷差ΔQSに加算される電荷差ΔQ1は、次の式で表わされる。
ΔQ1 = ±Vi×C …(5)
式(5)の右辺に示す正負の極性は、第1方形波W1(周波数fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。
同様に、第2方形波乗算部UA2の1回の電荷出力動作によって電荷差ΔQSに加算される電荷差ΔQ2、及び、第2方形波乗算部UA3の1回の電荷出力動作によって電荷差ΔQSに加算される電荷差ΔQ3は、それぞれ次の式で表わされる。
ΔQ2 = ±Vi×(C/3) …(6)
ΔQ3 = ±Vi×(C/5) …(7)
式(6)の右辺に示す正負の極性は、第2方形波W2(周波数3fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。また、式(7)の右辺に示す正負の極性は、第2方形波W3(周波数5fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。
また、電荷生成部22の電荷出力動作によって電荷差ΔQSに加算される電荷差ΔQfは、次の式で表わされる。
ΔQf = ±VDD×Cf …(8)
式(8)において、「Cf」は第5キャパシタC5及び第6キャパシタC6の静電容量を示す。式(8)の右辺に示す正負の極性は、第1比較部21の出力信号B1に応じて切り替わる。すなわち、信号合成部10Aの信号Voの極性が正の場合(非反転出力端子の電圧が反転出力端子の電圧より高い場合)、式(8)の右辺の極性は負となり、信号合成部10Aの信号Voの極性が負の場合(非反転出力端子の電圧が反転出力端子の電圧より低い場合)、式(8)の右辺の極性は正となる。
信号合成部10Aは、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)から一定の周期で出力される電荷差ΔQ1〜ΔQ3及びΔQfを第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4に蓄積する積分器として動作する。電荷生成部22は、第1比較部21の出力信号B1に応じて電荷差ΔQfの極性を切り替えることにより、積分器として動作する信号合成部10Aの電荷差ΔQSの増大を抑制する。
信号合成部10Aの信号Voの極性が正の場合における信号B1の値を「1」、信号Voの極性が負の場合における信号B1の値を「−1」とすると、入力アナログ信号Viが正側に大きくなるにつれて、第1比較部21から「1」の信号B1が出力され易くなり、入力アナログ信号Viが正側に大きくなるにつれて、第1比較部21から「−1」の信号B1が出力され易くなり、入力アナログ信号Viがゼロに近くなるにつれて、第1比較部21から「1」と「−1」の信号B1が均等に出力され易くなる。第1デジタル値生成部23は、この信号B1における「1」の発生頻度などから、入力アナログ信号Viに対応した出力デジタル値Doを取得する。
図7は、第2の実施形態に係るA/D変換器における各スイッチ素子の状態を示すタイミング図である。図7のタイミング図において、ハイレベルはスイッチ素子のオン状態を示し、ローレベルはスイッチ素子のオフ状態を示す。
図7の例において、交互にオンするスイッチ素子同士(スイッチ素子S1〜S4とスイッチ素子S5、スイッチ素子S11〜S14とスイッチ素子S10、スイッチ素子S6,S7とスイッチ素子S8,S9)は、オンオフ動作の遅延によるクロストークを回避するため、互いのオン状態がオーバーラップしないように制御される。
また図7の例において、充電動作及び電荷出力動作は、周期Tごとに1回ずつ行われる。第1方形波W1の1周期(1/fs)は、周期Tの60サイクル分(60T)に設定され、第2方形波W2の1周期(1/3fs)は周期Tの20サイクル分(20T)に設定され、第2方形波W3の1周期(1/5fs)は周期Tの12サイクル分(12T)に設定される。
第1方形波W1の半周期を規定する周期Tのサイクル数(図7の例では30サイクル)は、第2方形波乗算部(UA2,UA3)の出力によって相殺されるべき第1方形波W1の高調波の周波数(3fs,5fs)が基本波の周波数fsに対して有する倍率(3倍,5倍)の公倍数となるように設定される。図5に示すA/D変換器では、第1方形波W1の第3次高調波および第5次高調波が相殺されるべき高調波であるため、「3」と「5」の公倍数である「30」が第1方形波W1の半周期における周期Tのサイクル数に設定される。このように、第1方形波W1の半周期における周期Tのサイクル数を定めることによって、第2方形波(W2,W3)の半周期における周期Tのサイクル数を整数値にすることができるため、第1方形波W1の周期と第2方形波W2,W3の周期との比率を周期Tのサイクル数によって厳密に設定することができる。
ここで、式(5),(6),(7)の右辺に示す極性が「正」となる動作モードを「正転モード」と呼び、これらの式の右辺に示す極性が「負」となる動作モードを「反転モード」と呼ぶ。図7に示すように、方形波乗算部(UA1〜UA3)は、方形波の1周期中における一方の半周期において「正転モード」となり、他方の半周期において「反転モード」となる。「正転モード」では、充電動作時に第1スイッチ回路31のスイッチ素子S1及びS4がオン状態、スイッチ素子S2及びS3がオフ状態となる。「反転モード」では、充電動作時に第1スイッチ回路31のスイッチ素子S1及びS4がオフ状態、スイッチ素子S2及びS3がオン状態となる。
第1方形波乗算部UA1では、第1方形波W1の前半の半周期(30T)において正転モードの動作が30サイクル反復され、第1方形波W1の後半の半周期(30T)において反転モードの動作が30サイクル反復される。
第2方形波乗算部UA2では、第2方形波W2の前半の半周期(10T)において反転モードの動作が10サイクル反復され、第2方形波W2の後半の半周期(10T)において正転モードの動作が10サイクル反復される。第1方形波乗算部UA1において正転モードの動作が開始するとき、第2方形波乗算部UA2において反転モードの動作が開始されるため、第2方形波W2の基本波は第1方形波W1の第3次高調波に対して逆の位相を持つ。
第2方形波乗算部UA3では、第2方形波W3の前半の半周期(6T)において反転モードの動作が6サイクル反復され、第2方形波W3の後半の半周期(6T)において正転モードの動作が6サイクル反復される。第1方形波乗算部UA1において正転モードの動作が開始するとき、第2方形波乗算部UA3において反転モードの動作が開始されるため、第2方形波W3の基本波は第1方形波W1の第5次高調波に対して逆の位相を持つ。
デジタル値取得部20Aの電荷生成部22では、第1比較部21の出力信号B1の値(「1」又は「−1」)に応じて、充電動作時におけるスイッチ素子S11〜S14の状態が切り替わる。信号B1の値が「1」の場合(信号Voの極性が正の場合)、スイッチ素子S11及びS14がオフ状態、スイッチ素子S12及びS13がオン状態となり、電荷生成部22によって電荷差ΔQSに加算される電荷差ΔQfの極性(式(8))は負となる。これにより、電荷差ΔQSが小さくなり、信号Voの正方向への増大が抑制される。また、信号B1の値が「−1」の場合(信号Voの極性が負の場合)は、スイッチ素子S11及びS14がオン状態、スイッチ素子S12及びS13がオフ状態となり、電荷差ΔQfの極性(式(8))が正となるため、信号Voの負方向への増大が抑制される。
以上説明したように、本実施形態に係るA/D変換器によれば、方形波乗算部UAにおいてキャパシタ(C1,C2)の充電動作及び電荷出力動作が一定の間隔で反復され、方形波Wの半周期ごとに電荷出力動作の出力電荷の極性が反転されることにより、入力アナログ信号Viと方形波Wとの乗算が行われる。そのため、方形波乗算部UAにおける方形波の周期と位相を、周期Tのサイクル数によって厳密に設定することができる。
また、本実施形態に係るA/D変換器によれば、方形波乗算部UAにおけるキャパシタの静電容量比は、温度や製造プロセスによるばらつきの影響を受け難いため、各方形波乗算部UAにおいて入力アナログ信号Viに乗算される方形波Wの振幅の比を精度良く設定することができる。従って、第1方形波乗算部UA1の出力に含まれる第1方形波W1の高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分(電荷)を、第2方形波乗算部UA2,UA3の出力における第2方形波W2,W3の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた信号成分(電荷)によって、精度よく相殺することができる。
更に、本実施形態に係るA/D変換器によれば、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)の各々において、差動信号(Vi)に応じた電荷の差に基づいて方形波の乗算が行われ、この乗算結果の信号として得られる電荷の差(ΔQ1〜ΔQ3)が信号合成部において合成されることにより、差動信号(Vi)と正弦波との積に応じた出力デジタル値Doが得られる。そのため、差動信号の各々の信号に重畳される同相ノイズが除去され易くなり、耐ノイズ性を高めることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態として、積分型の変換方式を用いたA/D変換器の一例を説明する。
図8は、第3の実施形態に係るA/D変換器の構成の一例を示す図である。図8に示すA/D変換器は、図5に示すA/D変換器における信号合成部10Aを信号合成部10Bに置換するとともに、デジタル値取得部20Aをデジタル値取得部20Bに置換したものであり、他の構成は図5に示すA/D変換器と同じである。
信号合成部10Bは、図5における信号合成部10Aと同様の構成(演算増幅器11、第4スイッチ回路12、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4)を有するとともに、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷をそれぞれ放電する第1放電回路13を有する。第1放電回路13は、図8の例において、第3キャパシタC3に並列接続されたスイッチ素子S15と、第4キャパシタC4に並列接続されたスイッチ素子S16を有する。
