JP6419514B2 - 服薬支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、服薬支援装置に関する。
一般に、薬剤入りの複数の容器を服薬支援装置内に収納し、この服薬支援装置内に収納された最下段の薬剤入りの容器を、所定の時刻に、装置の外に排出する機構を備えた服薬支援装置が提案されている(特許文献1参照)。この種の従来の服薬支援装置は、例えば要介護者等(以下、ユーザという。)が定時刻に簡易に服薬できるように、所定の時刻に至った時、服薬支援装置の外にその時刻に服用するための薬剤入りの容器を自動的に排出する機構を備えている。
特開平9−253172号公報
しかしながら、上述した従来の構成では、一旦、服薬支援装置の外に薬剤入りの容器が排出されると、この薬剤入りの容器は再び服薬支援装置の内部に戻されることはない。この服薬支援装置は、ユーザに対し、その時刻に服用するための薬剤入りの容器を完全に手渡しできることが前提である。仮に、上記薬剤入りの容器がユーザの手元に渡らない場合、その薬剤入りの容器が服薬支援装置の外に放置されたままとなることは好ましくない。
また、例えば時刻ごとに異なる薬剤入りの容器をユーザに提供するため、薬剤入りの容器をカセットに装填し、当該カセットを複数、服薬支援装置に装填する場合に、一つのカセットに対して一つの押し出し機構をカセットの後ろ側に配置する場合には、服薬支援装置内部にそれぞれのスペースを確保する必要があり、服薬支援装置が大型となってしまう。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、押し出し機構により服薬支援装置の外に押し出された薬剤入りの容器が、仮にユーザの手元に渡らない場合であっても、その薬剤入りの容器が服薬支援装置の外に放置されるおそれがなく、また、小型化した服薬支援装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、ピルケースと、前記ピルケースを装填するラックを備えたラックユニットと、前記ピルケースを装置本体から押し出し、押し出した前記ピルケースを引き戻す移動装置と、前記移動装置の待機位置から、前記移動装置が前記ピルケースを前記装置本体から押し出す押出完了位置までを案内する案内機構とを備え、前記装置本体は、中央部に軸を備え、前記軸の周囲には、前記ラックを複数装填可能な前記ラックユニットが設けられ、前記移動装置は、前記ラックユニットの下側に配設され、前記ラックは、前記ラックユニットの中心に対して偏位した状態で周方向に等間隔に複数配設され、さらに前記ラックユニットを前記中心周りに回転駆動させるモータを備える、ことを特徴とする。
また、前記ラックは、前記ピルケースを縦に複数装填可能であり、前記移動装置は、前記ピルケースを押し出す押出し部と、前記ピルケースを引き戻す引戻し部と、を備える、ことを特徴とする。
また、前記移動装置は、最下段の前記ピルケースを押し出す際に一段上の前記ピルケースを支えるピルケース支えを備える、ことを特徴とする。
また、前記各ラックは、互いに間隔を設けて配設され、前記押出し部は、前記間隔よりも薄い厚さに形成されている、ことを特徴とする
また、前記案内機構は、前記移動装置を案内する案内レールを備え、前記案内レールは、後方から前方にかけて昇り傾斜部を備える、ことを特徴と。
また、前記案内レールの前端部は、下り傾斜部を備える、ことを特徴とする。
また、前記案内機構は、前記移動装置の両側に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、ラックよりも下側に配置されたピルケースの押出し・引戻し機構がピルケースを装置本体から押し出し、一定時間ピルケースが取り出されない場合には、押し出したピルケースを装置本体に引き戻す。そのため、押し出し機構によりラックの外に押し出されたピルケースが、仮にユーザの手元に渡らない場合であっても、そのピルケースが服薬支援装置の外に放置されるおそれがなく、また、小型化した服薬支援装置を提供することができる。
本実施の形態に係る服薬支援装置を示す図であり、(A)は上面図、(B)は正面図である。 服薬支援装置の分解斜視図である。 服薬支援装置の内部の平面図である。 移動部材とピルケース入りのカセットが装填された状態のラックの初期位置を示す上面図である。 移動部材の待機位置を示す斜視図である。 (A)〜(E)は、移動装置による最下段のピルケースの押出し動作を示す図である。 (A)〜(D)は、移動装置による最下段のピルケースの押出し動作に伴う、ピルケース支え部の動作を示す図である。 観音開き扉と、ピルケースとの関係を示す図である。 服薬支援装置の機能的構成を示すブロック図である。 服薬支援装置の動作を示すフローチャートである。 変形例に係る服薬支援装置の機能的構成を示すブロック図である。 変形例に係る服薬支援装置の動作を示すフローチャートである。
図1は、本実施の形態に係る服薬支援装置1を示す図であり、(A)は上面図、(B)は正面図である。また、図2は、服薬支援装置1の分解斜視図である。また、図3は、服薬支援装置1の内部の平面図である。なお、以下に述べる上下、左右、前後といった方向は、特段の断りがない限り、図1(A)に示す矢印F方向を前、矢印B方向を後とした場合の方向を示す。
服薬支援装置1は内部に装置本体2を備えている。装置本体2の前面は前面カバー3で覆われ、装置本体2の左右の両側面は側面カバー5、5で覆われ、装置本体2の背面は背面カバー7で覆われ、装置本体2の上面は上面カバー9で覆われている。
前面カバー3には、中央上部に正面視略長方形の開口11が形成されており、開口11には、略長方形のタッチパネル13が構成されている。
開口11の下側には、正面視で向かって右側に扉部70が設けられている。扉部70には、奥側に向かうにつれて内部側に傾斜する凹部75が設けられている。凹部75には、左右に側壁78(78a、78b)が形成され、凹部75の底部には観音開き扉71が設けられている。
観音開き扉71は、右扉72と左扉73とで構成されている。右扉および左扉は、それぞれ開口の両側縁を中心として開閉自在に支持されている。右扉72の中央軸72bの上部、左扉73の中央軸73bの上部には、右扉72および左扉73をそれぞれ閉じる方向に付勢するためのばね74(74a、74b)がそれぞれ設けられている。
開口11の下側には、正面視で向かって左側にボタン孔15が形成されている。ボタン孔15には、ボタン17が配置されている。
ボタン17の下部には、赤外線センサ19が配置されている。
扉部70の下部には、複数のスピーカ孔61が形成され、スピーカ孔61の後側には、スピーカ63が配置されている。
複数のスピーカ孔61の下部、すなわち、前面カバー3の中央下部には、USBの規格に従ったコネクタを有する差込口65が設けられている。差込口65には、差込口を被覆するための差込口カバー67が形成されている。
装置本体2は、ラックユニット81と、ラックユニット81の周囲を囲うフレームユニット83と、フレームユニット83の下部に設けられるメインプリント基板85と、ラックユニット81の下部に設けられる図3に示す各ギヤを設けたスライダーユニット87とを備える。
フレームユニット83の四隅には、柱8(8A〜8D)が立設されており、これら各柱8(8A〜8D)の上端部は、フレーム12で連結されている。柱8(8A〜8D)とフレーム12とは、本体枠2aを形成している。
