JP6419674B2 - 正弦波乗算装置とこれを有する入力装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入力信号に正弦波を乗算する正弦波乗算装置とこれを有する入力装置に関するものである。
入力信号に正弦波を乗算する場合、ギルバートセルなどのアナログ乗算器を用いる方法が一般的に用いられている(下記特許文献1を参照)。
特開2000−315919号公報
ギルバートセル型のアナログ乗算器は、例えば上記特許文献1の図1で示されるような構成で実用化されている。ギルバートセルをバイポーラトランジスタで構成した場合、特許文献1の式(14)や式(20)で示されるように、乗算結果には熱電圧VTが係数として含まれる。熱電圧VTは「k・T/q」で表わされ、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の素電荷である。従って、ギルバートセルの乗算結果すなわち出力電圧は、温度に応じて変化してしまう。このことは、MOSトランジスタで構成される他のアナログ乗算器においても同様である。また、アナログ乗算器では、トランジスタの入出力特性の非線形性により、乗算精度を確保するには入力電圧の範囲を制限する必要がある。このようなことから、例えば静電容量方式の入力装置においてアナログ乗算器を用いる場合、信号のダイナミックレンジの確保や温度による変動が課題となっている。
また、アナログ乗算器を用いて正弦波の乗算を行う場合には、正弦波を別途発生させる必要がある。従って、例えば入力信号に正弦波を乗算することで高精度な信号抽出を行うためには、高精度な正弦波を発生させる必要があるため、正弦波発生用の回路規模が大きくなり、消費電力が増大するという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で入力信号のレベルの範囲が広く、温度による特性の変動が少ない正弦波乗算装置を提供することにある。
本発明の第1の観点は、所定の周波数の正弦波を入力信号に乗算する正弦波乗算装置に関する。この正弦波乗算装置は、前記入力信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、それぞれ異なる周波数の方形波を前記入力信号に乗算する複数の方形波乗算部と、前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードと、前記複数の方形波乗算部における乗算結果の信号を合成する信号合成部とを備える。前記方形波は、最も周波数が低い正弦波である基本波と、前記基本波に対してそれぞれ整数倍の周波数を持つ正弦波である複数の高調波との和として近似可能である。前記複数の方形波乗算部は、前記所定の周波数の正弦波を前記基本波とする第1方形波を前記入力信号に乗算する1つの第1方形波乗算部と、前記第1方形波に含まれる1つの前記高調波と等しい正弦波若しくは当該1つの高調波の位相を反転させた正弦波を前記基本波とする第2方形波を前記入力信号に乗算する1つ又は複数の第2方形波乗算部とを有する。前記信号合成部は、前記第1方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第1方形波の少なくとも1つの前記高調波と前記入力信号との積に応じた信号成分を、前記第2方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第2方形波の前記基本波と前記入力信号との積に応じた信号成分によって相殺する。個々の前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有しており、前記入力信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期と他方の半周期のそれぞれにおいて充電動作と電荷出力動作とを所定の間隔で交互に反復し、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と共通電位との間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記共通電位との間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの一方に蓄積される電荷を前記第1共通ノードへ出力するとともに、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの他方に蓄積される電荷を前記第2共通ノードへ出力し、前記充電動作時における前記入力信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1共通ノードへ出力する電荷から前記第2共通ノードへ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転する。前記信号合成部は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有しており、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第1共通ノードへ出力される電荷を前記第3キャパシタに蓄積し、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第2共通ノードへ出力される電荷を前記第4キャパシタに蓄積し、前記第3キャパシタの電荷と前記第4キャパシタの電荷との差に応じた信号を出力し、当該信号の出力後、前記複数の方形波乗算部において次の前記電荷出力動作が行われる前に前記第3キャパシタ及び前記第4キャパシタの電荷を放電する。
上記の構成によれば、前記第1方形波乗算部の出力信号に含まれる前記第1方形波の少なくとも1つの前記高調波と前記入力信号との積に応じた信号成分が、前記第2方形波乗算部の出力信号に含まれる前記第2方形波の前記基本波と前記入力信号との積に応じた信号成分によって相殺される。そのため、前記信号合成部の合成結果の信号においては、前記第1方形波の前記高調波と前記入力信号との積に応じた信号成分が低減し、前記第1方形波の前記基本波(前記所定の周波数の正弦波)と前記入力信号との積に応じた信号成分が支配的な成分となる。
上記正弦波乗算装置では、前記方形波乗算部を用いて正弦波(前記第1方形波の前記基本波)と前記入力信号との乗算を行うため、アナログ乗算器のようにトランジスタの温度特性の影響を受け難くなり、温度による特性の変動が少ない。また、前記方形波乗算部を用いることによって、アナログ乗算器のようにトランジスタの入出力非線形特性の影響を受け難くなるため、入力信号のレベルの範囲が広くなる。
更に、上記正弦波乗算装置では、前記方形波乗算部を用いることによって正弦波発生器を省略できることから、回路構成が簡易となる。
また、上記の構成によれば、前記複数の方形波乗算部において、前記入力信号に応じた電荷の差に基づいて前記入力信号と前記方形波との乗算が行われ、この乗算結果の信号として得られる電荷の差が前記信号合成部において合成される。そのため、同相ノイズが除去され易くなり、耐ノイズ性が向上する。
好適に、前記第1方形波乗算部における前記第1キャパシタの静電容量と、1つの前記第2方形波乗算部における前記第1キャパシタの静電容量との比が、前記第1方形波の基本波の振幅と、当該1つの第2方形波乗算部における前記第2方形波の基本波と等しい周波数を有する前記第1方形波の高調波の振幅との比に応じた値を有してよい。
上記の構成によれば、前記第1方形波乗算部のキャパシタと前記第2方形波乗算部のキャパシタとの静電容量比に基づいて、前記第1方形波の高調波と前記入力信号との積に応じた信号成分と、前記第2方形波の基本波と前記入力信号との積に応じた信号成分とを相殺することが可能となる。キャパシタの静電容量比は、温度や製造プロセスによるばらつきの影響を受け難いため、上記信号成分の相殺を精度よく行うことが可能となる。
