(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。先ずは、本発明が適用される画像形成装置の構成例について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。図1に示す画像形成装置100は、トナーを用いて記録用紙等のシートP上にトナー像を形成するものである。
装置本体110は、像担持体(ここでは感光体ドラム)3と、感光体ドラム3表面を帯電させるための帯電手段(ここでは帯電器)5と、感光体ドラム3上に静電潜像を形成するための露光装置(ここでは露光ユニット)1と、静電潜像をトナーによって可視化して感光体ドラム3上にトナー像を形成するための現像装置(ここでは現像器)2と、中間転写体(ここでは中間転写ベルト)61と、感光体ドラム3上のトナー像を一旦中間転写ベルト61上に転写する1次転写装置(ここでは中間転写ローラ)64と、中間転写ローラ64によって転写されずに感光体ドラム3表面に残った残留トナーを除去する1次クリーニング装置(ここではクリーナユニット)4と、中間転写ベルト61上のトナー像をシートP上に転写する2次転写装置(ここでは2次転写ユニット)10と、2次転写ユニット10によって転写されずに中間転写ベルト61表面に残った残留トナーを除去する2次クリーニング装置(ここでは中間転写ベルトクリーニングユニット)65と、シートP上に形成されたトナー像を加熱溶融して固着させることで該シートP上に定着させる定着装置7を備えている。
この画像形成装置100は、前記構成に加えて、シートPの搬送路Sと、搬送路Sの両側に沿って配設される一対の搬送ローラ12a〜12dと、原稿の画像を読み取る原稿読取装置(ここではスキャナー装置)90と、原稿が載置される原稿載置台92と、自動原稿処理装置120とを備えている。
装置本体110の上部には、原稿読取装置90が設けられている。原稿読取装置90の上側には透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、さらに、原稿載置台92の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。自動原稿処理装置120は、原稿を原稿読取装置90上へ自動で搬送するようになっている。また、自動原稿処理装置120は、原稿搬送方向に沿った枢支軸回りに回動自在とされ、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで載置することができるようになっている。これにより、原稿読取装置90は、自動原稿処理装置120にて搬送される原稿の画像、又は原稿載置台92上に載置される原稿の画像を読み取ることができるようになっている。
そして、画像形成装置100は、原稿読取装置90により読み取られた原稿に対応する画像データ又は外部から伝達された画像データに応じて、シートPに対して多色及び単色の画像を形成するように構成されている。
さらに説明すると、本画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。従って、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4及び中間転写ローラ64は各色に応じた4種類の画像を形成するためにそれぞれ4個ずつ設けられている。
すなわち、これら4つの部材は、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらの部材によって、画像ステーションが構成されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。帯電器5は、接触型の帯電器(例えばローラ型やブラシ型のもの)や、図1に示すようなチャージャ型の帯電器を用いることができる。
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3の表面を、入力された画像データに応じて露光することにより、該表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有するものである。詳しくは、露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。
この露光ユニット1としては、レーザ照射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)、ELやLED等の発光素子をアレイ状に並べた書込み装置(例えば、書込みヘッド)を用いることができる。
現像装置2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化(可視化)するものである。クリーナユニット4は、現像、画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去、回収するものである。