図3に示すように、本体枠2aの内側には、中央軸35が配置されており、この中央軸35の周囲には、ラックユニット81が設けられている。ラックユニット81には、ラックユニット81の中心に対して偏位した状態で周方向に等間隔に4個のラック21(21A〜21D)が設けられている。偏位させてラック21(21A〜21D)を配置することで、中央軸35からラック21(21A〜21D)の前端までの距離を小さく形成することができ、これにより、服薬支援装置1を小型化できる。
ラック21(21A〜21D)は、一対のL字状の側壁部材を互いに対向して立設することで構成される。
ラック21(21A〜21D)には、上方の開口から、各カセット23(23A〜23D)が装填される。
服薬支援装置1の正面視で、中央から横に外れた位置に設けられる観音開き扉71と対向する位置には、ラック21Aが設けられている。
ラック21Aの背部には、ラック21Dが設けられており、ラック21Aの背部とラック21Dに向かって左側の側壁とは、所定の間隔δをあけて隣り合っている。ラック21Dは、服薬支援装置1の正面視で右側を前方となる向きに備えられている。
他のラック21(21A〜21D)についても、それぞれ同様に間隔δが設けられている。
この構成によれば、例えば、各ラック21(21A〜21D)を中央軸35を中心として十字型に4箇所設ける場合と比べ、ラックユニット81にラック21(21A〜21D)を複数配置しても、回転籠の半径を短くすることができ、服薬支援装置1を小型化できる。
ラック21(21A〜21D)には、各々カセット23(23A〜23D)が装填される。各カセット23(23A〜23D)には、縦に7個のピルケース27がそれぞれ収容され、各ピルケース27には図示を省略した薬剤が収容される。
各カセット23(23A〜23D)の前面下部には、図2、図6に示すように、ピルケース27が押し出される際に開閉するカバー24(24A〜24D)が設けられている。また、図4に示すように、各カセット23(23A〜23D)後面の中央部88は、縦に開口している。後述する移動装置30が最下段のピルケース27の後端部27Eを押すことができるよう、各カセット23(23A〜23D)後面の中央部88では、ピルケース27がむき出しに装填されている。
ラックユニット81にカセット23(23A〜23D)を介して装填された最下段のピルケース27は、後述する移動装置30により後端部27Eを押され、開閉自在のカバー24(24A〜24D)を開けて前方に押し出される。そして、ピルケース27は、観音開き扉71を介して、ユーザに提供される。
なお、各ピルケース27の後端部27Eの中央部には、図6に示すように、押し出されたピルケース27を引戻す引戻し爪95が引っ掛かるために設けられた窪み部27Aが設けられている。
各カセット23(23A〜23D)には、4種類の別異の塗色が施される。そして、この各カセット23(23A〜23D)に対応するピルケース27には同種色合いの塗色が施され、この塗色により設定時刻に服用する薬剤のピルケース27の誤配置が防止されている。
上面カバー9には、中央部から前方にかけて上面カバー9の形状に沿うカセット挿入部52が形成されている。カセット挿入部52の図2において右側には、カセットを挿入するための開口からなるカセット挿入口54が形成されている。各カセット23(23A〜23D)は、カセット挿入口54を介して装置本体2に出し入れされる。
カセット挿入部52には、カセット挿入口54と隣接する位置にセンサ穴56が形成されている。センサ穴56の内部には、不図示の蓋開閉検知センサが設けられている。
上面カバー9には、カセット挿入部52を開閉する上蓋51が設けられている。上蓋51は、上面カバー9の中央部側の基部53を中心として上下方向に開閉可能とされている。
上蓋51の表面51aには、略正方形の鍵凹部57が形成されており、鍵凹部57には、上蓋51が開閉されないようにロックするための鍵穴58が形成されている。
また、上蓋51の裏面51bには、上蓋51が閉じられた際にセンサ穴56に挿入される位置に突起55が形成されている。また、上蓋51の基部は、固定部品59で固定されている。
そして、上蓋51が閉じられ突起55がセンサ穴に挿入された状態で、蓋開閉検知センサが突起55を検知することで、上蓋51が閉じられていることを検出することができるように構成されている。また、上蓋51が開けられ、突起55がセンサ穴56から引き抜かれると、蓋開閉検知センサを介して上蓋51が開けられたことが検出される。本実施の形態では、後述するように、カセット23(23A〜23D)を装填したラックユニット81が回転するが、上蓋51が開けられた状態では、ラックユニット81が回転しないよう制御されている。
この服薬支援装置1では、一人のユーザに対し、薬剤7日分が管理される一例を説明する。この場合、所定の時刻になると、例えばカセット23Aに収納された最下段のピルケース27が観音開き扉71から押し出される。ユーザは、押し出されたピルケース27を手で取り出し、その薬剤を服用する。次の時刻になると、例えばカセット23Dに収納されたピルケース27が観音開き扉71から押し出される。
ユーザは、手で取り出し、その薬剤を服用する。ユーザは、この服用を繰り返して、1日に4回、設定時刻に服用する薬剤を服用できる。設定時刻としては、例えば、朝食後、昼食後、夕食後、就寝前の4回を設定することができる。
つぎに、ラックユニット81を回転させる機構について説明する。
ラックユニット81は、モータ117により回転駆動される。
図3に示すように、モータ117のウォームギア117Aには二段ギヤ118のギヤ118Aが噛み合う。この二段ギヤ118のギヤ118Bは、二段ギヤ119のギヤ119Aに噛み合い、二段ギヤ119のギヤ119Bには、二段ギヤ120のギヤ120Aが噛み合う。二段ギヤ120のギヤ120Bは、ギヤ121に噛み合い、ギヤ121は、小ギヤ122とも噛み合う。小ギヤ122は、ラックユニット81に設けられるラックユニットギヤ123とも噛み合う。
したがって、モータ117が回転駆動されると、二段ギヤ118、二段ギヤ119、二段ギヤ120、ギヤ121、小ギヤ122を介してラックユニットギヤ123が回転する。ラックユニットギヤ123の回転により、ラックユニット81が回転する。
ラック21(21A〜21D)は、ラックユニット81がモータ117により回転駆動されることで、周方向に移動可能とされ、前面カバー3のすぐ裏側に位置することになるラック21(21A〜21D)は、観音開き扉71に対向するように構成されている。
ラック21Aの後方かつ下方であり、観音開き扉71に対向する方向の位置には、ピルケース27を押し出し、引き戻すための、移動装置30が固定配置されている。
この移動装置30は、モータ140により往復動される。モータ140のウォームギア140Aには、二段ギヤ141のギヤ141Aが噛み合う。この二段ギヤ141のギヤ141Bはギヤ142に噛み合い、ギヤ142は、二段ギヤ143のギヤ143Bが噛み合う。二段ギヤ143のギヤ143Bは、二段ギヤ144のギヤ144Aとも噛み合う。二段ギヤ144のギヤ144Bは、押出し・引戻しギヤ145に噛み合うように設けられている。押出し・引戻しギヤ145は、移動装置30に連結されている。
したがって、モータ140が回転駆動されると、二段ギヤ141、ギヤ142、二段ギヤ143、二段ギヤ144を介して押出し・引戻しギヤ145が上面視では矢印Xの前後方向に往復動する。押出し・引戻しギヤ145の往復動により、移動装置30が往復動する。