好適に、前記方形波乗算部は、一端が前記第1共通ノードに接続された前記第1キャパシタと、一端が前記第2共通ノードに接続された前記第2キャパシタと、前記入力信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第2スイッチ回路とを有してよい。前記信号合成部は、前記第1共通ノードに接続された反転入力端子と前記第2共通ノードに接続された非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられた前記第3キャパシタと、前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられた前記第4キャパシタと、前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合、前記第3キャパシタ及び前記第4キャパシタをそれぞれ短絡し、前記複数の方形波乗算部が前記電荷出力動作を行う場合、当該短絡を解除する放電回路とを有してよい。
好適に、本発明の第1の観点に係る正弦波乗算装置は、前記複数の方形波乗算部に入力される前記入力信号に含まれたノイズ成分であって、前記充電動作が反復される周波数に対して整数倍の周波数から前記入力信号の信号帯域へ折り返し雑音を生じ得る前記ノイズ成分を減衰させる第1ローパスフィルタを有してよい。
これにより、前記信号合成部において生成される信号中の前記折り返し雑音が低減する。
好適に、本発明の第1の観点に係る正弦波乗算装置は、前記第1方形波に含まれる前記高調波の中で、周波数が低い順における1番目からN番目までの前記高調波に対応したNパターンの前記第2方形波を前記入力信号に乗算するN個の前記方形波乗算部を有してよい。この場合、前記第1ローパスフィルタは、前記第1方形波に含まれる前記高調波であって、前記周波数が低い順における(N+1)番目以降の前記高調波に相当する周波数を持つ前記入力信号のノイズ成分を減衰させてよい。
これにより、前記入力信号のノイズ成分と前記第1方形波に含まれる前記高調波との積に応じた直流成分が前記信号合成部の合成結果の信号に混入され難くなる。
好適に、本発明の第1の観点に係る正弦波乗算装置は、前記信号合成部の合成結果の信号に含まれる直流成分を抽出する第2ローパスフィルタを有してよい。
これにより、前記入力信号に含まれる前記正弦波の周波数成分の振幅に応じた直流成分が抽出される。
好適に、本発明の第1の観点に係る正弦波乗算装置は、前記第1方形波に含まれる前記高調波の中で、周波数が低い順における1番目からN番目までの前記高調波に対応したNパターンの前記第2方形波を前記入力信号に乗算するN個の前記方形波乗算部と、前記信号合成部の合成結果の信号から、前記第1方形波に含まれる前記高調波であって、前記周波数が低い順における(N+1)番目以降の前記高調波に相当する周波数を持つ成分を減衰させる第3ローパスフィルタとを有してよく、前記入力信号が直流信号でよい。
これにより、前記信号合成部の合成結果の信号として正弦波が得られるとともに、当該合成結果の信号に含まれる前記第1方形波の高調波が低減する。
本発明の第2の観点に係る入力装置は、物体の近接に応じた情報を入力する入力装置であって、前記物体の近接に応じて静電容量が変化するセンサ素子を含んだセンサ部と、所定の周波数の正弦波を直流信号に乗算し、当該乗算の結果として前記所定の周波数の第1正弦波を出力する第1正弦波乗算部と、前記第1正弦波に応じた正弦波の駆動電圧を前記センサ素子に印加し、前記駆動電圧の印加によって前記センサ素子に流れる電流に応じた検出信号を生成する検出信号生成部と、前記所定の周波数の第2正弦波を前記検出信号に乗算する第2正弦波乗算部と、前記第2正弦波乗算部の乗算結果の信号から直流成分を抽出するローパスフィルタとを備える。前記第1正弦波乗算部及び前記第2正弦波乗算部は、上記第1の観点に係る正弦波乗算装置である。
本発明によれば、簡易な構成でありながら、入力信号のレベルの範囲を広げることができ、温度による特性の変動を低減できる。
入力信号に方形波を乗算する回路の構成例を示す図である。図1Aはブロック図を示し、図1Bは回路構成の一例を示す。 正弦波と方形波の周波数成分を示す図である。図2Aは方形波の周波数成分を示し、図2Bは方形波の周波数成分を示す。 方形波の周波数成分を示す図である。図3Aは、所定の周波数を有する方形波の周波数成分を示し、図3B及び図3Cは、図3Aの方形波の高調波と等しい基本波を含んだ方形波の周波数成分を示す。 第1の実施形態に係る正弦波乗算装置の構成の一例を示す図である。 第2の実施形態に係る正弦波乗算装置の構成の一例を示す図である。 充電動作時と電荷出力動作時における各スイッチ素子の状態を説明するための図である。図6Aは充電動作時のスイッチ素子の状態を示し、図6Bは電荷出力動作時のスイッチ素子の状態を示す。 第2の実施形態に係る正弦波乗算装置における各スイッチ素子の状態を示すタイミング図である。 第3の実施形態に係る正弦波乗算装置の構成の一例を示す図である。 第3の実施形態に係る正弦波乗算装置の他の構成例を示す図である。 第4の実施形態に係る正弦波乗算装置の構成の一例を示す図である。 第5の実施形態に係る入力装置の構成の一例を示す図である。 第2方形波乗算部における方形波の基本波と、第1方形波乗算部における方形波の高調波とを同相にした場合の変形例を示す図である。
まず、本発明の実施形態に係る正弦波乗算装置において入力信号に正弦波を乗算する方法の概要を説明する。
図1は、入力信号Siに方形波を乗算する回路の構成例を示す図である。方形波の乗算は正弦波の乗算とは異なり、例えば図1Bにおいて示すように、固定ゲインのアンプ回路2,4とスイッチ回路3を用いた簡易な回路で実現可能である。図1Bに示す方形波乗算回路では、入力信号Si又は入力信号Siをゲイン「−1」のアンプ回路2によって反転した信号が、スイッチ回路3を介してゲインAのアンプ回路4に入力される。方形波の一方の半周期において、入力信号SiがゲインAのアンプ回路4により増幅され(A倍され)、方形波の他方の半周期においては、入力信号SiがゲインAのアンプ回路4とゲイン「−1」のアンプ回路2とによって増幅される(−A倍される)。
図2は、正弦波と方形波の周波数成分を示す図である。正弦波は、図2Aに示すように単一の周波数成分のみからなるが、方形波は、図2Bにおいて示すように基本波と高調波からなる。従って、図1に示す方形波の乗算結果の信号は、入力信号Siに基本波を乗算した信号成分(入力信号Si×基本波)と、入力信号Siに高調波を乗算した信号成分(入力信号Si×高調波)とを重ね合わせた信号になる。
図1において示すように、方形波の乗算は回路構成が簡易であり、アナログ乗算器を用いる場合のようにトランジスタの温度特性や入出力非線形特性の影響を受け難くなるという利点がある。しかしながら、方形波の乗算結果の信号には、上述したように高調波の信号成分(入力信号Si×高調波)が含まれるため、そのままでは入力信号Siと正弦波の乗算結果として使用できない。そこで、本実施形態に係る正弦波乗算装置では、入力信号と方形波との乗算を行う回路を複数設けて、それらの出力を合成することにより、入力信号と方形波との乗算結果に含まれる不要な信号成分(入力信号×高調波)を相殺する。
図3は、方形波の周波数成分を示す図である。図3Aは、周波数fsの方形波の周波数成分を示す。図3Bは、図3Aの方形波に対して3倍の周波数(3fs)かつ3分の1の振幅(A/3)を有する方形波の周波数成分を示す。また図3Cは、図3Aの方形波に対して5倍の周波数(5fs)かつ5分の1の振幅(A/5)を有する方形波の周波数成分を示す。
周波数fsの方形波には、周波数fsの基本波と、その奇数倍の周波数(3fs,5fs,7fs,…)を有する高調波が含まれる。基本波の振幅を「B」とすると、周波数が「K×fs」の高調波(以下、「第K次高調波」と記す。)の振幅は「B/K」である。図3Bに示す周波数3fs,振幅B/3の方形波における基本波は、図3Aに示す周波数fs,振幅Bの方形波における第3次高調波と等しくなる。また、図3Cに示す周波数5fs,振幅B/5の方形波における基本波は、図3Aに示す周波数fs,振幅Bの方形波における第5次高調波と等しくなる。
従って、図3Aに示す方形波を入力信号Siに乗算するとともに、図3B,図3Cに示す方形波の逆位相の方形波をそれぞれ入力信号Siに乗算し、それらの乗算結果を合成することにより、周波数fsの方形波における第3次高調波及び第5次高調波の成分を相殺することができる。このように、本実施形態に係る正弦波乗算装置では、アナログ乗算器を用いて入力信号と正弦波との直接的な乗算を行う替わりに、入力信号と複数の方形波との乗算を行って、それらの乗算結果を合成することにより、入力信号と正弦波との乗算を実現する。そのため、トランジスタの温度特性や入出力非線形特性の影響を受け難くなるとともに、回路構成が簡易になる。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図4は、本発明の第1の実施形態に係る正弦波乗算装置の構成の一例を示す図である。図1に示す正弦波乗算装置は、それぞれ異なる周波数の方形波W1,W2,W3を入力信号Viに乗算する3つの方形波乗算部U1,U2,U3と、当該方形波乗算部U1,U2,U3の出力信号Qu1,Qu2,Qu3を合成する信号合成部10を有する。以下、方形波乗算部U1〜U3の任意の1つを「方形波乗算部U」と記し、出力信号Qu1〜Qu3の任意の1つを「出力信号Qu」と記し、方形波W1〜W3の任意の1つを「方形波W」と記す。
