JP2008065104A - マルチモード干渉光カプラ - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程において発生する寸法誤差に起因する動作特性に与える効果が小さく、かつ全長が短いとともに、出力光の蛇行を防止できる。
【解決手段】第1入出力光導波路部200及び第2入出力光導波路部250、第1マルチモード光導波路部210、第2マルチモード光導波路部220、第4マルチモード光導波路部230及び第3マルチモード光導波路部240を具える。第2マルチモード光導波路部は、幅が境界B2から境界B3に向かって連続的に広がっている。第3マルチモード光導波路部は、第1サブマルチモード光導波路242及び第2サブマルチモード光導波路244で以って構成される。これらは、幅が境界B3から境界B4に向かって連続的に狭まっている。第1入出力光導波路部は、第1サブ光導波路202及び第2サブ光導波路204で以って構成される。これらの中心軸は、第1マルチモード光導波路部の中心軸からずれた位置に設定される。
【選択図】図4
【解決手段】第1入出力光導波路部200及び第2入出力光導波路部250、第1マルチモード光導波路部210、第2マルチモード光導波路部220、第4マルチモード光導波路部230及び第3マルチモード光導波路部240を具える。第2マルチモード光導波路部は、幅が境界B2から境界B3に向かって連続的に広がっている。第3マルチモード光導波路部は、第1サブマルチモード光導波路242及び第2サブマルチモード光導波路244で以って構成される。これらは、幅が境界B3から境界B4に向かって連続的に狭まっている。第1入出力光導波路部は、第1サブ光導波路202及び第2サブ光導波路204で以って構成される。これらの中心軸は、第1マルチモード光導波路部の中心軸からずれた位置に設定される。
【選択図】図4
Description
この発明は、1つの入力光を2以上に分岐し、または2以上の入力光を1つに合波させる機能を有する光導波路カプラに関し、特に光導波路型のマッハツェンダ型光変調器に用いて好適なマルチモード干渉光カプラに関する。
平面光導波路を基本構成要素とする光素子は、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術等の微細加工技術を利用して製造される。これらの製造技術は、寸法誤差が光の波長以下の精度で、再現性よく一括して大量生産できるという優れた特長を持っているため、平面光導波路を基本構成要素とする光素子の製造に非常に適している。そして、光通信の進展に伴い、平面光導波路を基本構成要素とする光素子の需要が増している。
このような光素子として、例えば、光変調器があり、一部は現実の光通信システムに導入され始めている。光通信システムに導入される光変調器は、製造上の寸法誤差がその特性に及ぼす効果の小さいこと、及び波長依存性が小さく素子そのものの大きさが小型であるが望まれる。
光変調器としては、マッハツェンダ干渉計を応用して構成される、マッハツェンダ型光変調器が注目されている。以後の説明において、マッハツェンダ型光変調器といった場合には、特に断らない限り、平面光導波路を基本構成要素とするマッハツェンダ型光変調器を指すものとする。
マッハツェンダ型光変調器は、後述するように、その構成を工夫することで波長チャープ効果の少ない変調光を出力するという特性を持たせることができるために、光通信システムに利用して好適である。すなわち、波長チャープ効果が少ない光変調器を利用すれば、この光変調器に入力される信号光パルスを、その時間波形がほとんど変化されることなく、出力させることができる。
マッハツェンダ型光変調器は、その構成素材として光透過率の高い誘電体結晶が使われる。しかし最近では、半導体レーザとの集積化が容易である点で、化合物半導体をその構成素材とするマッハツェンダ型光変調器の研究が注目されている。
マッハツェンダ型光変調器の構成として次の第1及び第2の構成が知られている。図1(A)及び(B)を参照して、これら2通りの構成について説明する。図1(A)及び(B)のそれぞれは、第1の構成及び第2の構成のマッハツェンダ型光変調器の概略的な構成を示す模式図である。
図1(A)に示す第1の構成のマッハツェンダ型光変調器は、1つの入力光を2つの光に分岐するY分岐が入力側に設けられ、出力側には、2つの光を1つの光に合波するY分岐が設けられ、これら2つのY分岐の間を2本の光導波路で接続されて構成される。以後簡単のために、1つの入力光を2つの光に分岐するY分岐を1×2光カプラといい、2つの光を1つの光に合波するY分岐を2×1光カプラということもある。
図1(A)において、入力側に設けられるY分岐が1×2光カプラ10であり、出力側に設けられるY分岐が2×1光カプラ20である。図1(A)では、これらY分岐の位置を破線の四角で囲って示し、その具体的な構成については省略してある。また、2つのY分岐の間を接続する2本の光導波路は、シングルモード光導波路14及び16である。
入力光Piは、シングルモード光導波路12を伝播して1×2光カプラ10に入力される。1×2光カプラ10に入力された入力光Piは、シングルモード光導波路14を伝播する光と、シングルモード光導波路16を伝播する光とに分岐される。シングルモード光導波路14及び16を伝播した光は、再び2×1光カプラ20に入力されて合波される。合波された光はシングルモード光導波路26を伝播して、マッハツェンダ型光変調器の出力光Poとして出力される。
2つのY分岐10及び20の間を接続するシングルモード光導波路14及び16には、それぞれ金属膜電極18及び22が設けられている。金属膜電極18及び22に対して、図1(A)に示すように、それぞれ電圧を印加するための電極パッド24及び25が設けられている。マッハツェンダ型光変調器が形成されている基板とこれらの電極パッド24及び25との間に電圧を印加することによってシングルモード光導波路14及び16の等価屈折率をそれぞれ変化させることができる。シングルモード光導波路14及び16の等価屈折率を変化させることで、これらの光導波路を伝播する光の位相を変調することができる。これによってシングルモード光導波路14及び16を伝播した光同士が2×1光カプラ20に入力されて干渉する際、両者の光の位相差を変調することができる。2×1光カプラ20において両者の光は干渉し、位相差が変調されることによって、光強度が強められたり弱められたりする。この干渉効果を利用して光変調を実現する(特許文献1〜3参照)。
図1(B)に示す第2の構成のマッハツェンダ型光変調器は、2入力2出力の光カプラが入力側と出力側とに設けられて、入力側に設けられた2入力2出力の光カプラの出力側の2本の出力ポ−トと、出力側に設けられた2入力2出力の光カプラの入力側の2本の入力ポ−トとが、2本の光導波路で接続されて構成される。以後簡単のために、2入力2出力の光カプラを2×2光カプラということもある。第2の構成のマッハツェンダ型光変調器も、2本の光導波路には電極が設けられて、電圧が印加されることによって光導波路の等価屈折率が変化させられる。このことと干渉効果とを利用して光変調を実現する。
図1(B)を参照して、第2の構成のマッハツェンダ型光変調器を説明する。図1(B)において、入力側に2×2光カプラ30が設けられ、出力側に2×2光カプラ40が設けられている。2つの2×2光カプラ30及び40の間は、2本のシングルモード光導波路36及び38によって接続されている。ここでも2×2光カプラ30及び40の具体的構造は省略して、両者の設定位置を破線の四角で囲って示してある。
入力光Piは、2×2光カプラ30の入力ポ−トであるシングルモード光導波路32あるいは34のいずれか一方に入力される。いずれに入力させるかは任意であり、光変調器が利用される状況に応じて適宜決定される事項である。ここでは、シングルモード光導波路32に入力されるものとする。シングルモード光導波路32から、2×2光カプラ30に入力された入力光Piは、シングルモード光導波路36を伝播する光と、シングルモード光導波路38を伝播する光とに分岐される。シングルモード光導波路36及び38を伝播した光は、再び2×2光カプラ40に入力されて合波される。合波された光はシングルモード光導波路46または48を伝播して、マッハツェンダ型光変調器の出力光Poとして出力される。
2つの2×2光カプラ30及び40の間を接続するシングルモード光導波路36及び38には、それぞれ金属膜電極42及び44が設けられている。金属膜電極42及び44に対して、図1(B)に示すように、それぞれ電圧を印加するための電極パッド50及び51が設けられている。マッハツェンダ型光変調器が形成されている基板とこれらの電極パッド50及び51との間に電圧を印加することによってシングルモード光導波路36及び38の等価屈折率をそれぞれ変化させることができる。このことと、シングルモード光導波路36及び38を伝播した光同士が2×2光カプラ40に入力されて干渉する効果を利用して光変調を実現する。
上述の第1と第2として示したマッハツェンダ型光変調器の構成の相違によって、次のような光変調器としての機能上の相違が発生する。すなわち、電極が設けられている光導波路に電圧を印加していない場合(電界無印加時)に、マッハツェンダ型光変調器から光が出力されるか、されないかの相違である。第2のマッハツェンダ型光変調器によれば、出力側に2つの出力ポ−トであるシングルモード光導波路46及び48があるので、出力ポ−トとしてどちらを選ぶかによって電界無印加時に変調器から光が出力しないようにすることができる。一方、第1の構成によれば、電界無印加時に変調器から光が出力される。
化合物半導体を構成素材として形成される平面光導波路に電場を印加すると、その等価屈折率が大きくなる。このことによって、上述の第2の構成のマッハツェンダ型光変調器のように、電場を印加した場合に出力光Poが出力される構成の光変調器においては、出力光の強度が強いと出力光の波長がブルーシフトする。逆に出力光の強度が弱いと出力光の波長がレッドシフトする。このような波長チャープ現象は、光通信において、伝送される光パルス信号のパルス幅を圧縮する効果を生じさせる。このため、光通信に第2の構成のマッハツェンダ型光変調器を利用することが好適であるといえる。
一方、上述の第1の構成のマッハツェンダ型光変調器のように、電場を印加した場合に出力光Poが出力されない構成の光変調器においては、第2の構成のマッハツェンダ型光変調器とは逆の波長チャープが生ずることとなる。そのため、伝送される光パルス信号のパルス幅を拡大させる効果が生じることとなり、光通信に利用するには不都合である。
もちろん、第1の構成のマッハツェンダ型光変調器においても、シングルモード光導波路14と16との長さの差を、光の位相差にしてπとなるように設定しておけば、第2の構成のマッハツェンダ型光変調器と同様に、伝送される光パルス信号のパルス幅を圧縮する効果を生じさせることも可能である。しかし、この場合には、シングルモード光導波路14又は16のどちらかの長さを長く設定しなければならず、素子を小型化することが困難となる。また、1×2光カプラ及び2×1光カプラは、その寸法精度及び入力位置が光強度の分岐比に大きく影響を与えるので、製造において、高い寸法精度を要求されることが、素子製造上の難点である。
以上説明したように、化合物半導体を構成素材として形成されるマッハツェンダ型光変調器を、光通信システムに利用する場合には、第2の構成のマッハツェンダ型光変調器を採用することが望ましいことが分かる。
第2の構成のマッハツェンダ型光変調器を構成するために利用される、光導波路カプラである2×2光カプラとしては、方向性光結合器あるいはマルチモード干渉(MMI:Multimode Interference)光カプラを利用できる。方向性光結合器は、2本の光導波路を近接させて平行に配置することで構成される。また、MMI光カプラは、多数の固有モードで光が伝播することが可能である一定の長さを持つマルチモード光導波路の始端および終端に、それぞれ2本の入出力用の光導波路を設けて構成される。
方向性光結合器は、波長、光導波路の幅、光導波路の等価屈折率、2本の光導波路間の構造上の寸法などの微小な変化に対して、入力光に対する出力光の強度分岐比が大きく影響される。そのため、化合物半導体を素材として構成されるマッハツェンダ型光変調器に
はほとんど利用されない。
はほとんど利用されない。
これに対してMMI光カプラは、その構成要素であるマルチモード光導波路の幅に対する寸法誤差に対しては、入力光に対する出力光の強度分岐比に大きく影響が現れるが、波長、光導波路の等価屈折率の変化に対しては、その影響は小さい。この理由は、マルチモード光導波路を伝播する光の高次の固有モードに対する伝播定数が、波長、光導波路の等価屈折率の変化に対してはほとんど変化しないためである。また、マルチモード光導波路への入力光の入射位置ずれが生じても、マルチモード光導波路を伝播する光の伝播固有モードの伝播方向に対する対称性がほとんど変化しないので、出力光の強度分岐比にほとんど影響を与えない。これらの点は、素子を製造する上で大変好都合な特性である。このため、MMI光カプラは、化合物半導体を素材として構成されるマッハツェンダ型光変調器に頻繁に利用されている。
そこで、図2(A)、(B)及び(C)を参照して、従来の代表的なMMI光カプラの概略的形状とその機能について説明する。図2(A)、(B)及び(C)は、MMI光カプラが構成されている基板面に垂直な方向から見た、光が導波される部分、すなわちMMI光カプラを構成する光導波路の輪郭の概略的形状を示している。
図2(A)に示すMMI光カプラは、マルチモード光導波路部100の両端に入力光導波路部110及び出力光導波路部120が連続的につながって構成される。マルチモード光導波路部100は、伝播する光の伝播モードが複数存在できるように、その幅、すなわち、光の伝播方向に直交する方向に測った幅Wがシングルモード光導波路に比べて広く設計されている。入力光導波路部110は、第1入力光導波路112及び第2入力光導波路114を具えており、これら2つの光導波路は、マルチモード光導波路部100のマルチモード光導波路入力側側面106にそれぞれつながっている。第1入力光導波路112及び第2入力光導波路114はシングルモード光導波路である。
出力光導波路部120は、第1出力光導波路122及び第2出力光導波路124を具えており、これら2つの光導波路は、マルチモード光導波路部100のマルチモード光導波路出力側側面108にそれぞれつながっている。第1出力光導波路122及び第2出力光導波路124もシングルモード光導波路である。図2(B)及び(C)に示すMMI光カプラにおいても、第1及び第2入力光導波路と、第1及び第2出力光導波路とは、それぞれ同様にシングルモード光導波路である。
