JP6413774B2 - 液状化防止用地盤注入剤組成物及びこれを用いた地盤改良工法 - Google Patents
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一方、近年、特に埋め立て地等の比較的地下水が豊富な地盤を有する地域では、地震発生に伴う地盤の液状化対策への関心が高まっている。有効な液状化対策工法として、多重管注入工法や浸透固化処理工法等の薬液注入工法が挙げられるが、当該用途においても水ガラス系の地盤改良剤が使用されている。
しかし、特許文献1及び2に記載された水ガラス系注入剤は、硫酸又はリン酸といった酸成分を含む場合が一般的であり、薬液のpHは酸性を示す。このため、地盤に注入した後に固化したゲル物が、地中にあるコンクリート製の杭等を劣化させるという問題があった。また、ゲルが脆く、大地震等による激しい振動または大きな変形により破損しやすいとの指摘がなされていた。さらに、経年によりゲル物の体積減少が見られるため、耐久性にも課題を有するものであった。
特許文献3には、(メタ)アクリル酸塩とポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを有効成分とする地盤安定用薬液が開示されている。また、特許文献4には、アクリル酸多価金属塩及び親水基を有するアゾ化合物の水溶液からなる地盤改良剤が開示されている。特許文献5には、(メタ)アクリル酸の一価又は二価の金属塩、三価金属塩、酸化剤、還元力の異なる二種以上の還元剤及び水を含有する注入剤用組成物が開示されている。
また、特許文献4に記載された地盤改良剤は、1日以上という長いゲル化時間の達成を目的としたものである。一方、現在主流の工法では数時間程度でゲル化することが求められるようになっており、ゲル化時間の短縮が必要なものであった。
特許文献5に記載の注入剤用組成物は、中性であることから地中でコンクリートを劣化させる虞がなく、高い靱性を有するため地震等による変形にも耐え得るものであった。しかし、トンネル掘削用の地盤注入剤であるためそのゲル強度は非常に高く、高弾性(耐変形性)が求められる液状化防止用としての使用には適さないものであった。
一般にアクリル系地盤改良剤は耐久性にも優れるものであり、水ガラス系注入剤が有する課題を解決し得る材料であるものの、上記の通り、液状化防止用の薬剤として満足するものは未だ提案されていないのが実情であった。
〔1〕(メタ)アクリル酸金属塩(A)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)、酸化剤(C)、還元剤(D)及び水(E)を含有する液状化防止用地盤注入剤組成物であって、
前記注入剤組成物の全量に対する前記(メタ)アクリル酸金属塩(A)及び、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の総量が5〜16質量%であり、
前記還元剤(D)が、チオ硫酸塩化合物及び重亜硫酸塩化合物より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む液状化防止用地盤注入剤組成物。
〔2〕前記、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)が、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである前記〔1〕に記載の液状化防止用地盤注入剤組成物。
〔3〕(メタ)アクリル酸金属塩(A)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)、酸化剤(C)、還元剤(D)及び水(E)を含有する、液状化防止用地盤注入剤組成物を調製するためのキットであって、
前記注入剤組成物の全量に対する前記(メタ)アクリル酸金属塩(A)及び前記、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の総量が5〜16質量%であり、
前記還元剤(D)が、チオ硫酸塩化合物及び重亜硫酸塩化合物より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むキット。
〔4〕前記〔1〕又は〔2〕に記載の液状化防止用地盤注入剤組成物を用いた浸透固化処理工法による地盤改良工法。
(メタ)アクリル酸の金属塩(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸のリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;マグネシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられ、これらの1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、良好な強度と耐変形性を有するゲル物が得られる点で、金属塩の種類としてはナトリウム塩及びマグネシウム塩が好ましく、マグネシウム塩であることがより好ましい。
地盤注入剤組成物中の(メタ)アクリル酸金属塩(A)の割合としては、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、さらに好ましくは3〜5質量%である。(メタ)アクリル酸金属塩(A)の割合が1質量%以上であれば、得られるゲル物の強度が十分なものとなる。また、8質量%以下であれば、地盤への浸透性が良好なものとなる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)は、例えばポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸との反応から得ることができる。具体的には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック重合体のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明においては、良好な水溶性を示す観点からポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、中でもエチレンオキシド繰返し単位を4以上有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、エチレンオキシド繰返し単位を7以上有するものが更に好ましい。一方、エチレンオキシド繰返し単位が多すぎると結晶化等により取扱い難くなる傾向があるため、繰返し単位の上限は13程度である。