感光体ドラム3の上方には中間転写ベルトユニット6が配置されている。この中間転写ベルトユニット6は、前記した中間転写ベルト61、中間転写ローラ64及び中間転写ベルトクリーニングユニット65に加えて、中間転写ベルト駆動ローラ62及び中間転写ベルト従動ローラ63を備えている。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ローラ64、中間転写ベルト従動ローラ63等のローラは、中間転写ベルト61を張架して支持し、中間転写ベルト61の表面を所定方向(図中矢印D方向)に移動させ得るように構成されている。
中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を間にして感光体ドラム3とは反対側に回転可能に支持されている。この中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61に転写バイアスを与えるものである。
中間転写ベルト61は、それぞれの感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。この中間転写ベルト61は、ここでは、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側(すなわち、中間転写ベルト61の感光体ドラム3とは反対側)に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を中間転写ベルト61に転写するための高電圧の転写バイアス、すなわち、トナーの帯電極性(例えばマイナス電極)とは逆極性(例えばプラス電極)の高電圧の転写バイアスが印加される。中間転写ローラ64は、ここでは、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレススチール)からなる回転軸をベースとされ、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等の材料からなるもの)により覆われたローラとされている。中間転写ローラ64は、この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加できるようになっている。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状のものを使用しているが、それに限定されるものではなく、ブラシ形状のものなども用いることができる。
前記したように、感光体ドラム3上で各色のトナーにより顕像化(可視化)されたトナー像は、中間転写ベルト61で積層される。このように積層された各色のトナー像は、中間転写ベルト61の回転によって、シートPと中間転写ベルト61とが対向する転写部位に配置された2次転写ユニット10によってシートP上に転写される。
中間転写ベルト61と2次転写ユニット10の転写ローラ10aとは相互に圧接されて、ニップ域を形成している。また、2次転写ユニット10の転写ローラ10aには、中間転写ベルト61上の各色のトナー像をシートPに転写させるための電圧、すなわち、トナーの帯電極性(例えばマイナス電極)とは逆極性(例えばプラス電極)の電圧が印加される。さらに、前記ニップ域を定常的に得るために、2次転写ユニット10のローラ若しくは中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を金属ローラ等の硬質材料のものとし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(例えば弾性ゴムや発泡性樹脂等の軟質材料)のものとしている。
ところで、2次転写ユニット10によって中間転写ベルト61上の各色のトナー像がシートP上に完全に転写されず、中間転写ベルト61上にトナーが残存することがある。この残存トナーは次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。
このため、中間転写ベルトクリーニングユニット65は、該残存トナーが除去、回収されるように構成されている。例えば、中間転写ベルトクリーニングユニット65には、クリーニング部材として中間転写ベルト61に接触するクリーニングブレードが備えられている。このクリーニングブレードは、中間転写ベルト従動ローラ63と対向する位置において中間転写ベルト61の裏側(すなわち、中間転写ベルト従動ローラ63とは反対側)で支持されている。
画像形成装置100は、さらに、給紙カセット81及び排出部91を備えている。給紙カセット81は、画像形成に使用するシートPを格納しておくためのものであり、装置本体110の下側に設けられた本実施形態の給紙装置である。また、排出部91は、装置本体110の上部に設けられており、本実施の形態では、排紙トレイとされている。この排出部91は、画像形成済みのシートPをフェイスダウンで載引するためのトレイである。
