JP6419485B2 - 旋回床、パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ、旋回床の航空機接続方法、及びパッセンジャー・ボーディング・ブリッジの改造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1では、床部の幅方向に移動可能な第1可動通路及び第2可動通路を備えた構造が採用され、特許文献2では、先端側開口の開口幅方向に移動可能な伸縮床と、この伸縮床から跳ね上げられるように回動可能に取り付けられたスロープ床とを備えた構造が採用されている。
さらに、特許文献3では、渡し台を左右方向へスライド移動させる機構を備えた構造が採用され、さらに、特許文献4では、微調整用の左右移動機構を備えた構造が開示されている。
しかし、従来の中大型機用PBBに小型機用補助装置を取り付ける場合には、航空機との接続時にエアステアと干渉しないように配慮することが必要であり、従って、エアステアと干渉しない接続が可能な構造とした小型機用補助装置及びその航空機接続方法の開発が望まれる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、小型機への乗降を可能にする小型機用補助装置の旋回床、この旋回床を備えたパッセンジャー・ボーディング・ブリッジ、エアステアと干渉しない旋回床の航空機接続方法、及びパッセンジャー・ボーディング・ブリッジの改造方法を提供することにある。
本発明に係る旋回床は、パッセンジャー・ボーディング・ブリッジに取り付けられて航空機の乗降口との間に乗降通路の一部を形成する旋回床であって、ロタンダを介してターミナル建築構造部と接続されるトンネル部の航空機側先端部に設けられているヘッドの床下に取り付けられた床板本体を備え、前記床板本体が、前記ヘッドの床下に保持される収納位置と、前記乗降口と前記ヘッドとの間に乗降通路を形成する通路形成位置との間で旋回可能に支持されていることを特徴とするものである。
また、このような旋回床を中大型機用のパッセンジャー・ボーディング・ブリッジに取り付ければ、1台の装置で大型機から小型機まで各種航空機に広く対応可能となる。
この場合、好適な先端歩廊部としては、軽量な渡り板を手動で掛け渡したものや、ばねを介して床板本体に取り付けられたフローティング床板等を例示できる。
また、このような旋回床を備えた中大型機用のパッセンジャー・ボーディング・ブリッジは、1台の装置で大型機から小型機まで各種航空機に広く対応可能となる。
また、本発明の旋回床は、既設の中大型機用パッセンジャー・ボーディング・ブリッジに追設する改造を容易に実施することができるため、新設及び既設の両方で広範囲の航空機に対応可能な装置を提供することが可能となる。
パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ(以下、「PBB」と呼ぶ)1は、例えば空港のターミナルビル(ターミナル建築構造物)と航空機との間を連結して旅客の乗降通路を形成するものである。すなわち、PBB1は、空港のターミナルビルと航空機の乗降口との間を連絡するトンネル状の乗降用歩行通路であるから、乗降客は、航空機に対し屋外に出ることなく直接乗降できるようになる。
図示のトンネル部3は、ロタンダ2側の基端トンネル3aと、この基端トンネル3aの先端側(航空機側)を入れ子式に嵌合された先端トンネル3bとにより、軸方向(長手方向)の伸縮が可能な構造となっている。
一方の可動脚5は、先端トンネル3bの航空機側先端部近傍を下面側から支持し、所望の方向へ自力で走行可能な駆動輪5a及び駆動機構(不図示)と、トンネル部3を昇降させる昇降装置5bを備えている。また、他方の固定脚6は、地上に固定設置されてロタンダ2の下部を支持している。従って、トンネル部3は、可動脚が駆動操作されることにより、航空機へ接近して乗降口に連結する動作や、乗降口の高さにヘッド4の高さを合わせる動作や、乗降口から分離して航空機から離間する動作が可能になる。