ここで、第1入力光導波路112、第2入力光導波路114、第1出力光導波路122及び第2出力光導波路124の幅をWgで示す。この幅は、光の伝播方向に直交する方向に測った距離である。また、マルチモード光導波路部100の幅をWで示し、長さをVで示す。この長さは、光の伝播方向に沿った方向に測った距離である。第1入力光導波路112と第2入力光導波路114との中心間距離、及び第1出力光導波路122と第2出力光導波路124との中心間距離は等しい。そして、第1入力光導波路112と第2入力光導波路114との間隔、及び第1出力光導波路122と第2出力光導波路124との間隔をSで示す。
また、第1入力光導波路112及び第2入力光導波路114のそれぞれの中心位置が、マルチモード光導波路入力側側面106の幅の3等分された位置に来るようにマルチモード光導波路入力側側面106にそれぞれつながっている。同様に、第1出力光導波路122及び第2出力光導波路124のそれぞれの中心位置が、マルチモード光導波路出力側側面108の幅の3等分された位置に来るようにマルチモード光導波路出力側側面108にそれぞれつながっている。
すなわち、マルチモード光導波路第1側面102から、第1入力光導波路112及び第1出力光導波路122の中心位置までの距離は、W/3であり、マルチモード光導波路第2側面104から、第2入力光導波路114及び第2出力光導波路124の中心位置までの距離は、W/3である。
第1入力光導波路112をシングルモードで伝播して、マルチモード光導波路入力側側面106からマルチモード光導波路部100に入力された入力光は、マルチモード光導波路部100において複数の伝播モードにそのエネルギ−が分配されて導波され、マルチモード光導波路出力側側面108に到達する。以後、マルチモード光導波路部に入力された入力光が、マルチモード光導波路部において複数の伝播モードにそのエネルギ−が分配されて導波されることを、マルチモード光導波路部において複数の伝播モードが励起されるということもある。
マルチモード光導波路出力側側面108では、マルチモード光導波路部100における導波モードごとに対応する、光強度の強い部分が局所的に形成される。このマルチモード光導波路出力側側面108において、光強度の強い部分が形成されている箇所に第1出力光導波路122及び第2出力光導波路124がつながっていれば、入力光はその強度が2分岐されて第1出力光導波路122及び第2出力光導波路124に導波される。
一般に、MMI光カプラの出力分岐比は、マルチモード導波路部において励起される固有伝播モードの励起割合と、この固有伝播モードのマルチモード光導波路出力側側面での位相差によって決まる。ここで、MMI光カプラの出力分岐比とは、MMI光カプラに入力された光のエネルギ−が、MMI光カプラから分岐して出力される際のそのエネルギ−分配比を言う。固有伝播モードの励起割合とは、マルチモード光導波路部において励起される複数の固有伝播モードのそれぞれに対して、入力光のエネルギ−が分配される割合を言う。
図2(B)に示すMMI光カプラは、マルチモード光導波路部130の両端に入力光導波路部140及び出力光導波路部150が接続されて構成される。入力光導波路部140は、第1入力光導波路142及び第2入力光導波路144を具えており、これら2つの光導波路は、マルチモード光導波路部130のマルチモード光導波路入力側側面136にそれぞれつながっている。出力光導波路部150は、第1出力光導波路152及び第2出力光導波路154を具えており、これら2つの光導波路は、マルチモード光導波路部130のマルチモード光導波路出力側側面138にそれぞれつながっている。
ここで、第1入力光導波路142、第2入力光導波路144、第1出力光導波路152及び第2出力光導波路154の幅をWg’で示す。また、マルチモード光導波路部130の幅をW’で示し、長さをV’で示す。第1入力光導波路142と第2入力光導波路144との中心間距離、及び第1出力光導波路152と第2出力光導波路154との中心間距離は等しい。そして、第1入力光導波路142と第2入力光導波路144との間隔、及び第1出力光導波路152と第2出力光導波路154との間隔をS’で示す。
また、第1入力光導波路142及び第1出力光導波路152は、それぞれの一方の側面がマルチモード光導波路第1側面132と同一直線上に並ぶように、マルチモード光導波路入力側側面136及びマルチモード光導波路出力側側面138にそれぞれつながっている。同様に、第2入力光導波路144及び第2出力光導波路154は、それぞれの一方の側面がマルチモード光導波路第2側面134と同一直線上に並ぶように、マルチモード光導波路入力側側面136及びマルチモード光導波路出力側側面138にそれぞれつながっている。
第1入力光導波路142をシングルモードで伝播して、マルチモード光導波路入力側側面136からマルチモード光導波路部130に入力された入力光は、マルチモード光導波路部130において複数の伝播モードにそのエネルギ−が分配されて導波され、マルチモード光導波路出力側側面138に到達する。マルチモード光導波路出力側側面138では、マルチモード光導波路部130における導波モードごとに対応する、光強度の強い部分が局所的に形成される。このマルチモード光導波路出力側側面138において、光強度の強い部分が形成されている箇所に第1出力光導波路152及び第2出力光導波路154がつながっていれば、入力光はその強度が2分岐されて第1出力光導波路152及び第2出力光導波路154に導波される。
マッハツェンダ型光変調器に利用されるMMI光カプラは、マルチモード光導波路部の幅Wの寸法誤差に対する、入力光に対する出力光の強度分岐比の変化が小さいことが望ましい。そのため、マッハツェンダ型光変調器に利用されるMMI光カプラとしては、図2(A)に示す形状のMMI光カプラが採用される。
図2(A)に示すMMI光カプラにおいて、マルチモード光導波路部100の幅Wは、入力光導波路部110及び出力光導波路部120を構成しているシングルモード光導波路の幅Wg及びこれらシングルモード光導波路間の間隔Sとの間に、次式(1)で与えられる関係がある。
W=3(Wg+S) (1)
また、マルチモード光導波路部100の長さVは、次式(2)で与えられることが知られている(例えば非特許文献2及び3参照)。
また、マルチモード光導波路部100の長さVは、次式(2)で与えられることが知られている(例えば非特許文献2及び3参照)。
V=2nW2/(3λ) (2)
ここで、nはマルチモード光導波路部100の等価屈折率、λはマルチモード光導波路部100に入力される光の波長である。
ここで、nはマルチモード光導波路部100の等価屈折率、λはマルチモード光導波路部100に入力される光の波長である。
式(2)から明らかなように、マルチモード光導波路部100の長さVは、マルチモード光導波路部100の幅Wの二乗に比例することが分かる。すなわち、マルチモード光導波路部100の幅Wの変化に対してマルチモード光導波路部100の長さVは非常に大きく変化することを示している。
化合物半導体(例えばInP)を構成素材として形成されるMMI光カプラにおいて、光通信に利用される波長が1.5μm帯の光に対しては、シングルモード光導波路の幅Wgを2μm程度に設定する必要がある。また、詳細は後述するが、マルチモード光導波路部100、第1及び第2入力光導波路112、114及び第1及び第2出力光導波路122、124は、リッジ型の光導波路として形成される。このリッジ型の光導波路を形成する技術上の要請から、シングルモード光導波路間の間隔Sは少なくとも2μm必要である。
マルチモード光導波路部100の等価屈折率nを3(InPの波長1.5μmの光に対する屈折率はほぼ3である。)として、式(1)及び(2)から、マルチモード光導波路部100の長さVを計算すると次のようになる。すなわち、
V=2n×[3(Wg + S)]2/(3λ)
=2×3×[3×(2+2)]2/(3×1.5)
=192
となるので、マルチモード光導波路部100の長さは200μm程度必要であることになる。
V=2n×[3(Wg + S)]2/(3λ)
=2×3×[3×(2+2)]2/(3×1.5)
=192
となるので、マルチモード光導波路部100の長さは200μm程度必要であることになる。
また、マルチモード光導波路部100の幅Wに寸法誤差ΔWがあれば、この寸法誤差に応じてMMI光カプラの出力光強度が小さくなる。厳密には、幅Wに関する誤差とは、誤差幅(寸法誤差)をΔWとした時、いわゆる相対誤差ΔW/Wをいう。この相対誤差ΔW/Wを、以後幅誤差ということもある。
この幅Wに寸法誤差ΔWが生じる要因は、製作工程であるフォトリソグラフィー、ドライエッチング等の工程にある。この寸法誤差は現状の技術では±0.3μm程度である。製作工程において生じる寸法誤差ΔWに起因するMMI光カプラの出力光強度の低下を小さくするためには、幅誤差ΔW/Wを小さくする必要があり、このためには、幅Wを広く設計しておく必要がある。寸法誤差ΔWが上述のように現状の技術水準から±0.3μm程度であり、この値そのものを小さくすることは困難である。従って幅誤差ΔW/Wを小さくするには、幅Wを広く設計しておくことが必要となる。
マルチモード光導波路部100の長さVは、上式(2)から明らかなように、幅Wの二乗に比例して長く設定することが必要となり、結果として長さVを350μm程度に設計しなければならなくなる。
一方、図2(B)に示すMMI光カプラにおいては、マルチモード光導波路部130の幅W’は、入力光導波路部140及び出力光導波路部150を構成しているシングルモード光導波路の幅Wg’及びこれらシングルモード光導波路間の間隔S’との間に、次式(3)で与えられる関係がある。
W’=2Wg’+S’ (3)
また、マルチモード光導波路部130の長さV’は、次式(4)で与えられることが知られている(例えば非特許文献2及び3参照)。
また、マルチモード光導波路部130の長さV’は、次式(4)で与えられることが知られている(例えば非特許文献2及び3参照)。
V’=2nW’2/λ (4)
ここで、nはマルチモード光導波路部130の等価屈折率、λはマルチモード光導波路部130に入力される光の波長である。
ここで、nはマルチモード光導波路部130の等価屈折率、λはマルチモード光導波路部130に入力される光の波長である。
式(2)から明らかなように、この場合も、マルチモード光導波路部130の長さV’は、マルチモード光導波路部130の幅W’の二乗に比例する。またこの場合も、シングルモード光導波路の幅Wg’を2μm程度に設定する必要があり、シングルモード光導波路間の間隔S’も少なくとも2μm必要である
上述と同様に、式(3)及び(4)から、マルチモード光導波路部130の長さV’を計算すると次のようになる。すなわち、
V’=2n×[2Wg’+ S’]2/λ
=2×3×[(2×2)+2)]2/(1.5)
=144
となるので、マルチモード光導波路部130の長さは144μm程度必要であることになり、上述の図2(A)に示すMMI光カプラよりも短くて済むことがわかる。しかしながら、図2(B)に示すMMI光カプラのマルチモード光導波路部130の幅W’は6μm(W’=2Wg’+ S’=(2×2)+2)=6)と、図2(A)に示すMMI光カプラの幅Wが12μm(W=3(Wg + S)=3×(2+2)=12)であるのと比較して狭い。このことから、マルチモード光導波路部の幅の寸法誤差に対する出力光の強度分岐比の変化、すなわち、動作特性に与える効果が大きいという欠点がある。
上述と同様に、式(3)及び(4)から、マルチモード光導波路部130の長さV’を計算すると次のようになる。すなわち、
V’=2n×[2Wg’+ S’]2/λ
=2×3×[(2×2)+2)]2/(1.5)
=144
となるので、マルチモード光導波路部130の長さは144μm程度必要であることになり、上述の図2(A)に示すMMI光カプラよりも短くて済むことがわかる。しかしながら、図2(B)に示すMMI光カプラのマルチモード光導波路部130の幅W’は6μm(W’=2Wg’+ S’=(2×2)+2)=6)と、図2(A)に示すMMI光カプラの幅Wが12μm(W=3(Wg + S)=3×(2+2)=12)であるのと比較して狭い。このことから、マルチモード光導波路部の幅の寸法誤差に対する出力光の強度分岐比の変化、すなわち、動作特性に与える効果が大きいという欠点がある。
そこで、マルチモード光導波路部の長さも短くするための工夫が検討されている。その一例が、図2(C)に示すMMI光カプラである(例えば、特許文献4参照)。図2(C)に示すMMI光カプラも、入力光導波路部162、マルチモード光導波路部170、出力光導波路部164を具えて構成されることは、上述の図2(A)及び(B)に示すMMI光カプラと同様である。異なる点は、マルチモード光導波路部170の中間部分の幅を狭くした括れ部分166が形成されている点である。
このように括れ部分166を形成することによってマルチモード光導波路部の長さを短くできるが、寸法誤差による入力光に対する出力光の強度分岐比の変化が大きいことが指摘されている(例えば、非特許文献1及び特許文献5参照)。また、MMI光カプラとして光損失が大きい点も問題点として指摘されている(例えば、特許文献4参照)。また、2入力2出力MMI光カプラであって、入力及び出力光導波路の幅を、MMI光導波路との接続部分において広げた構造の光カプラも知られている(例えば、特許文献6参照)。しかしこの光カプラでも、全長を短く形成することは難しい。
このようなことから、図2(C)に示すMMI光カプラによっても、マルチモード光導波路部の幅の寸法誤差に対する入力光に対する出力光の強度分岐比の変化が小さく、かつマルチモード光導波路部の長さも短いMMI光カプラは、いまだに実現していない。
米国特許第6,236,784号明細書
米国特許第5,799,119号明細書
特開平9−211244号公報
米国特許第6,792,172号明細書
米国特許第5,689,597号明細書
特開2000−162454号公報
European Conference on Optical Communication (ECOC) 1994年9月予稿集PP. 669〜672
Journal of Light wave Technology Vol. 12 (June, 1994 pp.1004−1007.)