つぎに、ピルケースの移動装置30について説明する。
図4は、移動装置30とピルケース27入りのカセット23(23A〜23D)が装填された状態のラック21(21A〜21D)との初期位置を示す上面図である。図5は、移動装置30の待機位置を示す斜視図である。図6は、移動装置30による最下段のピルケース27の押出し動作を示す側面図である。
図5に示すように、移動装置30の左右両端側には、それぞれ案内機構102が設けられており、それぞれの案内機構102には、前案内レール105と、後ろ案内レール107とが設けられている。
前案内レール105は、移動装置30が前後、上下に移動する場合に前案内ピン90を案内する案内レールである。前案内レール105は、後端部に水平面と略水平にのびるピン留め部105aと、ピン留め部105aの前端から前方にかけて側面視で傾斜しながら上昇する上昇部105bと、上昇部105bの前端から水平面と略水平にのびるスライド部105cと、スライド部105cの前端から前方にかけて側面視で傾斜しながら下降する下降部105dとで構成されている。
後ろ案内レール107は、移動装置30が前後、上下に移動する場合に後ろ案内ピン96を案内する案内レールである。後ろ案内レール107は、後端部に水平面と略水平にのびるピン留め部107aと、ピン留め部107aの前端から前方にかけて側面視で傾斜しながら上昇する上昇部107bと、上昇部107bの前端から略水平にのびるスライド部107cとで構成されている。
案内機構102の内側であり、前案内レール105の上昇部105bとスライド部105cの上方位置には、ピルケース支え92の昇り案内ピン101を案内する支え部案内レール109が設けられている。支え部案内レール109の後端部には、支え部案内レール109の後端にかけて傾斜する傾斜面109aが設けられている。
案内機構102に案内される移動装置30は、移動装置本体91と、移動装置本体91の後部に設けられているピルケース支え92とで構成されている。
移動装置本体91の前側上部には、移動装置本体91の上部から略垂直に立ち上がるピルケース引戻し爪95が設けられている。ピルケース引戻し爪95の後方には、移動装置本体91の上部から略垂直に立ち上がる、最下段のピルケース27を押し出すための押出し材(押出し部)100が設けられている。
また、移動装置本体91の前端下部には、前案内ピン90が設けられている。前案内ピン90は、前案内レール105案内される。
また、移動装置本体91の後部には、ピン98が設けられている。
また、図4に示すように、移動装置本体91には、カセット検知レバー97と、カセット検知レバーの内側に設けられているピルケース検知レバー99とが設けられている。また、検知センサ部93には、カセット検知レバー97がカセット23(23A〜23D)に当接したかを判断し、カセット23(23A〜23D)の有無を検知する不図示のカセット検知センサと、ピルケース検知レバー99がピルケース27の後端部27Eに当接したかを判断し、ピルケース27の有無を検知する不図示のピルケース検知センサ(検知センサ)とが設けられている。
仮に、カセット検知センサを設けない場合には、カセット23(23A〜23D)を検知することができないため、ピルケース検知センサがピルケースを検知しないときに、カセット23(23A〜23D)内のピルケース27が空になった状態か、或いは、ラック21(21A〜21D)にカセット23(23A〜23D)が装着されていない状態かを、判定できない。
本実施形態では、カセット検知センサ、ピルケース検知センサを設けたことで、ピルケース27が装填されていない空カセットを容易に識別できる。
また、本実施形態では、カセット検知センサ及びピルケース検知センサを移動装置30に設けることで、カセット検知センサ、ピルケース検知センサを一箇所にまとめて配置でき、コストの低減、配線の簡易化等が図れる。
ピルケース支え92の前端上部には、側面視で略L字型のピルケース支えアーム92aが設けられており、ピルケース支え92の後端下部には、後ろ案内ピン96が設けられている。また、ピルケース支え92の中央部には、昇り案内ピン101が設けられている。ピルケース支え92は、後ろ案内ピン96を基点に、上側に移動自在となるように構成されている。
移動装置30と隣接する位置には、案内部94が設けられている。案内部94には、ピン98が嵌めこまれており、ピン98を上下にスライドさせることで移動装置本体91の上下の動きを案内する上下案内レール103が設けられている。
図9は、服薬支援装置1の機能的構成を示すブロック図である。
図9に示すように、服薬支援装置1は、制御部200と、モータ駆動回路201と、記憶部202と、扉開閉検出センサ203と、押出し機構位置検出センサ204と、操作部210と、を備える。
制御部200は、CPUや、ROM、RAM、その他周辺回路を備える。制御部200は、事前にインストールされた制御プログラムを読み出して実行することにより、服薬支援装置1の各部を制御する。
制御部200は、機能ブロックとして、扉開閉検出部200aと、押出し機構位置検出部200bと、ピルケース取り出し判断部200cとを備える。各機能ブロックの機能は、CPUが、所定の制御プログラムを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。各機能ブロックの機能、及び、処理については後述する。
モータ駆動回路201は、モータドライバ等の駆動回路を備え、制御部200の制御に従って、モータ117に駆動電流や駆動パルスを出力して、モータ117を駆動する。上述したように、モータ117の駆動に従って、ラックユニット81が回転駆動する。
また、モータ駆動回路201は、制御部200の制御に従って、モータ140に駆動電流や駆動パルスを出力して、モータ140を駆動する。上述したように、モータ140の駆動に従って、移動装置30が所定の方向に移動する。
記憶部202は、不揮発性メモリを備え、各種データを書き換え可能に記憶する。記憶部202は、履歴ファイルLFを記憶する。履歴ファイルLFについては後述する。
扉開閉検出センサ203は、観音開き扉71が閉状態か、開状態かに応じて、制御部200に異なる信号を出力するセンサである。制御部200の扉開閉検出部200aは、扉開閉検出センサ203からの入力に基づいて、観音開き扉71が開状態か、閉状態かを検出する。
扉開閉検出センサ203は、発光部と受光部とを備え、観音開き扉71の状態に応じて、受光部の検出値が変化する光センサであってもよい。また、扉開閉検出センサ203は、観音開き扉71の状態に応じて、スイッチの状態が変化し、スイッチの状態に応じて出力が変化する機械式センサであってもよい。すなわち、扉開閉検出センサ203は、観音開き扉71の状態を検出可能なセンサであれば、その形態を問わない。
押出し機構位置検出センサ204は、移動装置30が、上述した待機位置に位置しているか、カセット検知位置(後述)に位置しているか、又は、ストローク限界の位置である押出完了位置(後述)に位置しているかに応じて、制御部200に異なる信号を出力するセンサである。制御部200の押出し機構位置検出部200bは、押出し機構位置検出センサ204からの入力に基づいて、移動装置30が、待機位置に位置していること、カセット検知位置に位置していること、及び、押出完了位置に位置していることを検出する。