旋回床10は、PBB1を構成するヘッド4の床下4aに取り付けられた床板本体11を備えている。この床板本体11は、乗降通路として十分な強度を有する板状の部材であり、ヘッド4の床下4aに保持される収納位置(図1(a)に破線表示)と、乗降口Eとヘッド4との間に乗降通路を形成する通路形成位置(図1(a)に実線表示)との間において、回転軸12を支点(回転中心)として、床下面と平行な平面上の旋回が可能に支持されている。
この結果、旋回可能角度αは、90度に旋回角度βを加えた値(α=90+β)となるため、この場合の旋回角度βが後述するPBB1側の位置ずれ対策に利用可能となる。
このような旋回駆動機構20は、スイッチ操作等により自動的に作動して旋回床10を所望の位置に旋回移動させることができる。
図示のリンク機構33は、略く字状とした駆動アーム34と、直線状とした従動アーム35とを備えている。なお、本実施形態の昇降機構30は、床板本体11の軸中心位置において、1本の駆動アーム34及び1本の従動アーム35よりなるリンク機構33を1本のジャッキ31で駆動する構造となっているが、床板本体11の両側端部を支持して昇降させる構造を採用してもよく、特に限定されることはない。
また、他方の従動アーム35は、一端がヘッド4の床下適所にピン結合(図3の符号dを参照)され、他端が床板本体11の床下適所にピン結合(図3の符号eを参照)されている。
そして、通路形成位置にある床板本体11は、昇降機構30のピストンロッド32を伸ばすことにより、駆動アーム34が折曲部付近のピン結合部を中心とする時計回りの回転により押し上げられる。この結果、床板本体11の床面11aがヘッド4の床面4bと略一致する位置まで上昇するので、床面4b,11a間に形成される段差を確実に解消してフラットな通路を形成することができる。
この場合、好適な先端歩廊部40としては、例えば図6に示すように、床板本体11の先端部と乗降口Eとの間に手動で掛け渡す軽量な渡り板41がある。すなわち、乗降口Eの開口部を利用して、床板本体11の床面11aと機内床面Faとの間に渡り板41を設置するものである。このような渡り板41としては、例えばアルミニウム製等の板材があり、簡単かつ安価な構造で隙間Sの形成を確実に解消することができる。
なお、ヘッド4の床面4bと床板本体11の床面11aの間に生じる隙間は、例えば図6に示すように、渡り板41´を設置することで容易に解消することができる。
本実施形態のフローティング床板43は、例えば図8(b)に示すように、床板本体11の先端部に対して、左右方向に並べられて各々が航空機APの方向へ同じ力で付勢する2つのコイルばね42により、航空機APの方向へ軽く押し出される状態に取り付けられている。なお、図中の符号42aは、コイルばね42の伸縮方向を規定する棒状部材である。
このようなフローティング床板43は、図8(a)に示す正常位置の場合において、コイルばね42に押し出された先端部が航空機APの乗降口Eから航空機内に入り込み、機内床面Fa上に載置される。この結果、床板本体11の先端部と乗降口Eとの間が自動的に連結されるため、上述した渡り板41と同様に隙間Sをなくすことができる。
なお、PBB1を後退させて航空機AP側からの押圧力が減少すると、フローティング床板43はコイルばね42の作用で元の位置に押し出されるため、PBB1の位置を再調整すれば隙間Sの形成は確実に解消される。
しかし、図8(c)に示すように、フローティング床板43が航空機AP側から左右方向の力(例えば図中の矢印F)を受けると、左右一対のコイルばね42は、一方が圧縮量を増すとともに他方の圧縮量は低減される。この結果、フローティング床板43は、左右方向の力Fにより傾斜して追従することができ、さらに、力Fが解消されるとコイルばね42の作用で元の位置に戻る。
なお、緩衝材44の表面は、滑りやすい材料で保護することが望ましい。
なお、上述した本実施形態ではコイルばね42を使用しているが、これに限定されることはなく、同様の機能を有する弾性部材の使用が可能である。
このような上下フリー床板46は、積載重量の低下により航空機APの機内床面Faが上昇した場合や、ヘッド4側の床面4bが降下した場合のような上下変動において、その変動を収可能としたものである。
