以下、本発明を詳細に説明する。
(基材粒子)
本発明に係る基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備える。
本発明では、上記基材粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)の、上記基材粒子を30%圧縮したときの圧縮弾性率(30%K値)に対する比(10%K値/30%K値)が1.5以上である。本発明では、上記コアの圧縮回復率の上記基材粒子の圧縮回復率に対する比(コアの圧縮回復率/基材粒子の圧縮回復率)が1以上である。
本発明に係る基材粒子では、初期変形(10%圧縮変形)時においては圧縮弾性率が高く、中期変形(30%圧縮変形)時においては圧縮弾性率が低くなる。この結果、基材粒子の表面上に導電層を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、初期に発現する硬さによりバインダー樹脂を十分に排除し、かつ導電層又は電極の表面の酸化膜を十分に貫通することが可能であり、中期の柔軟性によって電極と導電性粒子との接触面積を十分に大きくすることが可能である。このため、電極間の接続抵抗を低くすることができ、かつ電極間の接続信頼性を高めることができる。例えば、導電性粒子により電極間が電気的に接続された接続構造体を高温高湿条件下で長時間放置しても、接続抵抗が高くなり難く、接続不良が生じ難くなる。
また、上記コアの圧縮回復率の基材粒子の圧縮回復率に対する比を1以上にすることで、基材粒子の接触面積をさらに大きくすることが可能となるため、本発明に係る基材粒子を備える導電性粒子を用いて電極間を接続する工程において、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなることから、バインダー樹脂の溶融による導電性粒子の過度の移動を防ぐことができ、接続に関与している導電粒子の割合を高くすることができる。
また、本発明に係る基材粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いて基板間に配置して液晶表示素子を得た場合に、液晶表示素子用スペーサと基板との接触面積を十分に確保でき、基板間の間隔にばらつきを生じ難くすることができ、液晶表示素子の表示品質を高めることができる。
また、本発明に係る基材粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いたときに、スペーサと基板との接触面積が大きいことからスペーサの移動を防ぐことができ、表示品質が低下するのを抑えることができる。
また、本発明に係る基材粒子は、表面上に導電層が形成され、上記導電層を有する導電性粒子を得るために好適に用いられるか、又は液晶表示素子用スペーサとして好適に用いられるが、これらと同様又は類似の性質が求められる他の用途にも用いることができる。
上記基材粒子の上記10%K値の上記基材粒子の上記30%K値に対する比(10%K値/30%K値)は1.5以上である。上記比(10%K値/30%K値)は好ましくは1.75以上であり、更に好ましくは2.0以上である。上記比(10%K値/30%K値)が上記下限以上であると、電極と導電性粒子との接触面積が十分に大きくなり、電極間の接続抵抗が効果的に低くなり、かつ電極間の接続信頼性がより一層高くなる。上記比(10%K値/30%K値)は好ましくは5.0以下であり、更に好ましくは3.0以下である。
上記基材粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)は好ましくは1500N/mm2以上、より好ましくは3000N/mm2以上、更に好ましくは5000N/mm2以上、好ましくは15000N/mm2以下、より好ましくは12000N/mm2以下、更に好ましくは10000N/mm2以下である。
上記基材粒子を30%圧縮したときの圧縮弾性率(30%K値)は好ましくは300N/mm2以上、より好ましくは500N/mm2以上、更に好ましくは1000N/mm2以上、好ましくは5000N/mm2以下、より好ましくは4000N/mm2以下、更に好ましくは3000N/mm2以下である。
上記基材粒子における上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で基材粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
10%K値又は30%K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:基材粒子が10%又は30%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:基材粒子が10%又は30%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:基材粒子の半径(mm)
上記圧縮弾性率は、基材粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、基材粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
上記コアの圧縮回復率の上記基材粒子の圧縮回復率に対する比(上記コアの圧縮回復率/基材粒子の圧縮回復率)は1以上である。上記比(上記コアの圧縮回復率/基材粒子の圧縮回復率)は好ましくは1.1以上である。上記比(上記コアの圧縮回復率/基材粒子の圧縮回復率)が上記下限以上であると、接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、液晶表示素子における表示品質を効果的に高めることができる。上記比(上記コアの圧縮回復率/基材粒子の圧縮回復率)は、好ましくは1.3以下である。
上記基材粒子の圧縮回復率は好ましくは20%以上、より好ましくは23%以上、更に好ましくは25%以上である。上記基材粒子の圧縮回復率は30%以上であってもよい。上記圧縮回復率が上記下限以上であると、電極間の間隔の変動に対応して、導電性粒子が十分に追従して変形しやすい。このため、電極間の接続不良が生じ難くなる。上記基材粒子の圧縮回復率は好ましくは100%未満である。
上記圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