Journal of Light wave Technology Vol. 13 (April, 1995 pp.615−627.)
そこで、この発明の目的は、製造工程において発生する寸法誤差に起因する出力光の強度分配比の変動等の、動作特性に与える効果が小さいという特長をもち、かつ全長が短いMMI光カプラを提供することにある。
また、従来から、マルチモード光導波路部によって分岐された光が、出力光導波路から出力される際に、マルチモード光導波路部の軸方向からずれた方向に伝播する、すなわち、出力光が、出力光導波路内において蛇行するという問題がある。ここで、例えば、MMI光カプラが、例えばマッハツェンダ型変調器等の外部機器と接続されて使用される際には、周知の通り、出力光導波路と外部機器の光ファイバ等とが接続される。そして、出力光導波路から出力された光は、光ファイバに入力される。このとき、上述のように、出力光が出力光導波路内において蛇行している場合、光ファイバに入力される光の中心軸が一定せず、いわゆる出力光の揺らぎという問題が発生する。
この発明のMMI光カプラでは、上述した、動作特性に与える効果が小さいという特長をもち、かつ全長が短いMMI光カプラを提供するという課題の達成に加えて、出力光の出力光導波路内における蛇行についても防止する。
そこで、上述の目的の達成を図るため、この発明の要旨によれば、以下のような特徴を有しているMMI光カプラが提供される。
すなわち、この発明のMMI光カプラは、第1及び第2入出力光導波路部と、第1入出力光導波路部の最外側端間の距離よりも幅の広い、マルチモード導波光を伝播させる第1、第2、第3及び第4マルチモード光導波路部とを具える構造体として形成される。そして、第1入出力光導波路部、第1マルチモード光導波路部、第2マルチモード光導波路部、第4マルチモード光導波路部、第3マルチモード光導波路部、及び第2入出力光導波路部は、この順序で連続的につながっている。
第1入出力光導波路部は、導波方向に平行な対称軸に対して、互いに線対称にかつ離間して、配置された第1及び第2サブ光導波路で以って構成されている。第2マルチモード光導波路部は、上記の対称軸に対して線対称形であって、この第2マルチモード光導波路部の幅が、第1マルチモード光導波路部との境界から第4マルチモード光導波路部との境界に向かって、連続的に広がった第1形状の平面形状を有している。第3マルチモード光導波路部は、上記対称軸に対して、互いに線対称にかつ離間して、配置された第1及び第2サブマルチモード光導波路で以って構成されている。第1及び第2サブマルチモード光導波路は、第4マルチモード光導波路部との境界から第2入出力光導波路部との境界に向かって、連続的に狭まった第2形状の平面形状を有している。第2入出力光導波路部は、上記対称軸に対して、互いに線対称にかつ離間して、配置された第3及び第4サブ光導波路を以って構成されている。
第1及び第2サブ光導波路と、第1マルチモード光導波路部とは、第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸が、第1マルチモード光導波路部の中心軸からずれた位置においてつながっている。すなわち、第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸は、第1マルチモード光導波路部の中心軸から、第1マルチモード光導波路部の幅の6分の1の距離だけずれた位置を中点とし、この中点から、第1マルチモード光導波路部の幅方向の両側に、この第1マルチモード光導波路部の中心軸から、それぞれ第1及び第2サブ光導波路の幅の4分の1の距離だけずれた位置間の、範囲内に存在する。
第1及び第2サブマルチモード光導波路と、第4マルチモード光導波路部とは、第3及び第4サブ光導波路のそれぞれの中心軸の延長線であって、第1及び第2サブマルチモード光導波路のそれぞれの中心軸が、第4マルチモード光導波路部の中心軸からずれた位置においてつながっている。すなわち、第1及び第2サブマルチモード光導波路のそれぞれの中心軸は、第4マルチモード光導波路部の幅に対する、第1及び第2サブマルチモード光導波路のそれぞれの中心軸と、第4マルチモード光導波路部の中心軸との距離の割合が、第1マルチモード光導波路部の幅に対する、第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸と、第1マルチモード光導波路部の中心軸との距離の割合と等しくなる距離だけ、第4マルチモード光導波路部の中心軸からずれた位置に存在する。
この発明によれば、MMI光カプラは、第1及び第2入出力光導波路部を具えており、それぞれが、2本のサブ光導波路を有している。すなわち、この発明のMMI光カプラは、2入力2出力の光カプラ(2×2光カプラ)であるから、図1(B)を参照して説明した第2の構成のマッハツェンダ型光変調器を構成するのに好適な光カプラである。第2の構成のマッハツェンダ型光変調器は、上述したように、波長チャープ効果の少ない変調光を出力するという特徴があり、光通信システムに利用して好適である。
第1マルチモード光導波路部には、第1入出力光導波路部の第1あるいは第2サブ光導波路から入力光が入力される。そして、第1マルチモード光導波路部への入力端において、複数の伝播モードが励起される。すなわち、入力光は、第1マルチモード光導波路部に入力されるとマルチモード干渉効果によって、第1マルチモード光導波路部を伝播する間に、その強度が2分配される。この分岐比率は、第1マルチモード光導波路部の伝播方向の長さによって決定される。
分岐比をほぼ1対1に設定するために必要とされる第1マルチモード光導波路部の伝播方向の長さは、従来のMMI光カプラと同様に、第1マルチモード光導波路部の幅の2乗に比例する。従って、第1マルチモード光導波路部の幅はできるだけ狭くすることが好ましい。また、第1マルチモード光導波路部の伝播方向の長さは、入力光の強度がほぼ1対1に2分配されるために必要とされる長さよりも短めに設定することができる。これは、第1マルチモード光導波路部に引き続いて第2あるいは第4マルチモード光導波路部が設けられるので、入力光の強度がほぼ1対1に2分配されるための必要な調整が、この部分で更に行なえるためである。そして、この発明のMMI光カプラは、第2マルチモード光導波路部の長さを調整することによって、出力光の分岐比を調整できることがシミュレーションによって確かめられた。このシミュレーションについては、後述する第1の実施の形態において詳細に説明する。
また、従来のMMI光カプラでは、第1マルチモード光導波路部の終端部、すなわち第1マルチモード光導波路部と第2マルチモード光導波路部との境界において、光電場強度の強い部分(光電場強度が極大値を取る部分)が2箇所に形成されている。この2箇所の光電場強度の強い部分に、光導波路を設ければ、入力される入力光は、これらの光導波路に、2分岐されて入力される。従来のMMI光カプラは、このように第1マルチモード光導波路部の終端部に直接分岐された出力光を取り出すための光導波路が設けられている。しかしながら、この発明のMMI光カプラは、第1マルチモード光導波路部の終端部に、この終端部から第4マルチモード光導波路部との境界に向かって、連続的に広がった第1形状の平面形状を有する第2マルチモード光導波路部が設けられる。
この発明のMMI光カプラでは、第2マルチモード光導波路部において、第1マルチモード光導波路部の終端部に形成された光電場強度の分布が、伝播方向に垂直な方向に沿って広げられている。すなわち、この発明のMMI光カプラでは、第1マルチモード光導波路部の終端部に形成される光電場強度の極大値を取る位置の間隔が、伝播方向に垂直な方向に沿って広げられる。従って、第2マルチモード光導波路部の終端部、すなわち、第2マルチモード光導波路部と第4マルチモード光導波路部との境界において、入力光の光電場が2分岐されて形成された2箇所の光電場強度の極大部分の間隔が、第1マルチモード光導波路部の終端部における場合と比べて広がっている。
このように、第2マルチモード光導波路部の役割は、上述したように、第1マルチモード光導波路部の終端部に形成される光電場強度の分布を伝播方向に垂直な方向に沿って広げることにある。これによって、2分岐された出力光を空間的に十分に離して出力させることが可能となる。
また、第3マルチモード光導波路部を構成する、第1及び第2サブマルチモード光導波路は、第4マルチモード光導波路部との境界から第2入出力光導波路部との境界に向かって連続的に狭まった第2形状の平面形状を有している。第3マルチモード光導波路部がこのような第2形状をしているため、この発明のMMI光カプラでは、第1及び第2サブマルチモード光導波路の入力端が、第2マルチモード光導波路部の終端部において形成される、2箇所の光電場強度の極大部分に相当する、第4マルチモード光導波路部の部分に、それぞれ合致するように形成構成できる。
また、第1及び第2サブマルチモード光導波路は、第4マルチモード光導波路部との境界においてはその幅が広い。従って、第2マルチモード光導波路部の終端部において形成される、2箇所の光電場強度の極大部分を十分に覆うように、第4マルチモード光導波路部と第1及び第2サブマルチモード光導波路とをつなげることができる。第4マルチモード光導波路部との境界において、第1及び第2サブマルチモード光導波路のつながる位置が多少ずれても、第2マルチモード光導波路部から、第4マルチモード光導波路部を経て第1及び第2サブマルチモード光導波路へ入力される光の強度はほとんど減少しない。従って、この発明のMMI光カプラは、製造における寸法誤差の許容範囲が、従来のMMI光カプラに比べて広いという利点を有する。
また、第1及び第2サブマルチモード光導波路は、第4マルチモード光導波路部との境界から第2入出力光導波路部との境界に向かって、連続的に狭まった第2形状の平面形状を有しているので、第3及び第4サブ光導波路との境界において、両者の導波路の幅を等しくできる。従って、第1及び第2サブマルチモード光導波路と第3及び第4サブ光導波路とは、それぞれの幅方向の側端を一致させてつなげることができる。これによって、2分岐された光の強度を損失することなく、第3マルチモード光導波路部からの出力を第3及び第4サブ光導波路に入力することができる。
また、この発明のMMI光カプラは、第2マルチモード光導波路部と第3マルチモード光導波路部との間に、第4マルチモード光導波路部が設けられている。この発明のMMI光カプラは、第4マルチモード光導波路部を具えることで、上述した第2マルチモード光導波路部及び第3マルチモード光導波路部により低減できる、寸法誤差に起因する特性への影響を、更に低減できる。第4マルチモード光導波路部の伝播方向の長さは、長すぎれば素子の全長が長くなり、また短すぎれば上記影響の低減の度合いが減少するので、その最適値が存在する。従って、第4マルチモード光導波路部の伝播方向の長さは、利用目的に応じて、素子の全長と寸法誤差に起因する特性への影響の度合いとを勘案して決定される設計的事項である。
また、2×2光カプラでは、出力光導波路内の出力光を、伝播方向と平行に伝播させるために、2つの入力光導波路と、マルチモード光導波路部の入力端とを、入力光導波路のそれぞれの中心軸と、第1マルチモード光導波路部の中心軸とをずれた位置につなげる構成が有効であることが、経験的に周知である。このとき、2つの出力光導波路のそれぞれの中心軸は、マルチモード光導波路部の出力端の幅に対する、出力光導波路のそれぞれの中心軸と、マルチモード光導波路部の中心軸との距離の割合が、マルチモード光導波路部の入力端の幅に対する、入力光導波路のそれぞれの中心軸と、第1マルチモード光導波路部の中心軸との距離の割合と等しくなる距離だけずれた位置において、つながる構成とする必要がある。この発明のMMI光カプラでは、第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸は、第1マルチモード光導波路部の中心軸から、第1マルチモード光導波路部の幅の6分の1の距離だけずれた位置を中点とし、この中点から、第1マルチモード光導波路部の幅方向の両側に、それぞれ第1及び第2サブ光導波路の幅の4分の1の距離だけずれた位置間の、範囲内に存在する。また、第3及び第4サブ光導波路のそれぞれの中心軸の延長線であって、第1及び第2サブマルチモード光導波路のそれぞれの中心軸は、第4マルチモード光導波路部の幅に対する、第1及び第2サブマルチモード光導波路のそれぞれの中心軸と、第4マルチモード光導波路部の中心軸との距離の割合が、第1マルチモード光導波路部の幅に対する、第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸と、第1マルチモード光導波路部の中心軸との距離の割合と等しくなる距離だけ、第4マルチモード光導波路部の中心軸からずれた位置に存在する。
これは、第4マルチモード光導波路部から出力され、第1及び第2サブマルチモード光導波路を経た出力光を、第3及び第4サブ光導波路内で蛇行することなく、伝播方向と平行に伝播させるためである。そして、この発明のMMI光カプラは、第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸と、第1マルチモード光導波路部の中心軸との距離を調整することによって、出力光の蛇行を防止できるこの距離の最適値、及び範囲がシミュレーションによって確かめられた。このシミュレーションについては、後述する第1の実施の形態において詳細に説明する。