すなわち、第2変形例の先端歩廊部40は、床板本体11の先端部に対し、前後方向駆動装置48を備えた前後スライド床板49及び上下方向駆動装置50を備えた上下揺動床板51を取り付けた構成とされる。
また、上下方向駆動装置50の動作により伸縮するピストンロッド50aの先端部にピン結合された上下揺動床板51は、揺動軸47で連結された前後スライド床板49に対して、矢印53で示す上下方向に揺動する。
なお、前後方向駆動装置48及び上下方向駆動装置50は、油圧シリンダに限定されることはなく、例えば電動機で回動するボールネジを用いたスライダ機構など、他の駆動機構を適宜採用してもよい。
図10(a)に示す手摺13は手動差込み構造であり、通路形成位置にある床板本体11に対し、左右端部適所に設けた挿入筒14に脚部を作業員が差し込んで取り付ける構造となっている。
なお、図11において、図中の符号Pは手摺13Aを折り畳み可能に支持するピン、61はロック機構60及び手摺13Aを床板本体11の側壁部に固定して取り付ける下部構造体、62は下部構造体の上面に設けられた下部板である。
図示のロック機構60は、手摺13Aの下部側壁に対し、ピンPrと一体に回動可能に支持されたフック63を備えており、さらに、このフック63は、ロック状態を維持する方向に付勢するばね(不図示)を備えている。また、このフック63は、傾斜面63aを有する三角形断面形状とされ、傾斜面63aの上端部には段差部64が形成されている。なお、図中の符号65は、フック63とピンPrにより支持された旋回部66との間を連結するロッド部である。
図示のロック解除機構70は、フック63を回動自在に支持しているピンPrを通し軸とし、ピンPrとフック63との間は、両者が一体に回動するよう止めネジ(不図示)により固定されている。また、ピンPrの一端には、ピンPrを手動で回転させてロック状態を解除するハンドル71が設けられている。従って、ハンドル71を操作してピンPrをロック解除方向へ回転させれば、フック63も一体に同方向へ回転するので、段差部64と下部板62の下面との係合によるロック状態が解除される。なお、図示のロック解除機構70は、左右の手摺13Aにそれぞれ設けられている。
図10(d)に示す手摺13C,13C´は、左右のいずれか一方を折り畳み構造の手摺とし、他方を手動差込み構造の手摺13C´としたものである。
上述した各構造の手摺13を設けることにより、床板本体11の旋回動作を妨げることなく安全な乗降通路を形成することができる。
また、上述した旋回床10を備えた中大型機用のPBB1は、1台の装置で大型機から小型機まで各種航空機に広く対応することが可能となる。
次に、昇降機構30を備えている場合には、図4(c)に示すように、昇降機構30を動作させることにより、旋回床10をヘッド4の床面4bと段差のない高さまで上昇させる。なお、図4(c´)は、PBB1を後方の接続位置で待機させる状況を示しており、PBB1を航空機APの床位置まで下げた状態で航空機APのドア開動作ができるような後方位置に待機させた後、航空機APのドア開動作完了後にPBB1を前進させる方式を示す。
この後、先端歩廊部40を掛け渡す作業や、手摺13を取り付ける作業を実施することで、段差や隙間がなく、しかも手摺13を備えた安全な乗降通路が形成される。
図5(b)は、ヘッド4の旋回動作と旋回床10の旋回動作とを組み合わせることにより、旋回床10を航空機APの開口部Eに略平行移動させることも可能であることを示す図である。
このようなPBB1の改造方法は、例えば中大型機に対応した既存のPBB1に旋回床10を追設することにより、エアステアを備えた小型の航空機APにも使用可能となる。このような旋回床10の追設は、ヘッド4の床下に旋回床10を新たに設置するだけであるから、制約の少ない容易な改造となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 ロタンダ
3 トンネル部
4 ヘッド
4a 床下
4b,11a 床面
10 旋回床
11 床板本体
12 回転軸
13,13A,13B,13C,13C´,13D 手摺
20 旋回駆動機構
21,31 ジャッキ
22,32,48a,50a ピストンロッド
30 昇降機構
33 リンク機構
40 先端歩廊部
41,41´ 渡り板