また、装置本体110には、給紙カセット81のシートPを2次転写ユニット10や定着装置7を経由させて排出部91に送るための略S字形状の主搬送路S1が設けられている。
さらに、給紙カセット81から排出部91までの主搬送路S1に沿って、ピックアップローラ11a、レジストローラ13、2次転写ユニット10及び定着装置7が配設されている。ピックアップローラ11aを給紙カセット81の用紙束の最上層の記録用紙(シートP)に押し当て、ピックアップローラ11aを回転させることにより最上層の記録用紙を引き出して、記録用紙を主搬送路S1へと搬送する。
搬送ローラ12a〜12dは、例えば、シートPの搬送を促進、補助するための小型のローラとされており、搬送路Sに沿って設けられている。なお、搬送路Sは、主搬送路S1の他、スイッチバック搬送路S2及び反転搬送路S3によって構成されている。
また、レジストローラ13は、給紙カセット81から搬送されてくるシートPを一旦停止させて、シートPの先端を揃えるものである。また、レジストローラ13は、シートPを中間転写ベルト61上のトナー像と同期をとってタイミングよく搬送する機能を有している。
定着装置7は、シートP上に形成された未定着トナー像を加熱溶融して固着させることで該シートP上に定着させるものである。
以上説明した画像形成装置100では、片面画像形成の要求の際には、先ず、給紙カセット81から搬送されるシートPが、主搬送路S1中の搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送される。次いで、レジストローラ13によってシートPが中間転写ベルト61上のトナー像と同期をとって転写部位に搬送される。この転写部位に搬送されたシートP上に、2次転写ユニット10に印加される転写電界にて中間転写ベルト61上のトナー像が転写される。その後、シートPは、定着装置7を通過することによって、該シートP上に転写された未定着トナーが熱量と加圧力とを受け、溶融、固着され、シート上に定着される。トナー像が定着されたシートPは、その後、搬送ローラ12bを経て、排出部91上に排出される。
一方、両面画像形成の要求の際には、前記したように片面画像形成が終了し、定着装置7を通過したシートPは、スイッチバック搬送S2で搬送ローラ12bにてチャックされた状態で、搬送ローラ12bが逆回転することによって、停止前の搬送方向上流側端部が前になるように搬送ローラ12c、12dにて反転搬送路S3に搬送される。そして反転搬送路S3に搬送されたシートPは、搬送ローラ12c、12dにて転写部位より搬送方向上流側に導かれた後、レジストローラ13を経て、裏面に画像形成され、排出部91に排出される。
図2(a)は感光体ドラム3の構成を示す模式側面図であり、図2(b)は模式端面図である。感光体ドラム3は、感光体部3aと、感光体駆動ギヤ3bと、リブ3cと、位相検知センサ3dとを備えている。
感光体部3aは略円筒状の部材であり、帯電器5により帯電されて静電潜像が形成される部分である。感光体駆動ギヤ3bは、感光体部3aの一方の端部に設けられたギヤであり、図示しないモータなどの駆動手段の動力がベルトやギヤ機構によって伝達される部分である。リブ3cは、感光体駆動ギヤ3bの外周近傍に形成された突起状部分である。位相検知センサ3dは、発光素子と受光素子を備えた検出センサであり、凹状部を通過するリブ3cの通過により受光状態が変化することでリブ3cの通過を検出する。
図示しない駆動手段の動力が感光体駆動ギヤ3bに伝達されると、感光体部3aおよびリブ3cも感光体駆動ギヤ3bとともに回転駆動される。このとき、リブ3cは円周方向に回転されて周期的に位相検知センサ3dの凹状部を通過し、位相検知センサ3dはリブ3cの通過ごとに位相検知信号を発生する。したがって、リブ3cと位相検知センサ3dとの組み合わせは、本発明の位相検出手段を構成している。ここで、位相検出手段としてリブ3cと凹状部を有する位相検知センサ3dで構成された例を示したが、感光体部3aの位相を検出できるものであれば他の構成を用いてもよく、ミラーなどの反射手段と反射率変化を検出するセンサを用いて位相検知手段を構成するとしてもよい。
位相検知手段であるリブ3cと位相検知センサ3dは、全ての感光体ドラム3に設けて全ての位相を検知してもよい。また、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の三色を同じ駆動手段からの動力によって回転駆動する場合には、CMYの感光体ドラム3は常に同じ位相状態となるように駆動されているため、代表としてシアン(C)の位相信号を検知するだけで足りる。したがって、このような場合には、シアン(C)とブラック(K)の二つの感光体ドラム3に位相検知手段を設けるとしてもよい。