試料台上にコア又は基材粒子を散布する。散布されたコア又は基材粒子1個について、微小圧縮試験機を用いて、コア又は基材粒子の中心方向に、コア又は基材粒子が30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重−圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
圧縮回復率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでのまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
コアの圧縮回復率を測定する際に、基材粒子を得るために用いるコアの圧縮回復率が測定される。
上記シェルの破壊歪み率は好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。上記破壊歪み率が上記下限以上であると、バインダー樹脂の排除性、導電層及び電極の酸化膜の貫通性がより一層高くなり、接続抵抗がより一層低くなる。上記破壊歪み率が上記上限以下であると、中期の柔軟性が発現し、導電性粒子と電極との接触面積がより一層大きくなり、接続抵抗がより一層低くなる。
上記コアの破壊歪み率は好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、好ましくは100%未満である。上記破壊歪み率が上記下限以上であると、バインダー樹脂の排除性、導電層及び電極の酸化膜の貫通性がより一層高くなり、接続抵抗がより一層低くなる。上記破壊歪み率が上記上限以下であると、中期の柔軟性が発現し、導電性粒子と電極との接触面積がより一層大きくなり、接続抵抗がより一層低くなる。
上記シェルの破壊歪み率及び上記コアの破壊歪み率は、基材粒子を用いて測定される。
粒子の圧縮挙動を評価した際に、ある一定の荷重値で、シェルが破壊されることで変位量が大きく変化する点が観測される。この変化する点での荷重値が破壊荷重値であり、変位量が破壊変位である。この破壊変位と圧縮前の粒径との比(破壊変位/圧縮前粒子径)×100を破壊歪み率(%)と定義する。例えば、圧縮前の粒子径が5μmの粒子が、変位量1μmの時点でシェルの破壊挙動が観察された場合は、破壊歪み率20%と算出される。例えば、圧縮前の粒子径が5μmの粒子が、変位量1μmの時点でコアの破壊挙動が観察された場合は、破壊歪み率20%と算出される。コアの破壊挙動は、シェルの破壊挙動が観察された後に観察される。上記破壊歪み率は、前述の圧縮弾性率の測定から評価することができ、圧縮変位カーブの不連続点の変位量を読み取ることで測定可能である。
上記基材粒子の用途は特に限定されない。上記基材粒子は、様々な用途に好適に用いられる。上記基材粒子は、表面上に導電層が形成され、上記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられるか、又は液晶表示素子用スペーサとして用いられることが好ましい。本発明に係る基材粒子は、表面上に導電層が形成され、上記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられることが好ましい。上記基材粒子は、液晶表示素子用スペーサとして用いられることが好ましく、液晶表示素子用周辺シール剤に用いられることが好ましい。該液晶表示素子用周辺シール剤において、上記基材粒子は、スペーサとして機能することが好ましい。上記基材粒子では、良好な圧縮変形特性を有するので、上記基材粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いて基板間に配置したり、表面に導電層を形成して導電性粒子として用いて電極間を電気的に接続したりした場合に、液晶表示素子用スペーサ又は導電性粒子が、基板間又は電極間に効率的に配置される。このため、基板間又は電極間の間隔のばらつきが生じ難く、電極間の接続不良が生じ難くなる。
さらに、上記基材粒子は、無機充填材、トナーの添加剤、衝撃吸収剤又は振動吸収剤としても好適に用いられる。例えば、ゴム又はバネ等の代替品として、上記基材粒子を用いることができる。
上記コアの粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、10%K値、30%K値及び上記比(10%K値/30%K値)が好適な値を示すことが容易であり、基材粒子を導電性粒子及び液晶表示素子の用途に好適に使用可能になる。例えば、上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記コアの粒径は、上記コアが真球状である場合には直径を意味し、上記コアが真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。また、コアの粒径は、コアを任意の粒径測定装置により測定した平均粒径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析などの原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。
上記シェルの厚みは、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは200nm以上、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。上記シェルの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、10%K値及び30%K値がより一層好適な値を示し、基材粒子を導電性粒子及び液晶表示素子用スペーサの用途に好適に使用可能になる。上記シェルの厚みは、基材粒子1個あたりの平均厚みである。ゾルゲル法の制御によって、上記シェルの厚みを制御可能である。
本発明においてシェルの厚みは、基材粒子の粒径とコアの粒径との差から求めることができる。この差の1/2がシェルの厚みである。上記基材粒子の粒径は、上記基材粒子が真球状である場合には直径を意味し、上記基材粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。粒径の測定には例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析などの原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。
上記基材粒子のアスペクト比は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。上記アスペクト比は、長径/短径を示す。