42 コイルばね
43 フローティング床板
44 緩衝材
45 センサ
46 上下フリー床板
48 前後方向駆動装置
49 前後スライド床板
50 上下方向駆動装置
51 上下揺動床板
60 ロック機構
63 フック
64 段差部
70 ロック解除機構
AP 航空機
D ドア
E 乗降口
Fa 機内床面
H 手摺
S 隙間
T 機体内蔵タラップ
Claims (9)
- パッセンジャー・ボーディング・ブリッジに取り付けられて航空機の乗降口との間に乗降通路の一部を形成する旋回床であって、
ロタンダを介してターミナル建築構造部と接続されるトンネル部の航空機側先端部に設けられているヘッドの床下に取り付けられた床板本体を備え、
前記床板本体が、前記ヘッドの床下に保持される収納位置と、前記乗降口と前記ヘッドとの間に乗降通路を形成する通路形成位置との間で、前記床板本体の床面に対して垂直な回転軸を中心にして旋回可能に支持されていることを特徴とする旋回床。 - パッセンジャー・ボーディング・ブリッジに取り付けられて航空機の乗降口との間に乗降通路の一部を形成する旋回床であって、
ロタンダを介してターミナル建築構造部と接続されるトンネル部の航空機側先端部に設けられているヘッドの床下に取り付けられた床板本体を備え、
前記床板本体が、前記ヘッドの床下に保持される収納位置と、前記乗降口と前記ヘッドとの間に乗降通路を形成する通路形成位置との間で旋回可能に支持され、
前記床板本体を上下方向に移動させる昇降機構が設けられていることを特徴とする旋回床。 - 前記収納位置と前記通路形成位置との間で前記床板本体を旋回駆動させる旋回駆動機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の旋回床。
- 前記床板本体を上下方向に移動させる昇降機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の旋回床。
- 前記床板本体の先端部と前記乗降口との間に掛け渡して連結する先端歩廊部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の旋回床。
- 前記床板本体に着脱または折り畳み可能な手摺が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の旋回床。
- ターミナル建築構造物と航空機との間を連結して旅客の乗降通路を形成するパッセンジャー・ボーディング・ブリッジであって、
前記ターミナル建築構造物側に設けられたロタンダと、
前記ロタンダに対して水平方向へ回動可能に接続され、かつ、軸方向へ伸縮可能なトンネル部と、
前記トンネル部の航空機側先端部に設けられているヘッドと、
請求項1から6のいずれか1項に記載の旋回床と、
を具備して構成されることを特徴とするパッセンジャー・ボーディング・ブリッジ。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の旋回床を航空機の乗降口に接続する旋回床の航空機接続方法が、
床板本体を収納位置にしたヘッドが航空機側のドア開操作を妨げない上方あるいは後方の接続位置まで移動して待機する第1工程と、
航空機側のドア開操作を完了した状態で前記床板本体を通路形成位置まで旋回させる第2工程と、
前記ヘッドとともに前記床板本体を降下あるいは前進させて前記乗降口に接続する第3工程と、
を備えていることを特徴とする旋回床の航空機接続方法。 - ターミナル建築構造物側に設けられたロタンダと、前記ロタンダに対して水平方向へ回動可能に接続され、かつ、軸方向へ伸縮可能なトンネル部と、上下方向に昇降可能な昇降装置と、前記トンネル部の航空機側先端部に設けられている旋回可能なヘッドとを備え、前記ターミナル建築構造物と航空機との間を連結して旅客の乗降通路を形成するパッセンジャー・ボーディング・ブリッジの改造方法であって、
前記ヘッドの床下に請求項1から6のいずれか1項に記載の旋回床を追加して取り付けることを特徴とするパッセンジャー・ボーディング・ブリッジの改造方法。
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