しかしながら、上記従来の限定領域反射型光学センサでは、検出範囲を広げることができないという問題点を有している。
ここで、検出範囲を広げることが可能な光学センサ200として、例えば、特許文献1には、図17に示すように、検出位置Pにおける各被測定面A〜Dをそれぞれ検出するための複数個の反射式光学センサ201A〜201Dを並設し、各々の反射式光学センサ201A〜201Dによって各被測定面A〜Dを個別に検出する手法が開示されている。すなわち、この光学センサ200では、各被測定面A〜Dをそれぞれ検出するために、各反射式光学センサ201A〜201D、各々投光器202と受光器203とを備えており、これによって、結果的に、検出範囲を広げることが可能となっている。
しかしながら、特許文献1に開示された光学センサ200では、被測定面の数に応じたセンサを設ける必要があるので、装置が大型化するという問題点がある。また、各センサを近接設置すると、隣同士のセンサが干渉して、誤動作し易いという問題点もある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、遠近方向の検出範囲を広げることにより、被測定面までの距離が変化するような物体を精度よく検出することができ、かつ構成の簡単な限定領域反射型光学センサ及び電子機器を提供することを目的としている。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサは、上記課題を解決するために、発光部からの出射光を物体検知限定領域に向けて照射し、該物体検知限定領域に存在する物体からの反射光を受光部にて受光する限定領域反射型光学センサにおいて、上記出射光の光路中に出射光用レンズが設けられ、かつ上記反射光の光路中に反射光用レンズが設けられていると共に、上記出射光用レンズは、受光部側とは反対側に第1曲率を有する第1曲率面を備え、かつ該第1曲率面よりも受光部側に該第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面を備え、上記反射光用レンズは、発光部側とは反対側に第4曲率を有する第4曲率面を備え、かつ該第4曲率面よりも発光部側に該第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面を備えていることを特徴としている。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサは、前記出射光用レンズにおける前記第1曲率面の第1曲率は、第2曲率面の第2曲率に比べて2倍以上の曲率を有していることを特徴としている。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサは、前記反射光用レンズにおける第4曲率面の第4曲率は、第5曲率面の第5曲率に比べて2倍以上の曲率を有していることを特徴としている。
上記の発明によれば、限定領域反射型光学センサは、発光部からの出射光を物体検知限定領域に向けて照射し、該物体検知限定領域に存在する物体からの反射光を受光部にて受光する。
ところで、この種の限定領域反射型光学センサにおいては、出射光及び物体からの反射光は単一の光線であるので、物体検知限定領域を広げることができないという問題がある。
そこで、本発明の一態様では、出射光の光路中に、受光部側とは反対側の反受光部側部が第1曲率を有する第1曲率面となっておりかつ該反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が該第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面となっている出射光用レンズが設けられている。これにより、曲率の大きい反受光部側部の第1曲率面を通した出射光は、物体検知限定領域における遠距離側の物体を検出することができる。このとき、曲率の大きい第1曲率面を通した出射光の光束密度は高いので、物体からの反射光による光量を大きくすることができ、受光部での受光光量も検出のためには十分である。
一方、曲率の小さい受光部側部の第2曲率面を通した出射光は、物体検知限定領域における近距離側の物体を検出することができる。このとき、曲率の小さい第2曲率面を通した出射光の光束密度は小さいが、物体から受光部までの距離が近いので、受光部での受光光量も検出のためには十分である。また、曲率の小さい第2曲率面を通した出射光の光束密度は小さいので、近距離側方向の範囲を広げることができる。そして、検出範囲を広げるために、2種類の互いに異なる曲率を有する出射光用レンズを設けただけであるので、構成は容易である。
したがって、遠近方向特に近距離側の検出範囲を広げることにより、被測定面までの距離が変化するような物体を精度よく検出することができ、かつ構成の簡単な限定領域反射型光学センサを提供することができる。
ところで、このような機能は、出射光の光路中に、受光部側とは反対側の反受光部側部が第1曲率を有する第1曲率面となっておりかつ該反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が該第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面となっている出射光用レンズの代わりに、反射光の光路中に、発光部側とは反対側の反発光部側部が第4曲率を有する第4曲率面となっておりかつ該反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が該第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面となっている反射光用レンズが設けられているという構成によっても達成することができる。
これにより、物体検知限定領域における遠距離側の物体からの反射光は、反射光用レンズにおける曲率の大きい反発光部側部の第4曲率面を通して受光部に入力される。このとき、曲率の大きい第4曲率面を通した反射光の光束密度は高いので、物体からの反射光による光量を大きくすることができ、受光部での受光光量は検出のためには十分である。
一方、物体検知限定領域における近距離側の物体からの反射光は、反射光用レンズにおける曲率の小さい発光部側部の第5曲率面を通して受光部に入力される。このとき、曲率の小さい第5曲率面を通した反射光の光束密度は小さいが、物体から受光部までの距離が近いので、受光部での受光光量も検出のためには十分である。
このことは、物体との対向方向において複数種類の物体検知領域を生成することを意味するものであり、これによって、出射光の光路中に、2種類の互いに異なる曲率を有する出射光用レンズを設けた場合と同様に、遠近方向の検出範囲が広がる。そして、反射光用レンズの場合も、検出範囲を広げるために、2種類の互いに異なる曲率を有する反射光用レンズを設けただけであるので、構成は容易である。
