以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明に係るフレームカバー構造を自動二輪車に適用した場合について説明する。しかしながら、本発明が適用される車両については、自動二輪車に限定されるものではなく適宜変更することができる。例えば、鞍乗型車両である自動三輪車や自動四輪車にも適用することができる。
図1及び図2は、それぞれ本実施の形態に係るフレームカバー構造が適用される自動二輪車の後部周辺の側面図及び後面図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る自動二輪車1の後部においては、車体フレーム2に対してシート3、複数のサイドフレームカバー4(41〜43)、リヤフレームカバー5、グラブバー6及びリヤフェンダー7が装着されている。
サイドフレームカバー4及びリヤフレームカバー5は、車体フレーム2に搭載された構成部品を覆うと共に車体に対する空気抵抗を減少させ、自動二輪車1の走行安定性を高める役割を果たしている。また、これらのサイドフレームカバー4及びリヤフレームカバー5は、自動二輪車1の外観の一部を構成し、デザイン性を向上する役割を果たす。
リヤフレームカバー5は、リヤコンビネーションランプ8の周囲に配置され、自動二輪車1の後部を覆う。リヤフレームカバー5は、詳細について後述するように、ロアカバー(下側カバー)51とアッパーカバー(上側カバー)52とを組み合わせて構成される。リヤフレームカバー5は、ロアカバー51の上方にアッパーカバー52を組み付けた状態において、ロアカバー51とアッパーカバー52との境界となる仮想平面(アッパーカバー52の下縁が位置する面、以下、「境界面」という)SSが車体後方側になるに従って上方となるように僅かに上方側に傾いて配置されている。また、リヤフレームカバー5は、その境界面SSに沿って車体後方側になるに従って車幅方向に幅狭となって先端部(後端部)が細くなり、全体としてリヤコンビネーションランプ8よりも車体後方側に突出した尖った形状を有する。リヤフレームカバー5は、後面視にて概して後端部を頂点とした三角形状を有する(図2参照)。リヤフレームカバー5(ロアカバー51)には、車体後方側に向けて開口した開口部511aが形成されている。この開口部511aは、リヤフレームカバー5と同様に、後面視にて概して頂点を上にした左右対称の三角形状を有する。
リヤコンビネーションランプ8は、この開口部511aから一部を露出した状態でリヤフレームカバー5内に収容されている。リヤコンビネーションランプ8の一部は、開口部511aから車体後方側に僅かに突出して配置されている。本実施の形態において、リヤコンビネーションランプ8は、ブレーキランプ及びテールランプの機能を有するが、これに限定されない。例えば、後述するウインカーランプの機能を更に有する構成としてもよい。
グラブバー6は、シート3の後方側に配置されるタンデムシート31を挟んで配置されている。これらのグラブバー6は、車体前後方向に延在すると共に、車体後方側部分が車体中央側に湾曲した形状を有する(図2参照)。これらのグラブバー6は、タンデムシート31に乗ったタンデムライダーが握る用途や、タンデムシート31に載せた荷物をロープ等で固定する用途に利用される。
リヤフェンダー7は、リヤフレームカバー5の下方側にて、後輪9の上方及び斜め後方部分を覆うように設けられている。リヤフェンダー7は、後輪9による泥等の跳ね上げを防止する役割を果たす。リヤフェンダー7の後端部近傍には、ライセンスプレートを取り付けるためのライセンスプレート取付部71が設けられている。このライセンスプレート取付部71の上方には、プレート照射灯72が設けられている。また、このプレート照射灯72の側方には、左右一対のウインカーランプ73L、73Rが設けられている。
ここで、本実施の形態に係るリヤフレームカバー5及びその周辺部品の構成について図3を参照して説明する。図3は、本実施の形態に係るリヤフレームカバー5及びその周辺部品の分解斜視図である。なお、図3においては、リヤフレームカバー5の周辺部品としてリヤコンビネーションランプ8を示している。
図3に示すように、リヤフレームカバー5は、ロアカバー51、アッパーカバー52及びカバーブラケット53を含んで構成される。ロアカバー51及びアッパーカバー52は、例えば、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂やポリアミド樹脂などの樹脂材料を成形して形成される。なお、ロアカバー51及びアッパーカバー52は、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)で形成することもできる。カバーブラケット53は、例えば、金属板材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施して形成される。
