JP6412969B2 - 光導波路素子 - Google Patents
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Description
この発明は、光変調器として利用可能な光導波路素子に関する。
近年、光配線層として機能する光導波路が形成されたSOI(Silicon On Insulator)基板に、GaAs又はInP等の化合物半導体素子をハイブリット集積し、光トランシーバ等の光デバイスを構成する技術が注目されている。このような光デバイスでは、光源である半導体レーザからの出力光を、用途に応じて変調する光変調器が必要とされる。
SOI基板に作り込まれる光変調器としては、マッハツェンダ型の変調器(非特許文献1)、フォトニック結晶を利用したpn変調器(非特許文献2)又はグレーティングを利用したpn変調器(非特許文献3)等がある。
Opt. Express No.15, P.17106−17113 (2007)
IEEE J. Sel. Topics. Quantum. Electron. No.19, P.3400811 (2013)
Opt. Express No.24, P.2413−2419(2016)
しかしながら、マッハツェンダ型の変調器は、構造中にマルチモード干渉(MMI:Multi Mode Interference)カプラ又はY字状の分岐(Y分岐)等の、光を合分波する合分波部を含む。この合分波部における分岐比にずれが生じた場合や、分岐後の一方の光と他方の光の損失に差が生じた場合において、変調された光の消光比が劣化する。
また、フォトニック結晶又はグレーティングは微細な構造であるため、これらを利用するpn変調器は、製造の容易さという観点で不利である。
そこで、この発明の目的は、光変調器として利用可能な光導波路素子であって、カプラ又はY分岐等の合分波部を含まず、かつ製造の容易な光導波路素子を提供することにある。
上述した目的を達成するために、この発明による光導波路素子は、入力部、マルチモード干渉部、スラブ導波路部及び出力部を含む光導波路コアと、光導波路コアを包含するクラッドと、電極とを備えている。入力部、マルチモード干渉部及び出力部は、光伝播方向に沿ってこの順に直列に、かつ中心線を一致させて接続されている。マルチモード干渉部は、少なくともp次モード(pは0又は偶数)及びq次モード(qはpよりも大きな偶数)の光を伝播させ、入力部から出力部へ向かう方向に対して右側の領域にp型不純物が導入されたp型領域又はn型不純物が導入されたn型領域の一方が形成され、入力部から出力部へ向かう方向に対して左側の領域にp型領域又はn型領域の他方が形成され、p型領域とn型領域との境界においてpn接合が形成されており、かつp次モードの光とq次モードの光とを干渉させる。スラブ導波路部は、マルチモード干渉部よりも小さい厚さで、かつマルチモード干渉部の光伝播方向に沿った両側面に、それぞれマルチモード干渉部と一体的に形成されている。電極は、クラッドの上面からスラブ導波路部の上面まで、クラッドを貫通して形成されている。
この発明の光導波路素子は、MMI部においてp次モードの光とq次モードの光との干渉が生じる。そして、例えば電極を用いてMMI部に電圧を印加することによって、MMI部の屈折率を変化させることができる。その結果、この発明の光導波路素子は、出力部からの出力光の波長を変化させることができ、光変調器として機能させることができる。
そして、この発明の光導波路素子は、構造中に合分波部を含まないため、合分波部における分岐比のずれや分岐による光損失に起因する消光比の劣化という問題が生じない。また、この発明の光導波路素子は、フォトニック結晶又はグレーティングといった微細な構造を含まないため、製造の容易さという観点で有利である。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
(第1の光導波路素子)
図1を参照して、この発明の第1の実施の形態による光導波路素子(以下、第1の光導波路素子とも称する)について説明する。図1(A)は、第1の光導波路素子を示す概略平面図である。なお、図1(A)では、後述する支持基板及びクラッドを省略して示してある。図1(B)は、図1(A)に示す構造体をI−I線で切り取った概略的端面図である。
図1を参照して、この発明の第1の実施の形態による光導波路素子(以下、第1の光導波路素子とも称する)について説明する。図1(A)は、第1の光導波路素子を示す概略平面図である。なお、図1(A)では、後述する支持基板及びクラッドを省略して示してある。図1(B)は、図1(A)に示す構造体をI−I線で切り取った概略的端面図である。