方形波乗算部Uにおいて入力信号Viに乗ぜられる方形波Wは、一方の半周期と他方の半周期とで振幅が等しく極性が逆となる波形を有する。この方形波Wは、図2,図3において示すように基本波と高調波の和として近似可能であり、第K次高調波は基本波に対してK倍の周波数とK分の1の振幅を持つ。
方形波乗算部Uは、例えば、入力信号Viに乗算する方形波Wの1周期中における一方の半周期と他方の半周期のそれぞれにおいて、入力信号Viに比例した出力信号Quを生成するとともに、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで、入力信号Viと出力信号Quとの比の絶対値が等しく、かつ、当該比の符号が反転するように出力信号Quを生成する。すなわち、方形波乗算部Uは、方形波Wの1周期中における一方の半周期において、入力信号Viに対する出力信号Quの比を「A」とし、方形波Wの1周期中における他方の半周期において、入力信号Viに対する出力信号Quの比を「−A」とする。
方形波乗算部U1(以下、「第1方形波乗算部U1」と記す。)は、周波数fsの正弦波を基本波とする方形波W1(以下、「第1方形波W1」と記す。)を入力信号Viに乗算する。図4の例において、第1方形波W1の周波数は「fs」、振幅は「A」である。
方形波乗算部U2,U3(以下、「第2方形波乗算部U2」「第2方形波乗算部U3」と記す。)は、周波数fsの第1方形波W1に含まれる1つの高調波の位相を反転させた正弦波を基本波とする方形波W2、W3(以下、「第2方形波W2」「第2方形波W3」と記す。)をそれぞれ入力信号Viに乗算する。
すなわち、第2方形波乗算部U2は、第1方形波W1における第3次高調波の位相を反転させた正弦波を基本波とする第2方形波W2を入力信号Viに乗算する。図4において示すように、この第2方形波W2の周波数は「3fs」、振幅は「A/3」である。
また、第2方形波乗算部U3は、第1方形波W1における第5次高調波の位相を反転させた正弦波を基本波とする第2方形波W3を入力信号Viに乗算する。図4において示すように、この第2方形波W3の周波数は「5fs」、振幅は「A/5」である。
信号合成部10は、第1方形波乗算部U1の出力信号Qu1と、第2方形波乗算部U2,U3の出力信号Qu2,Qu3とを加算する。信号合成部10は、出力信号Qu1〜Qu3の加算を行うことにより、出力信号Qu1に含まれる第1方形波W1の第3次高調波と入力信号Viとの積に応じた信号成分を、出力信号Qu2に含まれる第2方形波W2の基本波と入力信号Viとの積に応じた信号成分によって相殺する。また、信号合成部10は、出力信号Qu1に含まれる第1方形波W1の第5次高調波と入力信号Viとの積に応じた信号成分を、出力信号Qu3に含まれる第2方形波W3の基本波と入力信号Viとの積に応じた信号成分によって相殺する。
このように、図4に示す正弦波乗算装置によれば、出力信号Qu1に含まれる第1方形波W1の第3高調波と入力信号Viとの積に応じた信号成分、及び、第1方形波W1の第5次高調波と入力信号Viとの積に応じた信号成分が、出力信号Qu2に含まれる第2方形波W2の基本波と入力信号Viとの積に応じた信号成分、及び、出力信号Qu3に含まれる第2方形波W3の基本波と入力信号Viとの積に応じた信号成分によって相殺される。そのため、出力信号Qu1〜Qu3の合成結果として得られる出力信号Soでは、第1方形波W1の第3高調波及び第5次高調波に対応した信号成分が低減し、第1方形波W1の基本波(周波数fsの正弦波)と入力信号Viとの積に応じた信号成分が支配的な成分となる。従って、周波数fsの正弦波と入力信号Viとの積に応じた出力信号Soを生成することができる。
また、図4に示す正弦波乗算装置によれば、方形波乗算部Uにおいて、入力信号Viに乗算する方形波Wの1周期中における一方の半周期と他方の半周期とで、入力信号Viと出力信号Quとの比の絶対値が等しく、かつ、当該比の符号が反転するように出力信号Quが生成される。すなわち、入力信号Viに対する出力信号Quの比(信号ゲイン)の絶対値を保ったままその正負の符号を方形波Wの半周期ごとに反転することで、入力信号Viと方形波Wの乗算が行われる。このような方形波Wの乗算は、固定の信号ゲインを半周期ごとに切り替える離散的な信号処理であり、トランジスタの電流と電圧のアナログ的な特性が乗算結果に与える影響が小さくなる。従って、アナログ乗算器を用いる場合のようなトランジスタの温度特性や入出力非線形特性の影響を受け難くすることができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態として、図4に示す正弦波乗算装置のより詳細な構成の一例を説明する。
図5は、第2の実施形態に係る正弦波乗算装置の構成の一例を示す図である。図5に示す正弦波乗算装置は、入力信号Viに第1方形波W1を乗算する第1方形波乗算部U1と、入力信号Viに第2方形波W2,W3を乗算する第2方形波乗算部U2及びU3と、第1方形波乗算部U1及び第2方形波乗算部U2,U3の乗算結果の信号を合成する信号合成部10とを有する。
また、本実施形態に係る正弦波乗算装置は、入力信号Viとして差動信号が入力される第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2と、3つの方形波乗算部(U1〜U3)が共通に接続される第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2を有する。
方形波乗算部Uは、同じ静電容量を持つ2つのキャパシタ(第1キャパシタC1,第2キャパシタC2)を有する。方形波乗算部Uは、入力信号Viに乗算する方形波(第1方形波又は第2方形波)の1周期中における一方の半周期と他方の半周期のそれぞれにおいて、入力信号Viに応じた電荷をキャパシタ(C1,C2)に蓄積する充電動作と、充電動作によりキャパシタ(C1,C2)に蓄積した電荷を信号合成部10へ出力する電荷出力動作とを所定の間隔で交互に反復する。また、方形波乗算部Uは、充電動作時における入力信号Viの極性と、電荷出力動作時に2つのキャパシタ(C1,C2)から信号合成部10へ出力する電荷の差の極性との関係を、当該方形波の1周期中における一方の半周期と他方の半周期とで反転する。例えば入力信号Viの極性が「正」の場合において、方形波の一方の半周期では、2つのキャパシタ(C1,C2)から信号合成部10へ出力する電荷の差の極性を「正」とし、方形波の他方の半周期では、当該電荷の差の極性を「負」とする。方形波乗算部Uは、このような半周期ごとの極性の反転により、入力信号Viと方形波(第1方形波又は第2方形波)との乗算を行う。
例えば方形波乗算部Uは、充電動作において、第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2の一方と共通電位(図5の例では第1共通ノードN1及び第1共通ノードN1の電位)との間に生じる電圧を第1キャパシタC1に印加するとともに、第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2の他方と共通電位との間に生じる電圧を第2キャパシタC2に印加する。電荷出力動作において、方形波乗算部Uは、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の一方に蓄積される電荷を第1共通ノードN1へ出力するとともに、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の他方に蓄積される電荷を第2共通ノードN2へ出力する。方形波乗算部Uは、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2を介して、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の電荷を信号合成部10に出力する。また、方形波乗算部Uは、充電動作時における入力信号Viの極性と、電荷出力動作時に第1共通ノードN1へ出力する電荷から第2共通ノードN2へ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、方形波の1周期における一方の半周期と他方の半周期とで反転する。
