以下、実施形態の空調制御装置、空調制御方法、及びプログラムを、図面を参照して説明する。以下の説明においては、間仕切りされた各個室にビルマルチエアコン室内機(以下、「室内機」と記載する。)が設置され、外調機が複数の個室に給気しているオフィスビルの空調ゾーンを例として説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態による空調制御システムの構成図である。同図に示すように、空調制御システムは、空調制御装置1と、中継装置2と、外調機運転装置3と、空調機4とを備えて構成される。空調機4は、外調機51と、ビルマルチエアコン60とを備える。空調ゾーンである居室7を間仕切りしたn個(nは2以上の整数)の個室それぞれには、ビルマルチエアコン60の室内機63が設置されている。i番目の個室(iは1以上n以下の整数)に設置された室内機63を、室内機63−iと記載する。同図では、n=4の場合の例を示しており、居室7の4つの個室にはそれぞれ、室内機63−1、63−2、63−3、63−4が設置されている。
空調制御装置1は、管理者が設定した外調機給気温度設定値と運転モードを取得する。外調機給気温度設定値は、外調機51の給気温度の設定値である。運転モードには、第1のモードと第2のモードがある。第1のモードは、居室7の空調にかかる消費エネルギーの低減を優先する「省エネモード」である。第2のモードは、個室における快適性の悪化の抑制を優先する「快適モード」である。さらに、空調制御装置1は、居室7の各個室に備えられた室内機63−1〜63−nそれぞれから運転情報を取得する。運転情報は、室内機63の稼働状態を示す。空調制御装置1は、運転モード及び運転情報に基づいて外調機給気温度設定値を補正して外調機給気温度設定指示値を算出し、算出した外調機給気温度設定指示値を中継装置2に送信する。外調機給気温度設定指示値は、外調機51の運転制御に用いる給気温度の指示値である。つまり、外調機給気温度設定指示値は、外調機運転装置3に対して指示する外調機51の給気温度の設定値である。
中継装置2は、空調制御装置1から外調機給気温度設定指示値を受信し、受信した外調機給気温度設定指示値を外調機運転装置3に送信する。
外調機運転装置3は、外調機51の運転を制御する。外調機運転装置3は、中継装置2から外調機給気温度設定指示値を受信すると、給気55の温度が受信した外調機給気温度設定指示値となるような冷水バルブ53の開度指示値を計算し、計算された開度指示値を冷水バルブ53に送信する。
外調機51は、冷水52との熱交換により外気54を冷却し、冷却された給気55を生成する。冷水52の流量は、冷水バルブ53の開度によって決定される。冷水バルブ53は、外調機運転装置3から受信した開度指示値に従って開度を制御する。給気55は、外調機のファン56によって居室7に床下吹き出しにより給気される。
ビルマルチエアコン60は、室外機61と、冷媒62と、室内機63−1〜63−nとを備えて構成される。室内機63−1〜63−nは、室外機61において生成された冷媒62との熱交換により生成した冷風を、各個室に天井吹き出しにより給気する。
なお、外調機51と室内機63−1〜63−nの給気を区別するため、外調機51の給気を床下吹き出しとしているが、室内機63−1〜63−nと同様に、外調機51の給気を天井吹き出しとしてもよい。
図2は、空調制御装置1の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。空調制御装置1は、例えば、コンピュータ装置により実現される。空調制御装置1は、現在値取得部110と、運転モード入力部120と、給気温度演算部130と、送信部140とを備えて構成される。
現在値取得部110は、管理者が設定した外調機給気温度設定値と、室内機63−1〜63−nの稼働状態を示す室内機運転情報の現在値を取得し、給気温度演算部130に出力する。
運転モード入力部120は、空調制御装置1のシステム定義ファイルに記載されている予め決められた運転モードの中から管理者が選択した運転モードを入力する。管理者が選択可能な運転モードは、省エネモードと快適モードである。管理者は、状況に応じて運転モードを切替える。
給気温度演算部130は、外調機給気温度設定値と室内機運転情報とを現在値取得部110から受信し、運転モード入力部120から運転モードを受信する。給気温度演算部130は、外調機給気温度設定値を、運転モードと室内機運転情報が示す室内機63−1〜63−nの稼働状態とに基づいて決定される補正値により補正して、外調機給気温度設定指示値を算出する。室内機運転情報として、室内機63−1〜63−nがON(稼働)の状態であるかOFF(稼働停止)の状態であるかを示すON/OFF状態信号が用いられる。
送信部140は、給気温度演算部130が算出した外調機運転装置3宛ての外調機給気温度設定指示値を中継装置2に送信する。これにより、送信部140は、外調機給気温度設定指示値により外調機51を制御するよう外調機運転装置3に指示する。
図3は、給気温度演算部130の詳細な構成を示すブロック図である。給気温度演算部130は、運転モード判定部131と、省エネモード補正値算出部132と、快適モード補正値算出部133と、加算器134とを備えて構成される。
運転モード判定部131は、管理者が選択した運転モードを運転モード入力部120から受信する。
省エネモード補正値算出部132は、居室7の室内機ON台数に基づいて外調機給気温度補正値を算出する。室内機ON台数は、居室7の室内機63−1〜63−nのうちONとなっている(稼働している)台数である。省エネモード補正値算出部132は、室内機ON台数を、現在値取得部110が受信した室内機63−1〜63−nのON/OFF状態信号に基づいて得る。以下では、省エネモードの場合の外調機給気温度補正値を「省エネモード補正値」とも記載する。
快適モード補正値算出部133は、室内機ON台数に基づいて外調機給気温度補正値を算出する。快適モード補正値算出部133は、室内機ON台数を、現在値取得部110が受信した室内機63−1〜63−nのON/OFF状態信号に基づいて得る。以下では、快適モードの場合の外調機給気温度補正値を「快適モード補正値」とも記載する。
加算器134は、管理者が設定した外調機給気温度設定値に、省エネモード補正値算出部132が算出した省エネモード補正値又は快適モード補正値算出部133が算出した快適モード補正値を加算し、外調機給気温度設定指示値を算出する。加算器134は、運転モードが省エネモードの場合は外調機給気温度設定値に省エネモード補正値を加算し、快適モードの場合は外調機給気温度設定値に快適モード補正値を加算する。加算器134は、算出した外調機給気温度設定指示値を送信部140に送信する。
省エネモード補正値算出部132による省エネモード補正値の算出と、快適モード補正値算出部133による快適モード補正値の算出について説明する。
省エネモード補正値算出部132は、室内機ON台数と省エネモード補正値関数とを用いて省エネモード補正値を算出する。省エネモード補正値関数は、室内機ON台数と省エネモード補正値との関係を表す関数である。省エネモード補正値算出部132は、ON/OFF状態信号から室内機ON台数を得ると、得られた室内機ON台数を省エネモード補正値関数に入力し、省エネモード補正値を算出する。通常、外調機給気温度設定値は、冷房の場合は外気温度よりも低く、暖房の場合は外気温度よりも高い。室内機ON台数に対応した省エネモード補正値は、全体的な傾向として室内機ON台数が少ないほど外気温度に近づけるよう補正するための値をとるが、省エネモード補正値が変化しない室内機ON台数の範囲が含まれ得る。室内機ON台数がj(jは1以上n以下の整数)のときの省エネモード補正値をAjとすると、冷房の場合、A(j−1)≧Aj≧0であり、暖房の場合、A(j−1)≦Aj≦0である。
冷房の場合の省エネモード補正値関数の例を以下に示す。
(1)室内機ON台数が「0」のとき、省エネモード補正値は「+4℃」。
(2)室内機ON台数が「1」のとき、省エネモード補正値は「+3℃」。
(3)室内機ON台数が「2」のとき、省エネモード補正値は「+2℃」。
(4)室内機ON台数が「3」のとき、省エネモード補正値は「+1℃」。
(5)室内機ON台数が「4」のとき、省エネモード補正値は「0℃」。
