以下、図面を参照して発明を実施するための形態を例示的に説明する。ただし、発明を実施するための形態の記載は、例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(画像形成装置)
図1を用いて画像形成装置100の構成を説明する。図1は、画像形成装置100の構成を示す断面図である。ここでは、現像装置に補給する現像剤(以下、トナーという。)を収容した現像剤収容容器130が着脱可能な現像剤収容装置が一体に設けられた電子写真方式の複数色又はフルカラーの画像形成装置100を例示している。図1は、画像形成装置100として、並設された感光ドラム104Y、104M、104C及び104K上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト101へ順次重ね合わせてカラー画像を形成するいわゆるインライン型の画像形成装置を例示している。
画像形成装置100は、一定の間隔をおいて略水平な一直線上に配置された複数の画像形成部115Y、115M、115C及び115Kを備えている。画像形成部115Y、115M、115C及び115Kは、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の画像を形成する。プロセスカートリッジ103Kは、画像形成装置100のモノクロの画像形成部115K(第1画像形成部)に着脱可能に装着されている。プロセスカートリッジ103Y,103M及び103Cは、画像形成装置100のカラーの画像形成部115Y、115M及び115C(第2画像形成部)のそれぞれに着脱可能に装着されている。各プロセスカートリッジ103には、それぞれ像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという。)104が設置されている。回転可能な感光ドラム(感光体)104の周囲には、一次帯電器(帯電手段)109、現像器105及びドラムクリーナ装置(クリーニング手段)112がそれぞれ配置されている。更に、中間転写ベルト(中間転写体)101を介して各感光ドラム104Y、104M、104C及び104Kの対向位置には、一次転写ローラ114Y、114M、114C及び114Kがそれぞれ配置されている。
プロセスカートリッジ103の下方には、レーザー露光装置108が設置されている。レーザー露光装置108は、一次帯電器109と現像器105との間を通して感光ドラム104へそれぞれの色の画像データに従って光ビーム(レーザー光)を照射する。感光ドラム104は、アルミニウム製のドラム基体上に有機光導電層を有している負帯電のOPC感光体である。感光ドラム104は、駆動装置(不図示)により所定のプロセススピードで回転駆動される。一次帯電手段としての一次帯電器109は、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスにより感光ドラム104の表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。
現像器105は、トナー(現像剤)を内蔵し、それぞれ各感光ドラム104上に形成される各静電潜像に各色のトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。一次転写手段としての一次転写ローラ114は、感光ドラム104に対向するように中間転写ユニット204内に配設され、当接離間機構(不図示)により感光ドラム104へ向けて付勢される。ドラムクリーナ装置112は、一次転写時に感光ドラム104上に残留した転写残トナーを感光ドラム104から除去するためのクリーニング手段であり、クリーニングブレード等を有している。
中間転写ユニット204は、中間転写ベルト101、二次転写対向ローラを兼ねる駆動ローラ116、駆動ローラ116の軸上のギア(不図示)及び従動ローラ127を備える。駆動ローラ116は、画像形成装置100の本体110上の駆動ギア(不図示)により回転駆動される。駆動ローラ116は、中間転写ベルト101を介して二次転写ローラ117と対向するよう配置されている。また、二次転写ローラ117の、記録媒体Pの搬送方向下流側には、定着ローラ118と加圧ローラ119を有する定着装置150が縦パス構成で設置されている。
レーザー露光装置108は、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザー発光手段で構成されている。レーザー露光装置108は、各感光ドラム104に露光を行うことによって、各帯電器109で帯電された各感光ドラム104の表面に画像情報に応じた各色の静電潜像を形成する。
(画像形成動作)
次に、画像形成装置100による画像形成動作について説明する。原稿読取装置120により原稿を読み取る。画像形成開始信号が発せられると、所定のプロセススピードで回転駆動される各プロセスカートリッジ103の各感光ドラム104は、それぞれ一次帯電器109により均一に負極性に帯電される。そして、レーザー露光装置108は、外部から入力されるカラー色分解された画像信号に従ってレーザー発光素子から光ビームを出射し、各感光ドラム104上に各色の静電潜像を形成する。
感光ドラム104上に形成された静電潜像に、感光ドラム104の帯電極性(負極性)と同極性の現像バイアスが印加された現像器105により、各色のトナーを付着させてトナー像として可視像化する。感光ドラム104上のトナー像は、一次転写バイアス(トナーと逆極性(正極性))が印加された一次転写ローラ114により、中間転写ベルト101上へ転写される。イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像は、中間転写ベルト101上で順次重ね合わされ、フルカラートナー像が中間転写ベルト101上に形成される。
なお、各感光ドラム104上に残留した転写残トナーは、各ドラムクリーナ装置112に設けられたクリーナブレードにより掻き落とされ、回収される。中間転写ベルト101の回転により、中間転写ベルト101上のフルカラートナー像は、駆動ローラ(二次転写対向ローラ)116と二次転写ローラ117の間の二次転写部へ移動される。トナー像の先端が二次転写部へ移動されるタイミングに合わせて、給送カセット121又は手差しトレイ122から給送される用紙等の記録媒体Pは、略垂直に形成された搬送パスを通り、レジストローラ123により二次転写部へ搬送される。二次転写部において、中間転写ベルト101上のフルカラートナー像は、二次転写バイアス(トナーと逆極性(正極性))が印加された二次転写ローラ117により、記録媒体Pへ一括して転写される。