第1方形波乗算部U1は、図5の例において、静電容量が等しい第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2と、第1スイッチ回路31と、第2スイッチ回路32を有する。
第1キャパシタC1は、一方の端子が第1共通ノードN1に接続され、他方の端子が第1スイッチ回路31を介して第1入力端子Ti1又は第2入力端子Ti2に接続される。
第2キャパシタC2は、一方の端子が第2共通ノードN2に接続され、他方の端子が第1スイッチ回路31を介して第1入力端子Ti1又は第2入力端子Ti2に接続される。
第1スイッチ回路31は、入力信号Viに乗算する第1方形波W1の1周期中における一方の半周期の充電動作においては、第1キャパシタC1の他方の端子を第1入力端子Ti1に接続するとともに第2キャパシタC2の他方の端子を第2入力端子Ti2に接続する。また、第1スイッチ回路31は、第1方形波W1の1周期中における他方の半周期の充電動作においては、第1キャパシタC1の他方の端子を第2入力端子Ti2に接続するとともに第2キャパシタC2の他方の端子を第1入力端子Ti1に接続する。電荷出力動作においては、第1スイッチ回路31は、第1キャパシタC1の他方の端子及び第2キャパシタC2の他方の端子を第1入力端子Ti1及び第2入力端子Ti2から切り離す。
第1スイッチ回路31は、例えば図5において示すように、4つのスイッチ素子(S1〜S4)を有する。スイッチ素子S1は、第1キャパシタC1の他方の端子と第1入力端子Ti1との間の経路に設けられる。スイッチ素子S2は、第1キャパシタC1の他方の端子と第2入力端子Ti2との間の経路に設けられる。スイッチ素子S3は、第2キャパシタC2の他方の端子と第1入力端子Ti1との間の経路に設けられる。スイッチ素子S4は、第2キャパシタC2の他方の端子と第2入力端子Ti2との間の経路に設けられる。第1方形波W1の1周期中における一方の半周期の充電動作において、スイッチ素子S1,S4がオン状態、スイッチ素子S2,S3がオフ状態となる。第1方形波W1の1周期中における他方の半周期の充電動作において、スイッチ素子S1,S4がオフ状態、スイッチ素子S2,S3がオン状態となる。電荷出力動作において、スイッチ素子S1〜S4が全てオフ状態となる。
第2スイッチ回路32は、第1キャパシタC1の他方の端子と第2キャパシタC2の他方の端子との間の経路に設けられており、方形波乗算部Uの充電動作においてオフし、電荷出力動作においてオンする。第2スイッチ回路32は、例えば図5において示すように、第1キャパシタC1の他方の端子と第2キャパシタC2の他方の端子に接続されたスイッチ素子S5を有する。
第2方形波乗算部U2及びU3は、第1方形波乗算部U1と同様の構成を有する。ただし、第1方形波乗算部U1及び第2方形波乗算部U2,U3における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量は、第1方形波W1の高調波と第2方形波W2,W3の基本波とが同じ振幅を持つように設定される。
すなわち、第2方形波乗算部U2におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量は、第1方形波乗算部U1におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量に対して1/3に設定される。この静電容量の比は、第1方形波W1の基本波の振幅と、第2方形波W2の基本波と等しい周波数(3fs)を有する第1方形波W1の第3次高調波の振幅との比と同じである。静電容量が1/3になることで、同一電圧に対する電荷量が1/3になるため、第2方形波乗算部U2において入力信号Viに乗算される第2方形波W2の振幅は、第1方形波W1の振幅の1/3になる。
また、第2方形波乗算部U3におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量は、第1方形波乗算部U1におけるキャパシタ(C1,C2)の静電容量に対して1/5に設定される。この静電容量の比は、第1方形波W1の基本波の振幅と、第2方形波W3の基本波と等しい周波数(5fs)を有する第1方形波W1の第5次高調波の振幅との比と同じである。静電容量が1/5になることで、同一電圧に対する電荷量が1/5になるため、第2方形波乗算部U3において入力信号Viに乗算される第2方形波W3の振幅は、第1方形波W1の振幅の1/5になる。
第1方形波乗算部U1における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu1」、第2方形波乗算部U2における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu2」、第2方形波乗算部U3における第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「Cu3」とすると、これらの静電容量は次のように設定される。
Cu1:Cu2:Cu3 = 1:1/3:1/5 = 15:5:3 …(1)
電荷出力動作によって第1方形波乗算部U1の第1キャパシタC1から第1共通ノードN1へ出力される電荷より、第2キャパシタC2から第2共通ノードN2へ出力される電荷を減算した値である電荷差を「ΔQ1」とし、この電荷差ΔQ1の中で、第1方形波W1の第3次高調波(周波数3fs)と入力信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ1(3fs)」と記す。また、電荷差ΔQ1の中で、第1方形波W1の第5次高調波(周波数5fs)と入力信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ1(5fs)」と記す。
他方、電荷出力動作によって第2方形波乗算部U2の第1キャパシタC1から第1共通ノードN1へ出力される電荷より、第2キャパシタC2から第2共通ノードN2へ出力される電荷を減算した値である電荷差を「ΔQ2」とし、この電荷差ΔQ2の中で、第2方形波W2の基本波(周波数3fs)と入力信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ2(3fs)」と記す。
また、電荷出力動作によって第2方形波乗算部U3の第1キャパシタC1から第1共通ノードN1へ出力される電荷より、第2キャパシタC2から第2共通ノードN2へ出力される電荷を引いた値である電荷差を「ΔQ3」とし、この電荷差ΔQ3の中で、第2方形波W3の基本波(周波数5fs)と入力信号Viとの積に応じた成分を「ΔQ3(5fs)」と記す。
各方形波乗算部のキャパシタ(C1,C2)の静電容量が式(1)のように設定されることにより、上述した電荷差の成分には次の関係が成立する。
ΔQ1(3fs) = −ΔQ2(3fs) …(2)
ΔQ1(5fs) = −ΔQ3(5fs) …(3)
ただし、第1方形波W1と第2方形波W2との位相関係は、第1方形波W1の第3次高調波と第2方形波W2の基本波とが逆相となるように設定される。また、第1方形波W1と第2方形波W3の位相関係は、第1方形波W1の第5次高調波と第2方形波W3の基本波とが逆相となるように設定される。
式(2),(3)の関係が成立することから、電荷差ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3が信号合成部10において合成(加算)されることにより、第1方形波W1の第3次高調波と入力信号Viとの積に応じた成分ΔQ1(3fs)は、第2方形波W2の基本波と入力信号Viとの積に応じた成分ΔQ2(3fs)により相殺される。また、第1方形波W1の第5次高調波と入力信号Viとの積に応じた成分ΔQ1(5fs)は、第2方形波W3の基本波と入力信号Viとの積に応じた成分ΔQ3(5fs)によって相殺される。すなわち、第1方形波W1の第3次高調波及び第5次高調波に起因した信号成分は、第2方形波乗算部U2,U3から出力される信号成分との加算によって除去される。