上述した冷房時の省エネモード補正値関数によれば、室内機ON台数が少ない(個室の利用数が少ない)ときは、外調機給気温度設定値を高めに補正し、外調機給気温度設定指示値を算出する。上述したように、冷房の場合、通常、外調機給気温度設定値は外気温度よりも低いため、室内機ON台数が少ないときは外気温度との差が小さくなるように外調機給気温度設定値を高めに補正する。この補正により、外気54を給気55まで冷却するときの温度変化を小さくし、外調機51において発生する冷水熱量を削減する。
外調機51は居室7全体に給気を行い、個室毎には給気を制御できない。そのため、室内機ON台数が少ないときには、稼働している室内機63の負荷が高くなっても、居室7全体に給気を行う外調機51の負荷を少なくしたほうが、空調機全体として消費エネルギーの低減が可能となる。そこで、上記のように、室内機ON台数が少ないときは外調機給気温度設定値を高めに補正する。このように補正することにより、利用されている個室は室内機63によって快適な温度が保たれるが、利用されていない個室は、室内機63がOFFになり、通常設定より温度が高い給気55が吹き込まれる。従って、省エネモードのときは、利用されていない個室は、室内温度の上昇のため快適性は悪化するものの、空調機全体として省エネルギー化を図ることができる。オフィスビルでは、空調の消費エネルギーがビル全体の消費エネルギーの40〜50%を占めているため、空調機4の省エネルギー化を図ることによりオフィスビルの省エネルギー化に大きく貢献する。
暖房の場合の省エネモード補正値関数の例を以下に示す。
(1)室内機ON台数が「0」のとき、省エネモード補正値は「−4℃」。
(2)室内機ON台数が「1」のとき、省エネモード補正値は「−3℃」。
(3)室内機ON台数が「2」のとき、省エネモード補正値は「−2℃」。
(4)室内機ON台数が「3」のとき、省エネモード補正値は「−1℃」。
(5)室内機ON台数が「4」のとき、省エネモード補正値は「0℃」。
上述したように、暖房時は、通常、外調機給気温度設定値は外気温度よりも高い。そこで、室内機ON台数が少ないときは、外気温度との差が小さくなるように外調機給気温度設定値を低めに補正して外調機給気温度設定指示値とすることにより、外調機51の負荷を低減する。このように補正した場合、利用されている個室は室内機63によって快適な温度が保たれるが、利用されていない個室は、室内機63がOFFになり通常設定より温度が低い給気55が吹き込まれるため、室内温度が下降し、快適性は悪化する。しかし、室内機ON台数が少ないときには外調機給気温度設定指示値を低くすることで、外調機51の負荷が低減され、空調機全体として省エネルギー化を図ることができる。
なお、省エネモード補正値算出部132は、室内機ON台数と省エネモード補正値との対応付けを記憶しておき、室内機ON台数に対応した省エネモード補正値を読み出すようにしてもよい。
また、快適モード補正値算出部133は、室内機ON台数と快適モード補正値関数とを用いて快適モード補正値を算出する。快適モード補正値関数は、室内機ON台数と快適モード補正値との関係を表す関数である。快適モード補正値算出部133は、ON/OFF状態信号から室内機ON台数を得ると、得られた室内機ON台数を快適モード補正値関数に入力し、快適モード補正値を算出する。室内機ON台数に対応した快適モード補正値は、全体的な傾向として室内機ON台数が少ないほど外気温度と乖離するよう補正するための値をとるが、快適モード補正値が変化しない室内機ON台数の範囲が含まれ得る。室内機ON台数がj(jは1以上n以下の整数)のときの快適モード補正値をBjとすると、冷房の場合、B(j−1)≦Bj≦0であり、暖房の場合、B(j−1)≧Bj≧0である。
冷房の場合の快適モード補正値関数の例を以下に示す。
(1)室内機ON台数が「0」のとき、快適モード補正値は「−2℃」。
(2)室内機ON台数が「1」のとき、快適モード補正値は「−2℃」。
(3)室内機ON台数が「2」のとき、快適モード補正値は「−2℃」。
(4)室内機ON台数が「3」のとき、快適モード補正値は「−1℃」。
(5)室内機ON台数が「4」のとき、快適モード補正値は「0℃」。
上述した冷房時の快適モード補正値関数によれば、室内機ON台数が少ない(個室の利用数が少ない)ときは、外調機51の外調機給気温度設定値を低めに補正して外調機給気温度設定指示値とする。この補正により、利用されていない個室に、通常設定より温度が低い給気55が吹き込まれるため、室内温度の上昇を抑えることができる。しかし、外気54から給気55まで冷却する温度変化が大きくなるため、外調機51で発生する冷水熱量が増加し、通常設定より消費エネルギーが増加することが考えられる。このように、快適モードのときは、通常設定より消費エネルギーは増加する可能性はあるが、外調機51の外調機給気温度設定指示値を低くすることで、利用されていない個室の温度上昇を抑え、快適性の維持を図ることができる。
暖房の場合の快適モード補正値関数の例を以下に示す。
(1)室内機ON台数が「0」のとき、快適モード補正値は「+2℃」。
(2)室内機ON台数が「1」のとき、快適モード補正値は「+2℃」。
(3)室内機ON台数が「2」のとき、快適モード補正値は「+2℃」。
(4)室内機ON台数が「3」のとき、快適モード補正値は「+1℃」。
(5)室内機ON台数が「4」のとき、快適モード補正値は「0℃」。
また、暖房時の快適モード補正値関数によれば、室内機ON台数が少ないときは、外調機51の外調機給気温度設定値を高めに補正して外調機給気温度設定指示値とする。この補正により、利用されていない個室に、通常設定より高い温度の給気55が吹き込まれるため、室内温度の下降を抑えることができる。しかし、外気54から給気55まで加温する温度変化が大きくなるため、通常設定より外調機51の消費エネルギーが増加することが考えられる。このように、快適モードのときは、通常設定より消費エネルギーは増加する可能性はあるが、外調機51の外調機給気温度を高くすることで利用されていない個室の温度下降を抑え、快適性の維持を図ることができる。
なお、快適モード補正値算出部133は、室内機ON台数と快適モード補正値との対応付けを記憶しておき、室内機ON台数に対応した快適モード補正値を読み出すようにしてもよい。
続いて、空調制御装置1の動作について説明する。
図4は、空調制御装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、空調制御装置1の現在値取得部110は、外調機給気温度設定値と室内機63−1〜63−nのON/OFF状態信号を取得し、給気温度演算部130に出力する(ステップS11)。次に、運転モード入力部120は、管理者が選択した運転モードを給気温度演算部130に出力する。給気温度演算部130の運転モード判定部131は、現在の運転モードが省エネモードであるか否かを判定する(ステップS12)。
運転モード判定部131が省エネモードと判定した場合(ステップS13:YES)、省エネモード補正値算出部132に外調機給気温度補正値の算出を指示する。省エネモード補正値算出部132は、室内機運転情報として受信したON/OFF状態信号から室内機ON台数を得ると、得られた室内機ON台数を省エネモード補正値関数に入力し、省エネモード補正値を算出する。省エネモード補正値算出部132は、算出した省エネモード補正値である外調機給気温度補正値を加算器134に出力する(ステップS14)。
運転モード判定部131が、現在の運転モードは快適モードであり、省エネモードではないと判定した場合(ステップS13:NO)、快適モード補正値算出部133に外調機給気温度補正値の算出を指示する。快適モード補正値算出部133は、室内機運転情報として受信したON/OFF状態信号から室内機ON台数を得ると、得られた室内機ON台数を快適モード補正値関数に入力し、快適モード補正値を算出する(ステップS15)。快適モード補正値算出部133は、算出した快適モード補正値である外調機給気温度補正値を加算器134に出力する。
加算器134は、現在値取得部110が取得した外調機給気温度設定値に、ステップS14又はステップS15において算出された外調機給気温度補正値を加算して外調機給気温度設定指示値を算出する(ステップS16)。加算器134は、算出した外調機給気温度設定指示値を送信部140に出力する。送信部140は、外調機運転装置3宛ての外調機給気温度設定指示値を中継装置2に出力する(ステップS17)。