したがって、出射光の光路中に、受光部側とは反対側の反受光部側部が第1曲率を有する第1曲率面となっておりかつ該反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が該第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面となっている出射光用レンズが設けられているか、若しくは上記反射光の光路中に、発光部側とは反対側の反発光部側部が第4曲率を有する第4曲率面となっておりかつ該反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が該第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面となっている反射光用レンズが設けられているかのいずれか一方、又はその両方を満たすことによって、遠近方向、特に近距離側の検出範囲を広げることにより、被測定面までの距離が変化するような物体を精度よく検出することができ、かつ構成の簡単な限定領域反射型光学センサを提供することができる。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記受光部での受光レベルに基づいて物体検知限定領域に存在する物体の有無を判別する判別手段が設けられていることが好ましい。
これにより、判別手段にて、受光部での受光レベルに基づいて物体検知限定領域に存在する物体の有無を判別することができる。すなわち、受光部での受光レベルがゼロであれば、物体検知限定領域には物体は存在しないと判断し、受光部での受光レベルが所定の検出値以上であれば、物体検知限定領域に物体が存在すると判断することができる。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記出射光用レンズは第1曲
率と第2曲率との少なくとも一方を異なる曲率に変更可能となっているか、若しくは反射光用レンズは、第4曲率と第5曲率との少なくとも一方を異なる曲率に変更可能となっているかのいずれか一方、又はその両方を満たすことが好ましい。
これにより、出射光用レンズ又は反射光用レンズの少なくともいずれか一方を曲率の異なるものに交換することができる。この結果、物体検知限定領域を容易に変更することが可能となる。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記出射光用レンズは第1曲率面と第2曲率面とが一体的に形成されているか、若しくは反射光用レンズは第4曲率面と第5曲率面とが一体的に形成されているかのいずれか一方、又はその両方を満たすことが好ましい。
これにより、部品点数の削減を図ることができる。また、2種類の互いに異なる曲率を有するものが離れている場合に比べて位置精度の向上を図ることができると共に、2種類の互いに異なる曲率を有するものが離れている場合の迷光対策にも繋がる。さらに、出射光用レンズ毎に又は反射光用レンズ毎に交換が可能である。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記出射光用レンズ及び反射光用レンズは、両者一体に形成されていることが好ましい。
これにより、部品点数の削減をさらに図ることができる。また、出射光用レンズと反射光用レンズとが互いに離れている場合に比べて、位置精度の向上を図ることができる。さらに、一体になったレンズの交換は容易である。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記発光部は出射光を出射する発光素子を有しており、かつ上記発光素子は該発光素子から出射される出射光の光軸が出射光用レンズの中心軸よりも反受光部側になるように配されていると共に、前記受光部は反射光を受光する受光素子を有しており、かつ上記受光素子は該受光素子での反射光の光軸が反射光用レンズの中心軸よりも反発光部側になるように配されていることが好ましい。
これにより、遠距離側の光束の広がりがなくなり、光束密度の高い部分のみを物体検知限定領域として限定できることとなる。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記受光部には、物体からの反射による複数方向からの反射光をそれぞれ受光する複数の受光素子が設けられていることが好ましい。
これにより、限定領域反射型光学センサを、物体の位置を判断する変位センサとして使用することが可能となる。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記出射光用レンズには、前記第2曲率面よりも受光部側に前記第2曲率面の第2曲率よりも大きい第3曲率を有する第3曲率面が形成されていることが好ましい。
前述したように、出射光用レンズは、最も反受光部側部が曲率の大きい第1曲率となっており、出射光用レンズを通した出射光のうちの最反受光部側の出射光の光束密度が大きくなることにより、最反受光部側の出射光の光強度分布を急峻にすることができる。この結果、物体が存在するかの判定のための物体検知限定領域における遠距離側の物体を検出するときの閾値を容易に設定することができるようになる。
一方、本発明では、出射光用レンズは、前記第2曲率面よりも受光部側が第2曲率面の第2曲率よりも大きい第3曲率を有する第3曲率面となっている。すなわち、出射光用レンズは、最も受光部側部についても第2曲率よりも大きい第3曲率を有する第3曲率面となっており、これによって、最受光部側の出射光の光強度分布を急峻にすることができる。この結果、物体が存在するかの判定のための物体検知限定領域における近距離側の物体を検出するときの閾値についても容易に設定することができるようになる。
したがって、物体検知限定領域における遠距離側及び近距離側の両方について、物体が存在するかの否かの判定のための閾値について容易に設定することができるようになる。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記出射光用レンズの第2曲率面は、シリンドリカルレンズの一部として構成されていることが好ましい。
すなわち、シリンドリカルレンズは半円柱形状のレンズである。このため、曲率のない断面では光が素通りするが、曲率を有する半円断面では光が曲げられ、光が拡散するのを防止して物体検知限定領域の光量を増加させることができる。
また、出射光用レンズにおける、反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面の作製が容易である。さらに、第1曲率面と第2曲率面とが別体に形成される場合には、第2曲率面として市販のシリンドリカルレンズを利用することができる。この結果、出射光用レンズの第2曲率面を個別に製造するのに比べて、コスト削減を図ることができる。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記反射光用レンズには、前記第5曲率面よりも発光部側に該第5曲率面の第5曲率よりも大きい第6曲率を有する第6曲率面が形成されていることが好ましい。
