以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、サイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器の概略図であり、図2および図3は、それぞれ図1に示すシリンダ型ガス発生器の点火器近傍の拡大模式断面図およびガス噴出口近傍の拡大模式断面図である。図4ないし図6は、それぞれ図3中に示すIV−IV線、V−V線およびVI−VI線に沿った模式断面図である。また、図7は、図1に示す内筒部材、隔壁部材および環状部材の組付構造を示す分解斜視図であり、図8は、これら内筒部材、隔壁部材および環状部材の組付状態を示す斜視図である。まず、これら図1ないし図8を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1の構成について説明する。
図1ないし図6に示すように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1は、長尺円柱状の外形を有しており、軸方向に位置する一端部および他端部が閉塞されたハウジングを有している。ハウジングは、ハウジング本体10と、ホルダ20と、閉塞部材30とを含んでおり、これらハウジング本体10、ホルダ20および閉塞部材30によって規定された空間には、内部構成部品としての点火器40、内筒部材50A、隔壁部材60、環状部材70、ガス発生剤80およびクッション部材90等が配置されている。
ハウジングの内部に設けられた空間は、上述した内筒部材50Aおよび隔壁部材60によって複数の空間に分けられている。この複数の空間には、ガス発生剤80が主として収容された燃焼室S1と、燃焼室S1にて発生したガスをハウジングの外部に向けて排出するガス排出室S4と、これら燃焼室S1とガス排出室S4とを繋ぐガス通路室S2および減圧室S3とが含まれている。
図1ないし図3に示すように、ハウジング本体10は、軸方向の両端に開口が形成された長尺円筒状の周壁部11を有する部材からなり、その一方の軸方向端部(すなわちハウジングの上述した他端部寄りに位置する方の軸方向端部)にガスを外部に向けて噴出するためのガス噴出口12を有している。ホルダ20は、軸方向に沿って延びる貫通部21を有する短尺円筒状の部材からなり、その外周面に周方向に沿って延びるように形成された後述するかしめ固定のための環状溝部23を有している。閉塞部材30は、所定の厚みを有する円盤状の部材からなり、その周面に周方向に沿って延びるように形成された後述するかしめ固定のための環状溝部32を有している。
ホルダ20は、ハウジング本体10の一方の開口端を閉塞するようにハウジング本体10に固定されている。具体的には、ハウジング本体10の開口端にホルダ20が内挿された状態で、当該ホルダ20の外周面に設けられた環状溝部23に対応する部分のハウジング本体10の周壁部11を径方向内側に向けて縮径させて環状溝部23に係合させることにより、ホルダ20がハウジング本体10に対してかしめ固定されている。これにより、ハウジングの軸方向の一端部が、ホルダ20によって構成されることになる。
閉塞部材30は、ハウジング本体10の他方の開口端を閉塞するようにハウジング本体10に固定されている。具体的には、ハウジング本体10の開口端に閉塞部材30が内挿された状態で、当該閉塞部材30の周面に設けられた環状溝部32に対応する部分のハウジング本体10の周壁部11を径方向内側に向けて縮径させて環状溝部32に係合させることにより、閉塞部材30がハウジング本体10に対してかしめ固定されている。これにより、ハウジングの軸方向の他端部が、閉塞部材30によって構成されることになる。
これらのかしめ固定は、ハウジング本体10の周壁部11を径方向内側に向けて略均等に縮径される八方かしめと呼ばれるかしめ固定である。この八方かしめを行なうことにより、ハウジング本体10の周壁部11には、かしめ部13,14が設けられることになり、当該かしめ部13,14がそれぞれ環状溝部23,32に密着することになる。これにより、ハウジング本体10とホルダ20との間およびハウジング本体10と閉塞部材30との間に隙間が生じることが防止されている。
図2に示すように、ホルダ20の外周面には、上述した環状溝部23とは異なる他の環状溝部24が設けられている。当該環状溝部24には、Oリング等からなるシール部材26が収容されている。これにより、ホルダ20に設けられた環状溝部24内に収容されたシール部材26が、ホルダ20とハウジング本体10の周壁部11とによって挟み込まれることになり、当該部分における気密性が確保されることになる。
図3に示すように、閉塞部材30の周面には、上述した環状溝部32とは異なる他の環状溝部33が設けられている。当該環状溝部33には、Oリング等からなるシール部材34が収容されている。これにより、閉塞部材30に設けられた環状溝部33内に収容されたシール部材34が、閉塞部材30とハウジング本体10の周壁部11とによって挟み込まれることになり、当該部分における気密性が確保されることになる。