なお、空調制御装置1は、運転モードとして省エネモードのみを用いる場合、運転モード入力部120、運転モード判定部131、及び快適モード補正値算出部133を備えなくともよい。同様に、運転モードとして快適モードのみを用いる場合、空調制御装置1は、運転モード入力部120、運転モード判定部131、及び省エネモード補正値算出部132を備えなくともよい。
本実施形態によれば、複数の個室が存在する居室において、利用者が各個室の室内機のON/OFFを変更したとしても、管理者が省エネモード、快適モードの2つから運転モードを選択することにより、希望する運転モードによる各個室の空調が可能となる。省エネモードが選択された場合は、利用されていない個室の快適性は悪化するが、個室の利用数によって外調機の外調機給気温度を高くすることで省エネを図ることが可能となる。快適モードが選択された場合は、通常設定より消費エネルギーは増加する可能性はあるが、外調機の外調機給気温度を低くすることで利用されていない個室の温度上昇を抑え、快適性の維持を図ることが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、管理者が運転モードを設定していた。本実施形態では、空調制御装置が運転モードを決定する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
図5は、本実施形態の空調制御システムの構成図であり、同図において、図1に示す第1の実施形態による空調制御システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、本実施形態の空調制御システムは、空調制御装置1aと、中継装置2と、外調機運転装置3と、空調機4と、室内湿度計64とを備えて構成される。
室内湿度計64は、居室7を間仕切りしたn個(nは2以上の整数)の個室それぞれに設置される。i番目の個室(iは1以上n以下の整数)に設置された室内湿度計64を、室内湿度計64−iと記載する。同図では、n=4の場合の例を示しており、居室7の4つの個室にはそれぞれ、室内湿度計64−1、64−2、64−3、64−4が設置されている。
空調制御装置1aは、管理者が設定した外調機給気温度設定値を取得する。さらに、空調制御装置1aは、居室7の各個室に備えられた室内機63−1〜63−nから運転情報を取得し、居室7の各個室に設置されている室内湿度計64−1〜64−nから各個室の室内湿度の計測値の情報を取得する。空調制御装置1aは、室内湿度の計測値により運転モードを判断する。空調制御装置1aは、運転モード及び運転情報に基づいて外調機給気温度設定値を補正して外調機給気温度設定指示値を算出し、算出した外調機給気温度設定指示値を中継装置2に送信する。
図6は、空調制御装置1aの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図2に示す第1の実施形態の空調制御装置1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の空調制御装置1aは、現在値取得部210と、給気温度演算部230と、送信部140とを備えて構成される。
現在値取得部210は、管理者が設定した外調機給気温度設定値と、室内機運転情報の現在値と、居室7における各個室の室内湿度の計測値を取得する。現在値取得部210は、取得した外調機給気温度設定値及び室内機運転情報の現在値と、各個室の室内湿度の平均値とを給気温度演算部230に出力する。
給気温度演算部230は、現在値取得部210から受信した各個室の現在の室内湿度の平均値に基づいて運転モードを決定する。給気温度演算部230は、外調機給気温度設定値を、運転モードと室内機運転情報が示す室内機63−1〜63−nの稼働状態とに基づいて決定される補正値により補正して、外調機給気温度設定指示値を算出する。
図7は、給気温度演算部230の詳細な構成を示すブロック図である。同図において、図3に示す第1の実施形態による給気温度演算部130と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。給気温度演算部230は、運転モード決定部231と、運転モード判定部131と、省エネモード補正値算出部132と、快適モード補正値算出部133と、加算器134とを備えて構成される。運転モード決定部231は、現在値取得部210から受信した各個室の室内湿度の平均値に基づいて運転モードを決定する。
続いて、空調制御装置1aの動作について説明する。
図8は、空調制御装置1aの動作を示すフローチャートである。同図において、図4に空調制御装置1の処理と同じ処理には同一の符号を付している。
まず、空調制御装置1aの現在値取得部210は、外調機給気温度設定値と室内機63−1〜63−nのON/OFF状態信号を取得し、給気温度演算部230に出力する。さらに、現在値取得部210は、室内湿度計64−1〜64−nが計測した室内湿度の平均値を給気温度演算部230に出力する(ステップS21)。
運転モード決定部231は、現在値取得部210から受信した室内湿度の平均値がしきい値以上であるか否かによって、運転モードを決定する(ステップS22)。冷房の場合、運転モード決定部231は、室内湿度の平均値がしきい値以上であるときには、快適モードとし、しきい値未満であるときには、省エネモードとする。これは、湿度が高い場合は、気温が低くても不快に(暑く)感じやすく、湿度が低い場合は、気温が高くても快適に(涼しく)感じやすいからである。なお、暖房の場合、運転モード決定部231は、室内湿度の平均値がしきい値以上であるときには、省エネモードとし、しきい値未満であるときには、快適モードとする。これは、湿度が高い場合は、気温が低くても快適に(暖かく)感じやすく、湿度が低い場合は、気温が高くても不快に(寒く)感じやすいからである。運転モード判定部131は、運転モード決定部231が決定した運転モードが省エネモードであるか否かを判定する。
ステップS13以降の処理は、図4に空調制御装置1と同様の処理である。
本実施形態によれば、空調制御装置は、一般的に計測されている室内湿度を利用し、室内の状況に応じて省エネモードと快適モードを自動で切り替えて外調機を制御することができる。よって、空調制御のための管理者の手間を軽減することができる。
本実施形態において、現在値取得部210は、各個室の室内湿度の平均値を給気温度演算部230に出力しているが、最大値や最小値を送信してもよい。また、例えば、現在値取得部210は、各個室から取得した室内湿度のうち最大値と最小値を除いた室内湿度をそのまま給気温度演算部230に出力してもよい。例えば、4つの各個室の室内湿度を湿度が高い順にH1〜H4(H1>H2>H3>H4)とする。現在値取得部210は、最大値H1と最小値H4を除いた室内湿度H2又はH3を給気温度演算部230に出力する。また、あるいは、現在値取得部210は、各個室から取得した室内湿度のうち最大値と最小値を除いた室内湿度の平均値を給気温度演算部230に出力してもよい。例えば、室内湿度が上述したH1〜H4である場合、現在値取得部210は、室内湿度H2と室内湿度H3の平均値を給気温度演算部230に出力する。このように最大値と最小値を除くことで、異常値を考慮しない演算が可能となる。よって、より信頼性の高い空調制御装置を実現することができる。
本実施形態では給気温度演算部230が、省エネモードと快適モードを自動で変更しているが、第1の実施形態のように、運転モード入力部120によって管理者が運転モードを選択できるようにしてもよい。管理者が運転モードを選択した場合、給気温度演算部230は、管理者が選択した運転モードを用いて外調機給気温度設定指示値を算出する。このように、手動設定を優先させることにより、管理者の要求を満たす空調制御装置を実現することができる。
上記実施形態において、運転モード決定部231は、室内湿度に基づいて運転モードを決定しているが、室内温度、個室の在室状況、又は、DR(Demand Response)信号の受信の有無の情報に基づいて運転モードを決定してもよい。DR信号とは、電力系統からの指令・要求に基づいた負荷調整の実施を指示する信号である。