信号合成部10は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4を有しており、3つの方形波乗算部(U1〜U3)から電荷出力動作により第1共通ノードN1へ出力される電荷を第3キャパシタC3に蓄積し、3つの方形波乗算部(U1〜U3)から電荷出力動作により第2共通ノードN2へ出力される電荷を第4キャパシタC4に蓄積する。信号合成部10は、第3キャパシタC3の電荷と第4キャパシタC4の電荷との差に応じた信号Voを出力する。
信号合成部10は、図5の例において、静電容量が等しい第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4と、演算増幅器11と、放電回路13を有する。
演算増幅器11は、第1共通ノードN1に接続された反転入力端子と第2共通ノードN2に接続された非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差、すなわち信号Voとして出力する。
第3キャパシタC3は、演算増幅器11の反転入力端子と非反転出力端子との間の経路に設けられる。第4キャパシタC4は、演算増幅器11の非反転入力端子と反転出力端子との間の経路に設けられる。
放電回路13は、3つの方形波乗算部(U1〜U3)が充電動作を行う場合、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4をそれぞれ短絡し、3つの方形波乗算部(U1〜U3)が電荷出力動作を行う場合、当該短絡を解除する。放電回路13は、図5の例において、第3キャパシタC3に並列接続されたスイッチ素子S8と、第4キャパシタC4に並列接続されたスイッチ素子S9を有する。
ここで、上述した構成を有する本実施形態に係る正弦波乗算装置の動作を説明する。
図6は、充電動作時と電荷出力動作時における各スイッチ素子の状態を説明するための図である。図6Aは充電動作時のスイッチ素子の状態を示し、図6Bは電荷出力動作時のスイッチ素子の状態を示す。
なお、図6の例では第1方形波乗算部U1のみを示しているが、第2方形波乗算部U2,U3についても、充電動作及び電荷出力動作において同様のスイッチ状態となる。
充電動作時には、図6Aにおいて示すように、第1キャパシタC1が第1入力端子Ti1と第1共通ノードN1との間に接続され、第2キャパシタC2が第2入力端子Ti2と第2共通ノードN2との間に接続される。このとき、放電回路13によって第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4が短絡されるため、演算増幅器11の負帰還動作により、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2の電位はほぼ等しくなる。従って、第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2の電位を共通電位とすると、第1キャパシタC1には第1入力端子Ti1と共通電位との間に生じる電圧が印加され、第2キャパシタC2には第2入力端子Ti2と共通電位との間に生じる電圧が印加される。
また、充電動作時には、放電回路13によって第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷がゼロに放電される。そのため、第3キャパシタC3及び第3キャパシタC3の電荷の差はゼロとなる。
第1入力端子Ti1の電圧から第2入力端子Ti2の電圧を引いた差の電圧を「Vi」、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の静電容量を「C」、充電動作において第1キャパシタC1に蓄積される電荷を「Qa」、充電動作において第2キャパシタC2に蓄積される電荷を「Qb」とすると、図6Aに示すスイッチ状態において電荷Qaから電荷Qbを引いた電荷差「Qa−Qb」は次の式で表わされる。
Qa−Qb = Vi×C …(4)
電荷出力動作時には、図6Bにおいて示すように、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の他方の端子が第2スイッチ回路32によって短絡される。第1共通ノードN1及び第2共通ノードN2の電圧は演算増幅器11の負帰還動作によってほぼ等しい電圧になるため、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の電圧もほぼ等しくなり、両者に蓄積される電荷もほぼ等しくなる。充電動作によって第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2には合計「Qa+Qb」の電荷が蓄積されているため、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2のそれぞれに蓄積される電荷は、その半分の「(Qa+Qb)/2」となる。
第1キャパシタC1の電荷は「Qa」から「(Qa+Qb)/2」に変化するため、その変化分である「(Qa−Qb)/2」が第1キャパシタC1から第3キャパシタC3へ転送される。また、第2キャパシタC2の電荷は「Qb」から「(Qa+Qb)/2」に変化するため、その変化分である「−(Qa−Qb)/2」が第2キャパシタC1から第4キャパシタC3へ転送される。従って、第3キャパシタC3に蓄積される電荷から第4キャパシタC4に蓄積される電荷を引いた電荷差を「ΔQS」とすると、第1方形波乗算部U1の電荷出力動作による電荷差ΔQSの増加は「Qa−Qb=Vi×C」となる。
ただし、この結果は、図6Aに示す第1スイッチ回路31のスイッチ状態において得られるものであり、第1スイッチ回路31が他方のスイッチ状態(スイッチ素子S1及びS4がオフ、スイッチ素子S2及びS3がオンの状態)にある場合は、正負の極性が反転する。すなわち、この場合、第1方形波乗算部U1の電荷出力動作による電荷差ΔQSの増加は「−(Qa−Qb)=−Vi×C」となる。
以上のことから、第1方形波乗算部U1の電荷出力動作によって電荷差ΔQSに加算される電荷差ΔQ1は、次の式で表わされる。
ΔQ1 = ±Vi×C …(5)
式(5)の右辺に示す正負の極性は、第1方形波W1(周波数fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。
同様に、第2方形波乗算部U2の電荷出力動作によって電荷差ΔQSに加算される電荷差ΔQ2、及び、第2方形波乗算部U3の電荷出力動作によって電荷差ΔQSに加算される電荷差ΔQ3は、それぞれ次の式で表わされる。
ΔQ2 = ±Vi×(C/3) …(6)
ΔQ3 = ±Vi×(C/5) …(7)
式(6)の右辺に示す正負の極性は、第2方形波W2(周波数3fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。また、式(7)の右辺に示す正負の極性は、第2方形波W3(周波数5fs)の一方の半周期と他方の半周期とで切り替わる。
充電動作時には、放電回路13によって第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷が放電されるため、電荷差ΔQSはゼロとなる。1回の電荷出力動作が行われた場合、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷差ΔQSは次の式で表わされる。
ΔQS = ΔQ1+ΔQ2+ΔQ3 …(8)
第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の静電容量は等しいため、演算増幅器11の出力信号Voは、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷差ΔQSに比例する。また、式(8)において示すように、電荷差ΔQSは電荷差ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3の和であるため、式(5)〜(7)の関係から、電荷差ΔQSは入力信号Viに比例する。そのため、演算増幅器11の出力信号Voは入力信号Viにほぼ比例して増減する。
更に、式(2),(3)の関係から、電荷差ΔQSに含まれる電荷差ΔQ1の高調波(第3次高調波、第5次高調波)の成分が除去される。そのため、演算増幅器11の出力信号Voにおいては、入力信号Viと正弦波(周波数fs)との積に応じた信号成分が支配的となり、入力信号Viと高調波(周波数3fs,5fs)との積に応じた信号成分が小さくなる。