ロアカバー51は、下側カバーを構成するものであり、概して上方側に開放された枠状体で構成される。ロアカバー51は、底面部511と、この底面部511の外周縁から上方側に略垂直に延出して形成される側面部512とを有する。底面部511の後方側部分には、リヤコンビネーションランプ8の形状に合致し概して頂点を上にした左右対称の三角形状を有する開口部511aが形成されている。この開口部511aの後方側(詳細には、後斜め上方)に位置する底面部511には、上方側に突出して保持部513が設けられている。一方、開口部511aの前方側に位置する底面部511には、車体後方側であって僅かに上方側に延びる支持部514が開口部511aに突出するように設けられている。この支持部514の上面には、車体前後方向に沿って設けられた複数のリブ514aが設けられている。これらの支持部514及びリブ514aは、リヤコンビネーションランプ8の下方側に配置され、リブ514aはリヤコンビネーションランプ8に当接して、底面部511をリヤコンビネーションランプ8の形状に沿わせる役割を果たす。
保持部513は、詳細について後述するように、リヤコンビネーションランプ8の差込片83を保持すると共にアッパーカバー52の突出片527を保持することで、リヤコンビネーションランプ8及びアッパーカバー52を位置決めする役割を果たす。
保持部513は、それぞれ車体前方側に開口した上段部513a及び下段部513bを有する。上段部513aは、下段部513bよりも車幅方向に幅狭に構成され、下段部513bの中央に配置されている。保持部513においては、上段部513a及び下段部513bの内部空間が一体化した状態で車体前方側に開口した状態となっている。より具体的にいうと、保持部513内の内部空間は、車体前方側であってロアカバー51とアッパーカバー52との境界面SS(図1参照)と略平行な方向に開口している。この開口側から見ると保持部513は、略凸字状の形状をなしている。
また、上段部513aの上面には、車体後方側寄りの位置に挿入孔513cが形成されている。この挿入孔513cは、上面視にて長方形状を有し、後述するクリップCが装着された突出片527を収容可能な寸法に形成されている。保持部513の下方側に位置する底面部511には、車体前後方向に沿って設けられた複数のリブ513dが設けられている。これらのリブ513dは、保持部513(下段部513b)に挿入された差込片83の下面に当接して下面を支持する役割を果たす。
側面部512の上端部近傍であって車体前方側の位置には一対の位置決め部515が設けられている。これらの位置決め部515は、車体フレーム2に対してロアカバー51(リヤフレームカバー5)を位置決めする際に利用される。これらの位置決め部515は、概して平面形状を有すると共に、その一部に複数の円形開口部515aが形成されている。これらの円形開口部515aは、リヤフレームカバー5が車体フレーム2に固定される際に車体フレーム2の上面に設けられた円形突出部22を収容可能に構成されている(図6参照)。なお、円形突出部22はグラブバー6の取付部となっており、位置決め部515はその上方に配置されるグラブバー6によって円形突出部22からの抜け出しが阻止されて保持される。
側面部512の上端部近傍であって位置決め部515の後方側の位置には、複数(詳細には、片側2か所)の係合孔516が形成されている。これらの係合孔516は、後述するアッパーカバー52の係合爪528と係合して、ロアカバー51とアッパーカバー52の組立状態を保持する。そして、側面部512の上端部近傍は、アッパーカバー52の内側(裏側)に入り込んで重なり、ロアカバー51に対するアッパーカバー52の車幅方向の位置決めを行う役割を果たす。また、これらの係合孔516の間となる側面部512の上端部には固定部517が設けられている。これらの固定部517は、境界面SSよりもアッパーカバー52側にその一部が突出するように形成されている。これらの固定部517は、ロアカバー51とアッパーカバー52とを固定するために利用される。固定部517は、固定孔517aが形成される固定面517bを有し、固定面517bは境界面SSに垂直な面であって車体前方側よりも僅かに車体中央側に向けて配置されている。
