JP6412927B2 - ムコ多糖症の治療におけるオジパルシルの使用 - Google Patents

ムコ多糖症の治療におけるオジパルシルの使用 Download PDF

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Description

本発明は、ムコ多糖症、特にマロトー・ラミー病の治療におけるオジパルシル又は該化合物を含有する医薬組成物の使用に関する。
ムコ多糖症(MPS)は、酵素欠損に関連した変性遺伝子疾患である。具体的には、グリコサミノグリカン(GAG)と呼ばれる複雑な糖分子の緩やかな代謝を触媒する酵素であるライソゾームが欠損又は不活性化することで、MPSが引き起こされる。このように酵素が欠損すると、患者の細胞や組織中、なかでも細胞ライソゾーム中にGAGが蓄積して永続的且つ進行性の細胞損傷を引き起こし、患者の外見、身体能力、臓器機能等に影響を及ぼし、ほとんどの場合は精神発達にも影響を及ぼす。
酵素欠損症としては、7種類あるMPSの病型に対応して11種類が同定されている。各MPSにおいては、ムコ多糖類、すなわちヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸及びケラタン硫酸を分解する酵素が1種以上欠損又は不活性化していることを特徴としている。
ムコ多糖症III型(MPS III型)、あるいはサンフィリポ病は、ムコ多糖症群のなかでも深刻且つ急激な知能低下を特徴とするライソゾーム蓄積病である。最初の症状は2〜6歳で現れ、問題行動(多動、攻撃性)、知能低下及び睡眠障害や、中程度の形態異常の徴候が見られる。神経損傷は10歳頃で更に顕著となり、精神運動習得や周囲との意思疎通の喪失が見られる。10歳以降では、てんかんも頻繁に起こる。この疾患は、ヘパラン硫酸を異化するのに必要な4種の酵素のうちどれか1つが欠損してその未分解物が存在するために発生し、MPS III型は、欠損酵素の違いによってIIIA型(ヘパランスルファミダーゼ)、IIIB型(α−N−アセチルグルコサミニダーゼ)、IIIC型(アセチルCoA:α−グルコサミニド−N−アセチル−トランスフェラーゼ)及びIIID型(N−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼ)の4亜型に分けられる。現時点では、この疾患に対する効果的な治療法は存在しない。
ムコ多糖症VI型(MPS VI型)、あるいはマロトー・ラミー病は、ムコ多糖症群のなかでも、深刻な身体的症状が見られるが精神的・知的退行は見られないライソゾーム蓄積病である。このムコ多糖症は希少な疾患であり、発症率は新生児250,000〜600,000人に1人程度である。重症型の場合、最初の臨床症状は6〜24ヶ月で発生し、次第に悪化する。症状としては、顔異形症(大舌症、常に口が半分開いた状態、濃い顔立ち(thick features))、関節拘縮、非常に重度の各種異骨症(扁平椎体症、脊柱後弯症、脊柱側弯症、鳩胸、外反膝、長骨弯曲)、低身長(1.10m未満)、肝臓肥大、心臓弁膜症、心筋症、難聴、角膜混濁等が挙げられる。通常、知能発達は正常であるか、見た目では正常であるが、聴覚及び視覚的損傷により、学習障害が起こることもある。この疾患における症状及び重症度は患者によってかなり異なっており、中間型や、非常に穏やかな症状の型も存在する(心血管の損傷に伴う脊椎骨端異形症)。他のムコ多糖症と同様に、マロトー・ラミー病も、ムコ多糖代謝酵素(この場合はN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ(アリールスルファターゼBともいう))の欠損に関連している。この酵素はデルマタン硫酸の硫酸基を代謝する(非特許文献1)。この酵素が欠損するとデルマタン硫酸の緩やかな分解が阻害され、貯蔵組織のライソゾームにデルマタン硫酸が蓄積する。現時点で、この疾患を治療するための薬剤としては、Naglazyme(登録商標)(組換え型ヒトガルスルファーゼ)1種類だけが承認されているが、そのコストは極めて高い(米国の場合、約350,000ドル/年)。これに対する代替治療としては同種骨髄移植が挙げられる。
ムコ多糖症VII型(MPS VII型)、あるいはスライ病は、ムコ多糖症群の中でも極めて珍しいライソゾーム蓄積病である。その総体的症状は極めて異質である。出生前型(非免疫性胎児水腫)、新生児重症型(醜形(dysmorphia)、ヘルニア、肝脾腫、先天性内反足、異骨症、顕著な低血圧、生存できた場合も成長遅滞及び最重度知的障害を引き起こす神経症状等を伴う)及び青年期あるいは成人してから発見される極中度型(胸部脊柱後弯症)。この疾患はβ−D−グルクロニダーゼの欠損に由来し、各種グリコサミノグリカン(デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸及びコンドロイチン硫酸)のライソゾーム内への蓄積を引き起こす。現時点で、この疾患に対する効果的な治療法は存在しない。
従って、MPS III型、VI型及びVII型の患者に薬剤治療を提供すること、また、MPS VI型の場合は、バイオテクノロジーによらない代替治療を提供することが必要であるのは明白である。