ハウジング本体10は、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されていてもよいし、SPCEに代表される圧延鋼板をプレス加工することで有底円筒状に成形された金属製のプレス成形品、またはSTKMに代表される電縫管にて構成されていてもよい。特に、ハウジング本体10を圧延鋼板のプレス成形品や電縫管の成形品で構成した場合には、ステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材を用いた場合に比べて安価にかつ容易にハウジング本体10を形成することができるとともに、大幅な軽量化が可能になる。一方、ホルダ20および閉塞部材30は、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。
図1および図2に示すように、点火器40は、ホルダ20によって支持されることでハウジングの軸方向の上述した一端部に組付けられている。点火器40は、ガス発生剤80を燃焼させるためのものであり、ハウジングの内部の空間に面するように設置されている。より詳細には、ホルダ20は、点火器40をかしめ固定するためのかしめ部22をハウジングの内部の空間に面する方の軸方向端部に有しており、点火器40が貫通部21に内挿されてホルダ20の貫通部21を規定する部分の壁部に当て留めされた状態で上述したかしめ部22がかしめられることにより、点火器40がホルダ20に挟持されて固定されている。
点火器40は、点火部41と、一対の端子ピン42とを含んでいる。点火部41の内部には、一対の端子ピン42に接続するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられており、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に接するように点火部41内に点火薬が充填されている。また、点火部41内には、必要に応じて伝火薬が装填されていてもよい。
ここで、抵抗体としては、一般にニクロム線やプラチナおよびタングステンを含む合金製の抵抗線等が用いられ、点火薬としては、一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が用いられる。また、伝火薬としては、B/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO3)2等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。なお、点火部41を囲うスクイブカップは、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合には一般に2ミリ秒以下である。
点火器40とホルダ20との間には、Oリング等からなるシール部材27が介装されている。シール部材27は、点火器40とホルダ20との間に隙間が生じることを防止するためのものであり、これによってハウジングの内部の空間が気密に封止されることになる。
ホルダ20の外部に露出する方の軸方向端部には、上述した貫通部21に連続して窪み部25が設けられている。窪み部25は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れる雌型コネクタ部を形成しており、当該窪み部25内には、点火器40の端子ピン42の先端寄りの部分が露出して位置している。当該雌型コネクタ部としての窪み部25には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。
なお、ハウジングに対する点火器40の組付構造やハウジングと点火器40との間のシール構造は、上述した組付構造やシール構造に限定されるものではなく、他の組付構造やシール構造を採用することとしても当然によい。
図1ないし図6に示すように、ハウジングの内部の空間の所定位置には、内筒部材50A、隔壁部材60および環状部材70が配置されている。このうちの内筒部材50Aおよび隔壁部材60は、上述したようにハウジングの内部の空間を相互に区画する部材として機能するものである。
内筒部材50Aは、筒状部52と、筒状部52の軸方向の所定位置に設けられた仕切り部53と、筒状部52の閉塞部材30側に位置する軸方向端部を実質的に閉塞する底部54とを有する長尺有底略円筒状の形状を有しており、ハウジングの内部の空間のうち、ホルダ20が位置する側の端部(すなわちハウジングの上述した一端部)寄りの位置から閉塞部材30が位置する側の端部(すなわちハウジングの上述した他端部)に達するように、その軸方向がハウジングの軸方向と略平行となるように配置されている。
ここで、図7に示すように、内筒部材50Aは、半割り形状(すなわち概ね半円管形状)を有する第1半体部51Aおよび第2半体部51Bと、これら第1半体部51Aおよび第2半体部51Bを接続する接続部51Cとを含む単一の部材を当該接続部51Cにおいて折り曲げることにより、折り曲げ後において全体として略円筒状(すなわち一端が閉塞された概ね円管状)の形状を有するように構成されたものであり、第1半体部51Aと第2半体部51Bとは、実質的に同一の形状を有している。
これにより、図4ないし図6および図8に示すように、内筒部材50Aは、当該内筒部材50Aの周方向の一端部および他端部が互いに突き合わされることで形成された継ぎ目Aを有することになる。この継ぎ目Aは、ハウジングの軸方向と平行な方向に沿ってその両端にまで達するものであり、接続部51Cの折り曲げられた部分である曲げ部Bと周方向において正対して位置することになる。なお、その形状上、内筒部材50Aには、この継ぎ目A以外にも、底部54および曲げ部Bに連続する部分の筒状部52に継ぎ目(この継ぎ目を図中においては符号A’にて示している)が形成されることになる。