押出し機構位置検出センサ204は、発光部と受光部とを備え、移動装置30の位置に応じて、受光部の検出値が変化する光センサであってもよい。また、押出し機構位置検出センサ204は、移動装置30の位置に応じて、スイッチの状態が変化し、スイッチの状態に応じて出力が変化する機械式センサであってもよい。すなわち、押出し機構位置検出センサ204は、移動装置30の位置を検出可能なセンサであれば、その形態を問わない。
つぎに、移動装置30が、ピルケース27を押出し、引戻す作用について説明する。
まず、カセット23(23A〜23D)の配置の動作を説明する。
まず、1個目のカセット23(23A〜23D)が、上面カバー9の上蓋51をあけて、カセット挿入口54から、ラックユニット81のラック21(21A〜21D)にセットされる。上蓋51はラック21(21A〜21D)の真上に位置している。上蓋51が開けられると、図示を省略した制御装置の制御フローに従い、移動装置30が、カセット検知位置まで前進する。
次に、ユーザは、カセット23(23A〜23D)に収容した最下段のピルケース27を、観音開き扉71から排出させる時間データを入力する。そして、ラックユニット81を回転させるボタン(不図示)を押す。このボタンが押されると、カセット検知センサ、ピルケース検知センサにより、カセット23(23A〜23D)およびピルケース27の存在が検知されたことを条件に、移動装置30が、カセット検知位置から待機位置へと戻り、そののちに、ラックユニット81が時計回りに回転する。次のラック21(21A〜21D)が、上蓋51の真下に到達すると、ラックユニット81が回転を停止する。ラックユニット81が停止すると、移動装置30が、カセット検知位置まで前進する。次のカセット23(23A〜23D)を、次のラック21(21A〜21D)に装着すると、ユーザは、次のカセット23(23A〜23D)に収容した最下段のピルケース27を、観音開き扉71から排出させる時間データを入力する。そして、ラックユニット81を回転させるボタン(不図示)を押す。この操作が4個のカセット23(23A〜23D)の装着を完了するまで継続される。
つぎに、図6、図7を参照し、移動装置30が、カセット23(23A〜23D)に充填された最下段のピルケース27を押出す動作について説明する。図6は、移動装置30による最下段のピルケース27の押出し動作を示す図である。また、図7は、移動装置30による最下段のピルケース27の押出し動作に伴う、ピルケース支え92の動作を示す図である。
図6(A)、図7(A)は、移動装置30の待機位置を示す。
図6(B)に示すように、移動装置30が前進すると、移動装置30は、前案内ピン90が前案内レール105の上昇部105bに沿って上昇し、同時に、後ろ案内ピン96が後ろ案内レール107の上昇部107bに沿って上昇する。
図6(C)に示すように、移動装置30が、上昇部105b、107bの最上部まで上昇すると、間隔δ(図2、図3参照。)に押出し部100が入り込む。押出し部100は、最下段のピルケース27の後端部27Eに当接している。このとき、移動装置本体91はラックユニット81の下側に位置しており、押出し部100がラックユニット81の上側に突出する。また、このとき、ピルケース引戻し爪95は、最下段のピルケース27の窪み部27Aに入り込んでいるが、窪み部27Aを構成する壁部には当接していない。
ピルケース引戻し爪95は、最下段のピルケース27の押出し動作に機能しない。ただし、押出し部100が、最下段のピルケース27を押し出す途中にあっては、ピルケース引戻し爪95が最下段のピルケース27の窪み部27Aに嵌まっているため、最下段のピルケース27を手前側に引き抜こうとしても、引き抜くことはできない。
移動装置30が前方に進むにつれて上昇する際、ピン98が、上下案内レール103に沿って上昇する。
以下、図6(C)で示す移動装置30に設けられた押出し部100がピルケース27と当接する位置を「カセット検知位置」と表現する。
移動装置30が最下段のピルケース27と当接する際には、図4に示すカセット検知レバー97がカセット23(23A〜23D)後端の左端部に当接する。このとき、カセット検知レバー97がカセット23(23A〜23D)に当接しない場合には、カセット23(23A〜23D)がラック21(21A〜21D)に装填されていないと判断される。
また、移動装置30が最下段のピルケース27と当接する際には、ピルケース検知レバー99がピルケース27の後端部27Eに当接する。このとき、ピルケース検知レバー99がピルケース27の後端部27Eに当接しない場合には、カセット23(23A〜23D)にピルケース27が装填されていないと判断される。
図7(B)に示すように、移動装置30がスライド部105c、107cに沿って前進すると、ピルケース支え92も後ろ案内レール107のスライド部107cに沿って前進する。そして、図7(C)に示すように、昇り案内ピン101が、支え部案内レール109(図5、図7参照。)の傾斜面109aに沿って上昇する。そのため、ピルケース支えアーム92aが上昇する。
図6(D)に示すように、前案内ピン90が前案内レール105のスライド部105cに沿って前進し、同時に、後ろ案内ピン96が後ろ案内レール107のスライド部107cに沿って前進すると、押出し部100が最下段のピルケース27の後端部27Eを押し出す。
このとき、図7(D)に示すように、昇り案内ピン101が、支え部案内レール109(図5、図7参照。)の上面109bに移動し、ピルケース支えアーム92aの位置は固定される。ピルケース支えアーム92aは、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27の底面27Dに当接しており、最下段のピルケース27を押し出した場合にも、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27を支えることで、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27の落下を防止できる。
図6(E)は、移動装置30の前進が完了し、ストローク限界に対応する位置(以下、「押出完了位置」という。)に至った状態を示す。
移動装置30のストローク限界においては、図6(E)に示すように、押出し部100が、最下段のピルケース27を所定の寸法だけ押し出す。この際には、ピルケース27の前端部27Cが、観音開き扉71を押し退けて、観音開き扉71の外側に突出する。
このとき、前案内ピン90が前案内レール105の下降部105dに沿って下降し、同時に、後ろ案内ピン96が後ろ案内レール107のスライド部107cの前端まで移動する。移動装置30は、前案内ピン90が下降部105dに沿って下降しているため、前側に傾斜している。移動装置30が前側に傾斜しているため、ピルケース引戻し爪95と最下段のピルケース27の窪み部27Aとの係合が解除される。ピルケース支えアーム92aは、図6(D)の状態に引き続いて、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27の底面27Dを支えている。
この状態では、ピルケース引戻し爪95と最下段のピルケース27の窪み部27Aとの係合が解除されているため、ピルケース引戻し爪95がピルケース27の取り出しを妨げることがなく、ユーザがピルケース27を取り出すことができる。