デジタル値取得部20Bは、信号合成部10Bの合成結果を示す信号Voに基づいて出力デジタル値Doを取得する。すなわち、デジタル値取得部20Bは、信号合成部10Bにおいて合成された3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)からの電荷に基づいて出力デジタル値Doを取得する。デジタル値取得部20Bは、図8の例において、第2比較器24と、第2放電回路25と、カウンタ26と、第2デジタル値生成部27を有する。
第2比較器24は、信号合成部10Bの合成結果を示す信号Voと基準値との比較に基づいて、信号生成部10Bのキャパシタ(C3,C4)に蓄積される電荷が所定の初期値と等しくなるタイミングを示す信号B2を出力する。例えば第2比較器24は、図5における第1比較部21と同様に、差動信号である信号Voの極性が正であるか否かを示す1ビットの信号B2を出力する。信号Voの極性が正である場合の信号B2の値を「1」、負である場合の信号B2の値を「0」とすると、信号B2の「1」から「0」への変化又は「0」から「1」への変化が、上記のタイミングを示す。このタイミングにおいて、第3キャパシタC3に蓄積される電荷から第4キャパシタC4に蓄積される電荷を引いた電荷差ΔQSはゼロとなる。
第2放電回路25は、信号合成部10Aの第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4に蓄積される電荷を一定の電流で放電する回路であり、図8の例において、第1抵抗R1及び第2抵抗R2と第6スイッチ回路251を有する。第1抵抗R1は、一端が第1共通ノードN1に接続され、他端が第6スイッチ回路251を介して基準電位Vrefに接続される。第2抵抗R2は、一端が第2共通ノードN2に接続され、他端が第6スイッチ回路251を介して基準電位Vrefに接続される。第6スイッチ回路251は、放電動作時に第1抵抗R1の他端及び第2抵抗R2の他端を基準電位Vrefに接続する。第6スイッチ回路251は、第1抵抗R1の他端と基準電位Vrefとの間に接続されたスイッチ素子S17、及び、第2抵抗R2の他端と基準電位Vrefとの間に接続されたスイッチ素子S18を含む。スイッチ素子S17及びS18がオンすると、第3キャパシタC3及び第3キャパシタC3の一端が第1抵抗R1及び第2抵抗R2を介して短絡されるため、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4は同じ電圧となるように放電される。すなわち、第3キャパシタC3及び第3キャパシタC3の電荷差ΔQSがゼロとなるように放電される。
カウンタ26は、入力されるクロック信号CLKを計数する。
第2デジタル値生成部27は、第2比較器24の出力信号B2が示すタイミングに従ってカウンタ26の計数値を取得し、当該取得した計数値に基づいて出力デジタル値Doを生成する。
図9は、本実施形態に係るA/D変換器における信号合成部10Bの出力信号Voの時間的な変化の一例を示すグラフである。図9において、「L1」は入力アナログ信号Viが比較的小さい場合を示し、「L3」は入力アナログ信号Viが比較的大きい場合を示し、「L2」は入力アナログ信号Viが中程度の場合を示す。
本実施形態に係るA/D変換器では、まず、第1放電回路13が第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷をそれぞれ初期値(ゼロ)まで放電する。第1放電回路13が放電動作を停止した後、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)は、既に説明した充電動作及び電荷出力動作を一定の期間Tsだけ周期的に反復する。これにより、第3キャパシタC3及ぼ第4キャパシタC4の電荷差ΔQSが増大するため、図9に示すように、信号合成部10Bの出力信号Voも増大する。なお、図9の例では出力信号Voが正側に増大しているが、入力アナログ信号Viが負極性の場合、出力信号Voは負側に増大する。
3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)は、電動作及び電荷出力動作を一定期間Tsだけ反復した後、充電動作及び電荷出力動作を停止する。第2放電回路25は、3つの方形波乗算部(UA1〜UA3)が充電動作及び電荷出力動作を停止した状態において、信号合成部10Bの第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4に蓄積される電荷を一定の電流で放電する。第2放電回路25の放電動作が始まると、信号合成部10Bの出力信号Voは図9において示すように一定の速度で低下する。
第2放電回路25の放電動作によって第3キャパシタC3及び第3キャパシタC3の電荷差ΔQSがゼロになり、信号合成部10Bの出力信号Voもゼロになると、第2比較器24の出力信号B2が「1」から「0」に変化する。第2デジタル値生成部27は、第2放電回路25による放電が開始した時刻tsから、第2比較器24の出力信号B2が「1」から「0」に変化する時刻t1,t2,t3までの間におけるカウンタ26の計数値を取得する。例えば、第2デジタル値生成部27は、時刻tsの前にカウンタ26の計数値を予めゼロにリセットし、時刻tsにおいてカウンタ26の計数動作を開始させる。そして、第2比較器24の出力信号B2が「1」から「0」若しくは「0」から「1」に変化する時刻においてカウンタ26の計数値を取得する。
図9において示すように、第2放電回路25による放電の開始時刻tsから、第2比較器24の出力信号B2が「1」から「0」に変化する時刻t1,t2,t3までの経過時間T1,T2,T3は、時刻tsにおける信号Voの大きさに比例しており、この信号Voの大きさは、入力アナログ信号Viに比例する。経過時間T1,T2,T3に対応するカウンタ26の計数値は、入力アナログ信号Viに比例した値を持つ。従って、第2デジタル値生成部27は、経過時間T1,T2,T3に対応するカウンタ26の計数値に基づいて、入力アナログ信号Viに対応する出力デジタル値Doを取得することができる。
以上説明した本実施形態に係るA/D変換器においても、第1の実施形態,第2の実施形態に係るA/D変換器と同様の効果を奏することができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態として、パイプライン型の変換方式を用いたA/D変換器の一例を説明する。
図10は、第4の実施形態に係るA/D変換器の構成の一例を示す図である。図10に示すA/D変換器は、入力アナログ信号Viに正弦波を乗算する正弦波乗算部30と、正弦波乗算部30から乗算結果として入力した信号V1に基づいて出力デジタル値Doを取得するデジタル値取得部20Cとを有する。
デジタル値取得部20Cは、図10の例において、n段の従属接続されたパイプライン段PS1,PS2,…,PSnと、パイプライン段PS1,PS2,…,PSnから出力される部分デジタル値PD1,PD2,…,PDnに基づいて出力デジタル値Doを生成する第3デジタル値生成部28を有する。
パイプライン段PS1,PS2,…,PSnは、初段のパイプライン段PS1において正弦波乗算部30の乗算結果の信号V1を入力し、2段目以降のパイプライン段PS2〜PSnでは前段から出力される信号(V2〜Vn)を入力する。
パイプライン段PSi(iは1からnまでの整数を示す。)は、入力信号Viのレベルに応じた部分デジタル値PDiを出力する。例えば、パイプライン段PSiは、フルスケールの半分に設定されたしきい値と信号Viとを比較し、当該比較結果に応じた1ビットの部分デジタル値PDiを出力する。また、パイプライン段PSiは、後述する正弦波乗算部30に含まれる方形波乗算部(UA1〜UA3)の電荷出力動作に同期して信号Viをサンプリングし、当該サンプリングした信号Viを所定の増幅率(例えば2倍)で増幅する。パイプライン段PSiは、部分デジタル値PDiに基づいて選択した基準信号(例えばフルスケールの半分又はゼロの何れか一方)を、当該増幅結果の信号から減算し、当該減算結果の信号を後段(パイプライン段PSi+1)に出力する。
パイプライン段PSiは、例えば差動型のスイッチトキャパシタ回路によって上記の信号処理を行う。
図11は、図10に示すA/D変換器における正弦波乗算部30の構成の一例を示す図である。図11に示す正弦波乗算部30は、入力アナログ信号Viが入力される第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2と、第1方形波乗算部UC1と、第2方形波乗算部UA2及びUA3と、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2と、信号合成部10Cとを有する。このうち、第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2、第2方形波乗算部UA2及びUA3、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2については、図5において既に説明した同一符号の構成要素と同じものである。
第1方形波乗算部UC1は、第1方形波乗算部UA1(図5)における第3スイッチ回路33を省略したものであり、他の構成は第1方形波乗算部UA1と同じである。