Neufeld et al.,「The mucopolysaccharidoses」,The Metabolic Basis of Inherited Diseases,eds.Scriver et al,New York,McGraw−Hill,1989,p.1565−1587
オジパルシル(4−メチル−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド;CAS137215−12−4)は、チオキシロシドファミリーに属する。特許出願EP0421829Aに記載されたこの化合物は、下記式で表される。
Figure 0006412927
この化合物は、1990年代末から2000年代始めに、血栓症の治療における臨床開発(フェーズ1及び2)の対象となっていた。その作用機序は、以下のように要約できる。オジパルシルは、デルマタン硫酸/コンドロイチン硫酸経路に向かってGAG鎖の合成を開始する酵素GT1(ガラクトシルトランスフェラーゼ1)に対する基質として作用する。これらのGAGは、プロテオグリカンとして細胞構成要素となり(セリンと第一の糖であるキシロースを介してタンパク質に結合した場合)、また細胞外培地にも分泌される。その役割は、凝血制御(血液循環内に分泌されるヘパリン/ヘパラン及びデルマタン硫酸)から成長因子の調節(β−グリカン)まで種々にわたる。
オジパルシルにより、細胞外レベルで総GAG合成を増加できること、更には、「おとり」として作用することで、細胞内GAG負荷を低減でき、N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼの残効性をより効果的なものにできることが注目されており、これが本発明の主題である。従って、細胞内レベルでGAG蓄積が低減することにより、MPS III型、VI型及びVII型を治療できるものと考えられる。
オジパルシルは、ウシ大動脈内皮細胞の培養上清内における35S標識GAG濃度を用量依存的に増加させることを示す図である。 オジパルシルは、ヒト皮膚繊維芽細胞による総GAG合成を用量依存的に刺激する(10μMで+94%)ことを示す図である。
第一の態様によれば、本発明は、ムコ多糖症III型、VI型又はVII型の治療、なかでもMPS VI型(マロトー・ラミー病ともいう)の治療に使用されるオジパルシルに関する。
オジパルシル及びその製造方法としては、例えば、EP0421829Aに記載されている。
本発明において、「オジパルシル」とは「β−D−キシロピラノシド」型を意味する。
一実施形態において、本発明で使用されるオジパルシルは、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%がD構造である。本実施形態において、上記オジパルシルはβ−アノマー型であることが好ましい。
別の実施形態において、本発明で使用されるオジパルシルは、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%がβ−アノマー型であることが好ましい。
オジパルシルは、1日あたり約100〜約5000mgの割合で投与されることが好ましい。例えば、1日あたり約100、250、300、375、400、500、750、800、1000、1500、2000、3000、4000又は5000mgのオジパルシルが投与される。
一実施形態において、オジパルシルは、患者の体重1kgにつき1日あたり少なくとも約0.1〜約70mg投与する。例えば、患者の体重1kgにつき1日あたり少なくとも約1又は2mg〜約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65又は70mgのオジパルシルが投与される。
一実施形態において、オジパルシルは、1日あたり1回又は2回(例えば、10〜12時間毎に)投与する。従って、上述した1日投与量を1日2回(bid)投与用に分けることができる。例えば、1000mgの1日投与量を、500mgずつ2回分にして投与できる。各投与分は1以上の剤形で構成されていてもよい。例えば、500mgの投与分を、250mgずつの2つの剤形としてもよい。
一実施形態において、オジパルシルは絶食状態(すなわち、胃が空の状態。例えば、食事の少なくとも1時間前、又は、食事から2時間超経過した後)で投与する。別の実施形態において、オジパルシルは食事摂取の間(すなわち、食事を摂るのと同時又は直前。例えば、食事の約20〜30分前又は食後5分以内)に投与する。
一実施形態において、オジパルシルは、当業者に周知の方法(例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Lippincott Williams&Wilkins,2006」に記載の方法)に従い、医薬的に許容される賦形剤を1種以上含有する医薬組成物として処方される。
すなわち、第二の態様によれば、本発明はムコ多糖症III型、VI型又はVII型の治療、なかでもマロトー・ラミー病の治療に使用される、オジパルシルと1種以上の医薬的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物に関する。