上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備え、コアシェル粒子である。接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、液晶表示素子における表示品質を効果的に高める観点からは、上記コアは、有機化合物により形成されていることが好ましい。接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、液晶表示素子における表示品質を効果的に高める観点からは、上記シェルは、無機化合物により形成されていることが好ましく、金属酸化物により形成されていることが好ましい。上記コアが有機化合物により形成されており、上記シェルが金属酸化物により形成されているコアシェル粒子において、上記比(10%K値/30%K値)及び上記比(上記コアの圧縮回復率/基材粒子の圧縮回復率)が上述した値を満足することで、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができ、かつ電極間の接続信頼性を効果的に高めることができる。
上記コアは有機化合物により形成されたコアであることが好ましく、有機コアであることが好ましい。上記シェルは無機化合物により形成されたシェルであることが好ましく、無機シェルであることが好ましい。上記コアが有機コアであり、かつ上記シェルが無機シェルであることが好ましい。上記基材粒子は、有機コアと、該有機コアの表面上に配置された無機シェルとを備え、コアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであったり、上記シェルが無機シェルであったりすると、上記比(10%K値/30%K値)及び上記比(上記コアの圧縮回復率/基材粒子の圧縮回復率)が上述した値を満足することが容易である。
上記コアは、有機コアであることが好ましく、有機粒子であることが好ましい。上記有機コア及び上記有機粒子は、無機コア及び無機粒子に比べて比較的柔軟であるので、比較的柔軟な有機コアの表面上にシェルが形成される結果、上記比(10%K値/30%K値)及び上記比(上記コアの圧縮回復率/基材粒子の圧縮回復率)を満足することが容易である。
上記有機コアを形成するための材料として、種々の有機物が好適に用いられる。上記有機コアを形成するための材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が用いられる。エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する基材粒子を設計及び合成することが容易である。
上記有機コアを、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート,1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記の単量体の中でも、コアの回復性をより一層高める観点から、ポリエチレングリコール単位又はポリエチレンオキサイド単位を構造内に含むジ(メタ)アクリレート60重量%以上を含む共重合体であることが好ましく、例えば、コアは、エチレングリコールジアクリレート−ジビニルベンゼン共重合体、又は1,4−ブタンジオールジアクリレート−エチレングリコールジアクリレート共重合体により形成されていることが好ましい。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記有機コアを得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
シェルの形成時及び基材粒子の使用時にコアの変形を抑制する観点からは、上記コアの分解温度は、好ましくは200℃を超え、より好ましくは250℃を超え、より一層好ましくは300℃を超える。上記コアの分解温度は、400℃を超えていてもよく、500℃を超えていてもよく、600℃を超えていてもよく、800℃を超えていてもよい。
上記基材粒子は、コアシェル粒子である。上記シェルは、上記コアの表面上に配置されている。上記シェルは、上記コアの表面を被覆していることが好ましい。上記シェルは無機シェルであることが好ましい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、液晶表示素子における表示品質を効果的に高める観点からは、上記基材粒子は、上記コアを分散させた溶媒中で、上記シェルを構成するための一次粒子を吸着させることで上記シェルを形成することにより得られることが好ましい。
上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていてもよい。ゾルゲル法では、上記コアの表面上にシェル状物を配置することが容易である。上記焼成を行う場合に、上記基材粒子では、焼成後に、上記コアは、揮発等により除去されずに、残存している。上記基材粒子は、焼成後に、上記コアを備える。なお、仮に焼成後に上記コアが揮発等により除去されると、上記10%K値がかなり低くなる。
上記ゾルゲル法の具体的な方法としては、コア、水やアルコール等の溶媒、界面活性剤、及びアンモニア水溶液等の触媒を含む分散液に、テトラエトキシシラン等の無機モノマーを共存させて界面ゾル反応を行う方法、並びに水やアルコール等の溶媒、及びアンモニア水溶液と共存させたテトラエトキシシラン等の無機モノマーによりゾルゲル反応を行った後、コアにゾルゲル反応物をヘテロ凝集させる方法等が挙げられる。上記ゾルゲル法において、上記金属アルコキシドは、加水分解及び重縮合することが好ましい。
上記ゾルゲル法では、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤の存在下で、上記金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物にすることが好ましい。上記界面活性剤は特に限定されない。上記界面活性剤は、良好なシェル状物を形成するように適宜選択して用いられる。上記界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤等が挙げられる。なかでも、良好な無機シェルを形成できることから、カチオン性界面活性剤が好ましい。
上記カチオン性界面活性剤としては、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩等が挙げられる。上記カチオン性界面活性剤の具体例としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