また、本発明の画像形成装置は、位相検知手段で検知した位相検知信号に基づいて、駆動手段による感光体ドラム3の回転駆動を制御する駆動制御手段を備えている。駆動制御手段は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータからなる処理部と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やデータ書き換え可能な不揮発性メモリ等の記憶装置を含む記憶手段と含んでいる。
印刷ジョブが終了すると、駆動制御手段は印刷ジョブ中の感光体ドラム3の回転駆動制御を停止し、感光体ドラム3の回転速度を徐々に遅く変化させながら停止させるスローダウン制御を行う。このとき、各感光体ドラム3の位相差に応じて、予め記録されているテーブルから減速パターンを決定し、感光体ドラム3の位相に応じて異なるスローダウン制御をする。
図3は第1実施形態におけるスローダウン制御を示すフローチャートである。ここでは、駆動制御手段によるスローダウン制御に関係するステップのみを記載しており、通常の印刷ジョブ中における位相制御等については説明を省略する。
カラー印刷ジョブが開始されると、各感光体ドラム3が駆動手段によって回転駆動され、リブ3cが位相検知センサ3dを通過するたびに位相検知信号が検出される。ステップSc1で駆動制御手段は、位相検知信号がオン信号となったタイミングによって感光体ドラム3の位相を例えば位相0°として認識する。また、駆動制御手段は位相検知信号がオン信号となったタイミングからの経過時間をカウントしておき、次のオン信号タイミングに経過時間をリセットする動作を繰り返している。位相検知信号のオン信号生成の間隔は、感光体ドラム3が一周する期間に相当しているため、オン信号からの経過時間を計測し感光体ドラム3の回転速度に基づいて計算することで、経過時間に応じて感光体ドラム3の位相(回転した角度)を認識することができる。
次にステップSc2では、ブラック(K)の感光体ドラム3で検出された位相を基準として、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)各色の感光体ドラム3の位相差を演算する。このとき、CMYを同一の駆動手段で回転駆動している場合には、代表であるCの感光体ドラム3の位相を演算する。CMYを個別の駆動手段で回転駆動している場合には、各感光体ドラム3の位相について位相検知と位相差の演算をする。
次にステップSc3では、位相制御の要求判定として、基準であるKの感光体ドラム3に対するCMY各色の感光体ドラム3の位相差が所定の範囲内であるかを判定する。CMYの感光体ドラム3を個別の駆動手段で回転駆動している場合には、各感光体ドラム3の位相差判定結果に基づいて駆動手段ごとに判定を行う。位相差が所定範囲内である場合にはステップSc4に移行し、位相差が所定範囲を超えている場合にはステップSc5に移行する。判定基準となる位相差としては、例えば45°を基準として用いるが、何度の位相差を基準としてもよい。
ステップSc4では、Kの感光体ドラム3を回転駆動している駆動手段については、基準減速パターンを選択する。また、Kを基準として位相差が許容範囲内である感光体ドラム3の駆動手段についても、基準減速パターンを選択する。各駆動手段の減速パターンを記憶した後、ステップSc6に移行する。
ステップSc5では、Kの感光体ドラム3を回転駆動している駆動手段については、基準減速パターンを選択する。また、Kを基準として位相差が許容範囲外であるCMYの感光体ドラム3の駆動手段については、基準減速パターンとは異なる減速パターンを選択する。このとき、ステップSc2で演算された位相差を解消するように、減速開始から回転停止までに回転する角度が、基準減速パターンと位相差分だけ異なるような減速パターンを選択する。各駆動手段の減速パターンを選択してその設定を記憶した後、ステップSc6に移行する。
ステップSc6では、カラー印刷ジョブを終了のために駆動手段を停止させるモータ停止要求の判定をする。画像形成装置100では、印刷ジョブ中にJOB信号としてオン信号を継続しておき、印刷ジョブの終了指示とともにオフ信号に切り替わる。また、JOB信号がオフに切り替わるのに伴って、駆動手段に対して継続されていたドラム駆動の信号がオフに切り替わる。このステップSc6では、ドラム駆動の信号がオフとなった場合には、モータ停止要求ありと判定しステップSc7に移行する。ドラム駆動のオン信号が継続している場合にはモータ停止要求なしと判定し、ステップSc1に移行してステップSc6までの制御ループを繰り返す。繰り返しの制御ループでは、ステップSc4又はSc5での減速パターン選択が繰り返され、新たな減速パターンが選択された場合には最新の減速パターンに更新して記憶する。