図1ないし図3に示すように、筒状部52は、互いに径の異なる第1筒部52a、第2筒部52bおよび第3筒部52cを有している。これら第1筒部52a、第2筒部52bおよび第3筒部52cは、ハウジングの軸方向と平行な方向に沿ってホルダ20が位置する側から閉塞部材30が位置する側に向けてこの順に配置されており、第2筒部52b、第3筒部52c、第1筒部52aの順でその直径が大きくなるように構成されている。
内筒部材50Aのホルダ20側に位置する軸方向端部(すなわち、第2筒部52b側とは反対側に位置する第1筒部52aの端部)には、スカート部52a1が設けられている。スカート部52a1は、ホルダ20に固定された点火器40から距離をもって配置されており、第1筒部52aの上述した端部から径方向外側に向けて広がるように形成された部分を有している。また、スカート部52a1の外周面の一部は、ハウジング本体10の周壁部11の内周面に当接している。
一方、内筒部材50Aの閉塞部材30側に位置する軸方向端部(すなわち、第2筒部52b側とは反対側に位置する第3筒部52cの端部)には、上述した底部54が設けられている。ここで、閉塞部材30のハウジングの内部の空間に面する部分である内面には、凹部31が設けられており、当該底部54を含む第3筒部52cの上述した端部が、当該凹部31に嵌め込まれている。
図1、図3および図6に示すように、仕切り部53は、筒状部52から外側に向けて突出するように設けられている。より詳細には、仕切り部53は、筒状部52の第2筒部52bと第3筒部52cとの間の部分が外側に向けて迫り出すように成形されることで形成されており、全体として環状板形状を有している。仕切り部53の外周面は、ハウジングの周壁部11の内周面に当接している。
以上により、内筒部材50Aは、その軸方向端部の一方が閉塞部材30の凹部31に嵌め込まれるとともに、その軸方向端部の他方およびその軸方向の途中位置がそれぞれハウジングの周壁部11の内周面に当接されることにより、その軸線が実質的にハウジングの軸線と同一直線上に位置することとなるように位置決めされた状態でハウジングに対して組付けられている。
なお、内筒部材50Aの閉塞部材30側の軸方向端部は、閉塞部材30の凹部31に圧入されていることが好ましい。このように構成することにより、内筒部材50Aの当該軸方向端部に形成された継ぎ目(主として底部54に形成された部分の継ぎ目A’)をより確実に閉塞することができる。
また、内筒部材50Aの仕切り部53は、ハウジング本体10の周壁部11に圧入されていることが好ましい。このように構成することにより、仕切り部53の外周面と周壁部11の内周面とが密着することになり、これらの間に隙間が生じることがより確実に防止できることになる。
また、内筒部材50Aのスカート部52a1の一部は、ハウジング本体10の周壁部11に圧入されていることが好ましい。このように構成することにより、スカート部52a1の外周面の一部と周壁部11の内周面とが密着することになり、これらの間に隙間が生じることがより確実に防止できることになる。
上述したように、内筒部材50Aは、接続部51Cに曲げ加工を施すことによって第1半体部51Aと第2半体部51Bとが重ね合わされることで略円筒状に構成されている。そのため、図4、図7および図8に示すように、内筒部材50Aには、当該曲げ加工を施すことを可能にするための上述した接続部51Cに加えて、曲げ加工後の内筒部材50Aの形状を維持するための固定手段としての巻き締め部56aが設けられている。
具体的には、図7に示すように、第1半体部51Aの第1筒部52aを構成する部分の周方向における一端部(接続部51Cが設けられた側とは反対側に位置する第1半体部51Aの端部、すなわち継ぎ目Aを構成することになる部分)および第2半体部51Bの第1筒部52aを構成する部分の周方向における一端部(接続部51Cが設けられた側とは反対側に位置する第2半体部51Bの端部、すなわち継ぎ目Aを構成することになる部分)には、それぞれ外側に向けて突出する平板状の耳部56が設けられている。このうち、第1半体部51Aに設けられた耳部56には、当該耳部の突出方向における先端部をさらに延長することで、第2半体部51Bの耳部56を巻き締め可能にする巻き締め部56aが設けられている。
これにより、内筒部材50Aの折り曲げの際に、第1半体部51Aの耳部56と第2半体部51Bの耳部56とが重ね合わされるようにするとともに、さらにその後、第1半体部51Aに設けられた巻き締め部56aを第2半体部51Bの耳部56に巻き締めることとすれば、曲げ加工後の内筒部材50Aの形状が維持されるとともに、第1筒部52aに形成された継ぎ目Aをより確実に閉塞することが可能になる。
なお、接続部51Cも、上述した耳部56と同様に、平板状の形状を有している。より詳細には、接続部51Cは、第1半体部51Aの第1筒部52aを構成する部分の周方向における他端部(耳部56が設けられた側とは反対側に位置する第1半体部51Aの端部)および第2半体部51Bの第1筒部52aを構成する部分の周方向における他端部(耳部56が設けられた側とは反対側に位置する第2半体部51Bの端部)とを繋ぐようにこれら端部から外側に向けて突出して位置している。