以下、図を参照して、この発明に係るMMI光カプラについて説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の形状、大きさ、及び配置関係等を概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例のみに限定されるものではない。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を用いることがあるが、これら材料および条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。また、各図において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。
まず、この発明の光導波路カプラの基本構造及びその機能の基礎的事項の理解に資するために、図3(A)、(B)及び(C)を参照して、化合物半導体を素材として構成されたマッハツェンダ型光変調器の一例を説明する。図3(A)は、マッハツェンダ型光変調器の概略的構造を示す斜視図である。図3(A)においては、以下の説明において必要とされる限度で、2×2光カプラ等の構造の細部は省略し、長方形によってその配置される位置を示してある。図3(B)は、図3(A)においてP−Qで示す切断面で切断した断面構造図である。また、図3(C)は、図3(A)においてR−Sで示す切断面で切断した断面構造図である。
光通信システムに利用する光変調器であることを前提にして、ここではマッハツェンダ型光変調器を形成する基板としてp型InP(以後、p型InPを単にp−InPと表記することもある。)単結晶板80を用いる。これは、光通信システムで使われる光は、その波長帯域が1.5μm帯であることから、この波長の光に対して透明である光導波路を形成できなければならないからである。InP単結晶板を用いれば、光導波路の導波部分(光導波路のコア及びクラッド)をエピタキシャル成長法によってInGaAsP単結晶で形成できる。光導波路のコアを構成するInGaAsP単結晶、及び光導波路のクラッドを構成するInP単結晶は、いずれも波長が1.5μm帯である光に対しては透明である。
まず、図3(A)を参照して、マッハツェンダ型光変調器の概略的構成について説明する。図3(A)に示すマッハツェンダ型光変調器は、上述の第2の構成のマッハツェンダ型光変調器である。すなわち、入力側に2×2光カプラ60が設けられ、出力側に2×2光カプラ70が設けられている。2×2光カプラ60及び70は、2入力2出力のMMI光カプラである。以後、2入力2出力のMMI光カプラを、2×2−MMI光カプラと表記することもある。
2×2光カプラ60は、マルチモード光導波路56の2つの入力ポートにシングルモード光導波路52及び54が接合されており、2つの出力ポートにシングルモード光導波路62及び64が接合されて形成されている。
ここで、2×2−MMI光カプラの構造とその機能について、2×2光カプラ60を例にとって説明する。2×2−MMI光カプラは、マルチモード光導波路の入力端面に入力ポートを具え、出力端面に出力ポートを具えて構成される。2×2光カプラ60では、マルチモード光導波路56の入力端面56iに入力ポートを具えており、この入力ポートにシングルモード光導波路52及び54が配置されている。また、マルチモード光導波路56の出力端面56jに出力ポートを具えており、この出力ポートにシングルモード光導波路62及び64が配置されている。
マルチモード光導波路56の入力及び出力ポートの位置は、マルチモード光導波路56を伝播する光の伝播モードによって一義的に決まる。すなわち、入力ポートをマルチモード光導波路56の入力端面56iのどの位置に設定するかによってマルチモード光導波路56を伝播する光の伝播モードが確定し、それによって、マルチモード光導波路56の出力端面56jにおいて、光強度の強い部分と弱い部分とが複数箇所に形成される。
マルチモード光導波路56の出力端面56jの複数箇所に形成される光強度の強い部分となる位置に出力ポートを設定すれば、入力光の光強度を均等に分割した出力光が得られる。すなわち、マルチモード光導波路56の入力ポートに入力された入力光は、出力端面56jの複数箇所にその光強度が分割されて集まるので、この光強度の強い部分に出力ポートを設置すれば、出力端面56jに形成される光強度の強い部分の数と等しい数に分岐された出力光を得ることができる。
上述したように、入力光Piをシングルモード光導波路52あるいは54のどちらから入力させても良いので、図3(A)に示すマッハツェンダ型光変調器においては、入力光Piをシングルモード光導波路52から入力させるものとして説明する。
シングルモード光導波路52から、2×2光カプラ60に入力された入力光Piは、シングルモード光導波路62を伝播する光と、シングルモード光導波路64を伝播する光とに分岐される。シングルモード光導波路62及び64には、図3(A)に示すように、それぞれ電極を形成するための金属膜電極66及び68が設けられている。シングルモード光導波路62及び64を伝播した光は、再び2×2光カプラ70に入力されて合波される。合波された光はシングルモード光導波路76または78を伝播して、マッハツェンダ型光変調器の出力光Poとして出力される。
2つの2×2光カプラ60及び70の間を接続する2本の光導波路である、シングルモード光導波路62及び64には、それぞれ金属膜電極66及び68が設けられている。金属膜電極66及び68に対して、図1(B)を参照して説明したように、電圧が印加され光変調が実現される。金属膜電極66及び68に電圧を印加するための電極及び電源等は、図3(A)では、その図示を省略してある。
ここで、2×2−MMI光カプラの構造について説明する。2×2光カプラ60及び70はいずれも同一の2×2−MMI光カプラであるから、ここでは、2×2光カプラ60のマルチモード光導波路56の導波方向に対して垂直な面で切断した切り口を示す図を参照して2×2−MMI光カプラの構造を説明する。図3(B)は、マルチモード光導波路56の導波方向に対して垂直な面、すなわち、図3(A)においてP−Qで示す切断面での切り口を示す図である。
基板であるp−InP単結晶板80に、p−InPクラッド層82、半絶縁性のInGaAsP導波層84及びn型InPクラッド層86からなるリッジ形のマルチモード光導波路90が形成されている。このリッジ形のマルチモード光導波路90の両側面に接してポリイミド層88a及び88bが形成されている。以後、n型InPを単にn−InPと表記し、半絶縁性のInGaAsPを単にi−InGaAsPと表記することもある。
このように、マルチモード光導波路56は、リッジ形のマルチモード光導波路90として形成されている。リッジ形のマルチモード光導波路90がマルチモード光導波路となる理由は、導波路の幅、すなわち、i−InGaAsP導波層84の幅Wが広いために、i−InGaAsP導波層84を伝播する光の伝播モードが複数存在することによる。言い換えると、i−InGaAsP導波層84の幅Wは、i−InGaAsP導波層84を伝播する光の伝播モードが複数存在するように設定される。
次に、図3(A)に示すマッハツェンダ型光変調器の構成要素であるシングルモード光導波路の構造について説明する。シングルモード光導波路52、54、62、64、76及び78は、シングルモード光導波路62及び64の一部に電極を形成するための金属膜が形成されていることを除き、全て同一の構造である。そこで、図3(C)を参照して、シングルモード光導波路を説明する。図3(C)は、シングルモード光導波路62及び64の導波方向に対して垂直な面、すなわち、図3(A)においてR−Sで示す切断面で切断した切り口を示す図である。
基板であるp−InP単結晶板80に、p−InPクラッド層83、i−InGaAsP導波層85及びn−InPクラッド層87からなるリッジ形のシングルモード光導波路94が形成されている。この点は、上述のリッジ形のマルチモード光導波路90と同一の構造である。異なるのは、i−InGaAsP導波層85の幅W’が狭いために、i−InGaAsP導波層85を伝播する光の伝播モードが1つしか存在しないことである。言い換えると、i−InGaAsP導波層85の幅W’は、i−InGaAsP導波層85を伝播する光の伝播モードが1つだけ存在するように設定される。
また、このリッジ形のシングルモード光導波路94の両側面に接してポリイミド層88a、88b及び88cが形成されている。ポリイミド層88a及び88bは、上述のリッジ形のマルチモード光導波路90の両側面に接して形成されているポリイミド層88a及び88bと、それぞれ一続きに繋がっている。ポリイミド層88cは、図3(A)に示すマルチモード光導波路56及び72と、シングルモード光導波路62及び64とで囲まれた領域に形成されている。
シングルモード光導波路52、54、62、64、76及び78と、マルチモード光導波路56及び72とは、p−InP単結晶板に、p−InP層、i−InGaAsP層及びn−InP層がエピタキシャル成長された基板からフォトリソグラフィー及びエッチング工程を経て構成される。従って、図3(B)に示すp−InPクラッド層82、i−InGaAsP導波層84及びn−InPクラッド層86と、それぞれに対応する図3(C)に示すp−InPクラッド層83、i−InGaAsP導波層85及びn−InPクラッド層87とは、互いに同一の条件で形成され、同一組成かつ同一膜厚を有するエピタキシャル成長層である。
図3(C)に示すシングルモード光導波路には、電極を形成するための金属膜電極66及び68が設けられている。また、p−InP単結晶板80にも図3(B)及び図3(C)に示すように、p−InP単結晶板80の下面(シングルモード及びマルチモード光導波路が形成されている面とは反対側の面)をアース電位に保つための金属膜電極92が設けられている。金属膜電極92にアース電極(図示せず。)が設けられる。
金属膜電極66、68及び92は、Au薄膜、Pt薄膜及びTi薄膜を真空蒸着法あるいはスパッタリング法等で積層して形成し、数百℃の温度でシンターするという、周知のオーミックコンタクトの形成方法によって形成される。また、金属膜電極66、68及び92のそれぞれの部分には、周知の方法で電極を形成できるので、その説明は省略する。
金属膜電極92の電位に対して、金属膜電極66の電位が高くなるように電圧を印加すると、i−InGaAsP導波層85に電場が発生し、この電場によって発現する電気光学効果によって、リッジ形のシングルモード光導波路94の実効屈折率が変化する。
シングルモード光導波路52、54、62、64、76及び78と、マルチモード光導波路56及び72とのコア層として機能する、i−InGaAsP導波層84及び85の厚みは0.4μmに設定される。また、基本導波モードのみが伝播できるシングルモード光導波路とするために、導波路52、54、62、64、76及び78の幅は2μmに設定される。また、金属膜電極66、68及び92による光吸収を防止するため、及びリッジ形のマルチモード光導波路90及びリッジ形のシングルモード光導波路94のリッジの高さHがそれぞれの光導波路の実効屈折率に影響を与えないために、n−InPクラッド層86及び87の厚みは2μmに設定される。
また、p型InPクラッド層82及び83の厚みも、光導波路の実効屈折率に影響を与えない目的で0.4μm以上に設定される。また、シングルモード光導波路62及び64の金属膜電極が設けられている領域における両者の間隔Lは、金属膜電極66と68との間の絶縁を保つため及び、シングルモード光導波路62及び64を伝播するそれぞれの光の電場が互いに干渉しないようにするために、10μm以上離して設定される。
マルチモード光導波路56の出力端面56jの2つの出力ポートの間隔は2μm程度である。2本のシングルモード光導波路62及び64は、それぞれの入力端がマルチモード光導波路56に接続されて、それぞれ金属膜電極66と68とが設けられて10μm以上離して設定されている部分に繋がっている。2本のシングルモード光導波路62及び64は、このそれぞれの入力端から、それぞれ金属膜電極66と68とが設けられた部分に繋がる部分に至るまでの間は、その間隔が徐々に広げられて行く構造となっている。
すなわち、2本のシングルモード光導波路62及び64の両者の間隔を急激に広げようとすると、それぞれのシングルモード光導波路62及び64の曲率半径を小さくしなければならない。こうすると、シングルモード光導波路62及び64を伝播する光が放射損失によってその強度が低下する。一方、2本のシングルモード光導波路62及び64の両者の間隔を緩やかに広げようとすると、それぞれの入力端から、それぞれ金属膜電極66と68とが設けられた部分に繋がる部分に至るまでの長さが長くなって、光変調器としての全長が長くなりすぎてしまう。すなわち、シングルモード光導波路62及び64を伝播する光の放射損失の大きさと光変調器としての全長とを、総合的に勘案して、それぞれの入力端から、それぞれ金属膜電極66と68とが設けられた部分につながる部分の寸法が設定される。
<第1の実施の形態>