さらに、開口部511aの前方側に位置する底面部511の側方に位置する側面部512の下端部近傍であって車体前方側に配置される係合孔516の下方側の位置には固定部518が設けられている。なお、固定部518は左右対称に一対設けられているが、図3では車体右方側に配置される側面部512に設けられる固定部518のみを示している。これらの固定部518は、ロアカバー51に対してリヤコンビネーションランプ8を固定するために利用される。これらの固定部518は、側面部512から車体中央側に延びる複数のリブ518aと、これらのリブ518aの先端に設けられた円筒形状部518bとを有する。円筒形状部518bの上端部には固定孔518cが形成されている。
アッパーカバー52は、上側カバーを構成するものであり、概して下方側に開放された枠状体で構成される。アッパーカバー52は、上面部521と、この上面部521の外周縁から下方側に略垂直に延出して形成される側面部522とを有する。上面部521の中央には、左右一対の腕部523を残して車体前方側から大きく切欠かれた開口部521aが形成されている。つまり、アッパーカバー52は、この開口部521aの側方側に車体前方側に延出する一対の腕部523を有している。車体後方側に突出して尖った形状の後端部を除き、一対の腕部523を含むアッパーカバー52の外周部は、シート3の外周縁の下方に位置している。これらの腕部523の開口部521a側の上端部には、僅かに上方側に延出するリブ523aが設けられている。これらのリブ523aは、リヤフレームカバー5(アッパーカバー52)上に配置され、アッパーカバー52とシート3との上下方向の隙間から内部を見えなくするようにシート3の裏側に向かって延びている。
これらの腕部523の基端部周辺の下面には、固定部524が設けられている。なお、固定部524は、左右対称に一対設けられており、境界面SSよりもロアカバー51側にその一部が突出するように形成されている。これらの固定部524は、ロアカバー51とアッパーカバー52とを固定するために利用される。これらの固定部524は、固定孔524aが形成される固定面524bを有し、固定面524bは境界面SSに垂直な面であって車体前方側よりも僅かに車体中央側に向けて配置されている。これらの固定部524は下方が開放した箱状に形成され、その内側には、ロアカバー51の固定部517を収容可能な空間が形成されている。ビスB1は、固定部524と固定部517とを固定するために利用され、固定孔524aから挿入されて重ねられた固定面524bと固定面517bとを締め付け固定する。
また、開口部521aの後方側の上面部521には、開口部521aの周縁近傍に固定部525が設けられている。固定部525は、アッパーカバー52における車幅方向の中央に配置されている。さらに、この固定部525よりも車体前方側には、一対の固定部526が設けられている。これらの固定部526は、それぞれ固定部525よりも僅かに車幅方向の側方側に配置されている。これらの固定部525及び固定部526は、カバーブラケット53に対してアッパーカバー52を固定する際に利用される。なお、固定部525及び固定部526は、シート3に覆い隠される位置に配置されている。
ここで、これらの固定部525及び固定部526の構成について図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態に係るリヤフレームカバー5が有するアッパーカバー52の斜視図である。なお、図4においては、アッパーカバー52の上面部521の裏面側から示している。
図4に示すように、固定部525の中央には、下方側に突出してボス部525aが設けられている。このボス部525aの突出高さは、後述するリヤコンビネーションランプ8の係止片842の厚さとほぼ同等となっている。また、このボス部525aの中央には、固定孔525bが形成されている。また、固定部526の中央には、それぞれ固定孔526aが形成されている。ビスB2及びビスB3は、アッパーカバー52をカバーブラケット53に固定するために利用され、それぞれ固定孔525b及び固定孔526aから挿入される(図3参照)。
また、上面部521の下面であって、アッパーカバー52の後方側端部の近傍には、突出片527が設けられている。突出片527は、上面部521の下面から下方側に延出して設けられている。突出片527は、車幅方向に一定間隔を空けて対向配置される一対の側壁部527aと、これらの側壁部527aの対向する面を連結して上下方向に延びる連結部527bとを有する。突出片527は、ロアカバー51に対してアッパーカバー52を位置決めする際にロアカバー51の保持部513に形成された挿入孔513c内に挿入される(図3参照)。突出片527は、連結部527bに装着されたクリップC(図4に不図示、図11B参照)によって保持部513の挿入孔513cに係合保持される。