上記コアの表面上で、上記無機シェルを形成するために、上記シェル状物は焼成されていてもよい。焼成条件により、無機シェルにおける架橋度を調整可能である。また、焼成を行うことで、焼成を行わない場合と比べて、上記基材粒子の10%K値及び30%K値がより一層好適な値を示すようになる。特に架橋度を高めることで、10%K値が十分に高くなる。
上記金属アルコキシドとしては、シランアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びアルミニウムアルコキシド等が挙げられる。良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドは、シランアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド又はアルミニウムアルコキシドであることが好ましく、シランアルコキシド、チタンアルコキシド又はジルコニウムアルコキシドであることがより好ましく、シランアルコキシドであることが更に好ましい。良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドにおける金属原子は、ケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子又はアルミニウム原子であることが好ましく、ケイ素原子、チタン原子又はジルコニウム原子であることがより好ましく、ケイ素原子であることが更に好ましい。なお、ケイ素原子は、金属に含まれる。上記金属アルコキシドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドは、下記式(1)で表される金属アルコキシドであることが好ましい。
M(R1)n(OR2)4−n ・・・(1)
上記式(1)中、Mはケイ素原子、チタン原子又はジルコニウム原子であり、R1はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基、重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数を表す。nが2であるとき、複数のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドは、下記式(1A)で表されるシランアルコキシドであることが好ましい。
Si(R1)n(OR2)4−n ・・・(1A)
上記式(1A)中、R1はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基、重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数を表す。nが2であるとき、複数のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記R1が炭素数1〜30のアルキル基である場合、R1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、及びn−デシル基等が挙げられる。このアルキル基の炭素数は好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。なお、アルキル基には、シクロアルキル基が含まれる。
上記重合性二重結合としては、炭素−炭素二重結合が挙げられる。上記R1が重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基である場合に、R1の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、及び3−(メタ)アクリロキシアルキル基等が挙げられる。上記(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、(メタ)アクリロキシエチル基及び(メタ)アクリロキシプロピル基等が挙げられる。上記重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基の炭素数は好ましくは2以上、好ましくは30以下、より好ましくは10以下である。上記「(メタ)アクリロキシ」は、メタクリロキシ又はアクリロキシを意味する。
上記R1がエポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基である場合、R1の具体例としては、1,2−エポキシエチル基、1,2−エポキシプロピル基、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、3−グリシドキシプロピル基、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられる。上記エポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基の炭素数は好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。なお、上記エポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エポキシ基に由来する酸素原子を含む基である。
上記R2の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、及びイソブチル基等が挙げられる。
上記シランアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びジイソプロピルジメトキシシラン等が挙げられる。これら以外のシランアルコキシドを用いてもよい。
上記チタンアルコキシドの具体例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、及びチタンテトラブトキシド等が挙げられる。これら以外のチタンアルコキシドを用いてもよい。
上記ジルコニウムアルコキシドの具体例としては、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、及びジルコニウムテトラブトキシド等が挙げられる。これら以外のジルコニウムアルコキシドを用いてもよい。
上記金属アルコキシドは、金属原子に4つの−O−M基(Mは金属原子)が直接結合しておりかつ上記4つの−O−M基における4つの酸素原子が直接結合している構造を有する金属アルコキシドを含むことが好ましい。上記金属アルコキシドは、下記式(1a)で表される金属アルコキシドを含むことが好ましい。
M(OR2)4 ・・・(1a)