例えば、現在値取得部210は、各個室に備えられた温度計それぞれから室内温度を取得する。現在値取得部210は、室内温度の平均値、最大値又は最小値、最大値と最小値を除いた室内温度、あるいは、最大値と最小値を除いた室内温度の平均値を給気温度演算部230に出力する。運転モード決定部231は、現在値取得部210から受信した室内温度がしきい値を超えているか否かにより省エネモードか快適モードかを決定する。例えば、冷房の場合、運転モード決定部231は、室内温度がしきい値以上の場合は快適モードとし、しきい値未満の場合は省エネモードとする。また、暖房の場合、運転モード決定部231は、室内温度がしきい値以下の場合は快適モードとし、しきい値を超える場合は省エネモードとする。
また、現在値取得部210は、各個室に備えられたセンサから在/不在情報を受信し、給気温度演算部230に出力する。センサには後述する第6の実施形態のセンサ66を用いることができる。在/不在情報は、個室に人が在室しているか否かを示す。運転モード決定部231は、現在値取得部210から受信した在/不在情報に基づいて、人が在室している個室の数を在室状況として得る。運転モード決定部231は、人が在室している個室の数がしきい値を超えているか否かにより省エネモードか快適モードかを決定する。例えば、運転モード決定部231は、人が在室している個室の数がしきい値以上の場合は快適モードとし、しきい値未満の場合は省エネモードとする。
また、運転モード決定部231は、DR信号の受信後、運転モードを省エネモードとする。運転モード決定部231は、DRを解除する信号を受信した場合、又は、DR信号の受信から所定時間が経過した場合、運転モードを快適モードとする。
なお、運転モード決定部231は、室内湿度と、室内温度と、個室の在室状況と、DR信号の受信の有無とのうち任意の2以上の情報の組み合わせに基づいて運転モードを決定してもよい。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、外調機給気温度設定値の補正に、省エネモードと快適モードのいずれかを用いていた。本実施形態の空調制御装置は、省エネモードと快適モードの両方を加味して外調機給気温度設定値を補正し、外調機給気温度設定指示値を算出する。
図9は、本実施形態による空調制御システムの構成図であり、同図において、図5に示す第2の実施形態による空調制御システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す空調制御システムは、第2の実施形態の空調制御装置1aに代えて、空調制御装置1bを備えた構成である。
空調制御装置1bは、管理者が設定した外調機給気温度設定値を取得する。さらに、空調制御装置1bは、居室7の各個室に備えられた室内機63−1〜63−nから運転情報を取得し、居室7の各個室に設置されている室内湿度計64−1〜64−nから各個室の室内湿度の計測値を取得する。空調制御装置1bは、室内湿度の計測値により省エネモードと快適モードの適用割合を決定する。空調制御装置1bは、省エネモードと快適モードの適用割合、及び、運転情報に基づいて決定される補正値により外調機給気温度設定値を補正して外調機給気温度設定指示値を算出し、算出した外調機給気温度設定指示値を中継装置2に送信する。
図10は、空調制御装置1bの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図6に示す第2の実施形態の空調制御装置1aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の空調制御装置1bは、現在値取得部210と、給気温度演算部330と、送信部140とを備えて構成される。
給気温度演算部330は、各個室の現在の室内湿度の平均値に基づいて、省エネモードと快適モードの適用割合を判断する。給気温度演算部330は、室内機運転情報に基づいて算出した省エネモードの外調機給気温度補正値と快適モードの外調機給気温度補正値とを、省エネモードと快適モードの適用割合に応じて加算し、外調機給気温度補正値を算出する。給気温度演算部330は、算出した外調機給気温度補正値により、現在値取得部210が取得した外調機給気温度設定値を補正して外調機給気温度設定指示値を算出する。
図11は、給気温度演算部330の詳細な構成を示すブロック図である。同図において、図7に示す第2の実施形態による給気温度演算部230と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。給気温度演算部330は、省エネモード補正値算出部132と、快適モード補正値算出部133と、運転モード係数値算出部331と、補正値演算部332と、加算器134とを備えて構成される。
省エネモード補正値算出部132は、第1の実施形態と同様に省エネモードの外調機給気温度補正値である省エネモード補正値を算出する。以下では、省エネモード補正値を、「補正値A」と記載する。
快適モード補正値算出部133は、第1の実施形態と同様に快適モードの外調機給気温度補正値である快適モード補正値を算出する。以下では、快適モード補正値を、「補正値B」と記載する。
運転モード係数値算出部331は、現在値取得部210から受信した各個室の室内湿度の平均値に基づいて運転モード係数値を算出する。運転モード係数値は、省エネモードと快適モードの適用割合に応じた係数である。
補正値演算部332は、省エネモード補正値算出部132から補正値Aを、快適モード補正値算出部133から補正値Bを、運転モード係数値算出部331から運転モード係数値を受信する。補正値演算部332は、補正値Aと補正値Bを、運転モード係数値により示される適用割合で加算し、外調機給気温度補正値を算出する。
補正値演算部332は、以下の式(1)を用いた演算を行い、外調機給気温度補正値を算出する。式(1)において、yは外調機給気温度補正値[℃]、xは運転モード係数値、aは補正値A[℃]、bは補正値B[℃]である。
y=−{(a−b)x−(5a−b)}/4, (1≦x≦5) …(1)
上式(1)は、省エネモードと快適モードの適用割合を(5−x)/4:(x−1)/4として補正値Aと補正値Bを加算し、外調機給気温度補正値を算出している。式(1)では、運転モード係数値が1の場合は、補正値Aが外調機給気温度補正値となり、運転モード係数値が5の場合は、補正値Bが外調機給気温度補正値となる。1<運転モード係数値x<5の場合は、補正値Aと補正値Bの間を線形補間し、線形補間した直線上で運転モード係数値に応じた値を外調機給気温度補正値とする。
運転モード係数値算出部331は、式(1)に用いる運転モード係数値を、室内湿度の平均値と、運転モード係数算出関数とを用いて算出する。運転モード係数値関数は、室内湿度と運転モード係数値との関係を表す関数である。冷房の場合、室内湿度に対応した運転モード係数値は、全体的な傾向として室内湿度が低いほど省エネモードの適用割合を多く、室内湿度が高いほど快適モードの適用割合を多くする値をとるが、運転モード係数値が変化しない室内湿度の範囲が含まれ得る。室内湿度がm1%のときの運転モード係数値をx1、室内湿度がm2%(m1<m2)のときの運転モード係数値をx2とすると、運転モード係数値x1≦運転モード係数値x2である。冷房の場合の運転モード係数値関数の例を以下に示す。
(1)室内湿度が「30%」のとき、運転モード係数値は「1」。
(2)室内湿度が「40%」のとき、運転モード係数値は「1」。
(3)室内湿度が「50%」のとき、運転モード係数値は「2」。
(4)室内湿度が「60%」のとき、運転モード係数値は「3」。
(5)室内湿度が「70%」のとき、運転モード係数値は「4」。
空調が暖房の場合、室内湿度に対応した運転モード係数値は、全体的な傾向として室内湿度が高いほど省エネモードの適用割合を多く、室内湿度が低いほど快適モードの適用割合を多くする値をとるが、運転モード係数値が変化しない室内湿度の範囲が含まれ得る。室内湿度がm1%のときの運転モード係数値をx1、室内湿度がm2%(m1<m2)のときの運転モード係数値をx2とすると、運転モード係数値x1≧運転モード係数値x2である。暖房の場合の運転モード係数値関数の例を以下に示す。
(1)室内湿度が「30%」のとき、運転モード係数値は「4」。
(2)室内湿度が「40%」のとき、運転モード係数値は「3」。
(3)室内湿度が「50%」のとき、運転モード係数値は「2」。
(4)室内湿度が「60%」のとき、運転モード係数値は「1」。
(5)室内湿度が「70%」のとき、運転モード係数値は「1」。