信号合成部10Cは、3つの方形波乗算部(UC1,UA2,UA3)から電荷出力動作によって出力される電荷の和に応じた信号を、電荷出力動作の度に生成する。例えば、信号合成部10Cは、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有しており、3つの方形波乗算部(UC1,UA2,UA3)から電荷出力動作により第1共通ノードN1へ出力される電荷を第3キャパシタC3に蓄積し、3つの方形波乗算部(UC1,UA2,UA3)から電荷出力動作により第2共通ノードN2へ出力される電荷を第4キャパシタC4に蓄積する。信号合成部10Cは、第3キャパシタC3の電荷と第4キャパシタC4の電荷との差(電荷差ΔQS)に応じた信号V1を出力する。また、信号合成部10Cは、信号V1を出力した後、3つの方形波乗算部(UC1,UA2,UA3)において次の電荷出力動作が行われる前に、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷を放電する。
図11に示す信号合成部10Cは、図8に示す信号合成部10Bにおける第4スイッチ回路12を省略したものであり、他の構成は図8に示す信号合成部10Bと同じである。
図12は、図11に示す正弦波乗算部30における各スイッチ素子の状態を示すタイミング図である。
図12において示すように、充電動作時には、放電回路13によって第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4が短絡される(スイッチ素子S15及びS16がオン)。そのため、演算増幅器11の負帰還動作により、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2の電位はほぼ等しくなる。第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2の電位を共通電位とすると、第1キャパシタC1には第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2の一方と共通電位との間に生じる電圧が印加され、第2キャパシタC2には第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2の他方と共通電位との間に生じる電圧が印加される。
また、電荷出力動作時には、図12において示すように、放電回路13による第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の短絡が解除され(スイッチ素子S15及びS16がオフ)、第2スイッチ回路32のスイッチ素子S5がオンする。この場合、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2に蓄積される電荷差は、第1共通ノードN1及び第1共通ノードN1を介して、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4に転送される。電力出力動作により3つの方形波乗算部(UC1,UA2,UA3)から第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4に転送される電荷差(ΔQ1,ΔQ2,ΔQ2)は、それぞれ式(5),(6),(7)で表わさる。第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷差ΔQSは、これらの電荷差の和として表わされる(ΔQS=ΔQ1+ΔQ2+ΔQ3)。
第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の静電容量は等しいため、演算増幅器11の出力信号Voは、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷差ΔQSに比例する。また、電荷差ΔQSは電荷差ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3の和であるため、式(5)〜(7)の関係から、電荷差ΔQSは入力信号Viに比例する。そのため、演算増幅器11の出力信号Voは入力信号Viにほぼ比例して増減する。
また、式(2),(3)の関係から、電荷差ΔQSに含まれる電荷差ΔQ1の高調波(第3次高調波、第5次高調波)の成分が除去される。そのため、演算増幅器11の出力信号Voにおいては、入力信号Viと正弦波(周波数fs)との積に応じた信号成分が支配的となり、入力信号Viと高調波(周波数3fs,5fs)との積に応じた信号成分が小さくなる。
信号合成部10Cの第1放電回路13は、充電動作時に第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4をそれぞれ短絡する(スイッチ素子S15及びS16がオンする)。そのため、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷差ΔQSは電荷出力動作の度に更新される。すなわち、信号合成部10Cは、入力アナログ信号Viと正弦波との乗算結果に応じた電荷差ΔQSを電荷出力動作の度に保持し、その電荷差ΔQSに応じた信号V1を出力する。従って、正弦波乗算部30は、周期Tごとに入力アナログ信号Viをサンプリングして保持するサンプルホールド回路としての機能も備える。
以上説明した本実施形態に係るA/D変換器においても、正弦波乗算部30において方形波乗算部(UA1〜UA3)の出力を加算することにより入力アナログ信号Viとの正弦波との乗算結果が得られる。そのため、第1の実施形態〜第3の実施形態に係るA/D変換器と同様の効果を奏することができる。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態として、パイプライン型の変換方式を用いたA/D変換器の他の一例を説明する。
本実施形態に係るA/D変換器は、図10に示すA/D変換器における正弦波乗算部30を正弦波乗算部30Dに変更したものであり、他の構成は図10に示すA/D変換器と同じである。
図13は、本実施形態に係るA/D変換器における正弦波乗算部30Dの構成の一例を示す図である。図13に示す正弦波乗算部30Dは、入力アナログ信号Viが入力される第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2と、入力アナログ信号Viに第1方形波W1を乗算する第1方形波乗算部UD1と、入力アナログ信号Viに第2方形波W2,W3を乗算する第2方形波乗算部UD2及びUD3と、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2と、第3共通ノードN3及び第4共通ノードN4と、第1方形波乗算部UD1及び第2方形波乗算部UD2,UD3の乗算結果の信号を合成する信号合成部10Dを有する。以下の説明では、第1方形波乗算部UD1及び第2方形波乗算部UD2,UD3を区別せずに「方形波乗算部UD」と記す場合がある。
方形波乗算部UDは、同じ静電容量を持つ2つのキャパシタ(第1キャパシタC1,第2キャパシタC2)を有しており、既に説明した方形波乗算部UAと同様に、充電動作及び電荷出力動作を一定の間隔で交互に反復する。充電動作において、方形波乗算部UDは、入力アナログ信号Viに応じた電荷をキャパシタ(C1,C2)に蓄積する。例えば、方形波乗算部UDは、充電動作においては、第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2の一方と第1共通ノードN1との間に生じる電圧を第1キャパシタC1に印加するとともに、第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2の他方と第2共通ノードN2との間に生じる電圧を第2キャパシタC2に印加する。
また、電荷出力動作において、方形波乗算部UDは、充電動作によりキャパシタ(C1,C2)に蓄積した電荷を信号合成部10Dへ出力する。例えば、方形波乗算部UDは、第1キャパシタC1を第1共通ノードN1と第3共通ノードN3との間に接続するとともに、第2キャパシタC2を第2共通ノードN2と第4共通ノードN4との間に接続する。
更に、方形波乗算部UDは、充電動作時における入力アナログ信号Viの極性と、電荷出力動作時に2つのキャパシタ(C1,C2)から信号合成部10Dへ出力する電荷の差の極性との関係を、方形波の1周期中における一方の半周期と他方の半周期とで反転する。例えば、方形波乗算部UDは、充電動作時における入力アナログ信号Viの極性と、充電動作時に第1キャパシタC1に蓄積される電荷より第2キャパシタC2に蓄積される電荷を引いた電荷差の極性との関係を、方形波の1周期中における一方の半周期と他方の半周期とで反転する。
方形波乗算部UDは、図13の例において、静電容量が等しい第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2と、第1スイッチ回路31と、第7スイッチ回路34と、第8スイッチ回路35を有する。このうち、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2と第1スイッチ回路31は、既に説明した図5における同一符号の構成要素と同じである。
第7スイッチ回路34は、第1キャパシタC1の他方の端子と第3共通ノードN3との間の経路に設けられ、方形波乗算部UDの充電動作においてオフし、電荷出力動作においてオンする。図13の例において、第7スイッチ回路34は、第1キャパシタC1の他方の端子と第3共通ノードN3との間に接続されたスイッチ素子S19を有する。
第8スイッチ回路35は、第2キャパシタC2の他方の端子と第4共通ノードN4との間の経路に設けられ、方形波乗算部UDの充電動作においてオフし、電荷出力動作においてオンする。図13の例において、第8スイッチ回路35は、第2キャパシタC2の他方の端子と第4共通ノードN4との間に接続されたスイッチ素子S20を有する。
第2方形波乗算部UD2及びUD3は、第1方形波乗算部UD1と同様の構成を有する。ただし、第1方形波乗算部UD1及び第2方形波乗算部UD2,UD3における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量は、既に説明した図5における方形波乗算部(UA1〜UA3)と同様に、第1方形波W1の高調波と第2方形波W2,W3の基本波とが同じ振幅を持つように設定される。