上記医薬組成物は、所望の投与経路に好適な任意の剤形とできる。投与経路としては、経口、舌、舌下、経口、直腸、局所、静脈内、動脈内、皮下、鼻腔内、経皮、筋肉内又は腹腔内が挙げられる。
一実施形態において、上記医薬組成物は、オジパルシルを約100〜1000mg、例えば、100、125、150、250、375、400、500又は1000mg含有する。
一実施形態において、上記医薬組成物は、注射投与されるものであり、ビヒクルを含有している。該ビヒクルは、典型的には、水に加えて糖類、防腐剤、塩類、緩衝剤等の成分を1種以上含有していてもよい無菌水溶液である。上記注射用懸濁液は、懸濁剤と所望の液状ビヒクルとを含有してもよい。
一実施形態において、上記医薬組成物は経口投与される。好適な経口剤形としては、固形製剤及び液剤が挙げられる。上記医薬組成物が固形製剤(ゼラチンカプセル、錠剤、乾燥粉末剤等)の場合、使用可能な賦形剤としては、例えば、希釈剤、潤滑剤、バインダ、崩壊剤及び充填剤等が挙げられる。上記固形製剤は、コーティングされていても、されていなくてもよい。コーティングされている場合、該コーティングは、腸溶性でも非腸溶性でもよい。上記医薬組成物が液剤(エリキシル剤又はシロップ等)の場合、使用可能な賦形剤としては、水、グリコール、塩水、アルコール及び香料等が挙げられる。
上記医薬組成物は、錠剤であることが好ましい。このような組成物は、均質な混合物が得られるまで各種構成成分を混合することと、該混合物を圧縮して錠剤を得ることを含む1以上の工程で調製できる。一実施形態において、上記組成物は、湿式造粒法によって調製できる。該方法は当業者に周知の方法である。例えば、オジパルシルと、希釈剤、バインダ及び十分な量の造粒流体(水等)の一部又は全体とを混合、粒状化、乾燥、粉砕して、顆粒を形成する。必要に応じて、上記顆粒を残りの構成成分と混合し、混合物を圧縮する。上記錠剤は、錠剤の総重量に対してオジパルシルを約5%〜約90%含有することが好ましい。
第三の態様によれば、本発明は、ムコ多糖症III型、VI型又はVII型、なかでもマロトー・ラミー病を治療する方法であって、投与を必要とする患者に対して、治療上有効な量のオジパルシル又は該化合物を含有する医薬組成物を投与することを含む方法に関する。一実施形態において、オジパルシル及び上記医薬組成物の1日あたりの用法は、上で定義した通りである。
以下に実施例を示して、本発明を説明する。
<薬理活性>
(1.培養細胞で得られた結果)
(1.1.ウシ大動脈内皮細胞)
6ウェルプレートでウシ大動脈内皮細胞(ECACC92010601)を培養し、35S硫酸ナトリウム(10μci/ml)と、DMSOで所定の濃度(1〜10μM;DMSO最終濃度:0.1%)に可溶化したオジパルシルとの存在下、24時間インキュベートした。その後、培養上清を回収して細胞層をリン酸バッファ(PBS)で洗浄し、上記培養上清及び洗浄液を試験管内でひとまとめにした。次いで、未標識のデルマタン硫酸(200μg)溶液を連行剤(entraining agent)として働かせるために加えた。Sephadex G25カラムを用いてゲル濾過することで、導入されなかった35Sを取り除いた。この際、GAGはカラムの排除画分(V0)に溶離していた。塩化セチルピリジニウム溶液(最終濃度:0.1%)を溶離液に加え、室温で24時間、GAGを析出した。その後、サンプルを遠心分離して上清を除去した。得られた析出物を2M塩化マグネシウムに再溶解し、5体積の95%エタノールでGAGを析出した。遠心分離後、アルコール性の析出物を0.9%塩化ナトリウムに再溶解し、カウンティングバイアルにシンチレーション流体を加えてから、分取画分の放射能を測定した。
培養細胞の上清内で生成されたGAGを類別するため、0.5mU/μLのコンドロイチナーゼABC(Proteus vulgaris)を用いて、再溶解したアルコール性析出物を37℃で3時間処理した。上記酵素を100℃で3分間不活化した後、5体積の95%エタノールを用いて、4℃で一晩、未消化のGAGを析出した。遠心分離後、上記アルコール性析出物を0.9%塩化ナトリウムに再溶解し、カウンティングバイアルにシンチレーション流体を加えてから、分取画分の放射能を測定した。
ヘパラン硫酸型GAGを、4mU/μlのヘパリナーゼII(Flavobacterium heparinum)を用いて30℃で12時間処理した。上記酵素を100℃で3分間不活化した後、5体積の95%エタノールを用いて、4℃で一晩、未消化のGAGを析出した。遠心分離後、上記アルコール性析出物を0.9%塩化ナトリウムに再溶解し、カウンティングバイアルにシンチレーション流体を加えてから、分取画分の放射能を測定した。
図1から分かる通り、オジパルシルは、ウシ大動脈内皮細胞の培養上清内における35S標識GAG濃度を用量依存的に増加させる。
また、酵素消化により、培養細胞によって合成されたGAGはコンドロイチン硫酸型が主であることが示唆される。
(1.2.ヒト繊維芽細胞)