図7は、第2の実施形態に係る正弦波乗算装置における各スイッチ素子の状態を示すタイミング図である。図7のタイミング図において、ハイレベルはスイッチ素子のオン状態を示し、ローレベルはスイッチ素子のオフ状態を示す。
図7の例において、交互にオンするスイッチ素子同士(スイッチ素子S1〜S4,S8,S9とスイッチ素子S5)は、オンオフ動作の遅延によるクロストークを回避するため、互いのオン状態がオーバーラップしないように制御される。
また図7の例において、充電動作及び電荷出力動作は、周期Tごとに1回ずつ行われる。第1方形波W1の1周期(1/fs)は、周期Tの60サイクル分(60T)に設定され、第2方形波W2の1周期(1/3fs)は周期Tの20サイクル分(20T)に設定され、第2方形波W3の1周期(1/5fs)は周期Tの12サイクル分(12T)に設定される。
第1方形波W1の半周期を規定する周期Tのサイクル数(図7の例では30サイクル)は、第2方形波乗算部(U2,U3)の出力によって相殺されるべき第1方形波W1の高調波の周波数(3fs,5fs)が基本波の周波数fsに対して有する倍率(3倍,5倍)の公倍数となるように設定される。図5に示す正弦波乗算装置では、第1方形波W1の第3次高調波および第5次高調波が相殺されるべき高調波であるため、「3」と「5」の公倍数である「30」が第1方形波W1の半周期における周期Tのサイクル数に設定される。このように、第1方形波W1の半周期における周期Tのサイクル数を定めることによって、第2方形波(W2,W3)の半周期における周期Tのサイクル数を整数値にすることができるため、第1方形波W1の周期と第2方形波W2,W3の周期との比率を周期Tのサイクル数によって厳密に設定することができる。
ここで、式(5),(6),(7)の右辺に示す極性が「正」となる動作モードを「正転モード」と呼び、これらの式の右辺に示す極性が「負」となる動作モードを「反転モード」と呼ぶ。図7に示すように、方形波乗算部(U1〜U3)は、方形波の1周期中における一方の半周期において「正転モード」となり、他方の半周期において「反転モード」となる。「正転モード」では、充電動作時に第1スイッチ回路31のスイッチ素子S1及びS4がオン状態、スイッチ素子S2及びS3がオフ状態となる。「反転モード」では、充電動作時に第1スイッチ回路31のスイッチ素子S1及びS4がオフ状態、スイッチ素子S2及びS3がオン状態となる。
第1方形波乗算部U1では、第1方形波W1の前半の半周期(30T)において正転モードの動作が30サイクル反復され、第1方形波W1の後半の半周期(30T)において反転モードの動作が30サイクル反復される。
第2方形波乗算部U2では、第2方形波W2の前半の半周期(10T)において反転モードの動作が10サイクル反復され、第2方形波W2の後半の半周期(10T)において正転モードの動作が10サイクル反復される。第1方形波乗算部U1において正転モードの動作が開始するとき、第2方形波乗算部U2において反転モードの動作が開始されるため、第2方形波W2の基本波は第1方形波W1の第3次高調波に対して逆の位相を持つ。
第2方形波乗算部U3では、第2方形波W3の前半の半周期(6T)において反転モードの動作が6サイクル反復され、第2方形波W3の後半の半周期(6T)において正転モードの動作が6サイクル反復される。第1方形波乗算部U1において正転モードの動作が開始するとき、第2方形波乗算部U3において反転モードの動作が開始されるため、第2方形波W3の基本波は第1方形波W1の第5次高調波に対して逆の位相を持つ。
また図7において示すように、放電回路13のスイッチ素子(S8,S9)は充電動作時にオンし、電荷出力動作時にオフする。また、第2スイッチ回路32のスイッチ素子(S5)は充電動作時にオフし、電荷出力動作時にオンする。これにより、3つの方形波乗算部(U1〜U3)は、充電動作の度に、入力信号Viに比例した電荷差(ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3)をサンプリングし、信号合成部10は、3つの方形波乗算部(U1〜U3)の電荷差(ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3)を電荷出力動作の度に合成して保持する。信号合成部10の出力信号Voを処理する後段の回路(不図示)は、電荷出力動作の期間に保持された出力信号Voに対してローパスフィルタ処理や、アナログデジタル変換などの処理を行う。
なお、図7の例では、サンプリング周期Tの1サイクル毎に第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷が放電されるが、電荷差ΔQSが微小な場合は、サンプリング周期Tの複数サイクルごとに1回ずつ放電回路13をオンさせてもよい。この場合、出力信号Voを処理する後段の回路は、放電回路13がオンする直前の出力信号Voをサンプリングする。これにより、第3キャパシタC3及び第4キャパシタC4の電荷差ΔQSが積分されて大きくなるため、出力信号Voのレベルを大きくすることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る正弦波乗算装置によれば、方形波乗算部Uにおいてキャパシタ(C1,C2)の充電動作及び電荷出力動作が一定の間隔で反復され、方形波Wの半周期ごとに電荷出力動作の出力電荷の極性が反転されることにより、入力信号Viと方形波Wとの乗算が行われる。そのため、方形波乗算部Uにおける方形波の周期と位相を、周期Tのサイクル数によって厳密に設定することができる。
また、本実施形態に係る正弦波乗算装置によれば、方形波乗算部Uにおけるキャパシタの静電容量比は、温度や製造プロセスによるばらつきの影響を受け難いため、各方形波乗算部Uにおいて入力信号Viに乗算される方形波Wの振幅の比を精度良く設定することができる。従って、第1方形波乗算部U1の出力に含まれる第1方形波W1の高調波と入力信号Viとの積に応じた信号成分(電荷)を、第2方形波乗算部U2,U3の出力における第2方形波W2,W3の基本波と入力信号Viとの積に応じた信号成分(電荷)によって、精度よく相殺することができる。
更に、本実施形態に係る正弦波乗算装置によれば、3つの方形波乗算部(U1〜U3)の各々において、差動信号(Vi)に応じた電荷の差に基づいて方形波の乗算が行われ、この乗算結果の信号として得られる電荷の差(ΔQ1〜ΔQ3)が信号合成部において合成されることにより、差動信号(Vi)と正弦波との積に応じた信号Voが得られる。そのため、差動信号の各々の信号に重畳される同相ノイズが除去され易くなり、耐ノイズ性を高めることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図8は、第3の実施形態に係る正弦波乗算装置の構成の一例を示す図である。図8に示す正弦波乗算装置は、第1,第2の実施形態に係る正弦波乗算装置(図4,5)に第1ローパスフィルタ40を設けたものであり、他の構成は第2,第3の実施形態に係る正弦波乗算装置と同じである。
第2,第3の実施形態に係る正弦波乗算装置では、方形波乗算部(U1〜U3)において入力信号Viを離散処理しているため、方形波乗算部の出力には、折り返し雑音(エイリアシングノイズ)を生じる可能性がある。第1ローパスフィルタ40は、この折り返し雑音を低減するためのものであり、方形波乗算部へ入力される入力信号Viの高周波成分を減衰させる。すなわち、第1ローパスフィルタ40は、入力信号Viに含まれたノイズ成分であって、充電動作が反復される周波数(1/T)に対して整数倍の周波数から入力信号Viの信号帯域へ折り返し雑音を生じ得るノイズ成分を減衰させる。これにより、入力信号Viが比較的周波数の高いノイズを含む場合であっても、入力信号Viの信号帯域における折り返し雑音を防止して、精度の高い乗算処理を行うことができる。
なお、上述した実施形態に係る正弦波乗算装置では、方形波乗算部(U1〜U3)の出力を合成することによって、第1方形波W1の第3次高調波と第5次高調波に起因する成分(高調波×入力信号Vi)が相殺される。しかしながら、第1方形波W1には他にも相殺されない高調波が存在するため、それらの高調波に起因する成分が出力信号Voに残存することとなる。特に、第5次高調波の次に振幅が大きい第7次高調波は、乗算結果の精度に影響を与える可能性がある。