前述したように、反射光用レンズは、最も反発光部側部が曲率の大きい第4曲率となっており、反射光用レンズの第4曲率面を通した反射光の最反発光部側の反射光の光束密度が大きくなることにより、最反発光部側の反射光の光強度分布を急峻にすることができる。この結果、物体が存在するかの判定のための物体検知限定領域における遠距離側の物体を検出するときの閾値を容易に設定することができるようになる。
一方、本発明では、前記反射光用レンズには、前記第5曲率面よりも発光部側に該第5曲率面の第5曲率よりも大きい第6曲率を有する第6曲率面が形成されている。すなわち、反射光用レンズは、最も発光部側部についても第5曲率よりも大きい第6曲率を有する第6曲率面となっており、これによって、最発光部側の反射光の光強度分布を急峻にすることができる。この結果、物体が存在するかの判定のための物体検知限定領域における近距離側の物体を検出するときの閾値についても容易に設定することができるようになる。
したがって、物体検知限定領域における遠距離側及び近距離側の両方について、物体が存在するかの否かの判定のための閾値について容易に設定することができるようになる。
本発明の一態様における限定領域反射型光学センサでは、前記反射光用レンズの第5曲率面は、シリンドリカルレンズの一部として構成されていることが好ましい。
すなわち、シリンドリカルレンズは半円柱形状のレンズである。このため、曲率のない断面では光が素通りするが、曲率を有する半円断面では光が曲げられ、光が拡散するのを防止して物体検知限定領域の光量を増加させることができる。
また、反射光用レンズにおける、反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面の作製が容易である。さらに、第4曲率面と第5曲率面とが別体に形成される場合には、第5曲率面として市販のシリンドリカルレンズを利用することができる。この結果、反射光用レンズの第5曲率面を個別に製造するのに比べて、コスト削減を図ることができる。
存在するかの否かの判定のための閾値について容易に設定することができるようになる。
本発明の一態様における電子機器は、上記課題を解決するために、上記記載の限定領域反射型光学センサを備えていることを特徴としている。
これにより、検出範囲を広げることにより、被測定面までの距離が変化するような物体を精度よく検出することができ、かつ構成の簡単な限定領域反射型光学センサを備えた電子機器を提供することができる。
本発明の一態様によれば、検出範囲を広げることにより、被測定面までの距離が変化するような物体を精度よく検出することができ、かつ構成の簡単な限定領域反射型光学センサ及び電子機器を提供するという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサは、例えばロボット掃除機、ロボティクス車椅子、セキュリティ見守りロボット等の自走式ロボット等の電子機器、又はその他の機器に適用される。具体的には、図2(a)に示すように、物体の段差検知又は用紙の存在の有無検出等の限定した範囲内での物体の有無を検出する場合に利用される。したがって、検出物体からの反射光が正反射又は拡散反射のいずれの場合であっても指定した物体検知限定領域Sの範囲内にて物体を検出する必要がある。例えば、ロボット掃除機用の段差検知の場合、図2(b)に示すように、できるだけ広い検出範囲を得ると共に、遠距離側において出力の境界が明確となるようにすることが好ましい。
すなわち、この種の限定領域反射型光学センサにおいては、反射光は単一の光線であるので、物体検知限定領域を広げることができないという問題がある。
そこで、本実施の形態の限定領域反射型光学センサは、このような物体検知限定領域Sをできるだけ広くするために改良されたものとなっている。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aの構成について、図3〜図8に基づいて説明する。図3は本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aの構成を示す斜視図である。図4(a)は上記限定領域反射型光学センサ1Aの構成を示す断面図であり、図4(b)は上記限定領域反射型光学センサ1Aの縦断面を破断して示す斜視図である。図5は、出射光用レンズ12Aの構成を示す断面図である。図6は、出射光用レンズ12A及び反射光用レンズ22の構成を示す斜視図である。図7の(a)はシリンドリカルレンズにおける曲率を有する側の光路を示す図であり、図7の(b)はシリンドリカルレンズにおける曲率を有しない側の光路を示す図である。図8の(a)は限定領域反射型光学センサ1Aの変形例の構成を示す断面図であり、図8の(b)は限定領域反射型光学センサ1Aの縦断面を破断して示す斜視図である。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aは、図3に示すように、発光部10と受光部20とを備え、これら発光部10及び受光部20がケース2に収容されたものからなっている。
発光部10は、図4の(a)(b)に示すように、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)11と、該LED11の前面に設けられた出射光用レンズ12Aとを備えている。
また、受光部20は、受光素子としてのフォトトランジスタ21と、該フォトトランジスタ21の前面に設けられた反射光用レンズ22とを備えている。尚、上記出射光用レンズ12A及び反射光用レンズ22のいずれか一方は、本発明においては、省略することができる。
また、本実施の形態では、発光素子としてのLED11を使用し、受光素子としてのフォトトランジスタ21を使用している。しかし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、例えば、発光素子としてのレーザーダイオードを使用し、受光素子としてのフォトダイオードを使用することができる。また、これ以外の種類の発光素子と受光素子との組み合わせでもよい。
上記ケース2における出射光用レンズ12A及び反射光用レンズ22の前面は、ケース開口2aとなっており、出射光及び反射光が通過できるようになっている。
上記発光部10と受光部20とは、発光部10から出射光を前記物体検知限定領域Sに向けて照射し、該物体検知限定領域Sに存在する物体からの反射光を受光部20にて受光可能となるように該反射光の光軸と該反射光の光軸との交差角度が設定されている。そして、限定領域反射型光学センサ1Aは、フォトトランジスタ21での受光レベルつまり検出電圧に基づいて物体の有無を判別するようになっている。この物体の有無を判別は、LED11及びフォトトランジスタ21を搭載している判別手段としてのプリント基板3の判別部にて行われる。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aでは、LED11から物体検知限定領域Sまでの出射光の光路中に、出射光を屈折させる出射光用レンズ12Aが設けられている。