図4、図7および図8に示すように、内筒部材50Aの第1筒部52aには、ハウジングの軸方向と平行な方向に沿って延在するとともに、当該第1筒部52aから外側に向けて突設された突条部52fが、周方向に沿って複数カ所設けられている。当該突条部52fは、ハウジングの内周面に当接している(図4参照)。
この突条部52fは、内筒部材50Aをハウジングに対して位置決めして固定する固定手段であるとともに、後述するシリンダ型ガス発生器1の作動時において、ガス発生剤80が燃焼することによる燃焼室S1の内圧上昇によっても第1筒部52aが膨らむように変形してガス通路室S2が狭まったりあるいは閉塞されてしまったりすることを防止する変形抑制手段である。
なお、曲げ加工後の内筒部材50Aにおいては、上述した接続部51Cおよび巻き締め部56aを含む耳部56も、上述した突条部52fと同様に、ハウジングの内周面に当接している(図4参照)。そのため、これら部位も、突条部52fと同様の機能を発揮することになり、内筒部材50Aをハウジングに対して位置決めして固定する固定手段になるとともに、作動時において第1筒部52aの変形を抑制する変形抑制手段になることになる。
ここで、突条部52fならびに組付け後において突条部52fと同様の機能を発揮する接続部51Cおよび耳部56は、内筒部材50Aの周方向において略均等の距離をもって配置されていることが好ましい。このように構成することにより、上述した機能がより十分には発揮されることになる。
上述した内筒部材50Aは、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。内筒部材50Aは、ガス発生剤80が燃焼した場合にもその圧力上昇に伴って大きく変形することがないように、十分に高い機械的強度を有する部材にて構成されていることが必要であり、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材が利用される。
ここで、内筒部材50Aは、上述したように接続部51Cに曲げ加工を施すことによって第1半体部51Aと第2半体部51Bとが重ね合わされることで略円筒状に構成されるものであるため、板状の部材にプレス加工等を施すことで容易にその成形が可能である。なお、図7に示すように接続部51Cに軸方向に沿って延びる薄肉部51C1を設けるとともに、図4に示すように当該薄肉部51C1において内筒部材50Aを折り曲げることとすれば、曲げ加工の容易性と、内筒部材50Aの機械的強度とを同時に満たすことができる。
図1、図3、図5、図7および図8に示すように、隔壁部材60は、所定の厚みを有する円盤状の部位である隔壁部61と、当該隔壁部61の周面から外側に向けて突設された被係止部61aとを有している。隔壁部61は、その主面がハウジングの軸方向と略直交するように内筒部材50Aの内側に配置されている。
より詳細には、内筒部材50Aの内面には、第1筒部52aの内径よりも第2筒部52bの内径が小さくなるように環状段差面52d(図3等参照)が設けられており、この環状段差面52dに当接するように隔壁部材60が第1筒部52aの内側に配置されている。
また、隔壁部材60に設けられた被係止部61aに対応した位置の第1筒部52aには、貫通孔からなる係止部52e(図5および図7参照)が設けられており、当該貫通孔からなる係止部52eに被係止部61aが嵌め込まれることにより、隔壁部材60が内筒部材50Aに固定されている。これら係止部52eおよび被係止部61aは、組付け後において隔壁部材60の内筒部材50Aに対する相対的な移動を制限するものであり、これにより隔壁部材60が内筒部材50Aに強固に固定されることになる。
隔壁部材60の隔壁部61の周面は、内筒部材50Aの第1筒部52aの内周面に当接しており、これにより当該隔壁部61によって内筒部材50Aの内側の空間が軸方向に2つの空間に区画されることになる。
なお、隔壁部材60の隔壁部61は、内筒部材50Aの第1筒部52aに圧入されていることが好ましい。このように構成することにより、隔壁部61の周面と第1筒部52aの内周面とが密着することになり、これらの間に隙間が生じることがより確実に防止できることになる。
図1、図3、図6および図7に示すように、環状部材70は、その中央に孔部71が設けられた円環平板状の形状を有しており、内筒部材50Aの内側に配置されている。
より詳細には、内筒部材50Aの仕切り部53が設けられた部分の内面には、環状凹部53aが設けられており、この環状凹部53aに嵌め込まれることにより、環状部材70が内筒部材50Aに固定されている。当該環状部材70は、仕切り部53の機械的強度を補強するための部材であり、後述するシリンダ型ガス発生器1の作動時において、ガスの推力を受けて仕切り部53に変形や破損が生じることを防止するためのものである。
上述した隔壁部材60および環状部材70は、いずれもたとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。なお、当該隔壁部材60および環状部材70は、高い機械的強度が溶融される部材であるため、内筒部材50Aよりも厚みが厚い部材にて構成されていることが好ましい。