記録媒体Pへの転写後、中間転写ベルト101上に残留した残留トナーは、転写クリーニング装置107により掻き落とされ、廃トナーとして回収される。フルカラートナー像が形成された記録媒体Pは、下流に位置する定着装置150へ搬送され、定着ローラ118と加圧ローラ119との間の定着ニップ部でフルカラートナー像が加熱および加圧されて記録媒体Pの表面に熱定着される。その後、記録媒体Pは、第一の排出ローラ124により本体110の上部に設けられた排出トレイ125上へ排出される。このようにして、一連の画像形成動作を終了する。
なお、画像形成装置100には、オプションとして、第一の排出ローラ124の上方に追加の増設排出装置126が内蔵できる構成となっている。各現像器105へ補給される各色のトナーを収容した現像剤収容容器(トナー容器)130Y,130M,130C,130Kは、画像形成装置100内の中間転写ユニット204の上方に設けられた現像剤収容装置に着脱可能に装着されている。
中間転写ユニット204の下方には、中間転写ベルト101上に形成されるパッチ画像の位置および濃度を検出するように構成されたフォトセンサ(位置・濃度検出手段)140が配置されている。フォトセンサ140は、中間転写ベルト101へ光を照射し、画像形成部により中間転写ベルト101上に形成された位置検出用パターンまたは濃度調整用パターンからの反射光を検出し、反射光に基づいて位置ずれの情報または濃度情報を得る。
(当接離間機構)
次に、感光ドラム104と中間転写ベルト101の当接および離間の動作を図2を参照して説明する。中間転写ベルト101は、感光ドラム104に当接離間可能に配置されている。図2は、中間転写ベルト101と感光ドラム104の当接離間状態を示す図である。本実施形態の画像形成装置100は、一次転写ローラ114及び張架ローラ203を移動させる当接離間機構(図6の離間モータ604)が設けられている。画像形成装置100は、当接離間機構により一次転写ローラ114及び張架ローラ203の位置を図2の矢印で示す方向に変化させ、以下の3つのモードを選択し得るように構成されている。
第1のモードは、全ての感光ドラム104に中間転写ベルト101を当接させ、複数色のトナー像を重ね合わせて画像形成を行うカラーモード(全当接状態)である。図2(a)は、カラーモードにおける中間転写ユニット204を示す図である。カラー画像形成時には、全ての感光ドラム104上に形成した画像を中間転写ベルト101に転写するため、全当接状態にて画像形成を行う。第1のモードにおいて、中間転写ベルト101は、第1感光体(モノクロの感光ドラム104K)及び第2感光体(カラーの感光ドラム104Y、104M及び104C)に当接する全当接位置にある。第1のモードが選択されると、当接離間機構は、中間転写ベルト101の位置を全当接位置へ切り替える。全当接位置で、一次転写ローラ114Y、114M、114C及び114Kは、中間転写ベルト101を介して感光ドラム104Y、104M、104C及び104Kに当接している。
第2のモードは、1個の感光ドラム104Kのみに中間転写ベルト101を当接させ、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104Cには当接させずに単色のみで記録を行うモノクロモード(一部当接状態)である。図2(b)は、モノクロモードにおける中間転写ユニット204を示す図である。モノクロ画像形成時には、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104Cを中間転写ベルト101から離間させ、回転させないことで、カラーの感光ドラム104の劣化を防止するため、一部当接状態が必要となる。第2のモードにおいて、中間転写ベルト101は、第1感光体に当接すると共に第2感光体から離間する一部当接位置にある。第2のモードが選択されると、当接離間機構は、中間転写ベルト101の位置を一部当接位置へ切り替える。一部当接位置で、一次転写ローラ114Kは、中間転写ベルト101を介して感光ドラム104Kに当接し、一次転写ローラ114Y、114M及び114Cは、感光ドラム104Y、104M及び104Cから離れている。
第3のモードは、全ての感光ドラム104から中間転写ベルト101を離間させる全離間モード(全離間状態)である。中間転写ベルト101や感光ドラム104の交換時において、中間転写ベルト101と感光ドラム104の摩擦により両者を劣化させないために全離間状態が必要となる。第3のモードにおいて、中間転写ベルト101は、第1感光体および第2感光体から離間する全離間位置にある。第3のモードが選択されると、当接離間機構は、中間転写ベルト101の位置を全離間位置へ切り替える。全離間位置で、一次転写ローラ114Y、114M、114C及び114Kは、感光ドラム104Y、104M、104C及び104Kから離れている。
図3は、画像形成装置100の動作と当接離間状態の関係を示す表である。以下の説明において、感光ドラム104の交換を促す警報が発生していない状態を通常時という。モノクロの感光ドラム104Kの交換を促す警報が発生している状態をモノクロ警報発生時という。カラーの感光ドラム104Y、104M又は104Cの交換を促す警報が発生している状態をカラー警報発生時という。
画像形成装置100は、モノクロジョブの実行によりモノクロ画像を形成するモノクロモードと、カラージョブの実行によりカラー画像を形成するカラーモードとで動作することができる。また、画像形成装置100は、スタンバイ状態をとることができる。スタンバイ状態は、画像形成装置100の操作部620(図6)または外部機器からの画像形成開始の指示を受けたら、画像形成装置100が即座に画像形成動作を開始できるように待機している画像形成可能な画像形成待機状態である。
(通常時の当接離間状態)
以下に、通常時の中間転写ベルト101と感光ドラム104の当接離間状態を説明する。通常時のスタンバイ状態において、モノクロジョブのファーストコピー時間を最小にするために、画像形成装置100は、中間転写ベルト101をモノクロの感光ドラム104Kのみに当接させる第2のモード(一部当接状態)で待機する。ファーストコピー時間は、コピースタートボタンを押してからコピーを終え、1枚目の用紙を機外に排出完了させるまでに要する時間である。通常時のスタンバイ状態において、中間転写ベルト101の位置は、一部当接位置へ切り替えられる。