側面部522の下端部近傍には、複数の係合爪528が設けられている。これらの係合爪528は、側面部522の内壁面から僅かに車体中央側に突出して設けられている。これらの係合爪528は、ロアカバー51の係合孔516と係合して、ロアカバー51とアッパーカバー52の組立状態を保持する。そして、側面部522の下端縁は、ロアカバー51の上端部の外側に重なり、ロアカバー51に対するアッパーカバー52の車幅方向の位置決めを行う役割を果たす。また、側面部522の所定位置には、複数のリブ529が設けられている。これらのリブ529は、側面部522及び上面部521の内壁面から略垂直に車体中央側に延出して設けられている。これらのリブ529の下端は、側面部522の内壁面から離間して隙間が形成されている。この隙間にロアカバー51の上端部が入り込むことで、これらのリブ529は、ロアカバー51に対してアッパーカバー52を位置決めする役割を果たす。
カバーブラケット53は、図3に示すように、車幅方向に延在する本体部531と、この本体部531の側面から車体前方側に延出して設けられた一対の腕部532とを有する。本体部531は、アッパーカバー52及びリヤコンビネーションランプ8を支持する役割を果たす。腕部532は、カバーブラケット53自体を車体フレーム2に固定する役割を果たす。
ここで、カバーブラケット53の構成について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係るリヤフレームカバー5が有するカバーブラケット53の説明図である。図5においては、カバーブラケット53の平面図及び側面図を示している。
図5に示すように、本体部531の中央には、上方側に僅かに膨出形成された膨出部531aと、この膨出部531aの上面(表面)に連続して車体後方側に突出する舌片部531bとが設けられている。舌片部531bは、車体後方側に向かって僅かに下方側に延出している。本体部531には、その側端近傍に一対の固定孔531cが形成されると共に、舌片部531bの中央に固定孔531dが形成されている。本体部531の下面であって、これらの固定孔531c及び固定孔531dの周辺にはナット部531eが設けられている。本体部531の固定孔531c及び固定孔531dは、カバーブラケット53にアッパーカバー52を固定する際に利用される。
腕部532の車体前方側の端部は、車幅方向の外側に僅かに延出している。この腕部532の前端部近傍の内側には固定片532aが設けられている。固定片532aは、腕部532の下部を内側に折り曲げて形成されており、概して平面形状を有している。これらの固定片532aの前端部及び後端部には、それぞれ固定孔532b及び固定孔532cが形成されている。これらの固定孔532b、532cは、カバーブラケット53を車体フレーム2に固定する際に利用される。
リヤコンビネーションランプ8は、図3に示すように、LED等の発光体を組み込んだ発光体ユニットが収容される本体部81を有する。本体部81は、ロアカバー51の開口部511aと同様に、前面視にて概して三角形状を有している。本体部81の前面部には、発光体ユニットが収容される直方体形状のケース811と、この発光体ユニットへの電源供給等を行うためのハーネス等の接続部812が設けられている。
本体部81の下端部近傍には、一対の固定片82が設けられている。これらの固定片82は、本体部81の下端部近傍から車幅方向および前方に突出して設けられている。これらの固定片82は、リヤコンビネーションランプ8をロアカバー51に固定する際に利用される。それぞれの固定片82は、概して後述する差込片83と平行な平面形状を有し、その中央には固定孔821が形成されている。ビスB4は、リヤコンビネーションランプ8をロアカバー51に固定する際に利用され、固定孔821を通過するように挿入される。詳細には、図12に示すように、ビスB4は、固定孔821内に配置された固定部518の円筒形状部518bに締め付け固定され、その頭部と複数の固定部518のリブ518aとの間で、固定片82を挟持している。
また、本体部81の後端部には差込片83が設けられている。差込片83は、概して平面形状を有し、車体後方側であって僅かに上方側に延出して設けられている。より具体的にいうと、差込片83は、リヤコンビネーションランプ8がロアカバー51に組み付けられる状態において、ロアカバー51とアッパーカバー52との境界面SS(図1参照)に略平行に延出している。