なお、以下の説明では、各構成要素について、光伝播方向に沿った方向を長さ方向とする。また、支持基板の厚さに沿った方向を厚さ方向とする。また、長さ方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。
第1の光導波路素子100は、支持基板10、クラッド20、光導波路コア30並びに電極41及び43を備えて構成されている。
支持基板10は、例えば単結晶Siを材料とした平板状体で構成されている。
クラッド20は、支持基板10上に、支持基板10の上面を被覆し、かつ光導波路コア30を包含して形成されている。クラッド20は、例えばSiO2を材料として形成されている。
光導波路コア30は、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。その結果、光導波路コア30は、実質的な光の伝送路として機能し、入力された光が光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。また、光導波路コア30は、伝播する光が支持基板10へ逃げるのを防止するために、支持基板10から例えば少なくとも3μm以上離間して形成されているのが好ましい。
また、光導波路コア30は、入力部31、マルチモード干渉(MMI:Multi Mode Interference)部33、第1スラブ導波路部37及び第2スラブ導波路部39、並びに出力部35を含んで構成されている。入力部31、MMI部33及び出力部35は、光伝播方向に沿ってこの順に直列に接続されている。
MMI部33は、一端33aから他端33bまで一定の幅のマルチモード光導波路として構成されている。MMI部33は、少なくともp次モード(pは0又は偶数)及びq次モード(qはpよりも大きな偶数)の光を伝播させる幅で形成されている。ここでは、MMI部33が、2次モードまでの光を伝播させる幅で形成された場合について説明する。従って、MMI部33では、少なくとも基本モード(0次モード)及び2次モードの光が伝播する。
また、MMI部33の長さは、p次モードの光とq次モードの光と(ここでは、基本モードの光と2次モードの光と)を干渉させる干渉条件、及び当該光導波路素子によって取り出す波長に応じて決定される。なお、MMI部33の長さに関する設計条件の詳細は後述する。
また、MMI部33は、リブ型導波路として形成されている。そして、MMI部33の長さ方向に沿った両側面には、それぞれMMI部33と一体的に形成されたスラブ導波路部(第1スラブ導波路部37及び第2スラブ導波路部39)が設けられている。すなわち、第1スラブ導波路部37及び第2スラブ導波路部39は、MMI部33を挟み込んで設けられている。
第1スラブ導波路部37及び第2スラブ導波路部39は、MMI部33よりも小さい厚さで形成されている。
また、MMI部33は、p型不純物が導入されたp型領域51、及びn型不純物が導入されたn型領域53を含んでいる。p型不純物としては、例えばホウ素(B)又はアルミニウム(Al)等を用いることができる。また、n型不純物としては、例えばリン(P)又はヒ素(As)等を用いることができる。
MMI部33の、入力部31から出力部35へ向かう方向に対して右側の領域には、p型領域51又はn型領域53の一方が形成されている。また、MMI部33の、入力部から出力部へ向かう方向に対して左側の領域には、p型領域51又はn型領域53の他方が形成されている。従って、p型領域51及びn型領域53は、幅方向に沿って隣接して形成されている。そして、MMI部33の長さ方向(すなわち光の伝播方向)に沿って、p型領域51とn型領域53との境界50が存在する。この境界50において、光の伝播方向に沿ったpn接合が形成されている。図1(A)及び(B)に示す構成例では、入力部31から出力部35へ向かう方向に対して、境界50の左側にp型領域51が、また、右側にn型領域53が形成されている。
なお、p型不純物及びn型不純物は、MMI部33と一体的に形成されている第1スラブ導波路部37及び第2スラブ導波路部39にまで渡って導入されている。従って、MMI部33のp型領域51側の側面に形成されたスラブ導波路部(ここでは第1スラブ導波路部37)には、p型不純物が導入されている。また、MMI部33のn型領域53側の側面に形成されたスラブ導波路部(ここでは第2スラブ導波路部39)には、n型不純物が導入されている。