上記式(1a)中、Mはケイ素原子、チタン原子又はジルコニウム原子であり、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表す。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記金属アルコキシドは、ケイ素原子に4つの−O−Si基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−Si基における4つの酸素原子が直接結合している構造を有するシランアルコキシドを含むことが好ましい。上記金属アルコキシドは、下記式(1Aa)で表されるシランアルコキシドを含むことが好ましい。
Si(OR2)4 ・・・(1Aa)
上記式(1Aa)中、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表す。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
10%荷重値及び30%荷重値をより一層好適な範囲に制御する観点からは、上記無機シェルを形成するために用いる金属アルコキシド100モル%中、上記金属原子に4つの−O−M基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−M基における4つの酸素原子が直接結合している構造を有する金属アルコキシド、上記式(1a)で表される金属アルコキシド、上記ケイ素原子に4つの−O−Si基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−Si基における4つの酸素原子が直接結合している構造を有するシランアルコキシド、又は上記式(1Aa)で表されるシランアルコキシドの各含有量は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、100モル%以下である。上記無機シェルを形成するために用いる金属アルコキシドの全量が、上記金属原子に4つの−O−M基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−M基における4つの酸素原子が直接結合している構造を有する金属アルコキシド、上記式(1a)で表される金属アルコキシド、上記ケイ素原子に4つの−O−Si基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−Si基における4つの酸素原子が直接結合している構造を有するシランアルコキシド、又は上記式(1Aa)で表されるシランアルコキシドであってもよい。
10%K値及び30%K値をより一層好適な範囲に制御する観点からは、上記無機シェルに含まれる上記金属アルコキシドに由来する金属原子の全個数100%中、4つの−O−M基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−M基における4つの酸素原子が直接結合している金属原子の個数の割合、4つの−O−Si基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−Si基における4つの酸素原子が直接結合しているケイ素原子の個数の割合はそれぞれ、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。
また、10%K値を適度に高くし、かつ上記比(10%K値/30%K値)を適度な範囲に制御する観点からは、上記無機シェルに含まれている金属原子の全個数100%中、4つの−O−M基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−M基における4つの酸素原子が直接結合している金属原子の個数の割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。10%K値を適度に高くし、かつ上記比(10%K値/30%K値)を適度な範囲に制御する観点からは、上記金属アルコキシドがシランアルコキシドであり、かつ上記無機シェルに含まれているケイ素原子の全個数100%中、4つの−O−Si基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−Si基における4つの酸素原子が直接結合しているケイ素原子の個数の割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。
なお、4つの−O−Si基が直接結合しておりかつ上記4つの−O−Si基における4つの酸素原子が直接結合しているケイ素原子は、例えば、下記式(11)で表される構造におけるケイ素原子である。具体的には、下記式(11X)で表される構造における矢印Aを付して示す珪素原子である。
なお、上記式(11)における酸素原子は、一般に隣接するケイ素原子とシロキサン結合を形成している。
上記コアと上記シェルとの間で共有結合していないことが好ましい。上記コアと上記シェルとの間で共有結合していない場合には、シェルが過度に割れにくくなり、更に電極と導電性粒子との接続対象部材に対する接触面積を大きくすることができ、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができ、液晶表示素子の表示品質をより一層良好にすることができる。
上記コアと上記シェルとの間で共有結合していていないことが好ましいが、共有結合していてもよい。上記コアと上記シェルとの間で共有結合させる方法としては、コアの表面に、シェルを構成する材料の官能基と反応可能な官能基を導入した後、コアの表面上で上記シェルを構成する材料によりシェルを形成する方法等が挙げられる。具体的には、コアの表面をカップリング剤により表面処理した後に、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とする方法等が挙げられる。
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、上述した基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを備える。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電層2とを有する。導電層2は、基材粒子11の表面を被覆している。導電性粒子1は、基材粒子11の表面が導電層2により被覆された被覆粒子である。