差込片83は、ロアカバー51に対するリヤコンビネーションランプ8の位置決めのためにロアカバー51の保持部513に挿入される。差込片83の先端には、保持部513での位置決めを容易化するためにキャップ831が装着されている。このキャップ831は、例えば、ゴム等の弾性体で構成されるが、これに限定されるものではない。キャップ831が装着された差込片83は、保持部513の内壁面(より具体的には、下段部513bの左右に配置された上面、側面及びリブ513d)と接触して車幅方向及び上下方向への移動が規制される。
さらに、本体部81の上面には係止部84が設けられている。この係止部84は、車幅方向に一定間隔を空けて配置された一対の側壁部841と、これらの側壁部841の上端部に架設するように設けられた係止片842とを有している。これらの側壁部841は、平面状に形成された本体部81の上面から略垂直に延出して設けられている。係止片842は、これらの側壁部841の上端部を接続するように、本体部81の上面と平行に本体部81から前方に向けて延在して設けられている。詳細について後述するように、係止片842の中央には、概して円形の開口部842aが形成されると共に、この開口部842a内に配置されたアッパーカバー52の固定部525のボス部525aが係止片842の面に沿った方向に移動することを規制する規制片842bが設けられている(図3に不図示、図8参照)。
このような構成部品を有し、リヤフレームカバー5は、リヤコンビネーションランプ8を収容した状態で車体フレーム2に固定される。以下、車体フレーム2に固定された状態のリヤフレームカバー5について図6及び図7を参照しながら説明する。図6及び図7は、本実施の形態に係るリヤフレームカバー5を車体フレーム2に固定した状態の斜視図である。なお、図7においては、説明の便宜上、リヤフレームカバー5のアッパーカバー52の一部を省略している。
図6に示すように、リヤフレームカバー5は、ロアカバー51の上方側にアッパーカバー52を配置した状態でカバーブラケット53により車体フレーム2に固定される。この場合、アッパーカバー52は、ロアカバー51に設けられた位置決め部515の円形開口部515aによる車体フレーム2の円形突出部22を収容することによって位置決めされた状態において、カバーブラケット53の固定片532aにより車体フレーム2のベース部21に固定される。なお、カバーブラケット53の固定片532aは、車体フレーム2のベース部21に対してビスB5によって固定されている。
リヤフレームカバー5の内部においては、図7に示すように、リヤコンビネーションランプ8がカバーブラケット53の後方側に配置されている。リヤコンビネーションランプ8は、差込片83をロアカバー51の保持部513に挿入した状態で位置決めされている。また、リヤコンビネーションランプ8は、係止部84の係止片842を、アッパーカバー52の固定部525と、カバーブラケット53の舌片部531b(図7に不図示、図5参照)とで挟まれた状態でビスB2によりカバーブラケット53に固定されている。詳細には、図13に示すように、ビスB2は段付きの構造を有しており、舌片部531bに締め付け固定した時に、ビスB2の頭部と舌片部531bとの間に所定の間隔ができる。この間隔は固定部525の厚さ(ボス部525a部分の厚さ)とほぼ同等に設定されている。さらに、ボス部525aの突出高さは、リヤコンビネーションランプ8の係止片842の厚さとほぼ同等となっている。つまり、リヤコンビネーションランプ8は、係止部84、固定孔821ともに、ビスB2、ビスB4にて直接的に締め付け軸力が作用する締め付け固定となっておらず、差込片83部分も含め、比較的自由度のある取付けとなっており、リヤコンビネーションランプ8の損傷を抑制している。
また、アッパーカバー52は、その下面に設けられた突出片527をロアカバー51の保持部513に形成された挿入孔513cに挿入した状態で位置決めされている。また、アッパーカバー52は、固定部524でロアカバー51の固定部517を収容した状態でビスB1によりロアカバー51に固定されている。
次に、本実施の形態に係るリヤフレームカバー5をリヤコンビネーションランプ8と共に車体フレーム2に組み付ける手順について、図8〜図13を参照しながら説明する。図8及び図9は、本実施の形態に係るリヤフレームカバー5の組付け手順の説明図である。なお、図8においては、ロアカバー51にリヤコンビネーションランプ8を組み付ける手順を説明するための斜視図を示している。図9は、リヤコンビネーションランプ8が組み付けられたロアカバー51を、アッパーカバー52を介してカバーブラケット53に組み付ける手順を説明するための斜視図を示している。