入力部31及び出力部35は、MMI部33の幅方向に沿った両端面33a及び33b側から、MMI部33を挟んで互いに対向する位置に配設さている。また、入力部31、MMI部33及び出力部35は、長さ方向に沿った中心線Cが一致するように配置されている。また、入力部31、MMI部33及び出力部35は共通の厚さで形成されている。
入力部31の一端31aは、当該光導波路素子100における、光の入力端として使用される。また、入力部31は、他端31bでMMI部33と接続される。入力部31は、シングルモード条件を達成する幅で形成される。なお、図1(A)に示す構成例では、入力部31は、一端31aから他端31bまで連続的に幅が拡大するテーパ形状で形成されている。また、逆バイアス駆動の場合、キャリアプラズマ効果による屈折率変化は電子よりもホールの方が大きいため、アクセプタ濃度よりもドナー濃度を大きくすることが多い。これにより、バイアス印加によって空乏層はp側に広がる。したがって、pn接合の境界50はアクセプタおよびドナー濃度に応じてMMI部33の中心線Cよりn側にずらして形成すると印加電圧の変化で生じた空乏層の変化がMMI部33の中心付近で起こるため、MMI部33を伝播する光の電界との重なりが大きくなり効率が良くなる。
出力部35は、一端35aでMMI部33と接続される。また、出力部35の他端35bは、当該光導波路素子100における、光の出力端として使用される。出力部35は、シングルモード条件を達成する幅で形成される。なお、図1(A)に示す構成例では、出力部35は、一端35aから他端35bまで連続的に幅が縮小するテーパ形状で形成されている。
電極41は、第1スラブ導波路部37と接続されている。電極41は、クラッド20の上面から第1スラブ導波路部37の上面まで、クラッド20を貫通して形成されている。また、電極43は、第2スラブ導波路部39と接続されている。電極43は、クラッド20の上面から第2スラブ導波路部39の上面まで、クラッド20を貫通して形成されている。電極41及び43は、例えばアルミニウム(Al)を材料として形成されている。
第1の光導波路素子100では、基本モードの光が一端31aから入力部31に入力され、MMI部33に送られる。MMI部33では、入力された光の基本モード及び2次モードが励振される。基本モードの光及び2次モードの光は、モード間干渉しつつMMI部33を伝播する。そして、MMI部33の長さに応じた波長の光が出力部35から出力される。
そして、第1の光導波路素子100では、電極41及び43を用いて、第1スラブ導波路部37及び第2スラブ導波路部39間に挟まれたMMI部33に電圧を印加することができる。MMI部33に電圧を印加すると、キャリアプラズマ効果によって、MMI部33の屈折率を変化させることができる。その結果、ビート長が変化し、MMI部33における干渉条件が変化するため、出力部35からの出力光の波長を変化させることができ、従って、第1の光導波路素子100を、光変調器として機能させることができる。
第1の光導波路素子100は、構造中に合分波部を含まないため、合分波部における分岐比のずれや分岐による光損失に起因する消光比の劣化という問題が生じない。また、第1の光導波路素子100は、フォトニック結晶又はグレーティングといった微細な構造を含まないため、製造の容易さという観点で有利である。
(マルチモード干渉部の設計)
MMI部33の設計について説明する。まず、MMI部33の長さの設計に当たり基準となる、基本モード及び1次モードのビート長Lπは、下式(1)で表される。なお、基本モードの伝播定数をβ0、1次モードの伝播定数をβ1、波長をλ、基本モードの等価屈折率をn0、及び1次モードの等価屈折率をn1とする。
MMI部33の設計について説明する。まず、MMI部33の長さの設計に当たり基準となる、基本モード及び1次モードのビート長Lπは、下式(1)で表される。なお、基本モードの伝播定数をβ0、1次モードの伝播定数をβ1、波長をλ、基本モードの等価屈折率をn0、及び1次モードの等価屈折率をn1とする。
Lπ=π/(β0−β1)=λ/2(n0−n1) ・・・(1)
また、周知のMMIの理論計算から、1入力N出力(N:1以上の整数)のMMI(1×N MMI)における入射位置や結合位置等の関係は、表1のようになる(例えばJ.Lightw. Technol. 13,615−627(1995)参照)。
また、周知のMMIの理論計算から、1入力N出力(N:1以上の整数)のMMI(1×N MMI)における入射位置や結合位置等の関係は、表1のようになる(例えばJ.Lightw. Technol. 13,615−627(1995)参照)。