また、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが不純物としてのモノエステル化合物を若干含有することは許容される。
5質量%以下であれば、ゲルの靱性の点で好ましい。また、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの割合が増加すると、(メタ)アクリル酸金属塩(A)及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の水への溶解度の関係で、(メタ)アクリル酸金属塩(A)の配合割合を低下させる必要性が生じてしまう結果、硬化性やゲル物の強度が低下する場合がある。
本発明の液状化防止用地盤注入組成物では、薬液を地盤に注入した後、ゲルが形成されるまでのゲル化時間を適度な期間とすることができる点から、重合開始剤としては、レドックス(酸化還元)系重合開始剤が用いられる。以下に、レドックス系重合開始剤として使用される酸化剤及び還元剤について説明する。
酸化剤(C)としては、特段の制限はなく、公知の酸化剤を使用することができる。具体的には、過炭酸ソーダ、過ホウ酸ソーダ、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム及び過酸化水素等の過酸化物、並びに過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩化合物が挙げられ、これらの内の1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、離しょう水を少なくすることができる点から過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩化合物が好ましい。
本発明では、還元剤(D)として、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸カリウム等のチオ硫酸塩化合物、並びに、重亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩化合物より選ばれる少なくとも1種が用いられる。上記の中でも、ゲル化時間の調整が容易な点からチオ硫酸塩化合物が好ましい。
還元剤(D)は、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の公知の還元剤を使用することができる。具体的には、次亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(ロンガリット)、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、第一鉄塩、チオ尿素、硫酸銅、並びに、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ジメチルアミノプロピオニトリル、ジメチルアミノプロパノール、ピペラジン及びモルホリン等のアミン類等が挙げられる。これらの還元剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
好ましい酸化剤(C)と還元剤(D)の組み合わせは、上記の通り過硫酸塩化合物及びチオ硫酸塩化合物を組み合わせて用いるのが適度なゲル化時間を得ることができる点で好ましい。
酸化剤(C)の使用量は、(メタ)アクリル酸金属塩(A)に対して3〜30質量%の割合で使用するのが好ましく、5〜20質量%の割合で使用するのがより好ましい。また、還元剤(D)の使用量は、(メタ)アクリル酸金属塩(A)に対して3〜30質量%の割合で使用するのが好ましく、5〜20質量%の割合で使用するのがより好ましい。
本発明の液状化防止用地盤注入剤組成物は、(メタ)アクリル酸金属塩(A)、(ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)、酸化剤(C)、還元剤(D)及び水(E)を含有する。
本発明の液状化防止用地盤注入剤組成物では、(メタ)アクリル酸金属塩(A)、及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の総量は、液状化防止用地盤注入剤組成物の全量に対し、5〜16質量%の範囲であり、好ましくは8〜12質量%の範囲である。(メタ)アクリル酸金属塩(A)、及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の総量が5質量%未満の場合、得られるゲル物の強度が不十分であったり、ゲル化反応が遅くゲル物が得られない場合がある。一方、16質量%を超えると地盤への浸透性が低下するために好ましくない。
本発明では、(メタ)アクリル酸金属塩(A)、及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の総量が上記を満たす範囲内であれば、地盤への浸透速度やゲル化時間等を調整する目的で必要に応じて水(E)を添加してもよい。
また、液状化防止用地盤注入剤組成物の粘度は、地盤への浸透性を確保できる点から低粘度であることが好ましい。具体的な粘度の値としては、10mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以下であることがより好ましい。
アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸、無水イタコン酸及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体並びにその塩または無水物;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート硫酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシアルキルホスホン酸及びこれらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
また、得られる砂ゲルは、地震等により応力が掛かった場合でも容易に破壊されることなく、ゲルの形状を維持するような弾性的な性質を有するものであることが好ましい。
以下に、構成成分を2液(A液及びB液)に分けて保管し、これらから液状化防止用地盤注入剤組成物を調製する際の具体的な態様を例示する。
(i)A液として(メタ)アクリル酸金属塩(A)及び酸化剤(C)を含有する水溶液を調製し、B液としてポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)及び還元剤(D)を含有する水溶液を調製する。A液及びB液を使用直前に混合するか、又は別々に注入して注入管内で混合する。
(ii)A液として(メタ)アクリル酸金属塩(A)及び還元剤(D)を含有する水溶液を調製し、B液としてポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)及び酸化剤(C)を含有する水溶液を調製する。A液及びB液を使用直前に混合するか、又は別々に注入して注入管内で混合する。
(iii)A液として(メタ)アクリル酸金属塩(A)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)及び酸化剤(C)を含有する水溶液を調製し、B液として還元剤(D)を含有する水溶液を調製する。A液及びB液を使用直前に混合するか、又は別々に注入して注入管内で混合する。
(iv)A液として(メタ)アクリル酸金属塩(A)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)及び還元剤(D)を含有する水溶液を調製し、B液として酸化剤(C)を含有する水溶液を調製する。A液及びB液を使用直前に混合するか、又は別々に注入して注入管内で混合する。
上記以外にも、(メタ)アクリル酸金属塩(A)及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の少なくとも一方が、A液及びB液の両方に含まれていてもよい。上記の内でも、組成物調製時にA液及びB液の使用量を制御し易い点で、(i)又は(ii)の態様が好ましい。
本発明の液状化防止用地盤注入剤組成物を公知の地盤改良工法に用いることにより、地盤改良に適用が可能である。具体的な工法としては、浸透固化処理工法、ジェットグラウト工法等が挙げられるが、中でも浸透固化処理工法に好適である。
浸透固化処理工法は、注入剤を砂地盤に浸透注入し、砂地盤の間隙に存在する水を注入剤に置換した後、注入剤がゲル化することにより砂地をバインディングすると共に液状化を防止する地盤改良工法である。比較的小規模な装置を用いて注入管から必要な箇所に薬液を注入し、浸透固化させる工法であり、タンクや橋脚等の移動困難な既設構造物の直下の地盤の液状化対策に有効な地盤改良工法である。本発明の液状化防止用地盤注入剤組成物は、地盤への浸透性に優れ、適度なゲル化時間を有することから、浸透固化処理工法に適用した場合に優れた性能を発揮することができる。
<実験例1>
A液として35%アクリル酸マグネシウム水溶液((メタ)アクリル酸金属塩(A))15.0g、エチレンオキシド単位の平均繰返し数が9であるポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、商品名「アロニックス(登録商標)M−245」)0.9g、チオ硫酸ナトリウム0.2gを秤量し、これに水を加えて総量50gの水溶液を調製した。B液として過硫酸アンモニウム0.2gを秤量し、これに水を加えて総量50gの水溶液を調製した。
A液及びB液を混合し、撹拌したところ、およそ180分後に液の流動性が失われたことが確認できたため、この時間をゲル化時間とした。尚、混合した際の液温は20℃であった。
還元剤を表1に記載の通りに変更した以外は実験例1と同様の操作を行い、ゲル化時間を評価した。評価結果を表1に示す。
A液として35%アクリル酸マグネシウム水溶液74.3g、チオ硫酸ナトリウム0.4gを秤量し、これに水を加えて総量100gの水溶液を調製した。B液としてアロニックス(登録商標)M−245(ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B))6g、過硫酸アンモニウム0.4gを秤量し、これに水を加えて総量100gの水溶液を調製した。
A液及びB液を混合することにより地盤注入剤組成物(A−1)を調製した。20℃における組成物のpHは7であり、同じく20℃におけるB型粘度(6rpm)は6mPa・sであった。尚、地盤注入剤組成物(A−1)中のアクリル酸マグネシウムの濃度は13質量%であり、アロニックス(登録商標)M−245の濃度は3質量%である。よって、(メタ)アクリル酸金属塩(A)、及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の総量は、液状化防止用地盤注入剤組成物の全量に対して16質量%に相当する。
得られた地盤注入剤組成物(A−1)の地盤への浸透性について、以下に記載する方法により評価した。また、JGS0831−2009(薬液注入による安定処理土の供試体作製方法)に準拠し、23℃で1時間反応させることにより砂ゲルを作製し、以下に記載する方法に依り圧縮強度、破断ひずみ、耐液状化、耐久性の評価を行った。各評価結果について表2に示す。