また、図3において示すように、第2方形波W2,W3(図3B,図3C)は、基本波だけでなく、その高調波も第1方形波W1(図3A)の一部の高調波と等しくなる。図3の例では、第2方形波W2の第3次高調波,第5次高調波と、第1方形波W1の第9次高調波,第15次高調波とが等しくなる。また、第2方形波W3の第3次高調波と、第1方形波W1の第15次高調波とが等しくなる。従って、第1方形波W1の第15次高調波は、第2方形波W2と第2方形波W3の両方で減算されることになるため、誤差を生じる。
第1ローパスフィルタ40は、入力信号Viの高周波成分を方形波乗算部(U1〜U3)に入力する前に減衰させることで、上述した高調波と入力信号Viとの積による誤差の影響を低減させることができる。精度に影響を与える可能性がある最も低い高調波は第1方形波W1の第7次高調波(周波数7fs)であるため、第1ローパスフィルタ30の周波数特性は、例えば周波数7fsより高い周波数の成分が乗算精度へ影響を与えない程度まで減衰するように設定される。
図9は、第3の実施形態に係る正弦波乗算装置の他の構成例を示す図である。図9に示す正弦波乗算装置は、図8に示す正弦波乗算装置に第2ローパスフィルタ50を追加したものであり、他の構成は図9に示す正弦波乗算装置と同じである。
図9に示す正弦波乗算装置は、入力信号Viに含まれる周波数fsの信号成分のみを抽出する回路(狭帯域バンドパスフィルタ回路)として動作させることが可能である。この場合、第2ローパスフィルタ50によって出力信号Voの直流成分を抽出することにより、その直流成分のレベルは、入力信号Viに含まれる周波数fsの信号成分の振幅に応じたレベルとなる。第2ローパスフィルタ50は、例えば、出力信号VoのAD変換結果を離散処理するデジタルフィルタによって構成される。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図10は、第4の実施形態に係る正弦波乗算装置の構成の一例を示す図である。図10に示す正弦波乗算装置は、第2,第3の実施形態に係る正弦波乗算装置(図4,図5)に第3ローパスフィルタ60を設け、入力信号Viを直流電圧VDDとしたものであり、他の構成は第2,第3の実施形態に係る正弦波乗算装置と同じである。
図10に示す正弦波乗算装置は、入力信号Viが直流電圧VDDであるため、出力信号Voは直流電圧VDDと正弦波とを乗算した信号、すなわち正弦波となる。図8に示す正弦波乗算装置は、周波数fsの信号成分を直流成分に変換するが、図10に示す正弦波乗算装置は直流成分から周波数fsの信号を発生させるものであるので入出力の関係が逆になる。従って、第3ローパスフィルタ60は、図8に示す正弦波乗算装置と同様に、精度に影響を与える可能性がある最も低い第1方形波W1の高調波(第7次高調波)より高い周波数の成分を減衰させる。
このように、本実施形態に係る正弦波乗算装置は、精度の高い正弦波発生回路として動作させることも可能である。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態に係る入力装置について、図11を参照して説明する。
図11に示す本実施形態に係る入力装置は、物体の近接に応じた情報を入力するタッチセンサなどの入力装置であり、センサ部110と、選択部120と、検出信号生成部130と、第1正弦波乗算部140と、第2正弦波乗算部150と、ローパスフィルタ160とを備える。
センサ部110は、物体の近接に応じて静電容量が変化するセンサ素子を含んでおり、図11の例では、物体との間にキャパシタを形成する電極ES1〜ESnを含む。電極ES1〜ESnへ物体(指先など)が近接することにより、電極ES1〜ESnと物体との間に形成されるキャパシタの静電容量が変化する。
選択部120は、センサ部110における電極ES1〜ESnの1つを選択して検出信号生成部130の入力に接続する。
検出信号生成部130は、第1正弦波乗算部140によって供給される第1正弦波に応じた正弦波の駆動電圧を、選択部120により選択されたセンサ部110の電極(ES1〜ESn)に印加し、この駆動電圧の印加によって電極に流れる電流に応じた検出信号Snを生成する。検出信号生成部130は、例えば図11に示すように、オペアンプOP3と、キャパシタCfと、減算器131を有する。キャパシタCfは、オペアンプOP3の反転入力端子と出力端子との間に接続される。オペアンプOP3の非反転入力端子には、第1正弦波乗算部140の第1正弦波が入力される。減算器131は、オペアンプOP3の出力信号から第1正弦波を減算し、その減算結果を検出信号Snとして出力する。検出信号Snは、第1正弦波と同じ周波数fsで振動する信号であり、その振幅はセンサ部110の電極と物体(指先)との間に形成される静電容量に比例する。
第1正弦波乗算部140は、周波数fsの正弦波を直流信号に乗算し、当該乗算の結果として所定の周波数の第1正弦波を出力する回路であり、例えば図10に示す正弦波乗算装置と同様の構成を有する。
第2正弦波乗算部150は、検出信号生成部130において生成された検出信号Snに、周波数fsの第2正弦波を乗算する回路であり、例えば図8に示す正弦波乗算装置と同様の構成を有する。
ローパスフィルタ160は、第2正弦波乗算部150の乗算結果として得られる信号Dsから、直流成分の信号Daを抽出する。第2正弦波乗算部150とローパスフィルタ160は、検出信号Snに含まれる周波数fsの信号成分を抽出する狭帯域のバンドパスフィルタとして動作する。直流成分の信号Daは、検出信号Snに含まれる周波数fsの信号成分の振幅に応じたレベルを有しており、センサ部110の電極と物体(指先)との間に形成される静電容量に比例する。
本実施形態に係る入力装置によれば、簡易な構成の第1正弦波乗算部140,第2正弦波乗算部150を用いて、外来ノイズの影響が除去された精度の高い静電容量の検出値を得ることができる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、更に種々のバリエーションを含んでいる。
図4に示す正弦波乗算装置では、第2方形波乗算部U2,U3において入力信号Viに乗算する第2方形波W2,W3の基本波の位相を第1方形波W1における高調波の位相に対して逆にしているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、例えば図12において示すように、第2方形波乗算部U2,U3において入力信号Viに乗算する第2方形波W2,W3の基本波の位相を第1方形波W1における高調波の位相と同相となるようにしてもよい。この場合、信号合成部10では、第1方形波乗算部U1の出力信号Qu1から第2方形波乗算部U2,U3の出力信号Qu2,Qu3を減算するように信号の合成することで、図4に示す正弦波乗算装置と同様に高調波成分を相殺することができる。
上述した実施形態では、第1方形波W1における第3次高調波及び第5次高調波に対応した信号成分を第2方形波W2,W3の基本波に対応した信号成分により相殺しているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、更に周波数の高い高調波に対応した信号成分を相殺できるように、方形波乗算部の数を3以上としてもよい。
上述した実施形態では、方形波の乗算処理や乗算結果の合成処理をアナログ回路で行っているが、本発明の他の実施形態では、これらの信号処理をデジタル信号処理で行ってもよい。
10…信号合成部、11…演算増幅器、13…放電回路、31…第1スイッチ回路、32…第2スイッチ回路、40…第1ローパスフィルタ、50…第2ローパスフィルタ、60…第3ローパスフィルタ、U1〜U3…方形波乗算部、C1…第1キャパシタ、C2…第2キャパシタ、C3…第3キャパシタ、C4…第4キャパシタ、S1〜S5,S8,S9…スイッチ素子、Ti1…第1入力端子、Ti2…第2入力端子、N1…第1共通ノード、N2…第2共通ノード、Vi…入力信号(差動信号)

Claims (8)

  1. 所定の周波数の正弦波を入力信号に乗算する正弦波乗算装置であって、
    前記入力信号として差動信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、
    それぞれ異なる周波数の方形波を前記入力信号に乗算する複数の方形波乗算部と、
    前記複数の方形波乗算部が共通に接続される第1共通ノード及び第2共通ノードと、