図7に示すように、これら隔壁部材60および環状部材70は、いずれも内筒部材50Aの折り曲げ時に、当該内筒部材50Aを構成する第1半体部51Aおよび第2半体部51Bに挟み込まれることで当該内筒部材50Aに組付けられる。これにより、図1ないし図6および図8に示すように、内筒部材50Aの組立て後においては、隔壁部材60および環状部材70が、いずれも内筒部材50Aの内側において固定された状態となる。
ここで、図8に示す組付け後の状態(すなわち、図1ないし図6に示す状態)においては、内筒部材50Aの筒状部52を構成する第1筒部52a、第2筒部52bおよび第3筒部52cならびに仕切り部53は、ハウジングの軸方向と平行な方向において互いに分割されることなく連続して延在することになる。すなわち、内筒部材50Aは、少なくともその軸方向において互いに分離された複数の部品を組み合わせることで構成されておらず、当該軸方向において一体的に構成されている。
また、当該状態において、内筒部材50Aを構成する第1筒部52a、第2筒部52bおよび第3筒部52cならびに仕切り部53の各々は、その周方向において実質的に連続して延在することになる。すなわち、内筒部材50Aのこれら部位は、周方向において継ぎ目A,A’および曲げ部B等を有しているものの、実質的には隙間のない円筒状の部材にて構成されることになる。
以上により、図1ないし図6に示すように、ハウジングの内部の空間は、内筒部材50Aおよび隔壁部材60によって、上述した4つの空間である燃焼室S1、ガス通路室S2、減圧室S3およびガス排出室S4に区画されることになる。
具体的には、燃焼室S1は、ハウジング本体10の周壁部11と、ホルダ20およびこれに組付けられた点火器40と、内筒部材50Aの第1筒部52aおよびスカート部52a1と、隔壁部材60の隔壁部61とによって主として規定されることになり、ガス通路室S2は、ハウジング本体10の周壁部11と、内筒部材50Aの第1筒部52a、第2筒部52b、仕切り部53およびスカート部52a1とによって主として規定されることになる。
また、減圧室S3は、内筒部材50Aの第2筒部52bおよび第3筒部52cおよび底部54と、隔壁部材60の隔壁部61とによって主として規定されることになり、ガス排出室S4は、ハウジング本体10の周壁部11と、閉塞部材30と、内筒部材50Aの第3筒部52cおよび仕切り部53とによって主として規定されることになる。
換言すれば、ハウジングの内部の空間は、内筒部材50Aの筒状部52によって、内側空間(当該内側空間には、燃焼室S1の一部と減圧室S3とが含まれる)と外側空間(当該外側空間には、ガス通路室S2とガス排出室S4とが含まれる)とに径方向において区画されることになり、さらに、このうちの内側空間が、隔壁部材60の隔壁部61によって、ハウジングの上述した一端部側に位置する燃焼室S1とハウジングの上述した他端部側に位置する減圧室S3とに区画されることになるとともに、このうちの外側空間が、内筒部材50Aの仕切り部53によって、ハウジングの上述した一端部側に位置するガス通路室S2とハウジングの上述した他端部側に位置するガス排出室S4とに区画されることになる。なお、隔壁部材60の隔壁部61は、内筒部材50Aの仕切り部53よりもハウジングの上述した一端部側に配置されている。
図1ないし図3に示すように、上述した燃焼室S1には、ガス発生剤80が装填されており、また、当該燃焼室S1のうちの点火器40寄りの部分には、ホルダ20とガス発生剤80との間に介在するようにクッション部材90が配置されている。
ガス発生剤80は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火されて燃焼することでガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤80としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体として構成される。燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。また、酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩や、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。また、添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。また、燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤80の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、シリンダ型ガス発生器1が組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤80の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤80の形状の他にもガス発生剤80の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