ここでは、一例として、MMI部33の厚さを200nm、MMI部33の幅を2.1μm、第1スラブ導波路部及び第2スラブ導波路部37及び39の厚さを90nmとする場合について、MMI部33の長さを設計する。なお、入力光として、波長1.55μmのTE偏波を想定する。また、第1の光導波路素子100におけるMMI部33は、1つの入力部31から光が入力され1つの出力部35から光が出力される、1入力1出力のMMI部(1×1MMI部)である。従って、表1より、偶数次モード(基本モードを含む)の光のみが励振される。そして、この条件におけるMMI部33の幅では、2次モードまでの光が伝播する幅として設定されている。そのため、ここでは、MMI部33において、基本モードの光と2次モードの光とが干渉する。
まず、ビート長Lπを求めるに当たり、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いたモード解析により、波長と等価屈折率との関係を確認した。この結果を図2に示す。図2は、MMI部33における波長と等価屈折率との関係を示す図である。図2では、縦軸に等価屈折率を任意単位で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。図2において、曲線121は基本モードのTE偏波の等価屈折率を、曲線123は1次モードのTE偏波の等価屈折率を、曲線125は2次モードのTE偏波の等価屈折率を、それぞれ示している。図2の結果及び上式(1)より、ビート長Lπが約11.8μmであることを算出した。
第1の光導波路素子100におけるMMI部33は、1×1MMI部である。従って、表1及び算出したビート長を用いて、MMI部33に入力された光が最初に単一像を結像する位置までの、一端33aからの長さ(基本長:3Lπ/4)は約8.8μmとなる。そこで、MMI部33の長さを基本長のM(M:1以上の整数)倍とする。
MMI部33の長さを基本長とする(すなわちMを1とする)ことによって、基本モードの光と2次モードの光とが、MMI部33の他端33bにおいて干渉する。従って、基本モードの光と2次モードの光とが干渉した出力光を低損失で出力することができる。
また、Mを2以上とする場合には、MMI部33における基本モードの光と2次モードの光との干渉がM回繰り返される。そして、M回目の干渉がMMI部33の他端33bにおいて生じる。従って、この場合にも、MMI部33の長さを基本長とする場合と同様に、基本モードの光と2次モードの光とが干渉した出力光を低損失で出力することができる。
次に、ビーム伝播法(BPM:Beam Propagation Method)及び時間領域有限差分(FDTD:Finite−Differrence Time−Domain)法を用いて、MMI部33の長さと出力波長との関係を確認した。ここでは、MMI部33の長さを基本長3Lπ/4に近似の9μmとした場合、及びMMI部33の長さを基本長の約10倍である90μmとした場合において、出力波長に関するシミュレーションを行った。
図3(A)に、MMI部33の長さを9μmとした場合の結果を示す。図3(A)は、波長と光強度との関係を示す図である。図3(A)では、縦軸に光強度をdB目盛で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。図3(A)において、曲線131は、FDTD法によるシミュレーション結果であって、入力部31に入力される光の強度を示している。また、曲線133は、FDTD法によるシミュレーション結果であって、MMI部33を伝播し出力部35から出力される光の強度を示している。また、曲線135は、BPMによるシミュレーション結果であって、MMI部33を伝播し出力部35から出力される光の強度を示している。
図3(A)に示すように、MMI部33の長さを基本長とした場合には、MMIに対する出力光の波長依存性が小さく、広い波長帯の光が出力される。
また、図3(B)に、BPMによって解析した、MMI部33の長さを9μmとした場合の、第1の光導波路素子100を伝播する光の電界分布を示す。図3(B)は、第1の光導波路素子100の厚さ方向に直交する平面に沿った電界分布を示しており、縦軸に幾何学的な長さをμm単位で、また、横軸に幾何学的な幅をμm単位でとって示してある。
図3(B)に示すように、MMI部33の長さを基本長とした場合には、MMI部33を伝播する光が1回干渉する様子が確認できる。