図4は、この発明のMMI光カプラの第1の実施の形態について説明する概略図である。
図4は、この発明のMMI光カプラの第1の実施の形態について説明する概略図である。
図4に示す第1の実施の形態のMMI光カプラは、シングルモード導波光を伝播させる第1入出力光導波路部200及び第2入出力光導波路部250を具え、更にマルチモード導波光を伝播させる、第1マルチモード光導波路部210、第2マルチモード光導波路部220、第3マルチモード光導波路部240、及び第4マルチモード光導波路部230を具える構造体として形成される。そして、第1入出力光導波路部200、第1マルチモード光導波路部210、第2マルチモード光導波路部220、第4マルチモード光導波路部230、第3マルチモード光導波路部240、及び第2入出力光導波路部250は、この順序で連続的につながっている。
ここで、第1入出力光導波路部200、第1マルチモード光導波路部210、第2マルチモード光導波路部220、第4マルチモード光導波路部230、第3マルチモード光導波路部240、及び第2入出力光導波路部250のそれぞれの、光の伝播方向に沿って測った長さは、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、及びY6である。従来のMMI光カプラと対等に比較をするためには、第1の実施の形態のMMI光カプラの全長は、Y2+Y3+Y4と定義するのが合理的である。第1の実施の形態のMMI光カプラをマッハツェンダ型光変調器に利用する場合を想定すると、長さY5である第3マルチモード光導波路部240は、マッハツェンダ型光変調器の分岐部と合波部とを繋ぐ第1及び第2光導波路部分に含まれると解釈することが合理的であるからである。すなわち、マッハツェンダ型光変調器の分岐部あるいは合波部は、実質的に第1マルチモード光導波路部210と第2マルチモード光導波路部220とで構成されると解釈するのが合理的である。
第1入出力光導波路部200は、導波方向に平行な対称軸260に対して、互いに線対称にかつ離間して、配置された第1サブ光導波路202及び第2サブ光導波路204を以って構成されている。
第1マルチモード光導波路部210は、対称軸260に対して対称な長方形の平面形状を有するマルチモード光導波路221が設置されている。なお、第1マルチモード光導波路部210は、マルチモード光導波路221のみで形成されるので、以後、第1マルチモード光導波路部210といえば、マルチモード光導波路221を指すものとする。
第2マルチモード光導波路部220は、対称軸260に対して線対称形であって、この第2マルチモード光導波路部220の幅が、第1マルチモード光導波路部210との境界B2から第4マルチモード光導波路部230との境界B3−1に向かって、連続的に広がった第1形状の平面形状を有するマルチモード光導波路222が設置されている。すなわち、第2マルチモード光導波路部220の側端224−1及び224−2が、境界B2から境界B3−2に向かって連続的に広がっている。図4では、側端224−1及び224−2は直線形状であるが、後述するように必ずしも直線形状である必要はない。第2マルチモード光導波路部220は、マルチモード光導波路222のみで形成されるので、以後、第2マルチモード光導波路部220といえば、マルチモード光導波路222を指すものとする。
第4マルチモード光導波路部230は、対称軸260に対して対称な長方形の平面形状を有するマルチモード光導波路232が設置されている。なお、第4マルチモード光導波路部230は、マルチモード光導波路232のみで形成されるので、以後、第4マルチモード光導波路部230といえば、マルチモード光導波路232を指すものとする。
第3マルチモード光導波路部240は、上記対称軸260に対して、互いに線対称にかつ離間して、配置された第1サブマルチモード光導波路242及び第2サブマルチモード光導波路244で以って構成されている。第1サブマルチモード光導波路242及び第2サブマルチモード光導波路244は、第4マルチモード光導波路部230との境界B3−2から第2入出力光導波路部250との境界B4に向かって、連続的に狭まった第2形状の平面形状を有している。
第1サブマルチモード光導波路242と第2サブマルチモード光導波路244とは合同であるので、第1サブマルチモード光導波路242の形状の特徴について説明する。第1サブマルチモード光導波路242は、第1サブマルチモード光導波路242の側端246−1及び246−2が、境界B3−2から境界B4に向かって連続的に狭まっている。図4では、側端246−1及び246−2は直線形状であるが、後述するように必ずしも直線形状である必要はない。
第4マルチモード光導波路部230の境界B3−2における幅は、第1サブマルチモード光導波路242及び第2サブマルチモード光導波路244の境界B3−2におけるそれぞれの幅を加えた値とほぼ等しくすることが好ましい。これは、境界B3−2における光損失を小さくするためである。
第3マルチモード光導波路部240の導波方向に沿った長さY5は、MMI光カプラの全長を短くするという点からは、短いほど好ましい。しかし短くすればするほど、第1サブマルチモード光導波路242の側端246−1及び246−2から、導波光の一部が放射モードとして散逸するために、光強度の損失が生じる。第2サブマルチモード光導波路244においても同様である。従って、Y5の値は、素子全長と光損失の大きさとを勘案して決定される。
第2入出力光導波路部250は、対称軸260に対して、互いに線対称にかつ離間して、配置された第3サブ光導波路252及び第4サブ光導波路254を以って構成されている。第3サブ光導波路252及び第4サブ光導波路254の長さはY6であり、幅はW2である。
第1マルチモード光導波路部210と、第2マルチモード光導波路部220とは、それぞれの幅方向の側端を一致させてつながっている。すなわち、境界B2において、側端212−1と側端224−1とが一致し、かつ側端212−2と側端224−2とが一致するようにつながっている。
このように、最外側端が一致してつながった構成とすることによって、光の損失を小さくできる。しかし、出力光の分岐比を調整するために、側端212−2と側端224−2とをずらせる必要が発生する場合もある。この場合には、最外側端が一致してつながった構成とすることができないこともある。この場合にも、最外側端のずれはできるだけ小さくすることが、光の損失を小さくするために望ましい。
第2マルチモード光導波路部220と第4マルチモード光導波路部230とは、境界B3−1において、それぞれの幅方向の側端を一致させてつながっている。すなわち、境界B3−1において、側端224−1と側端232−1とが一致し、かつ側端224−2と側端232−2とが一致してつながっている。この場合も、上記と同様に、側端212−2と側端224−2とが段差が存在する形でつなげざるを得ない場合もある。
第1サブマルチモード光導波路242及び第2サブマルチモード光導波路244と、第3サブ光導波路252及び第4サブ光導波路254とは、それぞれの幅方向の側端を一致させてつながっている。すなわち、境界B4において、側端246−1と側端256−1とが一致し、側端246−2と側端256−2とがそれぞれ一致するようにつながっている。
第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2は、第1マルチモード光導波路部210の中心軸、すなわち対称軸260から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離だけずれた位置を中点213とし、この中点213から、第1マルチモード光導波路部210の幅方向の両側に、それぞれ第1及び第2サブ光導波路202及び204の幅の4分の1の距離だけずれた位置間の、範囲W3内に存在する。
また、第3及び第4サブ光導波路252及び254のそれぞれの中心軸209−1及び209−2の延長線であって、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244のそれぞれの中心軸は、第4マルチモード光導波路部230の幅に対する、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244のそれぞれの中心軸と、第4マルチモード光導波路部230の中心軸との距離の割合が、第1マルチモード光導波路部210の幅に対する、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2と、第1マルチモード光導波路部210の中心軸との距離の割合と等しくなる距離だけ第4マルチモード光導波路230の中心軸からずれた位置に存在する。
これは、第4マルチモード光導波路部230から出力され、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244を経た出力光を、第3及び第4サブ光導波路内で蛇行することなく、伝播方向と平行に伝播させるためである。そして、この実施の形態のMMI光カプラでは、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2を範囲W3内に設置し、かつ第3及び第4サブ光導波路のそれぞれの中心軸209−1及び209−2を、上述したように第1及び第2サブ光導波路202及び204に対応させた位置に設置することによって、出力光の蛇行を防止できることが実験により確かめられた。これに関しては、図9及び図10を参照して、詳細に後述する。特に、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2を、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離だけずれた位置に設置するのが、蛇行を防止するために最適であることが、実験により確かめられた。この場合には、第3及び第4サブ光導波路のそれぞれの中心軸209−1及び209−2の延長線、すなわち第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244のそれぞれの中心軸は、第4マルチモード光導波路部230の中心軸から、第4マルチモード光導波路部230の幅の6分の1の距離だけずれた位置に設置される。
境界B1における第1マルチモード光導波路部210の幅(=2W1+S1+2S2)に対する第1あるいは第2サブ光導波路の幅W1の比(=(2W1+S1+2S2):W1)と、境界B3−2における第4マルチモード光導波路部230の幅(=W0)に対する第1あるいは第2サブマルチモード光導波路の幅(=(W0/2)−X2−S3)の比(=W0:((W0/2)−X2−S3))とは等しい値に近いほど好ましい。ここで、S1は、第1サブ光導波路と第2サブ光導波路との間隔である。また、S2は、第1サブ光導波路あるいは第2サブ光導波路と、第1マルチモード光導波路部210の側端212−1あるいは212−2との間隔である。
これは、境界B1における光電場の強度分布が拡大されて境界B3−1に形成されるためである。すなわち、境界B3−1に形成される光電場の強度分布が極大値を2箇所に持つ分布となっており、第1入出力光導波路部200から入力された光がそれぞれの光電場の極大位置に分岐されている。そして、分岐された光電場成分が、第4マルチモード光導波路部230を経て、第3マルチモード光導波路部240と最もよく結合されるためには、両者の比が等しいことが必要となる。
なお、第1の実施の形態のMMI光カプラは、図5に示すように、第2マルチモード光導波路部220の最外側端を導波路の内部の方向に向かって凹んだ形状の曲線として形成しても良い。このように、第2及び第3マルチモード光導波路部の形状を画する側端の形状を、直線に限定せず曲線も含めて自由度を持たせることで、設計パラメータを増やすことができる。このことによって、素子長を更に短くし、寸法誤差に対する特性に与える効果をより低減できる余地を広げられる。
また、例えば、図6に示すように、第2マルチモード光導波路部220の最外側端を導波路の外部の方向に向かって凸形状の曲線として形成しても良い。なお、その場合には、第2マルチモード光導波路部220の側端224−1及び224−2と、第4マルチモード光導波路部230の側端232−1及び232−2とを連続的な曲線として形成するのが好ましい。このように、側端224−1及び224−2と側端232−1及び232−2とを連続的な曲線として形成することによって、第2マルチモード光導波路部220と第4マルチモード光導波路部230とは、一体的に形成される。
第1の実施の形態のMMI光カプラと従来のMMI光カプラとの特性を比較するために、ビーム伝播法(BPM:Beam Propagation Method)を用いたシミュレーションによる評価を行った。BPMとは、光の伝播方向に向かって、微小区間に分け、この各微小区間の光の伝播方向に垂直な方向の屈折率分布構造によって光が屈折及び回折される様子を、逐次計算で求める方法である。光導波路の構造が与えられている場合に、この光導波路を伝播する光の電場分布をシュミレーションするために広く利用されている方法である。