しかし、本発明は、通常時のスタンバイ状態において、画像形成装置100が一部当接状態で待機することに限定されるものではない。通常時のスタンバイ状態において、カラージョブのファーストコピー時間を最小にするために、画像形成装置100は、中間転写ベルト101を全ての感光ドラム104に当接させる全当接状態で待機してもよい。この場合、スタンバイ状態において、中間転写ベルト101の位置は、全当接位置へ切り替えられる。
通常時のモノクロジョブにおいて、中間転写ベルト101の位置は、一部当接位置へ切り替えられたままである。画像形成装置100は、モノクロジョブの実行により記録媒体Pにモノクロ画像を形成する。通常時のカラージョブにおいて、中間転写ベルト101の位置は、全当接位置へ切り替えられる。画像形成装置100は、カラージョブの実行により記録媒体Pにカラー画像を形成する。
通常時の中間転写ユニット204の交換時において、中間転写ベルト101の位置は、一部当接位置から全離間位置へ切り替えられる。画像形成装置100は、通常時の交換時においては、中間転写ベルト101を全ての感光ドラム104から離間しておき、どの色の感光ドラム104又は中間転写ユニット204が交換されてもよいように待機する。なお、通常時は、感光ドラム104の交換を促す警報が発生されていない状態であるが、通常時の交換時においても、使用者が中間転写ユニット204又はいずれかの感光ドラム104を交換する可能性がある。従って、画像形成装置100は、全離間モード(全離間状態)になる。
ここで、交換時は、画像形成装置100の電源スイッチ(シャットダウンスイッチ)622(図6)が切られた状態である。しかし、交換時は、必ずしも画像形成装置100の電源スイッチ622が切られた状態である必要はなく、電源が入った状態であってもよい。例えば、通常時の交換時に中間転写ユニット204の交換が必要な場合、画像形成装置100の操作部620(図6)の表示部624(図6)に中間転写ユニット204の交換を促すメッセージを表示してもよい。
(モノクロ警報発生時の当接離間状態)
以下に、モノクロ警報発生時の中間転写ベルト101と感光ドラム104の当接離間状態を説明する。モノクロ警報発生時のスタンバイ状態において、画像形成装置100は、全ての感光ドラム104から中間転写ベルト101を離間させる第3のモード(全離間状態)で待機する。モノクロ警報発生時のスタンバイ状態において、中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられる。
図2に示すように、本実施例による画像形成装置100は、カラーモード(全当接状態)、モノクロモード(一部当接状態)および全離間モード(全離間状態)の3つのモードで動作可能である。モノクロ(ブラック)の感光ドラム104Kが交換される可能性がある場合、中間転写ベルト101を感光ドラム104Kから離間させる必要がある。つまり、3つのモードのうち中間転写ベルト101が感光ドラム104Kから離間する全離間モード(全離間状態)にする必要がある。
しかし、上記3つのモードに限らず、感光ドラム104Y、104M、104C及び104Kをそれぞれ独立して中間転写ベルト101に当接離間させる構造を画像形成装置100に設けてもよい。そのような構造を有する実施例の場合、画像形成装置100は、ブラックの感光ドラム104Kのみを中間転写ベルト101から離間して待機すればよい。
モノクロ警報発生時のモノクロジョブにおいては画像不良が発生する可能性があるので、画像形成装置100は、画像形成を行わずに全離間状態で感光ドラム104Kの交換待ちになる。モノクロ警報発生時のモノクロジョブにおいて、中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられたままである。モノクロ警報発生時のカラージョブにおいても画像不良が発生する可能性があるので、画像形成を行わずに全離間状態で感光ドラム104Kの交換待ちになる。モノクロ警報発生時のモノクロジョブまたはカラージョブにおいて、中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられたままである。
モノクロ警報発生時の交換時において、画像形成装置100は、全離間状態である。中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられたままである。交換時は、画像形成装置100の電源スイッチ622が切られた状態であるが、電源が入った状態であってもよい。例えば、モノクロ警報発生時の交換時に、画像形成装置100の操作部620(図6)の表示部624(図6)にブラックの感光ドラム104Kの交換を促すメッセージを表示してもよい。
なお、モノクロ警報発生時に、画像形成装置100は、画像形成開始の指示を待つスタンバイ状態にならずに、表示部624に感光ドラム104Kの交換を促すメッセージを表示し、全離間状態になってもよい。
(カラー警報発生時の当接離間状態)
以下に、カラー警報発生時の中間転写ベルト101と感光ドラム104の当接離間状態を説明する。カラー警報発生時のスタンバイ状態において、画像形成装置100は、中間転写ベルト101をモノクロの感光ドラム104Kのみに当接させる第2のモード(一部当接状態)で待機する。カラー警報発生時のスタンバイ状態において、中間転写ベルト101の位置は、一部当接位置へ切り替えられる。これは、モノクロジョブが実行される場合、カラーの感光ドラム104Y、104Mおよび104Cを使用しないので、ブラックの感光ドラム104Kのみでモノクロ画像を正常に形成することができるからである。
カラー警報発生時のモノクロジョブにおいて、中間転写ベルト101の位置は、一部当接位置へ切り替えられたままである。カラー警報発生時のモノクロジョブにおいては、前述のモノクロ警報発生時と異なり、画像形成装置100は、感光ドラム104Kのみを中間転写ベルト101に当接させて通常通りモノクロジョブの実行により記録媒体Pにモノクロ画像を形成する。カラー警報発生時のカラージョブにおいては、画像不良が発生する可能性があるので、画像形成を行わずに全離間状態で感光ドラム104Y、104Mまたは104Cの交換待ちになる。カラー警報発生時のカラージョブにおいて、中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられる。しかし、カラー警報発生時のカラージョブにおいて、画像形成装置100は、全離間状態にならずに一部当接状態のままであってもよい。この場合、中間転写ベルト101の位置は、一部当接位置のままである。カラー警報発生時のカラージョブにおいて、画像形成装置100は、画像を形成しないので一部当接状態のままであっても支障がないからである。