図4(A)に、MMI部33の長さを90μmとした場合の結果を示す。図4(A)は、波長と光強度との関係を示す図である。図4(A)では、縦軸に光強度をdB目盛で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。図4(A)において、曲線141は、FDTD法によるシミュレーション結果であって、入力部31に入力される光の強度を示している。また、曲線143は、FDTD法によるシミュレーション結果であって、MMI部33を伝播し出力部35から出力される光の強度を示している。また、曲線145は、BPMによるシミュレーション結果であって、MMI部33を伝播し出力部35から出力される光の強度を示している。
図4(A)に示すように、MMI部33の長さを基本長の整数倍(ここでは約10倍)とした場合には、一定の波長間隔で複数のピークを有する出力光が出力される。
また、図4(B)に、BPMによって解析した、MMI部33の長さを基本長の約10倍とした場合の、第1の光導波路素子100を伝播する光の電界分布を示す。図4(B)は、第1の光導波路素子100の厚さ方向に直交する平面に沿った電界分布を示しており、縦軸に幾何学的な長さをμm単位で、また、横軸に幾何学的な幅をμm単位でとって示してある。
図4(B)に示すように、MMI部33の長さを基本長の約10倍とした場合には、MMI部33を伝播する光が10回干渉する様子が確認できる。
ここで、出力光の波長間隔ΔλとMMI部33の長さLcとの関係は、波長をλ、基本モードの等価屈折率をn0、及び2次モードの等価屈折率をn2として、下式(2)で表される。
Δλ=λ2/{Lc(n2−n0)} ・・・(2)
従って、MMI部33の長さLcを長くするほど、波長間隔Δλが狭くなる。
従って、MMI部33の長さLcを長くするほど、波長間隔Δλが狭くなる。
発明者は、上式(2)を用いて、MMI部33の長さと出力光の波長間隔の関係を確認した。図5に、MMI部33の長さと出力光の波長間隔を示す。図5では、縦軸に出力光の波長間隔をμm単位で、また、横軸にMMI部33の長さをμm単位でとって示してある。
図5に示す直線157は、上式(2)を用いて算出したMMI部33の長さと出力光の波長間隔を示す直線である。また、図5に示す点151は、図3(A)に係るシミュレーションで算出した波長間隔をプロットした点であり、点153は、図4(A)に係るシミュレーションで算出した波長間隔をプロットした点である。また、点155は、図3(A)及び図4(A)と同様のシミュレーションにおいて、MMI部33の長さを350μmとした場合の波長間隔をプロットした点である。このように、上式(2)により算出したMMI部33の長さと出力光の波長間隔との関係は、BPM及びFDTD法によるシミュレーションと一致することが確認された。
そして、MMI部33の長さを基本長のM倍(M:1以上の整数)に設定することで、MMI部33の長さに応じた波長の出力光を出力させることができる。従って、第1の光導波路素子100は、波長フィルタとして機能させることができる。
さらに、発明者は、光変調器としての観点から、MMI部33の長さの最適値を算出した。
ここでは、上述した図3〜図5に係るシミュレーションの構成例と同様に、MMI部33の厚さを200nm、MMI部33の幅を2.1μm、第1スラブ導波路部及び第2スラブ導波路部37及び39の厚さを90nmとする構成例を想定した。p型領域51に導入するp型不純物としてホウ素、及びn型領域53に導入するn型不純物としてリンを用い、ともに濃度を1.0E17cm−3とした。なお、入力光として、波長1.55μmのTE偏波を想定した。
印加する電圧が0VからxVへ変化した場合の、MMI部33のビート長の変化ΔLπは、下式(3)で表される。なお、xVのときのビート長をLπ(x)、0Vのときのビート長をLπ(0)、波長をλ、0Vのときの基本モードと1次モードとの等価屈折率差をΔn0、xVのときの基本モードと1次モードとの等価屈折率差をΔnxとする。
ΔLπ=Lπ(x)−Lπ(0)=λ{(Δn0−Δnx)/(Δn0Δnx)}/2・・・(3)
印加電圧を6Vとした場合、FEMを用いたモード解析により、上式(3)からビート長の変化ΔLπは約7.6×10−3μmと算出される。
印加電圧を6Vとした場合、FEMを用いたモード解析により、上式(3)からビート長の変化ΔLπは約7.6×10−3μmと算出される。
MMI部33の長さを基本長のM倍(M:1以上の整数)に設定する場合には、ビート長の変化量ΔLπもM倍となる。
ここで、BPMによる電界分布の解析結果(図3(B)参照)から、MMI部33の長さを基本長のM倍としたときのビート長の変化量(MΔLπ)が、基本長の1/2と等しいときに出力が最小となる。従って、下式(4)を満たすようにMを決定し、MMI部の長さを設定することによって、出力光の消光比が最大となる。