ステップSc7では、駆動制御手段はステップSc4又はSc5で選択された減速パターンに基づいて各駆動手段の回転動作を制御し、各感光体ドラム3の回転速度を徐々に低下させるスローダウン制御を行う。各感光体ドラム3の回転が停止した時点でカラー印刷ジョブが終了する。
モノクロ印刷ジョブが開始されると、ブラック(K)の感光体ドラム3が駆動手段によって回転駆動され、カラー印刷ジョブと同様に、経過時間に応じて感光体ドラム3の位相(回転した角度)を認識する。駆動制御手段は、モノクロ印刷ジョブ開始時点におけるブラック(K)の位相を前回位相として記憶しておく。
駆動制御手段は、カラー印刷ジョブ中にステップSm1でモータ停止要求の判定をする。ドラム駆動の信号がオフとなった場合には、モータ停止要求ありと判定しステップSm2に移行する。ドラム駆動のオン信号が継続している場合にはモータ停止要求なしと判定し、モノクロ印刷ジョブを繰り返し、ステップSm1までの制御ループを繰り返す。
ステップSm2では、駆動制御手段は基準減速パターンに基づいてブラック(K)の駆動手段の回転動作を制御し、ブラック(K)の感光体ドラム3の回転速度を徐々に低下させるスローダウン制御を行う。このとき駆動制御手段は、基準減速パターンによって減速開始から回転停止までに回転する角度を算出し、モノクロ印刷ジョブ開始時に記憶しておいた前回位相で回転停止するように、減速開始のタイミングを算出して減速を開始する。ブラック(K)の感光体ドラム3の回転が停止した時点でモノクロ印刷ジョブが終了する。
モノクロ印刷ジョブの前後で、Kの感光体ドラム3の停止時の位相は変化しないため、カラー印刷ジョブとモノクロ印刷ジョブが混在した条件でも、KCMY各色の感光体ドラム3の位相がずれることがない。
図4は、駆動制御手段に予め記録されている各減速パターンでの減速開始から回転停止までに回転する角度を示すテーブルの一例である。この例では、減速パターンNo1〜8まで45度ずつ角度が異なるように設定している。また、それぞれ±22.5度の範囲内の位相差を設定しておき、その範囲に属する減速パターンが選択される。例えば、位相差が57度の場合にはNo1の減速パターンが選択され、位相差が118度の場合にはNo3の減速パターンが選択される。
図5は、第1実施形態の減速パターン選択と位相ずれの解消を説明する概念図である。図5(a)は、駆動制御手段に予め記憶された減速パターンを示しており、横軸は時間を示し縦軸は感光体ドラム3の回転における角速度を示している。横軸に示された数字は図4に示した減速パターンの番号である。No1〜8の減速パターンはそれぞれ、減速開始から回転停止まで徐々に角速度を低下させるが、その減速の割合が異なっており減速開始から回転停止までに要する時間とその間に回転する角度が異なっている。
第1実施形態では、回転停止までの時間が最も早く、回転する角度が最も小さいNo1の減速パターンを基準減速パターンとしている。また、ブラック(K)の感光体ドラム3を常に基準減速パターンであるNo1に選択し、CMYの感光体ドラム3では位相差を解消する適切な減速パターンNo2〜8を選択する。画像形成装置の全体の駆動制御においては、ブラック(K)の感光体ドラム3を基準にして各種制御を行う場合が多いため、常にKを基準減速パターンでスローダウン制御しておくことが好ましい。
ステップSc3でKとCMYの位相ずれが設定範囲内の場合にはステップSc4に移行して、KおよびCMYに対して基準減速パターンのNo1が選択される。この場合、KおよびCMYの感光体ドラム3は、ステップSc7では略同タイミングで減速開始してNo1の減速パターンで回転停止まで減速される。したがって、各感光体ドラム3同士の位相差に変化はない。
ステップSc3で位相ずれが設定範囲外の場合にはステップSc5に移行して、図5(b)のようにKに対して基準減速パターンのNo1が選択される。また、図5(c)のようにKとCMYの位相差に応じてCMYに対して適切な減速パターンが選択される。ここでは、位相差がKを基準として180度±22.5度の場合を示しており、CMYに対してNo5の減速パターンが選択されている。
KおよびCMYの感光体ドラム3は、図5(d)のようにステップSc7では略同タイミングで減速開始する。また、Kの感光体ドラム3はNo1の減速パターンで回転停止まで減速され、CMYの感光体ドラム3はNo5の減速パターンで回転停止まで減速される。このとき、減速開始から回転停止までの回転角度はNo1が45度でありNo5が225度であるから、互いに180度の角度差が生じて位相差が解消する。図中では横軸に時間をとり縦軸に角速度をとっているため、減速開始から回転停止までに生じるずれ量は図5(d)に示されている三角形の面積に相当している。