カラー警報発生時の交換時において、画像形成装置100は、全離間状態になる。中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられる。交換時は、画像形成装置100の電源スイッチ622が切られた状態であるが、電源が入った状態であってもよい。例えば、カラー警報発生時の交換時に、画像形成装置100の操作部620(図6)の表示部624(図6)にイエロー、マゼンタまたはシアンの感光ドラム104の交換を促すメッセージを表示してもよい。
カラー警報発生時においても、画像形成装置は、モノクロジョブの実行により記録媒体Pにモノクロ画像を形成することができるので、モノクロジョブの実行が繰り返される場合がある。そのような場合、カラー警報が発生している状態でモノクロ警報が発生することがある。モノクロ警報とカラー警報の両方が並行して発生している場合、スタンバイ状態において、画像形成装置100は、全ての感光ドラム104から中間転写ベルト101を離間させる第3のモード(全離間状態)で待機する。中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられる。それ以降は、モノクロ警報発生時の当接離間状態と同様であるので説明を省略する。
(中間転写ユニットの取り出し方法)
以下に、図4を用いて中間転写ユニット204の取り出し方法について説明する。図4は、中間転写ユニット204の取り出し方法を示す図である。中間転写ユニット204の取り出しは、図4の点線矢印Aで示す方向に中間転写ユニット204を本体110から引き出すことにより行う。この時に、中間転写ベルト101が感光ドラム104に当接されている状態だと、図4の矢印Dで示した点線の丸で囲まれた部分にて、中間転写ベルト101と感光ドラム104の摩擦が発生し、両者に傷が付く等の劣化の原因となる。そこで、本実施例においては、交換時に、画像形成装置100は、全ての感光ドラム104から中間転写ベルト101を離間させる第3のモード(全離間状態)で待機する。中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられる。
(感光ドラムの取り出し方法)
次に、図5を用いて感光ドラム104の取り出し方法について説明する。図5は、感光ドラム104の取り出し方法を示す図である。図5(a)は、本体110の下方から中間転写ユニット204及び感光ドラム104を見た斜視図である。感光ドラム104の取り出しは、図5(a)の点線矢印Bで示す方向に感光ドラム104を本体110から引き出すことにより行う。この時に、中間転写ベルト101が感光ドラム104に当接されている状態だと、図5(b)の矢印Eで示した点線の丸で囲まれた部分にて、中間転写ベルト101と感光ドラム104の摩擦が発生し、両者に傷が付く等の両者の劣化の原因となる。そこで、本実施例においては、交換時に、画像形成装置100は、全ての感光ドラム104から中間転写ベルト101を離間させる第3のモード(全離間状態)で待機する。中間転写ベルト101の位置は、全離間位置へ切り替えられる。
本実施例において、感光ドラム104の交換は、プロセスカートリッジ103の交換により行う。ここで、プロセスカートリッジ103とは、プロセス手段としての、帯電器109、現像器105およびドラムクリーナ装置112の少なくとも一つと感光ドラム104とを一体的にカートリッジ化して、本体110に取り外し可能に装着するものである。従って、プロセスカートリッジ103とは、プロセス手段としての現像器105および感光ドラム104を一体的にカートリッジ化して、本体110に取り外し可能に装着するものも含まれる。また、プロセスカートリッジ103とは、プロセス手段としての、帯電器109、現像器105またはドラムクリーナ装置112および感光ドラム104を一体的にカートリッジ化して、本体110に取り外し可能に装着するものも含まれる。
(制御部)
図6は、制御部500のブロック図である。制御部500は、画像形成装置100の本体110に設けられている。制御部500は、制御手段としてのCPU601が設けられた制御基板600を有する。CPU601は、画像形成装置100の電源スイッチ622及び操作部620に電気的に接続されている。操作部620には、表示部624が設けられている。
CPU601は、ASIC(特定用途向け集積回路)602及びモータ駆動回路603を介して離間モータ604を駆動する。離間モータ604は、一次転写ローラ114及び張架ローラ203の位置を変化させ、中間転写ベルト101を感光ドラム104に当接及び離間させる。一次転写ローラ114は、中間転写ベルト101を介して感光ドラム104に当接することにより中間転写ベルト101を感光ドラム104に当接させる。一次転写ローラ114は、感光ドラム104から離間することにより中間転写ベルト101を感光ドラム104から離間させる。離間モータ604、一次転写ローラ114および張架ローラ203は、感光ドラム104と中間転写ベルト101の当接および離間の動作を行う前述の当接離間機構を構成する。なお、一次転写ローラ114及び張架ローラ203の位置を変化させる手段は、離間モータ604に限らず、ソレノイド、アクチュエータ等の駆動装置であってもよい。
中間転写ベルト101と感光ドラム104の当接状態および離間状態を検知するために、CPU601は、ASIC602及びセンサ駆動回路605を介して離間検知センサ606へ駆動信号を送信する。離間検知センサ606は、一次転写ローラ114の位置に従って透過と遮光が切り替わるように配置されたフォトセンサである。離間検知センサ606は、センサ駆動回路605からの駆動信号に応じて発光し、反射光を検出する。センサ出力検出回路607は、離間検知センサ606からの検出信号を受信し、検出信号をCPU601へ送信する。CPU601は、センサ出力検出回路607からの検出信号に基づいて、中間転写ベルト101と感光ドラム104の当接状態および離間状態を判断する。