7号硅砂を用いて20リットルの水飽和砂地盤を作製し、鋼製のペール缶に収容した。水飽和砂地盤の相対密度は60%であった。水飽和砂地盤の中央に先端が配置されるように注入用チューブを設置し、地盤注入剤組成物(A−1)880gを注入器により注入した。23℃で1時間反応させることにより組成物(A−1)がゲル化し、砂ゲルが得られた。得られた砂ゲルの形状を確認し、以下の基準に基づいて浸透性を評価した。
○:注入用チューブの先端を中心にした球状の砂ゲルが得られた
△:非球状の砂ゲルが得られた
×:注入剤組成物が地盤に浸透せず砂地盤の上面から噴出した
得られた砂ゲルの圧縮強度及び破断ひずみについて、JIS A1216(土の一軸圧縮試験方法)に準拠して測定した。
砂ゲル形成後の水飽和砂地盤について、JGS 0541(土の繰返し非排水三軸試験方法)に準拠して液状化試験を行った。以下の基準に基づいて耐液状化の評価を行った。
○:圧縮ひずみ5%以下および過剰間隙水圧比0.95以下
×:圧縮ひずみ5%以上および過剰間隙水圧比0.95以上
水飽和砂地盤に得られた砂ゲルを常温水中下で1年間放置した。砂ゲル形成直後と1年後の砂ゲルの体積を測定し、以下の式に基づいて体積保持率を算出した。
体積保持率(%)=[(形成直後の砂ゲルの体積)/(1年後の砂ゲルの体積)]
×100
地盤注入剤組成物における(メタ)アクリル酸金属塩(A)及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)について、地盤注入剤組成物における濃度が表2に示す通りとなるように使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、地盤注入剤組成物を調製した。
得られた地盤注入剤を用いて実施例1と同様の操作により砂ゲルを形成し、得られた砂ゲル又は水飽和砂地盤について同様に評価した。評価結果を表2に示す。
地盤注入剤組成物として、活性シリカ、酸成分、水ガラスからなる市販の地盤注入用固結材を使用した。これらに水を加えてシリカ(SiO2)濃度が4%である地盤注入剤組成物(C−3)を調製した。20℃における組成物のpHは1であり、同じく20℃におけるB型粘度(6rpm)は4mPa・sであった。
得られた地盤注入剤(C−3)を用いて実施例1と同様の操作により砂ゲルを形成し、得られた砂ゲル又は水飽和砂地盤について同様に評価した。評価結果を表2に示す。
シリカ(SiO2)濃度を8%とした以外は比較例3と同様の操作を行い、地盤注入剤組成物(C−4)を調製した。20℃における組成物のpHは1であり、同じく20℃におけるB型粘度(6rpm)は5mPa・sであった。
得られた地盤注入剤(C−4)を用いて実施例1と同様の操作により砂ゲルを形成し、得られた砂ゲル又は水飽和砂地盤について同様に評価した。評価結果を表2に示す。
M−243:エチレンオキシド単位の平均繰返し数が7であるポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、商品名「アロニックス(登録商標)M−243」)
M−245:エチレンオキシド単位の平均繰返し数が9であるポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、商品名「アロニックス(登録商標)M−245」)
その他、耐液状化及び耐久性にも優れる結果が得られた。
比較例2は、地盤注入剤組成物中の(メタ)アクリル酸金属塩及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの総量が4質量%と低いため、砂ゲルの形成を確認することができなかった。
比較例3及び4は、水ガラス系地盤注入剤であるが、液のpHは1であり強酸性であった。また、得られた砂ゲルの破断ひずみは2〜3%と低く、脆いゲルであった。また、耐久性試験では、1年後の砂ゲルには体積減少が認められた。
Claims (4)
- (メタ)アクリル酸金属塩(A)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)、酸化剤(C)、還元剤(D)及び水(E)を含有する液状化防止用地盤注入剤組成物であって、
前記液状化防止用地盤注入剤組成物の全量に対する前記(メタ)アクリル酸金属塩(A)及び前記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の総量が5〜16質量%であり、
前記還元剤(D)が、チオ硫酸塩化合物及び重亜硫酸塩化合物より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む液状化防止用地盤注入剤組成物。 - 前記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)が、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである請求項1に記載の液状化防止用地盤注入剤組成物。
- (メタ)アクリル酸金属塩(A)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)、酸化剤(C)、還元剤(D)及び水(E)を含有する、液状化防止用地盤注入剤組成物を調製するためのキットであって、
前記液状化防止用地盤注入剤組成物の全量に対する前記(メタ)アクリル酸金属塩(A)及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(B)の総量が5〜16質量%であり、
前記還元剤(D)が、チオ硫酸塩化合物及び重亜硫酸塩化合物より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むキット。 - 請求項1又は2に記載の液状化防止用地盤注入剤組成物を用いた浸透固化処理工法による地盤改良工法。
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