MΔLπ=(3Lπ/4)(1/2) ・・・(4)
そして、このシミュレーションにおける条件では、M=579のとき、すなわちMMI部33の長さが5115μmのとき、消光比が最大となる。
そして、このシミュレーションにおける条件では、M=579のとき、すなわちMMI部33の長さが5115μmのとき、消光比が最大となる。
この算出した値に基づき、発明者は、BPMを用いて、第1の光導波路素子100の光変調器としての特性を評価するシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、MMI部33に電圧を印加していない(すなわち電圧が0V)ときの出力光の波長及び強度と、MMI部33に6Vの電圧を印加したときの出力光の波長及び強度を比較した。なお、ここでは、MMI部33の長さを、5115μmの約1/5の1000μmとした。これは、MMI部33の長さが5115μmとした場合、BPMでは誤差の蓄積により発散してしまい、また、FDTD法では計算能力が足りなかったためである。
この結果を図6に示す。図6では、縦軸に光強度をdB目盛で、また、横軸に出力光の波長をμm単位でとって示してある。図6において、曲線161は、電圧を印加していない(すなわち電圧が0V)ときの光の強度を示している。また、曲線163は、6Vの電圧を印加したときの光の強度を示している。
図6に示すように、MMI部33に6Vの電圧を印加することによって、電圧を印加していない状態と比較して、出力波長が約1nmシフトすることが確認された。なお、ここでは、上述した理由からMMI部33の長さを1000μmとしたが、5115μmとすれば、より大きく波長をシフトできると考えられる。
(第2の光導波路素子)
図7を参照して、この発明の第2の実施の形態による光導波路素子(以下、第2の光導波路素子とも称する)について説明する。図7は、第2の光導波路素子を示す概略的平面図である。図7では、光導波路コアのみを示してあり、その他の構成を省略して示してある。なお、上述した第1の光導波路素子と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7を参照して、この発明の第2の実施の形態による光導波路素子(以下、第2の光導波路素子とも称する)について説明する。図7は、第2の光導波路素子を示す概略的平面図である。図7では、光導波路コアのみを示してあり、その他の構成を省略して示してある。なお、上述した第1の光導波路素子と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2の光導波路素子200では、p型領域51とn型領域53との境界55が櫛歯状である、インターリーブ構造のpn接合が形成されている。
MMI部33を伝播する光の等価屈折率の変化量は、伝播光の電界分布とMMI部33の屈折率分布とのオーバーラップ積分で表される。そして、この変化量を伝播距離で積分した値が、位相変化量に比例する。従って、p型領域51とn型領域53との境界を直線状としたpn接合と比べ、インターリーブ構造のpn接合では、より高効率に変調を行うことができる。
ここで、発明者は、FDTD法を用いて、第2の光導波路素子200の光変調器としての特性を評価するシミュレーションを行った。ここでは、MMI部33の厚さを200nm、MMI部33の幅を2.1μm、MMI部33の長さを346μm、第1スラブ導波路部及び第2スラブ導波路部37及び39の厚さを90nmとする構成例を想定した。p型領域51に導入するp型不純物としてホウ素、及びn型領域53に導入するn型不純物としてリンを用い、ともに濃度を1.0E17cm−3とした。なお、入力光として、波長1.55μmのTE偏波を想定した。そして、MMI部33に電圧を印加していない(すなわち電圧が0V)ときの出力光の波長及び光強度と、MMI部33に6Vの電圧を印加したときの出力光の波長及び光強度を比較した。
この結果を図8に示す。図8では、縦軸に光強度をdB目盛で、また、横軸に出力光の波長をμm単位でとって示してある。図8において、曲線181は、電圧を印加していない(すなわち電圧が0V)ときの光の強度を示している。また、曲線183は、6Vの電圧を印加したときの光の強度を示している。
図8に示すように、MMI部33に6Vの電圧を印加することによって、電圧を印加していない状態と比較して、出力波長がシフトすることが確認された。そして、図6に係るシミュレーションと比較すると、MMI部33の長さをより短く設定しても、波長の変化量をより大きくできることが確かめられた。