正常ヒト皮膚繊維芽細胞(BIOalternatives PF2)を、96ウェルプレートで24時間培養した。上記培地を、所定濃度(1μM、3μM、10μM)のオジパルシルを含有する培地若しくは含有しない(コントロール)培地、又は、10ng/mlのTGF−βリファレンスを含有する(ポジティブコントロール)培地と置き換えた後、総GAG合成を評価するためにH−グルコサミン放射標識を加えて、上記細胞を72時間インキュベートした。インキュベート終了時、培養プレートのウェルにカオトロピックバッファを加えて、繊維芽細胞を溶解した。次いで、細胞溶解液のGAG全体をイオン交換クロマトグラフィー(Q−Sepharoseカラム)により精製した。液体シンチレーションにより、アニオン性画分に取り込まれた放射能を測定した。
図2から分かる通り、オジパルシルは、ヒト皮膚繊維芽細胞による総GAG合成を用量依存的に刺激する(10μMで+94%)。データを一元配置分散分析によって統計的に分析し、ダネットの検定を実施した(*p<0.05 vsコントロール;**p<0.01 vsコントロール;***p<0.001 vsコントロール)。
(2.in vivoでウサギに経口投与して得られた結果)
オジパルシルを400mg/kgの用量でニュージーランドウサギに経口投与した。投与から4時間後、当該動物に麻酔をかけ、頸動脈へのカテーテル法により血液サンプルをクエン酸チューブに採取した。遠心分離後、血漿を除去、凍結した。Pronase Eを用いて、50℃で48時間、タンパク質を消化させた後、血漿GAGを単離した。トリクロロ酢酸を加えてタンパク質及びタンパク質残渣を析出させ、4℃で一晩インキュベートした。遠心分離後、上清を回収し、リン酸バッファ100体積に対して、4℃で48時間透析した。塩化セチルピリジニウム溶液(最終濃度:0.1%)を透析物に加えて、周囲温度で24時間、GAGを析出した。次いで、サンプルを遠心分離し、上清を除去した。得られた析出物を2M塩化ナトリウムに再溶解し、GAGを5体積の95%エタノールで析出した。遠心分離後、アルコール性析出物を0.9%塩化ナトリウムに再溶解し、Sephadex G25カラム(PD10)で脱塩した。
Bitter及びMuirのカルバゾール変法によりウロン酸含量を分析することで、抽出した血漿GAGを定量した。血漿GAGエキスの定性分析は、Proteus vulgaris由来のコンドロイチナーゼABCとArthrobacter aurescens由来のコンドロイチナーゼACとを用いた酵素消化により得られた二糖類をHPLCにかけることで実施した。
以下の表から、400mg/kg用量のオジパルシルで当該動物を治療した場合、コントロール動物群と比較して、(ウロン酸濃度を介して測定した)血漿GAG濃度が5倍に増加していることが分かる。定性的観点から見ると、コンドロイチン型GAGについては、ガラクトサミン−4−硫酸二糖類(Δdi−4S DS)を介して測定されたガラクトサミン−6−硫酸成分及びデルマタン硫酸成分(コンドロイチンB)が増加している。
Figure 0006412927
以上の結果から、オジパルシルは、総GAG合成を増加させ(ヒト繊維芽細胞)、細胞外のコンドロイチン型GAG濃度を上昇させ(ウシ大動脈内皮細胞)、血漿GAG、なかでもコンドロイチン型GAGの合成を増加させることが分かった。MPS III型、VI型及びVII型は細胞内GAGの蓄積を特徴としているので、これらの結果から、オジパルシルは細胞内GAG負荷を低減でき、従って、MPSの治療に有益であることが分かる。
(調合例)
湿式造粒法によって得られた錠剤の成分(重量%)
オジパルシル:90%
結晶セルロース(国民医薬品集又は欧州薬局方):7%
ポビドン(ポリビニルピロリドン)(米国薬局方又は欧州薬局方):3%
水(米国薬局方又は欧州薬局方):湿式造粒するのに十分な量

Claims (9)

  1. オジパルシルを含む、ムコ多糖症VI型又はVII型の治療用医薬組成物
  2. オジパルシルが1日あたり00mg〜000mgの量で投与されるように用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 食物と共に投与される請求項1または2に記載の医薬組成物
  4. ムコ多糖症VI型(マロトー・ラミー病の治療用の、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物
  5. 種以上の医薬的に許容される賦形剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. オジパルシルを100mg〜1000mg含有する請求項に記載の医薬組成物。
  7. 経口剤形である請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 固形製剤である請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 錠剤である請求項8に記載の医薬組成物。
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