この出射光用レンズ12Aは、図4の(a)(b)及び図5に示すように、少なくとも2種類の互いに異なる曲率を有するレンズとなっている。具体的には、出射光用レンズ12Aの発光部側表面12aとは反対側の反発光部側表面12bは、受光部側とは反対側の反受光部側部が第1曲率を有する第1曲率面12baとなっておりかつ該反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が該第1曲率面12baよりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面12bbとなっている。上記第1曲率面12baの第1曲率は、第2曲率面12bbの第2曲率に比べて例えば2倍以上の曲率を有していることが好ましい。
尚、本実施の形態の出射光用レンズ12Aは、第1曲率面12baと第2曲率面12bbとの2種類の互いに異なる曲率を有するレンズとなっている。ただし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、3種類以上の互いに異なる曲率を有するレンズとなっていてもよい。
図6に示すように、上記第1曲率面12baは例えば非球面レンズからなっている一方、上記第2曲率面12bbは例えばシリンドリカルレンズからなっている。シレンドリカルレンズは、円柱を軸方向に2つに割った形をしている。このため、図7の(b)に示すように、第一方向の断面は曲率がないために平行平面ガラスを光が通過するのと同じように方向が少し変化するだけで素通りする。一方、図7の(a)に示すように、第二方向の半円断面は曲率を持っているので光は曲げられ、光が拡散するのを防止して物体検知限定領域Sの光量を増加させることができるという性質を有している。
尚、本実施の形態では、非球面レンズからなる第1曲率面12baは、該非球面レンズ表面の頂点において第1曲率を有していると共に、シリンドリカルレンズからなる第2曲率面12bbも該シリンドリカルレンズ表面の頂点において第2曲率を有している。すなわち、本明細書及び本発明においては、第1曲率面12baの表面の頂点が第1曲率を有し、かつ第2曲率面12bbの表面の頂点が第2曲率を有するという定義の下に、第1曲率は第2曲率よりも大きいものとなっている。
尚、本実施の形態では、出射光用レンズ12Aは、第1曲率面12baを有する非球面レンズと第2曲率面12bbを有するシリンドリカルレンズが互いに一体となって形成されている。ただし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、第1曲率面12baと第2曲率面12bbとが互いに別体となって形成されていてもよい。
また、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aでは、物体検知限定領域Sからフォトトランジスタ21までの反射光の光路中に、反射光を屈折させる反射光用レンズ22が設けられている。
この反射光用レンズ22は、少なくとも2種類の互いに異なる曲率を有するレンズとなっている。具体的には、反射光用レンズ22の受光部側表面22aとは反対側の反受光部側表面22bは、発光部側とは反対側の反発光部側部が第4曲率を有する第4曲率面22baとなっておりかつ該反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が第4曲率面22baよりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面22bbとなっている。尚、本実施の形態の反射光用レンズ22は、第4曲率面22baと第5曲率面22bbとの2種類の互いに異なる曲率を有するレンズとなっているが、本発明においては、必ずしもこれに限らず、3種類以上の互いに異なる曲率を有するレンズとなっていてもよい。
図6に示すように、上記第4曲率面22baは例えば非球面レンズからなっている一方、上記第5曲率面22bbは例えばシリンドリカルレンズからなっている。
尚、本実施の形態では、非球面レンズからなる第4曲率面22baは、該非球面レンズ表面の頂点において第4曲率を有していると共に、シリンドリカルレンズからなる第5曲率面22bbも該シリンドリカルレンズ表面の頂点において第5曲率を有している。すなわち、本明細書及び本発明においては、第4曲率面22baの表面の頂点が第4曲率を有し、かつ第5曲率面22bbの表面の頂点が第5曲率を有するという定義の下に、第4曲率は第5曲率よりも大きいものとなっている。
尚、本実施の形態では、反射光用レンズ22は、第4曲率面22baを有する非球面レンズと第5曲率面22bbを有するシリンドリカルレンズが互いに一体となって形成されている。ただし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、第4曲率面22baと第5曲率面22bbとが互いに別体となって形成されていてもよい。
ここで、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aは、出射光用レンズ12Aと反射光用レンズ22との両方が設けられている。ただし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、図8の(a)(b)に示すように、出射光用レンズ12Aと反射光用レンズ22との少なくとも一方が設けられていれば足りる。
さらに、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aは、出射光用レンズ12Aと反射光用レンズ22との少なくとも一方は、容易に交換可能となっている。
上記構成の限定領域反射型光学センサ1Aにおける物体が存在するかの物体検出方法について、前記図4の(a)(b)、図5及び図6、並びに図1及び図9に基づいて説明する。図1は、限定領域反射型光学センサ1Aにおける出射光L1の光路及び反射光L2の光路並びに物体検知限定領域Sでの物体Mの検知状態を示す断面図である。図9は、フォトトランジスタ21における物体Mの検出距離と検出能力との関係を示すグラフである。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aでは、図4の(a)(b)、図5及び図6に示すように、発光部10には、該LED11からの出射光の光路中に、反受光部側部
に曲率が大きい第1曲率面12baを有し、かつ受光部側に曲率の小さい第2曲率面12bbを有する出射光用レンズ12Aが設けられている。したがって、図1に示すように、LED11から出射された出射光L1は、出射光用レンズ12Aにおける反受光部側の第1曲率面12baを通過した場合には、光束密度が高く、物体検知限定領域Sの遠距離側に届くようになる。これに対して、出射光用レンズ12Aにおける受光部側の第2曲率面12bbを通過した場合には、光束密度が小さく、物体検知限定領域Sの近距離側に届くようになる。