この実施形態では、押出し部100が、最下段のピルケース27の後端部27Eに当接して、最下段のピルケース27を押し出すため、一旦、最下段のピルケース27が押し出された後には、ユーザが、誤って最下段のピルケース27をカセット23(23A〜23D)内に押し込むなどしても、最下段のピルケース27がカセット23(23A〜23D)内に押し込まれることがない。
つぎに、最下段のピルケース27がユーザに取り出された状態について説明する。
最下段のピルケース27がユーザに取り出し可能な状態は図6(E)に示すように、ピルケース支えアーム92aが、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27の底面27Dに当接しているため、最下段のピルケース27をユーザが取り出したとしても、最下段のピルケース27よりも上に重ねられているピルケース27は、ピルケース支えアーム92aにより支えられ、ピルケース支えアーム92aの後退とともに、ゆっくりと降下する。
つぎに、移動装置30により押出された最下段のピルケース27が、所定時間を経過してもユーザによって取り出されなかった場合における最下段のピルケース27の引戻し動作について図6を参照し、説明する。
この場合には、最下段のピルケース27を押出す場合とは逆の動作、すなわち、図6(E)、(D)、(C)、(B)、(A)の動作をたどり、最下段のピルケース27はカセット23(23A〜23D)に引戻される。
最下段のピルケース27を押出す場合には、押出し部100が最下段のピルケース27の後端部27Eを押し出したが、最下段のピルケース27をカセット23(23A〜23D)に引戻す際には、ピルケース引戻し爪95が最下段のピルケース27の窪み部27Aの後ろ壁108に当接し、移動装置30の後退とともに、最下段のピルケース27が引戻される。
最下段のピルケース27をカセット23(23A〜23D)に引戻した移動装置30は、図6(A)の待機位置に移動し、停止配置される。
この構成によれば、最下段のピルケース27がユーザの手元に渡らない場合、最下段のピルケース27がカセット23(23A〜23D)の外に放置されず、誤飲が防止できる。
図8は、ピルケース27が上述した移動装置30により押し出されるときの、観音開き扉71と、ピルケース27との関係を示す図である。図8は、説明の便宜を考慮して、各部材を、単純化し模式的に表している。
なお、以下の説明では、左扉73及び右扉72に、これら扉を回動させる力が加わっておらず、観音開き扉6が閉じられた状態のことを「閉状態」という。一方、左扉73及び右扉72に、これら扉を回動させる力が加わっており、観音開き扉が少しでも開いた状態のことを「開状態」という。
移動装置30が待機位置に位置している場合、図8(A)に示すように、ピルケース27と、観音開き扉71とは離間しており、観音開き扉71は閉状態である。
移動装置30によるピルケース27の押出しに応じてピルケース27が前進すると、図8(B)に示すように、ピルケース27の前端部27Cが、観音開き扉71の裏側に接触し、さらにピルケース27が前進すると、ピルケース27の前端部27Cが左扉73及び右扉72に当接しつつ、これら扉を前方へ向かって付勢する。ピルケース27の前端部27Cによる付勢に応じて、左扉73及び右扉72は、右扉72の中央軸72b、左扉73の中央軸73bRを中心として回動し、これら扉の回動に応じて、図8(C)に示すように、観音開き扉71が徐々に開いていく。
移動装置30が、ストローク限界の位置である押出完了位置に至ると、図8(D)に示すように、ピルケース27の前端部27Cが、左扉73及び右扉72の先端を超えて突出した状態となる。この状態では、左扉73及び右扉72のそれぞれの先端が、ピルケース27の側面に係止し、観音開き扉71が開かれた状態が維持される。この状態となった後、上述したように、ユーザは、ピルケース27の前端部27Cを手で掴んで、ピルケース27をカセット23(23A〜23D)から取り出すことができる。
ユーザによってピルケース27が服薬支援装置1の筐体の外に取り出されると、左扉73及び右扉72のそれぞれが、ばね74(74a、74b)(図2参照)によって、閉じる方向に付勢される。この結果、図8(E)に示すように、観音開き扉71は、閉状態となる。
つぎに、服薬支援装置1の動作を説明する。
図10は、履歴の記録に関する服薬支援装置1の動作を示すフローチャートである。
なお、図10のフローチャートの開始時点では、所定の手段によって、ピルケース27を押し出す時刻(以下、「設定時刻」という。)と、押し出す対象とするピルケース27が収納されたカセット23(23A〜23D)の識別情報とが設定され、設定時刻とカセット23(23A〜23D)の識別情報とが対応付けて、所定の設定ファイルに記録された状態である。カセット23(23A〜23D)の識別情報とは、カセット23A〜23Dの識別に用いる情報であり、カセット23A〜23Dのそれぞれに異なる値の識別情報が割り振られる。
図10に示すように、服薬支援装置1の制御部200は、設定ファイルに記録された情報に基づいて、設定時刻が到来したか否かを監視する(ステップSA1)。
設定時刻が到来した場合(ステップSA1:YES)、制御部200は、モータ駆動回路201を制御して、モータ117、及び、モータ140を駆動し、所定のカセット23(23A〜23D)に収納されたピルケース27を押し出す処理(以下、「排出処理」という。)を実行する(ステップSA2)。
排出処理の実行中、移動装置30は、待機位置から、カセット検知位置を経由して、押出完了位置に至るまで移動する。移動装置30の移動に伴って、観音開き扉71は、閉状態から、開状態へと移行する。
ステップSA2の排出処理により、移動装置30が押出し完了位置に至り、ユーザによるピルケース27の取り出しが可能な状態となると、制御部200は、経過時間の計時を開始する(ステップSA3)。
次いで、制御部200は、経過時間の計時を開始してから、予め定められた所定期間が経過したか否かを監視しつつ(ステップSA5)、所定期間の経過前に、ユーザによりピルケース27が取り出されたか否かを監視する(ステップSA4)。
以下、ステップSA4の処理について詳述する。
ステップSA4において、制御部200のピルケース取り出し判断部200cは、以下の方法で、ユーザによってピルケース27が取り出されたか否かを検出する。
すなわち、ステップSA4で、ピルケース取り出し判断部200cは、扉開閉検出センサ203からの入力に基づく扉開閉検出部200aの検出結果、及び、押出し機構位置検出センサ204からの入力に基づく押出し機構位置検出部200bの検出結果に基づいて、移動装置30の位置、及び、観音開き扉71の状態を監視する。そして、ピルケース取り出し判断部200cは、移動装置30が押出し完了位置に位置している状態で、かつ、観音開き扉71が開状態の場合、ピルケース27の取り出しが行われていないと判別する。
一方、ピルケース取り出し判断部200cは、移動装置30が押出完了位置に位置している状態で、かつ、観音開き扉71が閉状態の場合、ピルケース27の取り出しが行われたと判別する。ここで、図8(E)に示すように、ピルケース27の取り出しが行われると、移動装置30が押出完了位置に至った状態のまま、観音開き扉71が閉状態へ移行する。このため、ピルケース取り出し判断部200cは、移動装置30が押出完了位置に位置している状態で、かつ、観音開き扉71が閉状態となったことを検出することにより、ユーザによりピルケース27の取り出しが行われたことを検出できる。