また、図10は、リヤフレームカバー5を車体フレーム2に組み付けた場合の保持部513周辺の拡大図である。なお、図10においては、説明の便宜上、ロアカバー51の保持部513及びアッパーカバー52の突出片527のみを示している。図11A及び図11Bは、それぞれ図10に示す一点鎖線A及び一点鎖線Bにおける断面図である。図12は、本実施の形態に係るリヤフレームカバー5の固定部518周辺の拡大断面図である。図13は、本実施の形態に係るアッパーカバー52の固定部525周辺の拡大断面図である。
車体フレーム2にリヤフレームカバー5を組み付ける際、まず、作業者等は、図8に示すように、リヤコンビネーションランプ8をロアカバー51に取り付ける。リヤコンビネーションランプ8は、その差込片83を保持部513(より具体的には、下段部513b)に挿入するようにロアカバー51に取り付けられる。このように差込片83を保持部513に挿入するようにリヤコンビネーションランプ8を取り付けることで、リヤコンビネーションランプ8の一部が開口部511aから露出する。
差込片83は、ロアカバー51とアッパーカバー52との境界面SS(図1参照)に沿って保持部513(より具体的には、下段部513b)に挿入される。このような挿入形態とすることにより、保持部513における差込片83を位置決めするための形状を容易に形成することが可能となる。保持部513に対する差込片83の挿入方向が、境界面SSと無関係に構成される場合、リヤコンビネーションランプ8からの差込片83の延出方向と保持部513の内部空間の開口方向とを特別に設定する必要がある。これに対し、保持部513に対する差込片83の挿入方向を境界面SSの延在方向と一致させる場合には、この境界面SSの位置(角度)を基準に保持部513における差込片83を位置決めするための形状を設定することができる。
保持部513に挿入された差込片83の先端にはキャップ831が装着されている。キャップ831が装着された差込片83は、図10及び図11Aに示すように、保持部513(下段部513b)の内壁面及び底面部511のリブ513dにより上下方向及び左右方向(車幅方向)の位置決めが行われる。さらに、保持部513内の最後方位置まで挿入することでキャップ831の先端部(後端部)が保持部513(下段部513b)の内壁面に接触し、前後方向の位置決めが行われる。
このように差込片83を用いてリヤコンビネーションランプ8を位置決めすると、固定片82の固定孔821がロアカバー51に設けられた固定部518の固定孔518cに対応する位置に配置される。このように配置された固定片82の固定孔821を介して固定部518の固定孔518cにビスB4が挿入され、締め付けられる。これにより、リヤコンビネーションランプ8の一部が開口部511aから露出した状態で、リヤコンビネーションランプ8がロアカバー51の所定位置に取り付けられる。
この場合において、固定片82が固定される固定孔518cを有する円筒形状部518bは、図12に示すように、複数のリブ518aを介して側面部512の内壁面に連結されている。すなわち、固定部518は、ロアカバー51の底面部511から分離して設けられている。底面部511に固定部518の一部が連続して設けられる場合、ロアカバー51を成形する工程にて底面部511の裏面であるロアカバー51の意匠面に成形収縮に伴う凹みや窪みが発生する事態が生じ得る。本実施の形態のように、車両の後方から見える位置となる底面部511から固定部518を分離して設けることにより、このようなロアカバー51の意匠面における外観不良を抑制することが可能となる。
このように本実施の形態に係るフレームカバー構造においては、リヤフレームカバー5(より具体的には、ロアカバー51)に設けられた保持部513に対して差込片83を挿入してリヤコンビネーションランプ8を位置決めしている。これにより、ビス等の外観に影響し得る固定部材を使用することなくリヤコンビネーションランプ8をリヤフレームカバー5内で位置決めすることができる。また、リヤコンビネーションランプ8から車体後方側に延びる差込片83を、リヤコンビネーションランプ8を露出する開口部511aの後方側に設けた保持部513で保持することから、デッドスペースとなり易い開口部511aの後方側スペースを有効に活用することができる。この結果、外観に影響を与えることなく、限られたスペースでリヤコンビネーションランプ8を適切に位置決めすることが可能となる。