すなわち、第2方形波乗算部UD2におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量は、第1方形波乗算部UD1におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量に対して1/3に設定される。この静電容量の比は、第1方形波W1の基本波の振幅と、第2方形波W2の基本波と等しい周波数(3fs)を有する第1方形波W1の第3次高調波の振幅との比と同じである。また、第2方形波乗算部UD3におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量は、第1方形波乗算部UD1におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量に対して1/5に設定される。この静電容量の比は、第1方形波W1の基本波の振幅と、第2方形波W3の基本波と等しい周波数(5fs)を有する第1方形波W1の第5次高調波の振幅との比と同じである。
第1方形波乗算部UD1における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu1」、第2方形波乗算部UD2における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu2」、第2方形波乗算部UD3における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu3」とすると、これらの静電容量は、既に説明した式(1)に示す関係と等しくなる。
充電動作時に第1方形波乗算部UD1の第1キャパシタC1に蓄積される電荷より第2キャパシタC2に蓄積される電荷を減算した値である電荷差を「ΔQ1D」とし、この電荷差ΔQ1Dの中で、第1方形波W1の第3次高調波(周波数3fs)と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ1D(3fs)」と記す。また、電荷差ΔQ1Dの中で、第1方形波W1の第5次高調波(周波数5fs)と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ1D(5fs)」と記す。
他方、充電動作時に第2方形波乗算部UD2の第1キャパシタC1に蓄積される電荷より第2キャパシタC2に蓄積される電荷を減算した値である電荷差を「ΔQ2D」とし、この電荷差ΔQ2Dの中で、第2方形波W2の基本波(周波数3fs)と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ2D(3fs)」と記す。
また、充電動作時に第2方形波乗算部UD3の第1キャパシタC1に蓄積される電荷より第2キャパシタC2に蓄積される電荷を減算した値である電荷差を「ΔQ3D」とし、この電荷差ΔQ3Dの中で、第2方形波W3の基本波(周波数5fs)と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ2D(3fs)」と記す。
各方形波乗算部のキャパシタ(C1,C2)の静電容量が式(1)のように設定されることにより、上述した電荷差の成分には次の関係が成立する。
ΔQ1D(3fs) = −ΔQ2D(3fs) …(9)
ΔQ1D(5fs) = −ΔQ3D(5fs) …(10)
ただし、第1方形波W1と第2方形波W2との位相関係は、第1方形波W1の第3次高調波と第2方形波W2の基本波とが逆相となるように設定される。また、第1方形波W1と第2方形波W3の位相関係は、第1方形波W1の第5次高調波と第2方形波W3の基本波とが逆相となるように設定される。
式(9),(10)の関係が成立することから、充電動作時の電荷差ΔQ1D,ΔQ2D,ΔQ3Dが電荷出力動作時に信号合成部10Dで合成(加算)されることにより、第1方形波W1の第3次高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分ΔQ1D(3fs)は、第2方形波W2の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分ΔQ2D(3fs)により相殺される。また、第1方形波W1の第5次高調波と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分ΔQ1D(5fs)は、第2方形波W3の基本波と入力アナログ信号Viとの積に応じた成分ΔQ3D(5fs)によって相殺される。すなわち、第1方形波W1の第3次高調波及び第5次高調波に起因した信号成分は、第2方形波乗算部UD2,UD3から出力される信号成分との加算によって除去される。
信号合成部10Dは、第1共通ノードN1の電圧と第2共通ノードN2の電圧とが等しくなるように第3共通ノードN3の電圧及び第4共通ノードN4の電圧を調節する。信号合成部10Dは、この第3共通ノードN3と第4共通ノードN4との電圧差を、3つの方形波乗算部(UD1〜UD3)から電荷出力動作によって出力される電荷の和に応じた信号V1として出力する。
図13の例において、信号合成部10Dは、演算増幅器11と第9スイッチ回路14と第10スイッチ回路15を有する。
演算増幅器11は、第1共通ノードN1に接続された反転入力端子と第2共通ノードN2に接続された非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を、第3共通ノードN3に接続された非反転出力端子と第4共通ノードN4に接続された反転出力端子との電圧差、すなわち信号V1として出力する。
第9スイッチ回路14は、演算増幅器11の反転入力端子と非反転出力端子との間の経路に設けられ、方形波乗算部UDの充電動作においてオンし、電荷出力動作においてオフする。第9スイッチ回路14は、例えば図13において示すように、演算増幅器11の反転入力端子と非反転出力端子との間に接続されたスイッチ素子S21を有する。
第10スイッチ回路15は、演算増幅器11の非反転入力端子と反転出力端子との間の経路に設けられ、方形波乗算部UDの充電動作においてオンし、電荷出力動作においてオフする。第10スイッチ回路15は、例えば図13において示すように、演算増幅器11の非反転入力端子と反転出力端子との間に接続されたスイッチ素子S22を有する。
ここで、上述した構成を有する正弦波乗算部30Dの動作を説明する。
図14は、図13に示す正弦波乗算部30Dの充電動作時と電荷出力動作時における各スイッチ素子の状態を説明するための図である。図14Aは充電動作時のスイッチ素子の状態を示し、図14Bは電荷出力動作時のスイッチ素子の状態を示す。
なお、図14の例では第1方形波乗算部UD1のみを示しているが、第2方形波乗算部UD2,UD3についても、充電動作及び電荷出力動作において同様のスイッチ状態となる。
充電動作時には、図14Aにおいて示すように、第1キャパシタC1が第1入力端子Ti1と第1共通ノードN1の間に接続され、第2キャパシタC2が第2入力端子Ti2と第1共通ノードN1の間に接続される。このとき、第9スイッチ回路14及び第10スイッチ回路15がオンするため、演算増幅器11の負帰還動作により、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2の電圧はほぼ等しくなる。
第1入力端子Ti1の電圧から第2入力端子Ti2の電圧を引いた差の電圧を「Vi」、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「C」とする。この場合、充電動作時における第1方形波乗算部UD1の第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の電荷差ΔQ1D、第2方形波乗算部UD2の第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の電荷差ΔQ2D、第2方形波乗算部UD3の第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の電荷差ΔQ3Dは、それぞれ次の式で表わされる。
ΔQ1D = ±Vi×C …(11)
ΔQ2D = ±Vi×(C/3) …(12)
ΔQ3D = ±Vi×(C/5) …(13)
式(11)の右辺に示す正負の極性は、第1方形波W1(周波数fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。式(12)の右辺に示す正負の極性は、第2方形波W2(周波数3fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。また、式(13)の右辺に示す正負の極性は、第2方形波W3(周波数5fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。
電荷出力動作時には、図14Bにおいて示すように、第1キャパシタC1の他方の端子が第3共通ノードN3に接続される。これにより、第1方形波乗算部UD1の第1キャパシタC1は、第2方形波乗算部UD2の第1キャパシタC1及び第2方形波乗算部UD3の第1キャパシタC1とともに、第1共通ノードN1と第3共通ノードN3の間に並列接続される。充電動作時に3つの方形波乗算部(UD1〜UD3)の各第1キャパシタC1に蓄積された電荷は、電荷出力動作時にこれらの第1キャパシタC1が並列接続されることによって、直接合成される。
また、電荷出力動作時には、図14Bにおいて示すように、第2キャパシタC2の他方の端子が第4共通ノードN4に接続される。これにより、第1方形波乗算部UD1の第2キャパシタC2は、第2方形波乗算部UD2の第2キャパシタC2及び第2方形波乗算部UD3の第2キャパシタC2とともに、第2共通ノードN2と第4共通ノードN4の間に並列接続される。充電動作時に3つの方形波乗算部(UD1〜UD3)の各第2キャパシタC2に蓄積された電荷は、電荷出力動作時にこれらの第2キャパシタC2が並列接続されることによって、直接合成される。