感光ドラム104や一次転写ローラ114に対して高圧を印加する際には、ASIC602からの制御信号を、高圧IF回路610を介して高圧基板611へ供給する。高圧基板611は、例えば、帯電に必要な帯電電圧を生成して帯電電圧を帯電器109へ印加し、また、一次転写に必要な転写電圧を生成して転写電圧を一次転写ローラ114へ印加する。高圧基板611は、帯電器109へ帯電電圧を印加した時または一次転写ローラ114へ転写電圧を印加した時に感光ドラム104の表面へ流れる電流を検出して、検出した電流値を制御基板600上の高圧出力検出IF回路613へ出力する。CPU601のAD614は、高圧出力検出IF回路613から電流値を読み取る。CPU601は、AD614により読み取られた電流値から、例えば、感光ドラム104の表面膜厚の劣化具合を判断する。CPU601、ASIC602、高圧IF回路610、高圧基板611、高圧出力検出IF回路613およびAD614は、感光ドラム104の表面膜厚の劣化具合を判断する判断手段を構成する。
具体的には、初期の状態で所定の帯電電圧V0を帯電器109に印加した時に感光ドラム104へ流れる初期電流値I0をROM(記憶装置)608に記憶する。ある期間が経過した後、再び、前記所定の帯電電圧V0を帯電器109に印加する。感光ドラム104の表面膜厚が劣化(減少)していれば初期の状態より流れる電流が増大するので、電流値Iは、初期電流値I0より大きくなる。増大した電流の量から感光ドラム104の表面膜厚を検知し、検知した表面膜厚から感光ドラム104の劣化具合すなわち寿命を判断することが可能となる。例えば、CPU601は、電流値Iと初期電流値I0の差が所定の値より大きくなった場合、または、電流値Iが所定値(閾値)Iaより大きくなった場合、感光ドラム104の表面膜厚が劣化した(感光ドラム104が寿命に近づいた)と判断する。
本実施例において、感光ドラム104が劣化した(寿命に近づいた)と判断されたときに、画像形成装置100は、第3のモード(全離間状態)にされる。しかし、感光ドラム104の交換が発生しそうな不調が本体110に生じた場合、プロセスカートリッジ103の交換の必要性が高いエラーを検知した場合または画像不良を検知した場合、画像形成装置100を第3のモード(全離間状態)へ切り替えてもよい。
(制御動作)
以下に、図7を参照して実施例1の画像形成装置100の動作を説明する。図7は、実施例1のCPU601による画像形成装置100の制御動作を示すフローチャートである。CPU601は、ROM608に格納されているプログラムに基づいて画像形成装置100の制御動作を実行する。実施例1において、CPU601は、感光ドラム104の寿命判断に基づいて、交換すべき感光ドラム104が決定される。交換すべき感光ドラム104の種類に従って、スタンバイ状態における中間転写ベルト101と感光ドラム104の当接離間状態を変更する。
CPU601は、電源スイッチ622がONされると(S101)、中間転写ベルト101を介して全ての一次転写ローラ114を感光ドラム104に当接させて全当接状態にし(S102)、前多回転を開始する(S103)。前多回転において、制御部500は、帯電器109および一次転写ローラ114へ高電圧(帯電電圧、転写電圧)を印加し、感光ドラム104の表面を流れる電流値Iを検出する。電流値Iから感光ドラム104の表面膜厚の劣化具合すなわち感光ドラム104の寿命を判断することができる。前多回転は、画像形成前に画像形成装置100の状態を検知する検知動作である。前多回転が終了すると(S104)、CPU601は、ブラック(BK)の感光ドラム104Kの膜厚が所定値以上か否かを判断する(S105)。感光ドラム104Kの膜厚が所定値以上の場合(S105のYES)、CPU601は、カラー(YMC)の感光ドラム104Y、104M及び104Cの膜厚が所定値以上か否かを判断する(S106)。
感光ドラム104の膜厚が所定値以上か否かの判断は、例えば、以下のように行う。感光ドラム104の膜厚が所定値以上である場合、所定の高電圧(所定の帯電電圧V0または所定の転写電圧)の印加により感光ドラム104の表面に所定値Ia以下の電流値Iの電流しか流れない。しかし、感光ドラム104の膜が削れて膜厚が所定値より小さい場合、同じ所定の高電圧の印加により所定値Iaより大きい電流値Iが検出される。このように、所定の高電圧の印加により検出される電流値Iが所定値Iaより大きいか否かで感光ドラム104の膜厚が所定値以上であるか否かを判断できる。
カラーの感光ドラム104Y、104M及び104Cの膜厚が所定値以上であると判断した場合(S106のYES)、CPU601は、一次転写ローラ114の全当接状態のままで画像形成装置100をスタンバイ状態へ移行する(S107)。図7に示すフローチャートにおいては、画像形成装置100は、カラージョブのファーストコピー終了までの時間(以下、FCOTと称す)を低減するために、スタンバイ状態において全当接状態にある。しかし、画像形成装置100は、モノクロジョブのFCOTを低減するために、スタンバイ状態において一部当接状態にあってもよい。
CPU601は、モノクロジョブまたはカラージョブに従ってジョブを開始するか否かを判断する(S108)。ジョブを開始すると判断した場合(S108のYES)、CPU601は、モノクロジョブまたはカラージョブに従って画像形成を開始し(S109)、画像形成を終了する(S110)。画像形成の終了後、CPU601は、画像形成装置100をスタンバイ状態へ移行する(S111)。S107と同様に、S111において、画像形成装置100は、カラージョブのFCOTを低減するために、スタンバイ状態において全当接状態にある。しかし、画像形成装置100は、モノクロジョブのFCOTを低減するために、スタンバイ状態において一部当接状態にあってもよい。
CPU601は、S108のジョブ開始待ちの状態へ戻り、モノクロジョブまたはカラージョブに従ってジョブを開始するか否かを判断する(S108)。ジョブを開始しないと判断した場合(S108のNO)、CPU601は、電源スイッチ622が押下されたか否かを判断する(S112)。電源スイッチ622が押下された場合(S112のYES)、CPU601は、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S123)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S124)、制御動作を終了する。S112において、電源スイッチ622が押下されていない場合(S112のNO)、CPU601は、S108のジョブ開始待ちの状態へ戻る。