図1および図2に示すように、クッション部材90は、成形体からなるガス発生剤80が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、金属線材を曲げ加工することによって形成されたバネ部91および押圧部92を有している。バネ部91は、その一端がホルダ20に当接するように配置されており、その他端に押圧部92が形成されている。押圧部92は、金属線材が所定の間隔をもって略平行に配置されることで構成されており、ガス発生剤80に当接している。これにより、ガス発生剤80は、クッション部材90によって隔壁部材60側に向けて付勢されることになり、ハウジングの内部において移動してしまうことが防止されている。
なお、上述した如くのクッション部材90に代えて、たとえばセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなるクッション材を利用することとしてもよい。
図1ないし図3に示すように、内筒部材50Aの筒状部52のうちの燃焼室S1とガス通路室S2とを区画する部分である第1筒部52aには、第1連通孔55aが周方向および軸方向に沿って複数設けられている。当該複数の第1連通孔55aは、燃焼室S1とガス通路室S2とを連通させるためのものであり、ガス発生剤80が燃焼することで燃焼室S1にて発生したガスを通過させ、これにより当該ガスをガス通路室S2に向けて流出させるためのものである。
また、内筒部材50Aの筒状部52のうちのガス通路室S2と減圧室S3とを区画する部分である第2筒部52bには、第2連通孔55bが周方向および軸方向に沿って複数設けられている。当該複数の第2連通孔55bは、ガス通路室S2と減圧室S3とを連通させるためのものであり、ガス通路室S2に流入したガスを通過させ、これにより当該ガスを減圧室S3に向けて流出させるためのものである。
一方、内筒部材50Aの筒状部52のうちの減圧室S3とガス排出室S4とを区画する部分である第3筒部52cには、第3連通孔55cが周方向および軸方向に沿って複数設けられている。当該複数の第3連通孔55cは、減圧室S3とガス排出室S4とを連通させるためのものであり、減圧室S3に流入したガスを通過させ、これにより当該ガスをガス排出室S4に向けて流出させるためのものである。
また、ガス排出室S4を規定する部分のハウジング本体10の周壁部11には、上述したガス噴出口12が周方向および軸方向に沿って複数設けられている。当該複数のガス噴出口12は、ハウジングの内部の空間と外部の空間とを連通させるためのものであり、ガス排出室S4に流入したガスを通過させ、これにより当該ガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
当該複数のガス噴出口12は、上述した複数の第3連通孔55cにハウジングの径方向において対面しない位置に設けられていることが好ましい。このように構成すれば、ガス排出室S4近傍におけるガスの流路を迷路化することが可能になり、ガスのより効率的な冷却が可能になるとともに、スラグの捕集機能を高めることが可能になる。
ガス排出室S4を規定するハウジング本体10の周壁部11のうち、複数のガス噴出口12が設けられた部分の内周面には、シールテープ15が貼付されている。当該シールテープ15は、ハウジング本体10に設けられた複数のガス噴出口12を開放可能に閉鎖するためのものであり、このシールテープ15としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が利用される。これにより、シリンダ型ガス発生器1の非作動時において、燃焼室S1、ガス通路室S2、減圧室S3およびガス排出室S4の気密性が確保されることになる。
ここで、内筒部材50Aの第1筒部52aに設けられた複数の第1連通孔55aの総開口面積をD1とし、内筒部材50Aの第2筒部52bに設けられた複数の第2連通孔55bの総開口面積をD2とし、内筒部材50Aの第3筒部52cに設けられた第3連通孔55cの総開口面積D3とし、ハウジング本体10の周壁部11に設けられた複数のガス噴出口12の総開口面積をD4とした場合には、これら総開口面積D1〜D4のうち、複数のガス噴出口12の総開口面積D4が、他の総開口面積D1,D2,D3よりも小さくなるように構成されていることが好ましい。
このように構成した場合には、ハウジングがもっぱら圧力隔壁として機能することになるため、シリンダ型ガス発生器1Aの作動時において内筒部材50Aに多大な圧力が作用してしまうことが回避でき、結果として内筒部材50Aの厚みを薄くすることが可能となってその形状加工がより容易に行なえることになる。なお、上述した総開口面積の大小関係は、あくまでも一例であってこれに限定されるものではない。
図9は、図1に示すシリンダ型ガス発生器の作動時におけるガスの流れを模式的に表わした図である。次に、この図9を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1の作動時における動作について説明する。
本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1が搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。