このように、各感光体ドラム3の位相差に応じて、予め記録されているテーブルから減速パターンを決定し、感光体ドラム3の位相に応じて異なるスローダウン制御をすることで、簡便な駆動制御によって各像担持体の停止状態での位相差を解消することができる。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通の構成については説明を省略する。図6,7は、第2実施形態の減速パターン選択と位相ずれの解消を説明する概念図である。
第2実施形態では、回転停止までの時間が2番目に早いNo2の減速パターンを基準減速パターンとしている。また、ブラック(K)の感光体ドラム3を常に基準減速パターンであるNo2に選択し、CMYの感光体ドラム3では位相差を解消する適切な減速パターンNo1またはNo3を選択する。
ステップSc3でKとCMYの位相ずれが設定範囲内の場合にはステップSc4に移行して、KおよびCMYに対して基準減速パターンのNo2が選択される。この場合、KおよびCMYの感光体ドラム3は、ステップSc7では略同タイミングで減速開始してNo2の減速パターンで回転停止まで減速される。したがって、各感光体ドラム3同士の位相差に変化はない。
ステップSc3でKに対するCMYの位相が45度±22.5度の範囲で遅れている場合には、ステップSc5で、Kに対しては図6(b)のように基準減速パターンであるNo2の減速パターンを選択し、CMYに対しては図6(c)のようにNo3の減速パターンを選択する。
KおよびCMYの感光体ドラム3は、図6(d)のようにステップSc7では略同タイミングで減速開始する。また、Kの感光体ドラム3はNo2の減速パターンで回転停止まで減速され、CMYの感光体ドラム3はNo3の減速パターンで回転停止まで減速される。したがって、CMYの感光体ドラム3はKの感光体ドラム3よりも45度多く回転して、位相の遅れを解消して停止する。
ステップSc3でKに対するCMYの位相が45度±22.5度の範囲で進んでいる場合には、ステップSc5で、Kに対しては図7(b)のように基準減速パターンであるNo2の減速パターンを選択し、CMYに対しては図7(c)のようにNo1の減速パターンを選択する。
KおよびCMYの感光体ドラム3は、図7(d)のようにステップSc7では略同タイミングで減速開始する。また、Kの感光体ドラム3はNo2の減速パターンで回転停止まで減速され、CMYの感光体ドラム3はNo1の減速パターンで回転停止まで減速される。したがって、CMYの感光体ドラム3はKの感光体ドラム3よりも45度少なく回転して、位相の進みを解消して停止する。
印刷ジョブを繰り返すうちに位相のずれは徐々に蓄積されていく。したがって、図3に示したスローダウン制御において、ステップSc3で判定される位相ずれは図4に示した減速パターン同士の最小の位相差である場合が多い。そこで、本実施形態ではKの減速パターンとして基準減速パターンのNo2を設定し、それに隣接するNo1とNo3の減速パターンをCMYの減速パターンに設定してスローダウン制御を行う。これにより、No1〜3の減速パターンのみを用いてKおよびCMYのスローダウン制御をでき、回転停止までに要する時間を短縮することができる。
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態と共通の構成については説明を省略する。図8は、第3実施形態におけるスローダウン制御を示すフローチャートである。図9は、第3実施形態の減速パターン選択と位相ずれの解消を説明する概念図である。
カラー印刷ジョブが開始されると、各感光体ドラム3が駆動手段によって回転駆動され、リブ3cが位相検知センサ3dを通過するたびに位相検知信号が検出される(ステップSc11)。
次にステップSc12では、ブラック(K)の感光体ドラム3で検出された位相を基準として、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)各色の感光体ドラム3の位相差を演算する。
次にステップSc13では、位相制御の要求判定として、基準であるKの感光体ドラム3に対するCMY各色の感光体ドラム3の位相差が所定の範囲内であるかを判定する。位相差が所定範囲内である場合にはステップSc14に移行し、位相差が所定範囲を超えている場合にはステップSc15に移行する。
ステップSc14では、Kの感光体ドラム3を回転駆動している駆動手段については、基準減速パターンとしてNo1を選択する。また、Kを基準として位相差が許容範囲内である感光体ドラム3の駆動手段についても、基準減速パターンとしてNo1を選択する。各駆動手段の減速パターンを記憶した後、ステップSc16に移行する。
ステップSc15では、KとCMYの感光体ドラム3のうち位相が進んでいる側について、基準減速パターンとしてNo1を選択し、位相が遅れている側の減速パターンとしてNo2を選択する。