電荷出力動作において3つの第1キャパシタC1が並列接続されることで合成された全電荷から、3つの第2キャパシタC2が並列接続されることで合成された全電荷を減算した値である電荷差を「ΔQSD」とすると、この電荷差ΔQSDは次の式で表わされる。
ΔQSD = ΔQ1D+ΔQ2D+ΔQ3D …(14)
電荷出力動作において並列接続される3つの第1キャパシタC1の合成静電容量と、3つの第2キャパシタC2の合成静電容量は略等しいため、演算増幅器11において出力される信号V1は、電荷差ΔQSDに比例する。また、式(14)において示すように、電荷差ΔQSDは電荷差ΔQ1D,ΔQ2D,ΔQ3Dの和であるため、式(11)〜(13)の関係から、電荷差ΔQSDは入力アナログ信号Viに比例する。そのため、演算増幅器11の出力信号Voは入力信号Viにほぼ比例して増減する。
更に、式(9),(10)の関係から、電荷差ΔQSDに含まれる電荷差ΔQ1Dの高調波(第3次高調波、第5次高調波)の成分が除去される。そのため、演算増幅器11において出力される信号V1においては、入力アナログ信号Viと正弦波(周波数fs)との積に応じた信号成分が支配的となり、入力アナログ信号Viと高調波(周波数3fs,5fs)との積に応じた信号成分が小さくなる。
図15は、図13に示す正弦波乗算部30Dにおける各スイッチ素子の状態を示すタイミング図である。
図15の例においては、図7の例と同様に、方形波乗算部UDの充電動作及び電荷出力動作が周期Tごとに1回ずつ行われる。第1方形波W1の1周期(1/fs)は、周期Tの60サイクル分(60T)に設定され、第2方形波W2の1周期(1/3fs)は周期Tの20サイクル分(20T)に設定され、第2方形波W3の1周期(1/5fs)は周期Tの12サイクル分(12T)に設定される。方形波乗算部UDにおける第1スイッチ回路31の各スイッチ素子(S1〜S4)のスイッチングパターンは、図7,図12に示す方形波乗算部UAのスイッチ素子(S1〜S4)のスイッチングパターンと同じである。
図15において示すように、第9スイッチ回路14及び第10スイッチ回路15のスイッチ素子(S21,S22)は充電動作時にオンし、電荷出力動作時にオフする。また、第7スイッチ回路34及び第8スイッチ回路35のスイッチ素子(S19,S20)は充電動作時にオフし、電荷出力動作時にオンする。これにより、3つの方形波乗算部(UD1〜UD3)は、充電動作の度に、入力アナログ信号Viに比例した電荷差(ΔQ1D,ΔQ2D,ΔQ3D)をサンプリングし、信号合成部10Dは、3つの方形波乗算部(UD1〜UD3)の電荷差(ΔQ1D,ΔQ2D,ΔQ3D)を電荷出力動作の度に合成して保持する。従って、正弦波乗算部30Dは、周期Tごとに入力アナログ信号Viをサンプリングして保持するサンプルホールド回路としての機能も備える。
以上説明した本実施形態に係るA/D変換器においても、正弦波乗算部30Dにおいて方形波乗算部(UD1〜UD3)の出力を加算することにより入力アナログ信号Viとの正弦波との乗算結果が得られる。そのため、第1の実施形態〜第4の実施形態に係るA/D変換器と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態に係るA/D変換器によれば、信号合成部10Dにおいて各方形波乗算部UDのキャパシタ(C1,C2)を並列接続することにより、これらのキャパシタに蓄積された電荷を直接合成していることから、演算増幅器11によるキャパシタ(C1,C2)の充放電電流がほとんど流れない。すなわち、演算増幅器11における電流駆動の速度が、信号合成部10Dにおける電荷の合成に大きな影響を与えない。これにより、演算増幅器11の速度に制限されることなく信号合成部10Dにおいて電荷の合成を高速に行うことが可能となることから、A/D変換の速度を高速化できる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、更に種々のバリエーションを含んでいる。
上述した各実施形態に係るA/D変換器では、方形波乗算部(U1〜U3,UA1〜UA3,UD1〜UD3)において入力アナログ信号Viを離散処理しているため、方形波乗算部の出力には、折り返し雑音(エイリアシングノイズ)を生じる可能性がある。そこで、上述した各実施形態に係るA/D変換器の入力側には、高周波成分を減衰させるローパスフィルタを設けてもよい。図16は、図4に示すA/D変換器の入力側に第1ローパスフィルタ40を設けた変形例を示す。
第1ローパスフィルタ40は、入力アナログ信号Viの離散処理による折り返し雑音を低減するためのものであり、方形波乗算部へ入力される入力アナログ信号Viの高周波成分を減衰させる。すなわち、第1ローパスフィルタ40は、入力アナログ信号Viに含まれたノイズ成分であって、充電動作が反復される周波数(1/T)に対して整数倍の周波数から入力アナログ信号Viの信号帯域へ折り返し雑音を生じ得るノイズ成分を減衰させる。これにより、入力アナログ信号Viが比較的周波数の高いノイズを含む場合であっても、入力アナログ信号Viの信号帯域における折り返し雑音を防止して、精度の高い乗算処理を行うことができる。
なお、上述した各実施形態に係るA/D変換器では、方形波乗算部(U1〜U3,UA1〜UA3,UD1〜UD3)の出力を合成することによって、第1方形波W1の第3次高調波と第5次高調波に起因する成分(高調波×入力アナログ信号Vi)が相殺される。しかしながら、第1方形波W1には他にも相殺されない高調波が存在するため、入力アナログ信号Viに周波数の高いノイズが含まれている場合、それらの高調波に起因する成分が信号合成部(10,10A,10D)の出力に残存することとなる。特に、第5次高調波の次に振幅が大きい第7次高調波は、乗算結果の精度に影響を与える可能性がある。
また、図3において示すように、第2方形波W2,W3(図3B,図3C)は、基本波だけでなく、その高調波も第1方形波W1(図3A)の一部の高調波と等しくなる。図3の例では、第2方形波W2の第3次高調波,第5次高調波と、第1方形波W1の第9次高調波,第15次高調波とが等しくなる。更に、第2方形波W3の第3次高調波と、第1方形波W1の第15次高調波とが等しくなる。従って、第1方形波W1の第15次高調波は、第2方形波W2と第2方形波W3の両方で減算されることになるため、誤差の原因となる。
第1ローパスフィルタ40は、入力アナログ信号Viの高周波成分を方形波乗算部(U1〜U3,UA1〜U3,UD1〜UD3)に入力する前に減衰させることで、上述した高調波と入力信号Viとの積による誤差の影響を低減させることができる。精度に影響を与える可能性がある最も低い高調波は第1方形波W1の第7次高調波(周波数7fs)であるため、第1ローパスフィルタ30の周波数特性は、例えば周波数7fsより高い周波数の成分が乗算精度へ影響を与えない程度まで減衰するように設定される。
また、本実施形態に係るA/D変換器では、入力アナログ信号Viと正弦波(周波数fs)との乗算結果に応じた出力デジタル値Doが得られる。そのため、入力アナログ信号Viに周波数fsの信号成分が存在する場合、出力デジタル値Doには、その信号成分の振幅に比例した直流成分と、正弦波に対して2倍の周波数(2fs)を持つ成分が含まれる。従って、入力アナログ信号Viに含まれる周波数fsの信号成分のみを抽出する回路(狭帯域バンドパスフィルタ回路)としてA/D変換器を使用する場合は、正弦波の2倍の周波数(2fs)を持つ成分を除去し、直流成分を抽出できるローパスフィルタを設けることが望ましい。図17は、図16に示すA/D変換器において出力デジタル値Doに含まれる直流成分DoAを抽出するための第2ローパスフィルタ50を設けた変形例を示す。第2ローパスフィルタ50は、出力デジタル値Doを更に離散処理するデジタルフィルタによって構成してもよいし、デジタル値取得部20にローパスフィルタの機能を持たせることによって直流成分DoAを抽出するようにしてもよい。
図4に示すA/D変換器では、第2方形波乗算部U2,U3において入力アナログ信号Viに乗算する第2方形波W2,W3の基本波の位相を第1方形波W1における高調波の位相に対して逆にしているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、例えば図18において示すように、第2方形波乗算部U2,U3において入力アナログ信号Viに乗算する第2方形波W2,W3の基本波の位相を第1方形波W1における高調波の位相と同相となるようにしてもよい。この場合、信号合成部10では、第1方形波乗算部U1の出力信号Qu1から第2方形波乗算部U2,U3の出力信号Qu2,Qu3を減算するように信号の合成することで、図4に示すA/D変換器と同様に高調波成分を相殺することができる。
上述した実施形態では、第1方形波W1における第3次高調波及び第5次高調波に対応した信号成分を第2方形波W2,W3の基本波に対応した信号成分により相殺しているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、更に周波数の高い高調波に対応した信号成分を相殺できるように、方形波乗算部の数を3以上としてもよい。
上述した第2の実施形態〜第5の実施形態では、入力アナログ信号Viが差動信号であり、差動信号に応じた電荷差を信号合成部(10A〜10D)において加算しているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、グランドを基準としたシングルエンド信号を入力アナログ信号として入力し、この入力アナログ信号に応じた電荷を信号合成部において加算してもよい。その場合、方形波乗算部では、充電動作時における入力アナログ信号の極性と、電荷出力動作時にキャパシタから信号合成部へ出力する電荷の極性との関係を、方形波の1周期における一方の半周期と他方の半周期とで反転させることにより、入力アナログ信号と方形波との乗算処理を行ってもよい。