また、図4の(a)(b)、図5及び図6に示すように、受光部20には、物体検知限定領域Sからフォトトランジスタ21に向かう反射光の光路中に、反発光部側に曲率が大きい第4曲率面22baを有し、かつ発光部側に曲率の小さい第5曲率面22bbを有する反射光用レンズ22が設けられている。したがって、図1に示すように、物体検知限定領域Sの遠距離側からの反射光L2は、光束密度が高い状態で反射光用レンズ22における反発光部側の第4曲率面22baを通過する。これに対して、物体検知限定領域Sの近距離側からの反射光L2は、光束密度が小さい状態で、出射光用レンズ12Aにおける発光部側の第5曲率面22bbを通過する。
この結果、物体検知限定領域Sの遠距離側SLに物体Mが存在する場合、又は物体検知限定領域Sの近距離側SSに物体Mが存在する場合のいずれであっても、フォトトランジスタ21にて物体Mからの反射光による反射光L2を検出できるものとなる。
具体的には、図1に示すように、本実施の形態の出射光用レンズ12A及び反射光用レンズ22では、前述したように、発光部10には、該LED11からの出射光の光路中に、反受光部側に曲率が大きい第1曲率面12baを有し、かつ受光部側に曲率の小さい第2曲率面12bbを有する出射光用レンズ12Aが設けられている。また、受光部20には、物体検知限定領域Sからフォトトランジスタ21に向かう反射光の光路中に、反発光部側に曲率が大きい第4曲率面22baを有し、かつ発光部側に曲率の小さい第5曲率面22bbを有する反射光用レンズ22が設けられている。したがって、図9に示すように、遠距離側SLの物体Mからの反射による反射光L2は、光束密度が高いので、遠距離側SLの物体Mにおけるフォトトランジスタ21の立下りが急峻になっている。この結果、物体Mが遠距離側SLに存在するか否かの閾値を設定した場合に、フォトトランジスタ21での遠距離側SLのオン領域とオフ領域と境界が明確になり、物体Mの有無の判別を容易に行うことができるものとなる。
このように、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aは、発光部からの出射光を物体検知限定領域に向けて照射し、該物体検知限定領域に存在する物体からの反射光を受光部にて受光する限定領域反射型光学センサにおいて、上記出射光の光路中に、受光部側とは反対側の反受光部側部が第1曲率を有する第1曲率面となっておりかつ該反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が該第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面となっている出射光用レンズが設けられているか、若しくは上記反射光の光路中に、発光部側とは反対側の反発光部側部が第4曲率を有する第4曲率面となっておりかつ該反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が該第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面となっている反射光用レンズが設けられているかのいずれか一方、又はその両方を満たす。
すなわち、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aは、発光部10からの出射光L1を物体検知限定領域Sに向けて照射し、該物体検知限定領域Sに存在する物体Mからの反射光による反射光L2を受光部20にて受光する。
ところで、この種の限定領域反射型光学センサ1Aにおいては、出射光L1及び物体Mからの反射光L2は単一の光線であるので、物体検知限定領域Sを広げることができないという問題がある。
そこで、本実施の形態の一態様では、出射光L1の光路中に、受光部側とは反対側の反受光部側部が第1曲率を有する第1曲率面12baとなっておりかつ該反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が該第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面12bbとなっている出射光用レンズ12Aが設けられている。これにより、曲率の大きい反受光部側部の第1曲率面12baを通した出射光は、物体検知限定領域Sにおける遠距離側SLの物体Mを検出することができる。このとき、曲率の大きい第1曲率面12baを通した出射光L1の光束密度は高いので、物体Mからの反射光による光量を大きくすることができ、受光部20での受光光量も検出のためには十分である。
一方、曲率の小さい受光部側部の第2曲率面12bbを通した出射光L1は、物体検知限定領域Sにおける近距離側SSの物体Mを検出することができる。このとき、曲率の小さい第2曲率面12bbを通した出射光L1の光束密度は小さいが、物体Mから受光部20までの距離が近いので、受光部20での受光光量も検出のためには十分である。また、曲率の小さい第2曲率面12bbを通した出射光L1の光束密度は小さいので、近距離側SS方向の範囲を広げることができる。そして、検出範囲を広げるために、2種類の互いに異なる曲率を有する出射光用レンズ12Aを設けただけであるので、構成は容易である。
したがって、遠近方向特に近距離側の検出範囲を広げることにより、被測定面までの距離が変化するような物体を精度よく検出することができ、かつ構成の簡単な限定領域反射型光学センサを提供することができる。
ところで、このような機能は、出射光L1の光路中に、受光部側とは反対側の反受光部側部が第1曲率を有する第1曲率面12baとなっておりかつ該反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が該第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面12bbとなっている出射光用レンズ12Aの代わりに、反射光L2の光路中に、発光部側とは反対側の反発光部側部が第4曲率を有する第4曲率面22baとなっておりかつ該反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が該第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面22bbとなっている反射光用レンズ22が設けられているという構成によっても達成することができる。
これにより、物体検知限定領域Sにおける遠距離側SLの物体Mからの反射光は、反射光用レンズ22における曲率の大きい反発光部側部の第4曲率面22baを通して受光部20に入力される。このとき、曲率の大きい第4曲率面22baを通した反射光L2の光束密度は高いので、物体Mからの反射光による光量を大きくすることができ、受光部20での受光光量は検出のためには十分である。
一方、物体検知限定領域における近距離側の物体からの反射光は、反射光用レンズにおける曲率の小さい発光部側部の第5曲率面を通して受光部に入力される。このとき、曲率の小さい第5曲率面を通した反射光の光束密度は小さいが、物体から受光部までの距離が近いので、受光部での受光光量も検出のためには十分である。