図9に示すように、燃焼室S1に装填されたガス発生剤80は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって着火されて燃焼し、多量のガスを発生させる。これにより、燃焼室S1にて発生したガスは、内筒部材50Aの第1筒部52aに設けられた第1連通孔55aを介してガス通路室S2へと流れ込む。その際、ガス通路室S2に流れ込んだガスは、ハウジングの径方向に沿ってハウジング本体10の周壁部11の内周面に吹き付けられることになり、ガス中に含まれるスラグは、当該周壁部11の内周面に付着することで相当程度除去される。
ハウジング本体10の周壁部11の内周面に吹き付けられたガスは、その後、ガス通路室S2をハウジングの軸方向に沿って流動する。その際、ガスがハウジング本体10の周壁部11に接触することで熱が奪われて冷却される。その後、ガス通路室S2を流動したガスは、内筒部材50Aの第2筒部52bに設けられた第2連通孔55bを介して減圧室S3へと流れ込む。
減圧室S3に流れ込んだガスは、当該減圧室S3の内部をハウジングの軸方向に沿って閉塞部材30側に向けて流動し、内筒部材50Aの底部54に吹き付けられることでさらに冷却されるとともにスラグが除去される。底部54に吹き付けられたガスは、その後向きを変え、内筒部材50Aの第3筒部52cに設けられた第3連通孔55cを介してガス排出室S4へと流れ込む。
ガス排出室S4にガスが流れ込むことにより、当該ガス排出室S4の圧力が上昇し、これに伴ってハウジング本体10の周壁部11に設けられたガス噴出口12を閉塞しているシールテープ15が破られる。これにより、ガス排出室S4に流れ込んだガスは、ハウジングの外部へと噴出される。なお、その際、迷路化されたガス排出室S4においても、さらにガスが冷却されてスラグが除去されることになる。
ガス噴出口12から噴出されたガスは、シリンダ型ガス発生器1に隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、エアバッグを膨張および展開する。
以上において説明した本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1においては、ガスの冷却性能やスラグの捕集機能が格段に高まることとなるように、ガスの流動方向が複数回にわたって変更されるようにその内部構成が複雑に構成されたものであるものの、ガスの流路を規定するための部材が、実質的に2つの部材(すなわち、内筒部材50Aおよび隔壁部材60)のみによって構成されており、これら2つの部材をハウジングに対して固定するに際しても、予め内筒部材50Aに隔壁部材60を嵌め込みつつ当該内筒部材50Aを折り曲げて巻き締め固定し、これをハウジング本体10に対して内挿するという非常に簡便な組付作業にてその組付けを行なうことができる。したがって、上記構成を作用することにより、部品点数の削減が可能になるとともに、製造の際の組付作業も簡略化されることになり、効率的なガスの冷却が可能な、容易にかつ安価に製造することができるシリンダ型ガス発生器とすることができる。
また、上記構成を採用することにより、内筒部材50Aおよび隔壁部材60が容易に位置決めされてハウジングに対して固定されることになる。そのため、これら部材間に意図しない隙間が生じることもなくなり、非作動時のみならず作動時においても燃焼室S1、ガス通路室S2、減圧室S3およびガス排出室S4が相互に仕切られた状態が維持されることになる。したがって、所望の動作が確実に実現できる高性能のシリンダ型ガス発生器とすることができる。
加えて、上記構成のシリンダ型ガス発生器1は、上述したようにガスの流動方向がハウジングの内部において複数回にわたって変更されるように構成されたものであり、ガスの冷却性能やスラグの捕集機能が格段に高まる効果が得られるものである。そのため、フィルタを設置することを必要とせず、その意味においても部品点数の削減やさらなる組付け作業の容易化等が図られることになり、さらにはシリンダ型ガス発生器の大幅な軽量化も実現できることになる。
以上において説明した本実施の形態においては、内筒部材50Aを単一の部材にて構成した場合を例示して説明を行なった。しかしながら、内筒部材を周方向において分割し、これを組み合わせることでこれを構成することとしてよい。図10は、変形例に係る内筒部材、隔壁部材および環状部材の組付構造を示す分解斜視図である。
図10に示すように、本変形例においては、内筒部材50Bを周方向において2分割して構成している。具体的には、内筒部材50Bは、半割り形状(すなわち概ね半円管形状)を有する第1半体51A’と、半割り形状(すなわち概ね半円管形状)を有する第2半体51B’との二部材によって構成されており、これら第1半体51A’と第2半体51B’は、完全に同一の形状を有している。
ここで、第1半体51A’の第1筒部52aを構成する部分の周方向における一端部には、耳部56が設けられており、第1半体51A’の第1筒部52aを構成する部分の周方向における他端部には、巻き締め部56aを含む耳部56が設けられている。一方、第2半体51B’の第1筒部52aを構成する部分の周方向における一端部には、巻き締め部56aを含む耳部56が設けられており、第2半体51B’の第1筒部52aを構成する部分の周方向における他端部には、耳部56が設けられている。