まず、図7(A)から(D)を参照して、従来のMMI光カプラの特性を評価した結果を説明する。図7(A)及び(B)は、図2(A)を参照して説明した従来のMMI光カプラの特性を示す図であり、図7(C)及び(D)は、図2(B)を参照して説明した従来のMMI光カプラの特性を示す図である。図7(A)から(D)において、横軸はマルチモード光導波路部、第1入力光導波路、第1出力光導波路及び第2出力光導波路における幅の寸法誤差をμm単位で目盛ってある。光導波路の形状を確定する主たる作業工程はフォトリソグラフィー及びエッチング工程である。光導波路の幾何的な形状の寸法誤差は、フォトリソグラフィー及びエッチング工程で決まり、光導波路の場所には依らない。従って、例えば、幅Wに関する寸法誤差をΔWとした時、寸法誤差ΔWが同一でも、幅Wが大きければ相対誤差ΔW/Wは小さくなり、幅Wが小さければ相対誤差ΔW/Wは大きくなる。
また、縦軸は出力強度を任意スケールで目盛ってある。入力光が光損失なく1対1に分岐されて出力される場合は0.5を示し、0.5と異なる場合は、光損失があるかまたは、入力光が1対1に正確に分岐されていないことを意味する。
図7(A)から(D)において、実線で示す曲線Iは、第1入力ポートである第1入力光導波路から入力光が入力され、第2出力ポートである第2出力光導波路から出力光が出力される場合を示している。また、破線で示す曲線IIは、第1入力ポートである第1入力光導波路から入力光が入力され、第1出力ポートである第1出力光導波路から出力光が出力される場合を示している。
図7(A)は、マルチモード光導波路部100の幅Wが12μm、マルチモード光導波路部100の長さVが210μm、第1入力光導波路、第1及び第2出力光導波路の幅が2μm、第1出力光導波路と第2出力光導波路との間隔Sを2μmに設定してシミュレーションした結果を示している。
図7(B)は、マルチモード光導波路部100の幅Wが16μm、マルチモード光導波路部100の長さVが365μm、第1入力光導波路、第1及び第2出力光導波路の幅が3μm、第1出力光導波路と第2出力光導波路との間隔Sを2μmに設定してシミュレーションした結果を示している。
図7(C)は、マルチモード光導波路部130の幅W’が6μm、マルチモード光導波路部130の長さV’が160μm、第1入力光導波路、第1及び第2出力光導波路の幅が2μm、第1出力光導波路と第2出力光導波路との間隔S’を2μmに設定してシミュレーションした結果を示している。
図7(D)は、マルチモード光導波路部130の幅W’が8μm、マルチモード光導波路部130の長さV’が280μm、第1入力光導波路、第1及び第2出力光導波路の幅が3μm、第1出力光導波路と第2出力光導波路との間隔S’を2μmに設定してシミュレーションした結果を示している。
これらのシミュレーションの結果から、マルチモード光導波路部の長さが、図2(B)示す従来のMMI光カプラは、図2(A)に示す従来のMMI光カプラの半分でほぼ同等の特性が得られることが分かる。図2(A)及び図2(B)のいずれに示す従来のMMI光カプラにおいても、マルチモード光導波路部の幅が広いほど、出力光の強度に対する寸法誤差の影響が小さい。すなわち、寸法誤差に対する、出力光強度を示す曲線が、図7(B)及び(D)に示すマルチモード光導波路部の幅が広い場合よりも、図7(A)及び(C)に示すマルチモード光導波路部の幅が狭い場合の方が大きく曲がっていることから明らかである。
また、図7(C)において、実線で示す曲線Iと破線で示す曲線IIとが、他の図面と比較して大きくずれていることから、マルチモード光導波路部の幅が狭い場合には、図2(B)に示す従来のMMI光カプラにおいては、出力光の光強度の分岐比も、寸法誤差の影響を強く受けることが分かる。
以上のシミュレーションの結果から、マルチモード光導波路部の幅を広くして、第1入力光導波路、第1及び第2出力光導波路の幅を広くし、第1出力光導波路と第2出力光導波路との間隔を広くすることによって、出力光の光損失を小さくでき、分岐比も寸法誤差の影響を受けにくくなることが確かめられた。
次に、図8(A)から(C)を参照して、第1の実施の形態のMMI光カプラの特性を評価した結果を説明する。図8(A)から(C)においても上記の図7(A)から(D)と同様に、横軸は寸法誤差をμm単位で目盛ってある。また、縦軸は出力強度を任意スケールで目盛ってある。図8(A)から(C)に関する説明において、寸法誤差という場合、第1及び第2入出力光導波路部と、第1から第4マルチモード光導波路部との全ての導波路部における幅についての寸法誤差を意味するものとする。
また、図8(A)から(C)において、実線で示す曲線Iは、第1入力ポートである第1サブ光導波路から入力光が入力され、第4出力ポートである第4サブ光導波路から出力光が出力される場合を示している。また、破線で示す曲線IIは、第1入力ポートである第1サブ光導波路から入力光が入力され、第3出力ポートである第3サブ光導波路から出力光が出力される場合を示している。
図8(A)は、第1の実施の形態のMMI光カプラについてのシミュレーション結果を示す。第1から第4サブ光導波路の幅を2μm、すなわち、W1=W2=2μmである。
また、MMI光カプラは、第1マルチモード光導波路部210の長さY2を140μm、第1マルチモード光導波路部210の幅(2W1+S1+2S2)を6μm、境界B3−1における第2マルチモード光導波路の幅及び第4マルチモード光導波路部230の幅W0を8μm、第4マルチモード光導波路部230の長さY4を10μm、第2マルチモード光導波路部の長さY3を10μmに設定されている。また、境界B3−2と境界B4とにおける第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244の幅は、それぞれ3μm及び2μmである。ここで、第1の実施の形態のMMI光カプラとしての全長を、図4に示す境界B1から境界B3−2までの間隔であると定義し、その長さを160μmと設定した。
第1の実施の形態のMMI光カプラは、その全長が図7(C)に示す従来のMMI光カプラと同程度であるにもかかわらず、出力光の強度を示す曲線がなだらかであることが明確に判読できる。すなわち、図8(A)と図7(C)に示す出力光の強度を示す曲線を両者比較すると、明らかに図7(C)に示す出力光の強度を示す曲線の方が大きく曲がっている。そして、図7(B)に示す素子長が365μmと2倍以上の長さの従来のMMI光カプラとその特性がほぼ等しい。このことから、第1の実施の形態のMMI光カプラは、従来のMMI光カプラの半分の長さで、同程度の特性が実現できることが分かる。
図8(B)は、第3マルチモード光導波路部240を設けずに、第3及び第4サブ光導波路が、第2入出力光導波路部250から第4マルチモード光導波路部230まで延長されている形状として構成された場合についてのシミュレーション結果を示す。従って、境界B3−2において、第4マルチモード光導波路部230の側端と、第3及び第4サブ光導波路の、最外側端とは一致せず段差が形成されている。
また、ここでは第3サブ光導波路と第4サブ光導波路との間隔Sを3.4μmに設定したが、この値は、第3及び第4サブ光導波路の幅を2μmとした時に最も強い出力光が得られえるように、シミュレーションして決定した値である。図8(B)に示すように、この場合には、寸法誤差が±0.15μm程度となると、出力光強度に大きな影響が出ることが分かる。すなわち、寸法誤差に対する出力光強度への影響を小さくするためには、第3マルチモード光導波路部240を設けることが必要であることが分かる。
また図8(B)に示すように、縦軸に示す出力強度が寸法誤差0.3μmとなると、0.4以下まで低下している。これは光損失が大きいことが原因である。この光損失の主要因は、境界B3−2における、第4マルチモード光導波路部230の側端と、第3及び第4サブ光導波路の最外側端との段差構造にあると考えられる。このことから、境界B1、B2、B3(B3−1、B3−2)及びB4において、導波路の側端同士が段差を持たないように一致させて構成することが、光損失を小さくすることに有効であることが分かる。
図8(C)は、第2マルチモード光導波路部の長さY3を、図8(A)及び(B)に示すMMI光カプラに比べて長く設定した場合についてのシミュレーション結果を示す。これは、出力光強度の分配比を調整するために第2マルチモード光導波路部の長さY3を20μmと長く変えてシミュレーションしたものである。第4マルチモード光導波路部230の長さY4は10μmと同一とし、MMI光カプラとしての全長である、図4(B)に示す境界B1から境界B3−2までの間隔を170μmと設定した。
図8(C)では、実線で示された曲線Iと破線IIで示された曲線とが大きく離れている。これは出力分岐比が1対1からずれていることを示している。第2マルチモード光導波路部の長さY3を調整することで、出力光強度比を変化させることができることが確かめられた。
マッハツェンダ型光変調器において、チャープ特性を調整する手段として、出力光強度比を変化させることが行われる。このような用途で、第1の実施の形態のMMI光カプラを利用する場合、第2マルチモード光導波路部の長さY3を調整することで出力光強度比を変化させることができることが確かめられた意義は大きいといえる。
第1から第4サブ光導波路は、通常はシングルモード光導波路として設計される。しかしながら、第1から第4サブ光導波路の長さを短く設計すると、たとえ導波路幅を、シングルモード導波条件を満たす幅として設定しても、不可避的にマルチモードで伝播する光が導波される場合もある。ただし第1から第4サブ光導波路は、マルチモード導波光が伝播しにくいようにシングルモード導波路として設計することが望ましい。
次に、第1の実施の形態のMMI光カプラについて、図9及び10を参照して、第3及び第4サブ光導波路内における出力光の蛇行の防止という特性を説明する。
既に説明したように、2×2光カプラでは、出力光導波路内の出力光を、伝播方向と平行に伝播させるために、2つの入力光導波路と、マルチモード光導波路部の入力端とを、入力光導波路のそれぞれの中心軸と、第1マルチモード光導波路部210の中心軸とをずれた位置につなげる構成が有効であることが、経験的に周知である。そして、上述したように、第1の実施の形態のMMI光カプラは、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2が、対称軸260から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離だけずれた位置を中点213とし、この中点213から、第1マルチモード光導波路部210の幅方向の両側に、それぞれ第1及び第2サブ光導波路202及び204の幅の4分の1の距離だけずれた位置間の、範囲W3内に存在する。
また、第1の実施の形態のMMI光カプラにおいて、第3及び第4サブ光導波路252及び254のそれぞれの中心軸209−1及び209−2の延長線であって、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244のそれぞれの中心軸が、第4マルチモード光導波路部230の幅に対する、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244のそれぞれの中心軸と、第4マルチモード光導波路部230の中心軸との距離の割合が、第1マルチモード光導波路部210の幅に対する、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2と、第1マルチモード光導波路部210の中心軸との距離の割合と等しくなる距離だけずれた位置に存在する。
このように、第1から第4サブ光導波路がそれぞれ位置決めされることによる、第1の実施の形態のMMI光カプラの、出力光の蛇行防止という特性を確認するために、この発明の発明者は、BPMを用いたシミュレーションによる評価を行った。
図9(A)及び(B)と、図10(A)〜(C)とは、それぞれMMI光カプラの第1入力ポートである第1入力光導波路202から入力光が入力され、第4出力ポートである第4出力光導波路254、及び第3出力ポートである第3出力光導波路252から出力光が出力される様子を示している。
このシミュレーションに用いたMMI光カプラは、第1から第4サブ光導波路の幅が2μm、すなわち、W1=W2=2μmである。また、MMIカプラは、第1マルチモード光導波路部210の長さY2が140μm、第1マルチモード光導波路部210の幅(2W1+S1+2S2)が11μm、境界B3−1における第2マルチモード光導波路の幅及び第4マルチモード光導波路部230の幅W0が15μm、第4マルチモード光導波路部230の長さY4が30μm、第2マルチモード光導波路部220の長さY3が40μmに設定されている。また、境界B3−2と境界B4とにおける第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244の幅は、それぞれ3μm及び2μmである。ここで、MMI光カプラとしての全長を、図4に示す境界B1から境界B3−2までの間隔であると定義し、その長さを210μmと設定した。
ここで、図9(A)及び(B)は、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2が、境界B1において、上述した範囲W3の外側に設定されたMMI光カプラについてシミュレーションを行った結果を示す。なお、縦軸は、MMI光カプラの長さ方向、すなわち光の伝播方向における距離をμm単位で目盛ってある。横軸は、MMI光カプラの幅方向における距離をμm単位で目盛ってある。