上述した実施形態では、方形波の乗算処理や乗算結果の合成処理をアナログ回路で行っているが、本発明の他の実施形態では、これらの信号処理をデジタル信号処理で行ってもよい。
10,10A,10B,10C,10D…信号合成部、11…演算増幅器、12…第4スイッチ回路、13…第1放電回路、14…第9スイッチ回路、15…第10スイッチ回路、20,20A,20B,20C…デジタル値取得部、21…第1比較部、22…電荷生成部、221…第5スイッチ回路、222…電圧供給回路、23…第1デジタル値生成部、24…第2比較器、25…第2放電回路、251…第6スイッチ回路、26…カウンタ、27…第2デジタル値生成部、28…第3デジタル値生成部、30,30D…正弦波乗算部、31…第1スイッチ回路、32…第2スイッチ回路、33…第3スイッチ回路、34…第7スイッチ回路、35…第8スイッチ回路、40…第1ローパスフィルタ、50…第2ローパスフィルタ、U1〜U3,UA1〜UA3,UD1〜UD3…方形波乗算部、C1…第1キャパシタ、C2…第2キャパシタ、C3…第3キャパシタ、C4…第4キャパシタ、C5…第5キャパシタ、C6…第6キャパシタ、PS1〜PSn…パイプライン段、S1〜S22…スイッチ素子、R1…第1抵抗、R2…第2抵抗、Ti1…第1入力端子、Ti2…第2入力端子、N1…第1共通ノード、N2…第2共通ノード、N3…第3共通ノード、N4…第4共通ノード、Vi…入力アナログ信号、Do…出力デジタル値、PD…部分デジタル値、Vref…基準電位

Claims (19)

  1. 入力アナログ信号と所定の周波数の正弦波とを乗算し、当該乗算結果の信号を出力デジタル値に変換するアナログ−デジタル変換器であって、
    それぞれ異なる周波数の方形波を前記入力アナログ信号に乗算する複数の方形波乗算部と、
    前記複数の方形波乗算部における乗算結果の信号を合成する信号合成部と、
    前記信号合成部の合成結果を示す信号に基づいて前記出力デジタル値を取得するデジタル値取得部とを備え、
    前記方形波は、最も周波数が低い正弦波である基本波と、前記基本波に対してそれぞれ整数倍の周波数を持つ正弦波である複数の高調波との和として近似可能であり、
    前記複数の方形波乗算部は、1つの第1方形波乗算部と1つ又は複数の第2方形波乗算部とを含み、
    前記第1方形波乗算部は、前記所定の周波数の正弦波を前記基本波とする第1方形波を前記入力アナログ信号に乗算し、
    前記第2方形波乗算部は、前記第1方形波に含まれる1つの前記高調波と等しい正弦波若しくは当該1つの高調波の位相を反転させた正弦波を前記基本波とする第2方形波を前記入力アナログ信号に乗算し、
    前記信号合成部は、前記第1方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第1方形波の少なくとも1つの前記高調波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分を、前記第2方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第2方形波の前記基本波と前記入力アナログ信号との積に応じた信号成分によって相殺し、
    前記方形波乗算部は、少なくとも1つのキャパシタを有しており、前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期と他方の半周期のそれぞれにおいて、前記入力アナログ信号に応じた電荷を前記キャパシタに蓄積する充電動作と、前記充電動作により前記キャパシタに蓄積した電荷を前記信号合成部へ出力する電荷出力動作とを所定の間隔で交互に反復し、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に1つの前記キャパシタから前記信号合成部へ出力する電荷の極性若しくは前記電荷出力動作時に2つの前記キャパシタから前記信号合成部へ出力する電荷の差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転し、
    前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により出力される電荷を合成し、
    前記デジタル値取得部は、前記信号合成部において合成された前記複数の方形波乗算部からの電荷に基づいて前記出力デジタル値を取得する
    ことを特徴とするアナログーデジタル変換器。
  2. 前記第1方形波乗算部が前記充電動作において電荷を蓄積する前記キャパシタの静電容量と、1つの前記第2方形波乗算部が前記充電動作において電荷を蓄積する前記キャパシタの静電容量との比が、前記第1方形波の基本波の振幅と、当該1つの第2方形波乗算部における前記第2方形波の基本波と等しい周波数を有する前記第1方形波の高調波の振幅との比に応じた値を有する
    ことを特徴とする請求項に記載のアナログ−デジタル変換器。
  3. 前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作によって繰り返し出力される電荷を蓄積する少なくとも1つのキャパシタを有しており、当該キャパシタが蓄積する電荷に応じた信号を出力し、
    前記デジタル値取得部は、
    前記信号合成部の合成結果を示す信号と基準値とを比較し、当該比較結果を示す信号
    を出力する第1比較器と、
    前記第1比較器の出力信号に応じた電荷を生成し、前記複数の方形波乗算部の前記電荷出力動作に同期したタイミングで当該電荷を前記信号合成部に出力する電荷生成部と、
    前記第1比較器の出力信号に基づいて前記出力デジタル値を生成する第1デジタル値生成部とを有する
    ことを特徴とする請求項又はに記載のアナログ−デジタル変換器。
  4. 前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、
    前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備え、
    前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有しており、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と共通電位との間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記共通電位との間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの一方に蓄積される電荷を前記第1共通ノードへ出力するとともに、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの他方に蓄積される電荷を前記第2共通ノードへ出力し、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1共通ノードへ出力する電荷から前記第2共通ノードへ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転し、
    前記信号合成部は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有しており、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第1共通ノードへ出力される電荷を前記第3キャパシタに蓄積し、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第2共通ノードへ出力される電荷を前記第4キャパシタに蓄積し、前記第3キャパシタの電荷と前記第4キャパシタの電荷との差に応じた信号を出力し、
    前記電荷生成部は、前記複数の方形波乗算部の前記電荷出力動作に同期したタイミングで前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードにそれぞれ電荷を出力するとともに、前記第1共通ノードに出力する電荷から前記第2共通ノードに出力する電荷を引いた電荷差を、前記第1比較器の出力信号に応じた値に設定する
    ことを特徴とする請求項に記載のアナログ−デジタル変換器。
  5. 前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、
    前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備え、
    前記方形波乗算部は、
    一端が前記第1共通ノードに接続された第1キャパシタと、
    一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1キャパシタと同じ静電容量を持つ第2キャパシタと、
    前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、
    前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第2スイッチ回路と、
    前記充電動作において前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを前記共通電位に接続し、前記電荷出力動作において前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを前記共通電位から切り離す第3スイッチ回路とを有し、
    前記信号合成部は、
    反転入力端子と非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、
    前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられた第3キャパシタと、
    前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられ、前記第3キャパシタと同じ静電容量を持つ第4キャパシタと、