上記の冷房の場合の設定によると、室内湿度30%以上40%未満のとき、運転モード係数値は「1」のため、外調機給気温度補正値は補正値Aとなる。また、室内湿度が70%のときは、運転モード係数値が「4」のため、外調機給気温度補正値は、補正値Aと補正値Bの間を線形補間した直線上の値となる。
上記に記載していない室内湿度の場合は、上記に記載されている運転モード係数値を線形補間し、線形補間した直線上の室内湿度に応じた値を運転モード係数値とする。つまり、湿度m1と湿度m2の間の湿度m3(m1<m3<m2)の運転モード係数値は、x1+(x2−x1)(m3−m1)/(m2−m1)となる。
一般的に、室内温度が一定の場合は、室内湿度が低いほうが快適と感じ、室内湿度が高いほうが不快と感じる。このため、運転モード係数値算出部331は、室内湿度が低い時は省エネモード寄りの運転を行い、室内湿度が高い時は快適モード寄りの運転を行うように運転モード係数値を設定している。
続いて、空調制御装置1bの動作について説明する。
図12は、空調制御装置1bの動作を示すフローチャートである。
まず、空調制御装置1bの現在値取得部210は、外調機給気温度設定値と室内機63−1〜63−nのON/OFF状態信号を取得し、給気温度演算部330に出力する。さらに、現在値取得部210は、室内湿度計64−1〜64−nから室内湿度の計測値の情報を受信し、受信した情報が示す計測値から算出した室内湿度の平均値を給気温度演算部330に出力する(ステップS31)。
省エネモード補正値算出部132は、室内機運転情報として受信したON/OFF状態信号から室内機ON台数を得ると、得られた室内機ON台数を省エネモード補正値関数に入力し、省エネモード補正値を算出する(ステップS32)。省エネモード補正値算出部132は、算出した省エネモード補正値である補正値Aを補正値演算部332に出力する。
快適モード補正値算出部133は、室内機運転情報として受信したON/OFF状態信号から室内機ON台数を得ると、得られた室内機ON台数を快適モード補正値関数に入力し、快適モード補正値を算出する(ステップS33)。快適モード補正値算出部133は、算出した快適モード補正値である補正値Bを補正値演算部332に出力する。
運転モード係数値算出部331は、現在値取得部210から受信した室内湿度の平均値を運転モード係数値関数に入力し、運転モード係数値を算出する(ステップS34)。運転モード係数値算出部331は、算出した運転モード係数値を補正値演算部332に出力する。
補正値演算部332は、式(1)を用いて、運転モード係数値により示される適用割合で補正値Aと補正値Bを加算し、外調機給気温度補正値を算出する(ステップS35)。補正値演算部332は、算出した外調機給気温度補正値を加算器134に出力する。
加算器134は、現在値取得部210が取得した外調機給気温度設定値に、ステップS35において算出された外調機給気温度補正値を加算することにより、外調機給気温度設定指示値を算出する(ステップS36)。加算器134は、算出した補正後の外調機給気温度設定指示値を送信部140に出力する。送信部140は、外調機運転装置3宛ての補正後の外調機給気温度設定指示値を中継装置2に出力する(ステップS37)。
なお、空調制御装置1bは、ステップS32、ステップS33、及びステップS34のうち任意の2以上のステップの処理を並行して実行してもよい。また、空調制御装置1bは、ステップS32、ステップS33、及びステップS34の処理の順序を入れ替えて実行してもよい。
本実施形態によれば、空調制御装置は、一般的に計測されている室内湿度を利用して省エネモードと快適モードの適用割合を自動で変更し、在室者がなるべく快適に感じるようにしながらも省エネルギー化を図るように空調機4を制御することができる。また、空調制御のための管理者の手間を軽減することもできる。
本実施形態において、現在値取得部210は、各個室の室内湿度の平均値を給気温度演算部330に出力しているが、室内湿度の平均値、最大値又は最小値、最大値と最小値を除いた室内湿度、あるいは、最大値と最小値を除いた室内湿度の平均値を出力してもよい。最大値と最小値を除くことで、異常値を考慮しない演算が可能となる。よって、より信頼性の高い空調制御装置を実現することができる。
なお、運転モード係数値算出部331は、現在値取得部210から受信した室内湿度がしきい値より低い場合は運転モード係数値を「1」と決定し、室内湿度がしきい値より高い場合は運転モード係数値を「5」と決定してもよい。この場合、空調制御装置1bは、第2の実施形態と同様に外調機給気温度設定指示値を算出し、中継装置2に出力することができる。
また、空調制御装置1bに、管理者が入力した運転モード係数値、又は、省エネモードと快適モードの適用割合を設定してもよい。運転モード係数値算出部331は、管理者により設定された運転モード係数値、又は、設定された適用割合に対応した運転モード係数値を補正値演算部332に出力する。
また、空調制御装置1bに、管理者が選択した運転モードを設定してもよい。運転モード係数値算出部331は、省エネモードが設定された場合は運転モード係数値を「1」と決定し、快適モードが設定された場合は運転モード係数値を「5」と決定する。
手動設定を優先させることにより、管理者の要求を満たす空調制御装置を実現することができる。
上記実施形態において、運転モード係数値算出部331は、室内湿度に基づいて運転モード係数値を決定しているが、室内温度、個室の在室状況、DR信号の受信の有無に基づいて運転モード係数値を決定してもよい。
例えば、現在値取得部210は、各個室に備えられた温度計それぞれから室内温度を取得する。現在値取得部210は、室内温度の平均値、最大値又は最小値、最大値と最小値を除いた室内温度、あるいは、最大値と最小値を除いた室内温度の平均値を給気温度演算部330に出力する。運転モード係数値算出部331は、現在値取得部210から受信した室内温度に基づいて運転モード係数値を決定する。
また、現在値取得部210は、各個室に備えられたセンサから在/不在情報を受信し、給気温度演算部330に出力する。運転モード係数値算出部331は、現在値取得部210から受信した在/不在情報に基づいて、人が在室している個室の数を在室状況として得る。運転モード係数値算出部331は、人が在室している個室の数に基づいて運転モード係数値を決定する。
また、空調制御装置1bがDR信号を受信した場合、運転モード係数値算出部331は、運転モード係数値を、通常運転時の運転モード係数値よりも小さい値とする。
なお、運転モード係数値算出部331は、室内湿度、室内温度、個室の在室状況、DR信号の受信有無の任意の組み合わせに基づいて運転モード係数値を決定してもよい。
(第4の実施形態)
本実施形態では、上述した第1から第3の実施形態において算出された外調機給気温度設定指示値を、各個室の室内温度の平均値に基づいて補正する。以下では、第3の実施形態との差分を中心に説明するが、第1又は第2の実施形態に適用することもできる。
図13は、本実施形態の空調制御システムの構成図であり、同図において、図9に示す第3の実施形態による空調制御システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、本実施形態の空調制御システムは、空調制御装置1cと、中継装置2と、外調機運転装置3と、空調機4と、室内湿度計64と、温度計65を備えて構成される。温度計65は、居室7を間仕切りしたn個(nは2以上の整数)の個室それぞれに設置される。i番目の個室(iは1以上n以下の整数)に設置された温度計65を、温度計65−iと記載する。同図では、n=4の場合の例を示しており、居室7の4つの個室にはそれぞれ、温度計65−1、65−2、65−3、65−4が設置されている。
空調制御装置1cは、管理者が設定した外調機給気温度設定値を取得し、居室7の各個室に備えられた室内機63−1〜63−nから運転情報を取得する。さらに、空調制御装置1cは、居室7の各個室に設置されている室内湿度計64−1〜64−nから各個室の室内湿度の計測値の情報を取得し、温度計65−1〜65−nから各個室の室内温度の計測値の情報を取得する。空調制御装置1cは、第3の実施形態の空調制御装置1bと同様に外調機給気温度設定指示値を算出する。空調制御装置1cは、算出した外調機給気温度設定指示値を、室内温度の計測値に基づいて補正し、補正した外調機給気温度設定指示値を中継装置2に送信する。