S106において、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104Cの膜厚が所定値より小さいと判定された場合(S106のNO)、S113へ進む。ブラックの感光ドラム104Kの膜厚は正常であるので、CPU601は、一次転写ローラ114Kのみを感光ドラム104Kに当接させる一部当接状態で画像形成装置100をスタンバイ状態へ移行する(S113)。
CPU601は、ジョブを開始するか否かを判断する(S114)。ジョブを開始すると判断した場合(S114のYES)、CPU601は、ジョブがモノクロジョブであるか否かを判断する(S115)。ジョブがモノクロジョブである場合(S115のYES)、CPU601は、モノクロジョブに従って画像形成を開始し(S116)、画像形成を終了する(S117)。画像形成の終了後、CPU601は、画像形成装置100をスタンバイ状態へ移行する(S118)。S118において、画像形成装置100は、スタンバイ状態において一部当接状態にある。
CPU601は、S114のジョブ開始待ちの状態へ戻り、ジョブを開始するか否かを判断する(S114)。ジョブを開始しないと判断した場合(S114のNO)、CPU601は、電源スイッチ622が押下されたか否かを判断する(S119)。電源スイッチ622が押下された場合(S119のYES)、CPU601は、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S123)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S124)、制御動作を終了する。S119において、電源スイッチ622が押下されていない場合(S119のNO)、CPU601は、S114のジョブ開始待ちの状態へ戻る。
S115において、ジョブがカラージョブであると判断された場合(S115のNO)、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104のいずれかが劣化している状態であるので、正常な画像が出力されない可能性がある。そのため、CPU601は、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104のうち交換が必要なものに関して感光ドラム104の交換メッセージを操作部620の表示部624上に表示する(S120)。CPU601は、電源スイッチ622が押されたか否かを判断する(S122)。電源スイッチ622が押下されていない場合(S122のNO)、CPU601は、電源スイッチ622が押下されるのを待つ状態に入る(S122)。電源スイッチ622が押された場合(S122のYES)、CPU601は、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S123)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S124)、制御動作を終了する。
S105において、ブラックの感光ドラム104Kの膜厚が所定値より小さいと判断された場合(S105のNO)、モノクロモードであっても正常な画像が形成されない可能性がある。そのため、CPU601は、ブラックの感光ドラム104Kの交換メッセージを操作部620の表示部624上に表示する(S121)。S121において、ブラックの感光ドラム104Kの交換メッセージだけでなく、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104のうち交換が必要なものに関しても交換メッセージを表示してもよい。
その後、CPU601は、電源スイッチ622が押されたか否かのみを待つ状態に入る(S122)。電源スイッチ622が押された場合(S122のYES)、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S123)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S124)、制御動作を終了する。本実施例では、感光ドラム104を交換する際に、画像形成装置100のシステムをシャットダウンして、電源が入っていない状態で感光ドラム104または中間転写ユニット204の交換作業を行うことを想定している。しかし、電源が入った状態でも交換できる場合、交換メッセージが表示された(S120又はS121)後、シャットダウンせずに交換作業を実施してもよい。感光ドラム104の交換の終了後、S102へ戻り、画像形成装置100を全当接状態にし、前多回転を開始してもよい(S103)。
図7のフローチャートにおいて、シャットダウン動作(S124)の前に、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全ての感光ドラム104から中間転写ベルト101を離間させる全離間状態にする。その理由は、感光ドラム104又は中間転写ベルト101の交換作業に備えるためである。
以上の制御により、本実施例によれば、いずれかの感光ドラム104が寿命に到達した場合、感光ドラム104が交換される可能性があると判断し、一部当接状態または全離間状態で待機する。感光ドラム104を交換する際は、画像形成装置100を全離間状態にする。これにより、中間転写ベルト101と感光ドラム104が当接状態で感光ドラム104又は中間転写ベルト101が交換されることを防止することができる。よって、交換時に感光ドラム104又は中間転写ベルト101に損傷を生じることが無く、画像形成装置100の良好な状態を保つことができる。また、感光ドラム104が交換されない場合、画像形成装置100は、全当接状態で待機するので、画像形成開始時に当接動作を行うことによるダウンタイムを削減することができる。
図7のフローチャートにおいて、全色の感光ドラム104が正常な場合、画像形成装置100を全当接状態でスタンバイ状態にしてカラージョブ時のダウンタイムを削減することを優先している。しかし、モノクロジョブ時のダウンタイム削減と、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104Cの寿命を優先して、ブラックの感光ドラム104Kのみ当接させた一部当接状態で画像形成装置100をスタンバイ状態にしてもよい。
また、本実施例では、一部当接状態においてブラックの感光ドラム104Kのみを中間転写ベルト101に当接させる例を示した。しかし、一部当接状態は、ブラックの感光ドラム104Kに限定される必要はなく、優先度に応じて他の一色の感光ドラム104のみを中間転写ベルト101に当接させてもよい。