    前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合、前記第1共通ノードを前記演算増幅器の前記反転入力端子から切り離すとともに前記第2共通ノードを前記演算増幅器の前記非反転入力端子から切り離し、前記複数の方形波演算部が前記電荷出力動作を行う場合、前記第1共通ノードを前記演算増幅器の前記反転入力端子に接続するとともに前記第2共通ノードを前記演算増幅器の前記非反転入力端子に接続する第4スイッチ回路とを有し、
    前記電荷生成部は、前記複数の方形波乗算部の前記電荷出力動作に同期したタイミングで前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードにそれぞれ電荷を出力するとともに、前記第1共通ノードに出力する電荷から前記第2共通ノードに出力する電荷を引いた電荷差を、前記第1比較器の出力信号に応じた値に設定する
    ことを特徴とする請求項に記載のアナログ−デジタル変換器。
  6. 前記第1比較器は、前記演算増幅器の前記反転出力端子の電圧と前記非反転出力端子の電圧との比較を示す信号を出力し、
    前記電荷生成部は、
    一端が前記第1共通ノードに接続された第5キャパシタと、
    一端が前記第2共通ノードに接続された第6キャパシタと、
    前記第5キャパシタの他端と前記第6キャパシタの他端との間の経路に設けられ、前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合にオフし、前記複数の方形波乗算部が前記電荷出力動作を行う場合にオンする第5スイッチ回路と、
    前記複数の方形波乗算部の前記充電動作に同期したタイミングで前記第5キャパシタの他端と前記第6キャパシタの他端にそれぞれ電圧を供給するとともに、前記第1比較器の出力信号に応じて、前記第5キャパシタの前記他端を前記第6キャパシタの前記他端より所定の電圧だけ高い電圧に設定するか、または、前記第6キャパシタの前記他端を前記第5キャパシタの前記他端より前記所定の電圧だけ高い電圧に設定する電圧供給回路とを含む
    ことを特徴とする請求項に記載のアナログ−デジタル変換器。
  7. 前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作によって繰り返し出力される電荷を蓄積する少なくとも1つのキャパシタと、当該キャパシタの電荷を放電する第1放電回路とを有しており、当該キャパシタが蓄積する電荷に応じた信号を出力し、
    前記デジタル値取得部は、
    前記信号合成部の合成結果を示す信号と基準値との比較に基づいて、前記信号生成部のキャパシタに蓄積される電荷が所定の初期値と等しくなるタイミングを示す信号を出力する第2比較器と、
    前記信号合成部のキャパシタに蓄積される電荷を一定の電流で放電する第2放電回路と、
    入力されるクロック信号を計数するカウンタと、
    前記カウンタの計数値を取得し、当該取得した計数値に基づいて前記出力デジタル値を生成する第2デジタル値生成部とを有し、
    前記第1放電回路は、前記信号合成部のキャパシタに蓄積される電荷を前記初期値まで放電し、
    前記複数の方形波乗算部は、前記第1放電回路による前記放電の後、前記充電動作と前記電荷出力動作とを一定の期間だけ反復し、
    前記第2放電回路は、前記一定の期間の後、前記複数の方形波乗算部が前記充電動作及び前記電荷出力動作を停止した状態において前記信号合成部のキャパシタに蓄積される電荷を前記一定の電流で放電し、
    前記第2デジタル値生成部は、前記第2放電回路による前記放電が開始した時点から、前記信号合成部のキャパシタに蓄積される電荷が前記初期値と等しくなるタイミングを示す信号が前記第2比較器において出力される時点までの間における前記カウンタの計数値を取得する
    ことを特徴とする請求項又はに記載のアナログ−デジタル変換器。
  8. 前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、
    前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備え、
    前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有しており、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と共通電位との間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記共通電位との間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの一方に蓄積される電荷を前記第1共通ノードへ出力するとともに、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの他方に蓄積される電荷を前記第2共通ノードへ出力し、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1共通ノードへ出力する電荷から前記第2共通ノードへ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転し、
    前記信号合成部は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有しており、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第1共通ノードへ出力される電荷を前記第3キャパシタに蓄積し、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第2共通ノードへ出力される電荷を前記第4キャパシタに蓄積し、
    前記第1放電回路は、前記第3キャパシタの電荷及び前記第4キャパシタの電荷をそれぞれ放電し、
    前記第2放電回路は、前記第3キャパシタの電荷及び前記第4キャパシタの電荷をそれぞれ前記一定の電流で放電する
    ことを特徴とする請求項に記載のアナログ−デジタル変換器。
  9. 前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、
    前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備え、
    前記方形波乗算部は、
    一端が前記第1共通ノードに接続された第1キャパシタと、
    一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1キャパシタと同じ静電容量を持つ第2キャパシタと、
    前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、
    前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第2スイッチ回路と、
    前記充電動作において前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを前記共通電位に接続し、前記電荷出力動作において前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードを前記共通電位から切り離す第3スイッチ回路とを有し、
    前記信号合成部は、
    反転入力端子と非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、
    前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられた第3キャパシタと、
    前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられ、前記第3キャパシタと同じ静電容量を持つ第4キャパシタと、
    前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合、前記第1共通ノードを前記演算増幅器の前記反転入力端子から切り離すとともに前記第2共通ノードを前記演算増幅器の前記非反転入力端子から切り離し、前記複数の方形波演算部が前記電荷出力動作を行う場合、前記第1共通ノードを前記演算増幅器の前記反転入力端子に接続するとともに前記第2共通ノードを前記演算増幅器の前記非反転入力端子に接続する第4スイッチ回路とを有し、
    前記第1放電回路は、前記第3キャパシタの電荷及び前記第4キャパシタの電荷をそれぞれ放電し、
    前記第2放電回路は、前記第3キャパシタの電荷及び前記第4キャパシタの電荷をそれぞれ前記一定の電流で放電する
    ことを特徴とする請求項に記載のアナログーデジタル変換器。
  10. 前記第2放電回路は、
    一端が前記第1共通ノードに接続された第1抵抗と、
    一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1抵抗と同じ抵抗値を持つ第2抵抗と、
    放電動作時に前記第1抵抗の他端及び前記第2抵抗の他端を基準電位に接続する第6スイッチ回路とを含む
    ことを特徴とする請求項に記載のアナログ−デジタル変換器。
  11. 前記複数の方形波演算部の少なくとも一部が前記第3スイッチ回路を共有する
    ことを特徴とする請求項及び10の何れか1つに記載のアナログ−デジタル変換器。
  12. 前記信号合成部は、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作によって出力される電荷の和に応じた信号を、前記電荷出力動作の度に生成し、
    前記デジタル値取得部は、
    前記信号合成部において生成された信号を初段において入力し、前記初段より後の段では前段から出力される信号を入力し、当該入力した信号のレベルに応じた部分デジタル値をそれぞれ出力する複数の従属接続されたパイプライン段と、