特に、リヤコンビネーションランプ8を露出する開口部511a及びリヤコンビネーションランプ8を位置決めするための保持部513は、いずれもロアカバー51に形成されている。このように開口部511a及び保持部513の双方が同一部材であるロアカバー51に形成されていることから、これらが異なる部材に形成される場合に比べて互いの位置精度を高めることができる。この結果、リヤフレームカバー5に対して精度良くリヤコンビネーションランプ8を位置決めすることができる。
次に、このようにリヤコンビネーションランプ8が固定されたロアカバー51にアッパーカバー52を取り付ける。アッパーカバー52は、図9に示すように、リヤコンビネーションランプ8が固定されたロアカバー51に対して上方側から被せるように取り付けられる。アッパーカバー52は、図10及び図11Bに示すように、その下面に設けられた突出片527が、保持部513の上面(より具体的には、上段部513aの上面であって、差込片83が挿入配置される位置よりも車両の後方側上方)に形成された挿入孔513cに挿入されるようにロアカバー51に取り付けられる。挿入孔513cに挿入された突出片527には、例えば、樹脂材料で成形されたクリップCが装着されている。クリップCが装着された突出片527は、図10及び図11Bに示すように、挿入孔513cを規定する保持部513(上段部513a)の一部により上下方向及び前後方向の位置決めが行われる。車体後方側に突出して尖った形状の後端部にて、ロアカバー51とアッパーカバー52の位置決めを行うので、組付精度を高めることができ、車両の外観及び商品性が向上する。
このような突出片527の挿入と同時に、アッパーカバー52は、側面部522に設けられた係合爪528が、ロアカバー51の側面部512に形成された係合孔516に係合するようにロアカバー51に取り付けられる。これにより、ロアカバー51に対するアッパーカバー52の左右方向(車幅方向)の位置決めが行われる。
このように突出片527及び係合爪528を用いてアッパーカバー52を位置決めすると、アッパーカバー52の固定部525に設けられたボス部525aは、リヤコンビネーションランプ8の係止部84に形成された開口部842a内に配置される。開口部842a内に配置されたボス部525aは、規制片842bにより車体前方側への移動が規制される。このため、ボス部525aの位置精度を高めることができ、後述するカバーブラケット53に対するアッパーカバー52の取付作業の効率を向上することができる。
また、このように突出片527及び係合爪528を用いてアッパーカバー52を位置決めすると、固定部524の内側の空間にロアカバー51の固定部517が収容される。この場合、固定部524の固定面524bと固定部517の固定面517bとが重ねて配置され、固定孔524aが固定孔517aに対応する位置に配置される。このように配置された固定孔524aを介して固定孔517aにビスB1が挿入され、締め付けられる(図3参照)。これにより、ロアカバー51の所定位置にアッパーカバー52が取り付けられる。
この場合において、固定部524の固定面524b及び固定部517の固定面517bは、リヤコンビネーションランプ8の固定片82よりも後上方で、リヤコンビネーションランプ8の側方に位置し、僅かに車体の内側に向けて配置されている。このため、固定部524及び固定部517を固定する際に、車体の内側からビスB1の挿入作業及び締付作業を行うことができる。これにより、リヤフレームカバー5内の他の構成部品との干渉を回避しながらビスB1の作業を行うことができ、作業効率を向上することができる。
このように本実施の形態に係るフレームカバー構造においては、アッパーカバー52の一部に下向きに突出する突出片527を設ける一方、ロアカバー51の保持部513に突出片527が挿入される挿入孔513cを形成している。そして、この突出片527を挿入孔513cに挿入することでロアカバー51に対してアッパーカバー52を位置決めしている。このため、ロアカバー51に設けられた保持部513を介してリヤコンビネーションランプ8及びアッパーカバー52の双方を位置決めすることができる。これにより、ロアカバー51を基準として、アッパーカバー52及びリヤコンビネーションランプ8を高い位置精度で配置でき、リヤフレームカバー5の美観を向上することが可能となる。