感光ドラム104の寿命判断の方法は、上記のように感光ドラム104の膜厚を検知して寿命を判断する例に限定されるものではない。例えば、印刷枚数を所定の設定値と比較する方法、ビデオカウント値を所定の設定値と比較する方法、感光ドラム104の回転の積算回数を所定の設定値と比較する方法等、その他のあらゆる寿命判断方法に、本発明を適用することができる。制御部500のRAM(記憶装置)に印刷枚数、ビデオカウント値、感光ドラム104の回転の積算回数を記憶させておいてもよい。ROM(記憶装置)に所定の設定値を予め記憶させておいてもよい。
本実施例によれば、スタンバイ状態において中間転写ベルト101を全当接位置又は一部当接位置へ切り替え、感光ドラム104が交換されるときに中間転写ベルト101を自動で全離間位置へ切り替えることができる。
次に、実施例2を説明する。実施例2において、実施例1と同様の構造には同様の参照符号を付して説明を省略する。実施例2の画像形成装置100、当接離間機構(604、114、203)及び制御部500は、実施例1と同様であるので説明を省略する。実施例2は、画像形成装置100の制御動作が実施例1と異なる。以下、異なる点を主に説明する。
(制御動作)
以下に、図8を参照して実施例2の画像形成装置100の動作を説明する。図8は、実施例2のCPUによる画像形成装置の制御動作を示すフローチャートである。図8のフローチャートにおいて、感光ドラム104の不調を検知した場合、不調が検知された感光ドラム104の種類に従って、スタンバイ状態における当接離間状態を通常状態から切り替える制御が実行される。CPU601は、ROM608に格納されているプログラムに基づいて画像形成装置100の制御動作を実行する。実施例2において、CPU601は、不調が検知された感光ドラム104の種類に従って、スタンバイ状態における中間転写ベルト101と感光ドラム104の当接離間状態を変更する。
CPU601は、電源スイッチ622がONされると(S201)、中間転写ベルト101を介して全ての一次転写ローラ114を感光ドラム104に当接させて全当接状態にし(S202)、キャリブレーションを開始する(S203)。キャリブレーションとは、画像形成装置100の本体110の状態が変化した場合に、その状態を検知し、検知結果に合わせて画像形成条件を最適化する制御のことを指す。S203のキャリブレーションは、例えば、一次転写ローラ114へ印加される電圧の調整や画像濃度の調整を含む。調整値が想定外の値になった場合、CPU601は、画像形成装置100に何らかの不調があると判断し、操作部620の表示部624にエラーを表示する。CPU601は、画像形成装置100に不調があるか否かを判断する判断手段を構成する。キャリブレーションは、画像形成前に画像形成装置100の状態を検知する検知動作である。
キャリブレーションが終了すると(S204)、CPU601は、キャリブレーションが正常に終了したか否かを判断する(S205)。キャリブレーションが正常に終了した場合(S205のYES)、一次転写ローラ114の全当接状態のままで画像形成装置100をスタンバイ状態へ移行する(S206)。図8に示すフローチャートにおいては、画像形成装置100は、カラージョブのFCOTを低減するために、スタンバイ状態において全当接状態にある。しかし、画像形成装置100は、モノクロジョブのFCOTを低減するために、スタンバイ状態において一部当接状態にあってもよい。
CPU601は、モノクロジョブまたはカラージョブに従ってジョブを開始するか否かを判断する(S207)。ジョブを開始すると判断した場合(S207のYES)、CPU601は、モノクロジョブまたはカラージョブに従って画像形成を開始し(S208)、画像形成を終了する(S209)。画像形成の終了後、CPU601は、画像形成装置100をスタンバイ状態へ移行する(S210)。S206と同様に、S210において、画像形成装置100は、カラージョブのFCOTを低減するために、スタンバイ状態において全当接状態にある。しかし、画像形成装置100は、モノクロジョブのファーストコピー時間を低減するために、スタンバイ状態において一部当接状態にあってもよい。
CPU601は、S207のジョブ開始待ちの状態へ戻り、モノクロジョブまたはカラージョブに従ってジョブを開始するか否かを判断する(S207)。ジョブを開始しないと判断した場合(S207のNO)、CPU601は、電源スイッチ622が押下されたか否かを判断する(S211)。電源スイッチ622が押下された場合(S211のYES)、CPU601は、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S225)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S226)、制御動作を終了する。S211において、電源スイッチ622が押下されていない場合(S211のNO)、CPU601は、S207のジョブ開始待ちの状態へ戻る。
S205において、キャリブレーションが正常に終了しなかったと判断した場合(S205のNO)、ブラック(BK)の感光ドラム104Kに関するエラーが発生したか否かを判断する(S212)。ブラックの感光ドラム104Kに関するエラーが発生した場合(S212のYES)、モノクロモードであっても正常な画像が形成されない可能性がある。そのため、CPU601は、ブラックの感光ドラム104Kの交換メッセージを操作部620の表示部624上に表示する(S213)。
その後、CPU601は、電源スイッチ622が押されたか否かを判断する(S214)。電源スイッチ622が押下されていない場合(S214のNO)、CPU601は、電源スイッチ622が押下されるのを待つ状態に入る(S214)。電源スイッチ622が押された場合(S214のYES)、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S225)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S226)、制御動作を終了する。