図14は、本実施形態の空調制御装置1cの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図10に示す第3の実施形態の空調制御装置1bと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の空調制御装置1cは、しきい値設定部401と、現在値取得部410と、給気温度演算部330と、給気温度補正部402と、送信部140とを備えて構成される。
しきい値設定部401は、送信部140から中継装置2に送信する外調機給気温度設定指示値を補正するか否かを判断するために用いるしきい値を設定する。このしきい値は、各個室の室内温度の平均値に関する。
現在値取得部410は、管理者が設定した外調機給気温度設定値、室内機運転情報の現在値、ならびに、居室7における各個室の室内湿度及び室内温度の計測値の情報を取得する。現在値取得部410は、取得した外調機給気温度設定値及び室内機運転情報の現在値と、各個室の室内湿度の平均値とを給気温度演算部330に送信し、各個室の室内温度の平均値を給気温度補正部402に送信する。
給気温度補正部402は、現在値取得部410から受信した各個室の室内温度の平均値と、しきい値設定部401が設定したしきい値とを比較し、外調機給気温度設定指示値を補正するか否かを判断する。給気温度補正部402は、補正すると判断した場合、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を補正し、送信部140に出力する。
図15は、空調制御装置1cの動作を示すフローチャートである。同図において、図12に示す空調制御装置1bの処理と同じ処理には同一の符号を付している。
しきい値設定部401は、予め、管理者の入力に従ってしきい値を設定しておく。なお、しきい値は随時設定可能である。
空調制御装置1cの現在値取得部410は、外調機給気温度設定値と室内機63−1〜63−nのON/OFF状態信号を取得し、給気温度演算部330に出力する。さらに、現在値取得部410は、室内湿度計64−1〜64−nから室内湿度の計測値の情報を受信し、受信した情報が示す計測値から算出した室内湿度の平均値を給気温度演算部330に出力する。また、現在値取得部410は、各個室の温度計65−1〜65−nから室内温度の計測値の情報を受信し、受信した情報が示す計測値から算出した室内温度の平均値を給気温度補正部402に出力する(ステップS41)。
ステップS32〜ステップS36までの処理は、図12に示す処理と同じである。ただし、給気温度演算部330は、算出した外調機給気温度設定指示値を給気温度補正部402に出力する。
給気温度補正部402は、しきい値設定部401が設定したしきい値を取得する。空調が冷房の場合、給気温度補正部402は、現在値取得部410から受信した各個室の室内温度の平均値がしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS42)。給気温度補正部402は、室内温度の平均値がしきい値以上であると判断した場合(ステップS42:YES)、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を所定の温度により補正する(ステップS43)。例えば、しきい値設定部401により設定されたしきい値が28℃とする。給気温度補正部402は、現在値取得部410から受信した各個室の室内温度の平均値が28℃以上のときには、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を−1℃など所定の温度だけ下げるように補正する。外調機給気温度設定指示値を下げることで室内温度の上昇を抑えることが可能となる。給気温度補正部402は、補正した外調機給気温度設定指示値を送信部140に出力する。
給気温度補正部402は、室内温度の平均値がしきい値未満であると判断した場合(ステップS42:NO)、外調機給気温度設定指示値を補正しないと判断する(ステップS44)。給気温度補正部402は、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を補正せずにそのまま送信部140に出力する。
送信部140は、給気温度補正部402から受信した外調機運転装置3宛ての外調機給気温度設定指示値を中継装置2に出力する(ステップS45)。
なお、空調が暖房の場合、給気温度補正部402は、室内温度の平均値がしきい値以下であるときに、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を所定の温度により補正し、送信部140に出力する(ステップS43)。例えば、しきい値設定部401により設定されたしきい値が20℃とする。給気温度補正部402は、現在値取得部410から受信した各個室の室内温度の平均値が20℃以下のときには、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を+1℃など所定の温度だけ上げるように補正する。外調機給気温度設定指示値を上げることで室内温度が下がりすぎないようにすることが可能となる。また、給気温度補正部402は、室内温度の平均値がしきい値を超えるときには、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を補正せずにそのまま送信部140に出力する(ステップS44)。
なお、しきい値が複数設定されてもよい。しきい値が複数設定される場合、給気温度補正部402は、しきい値に応じた補正温度により外調機給気温度設定指示値を補正する。
本実施形態の形態によれば、第3の実施形態の形態と同様の効果が得られる。さらに、室内温度にしきい値を設定して外調機給気温度設定指示値を補正するため、第3の実施形態の形態と比べ、各個室の室内温度が上がりすぎたり、下がりすぎたりしないように抑えることができる。従って、快適性の悪化を防ぐことが可能な空調制御装置を実現することができる。
なお、本実施形態では、しきい値設定部401は、各個室の室内温度の平均値に関するしきい値を設定しているが、各個室の快適性指標のしきい値としてもよい。快適性指標は、人間が感じる快適さを定量的な値で表したものである。例えば、快適性指標には、PMV(Predicted Mean Vote:予測平均温冷感申告)、有効温度、修正有効温度、新有効温度、新標準有効温度、作用温度などを用いることができ、それらの任意の組み合わせを用いてもよい。例えば、快適性指標にPMVを用いる場合、給気温度補正部402は、現在値取得部410から受信した各個室の室内温度や室内湿度などを利用して現在のPMVを計算する。PMVは、−3(寒い)から+3(暑い)の範囲の値である。給気温度補正部402は、しきい値設定部401により設定されたしきい値と各個室の現在のPMVの平均値とを比較し、中継装置2へ送信する外調機給気温度設定指示値を補正するか否かを判断する。給気温度補正部402は、補正すると判断した場合、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を所定の温度により補正して送信部140に出力する。しきい値をPMVに関するものとすることで、温度だけでなく湿度なども考慮した快適性の維持が可能となる。
本実施形態において、現在値取得部410は、各個室の室内温度の平均値を給気温度補正部402に出力しているが、最大値や最小値を送信してもよい。また、例えば、現在値取得部410は、各個室から取得した室内温度のうち最大値と最小値を除いた室内温度をそのまま給気温度補正部402に出力してもよい。例えば、4つの各個室の室内温度を温度が高い順にT1〜T4(T1>T2>T3>T4)とする。現在値取得部410は、最大値T1と最小値T4を除いた室内温度T2又はT3を給気温度補正部402に出力する。また、あるいは、現在値取得部410は、各個室から取得した室内温度のうち最大値と最小値を除いた室内温度の平均値を給気温度補正部402に出力してもよい。例えば、室内温度が上述したT1〜T4である場合、現在値取得部410は、室内温度T2と室内温度T3の平均値を給気温度補正部402に出力する。このように最大値と最小値を除くことで、異常値を考慮しない演算が可能となる。よって、より信頼性の高い空調制御装置を実現することができる。
(第5の実施形態)
本実施形態では、上述した第1から第3の実施形態において算出された外調機給気温度設定指示値を、DR信号の受信により補正する。以下では、第3の実施形態との差分を中心に説明するが、第1又は第2の実施形態に適用することもできる。