    前記複数のパイプライン段からそれぞれ出力される前記部分デジタル値に基づいて前記出力デジタル値を生成する第3デジタル値生成部とを含み、
    前記パイプライン段は、前記複数の方形波乗算部における前記電荷出力動作に同期して、前記信号合成部若しくは前段のパイプライン段から入力した信号をサンプリングし、当該サンプリングした信号を所定の増幅率で増幅し、前記部分デジタル値に基づいて選択した基準信号を当該増幅した信号から減算し、当該減算結果の信号を後段に出力する
    ことを特徴とする請求項又はに記載のアナログ−デジタル変換器。
  13. 前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、 前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備え、
    前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有しており、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と共通電位との間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記共通電位との間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの一方に蓄積される電荷を前記第1共通ノードへ出力するとともに、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの他方に蓄積される電荷を前記第2共通ノードへ出力し、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1共通ノードへ出力する電荷から前記第2共通ノードへ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転し、
    前記信号合成部は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有しており、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第1共通ノードへ出力される電荷を前記第3キャパシタに蓄積し、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第2共通ノードへ出力される電荷を前記第4キャパシタに蓄積し、前記第3キャパシタの電荷と前記第4キャパシタの電荷との差に応じた信号を出力し、当該信号の出力後、前記複数の方形波乗算部において次の前記電荷出力動作が行われる前に前記第3キャパシタ及び前記第4キャパシタの電荷を放電する
    ことを特徴とする請求項12に記載のアナログ−デジタル変換器。
  14. 前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、
    前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードとを備え、
    前記方形波乗算部は、
    一端が前記第1共通ノードに接続された第1キャパシタと、
    一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1キャパシタと同じ静電容量を持つ第2キャパシタと、
    前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、
    前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第2スイッチ回路とを有し、
    前記信号合成部は、
    前記第1共通ノードに接続された反転入力端子と前記第2共通ノードに接続された非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、
    前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられた第3キャパシタと、
    前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられ、前記第3キャパシタと同じ静電容量を持つ第4キャパシタと、
    前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合、前記第3キャパシタ及び前記第4キャパシタをそれぞれ短絡し、前記複数の方形波乗算部が前記電荷出力動作を行う場合、当該短絡を解除する第1放電回路とを有する
    ことを特徴とする請求項12に記載のアナログ−デジタル変換器。
  15. 前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、
    前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード、第2共通ノード、第3共通ノード及び第4共通ノードとを備え、
    前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有しており、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と前記第1共通ノードとの間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記第2共通ノードとの間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタを前記第1共通ノードと前記第3共通ノードとの間に接続するとともに、前記第2キャパシタを前記第2共通ノードと前記第4共通ノードとの間に接続し、前記充電動作時における前記入力アナログ信号の極性と、前記充電動作時に前記第1キャパシタに蓄積される電荷より前記第2キャパシタに蓄積される電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転し、
    前記信号合成部は、前記第1共通ノードの電圧と前記第2共通ノードの電圧とが等しくなるように前記第3共通ノードの電圧及び前記第4共通ノードの電圧を調節し、前記第3共通ノードと前記第4共通ノードとの電圧差を、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作によって出力される電荷の和に応じた信号として出力する
    ことを特徴とする請求項12に記載のアナログ−デジタル変換器。
  16. 前記入力アナログ信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、
    前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード、第2共通ノード、第3共通ノード及び第4共通ノードとを備え、
    前記方形波乗算部は、
    一端が前記第1共通ノードに接続された第1キャパシタと、
    一端が前記第2共通ノードに接続され、前記第1キャパシタと同じ静電容量を持つ第2キャパシタと、
    前記入力アナログ信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、
    前記第1キャパシタの前記他端と前記第3共通ノードとの間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第7スイッチ回路と、
    前記第2キャパシタの前記他端と前記第4共通ノードとの間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第8スイッチ回路とを有し、
    前記信号合成部は、
    前記第1共通ノードに接続された反転入力端子と前記第2共通ノードに接続された非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を、前記第3共通ノードに接続された非反転出力端子と前記第4共通ノードに接続された反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、
    前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオンし、前記電荷出力動作においてオフする第9スイッチ回路と、
    前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオンし、前記電荷出力動作においてオフする第10スイッチ回路とを有する
    ことを特徴とする請求項12に記載のアナログ−デジタル変換器。
  17. 前記入力アナログ信号に含まれたノイズ成分であって、前記充電動作が反復される周波数に対して整数倍の周波数から前記入力信号の信号帯域へ折り返し雑音を生じ得る前記ノイズ成分を減衰させる第1ローパスフィルタを有する
    ことを特徴とする請求項乃至16の何れか一項に記載のアナログ−デジタル変換器。
  18. 前記第1方形波に含まれる前記高調波の中で、周波数が低い順における1番目からN番目までの前記高調波に対応したNパターンの前記第2方形波を前記入力信号に乗算するN個の前記方形波乗算部を有し、
    前記第1ローパスフィルタは、前記第1方形波に含まれる前記高調波であって、前記周波数が低い順における(N+1)番目以降の前記高調波に相当する周波数を持つ前記入力信号のノイズ成分を減衰させる
    ことを特徴とする請求項17に記載のアナログ−デジタル変換器。
  19. 前記出力デジタル値に含まれる直流成分を抽出する第2ローパスフィルタを有する
    ことを特徴とする請求項1乃至18の何れか一項に記載のアナログ−デジタル変換器。
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