また、図10(A)〜(C)は、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2が、境界B1において、範囲W3の内側に設定されたMMI光カプラ、すなわち第1の実施の形態のMMI光カプラについてシミュレーションを行った結果を示す。なお、縦軸は、MMI光カプラの長さ方向、すなわち光の伝播方向における距離をμm単位で目盛ってある。横軸は、MMI光カプラの幅方向における距離をμm単位で目盛ってある。
これらのMMI光カプラは、各第3及び第4サブ光導波路252及び254のそれぞれの中心軸209−1及び209−2の延長線であって、各第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244のそれぞれの中心軸が、第4マルチモード光導波路部230の幅に対する、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244のそれぞれの中心軸と、第4マルチモード光導波路部230の中心軸との距離の割合が、第1マルチモード光導波路部210の幅に対する、各第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2と、第1マルチモード光導波路部210の中心軸との距離の割合と等しくなる距離だけずれた位置に存在する。
まず、図9(A)及び(B)を参照して、第1サブ光導波路のそれぞれの中心軸208−1が、境界B1において、範囲W3の外側に設定されたMMI光カプラの特性を評価した結果を説明する。
図9(A)は、以下のように設定されたMMI光カプラについて、シミュレーションした結果を示している。このMMI光カプラは、第1サブ光導波路202の中心軸208−1が、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離、すなわち1.83μmだけずれた位置を中点とし、この中点から、第1マルチモード光導波路部210の幅方向の対称軸260側に、第1サブ光導波路202の幅の2分の1の距離、すなわち1μmだけずれた位置に設定されている。
また、図9(B)は、以下のように設定されたMMI光カプラについて、シミュレーションした結果を示している。このMMI光カプラは、第1サブ光導波路の中心軸208−1が、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離、すなわち1.83μmだけずれた位置を中点とし、この中点から、第1マルチモード光導波路部210の幅方向の側端212−1側に、第1サブ光導波路の幅の2分の1の距離、すなわち1μmだけずれた位置に設定されている。
これらのシミュレーションの結果から、第1サブ光導波路の中心軸208−1が、範囲W3から対称軸260側に外れて設定されたMMI光カプラでは、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244内と、第3及び第4サブ光導波路252及び254内とにおいて、出力光301が蛇行することが確認される(図9(A)参照)。
また、第1サブ光導波路の中心軸208−1が、範囲W3から側端212−1側に外れて設定されたMMI光カプラについても、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244内と、第3及び第4サブ光導波路252及び254内とにおいて、出力光303が蛇行することが確認される(図9(B)参照)。
これら図9(A)及び(B)に示したように、第4出力光導波路254及び第3出力光導波路252内において、出力光301及び303が蛇行すると、例えばマッハツェンダ型変調器等の外部機器と接続された際に、外部機器の光ファイバに入力される光の中心軸が一定しない。この結果、外部機器に入力される光量が一定せず、いわゆる出力光の揺らぎという問題が生じる。従って、出力光の蛇行防止という問題を抑制するためには、第1サブ光導波路の中心軸208−1を、範囲W3から外れた位置に設定することは、不適であるといえる。
次に、図10(A)〜(C)を参照して、第1サブ光導波路202のそれぞれの中心軸208−1が、境界B1において、範囲W3の内側に設定されたMMI光カプラ、すなわち第1の実施の形態のMMI光カプラの特性を評価した結果を説明する。
図10(A)は、以下のように設定された第1の実施の形態のMMI光カプラについて、シミュレーションした結果を示している。このMMI光カプラは、第1サブ光導波路202の中心軸208−1が、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離、すなわち1.83μmだけずれた位置を中点とし、この中点から、第1マルチモード光導波路部210の幅方向の対称軸260側に、第1サブ光導波路の幅の4分の1の距離、すなわち0.5μmだけずれた位置に設定されている。
また、図10(B)は、以下のように設定された第1の実施の形態のMMI光カプラについて、シミュレーションした結果を示している。このMMI光カプラは、第1サブ光導波路202の中心軸208−1が、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離、すなわち1.83μmだけずれた位置に設定されている。
また、図10(C)は、以下のように設定された第1の実施の形態のMMI光カプラについて、シミュレーションした結果を示している。このMMI光カプラは、第1サブ光導波路202の中心軸208−1が、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離、すなわち1.83μmだけずれた位置を中点とし、この中点から、第1マルチモード光導波路部210の幅方向の側端212−1側に、第1サブ光導波路の幅の4分の1の距離、すなわち0.5μmだけずれた位置に設定されている。
これらのシミュレーションの結果から、第1サブ光導波路202の中心軸208−1が、範囲W3内に設定されたMMI光カプラでは、第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244内と、第3及び第4サブ光導波路252及び254内とにおいて、出力光の蛇行が抑制されているのが確認される。
すなわち、第1サブ光導波路の中心軸208−1が、範囲W3の各臨界点に設定された図10(A)及び(C)に示すMMI光カプラからの出力光305及び309と、図9(A)及び(B)に示すMMI光カプラからの出力光301及び303を比較すると、明らかに出力光305及び309の方が、伝播方向に直進していると判断できる。
また、第1サブ光導波路の中心軸208−1が、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離だけずれた位置に設定された図10(B)に示すMMI光カプラからの出力光307は、蛇行することなく伝播方向に直進していることが判断できる。この出力光307は、図10(A)及び(C)に示す出力光305及び309と比して、より蛇行が抑制されていることが明確にわかる。
従って、第1の実施の形態のMMI光カプラでは、第1サブ光導波路の中心軸208−1が、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離だけずれた位置を中点とし、この中点から、第1マルチモード光導波路部210の幅方向の両側に、それぞれ第1サブ光導波路の幅の4分の1の距離だけずれた位置間に設定されているのが好ましい。特に、第1サブ光導波路の中心軸208−1が、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離だけずれた位置に設定された場合に、最も出力光の蛇行が抑制されることが確認された。
〈第1の変形例〉
図11は、第1の変形例を説明する概略図である。第1の変形例では、上述の第1の実施の形態のMMI光カプラにおいて、第1入出力光導波路部200と第1マルチモード光導波路部210との間に、第5マルチモード光導波路部290を設けた構成について説明する。なお、この第1の変形例によるMMI光カプラが第1の実施の形態によるMMI光カプラと構成上相違するのは、第5マルチモード光導波路部290を有する点である。その他の構成要素及び作用効果は、同様であるので、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
図11は、第1の変形例を説明する概略図である。第1の変形例では、上述の第1の実施の形態のMMI光カプラにおいて、第1入出力光導波路部200と第1マルチモード光導波路部210との間に、第5マルチモード光導波路部290を設けた構成について説明する。なお、この第1の変形例によるMMI光カプラが第1の実施の形態によるMMI光カプラと構成上相違するのは、第5マルチモード光導波路部290を有する点である。その他の構成要素及び作用効果は、同様であるので、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
第1の変形例のMMI光カプラは、第1入出力光導波路部及び第2入出力光導波路部と、第1入出力光導波路部の最外側端間の距離よりも幅の広いマルチモード導波光を伝播させる、第1、第2、第3、第4、及び第5マルチモード光導波路部とを具える構造体として形成される。そして、これら第1入出力光導波路部200、第5マルチモード光導波路部290、第1マルチモード光導波路部210、第2マルチモード光導波路部220、第4マルチモード光導波路部230、3マルチモード光導波路部240、及び第2入出力光導波路部250は、この順序で連続的につながっている。
第5マルチモード光導波路部290は、対称軸260に対して線対称形であって、この第5マルチモード光導波路部290の幅が、第1入出力光導波路部200との境界B5から第1マルチモード光導波路部210との境界B6に向かって、連続的に広がった第3形状の平面形状を有するマルチモード光導波路292が設置されている。すなわち、第5マルチモード光導波路部290の側端292−1及び292−2が、境界B5から境界B6に向かって連続的に広がっている。なお、第5マルチモード光導波路部290は、対称軸260に対して線対称形であって、図11では、側端294−1及び294−2が直線形状であるが、上述した第2及び第3マルチモード光導波路部220及び240と同様の理由により、必ずしも直線形状である必要はない。
第5マルチモード光導波路部290を設ける場合には、第1マルチモード光導波路部210と第5マルチモード光導波路部290とは、境界B6において、それぞれの幅方向の側端を一致させてつながっている。すなわち、側端212−1と側端294−1とを一致させ、かつ側端212−2と側端294−2とを一致させてつながっている。また、第1入出力光導波路部200と第5マルチモード光導波路部290とは、以下のような位置関係において繋がっている。すなわち、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2が、境界B5上において、第1マルチモード光導波路部210の中心軸、すなわち対称軸260から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離だけずれた位置を中点213とし、この中点213から、第1マルチモード光導波路部210の幅方向の両側に、それぞれ第1及び第2サブ光導波路202及び204の幅の4分の1の距離だけずれた位置間の、範囲W3内に相当する位置においてつながっている。
これは、第1の実施の形態で既に説明したように、出力光を第3及び第4サブ光導波路252及び254内で蛇行することなく、伝播方向と平行に伝播させるためである。そして、この第1の変形例のMMI光カプラについても、第1の実施の形態と同様に、第1及び第2サブ光導波路202及び204のそれぞれの中心軸208−1及び208−2を、境界B5上において、第1マルチモード光導波路部210の中心軸から、第1マルチモード光導波路部210の幅の6分の1の距離だけずれた位置に相当する位置に設置するのが、蛇行を防止するために最適である。
第1の変形例のMMI光カプラでは、第1の実施の形態のMMI光カプラの構成に加えて、第5マルチモード光導波路290が設けられている。これによって、第1の変形例のMMI光カプラでは、第1入出力光導波路部200から入力された光は、第5マルチモード光導波路290を経ることによって、励起率が増加する。この結果、素子長を短くした場合において、寸法誤差に対する特性がより良好となる。
第1の変形例のMMI光カプラと第1の実施の形態のMMI光カプラとの特性を比較するために、BPMを用いたシミュレーションによる評価を行った。
図12は、図4を参照して説明した第1の実施の形態のMMI光カプラの特性を示す図である。図12において、横軸はマルチモード光導波路部、第1入力光導波路、第3サブ光導波路及び第4サブ光導波路における幅の寸法誤差をμm単位で目盛ってある。光導波路の形状を確定する主たる作業工程はフォトリソグラフィー及びエッチング工程である。光導波路の幾何的な形状の寸法誤差は、フォトリソグラフィー及びエッチング工程で決まり、光導波路の場所には依らない。従って、例えば、幅Wに関する寸法誤差をΔWとした時、寸法誤差ΔWが同一でも、幅Wが大きければ相対誤差ΔW/Wは小さくなり、幅Wが小さければ相対誤差ΔW/Wは大きくなる。