ステップSc16では、カラー印刷ジョブを終了のために駆動手段を停止させるモータ停止要求の判定をし、モータ停止要求ありと判定した場合にはステップSc17に移行する。モータ停止要求なしと判定した場合には、ステップSc11に移行してステップSc16までの制御ループを繰り返す。繰り返しの制御ループでは、ステップSc14又はSc15での減速パターン選択が繰り返され、新たな減速パターンが選択された場合には最新の減速パターンに更新して記憶する。
ステップSc17では、駆動制御手段はステップSc14又はSc15で選択された減速パターンに基づいて各駆動手段の回転動作を制御し、各感光体ドラム3の回転速度を徐々に低下させるスローダウン制御を行う。各感光体ドラム3の回転が停止した時点でカラー印刷ジョブが終了する。
モノクロ印刷ジョブが開始されると、駆動制御手段は、カラー印刷ジョブ中にステップSm11でモータ停止要求の判定をする。モータ停止要求ありと判定した場合にはステップSm12に移行する。モータ停止要求なしと判定した場合には、モノクロ印刷ジョブを繰り返し、ステップSm11までの制御ループを繰り返す。
ステップSm12では、駆動制御手段は基準減速パターンであるNo1の減速パターンに基づいてブラック(K)の駆動手段の回転動作を制御し、ブラック(K)の感光体ドラム3の回転速度を徐々に低下させるスローダウン制御を行う。このとき駆動制御手段は、基準減速パターンによって減速開始から回転停止までに回転する角度を算出し、モノクロ印刷ジョブ開始時に記憶しておいた前回位相で回転停止するように、減速開始のタイミングを算出して減速を開始する。ブラック(K)の感光体ドラム3の回転が停止した時点でモノクロ印刷ジョブが終了する。
KとCMYの位相ずれが設定範囲内の場合にはKおよびCMYに対して基準減速パターンのNo1が選択される。この場合、KおよびCMYの感光体ドラム3は、ステップSc17では略同タイミングで減速開始してNo1の減速パターンで回転停止まで減速される。したがって、各感光体ドラム3同士の位相差に変化はない。
Kに対するCMYの位相が45度±22.5度の範囲で遅れている場合には、Kに対しては図9(b)のように基準減速パターンであるNo1の減速パターンを選択し、CMYに対しては図9(c)のようにNo2の減速パターンを選択する。KおよびCMYの感光体ドラム3は、図9(d)のように略同タイミングで減速開始する。また、Kの感光体ドラム3はNo1の減速パターンで回転停止まで減速され、CMYの感光体ドラム3はNo2の減速パターンで回転停止まで減速される。したがって、CMYの感光体ドラム3はKの感光体ドラム3よりも45度多く回転して、位相の遅れを解消して停止する。
Kに対するCMYの位相が45度±22.5度の範囲で進んでいる場合には、Kに対しては図7(b)のように減速パターンのNo2を選択し、CMYに対しては図7(c)のように基準減速パターンであるNo1の減速パターンを選択する。KおよびCMYの感光体ドラム3は、図7(d)のように略同タイミングで減速開始する。また、Kの感光体ドラム3はNo2の減速パターンで回転停止まで減速され、CMYの感光体ドラム3はNo1の減速パターンで回転停止まで減速される。したがって、CMYの感光体ドラム3はKの感光体ドラム3よりも45度少なく回転して、位相の進みを解消して停止する。
本実施形態ではKとCMYの感光体ドラム3のうち、位相が進んでいるほうの減速パターンとして基準減速パターンであるNo1を選択し、遅いほうの減速パターンとしてNo2を選択してスローダウン制御を行う。これにより、No1,2の減速パターンのみを用いてKおよびCMYのスローダウン制御をでき、回転停止までに要する時間をさらに短縮することができる。(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態について説明する。第1実施形態と共通の構成については説明を省略する。第1〜3実施形態では、KとCMYの減速開始タイミングを略同一としてスローダウン制御をしている。
本実施の形態では、駆動制御手段は、予め記録されているテーブルから位相差を解消できる減速パターンを選択するとともに、減速パターンの選択のみでは解消できない位相差を算出し、解消できない位相差に相当するだけ各感光体ドラム3の減速開始タイミングをずらす。
例えば、Kの位相がCMYよりも60度遅い場合には、第1〜3実施形態で示したスローダウン制御では45度の位相差が解消されるだけであり、15度の位相差を解消できないまま感光体ドラム3が停止する。そこで、Kの減速開始タイミングをCMYよりも15度遅くし、さらに位相差を解消する。
このように、各感光体ドラム3の位相差に応じて、予め記録されているテーブルから減速パターンを決定し、減速開始タイミングをずらし、感光体ドラム3の位相に応じて異なるスローダウン制御をすることで、簡便な駆動制御によって各像担持体の停止状態での位相差を解消することができる。