基材粒子11は、コア12と、コア12の表面上に配置されたシェル13とを備える。シェル13は、コア12の表面を被覆している。導電層2は、シェル13の表面上に配置されている。導電層2は、シェル13の表面を被覆している。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図2に示す導電性粒子21は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電層22とを有する。導電層22は、内層である第1の導電層22Aと外層である第2の導電層22Bとを有する。基材粒子11の表面上に、第1の導電層22Aが配置されている。シェル13の表面上に、第1の導電層22Aが配置されている。第1の導電層22Aの表面上に、第2の導電層22Bが配置されている。
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図3に示す導電性粒子31は、基材粒子11と、導電層32と、複数の芯物質33と、複数の絶縁性物質34とを有する。
導電層32は、基材粒子11の表面上に配置されている。シェル13の表面上に導電層32が配置されている。
導電性粒子31は表面に、複数の突起31aを有する。導電層32は外表面に、複数の突起32aを有する。このように、上記導電性粒子は、導電性粒子の表面に突起を有していてもよく、導電層の外表面に突起を有していてもよい。複数の芯物質33が、基材粒子11の表面上に配置されている。シェル13の表面上に、複数の芯物質33が配置されている。複数の芯物質33は導電層32内に埋め込まれている。芯物質33は、突起31a,32aの内側に配置されている。導電層32は、複数の芯物質33を被覆している。複数の芯物質33により導電層32の外表面が隆起されており、突起31a,32aが形成されている。
導電性粒子31は、導電層32の外表面上に配置された絶縁性物質34を有する。導電層32の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質34により被覆されている。絶縁性物質34は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、上記導電性粒子は、導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
上記導電層を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、タングステン、モリブデン、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。
導電性粒子1,31のように、上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
上記基材粒子の表面に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは520μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。導電性粒子の粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。また、導電性粒子の粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
上記導電性粒子の粒径は、導電性粒子が真球状である場合には直径を意味し、導電性粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。
上記導電層の厚み(導電層が多層である場合には導電層全体の厚み)は、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、上記最外層が金層である場合の金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
上記導電性粒子は、上記導電層の外表面に突起を有していてもよい。該突起は複数であることが好ましい。導電層の表面並びに導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電層とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性物質を備える場合に、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質又はバインダー樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いなくてもよい。
上記導電性粒子は、上記導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を備えていてもよい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が上記導電層の表面に突起を有する場合には、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。上記絶縁性物質は、絶縁性樹脂層又は絶縁性粒子であることが好ましく、絶縁性粒子であることがより好ましい。上記絶縁性粒子は、絶縁性樹脂粒子であることが好ましい。
(導電材料)
上記導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体及び液晶表示素子)
上述した導電性粒子を用いて、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、該接続部が上述した導電性粒子により形成されているか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材は、第1の電極を表面に有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は、第2の電極を表面に有することが好ましい。上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。
図4は、図1に示す導電性粒子1を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1の接続対象部材52と第2の接続対象部材53とを接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図4では、図示の便宜上、導電性粒子1は略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子21,31などの他の導電性粒子を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。フレキシブルプリント基板の電極、樹脂フィルム上に配置された電極及びタッチパネルの電極を接続するための上記加圧の圧力は9.8×104〜1.0×106Pa程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