図12において、実線で示す曲線Iは、第1入力ポートである第1サブ光導波路202から入力光が入力され、第2出力ポートである第4サブ光導波路254から出力光が出力される場合を示している。また、破線で示す曲線IIは、第1入力ポートである第1サブ光導波路202から入力光が入力され、第1出力ポートである第3サブ光導波路252から出力光が出力される場合を示している。
図12は、以下のように設定された第1の実施の形態のMMI光カプラについてのシミュレーション結果である。
このMMI光カプラは、第1及び第2サブ光導波路202及び204の幅が2.3μm、すなわちW1=2.3μmである。また、第3及び第4サブ光導波路の幅は、2μm、すなわちW2=2μmである。また、MMI光カプラは、第1マルチモード光導波路部210の長さY2を150μm、第1マルチモード光導波路部210の幅(2W1+S1+2S2)を11μm、境界B3−1における第2マルチモード光導波路の幅及び第4マルチモード光導波路部230の幅W0を15μm、第4マルチモード光導波路部230の長さY4を10μm、第2マルチモード光導波路部の長さY3を30μmに設定されている。また、境界B3−2と境界B4とにおける第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244の幅は、それぞれ3.2μm及び2μmである。ここで、第1の実施の形態のMMI光カプラとしての全長を、図4に示す境界B1から境界B3−2までの間隔であると定義し、その長さを190μmと設定した。
また、図13は、図11を参照して説明した第1の変形例のMMI光カプラの特性を示す図である。図12と同様に、図13において、横軸はマルチモード光導波路部、第1入力光導波路、第3サブ光導波路252及び第4サブ光導波路254における幅の寸法誤差をμm単位で目盛ってある。光導波路の形状を確定する主たる作業工程はフォトリソグラフィー及びエッチング工程である。光導波路の幾何的な形状の寸法誤差は、フォトリソグラフィー及びエッチング工程で決まり、光導波路の場所には依らない。従って、例えば、幅Wに関する寸法誤差をΔWとした時、寸法誤差ΔWが同一でも、幅Wが大きければ相対誤差ΔW/Wは小さくなり、幅Wが小さければ相対誤差ΔW/Wは大きくなる。
図13において、実線で示す曲線Iは、第1入力ポートである第1サブ光導波路202から入力光が入力され、第2出力ポートである第4サブ光導波路254から出力光が出力される場合を示している。また、破線で示す曲線IIは、第1入力ポートである第1サブ光導波路202から入力光が入力され、第1出力ポートである第3サブ光導波路252から出力光が出力される場合を示している。
図13は、以下のように設定された第1の変形例のMMI光カプラについてのシミュレーション結果である。
このMMI光カプラは、第1及び第2サブ光導波路202及び204の幅が2.3μm、すなわちW1=2.3μmである。また、第3及び第4サブ光導波路252及び254の幅は、2μm、すなわちW2=2μmである。また、MMI光カプラは、第5マルチモード光導波路部の長さY7を30μm、第1マルチモード光導波路部210の長さY2を105μm、第1マルチモード光導波路部210の幅(2W1+S1+2S2)を11μm、境界B3−1における第2マルチモード光導波路の幅及び第4マルチモード光導波路部230の幅W0を15μm、第4マルチモード光導波路部230の長さY4を10μm、第2マルチモード光導波路部220の長さY3を40μmに設定されている。また、境界B5とB6とにおける第5マルチモード光導波路部290の幅は、それぞれ8μm及び11μmである。境界B3−2と境界B4とにおける第1及び第2サブマルチモード光導波路242及び244の幅は、それぞれ3.2μm及び2μmである。ここで、第1の変形例のMMI光カプラとしての全長を、図11に示す境界B5から境界B3−2までの間隔であると定義し、その長さを185μmと設定した。
このシミュレーションに用いた第1の変形例のMMI光カプラは、第1の実施の形態のMMI光カプラとその全長が同程度であるにもかかわらず、図13に示す出力光の強度を示す曲線がなだらかであることが明確に判読できる。すなわち、図12と図13とに示す出力光の強度を示す曲線を両者比較すると、明らかに図12に示す出力光の強度を示す曲線の方が大きく曲がっていることが理解できる。
また、図13では、実線で示された曲線と破線で示された曲線とがほぼ一致している。これは、第1の変形例のMMI光カプラでは、出力分岐比が1対1に近い値であることを示している。そして、これに対して、図12では、実線で示された曲線と破線で示された曲線とが離れている。これは、第1の実施の形態のMMI光では、出力分岐比が1対1からずれていることを示している。
以上の結果から、第1の変形例のMMI光カプラは、第1の実施の形態のMMI光カプラと比して、より寸法誤差に対する特性が良好であることが確認できた。すなわち、寸法誤差に起因する出力光強度、及び出力分岐比への影響を小さくするために、第5マルチモード光導波路部290を設けることが有効であることが分かる。
10:1×2光カプラ
12、14、16、26、32、34、36、38、46、48、52、54、62、64、76、78:シングルモード光導波路
18、22、42、44、66、68、92:金属膜電極
20:2×1光カプラ
24、25、50、51:電極パッド
30、40、60、70:2×2光カプラ
56、72:マルチモード光導波路
80:p−InP単結晶板
82、83:p−InPクラッド層
84、85:i−InGaAsP導波層
86、87:n−InPクラッド層
88a、88b、88c:ポリイミド層
90:リッジ形のマルチモード光導波路
94:リッジ形のシングルモード光導波路
100、130、170:マルチモード光導波路部
102、132:マルチモード光導波路第1側面
104、134:マルチモード光導波路第2側面
106、136:マルチモード光導波路入力側側面
108、138:マルチモード光導波路出力側側面
110、140、162:入力光導波路部
112、142:第1入力光導波路
114、144:第2入力光導波路
120、150、164:出力光導波路部
122、152:第1出力光導波路
124、154:第2出力光導波路
166:括れ部分
200:第1入出力光導波路部
202:第1サブ光導波路
204:第2サブ光導波路
210:第1マルチモード光導波路部
220:第2マルチモード光導波路部
221、222、232、292:マルチモード光導波路
230:第4マルチモード光導波路部
240:第3マルチモード光導波路部
242:第1サブマルチモード光導波路
244:第2サブマルチモード光導波路
250:第2入出力光導波路部
252:第3サブ光導波路
254:第4サブ光導波路
260:導波方向に平行な対称軸
290:第5マルチモード光導波路部
301、303、305、307、309:出力光
12、14、16、26、32、34、36、38、46、48、52、54、62、64、76、78:シングルモード光導波路
18、22、42、44、66、68、92:金属膜電極
20:2×1光カプラ
24、25、50、51:電極パッド
30、40、60、70:2×2光カプラ
56、72:マルチモード光導波路
80:p−InP単結晶板
82、83:p−InPクラッド層
84、85:i−InGaAsP導波層
86、87:n−InPクラッド層
88a、88b、88c:ポリイミド層
90:リッジ形のマルチモード光導波路
94:リッジ形のシングルモード光導波路
100、130、170:マルチモード光導波路部
102、132:マルチモード光導波路第1側面
104、134:マルチモード光導波路第2側面
106、136:マルチモード光導波路入力側側面
108、138:マルチモード光導波路出力側側面
110、140、162:入力光導波路部
112、142:第1入力光導波路
114、144:第2入力光導波路
120、150、164:出力光導波路部
122、152:第1出力光導波路
124、154:第2出力光導波路
166:括れ部分
200:第1入出力光導波路部
202:第1サブ光導波路
204:第2サブ光導波路
210:第1マルチモード光導波路部
220:第2マルチモード光導波路部
221、222、232、292:マルチモード光導波路
230:第4マルチモード光導波路部
240:第3マルチモード光導波路部
242:第1サブマルチモード光導波路
244:第2サブマルチモード光導波路
250:第2入出力光導波路部
252:第3サブ光導波路
254:第4サブ光導波路
260:導波方向に平行な対称軸
290:第5マルチモード光導波路部
301、303、305、307、309:出力光
Claims (3)
- 第1入出力光導波路部及び第2入出力光導波路部と、該第1入出力光導波路部の最外側端間の距離よりも幅の広い、マルチモード導波光を伝播させる第1、第2、第3及び第4マルチモード光導波路部とを具える構造体として形成され、
前記第1入出力光導波路部、前記第1マルチモード光導波路部、前記第2マルチモード光導波路部、前記第4マルチモード光導波路部、前記第3マルチモード光導波路部、及び前記第2入出力光導波路部は、この順序で連続的につながっており、
前記第1入出力光導波路部は、導波方向に平行な対称軸に対して、互いに線対称にかつ離間して、配置された第1及び第2サブ光導波路で以って構成されており、
前記第2マルチモード光導波路部は、前記対称軸に対して線対称形であって、当該第2マルチモード光導波路部の幅が、前記第1マルチモード光導波路部との境界から前記第4マルチモード光導波路部との境界に向かって、連続的に広がった第1形状の平面形状を有し、
前記第3マルチモード光導波路部は、前記対称軸に対して線対称に、かつ離間して配置された第1及び第2サブマルチモード光導波路で以って構成されており、
該第1及び第2サブマルチモード光導波路は、前記第4マルチモード光導波路部との境界から前記第2入出力光導波路部との境界に向かって、連続的に狭まった第2形状の平面形状を有し、
前記第2入出力光導波路部は、前記対称軸に対して、互いに線対称にかつ離間して、配置された第3及び第4サブ光導波路で以って構成されており、
前記第1及び第2サブ光導波路と、前記第1マルチモード光導波路部とは、前記第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸が、前記第1マルチモード光導波路部の中心軸から、該第1マルチモード光導波路部の幅の6分の1の距離だけずれた位置を中点とし、該中点から、前記第1マルチモード光導波路部の幅方向の両側に、それぞれ前記第1及び第2サブ光導波路の幅の4分の1の距離だけずれた位置間の、範囲内においてつながっており、
前記第1及び第2サブマルチモード光導波路と、前記第4マルチモード光導波路部とは、前記第3及び第4サブ光導波路のそれぞれの中心軸の延長線であって、前記第1及び第2サブマルチモード光導波路のそれぞれの中心軸が、前記第4マルチモード光導波路部の中心軸から、該第4マルチモード光導波路部の幅に対する、該第1及び第2サブマルチモード光導波路のそれぞれの中心軸と、該第4マルチモード光導波路部の中心軸との距離の割合が、前記第1マルチモード光導波路部の幅に対する、前記第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸と、前記第1マルチモード光導波路部の中心軸との距離の割合と等しくなる距離だけずれた位置においてつながっている
ことを特徴とするマルチモード干渉光カプラ。 - 請求項1に記載のマルチモード干渉光カプラであって、
前記第1及び第2サブ光導波路と、前記第1マルチモード光導波路部とは、前記第1及び第2サブ光導波路のそれぞれの中心軸が、前記第1マルチモード光導波路部の中心軸から、該第1マルチモード光導波路部の幅の6分の1の距離だけずれた位置においてつながっており、
前記第1及び第2サブマルチモード光導波路と、前記第4マルチモード光導波路部とは、前記第3及び第4サブ光導波路のそれぞれの中心軸の延長線であって、前記第1及び第2サブマルチモード光導波路のそれぞれの中心軸が、前記第4マルチモード光導波路部の中心軸から、該第4マルチモード光導波路部の幅の6分の1の距離だけずれた位置においてつながっている
ことを特徴とするマルチモード干渉光カプラ。 - 請求項1または2に記載のマルチモード干渉光カプラであって、
前記第1入出力光導波路部及び前記第1マルチモード光導波路部間に第5マルチモード光導波路部を具えており、
該第5マルチモード光導波路部は、前記対称軸に対して線対称形であって、当該第5マルチモード光導波路部の幅が、前記第1入出力光導波路部との境界から前記第1マルチモード光導波路部との境界に向かって、連続的に広がった第3形状の平面形状を有する
ことを特徴とするマルチモード干渉光カプラ。
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