当該構成の内筒部材50Bを組付けるに際しては、第1半体51A’の一対の耳部56と第2半体51B’の一対の耳部56とがそれぞれ重ね合わされるようにするとともに、さらにその後、第2半体51B’の上記一端部に設けられた巻き締め部56aが第1半体51A’の上記一端部に設けられた耳部56に巻き締められるとともに、第1半体51A’の上記他端部に設けられた巻き締め部56aが第2半体51B’の上記他端部に設けられた耳部56に巻き締められる。
このように構成された内筒部材50Bにあっては、周方向に継ぎ目Aが正対して2カ所設けられる点において上述した内筒部材50Aと異なる構成を有することになるが、その他の点においては、上述した内筒部材50Aとほぼ同様の構成を有することになる。したがって、当該内筒部材50Bを用いた場合にも、上述した効果が得られることになる。
上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、内筒部材を周方向において実質的に2つに分けて構成した(すなわち半割りにした)場合を例示して説明を行なったが、内筒部材をさらに3つ以上に分けて構成することも当然に可能である。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、実質的に2つに分けて構成した内筒部材を巻き締め固定する場合を例示して説明を行なったが、当該固定には、これ以外にも溶接や係止(たとえば係止爪を用いた係止等)等、各種の方法を適用することができる。また、必ずしも当該固定を行なう必要はなく、固定せずにそのままハウジングに内挿し、ハウジングに内挿されることでこれらが結果的に移動不能に固定されるようにしてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、内筒部材の第1ないし第3筒部の直径を、第2筒部、第3筒部、第1筒部の順で大きくなるように構成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこのように構成する必要はない。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、ハウジングの軸方向の上述した他端部を構成する閉塞部材の内面に凹部を設けるとともに、当該凹部に内筒部材の軸方向端部を嵌め込むように構成した場合を例示して説明を行なったが、このように構成する必要は必ずしもなく、閉塞部材の内面に凹部を設けることなく当該内面に単に内筒部材の軸方向端部を当接させる構成としてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、いずれも燃焼室が内筒部材よりもホルダ側に位置する空間を含むように構成した場合を例示したが、必ずしもこのように構成する必要はない。すなわち、ホルダの一部が内筒部材に内挿された状態で固定されていてもよく、その場合には燃焼室は、隔壁部材の隔壁部よりもハウジングの軸方向の上述した一端部側(すなわちホルダ側)の空間であってかつ内筒部材の第1筒部よりも径方向内側の空間によってのみ構成されることになる。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、隔壁部材に被係止部を設けるとともに内筒部材に係止部を設けることによってこれらが互いに係止するように構成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしも隔壁部材が内筒部材にこれら係止機構を介して係止されている必要はなく、単に嵌め込みによって固定されていてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、内筒部材の仕切り部を補強するための環状部材を設けた場合を例示して説明を行なったが、必ずしも当該環状部材は必要ではなく、仕切り部のみによって十分な機械的強度が維持できる場合には、これを設ける必要はない。
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、点火器の点火部内に点火薬のみまたは点火薬と伝火薬とが装填された場合を例示して説明を行なったが、伝火薬を装填する場合にこれが点火器の点火部内に装填されている必要は必ずしもなく、点火器の点火部とガス発生剤との間の位置にたとえばカップ状の部材や容器等を用いてこれが装填されていてもよい。
さらには、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した各構成要素の形状や大きさ、数、配設位置等(たとえば、第1ないし第3連通孔およびガス噴出口の数や大きさ、配設位置等)は、いずれも一例に過ぎず、種々その変更が可能である。
加えて、上述した本発明の実施の形態およびその変形例においては、本発明をサイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、助手席用エアバッグ装置やカーテンエアバッグ装置、ニーエアバッグ装置、シートクッションエアバッグ装置等に組み込まれるシリンダ型ガス発生器や、シリンダ型ガス発生器と同様に長尺状の外形を有するいわゆるT字型ガス発生器にもその適用が可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。