このことは、物体Mとの対向方向において複数種類の物体検知領域を生成することを意味するものであり、これによって、出射光L1の光路中に、2種類の互いに異なる曲率を有する出射光用レンズ12Aを設けた場合と同様に、遠近方向の検出範囲が広がる。そして、反射光用レンズ22の場合も、検出範囲を広げるために、2種類の互いに異なる曲率を有する反射光用レンズ22を設けただけであるので、構成は容易である。
したがって、出射光L1の光路中に、受光部側とは反対側の反受光部側部が第1曲率を有する第1曲率面12baとなっておりかつ該反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が該第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面12bbとなっている出射光用レンズ12Aが設けられているか、若しくは反射光L2の光路中に、発光部側とは反対側の反発光部側部が第4曲率を有する第4曲率面22baとなっておりかつ該反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が該第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面22bbとなっている反射光用レンズ22が設けられているかのいずれか一方、又はその両方を満たすことによって、遠近方向、特に近距離側SSの検出範囲を広げることにより、被測定面までの距離が変化するような物体Mを精度よく検出することができ、かつ構成の簡単な限定領域反射型光学センサ1Aを提供することができる。
また、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Aでは、出射光用レンズ12Aにおける上記第1曲率面12baの第1曲率は、第2曲率面12bbの第2曲率に比べて例えば2倍以上の曲率を有している。
これにより、第1曲率面12baを通過する出射光L1は、光束が密になり、第2曲率面12bbを通過する出射光L1に比べて物体検知限定領域Sにおける遠距離側SLの物体Mを検出することができる。また、検出のための閾値の設定も容易である。
また、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Aでは、上記反射光用レンズ22における第4曲率面22baの第4曲率は、第5曲率面22bbの第5曲率に比べて例えば2倍以上の曲率を有している。これにより、第4曲率面22baを通過する反射光L2は、第5曲率面22bbを通過する反射光L2に比べて光束が密になり、物体検知限定領域Sにおける遠距離側SLの物体Mを検出することができる。また、検出のための閾値の設定も容易である。
また、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Aでは、受光部20での受光レベルに基づいて物体検知限定領域Sに存在する物体Mの有無を判別する判別手段としてのプリント基板3の判別部が設けられている。これにより、プリント基板3の判別部にて、受光部20での受光レベルに基づいて物体検知限定領域Sに存在する物体Mの有無を判別することができる。すなわち、受光部20での受光レベルがゼロであれば、物体検知限定領域Sには物体は存在しないと判断し、受光部20での受光レベルが所定の検出値以上であれば、物体検知限定領域Sに物体Mが存在すると判断することができる。
また、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Aでは、出射光用レンズ12Aは第1曲率と第2曲率との少なくとも一方を異なる曲率に変更可能となっているか、若しくは反射光用レンズ22は、第4曲率と第5曲率との少なくとも一方を異なる曲率に変更可能となっているかのいずれか一方、又はその両方を満たす。
これにより、出射光用レンズ12A又は反射光用レンズ22の少なくともいずれか一方を曲率の異なるものに交換することがでる。この結果、物体検知限定領域Sを容易に変更することが可能となる。
また、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aでは、出射光用レンズ12Aは第1曲率面12baと第2曲率面12bbとが一体的に形成されているか、又は反射光用レンズ22は、第4曲率面22baと第5曲率面22bbとが一体的に形成されているかの少なくとも一方を満たす。
これにより、部品点数の削減を図ることができる。また、2種類の互いに異なる曲率を有するものが離れている場合に比べて位置精度の向上を図ることができると共に、2種類の互いに異なる曲率を有するものが離れている場合の迷光対策にも繋がる。さらに、出射光用レンズ12A毎に又は反射光用レンズ22毎に交換が可能である。
また、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Aでは、出射光用レンズ12Aの第2曲率面12bbは、シリンドリカルレンズの一部として構成されている。
すなわち、シリンドリカルレンズは半円柱形状のレンズである。このため、曲率のない断面では光が素通りするが、曲率を有する半円断面では光が曲げられ、光が拡散するのを防止して物体検知限定領域Sの光量を増加させることができる。
また、出射光用レンズ12Aにおける、反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面12bbの作製が容易である。
さらに、第1曲率面12baと第2曲率面12bbとが別体に形成される場合には、出射光用レンズ12Aの反発光部側表面12bが、反受光部側部よりも受光部側の受光部側部が第1曲率よりも小さい曲率である第2曲率を有する第2曲率面12bbとして、市販のシリンドリカルレンズを利用することができる。この結果、出射光用レンズ12の第2曲率面12bbを個別に製造するのに比べて、コスト削減を図ることができる。
また、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Aでは、反射光用レンズ22の第5曲率面22bbは、シリンドリカルレンズの一部として構成されている。
すなわち、シリンドリカルレンズは半円柱形状のレンズである。このため、曲率のない断面では光が素通りするが、曲率を有する半円断面では光が曲げられ、光が拡散するのを防止して物体検知限定領域Sの光量を増加させることができる。
また、反射光用レンズ22における、反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面22bbの作製が容易である。
さらに、第4曲率面22baと第5曲率面22bbとが別体に形成される場合には、反射光用レンズ22の反受光部側表面22bが、反発光部側部よりも発光部側の発光部側部が第4曲率よりも小さい曲率である第5曲率を有する第5曲率面22bbとして、市販のシリンドリカルレンズを利用することができる。この結果、反射光用レンズ22の第5曲率面22bbを個別に製造するのに比べて、コスト削減を図ることができる。