このように、本実施形態では、ピルケース取り出し判断部200cは、ピルケース27が、移動装置30の移動により押し出されること、及び、ピルケース27の押出しに伴って観音開き扉71の状態が変化することを利用して、ピルケース27の取り出しの有無を検出する。このため、ピルケース取り出し判断部200cは、服薬支援装置1の構造上の特徴を活用してピルケース27の取り出しの有無を的確に検出でき、また、服薬支援装置1にピルケース27の取り出しの有無を検出するための専用の機構を設ける必要がなく、製造コストの低減、及び、小型化を実現できる。
経過時間の計時を開始してから所定期間が経過する前に、ピルケース27が取り出された場合(ステップSA4:YES)、制御部200は、記憶部202が記憶する履歴ファイルLFに履歴情報を記録する(ステップSA6)。
ステップSA6で履歴ファイルLFに記録される履歴情報は、例えば、ピルケース27が押し出された時刻を示す情報や、ピルケース27が取り出されたことを示す情報、ピルケース27が取り出された時刻を示す情報、ピルケース27が取り出されたカセット23(23A〜23D)の識別情報等である。このような情報を履歴情報として履歴ファイルLFに記録することにより、ユーザは、所定の手段で履歴ファイルLFに記録された情報を参照して、ピルケース27の取り出しに関する有益な情報を得ることができる。
一方、ピルケース27が取り出されることなく、経過時間の計時を開始してから所定期間が経過した場合(ステップSA5:YES)、制御部200は、モータ駆動回路201を制御して、モータ140を駆動し、ピルケース27をカセット23(23A〜23D)に引き戻す処理を実行する(ステップSA7)。
ピルケース27のカセット23(23A〜23D)への引き戻しに応じて、移動装置30が押出完了位置から待機位置へ移動すると共に、観音開き扉71が開状態から閉状態へ移行する。制御部200のピルケース取り出し判断部200cは、扉開閉検出センサ203からの入力に基づく扉開閉検出部200aの検出結果、及び、押出し機構位置検出センサ204からの入力に基づく押出し機構位置検出部200bの検出結果に基づいて、移動装置30の押出し完了位置から待機位置への移動に応じて観音開き扉71が開状態から閉状態へ移行したことを検出することによって、ユーザによるピルケース27の取り出しが行われなかったことを検出する。
次いで、制御部200は、記憶部202が記憶する履歴ファイルLFに履歴情報を記録する(ステップSA8)。
ステップSA8で履歴ファイルLFに記録される履歴情報は、例えば、ピルケース27が押し出された時刻を示す情報や、ピルケース27が取り出されなかったことを示す情報、押し出されたピルケース27が収納されたカセット23(23A〜23D)の識別情報等である。このような情報を履歴情報として履歴ファイルLFに記録することにより、ユーザは、所定の手段で履歴ファイルLFに記録された情報を参照して、ピルケース27の取り出しに関する有益な情報を得ることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、移動装置30をラックユニット81よりも下側に設けたため、例えばピルケース27の後方に移動装置30を設けるなど、横並びにピルケース27と移動装置30とを配置する必要がなく、ピルケース27と移動装置30とを縦方向に並べて配置することができるため、服薬支援装置1を小型化できる。
また、本実施の形態によれば、服薬支援装置1の中央部に中央軸35を備え、中央軸35の周囲にラックユニット81を備え、移動装置30をラックユニット81の下側に備えた。そのため、移動装置30は、服薬支援装置1の中央部には配置されず、中央部から外れた位置に配置される。
この構成によれば移動装置30に対向する位置に配置されるピルケース27が服薬支援装置1の中央部から外れた位置に配置され、ピルケース27と対向する位置に配置される観音開き扉71も、服薬支援装置1の中央部から外れた位置に設けられる。
そのため、移動装置30を服薬支援装置1の中央の設ける場合と比べ、円状に回転するラックユニット81にラック21(21A〜21D)を複数配置しても、ラックユニット81の半径を短くすることができ、服薬支援装置1を小型化できる。
また、本実施の形態によれば、ラック21(21A〜21D)をラックユニット81の中心に対して偏位した状態で周方向に等間隔に4箇所配設したため、ラックユニット81を円状に構成したうえで、ラックユニット81にラック21(21A〜21D)を効率よく配置でき、ラックユニット81の半径を、短くすることができ、服薬支援装置1を小型化できる。
また、本実施の形態によれば、ラック21Aの後端部と、ラック21Aから見てラック21Aの後ろ側に設けられているラック21Dとの間には、わずかな間隔δ(図2、図3参照。)が設けられ、押出し部100は、間隔δに入り込むことが可能な薄さに構成されている。
この構成によれば、移動装置30をラックユニット81の下側にとどめたまま、最下段のピルケース27を押し出すことができ、最下段のピルケース27の押出し時にもピルケース27と移動装置30とを横並びに配置する必要がない。また、押出し部100は、薄く構成されているため、間隔δを広く設ける必要がなく、ラック21(21A〜21D)間の間隔を最小限にとどめることができる。そのため、服薬支援装置1を小型化できる。
また、本実施の形態によれば、移動装置30が最下段のピルケース27を押出す際に、ピルケース支えアーム92aが、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27の底面27Dに当接する。
この構成によれば、移動装置30をラックユニット81の下側にとどめたまま、最下段のピルケース27を押し出すとともに、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27の落下を防止できる。
また、ピルケース支えアーム92aは、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27を支えていることから、引戻し処理を行う際に、最下段のピルケース27の一段上に装填されているピルケース27の重量を軽減でき、より引戻し処理を円滑に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、案内機構102に、前案内レール105の上昇部105bと後ろ案内レール107の上昇部107bとを備えた。
この構成によれば、移動装置30が最下段のピルケース27を押出す際に、移動装置30が斜め前に移動するため、上下と前後に2つの案内レールを備える必要がない。そのため、構成を単純化でき、製造を容易にできる。
また、本実施の形態によれば、前案内レール105の前端部に下降部105dを備えた。
この構成によれば、移動装置30が最下段のピルケース27の押出しを完了した際に、ピルケース引戻し爪95が最下段のピルケース27の窪み部27Aから外れているため、ピルケース引戻し爪95がピルケース27の取り出しを妨げることがない。
また、本実施の形態によれば、案内機構102が、移動装置30の両側に側壁として設けられている。
この構成によれば、移動装置30の押し出し・引き戻し動作をぶれなく行うことができ、最下段のピルケース27を安定して排出できる。
<変形例>
つぎに、履歴の記録に関する変形例について説明する。
図11は、変形例に係る服薬支援装置1の機能的構成を示すブロック図である。