上記導電性粒子及び上記導電材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブル基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブル基板がフレキシブルプリント基板等である場合に、フレキシブル基板は一般に電極を表面に有する。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブル基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
また、上記基材粒子は、液晶表示素子用スペーサとして好適に用いられる。すなわち、上記基材粒子は、液晶セルを構成する一対の基板と、該一対の基板間に封入された液晶と、上記一対の基板間に配置された液晶表示素子用スペーサとを備える液晶表示素子を得るために好適に用いられる。上記液晶表示素子用スペーサは、周辺シール剤に含まれていてもよい。
図5に、本発明の一実施形態に係る基材粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いた液晶表示素子を断面図で示す。
図5に示す液晶表示素子81は、一対の透明ガラス基板82を有する。透明ガラス基板82は、対向する面に絶縁膜(図示せず)を有する。絶縁膜の材料としては、例えば、SiO2等が挙げられる。透明ガラス基板82における絶縁膜上に透明電極83が形成されている。透明電極83の材料としては、ITO等が挙げられる。透明電極83は、例えば、フォトリソグラフィーによりパターニングして形成可能である。透明ガラス基板82の表面上の透明電極83上に、配向膜84が形成されている。配向膜84の材料としては、ポリイミド等が挙げられている。
一対の透明ガラス基板82間には、液晶85が封入されている。一対の透明ガラス基板82間には、複数の基材粒子11が配置されている。基材粒子11は、液晶表示素子用スペーサとして用いられている。複数の基材粒子11により、一対の透明ガラス基板82の間隔が規制されている。一対の透明ガラス基板82の縁部間には、シール剤86が配置されている。シール剤86によって、液晶85の外部への流出が防がれている。シール剤86には、基材粒子11と粒径のみが異なる基材粒子11Aが含まれている。
上記液晶表示素子において1mm2あたりの液晶表示素子用スペーサの配置密度は、好ましくは10個/mm2以上、好ましくは1000個/mm2以下である。上記配置密度が10個/mm2以上であると、セルギャップがより一層均一になる。上記配置密度が1000個/mm2以下であると、液晶表示素子のコントラストがより一層良好になる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)基材粒子の作製
コアの作製)
ジビニルベンゼン(純度57%)300重量部と、エチレングリコールジメタクリレート700重量部とを混合し、混合液を得た。得られた混合液に過酸化ベンゾイル20重量部を加えて、均一に溶解するまで攪拌し、モノマー混合液を得た。分子量約1700のポリビニルアルコールを純水に溶解させた2重量%水溶液4000重量部を、反応釜に入れた。この中に、得られたモノマー混合液を入れ、4時間攪拌することで、モノマーの液滴が所定の粒径になるように、粒径を調整した。この後、85℃の窒素雰囲気下で9時間反応を行い、モノマー液滴の重合反応を行って、粒子を得た。得られた粒子を熱水、メタノール及びアセトンのそれぞれにて各数回洗浄した後、分級操作を行って、数種類の粒径の異なる重合体粒子(有機コア)を回収した。
実施例1では、分級操作で回収した重合体粒子のうち、粒径が2.51μmである重合体粒子(有機コア)を用意した。
コアシェル粒子の作製)
得られた重合体粒子(有機コア)60重量部と、界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド12重量部と、40重量%のメチルアミン水溶液54.7重量部とを、アセトニトリル1800重量部及び純水40重量部中に入れ、混合し、重合体粒子の分散液を得た。この分散液にテトラエトキシシラン300重量部を添加して、ゾルゲル反応による縮合反応を行った。テトラエトキシシランの縮合物を重合体粒子の表面に析出させて、シェルを形成し、粒子を得た。得られた粒子を熱水で2回、メタノールで2回、アセトンで1回洗浄し、乾燥することでコアシェル粒子(基材粒子)を得た。得られたコアシェル粒子の粒径は3.01μmであった。コアの粒径とコアシェル粒子の粒径とから、シェルの厚みは0.25μmと算出された。
(2)導電性粒子の作製
得られた基材粒子を洗浄し、乾燥した。その後、無電解めっき法により、得られた基材粒子の表面に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。
(実施例2)
コアの作製において、ジビニルベンゼン(純度57%)300重量部と、エチレングリコールジメタクリレート700重量部とを、1,4−ブタンジオールジアクリレート950重量部と、エチレングリコールジメタクリレート50重量部とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、コアの粒径が2.50μm、シェルの厚みが0.26μmのコアシェル粒子及び導電性粒子を得た。
(実施例3)
コアの粒径を2.51μmから2.78μmに変更したこと、及び、テトラエトキシシランの添加量を300重量部から140重量部に変更したことでコアシェル粒子の粒径を3.01μmから3.02μm(シェルの厚みは0.12μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例4)
実施例1で得られたコアシェル粒子を窒素雰囲気下、250℃で2時間焼成したこと以外は実施例1と同様にして、コアシェル粒子及び導電性粒子を得た。なお、焼成によって、コアの粒径が2.51μmから2.49μm、シェルの厚みが0.25μmから0.24μmに変化した。
(実施例5)
(1)パラジウム付着工程