また、本実施の形態の電子機器は、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Aを備えている。
これにより、検出範囲を広げることにより、被測定面までの距離が変化するような物体Mを精度よく検出することができ、かつ構成の簡単な限定領域反射型光学センサ1Aを備えた電子機器を提供することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図10〜図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1の限定領域反射型光学センサ1Aでは、出射光用レンズ12A及び反射光用レンズ22は、分離されていた。これに対して、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Bにおける出射光・反射光用一体型レンズ30を有し、出射光用レンズ12A及び反射光用レンズ22の両者が一体的に形成されている点が異なっている。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Bにおける出射光・反射光用一体型レンズ30の構成について、図10〜図12に基づいて説明する。図10は、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Bの構成を示す斜視図である。図11の(a)は限定領域反射型光学センサ1Bの構成を示す断面図であり、図11の(b)は限定領域反射型光学センサ1Bの縦断面を破断して示す斜視図である。図12は、限定領域反射型光学センサ1Bの発光部10及び受光部20に設けられた出射光・反射光用一体型レンズ30の構成を示す斜視図である。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Bでは、図10に示すように、出射光・反射光用一体型レンズ30を有している。この出射光・反射光用一体型レンズ30は、図11の(a)(b)に示すように、出射光用レンズ12Aと反射光用レンズ22との間に連結部31が設けられており、この連結部31によって、出射光用レンズ12Aと反射光用レンズ22とが一体に連結されている。
この出射光・反射光用一体型レンズ30は、図12に示すように、実施の形態1と同様に、出射光用レンズ12Aにおける第1曲率面12baは例えば非球面レンズからなっている一方、第2曲率面12bbは例えばシリンドリカルレンズからなっている。また、反射光用レンズ22における第4曲率面22baは例えば非球面レンズからなっている一方、第5曲率面22bbは例えばシリンドリカルレンズからなっている。
尚、他の構成は、受光部20の限定領域反射型光学センサ1Aであるので、その説明を省略する。
このように、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Bでは、出射光用レンズ12A及び反射光用レンズ22は、両者一体に形成された出射光・反射光用一体型レンズ30からなっている。これにより、部品点数の削減をさらに図ることができる。また、出射光用レンズ12Aと反射光用レンズ22とが互いに離れている場合に比べて、位置精度の向上を図ることができる。さらに、出射光・反射光用一体型レンズ30の交換は容易である。
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1の限定領域反射型光学センサ1A及び実施の形態2の限定領域反射型光学センサ1Bでは、LED11の出射光の光軸と出射光用レンズ12Aの中心軸とは一致していた。また、フォトトランジスタ21の受光軸と反射光用レンズ22の中心軸とは一致していた。
しかしながら、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Cでは、LED11における出射光の光軸は、出射光用レンズ12Aの中心軸よりも反受光部側になるように配されていると共に、フォトトランジスタ21の受光軸も反射光用レンズ22の中心軸とよりも反発光部側に配されている点が異なっている。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Cの構成について、図13に基づいて説明する。図13は、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Cの構成を示す正面図である。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Cは、図13に示すように、発光部10は、出射光L1を出射する発光素子としてのLED11を有しており、かつLED11は、該LED11から出射される出射光L1の光軸が出射光用レンズ12Aの中心軸よりも反受光部側になるように配されている。
また、受光部20は反射光L2を受光する受光素子としてのフォトトランジスタ21を有しており、かつフォトトランジスタ21は該フォトトランジスタ21での反射光L2の光軸が反射光用レンズ22の中心軸よりも反発光部側になるように配されている。
これにより、遠距離側の光束の広がりがなくなり、光束密度の高い部分のみを物体検知限定領域Sとして限定できることとなる。
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜実施の形態3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1の限定領域反射型光学センサ1A、実施の形態2の限定領域反射型光学センサ1B及び実施の形態3の限定領域反射型光学センサ1Cでは、フォトトランジスタ21は1個備えられているのみであった。これに対して、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Dでは、フォトトランジスタ21が複数個設けられている点が異なっている。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Dの構成について、図14の(a)(b)(c)に基づいて説明する。図14の(a)(b)(c)は、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Dにおける複数のフォトトランジスタ21a・21b・21cでの受光状態を示す正面図である。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Dは、図14の(a)に示すように、受光素子としての複数個としての3個のフォトトランジスタ21a・21b・21cを備えている。
これにより、図14(a)に示すように、物体検知限定領域Sにおける限定領域反射型光学センサ1Dから最も近い近距離側SSではフォトトランジスタ21aにての受光が可能である。また、図14(b)に示すように、物体検知限定領域Sにおける限定領域反射型光学センサ1Dから中間位置である中距離側SMではフォトトランジスタ21bにての受光が可能である。さらに、物体検知限定領域Sにおける限定領域反射型光学センサ1Dから最も遠い遠距離側SLではフォトトランジスタ21cにての受光が可能である。