次に、このようにロアカバー51に一体化されたアッパーカバー52に対してカバーブラケット53を取り付ける。カバーブラケット53は、図13に示すように、その舌片部531bがリヤコンビネーションランプ8の係止片842の下方に重なるように配置される。このとき、舌片部531bは、開口部842aに挿入されたアッパーカバー52のボス部525aと対向して配置される。また、舌片部531bの固定孔531dは、ボス部525aに形成された固定孔525bに対応する位置に配置される。このように配置された固定孔525bを介して固定孔531dにビスB2が挿入され、締め付けられる。
このようにビスB2により舌片部531bを位置決めすると、アッパーカバー52の固定部526に形成された固定孔526aは、カバーブラケット53の本体部531に形成された固定孔531cに対応する位置に配置される。このように配置される固定孔526aを介して固定孔531cにビスB3が挿入され、締め付けられる(図3参照)。これにより、アッパーカバー52にカバーブラケット53が取り付けられる。
最後に、このようにアッパーカバー52及びロアカバー53が取り付けられたカバーブラケット53を車体フレーム2に取り付ける。車体フレーム2に対するブラケット53等の位置決めは、ロアカバー53の位置決め部515により行われる。このように位置決め部515で位置決めされると、カバーブラケット53の腕部532に設けられた固定片532aが車体フレーム2のベース部21の所定位置に配置される。このように配置された固定片532aの固定孔532b、532cに対してビスB5が挿入され、ベース部21の固定孔に締め付けられる(図6参照)。これにより、車体フレーム2の所定位置にカバーブラケット53が取り付けられる。この結果、車体フレーム2に対してリヤフレームカバー5が取り付けられる。
本実施の形態において、カバーブラケット53は、舌片部531b及び本体部531にてアッパーカバー52を支持すると共に、腕部532に設けられた固定片532aにて車体フレーム2に固定される。このため、車体フレーム2に固定されるカバーブラケット53でアッパーカバー52が直接的に支持されることから、アッパーカバー52に掛かる荷重に対して耐性を有した状態でリヤフレームカバー5を固定することができる。
一方、ロアカバー51は、アッパーカバー52に取り付けられ、カバーブラケット53には直接的に支持されていない。言い換えると、ロアカバー51は、アッパーカバー52を介してカバーブラケット53に支持されている。このようにロアカバー51がアッパーカバー52を介してカバーブラケット53に支持されることから、アッパーカバー53又はロアカバー51の一方のみに荷重が集中する事態を回避でき、両者の位置関係がずれる事態を抑制することができる。
なお、上記実施の形態において、添付図面に図示される各構成の大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明は、その目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、リヤフレームカバー5がロアカバー51とアッパーカバー52とを組み合わせて構成される場合について説明している。しかしながら、リヤフレームカバー5の構成については、このような形態に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、上記実施の形態におけるロアカバー51とアッパーカバー52とを一体化した構成であってもよい。
また、上記実施の形態においては、ロアカバー51とアッパーカバー52との境界面SSが車体後方側に向けて僅かに上方側に傾いて配置され、リヤコンビネーションランプ8よりも境界面SSが車体後方側に延びている場合について説明している。しかしながら、ロアカバー51とアッパーカバー52との境界面SSの構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、ロアカバー51とアッパーカバー52との境界面SSが車体後方側に向けて僅かに下方側に傾いて配置される構成であってもよい。
さらに、上記実施の形態においては、ロアカバー51の一部にリヤコンビネーションランプ8を露出する開口部511aが形成される場合について示している。しかしながら、リヤコンビネーションランプ8を露出する開口部の配置については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、上述のようにロアカバー51とアッパーカバー52との境界面SSが車体後方側に向けて僅かに下方側に傾いて配置される場合には、アッパーカバー52の一部に当該開口部を形成するようにしてもよい。