S212において、ブラックの感光ドラム104Kに関するエラーが発生していなかった場合(S212のNO)、CPU601は、カラー(YMC)の感光ドラム104Y、104M又は104Cに関するエラーが発生しているか否かを判断する(S215)。カラーの感光ドラム104Y、104M又は104Cに関するエラーが発生していない場合(S215のNO)、全色の感光ドラム104Y、104M、104C及び104Kに関するエラーが発生していないことになる。しかし、キャリブレーションが正常に終了していないので、その他の何らかの不調が発生しており、該当する不調に関するエラーを操作部620の表示部624上に表示する(S216)。
その後、CPU601は、電源スイッチ622が押されたか否かのみを待つ状態に入る(S214)。電源スイッチ622が押された場合(S214のYES)、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S225)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S226)、制御動作を終了する。
S215において、カラー感光ドラム104Y、104M又は104Cに関するエラーが発生している場合(S215のYES)、S217へ進む。ブラックの感光ドラム104Kは、正常であるので、CPU601は、一次転写ローラ114Kのみを感光ドラム104Kに当接させる一部当接状態で画像形成装置100をスタンバイ状態へ移行する(S217)。
CPU601は、ジョブを開始するか否かを判断する(S218)。ジョブを開始すると判断した場合(S218のYES)、CPU601は、ジョブがモノクロジョブであるか否かを判断する(S219)。ジョブがモノクロジョブである場合(S219のYES)、CPU601は、モノクロジョブに従って画像形成を開始し(S221)、画像形成を終了する(S222)。画像形成の終了後、CPU601は、画像形成装置100をスタンバイ状態へ移行する(S223)。S223において、画像形成装置は、スタンバイ状態において一部当接状態にある。
CPU601は、S218のジョブ開始待ちの状態へ戻り、ジョブを開始するか否かを判断する(S218)。ジョブを開始しないと判断した場合(S218のNO)、CPU601は、電源スイッチ622が押下されたか否かを判断する(S224)。電源スイッチ622が押下された場合(S224のYES)、CPU601は、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S225)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S226)、制御動作を終了する。S224において、電源スイッチ622が押下されていない場合(S224のNO)、CPU601は、S218のジョブ開始待ちの状態へ戻る。
S219において、ジョブがカラージョブであると判断された場合(S219のNO)、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104のいずれかに関するエラーが発生しているので、正常な画像が出力されない可能性がある。そのため、CPU601は、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104のうち交換が必要なものに関して感光ドラム104の交換メッセージを操作部620の表示部624上に表示する(S220)。CPU601は、電源スイッチ622が押されたかどうか否かを判断する(S214)。電源スイッチ622が押下されていない場合(S214のNO)、CPU601は、電源スイッチ622が押下されるのを待つ状態に入る(S214)。電源スイッチ622が押された場合(S214のYES)、CPU601は、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全離間状態にする(S225)。CPU601は、画像形成装置100を全離間状態にした後、画像形成装置100のシステムのシャットダウン動作に入り(S226)、制御動作を終了する。
本実施例では、感光ドラム104を交換する際に、画像形成装置100のシステムをシャットダウンして、電源が入っていない状態で感光ドラム104または中間転写ユニット204の交換作業を行うことを想定している。しかし、電源が入った状態でも交換できる場合、交換メッセージが表示された(S213又はS220)後、シャットダウンせずに交換作業を実施してもよい。感光ドラム104の交換の終了後、S202へ戻り、画像形成装置100を全当接状態にし、キャリブレーションを開始してもよい(S203)。
図8のフローチャートにおいて、シャットダウン動作(S226)の前に、一次転写ローラ114を感光ドラム104から離し、画像形成装置100を全ての感光ドラム104から中間転写ベルト101を離間させる全離間状態にする。その理由は、感光ドラム104又は中間転写ベルト101の交換作業に備えるためである。
以上の制御により、本実施例によれば、いずれかの感光ドラム104に不調が発生した場合、感光ドラム104が交換される可能性があると判断し、一部当接状態または全離間状態で待機する。感光ドラム104を交換する際は、画像形成装置100を全離間状態にする。これにより、中間転写ベルト101と感光ドラム104が当接状態で感光ドラム104又は中間転写ベルト101が交換されることを防止することができる。よって、交換時に感光ドラム104又は中間転写ベルト101に損傷を生じることが無く、画像形成装置100の良好な状態を保つことができる。また、感光ドラム104が交換されない場合、画像形成装置100は、全当接状態で待機するので、画像形成開始時に当接動作を行うことによるダウンタイムを削減することができる。
図8の本フローチャートにおいて、全色の感光ドラム104が正常な場合、画像形成装置100を全当接状態でスタンバイ状態にしてカラージョブ時のダウンタイムを削減することを優先にしている。しかし、モノクロジョブ時のダウンタイム削減と、カラーの感光ドラム104Y、104M及び104Cの寿命を優先して、ブラックの感光ドラム104Kのみ当接させた一部当接状態で画像形成装置100をスタンバイ状態にしてもよい。
また、本実施例では、一部当接状態においてブラックの感光ドラム104Kのみを中間転写ベルト101に当接させる例を示した。しかし、一部当接状態は、ブラックの感光ドラム104Kに限定される必要はなく、優先度に応じて他の一色の感光ドラム104のみを中間転写ベルト101に当接させてもよい。
本実施例によれば、スタンバイ状態において中間転写ベルト101を全当接位置又は一部当接位置へ切り替え、感光ドラム104が交換されるときに中間転写ベルト101を自動で全離間位置へ切り替えることができる。