(製造方法)
上述した第1の光導波路素子100及び第2の光導波路素子200は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。以下、光導波路素子の製造方法について説明する。
上述した第1の光導波路素子100及び第2の光導波路素子200は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。以下、光導波路素子の製造方法について説明する。
すなわち、まず、支持基板層、SiO2層、及びSi層が順次積層されて構成されたSOI基板を用意する。
次に、例えばレジスト技術及びエッチング技術を用い、Si層をパターニングすることによって、光導波路コア30を形成する。光導波路コア30は、MMI部33と第1及び第2スラブ導波路部37及び39とを含むため、エッチング深さを変更して、2回のエッチングを行う必要がある。その結果、支持基板10としての支持基板層上にSiO2層が積層され、さらにSiO2層上に光導波路コア30が形成された構造体を得ることができる。
次に、例えばCVD法を用いて、SiO2層上に、SiO2を、光導波路コア30を被覆して形成する。その結果、SiO2のクラッド20によって光導波路コア30が包含される。
次に、例えばレジスト技術及びエッチング技術を用いて、電極の形成位置に、クラッド20を貫通するコンタクトホールを開口する。そして、例えばスパッタ法を用いて、コンタクトホール内に電極41及び43を形成する。その後、例えば劈開や端面研磨等を用いて、電極41及び43の端面出しを行うことによって、光導波路素子を製造することができる。
10:支持基板
20:クラッド
30:光導波路コア
31:入力部
33:マルチモード干渉部
35:出力部
37:第1スラブ導波路部
39:第2スラブ導波路部
41,43:電極
50,55:境界
51:p型領域
53:n型領域
100:第1の光導波路素子
200:第2の光導波路素子
20:クラッド
30:光導波路コア
31:入力部
33:マルチモード干渉部
35:出力部
37:第1スラブ導波路部
39:第2スラブ導波路部
41,43:電極
50,55:境界
51:p型領域
53:n型領域
100:第1の光導波路素子
200:第2の光導波路素子
Claims (4)
- 入力部、マルチモード干渉部、スラブ導波路部及び出力部を含む光導波路コアと、
前記光導波路コアを包含するクラッドと、
と、
電極と
を備え、
前記入力部、前記マルチモード干渉部及び前記出力部は、光伝播方向に沿ってこの順に直列に、かつ中心線を一致させて接続され、
前記マルチモード干渉部は、
少なくともp次モード(pは0又は偶数)及びq次モード(qはpよりも大きな偶数)の光を伝播させ、
前記入力部から前記出力部へ向かう方向に対して右側の領域に、p型不純物が導入されたp型領域又はn型不純物が導入されたn型領域の一方が形成され、前記入力部から前記出力部へ向かう方向に対して左側の領域に前記p型領域又は前記n型領域の他方が形成され、前記p型領域と前記n型領域との境界においてpn接合が形成されており、
かつp次モードの光とq次モードの光とを干渉させ、
前記スラブ導波路部は、前記マルチモード干渉部よりも小さい厚さで、かつ前記マルチモード干渉部の前記光伝播方向に沿った両側面に、それぞれ前記マルチモード干渉部と一体的に形成されており、
前記電極は、前記クラッドの上面から前記スラブ導波路部の上面まで、前記クラッドを貫通して形成されている
ことを特徴とする光導波路素子。 - 前記p型領域と前記n型領域との境界が、前記マルチモード干渉部の上面から見て櫛歯状である
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路素子。 - 前記マルチモード干渉部は、前記光伝播方向に沿った長さが、ビート長をLπとして3Lπ/4のM倍(Mは1以上の整数)である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路素子。 - 前記マルチモード干渉部に印加される電圧が0VからxV(xは0より大きい実数)へ変化した場合における、前記マルチモード干渉部の前記長さを3Lπ/4のM倍としたときのビート長の変化量が、3Lπ/4の1/2と等しくなるように、当該マルチモード干渉部が設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の光導波路素子。
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