本実施形態による空調制御システムは、図9に示す第3の実施形態の空調制御システムの空調制御装置1bを、図16に示す空調制御装置1dに代えた構成である。
図16は、本実施形態の空調制御装置1dの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図10に示す第3の実施形態の空調制御装置1bと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の空調制御装置1dは、現在値取得部210と、給気温度演算部330と、DR信号受信部501と、給気温度補正部502と、送信部140とを備えて構成される。
DR信号受信部501は、外部からDR信号を受信する。
給気温度補正部502は、DR信号受信部501がDR信号を受信した場合、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を、外気温度に近い温度になるように補正して中継装置2へ送信する。
図17は、空調制御装置1dの動作を示すフローチャートである。同図において、図12に示す空調制御装置1bの処理と同じ処理には同一の符号を付している。
DR信号受信部501は、随時外部からDR信号を受信する。
ステップS31〜ステップS36までの処理は、図12に示す処理と同様である。ただし、給気温度演算部330は、補正した外調機給気温度設定指示値を給気温度補正部502に出力する。
給気温度補正部502は、DR信号受信部501からDR信号の受信の有無の情報を取得する。給気温度補正部502は、DR信号受信部501がDR信号を受信した場合(ステップS51:YES)、給気温度補正部502は、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値を所定の温度により補正する(ステップS52)。例えば、空調が冷房の場合、給気温度補正部502は、外調機給気温度設定指示値を+1℃など所定の温度だけ上げるように補正する。一方、空調が暖房の場合、給気温度補正部502は、外調機給気温度設定指示値を1℃など所定の温度だけ下げるように補正する。このように、冷房の場合は外調機給気温度設定指示値を上げることにより、また、暖房の場合は外調機給気温度設定指示値を下げることにより、消費エネルギーを削減してDRに対応することが可能となる。給気温度補正部502は、補正した外調機給気温度設定指示値を送信部140に出力する。
給気温度補正部502は、DR信号を受信していないと判断した場合(ステップS51:NO)、給気温度演算部330が算出した外調機給気温度設定指示値をそのまま送信部140に出力する(ステップS53)。なお、給気温度補正部502は、DR信号受信部501がDRを解除する信号を受信した場合、又は、DR信号の受信から所定時間が経過した場合に、DR信号を受信していないと判断してもよい。
送信部140は、給気温度補正部502から受信した外調機給気温度設定指示値を中継装置2に出力する(ステップS54)。
本実施形態の形態によれば、第3の実施形態の形態と同様の効果が得られる。さらに、DR信号を受信したとき外調機給気温度設定指示値を補正し、空調負荷を低減することができる。
(第6の実施形態)
本実施形態では、ビルマルチエアコンを制御するビルマルチエアコン運転装置に、個室の在室状況に基づいて室内機63のON/OFFを制御するよう指示する。ここでは、第3の実施形態との差分を中心に説明するが、第1、第2、第4、及び第5の実施形態に適用することもできる。
図18は、本実施形態の空調制御システムの構成図であり、同図において、図9に示す第3の実施形態による空調制御システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、本実施形態の空調制御システムは、空調制御装置1eと、中継装置2eと、外調機運転装置3と、ビルマルチエアコン運転装置8と、空調機4と、室内湿度計64と、センサ66を備えて構成される。
センサ66は、居室7を間仕切りしたn個(nは2以上の整数)の個室それぞれに設置される。i番目の個室(iは1以上n以下の整数)に設置されたセンサ66を、センサ66−iと記載する。同図では、n=4の場合の例を示しており、居室7の4つの個室にはそれぞれ、センサ66−1、66−2、66−3、66−4が設置されている。
センサ66は、個室に人が在室しているか不在であるかを検出し、検出結果を示す在/不在情報を出力する。センサ66は、例えば、個室を撮影し、撮影した映像データを構成するピクチャ間の差分から、動いている撮影対象の有無を検出する。センサ66は、検出結果に基づいて、在室又は不在を判定する。なお、センサ66には、赤外線センサや、照明のON/OFFを検出するセンサなど、人が在室しているか不在であるかを検出可能な任意のセンサを用いることができる。
空調制御装置1eは、第3の実施形態の空調制御装置1bと同様に算出した外調機運転装置3宛ての外調機給気温度設定指示値を中継装置2eに出力する。さらに、空調制御装置1eは、居室7における各個室の在/不在情報に基づいてビルマルチエアコン運転装置8宛ての室内機ON/OFF信号を中継装置2eに出力する。室内機ON信号は、室内機63をONにするよう指示する稼働信号であり、室内機OFF信号は、室内機63をOFFにするよう指示する稼働停止信号である。
中継装置2eは、空調制御装置1eから外調機給気温度設定指示値と室内機ON/OFF信号を受信する。中継装置2eは、外調機給気温度設定指示値を外調機運転装置3に送信し、室内機ON/OFF信号をビルマルチエアコン運転装置8に送信する。
ビルマルチエアコン運転装置8は、ビルマルチエアコン60の運転を制御する。ビルマルチエアコン運転装置8は、中継装置2eから受信した室内機ON/OFF信号に従って、ビルマルチエアコン60が備える室内機63−1〜63−nそれぞれのON/OFFを制御する。
図19は、本実施形態の空調制御装置1eの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図10に示す第3の実施形態の空調制御装置1bと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の空調制御装置1eは、現在値取得部610と、給気温度演算部330と、室内機制御信号出力部620と、送信部640とを備えて構成される。
現在値取得部610は、管理者が設定した外調機給気温度設定指示値と、室内機運転情報の現在値と、居室7における各個室の室内湿度の計測値の情報と、居室7における各個室の在/不在情報を取得する。現在値取得部610は、取得した外調機給気温度設定指示値及び室内機運転情報の現在値と、各個室の室内湿度の平均値とを給気温度演算部330に送信し、各個室の在/不在情報を室内機制御信号出力部620に送信する。
室内機制御信号出力部620は、現在値取得部610から受信した各個室の在/不在情報に基づいて、室内機ON信号/OFF信号を出力する。例えば、室内機制御信号出力部620は、i番目(iは、1以上n以下の整数)の個室から受信した在/不在情報が不在を示す場合は、その個室の室内機63−iに室内機OFF信号を出力する。また、室内機制御信号出力部620は、i番目(iは、1以上n以下の整数)の個室に人が入り、在室を示す在/不在情報を受信した場合は、その個室の室内機63−iに室内機ON信号を出力する。室内機制御信号出力部620は、個室が不在から在室に変化したときのみ、その個室の室内機63への室内機ON信号を出力するようにしてもよい。
送信部640は、給気温度演算部330から受信した外調機給気温度設定指示値と、室内機制御信号出力部620から受信した室内機63−1〜63−nそれぞれへの室内機ON信号又は室内機OFF信号を中継装置2eに送信する。
中継装置2eは、空調制御装置1eから受信した外調機給気温度設定指示値を外調機運転装置3に送信する。また、中継装置2eは、空調制御装置1から受信した室内機63−1〜63−nそれぞれへの室内機ON信号又は室内機OFF信号をビルマルチエアコン運転装置8に送信する。
ビルマルチエアコン運転装置8は、中継装置2eから受信した室内機ON信号及び室内機OFF信号に従って、室内機63−1〜63−nのON(稼働)/OFF(稼働停止)を制御する。すなわち、ビルマルチエアコン運転装置8は、室内機63−iに対する室内機ON信号を受信した場合、室内機63−iを稼働させ、室内機63−iに対する室内機OFF信号を受信した場合、室内機63−iの稼働を停止する。