    前記複数の方形波乗算部における乗算結果の信号を合成する信号合成部とを備え、
    前記方形波は、最も周波数が低い正弦波である基本波と、前記基本波に対してそれぞれ整数倍の周波数を持つ正弦波である複数の高調波との和として近似可能であり、
    前記複数の方形波乗算部は、
    前記所定の周波数の正弦波を前記基本波とする第1方形波を前記入力信号に乗算する1つの第1方形波乗算部と、
    前記第1方形波に含まれる1つの前記高調波と等しい正弦波若しくは当該1つの高調波の位相を反転させた正弦波を前記基本波とする第2方形波を前記入力信号に乗算する1つ又は複数の第2方形波乗算部とを有し、
    前記信号合成部は、前記第1方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第1方形波の少なくとも1つの前記高調波と前記入力信号との積に応じた信号成分を、前記第2方形波乗算部の乗算結果の信号に含まれる前記第2方形波の前記基本波と前記入力信号との積に応じた信号成分によって相殺し、
    個々の前記方形波乗算部は、同じ静電容量を持つ第1キャパシタ及び第2キャパシタを有しており、前記入力信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期と他方の半周期のそれぞれにおいて充電動作と電荷出力動作とを所定の間隔で交互に反復し、前記充電動作においては、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の一方と共通電位との間に生じる電圧を前記第1キャパシタに印加するとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の他方と前記共通電位との間に生じる電圧を前記第2キャパシタに印加し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの一方に蓄積される電荷を前記第1共通ノードへ出力するとともに、前記第1キャパシタ及び前記第2キャパシタの他方に蓄積される電荷を前記第2共通ノードへ出力し、前記充電動作時における前記入力信号の極性と、前記電荷出力動作時に前記第1共通ノードへ出力する電荷から前記第2共通ノードへ出力する電荷を引いた電荷差の極性との関係を、当該一方の半周期と当該他方の半周期とで反転し、
    前記信号合成部は、同じ静電容量を持つ第3キャパシタ及び第4キャパシタを有しており、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第1共通ノードへ出力される電荷を前記第3キャパシタに蓄積し、前記複数の方形波乗算部から前記電荷出力動作により前記第2共通ノードへ出力される電荷を前記第4キャパシタに蓄積し、前記第3キャパシタの電荷と前記第4キャパシタの電荷との差に応じた信号を出力し、当該信号の出力後、前記複数の方形波乗算部において次の前記電荷出力動作が行われる前に前記第3キャパシタ及び前記第4キャパシタの電荷を放電する
    ことを特徴とする正弦波乗算装置。
  2. 前記第1方形波乗算部における前記第1キャパシタの静電容量と、1つの前記第2方形波乗算部における前記第1キャパシタの静電容量との比が、前記第1方形波の基本波の振幅と、当該1つの第2方形波乗算部における前記第2方形波の基本波と等しい周波数を有する前記第1方形波の高調波の振幅との比に応じた値を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の正弦波乗算装置。
  3. 前記方形波乗算部は、
    一端が前記第1共通ノードに接続された前記第1キャパシタと、
    一端が前記第2共通ノードに接続された前記第2キャパシタと、
    前記入力信号に乗算する前記方形波の1周期中における一方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの他端を前記第1入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの他端を前記第2入力端子に接続し、前記方形波の前記1周期中における他方の半周期の前記充電動作においては、前記第1キャパシタの前記他端を前記第2入力端子に接続するとともに前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子に接続し、前記電荷出力動作においては、前記第1キャパシタの前記他端及び前記第2キャパシタの前記他端を前記第1入力端子及び前記第2入力端子から切り離す第1スイッチ回路と、
    前記第1キャパシタの前記他端と前記第2キャパシタの前記他端との間の経路に設けられ、前記充電動作においてオフし、前記電荷出力動作においてオンする第2スイッチ回路とを有し、
    前記信号合成部は、
    前記第1共通ノードに接続された反転入力端子と前記第2共通ノードに接続された非反転入力端子との電圧差を増幅し、当該増幅結果を反転出力端子と非反転出力端子との電圧差として出力する演算増幅器と、
    前記演算増幅器の前記反転入力端子と前記非反転出力端子との間の経路に設けられた前記第3キャパシタと、
    前記演算増幅器の前記非反転入力端子と前記反転出力端子との間の経路に設けられた前記第4キャパシタと、
    前記複数の方形波乗算部が前記充電動作を行う場合、前記第3キャパシタ及び前記第4キャパシタをそれぞれ短絡し、前記複数の方形波乗算部が前記電荷出力動作を行う場合、当該短絡を解除する放電回路とを有する
    請求項1又は2に記載の正弦波乗算装置。
  4. 前記複数の方形波乗算部に入力される前記入力信号に含まれたノイズ成分であって、前記充電動作が反復される周波数に対して整数倍の周波数から前記入力信号の信号帯域へ折り返し雑音を生じ得る前記ノイズ成分を減衰させる第1ローパスフィルタを有する
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の正弦波乗算装置。
  5. 前記第1方形波に含まれる前記高調波の中で、周波数が低い順における1番目からN番目までの前記高調波に対応したNパターンの前記第2方形波を前記入力信号に乗算するN個の前記方形波乗算部を有し、
    前記第1ローパスフィルタは、前記第1方形波に含まれる前記高調波であって、前記周波数が低い順における(N+1)番目以降の前記高調波に相当する周波数を持つ前記入力信号のノイズ成分を減衰させる
    ことを特徴とする請求項4に記載の正弦波乗算装置。
  6. 前記信号合成部の合成結果の信号に含まれる直流成分を抽出する第2ローパスフィルタを有する
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の正弦波乗算装置。
  7. 前記第1方形波に含まれる前記高調波の中で、周波数が低い順における1番目からN番目までの前記高調波に対応したNパターンの前記第2方形波を前記入力信号に乗算するN個の前記方形波乗算部と、
    前記信号合成部の合成結果の信号から、前記第1方形波に含まれる前記高調波であって、前記周波数が低い順における(N+1)番目以降の前記高調波に相当する周波数を持つ成分を減衰させる第3ローパスフィルタとを有し、
    前記入力信号が直流信号である
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の正弦波乗算装置。
  8. 物体の近接に応じた情報を入力する入力装置であって、
    前記物体の近接に応じて静電容量が変化するセンサ素子を含んだセンサ部と、
    所定の周波数の正弦波を直流信号に乗算し、当該乗算の結果として前記所定の周波数の第1正弦波を出力する第1正弦波乗算部と、
    前記第1正弦波に応じた正弦波の駆動電圧を前記センサ素子に印加し、前記駆動電圧の印加によって前記センサ素子に流れる電流に応じた検出信号を生成する検出信号生成部と、
    前記所定の周波数の第2正弦波を前記検出信号に乗算する第2正弦波乗算部と、
    前記第2正弦波乗算部の乗算結果の信号から直流成分を抽出するローパスフィルタとを備え、
    前記第1正弦波乗算部及び前記第2正弦波乗算部は、請求項1乃至5の何れか一項に記載された正弦波乗算装置である
    ことを特徴とする入力装置。
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