以下、変形例に係る服薬支援装置1の機能的構成について、上述した実施形態に係る服薬支援装置1の機能的構成と同様の機能的構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図11と図9との比較によって明らかなとおり、変形例に係る服薬支援装置1は、操作部210と音声出力部211とを備える。
操作部210は、ユーザが服薬支援装置1からピルケース27を排出させる場合に操作されるボタン17に対する操作を検出し、制御部200に出力する。制御部200は、操作部210からの入力に基づいて、ユーザによりボタン17が操作されたことを検出する。
音声出力部211は、電子ブザー213を出力する。音声出力部211は、制御部200の制御で、電子ブザー213を駆動して所定の電子音を音声出力する。
図12は、変形例に係る服薬支援装置1の動作を示すフローチャートである。
なお、図12のフローチャートの開始時点では、設定時刻と、押し出す対象とするピルケース27が収納されたカセット23(23A〜23D)の識別情報とが設定され、設定時刻とカセット23(23A〜23D)の識別情報とが対応付けて、所定の設定ファイルに記録された状態である。
図12に示すように、服薬支援装置1の制御部200は、設定ファイルに記録された情報に基づいて、設定時刻が到来したか否かを監視する(ステップSB1)。
設定時刻が到来した場合(ステップSB1:YES)、制御部200は、音声出力部211を制御して、電子ブザー213により電子音を音声出力し、ユーザに、設定時刻が到来したことを報知する(ステップSB2)。
次いで、制御部200は、第1の経過時間の計時を開始する(ステップSB3)。
次いで、制御部200のピルケース取り出し判断部200cは、第1の経過時間の計時を開始してから、予め定められた第1の所定期間が経過したか否かを監視しつつ(ステップSB5)、第1の所定期間の経過前に、ユーザによりボタン17が操作されたか否かを監視する(ステップSB4)。
第1の所定期間は、ユーザが、服薬支援装置1に備えられたボタン17を操作可能な期間である。例えば、第1の所定期間は、設定時刻が「12:00」の場合に、「12:00」〜「13:00」の1時間である。ユーザは、第1の所定期間が経過する前の任意のタイミングで、ボタン17を操作して、ピルケース27を排出させて、ピルケース27に収納された薬剤を取得できる。
ボタン17が操作されることなく、第1の経過時間の計時を開始してから第1の所定期間が経過した場合(ステップSB5:YES)、ピルケース取り出し判断部200cは、記憶部202が記憶する履歴ファイルLFに履歴情報を記録する(ステップSB6)。
ステップSB6で履歴ファイルLFに記録される履歴情報は、例えば、電子音の音声出力を開始した時刻を示す情報や、ピルケース27が取り出されなかったことを示す情報、押し出されたピルケース27が収納されたカセット23(23A〜23D)の識別情報等である。このような情報を履歴情報として履歴ファイルLFに記録することにより、ユーザは、所定の手段で履歴ファイルLFに記録された情報を参照して、ピルケース27の取り出しに関する有益な情報を得ることができる。
一方、第1の経過時間の計時を開始してから第1の所定期間が経過する前に、ピルケース27が取り出された場合(ステップSB4:YES)、制御部200は、上述した排出処理を実行する(ステップSB7)。
排出処理の実行中、移動装置30は、待機位置から、カセット検知位置を経由して、押出完了位置に至るまで移動する。移動装置30の移動に伴って、観音開き扉71は、閉状態から、開状態へと移行する。
ステップSB7の排出処理により、移動装置30が押出し完了位置に至り、ユーザによるピルケース27の取り出しが可能な状態となると、制御部200は、第2の経過時間の計時を開始する(ステップSB8)。
次いで、制御部200は、第2の経過時間の計時を開始してから、予め定められた第2の所定期間が経過したか否かを監視しつつ(ステップSB10)、第2の所定期間の経過前に、ユーザによりピルケース27が取り出されたか否かを監視する(ステップSB9)。
第2の所定期間は、上述した第1の所定期間内に、ユーザが服薬支援装置1に備えられるボタン17を操作し、所定のピルケース27を排出させて、ユーザがピルケース27を取り出し可能な期間である。
例えば、第2の所定期間がユーザにより1分と設定されている場合、制御部200は、ピルケース27が取り出し可能な状態になってから、ユーザがピルケース27を取り出すことなく1分経過したら、ピルケース27の引き戻し処理を実行する。このように、ピルケース27が取り出し可能な状態となった後、ユーザによりピルケース27が取り出されることなく第2の所定期間が経過したらピルケース27を引き戻すことにより、ピルケース27が取り出し可能な状態で長時間放置されることを防止でき、また、ユーザ以外の第三者に誤ってピルケース27が取り出されてしまうことを防止できる。
ステップSB9において制御部200のピルケース取り出し判断部200cは、ピルケース27が取り出されたか否かの判別を、上述した実施形態と同様の方法で実行する。これにより、上述した実施形態で説明したように、ピルケース取り出し判断部200cは、服薬支援装置1の構造上の特徴を活用してピルケース27の取り出しの有無を的確に検出でき、また、服薬支援装置1にピルケース27の取り出しの有無を検出するための専用の機構を設ける必要がなく、製造コストの低減、及び、小型化を実現できる。
経過時間の計時を開始してから所定期間が経過する前に、ピルケース27が取り出された場合(ステップSB9:YES)、制御部200は、記憶部202が記憶する履歴ファイルLFに履歴情報を記録する(ステップSB11)。
ステップSB11で履歴ファイルLFに記録される履歴情報は、例えば、電子音の音声出力を開始した時刻を示す情報や、ピルケース27が押し出された時刻を示す情報、ピルケース27が取り出されたことを示す情報、ピルケース27が取り出された時刻を示す情報、ピルケース27が取り出されたカセット23(23A〜23D)の識別情報等である。このような情報を履歴情報として履歴ファイルLFに記録することにより、ユーザは、所定の手段で履歴ファイルLFに記録された情報を参照して、ピルケース27の取り出しに関する有益な情報を得ることができる。
一方、ピルケース27が取り出されることなく、第2の経過時間の計時を開始してから第2の所定期間が経過した場合(ステップSB10:YES)、制御部200は、モータ駆動回路201を制御して、モータ140を駆動し、ピルケース27をカセット23(23A〜23D)に引き戻す処理を実行する(ステップSB12)。
ピルケース27のカセット23(23A〜23D)への引き戻しに応じて、移動装置30が押出完了位置から待機位置へ移動すると共に、観音開き扉71が開状態から閉状態へ移行する。制御部200のピルケース取り出し判断部200cは、扉開閉検出センサ203からの入力に基づく扉開閉検出部200aの検出結果、及び、押出し機構位置検出センサ204からの入力に基づく押出し機構位置検出部200bの検出結果に基づいて、移動装置30の押出し完了位置から待機位置への移動に応じて観音開き扉71が開状態から閉状態へ移行したことを検出することによって、ユーザによるピルケース27の取り出しが行われなかったことを検出する。