本実施形態の形態によれば、第3の実施形態の形態と同様の効果が得られる。また、空調制御装置1eは、現在の個室の在/不在の状況によって各個室の室内機63の室内機ON/室内機OFF信号を出力する。従って、個室を利用するときに利用者が室内機をONにし、利用しないときはOFFにするといった手間がなくなり、室内機の切り忘れ防止などが可能となる。
なお、本実施形態では、室内機制御信号出力部620が各個室の室内機63に対する室内機ON/室内機OFF信号を出力しているが、室内温度設定値をさらに出力してもよい。例えば、i番目の個室に人が入ってきた場合、室内機制御信号出力部620は、その個室の室内機63−iの室内機ON信号と温度設定値を設定した運転制御信号を出力する。室内機63に指示する室内温度設定値は、省エネを実現する任意の従来技術を用いて決定することができる。
例えば室内機制御信号出力部620は、人が在室する個室の室内機63に指示する室内温度設定値と運転モードを以下のように決定する。
室内機制御信号出力部620は、目標となる快適なPMVの範囲に対応した温度及び湿度の範囲である快適温度湿度範囲を求める。室内機制御信号出力部620は、人が在室するi番目の個室から受信した室内温度及び室内湿度が快適温度湿度範囲に含まれておらず、かつ、室内温度が快適温度湿度範囲よりも高い場合は、運転モードを冷房と判断する。一方、室内機制御信号出力部620は、i番目の個室から受信した室内温度及び室内湿度が快適温度湿度範囲に含まれておらず、かつ、室内温度が快適温度湿度範囲よりも低い場合は、運転モードを暖房と判断する。
室内機制御信号出力部620は、冷房又は暖房と判断した場合、快適温度湿度範囲における温度を室内温度設定値として決定する。室内機制御信号出力部620は、決定した運転モード及び室内温度設定値による運転を室内機63−iに指示する運転制御信号を送信部640に出力する。送信部640は、室内機制御信号出力部620から受信した室内機63−iへの運転制御信号を中継装置2eに送信する。中継装置2eは、室内機63−iへの運転制御信号をビルマルチエアコン運転装置8に出力し、ビルマルチエアコン運転装置8は、運転制御信号により指示された運転モードと室内温度設定値により室内機63−iを稼働させる。
一方、i番目の個室から受信した室内温度及び室内湿度が快適温度湿度範囲に含まれている場合、室内機制御信号出力部620は、運転モードを送風と判断する。室内機制御信号出力部620は、送風による運転を室内機63−iに指示する運転制御信号を送信部640に出力する。送信部640は、室内機制御信号出力部620から受信した室内機63−iへの運転制御信号を中継装置2eに送信する。中継装置2eは、運転制御信号をビルマルチエアコン運転装置8に出力し、ビルマルチエアコン運転装置8は、運転制御信号により指示された運転モードにより室内機63−iを稼働させる。なお、空調制御装置1eは、運転モードを送風と判断する代わりに、室内機63−iをOFFにすると判断してもよい。この場合、室内機制御信号出力部620は室内機63−iへの室内機OFF信号を送信部640に出力する。
この結果、空調制御装置1は、受信した室内温度及び室内湿度の現在値に応じて、快適性を考慮しつつ消費エネルギーを低減する室内機設定をビルマルチエアコン運転装置8に送信することができる。これにより、室内機63の温度設定値が極端に低い又は高い場合などに、適切な温度設定値を出力することで消費エネルギーを削減することができる。
(第7の実施形態)
本実施形態では、外調機や室内機の運転状態の情報などを表示させる。以下では、第3の実施形態との差分を中心に説明するが、第1、第2、第4〜第6の実施形態に適用することもできる。
本実施形態による空調制御システムは、図9に示す第3の実施形態の空調制御システムの空調制御装置1bを、図20に示す空調制御装置1fに代えた構成である。
図20は、本実施形態の空調制御装置1fの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図10に示す第3の実施形態の空調制御装置1bと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の空調制御装置1fは、現在値取得部210と、給気温度演算部330と、送信部140と、表示制御部701と、変更受信部702とを備えて構成される。
表示制御部701は、外調機や室内機の稼働状態、制御パラメータの現在値などの情報を、空調制御装置1fが備えるディスプレイ、又は、空調制御装置1fとネットワークを介して接続されるコンピュータ装置に表示させる。変更受信部702は、制御パラメータの変更後の値を受信し、給気温度演算部330に出力する。
制御パラメータとは、給気温度演算部330が外調機給気温度補正値の決定に用いるパラメータである。具体的には、制御パラメータは、省エネモード補正値関数、快適モード補正値関数、運転モード係数値関数を規定するパラメータである。
図21は、表示制御部701が表示させる居室平面図の表示例を示す図である。
同図に示すように、表示制御部701は、居室7の居室平面図に、外気温度、外気湿度、運転モード係数値、外調機51の給気温度、及び、外調機給気温度設定値(又は、外調機給気温度設定指示値)の情報を表示する。さらに、表示制御部701は、居室平面図に、各個室の室内機63の運転/停止状態、室内温度及び室内湿度の情報を表示する。表示制御部701は、外気温度をビルの外に備えられた温度計から取得し、外気湿度をビルの外に備えられた湿度計から取得して表示させる。また、表示制御部701は、室内機63から受信したON/OFF状態信号に基づいて、室内機63の運転/停止状態の情報を表示させる。また、表示制御部701は、室内温度及び室内湿度をそれぞれ、居室7の各個室に備えられた温度計、室内湿度計から取得する。
このように、平面図上に外調機や室内機、居室の情報を表示することで、視覚的に情報を取り入れることができるため、管理者が現在の各個室の状況などを把握しやすくなる。
図22は、表示制御部701が表示させる制御パラメータ画面の表示画面例を示す図である。表示制御部701は、現在使用されている省エネモード補正値関数、快適モード補正値関数、運転モード係数値関数、これらの関数を決定するための制御パラメータの現在値を表示させる。省エネモード補正値関数を決定するための制御パラメータは、室内ON台数に対応した給気温度補正値(省エネモード補正値)である。快適モード補正値関数を決定するための制御パラメータは、室内ON台数に対応した給気温度補正値(快適モード補正値)である。運転モード補正関数を決定するための制御パラメータは、室内湿度に対応した運転モード係数値である。
管理者が、この表示画面に省エネモード補正値関数、快適モード補正値関数、運転モード係数値関数を決定するための制御パラメータの変更後の値を設定し、更新指示を入力する。変更受信部702は、設定された制御パラメータの値を受信し、給気温度演算部330に出力する。給気温度演算部330は、受信した制御パラメータの値に従って、省エネモード補正値関数、快適モード補正値関数、運転モード係数値関数を変更する。以降、給気温度演算部330は、変更後の省エネモード補正値関数、快適モード補正値関数、運転モード係数値関数を用いて、外調機給気温度補正値を算出する。このように、空調制御装置1fが出力する制御パラメータ画面から、各関数のパラメータをオンラインで変更できるようにすることで、管理者が調整を簡単に行うことが可能となる。
本実施形態の形態によれば、第3の実施形態の形態と同様の効果が得られる。さらに、外調機の設定や、各個室の状況を表示させることができるため、管理者が状況を把握しやすくなる。また、関数を決定するための各制御パラメータをオンラインで変更ができるため、管理者によって簡単に調整を行うことができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、給気温度演算部を持つことにより、間仕切りされた空調ゾーンの空調機を適切に制御することができる。
上述した実施形態における空調制御装置1、1a、1b、1c、1d、1e、1fの機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。