この結果、フォトトランジスタ21aにて信号を検知した場合には、物体Mが限定領域反射型光学センサ1Dから最も近い物体検知限定領域Sにおける近距離側SSの位置に存在することが判断できる。また、フォトトランジスタ21bにて信号を検知した場合には物体Mが物体検知限定領域Sにおける中距離側SMの位置に存在することが判断できる。さらに、フォトトランジスタ21cにて信号を検知した場合には物体Mが限定領域反射型光学センサ1Dから最も遠い物体検知限定領域Sにおける遠距離側SLの位置に存在していると判断することができる。したがって、限定領域反射型光学センサ1Dを、物体Mの位置を判断する変位センサとして使用することができる。
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Dでは、物体Mが近づいてきたのか又は遠ざかるのかを、受光素子としてのフォトトランジスタ21a・21b・21cでの受光レベルつまり検出電圧の大から小への変化又は小から大への変化のいずれであるかにより検出する物体移動方向検出手段が設けられているとすることが可能である。
これにより、物体移動方向検出手段を用いて、物体が近づいてきたのか又は遠ざかるのかを、フォトトランジスタ21a・21b・21cでの受光レベルの大から小への変化又は小から大への変化のいずれであるかにより検出することができる。
また、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Dでは、物体Mが近づく速度又は遠ざかる速度をフォトトランジスタ21a・21b・21cの受光レベルつまり検出電圧の時間的変化に基づいて算出する移動速度算出手段を備えているとすることができる。
これにより、移動速度算出手段を用いて、物体Mが近づく速度又は遠ざかる速度をフォトトランジスタ21a・21b・21cの受光レベルの時間的変化に基づいて算出することができる。
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施の形態について図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜実施の形態4と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜実施の形態4の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1の限定領域反射型光学センサ1A、実施の形態2の限定領域反射型光学センサ1B、実施の形態3の限定領域反射型光学センサ1C及び実施の形態4の限定領域反射型光学センサ1Dでは、出射光用レンズ12A及び出射光・反射光用一体型レンズ30は、反発光部側表面12bは、反受光部側が曲率の大きい第1曲率を有する第1曲率面12baと、受光部側が曲率の小さい第2曲率を有する第2曲率面12bbとの2種類の互いに異なる曲率を有するレンズとなっていた。
これに対して、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Eでは、第2曲率を有する第2曲率面12bbのさらに受光部側に、第2曲率よりも曲率の大きい第3曲率面を有している点が異なっている。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Eの構成について、図15の(a)(b)に基づいて説明する。図15の(a)は、本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Eにおける出射光用レンズ12Bの構成を示す断面図であり、図15の(b)は、物体検知限定領域Sでの検出信号を示す波形図である。
本実施の形態の限定領域反射型光学センサ1Eは、図15の(a)に示すように、実施の形態1の出射光用レンズ12Aの構成に加えて、出射光用レンズ12Bの反発光部側表面12bは、第2曲率面12bbよりも受光部側が第2曲率面12bbの第2曲率よりも大きい第3曲率を有する第3曲率面12bcとなっている。上記第3曲率面12bcの第3曲率は、第2曲率面12bbの第2曲率に比べて例えば2倍以上の曲率を有していることが好ましい。
尚、出射光用レンズ12Bの反発光部側表面12bにおける第1曲率面12baは、実施の形態1〜3の出射光用レンズ12Aの第1曲率面12baと同じである。
実施の形態1でも説明したように、出射光用レンズ12Bの反発光部側表面12bは、最も反受光部側部が曲率の大きい第1曲率面12baとなっており、出射光用レンズ12Bを通した出射光L1のうち最反受光部側の出射光L1の光束密度が大きくなることにより、最反受光部側の出射光L1の光強度分布を急峻にすることができる。この結果、図15の(b)に示すように、物体が存在するかの判定のための物体検知限定領域Sにおける遠距離側の物体を検出するときの閾値を容易に設定することができるようになる。
一方、本実施の形態では、出射光用レンズ12Bの反発光部側表面12bは、第2曲率面12bbよりも受光部側(図15の(a)において右側)が第2曲率面12bbの第2曲率よりも大きい第3曲率を有する第3曲率面12bcとなっている。すなわち、出射光用レンズ12Bの反発光部側表面12bは、最も受光部側部についても第2曲率面12bbよりも大きい第3曲率を有する第3曲率面12bcとなっており、これによって、最受光部側の出射光L1の光強度分布を急峻にすることができる。この結果、図15の(b)に示すように、物体Mが存在するかの判定のための物体検知限定領域Sにおける近距離側の物体を検出するときの閾値についても容易に設定することができるようになる。
したがって、物体検知限定領域Sにおける遠距離側SL及び近距離側SSの両方について、物体Mが存在するかの否かの判定のための閾値について容易に設定することができるようになる。
尚、上記においては、出射光用レンズ12Bについて説明したが、必ずしもこれに限らず、反射光用レンズ22についても同様の構成とすることが可能である。
すなわち、本実施の形態における限定領域反射型光学センサ1Eでは、反射光用レンズ22の反受光部側表面22bは、第5曲率面22bbよりも発光部側が該第5曲率面22bbの第5曲率よりも大きい第6曲率を有する第6曲率面となっているとすることができる。
ここで、上記反射光用レンズ22における第6曲率面の第6曲率は、第5曲率面22bbの第5曲率に比べて例えば2倍以上の曲率を有している。
この構成によっても、物体検知限定領域Sにおける遠距離側SL及び近距離側SSの両方について、物体が存在するかの否かの判定のための閾値について容易に設定することができるようになる。
尚、第3曲率面12bc及び第6曲率を設ける構成は、実施の形態2において説明した出射光・反射光用一体型レンズ30にも適用することが可能である。
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。