ピルケース27をカセット23(23A〜23D)へ引き戻した後、制御部200は、処理手順をステップSB4へ戻し、再び、第1の所定期間が経過したか否かを監視すると共に、第1の所定期間の経過前にボタン17が操作されたか否かを監視する。
なお、変形例では、音声出力により、設定時刻が到来したことをユーザに報知していたが、例えば、所定の表示手段による表示や、振動によって、ユーザへの報知を行ってもよい。
以上、一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。あくまでも本発明の一実施の態様を例示するものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更、及び応用が可能である。
例えば、本実施の形態では、移動装置30を案内する案内機構102に、斜め前方にかけて傾斜する前案内レール105の上昇部105bと後ろ案内レール107の上昇部107bとを備えたが、上下に移動する案内レールと、前後に移動する案内レールとを併用してもよい。
この構成によれば、縦並びにピルケース27と移動装置30とを配置することもでき、服薬支援装置1をより小型化できる。
また、本実施の形態では、押出し部100が、最下段のピルケース27の後端部27Eを押出すが、押出し部100が必ずしも最下段のピルケース27の後端部27Eを押さずとも、引き戻し爪95と一体化してもよい。
また、上述した実施形態、および、実施形態の変形例において、履歴ファイルLFに記録する履歴情報を例示したが、履歴情報は例示したものに限らない。例えば、カセット23(23A〜23D)を交換した時刻を示す情報を履歴情報として履歴ファイルLFに記録してもよく、また、ユーザが所定の操作をすることによって任意のタイミングでピルケース27を取り出させる構成とした上で、ユーザが所定の操作を行った時刻を示す情報や、ユーザがピルケース27を取り出した時刻を示す情報を履歴情報として履歴ファイルLFに記録してもよい。
また、上述した実施形態、及び、実施形態の変形例では、制御部200は、移動装置30の位置、及び、観音開き扉71の状態に基づいて、ピルケース27の取り出しが行われたか否かを検出していた。しかしながら、この構成に限らず、カバー24(24A〜24D)の状態(開状態/閉状態)を検出するセンサを設け、制御部200は、センサからの入力に基づいて、移動装置30の位置、及び、カバー24(24A〜24D)の状態に基づいて、ピルケース27の取り出しが行われたか否かを検出する構成であってもよい。この構成であっても、服薬支援装置1の構造上の特徴を活用してピルケース27の取り出しの有無を的確に検出でき、また、服薬支援装置1にピルケース27の取り出しの有無を検出するための専用の機構を設ける必要がなく、製造コストの低減、及び、小型化を実現できる。
また、上述した実施形態、及び、実施形態の変形例において履歴ファイルLFに記録した履歴情報に関し、差込口65に、USBメモリや、USBケーブルを介してPCやサーバー等の端末を接続し、履歴情報をUSBメモリや、端末に出力することが可能である。また、服薬支援装置1にUSBの規格以外の規格に従った外部出力インターフェースを設け、履歴情報を、当該外部出力インターフェースを介してSDカード等の記憶媒体や、PCやサーバー等の端末等、外部に出力できるようにしてもよい。また、履歴情報の外部への出力について、服薬支援装置1に無線通信手段を設け、無線通信手段により無線通信で履歴情報を外部のPCやサーバー、その他装置、記憶媒体等に出力できるようにしてもよい。
また、服薬支援装置1にSDカード等の記憶媒体をセットするスロットを設け、当該スロットにセットされた記録媒体に履歴情報を記録できるようにしてもよい。
また、上述した実施形態、及び、実施形態の変形例では、服薬支援装置1の扉部70には、観音開きによって開状態となる観音開き扉71が設けられていた。しかしながら、観音開き扉71に限らず、その形状、開閉の構造はどのようなものであってもよい。
1 服薬支援装置
2 装置本体
21(21A〜21D) ラック
23(23A〜23D) カセット
25(25A〜25D) カバー
27 ピルケース
27A 窪み部
27E 後端部
30 移動装置
35 中央軸
71 観音開き扉
81 ラックユニット
83 フレームユニット
90 前案内ピン
91 移動装置本体
92 ピルケース支え
92a ピルケース支えアーム
93 検知センサ部
94 案内部
95 ピルケース引戻し爪
96 後ろ案内ピン
97 カセット検知レバー
98 ピン
99 ピルケース検知レバー
100 押出し部
101 昇り案内ピン
102 案内機構
103 上下案内レール
105 前案内レール
105a、107a ピン留め部
105b、107b 上昇部
105c、107c スライド部
105d 下降部
107 後ろ案内レール
109 支え部案内レール
109a 傾斜面
117、140 モータ
117A、140A ウォームギア
123 ラックユニットギヤ
145 押出し・引戻しギヤ
δ 間隔

Claims (7)

  1. ピルケースと、
    前記ピルケースを装填するラックを備えたラックユニットと、
    前記ピルケースを装置本体から押し出し、押し出した前記ピルケースを引き戻す移動装置と、
    前記移動装置の待機位置から、前記移動装置が前記ピルケースを前記装置本体から押し出す押出完了位置までを案内する案内機構とを備え
    前記装置本体は、中央部に軸を備え、
    前記軸の周囲には、前記ラックを複数装填可能な前記ラックユニットが設けられ、
    前記移動装置は、前記ラックユニットの下側に配設され、
    前記ラックは、前記ラックユニットの中心に対して偏位した状態で周方向に等間隔に複数配設され、
    さらに前記ラックユニットを前記中心周りに回転駆動させるモータを備える、
    ことを特徴とする服薬支援装置。
  2. 前記ラックは、前記ピルケースを縦に複数装填可能であり、
    前記移動装置は、前記ピルケースを押し出す押出し部と、前記ピルケースを引き戻す引戻し部と、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の服薬支援装置。
  3. 前記移動装置は、最下段の前記ピルケースを押し出す際に一段上の前記ピルケースを支えるピルケース支えを備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の服薬支援装置。
  4. 前記各ラックは、互いに間隔を設けて配設され、
    前記押出し部は、前記間隔よりも薄い厚さに形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の服薬支援装置。
  5. 前記案内機構は、前記移動装置を案内する案内レールを備え、
    前記案内レールは、後方から前方にかけて昇り傾斜部を備える、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の服薬支援装置。
  6. 前記案内レールの前端部は、下り傾斜部を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の服薬支援装置。
  7. 前記案内機構は、前記移動装置の両側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の服薬支援装置。
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