実施例1で得られた基材粒子を用意した。得られた基材粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に樹脂粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に基材粒子を添加し、パラジウムが付着された基材粒子を得た。
(2)芯物質付着工程
パラジウムが付着された基材粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子を得た。
(3)無電解ニッケルめっき工程
実施例1と同様にして、基材粒子の表面上に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。
(実施例6)
(1)絶縁性粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
実施例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
(実施例7)
コアの粒径を2.51μmから1.51μmに変更したこと、及び、テトラエトキシシランの添加量を300重量部から415重量部に変更したことでコアシェル粒子の粒径を3.01μmから2.01μm(シェルの厚みは0.25μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして導電性粒子を得た。
(比較例1)
コアの作製において、ジビニルベンゼン(純度57%)300重量部と、エチレングリコールジメタクリレート700重量部とを、ジビニルベンゼン(純度96%)600重量部と、イソボロニルアクリレート400重量部とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、コアシェル粒子及び導電性粒子を得た。
(比較例2)
コアの作製において、ジビニルベンゼン(純度57%)300重量部と、エチレングリコールジメタクリレート700重量部とを、ジビニルベンゼン(純度96%)1000重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、コアシェル粒子及び導電性粒子を得た。
(比較例3)
ジビニルベンゼン(純度57%)300重量部と、エチレングリコールジメタクリレート700重量部とを、エチレングリコールジメタクリレート75重量部と、イソボロニルアクリレート850重量部と、シクロヘキシルメタクリレート75重量部とに変更した以外は実施例1と同様にして、コアシェル粒子及び導電性粒子を得た。
(評価)
(1)基材粒子の粒径、コアの粒径及びシェルの厚み
得られた基材粒子について、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の粒径を測定し、平均粒径及び標準偏差等を測定した。基材粒子を作製する際に用いたコアについても、同様の方法により粒径を測定した。基材粒子の粒径の平均値とコアの粒径の平均値との差から、シェルの厚みを求めた。上記の差の1/2がシェルの厚みである。
(2)基材粒子の圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)
得られた基材粒子の上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)を、23℃の条件で、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。10%K値/30%K値を求めた。
(3)上記コア及び基材粒子の圧縮回復率
上記コアの上記圧縮回復率X及び基材粒子の上記圧縮回復率Yを、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。圧縮回復率比(X/Y)を求めた。
(4)コア及びシェルの破壊歪み率
微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて、23℃の条件で、上述した方法により、コア及びシェルの破壊歪み率を測定した。
(5)接続抵抗
接続構造体の作製:
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート1009」)10重量部と、アクリルゴム(重量平均分子量約80万)40重量部と、メチルエチルケトン200重量部と、マイクロカプセル型硬化剤(旭化成イーマテリアルズ社製「HX3941HP」)50重量部と、シランカップリング剤(東レダウコーニングシリコーン社製「SH6040」)2重量部とを混合し、導電性粒子を含有量が3重量%となるように添加し、分散させ、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、片面が離型処理された厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗布し、70℃の熱風で5分間乾燥し、異方性導電フィルムを作製した。得られた異方性導電フィルムの厚さは12μmであった。
得られた異方性導電フィルムを5mm×5mmの大きさに切断した。切断された異方性導電フィルムを、一方に抵抗測定用の引き回し線を有するアルミニウム電極(高さ0.2μm、L/S=20μm/20μm)が設けられたガラス基板(幅3cm、長さ3cm)のアルミニウム電極のほぼ中央部へ貼り付けた。次いで同じアルミニウム電極が設けられた2層フレキシブルプリント基板(幅2cm、長さ1cm)を電極同士が重なるように、位置合わせをしてから貼り合わせた。このガラス基板と2層フレキシブルプリント基板との積層体を、10N、180℃、及び20秒間の圧着条件で熱圧着し、接続構造体を得た。
接続抵抗の測定:
得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。
[接続抵抗の評価基準]
○○:接続抵抗が3.0Ω以下
○:接続抵抗が3.0Ωを超え、4.0Ω以下
△:接続抵抗が4.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
(6)接続構造体における粒子滞留性
上記(5)接続抵抗の評価で得られた異方導電性フィルム及び接続構造体を用いて、単位面積当たりの異方導電性フィルム上の導電性粒子数(a)と熱圧着後の接続構造体上の導電性粒子数(b)とを200倍の光学顕微鏡で計測することにより、接続構造体の粒子滞留性(b/a)を下記の基準で判定した。
[接続構造体の粒子滞留性の評価基準]
○○:粒子滞留性が0.5以上
○:粒子滞留性が0.4以上、0.5未満
△:粒子滞留性が0.3以上、0.4未満
×:粒子滞留性が0.3未満
結果を下記の表1に示す。
(7)液晶表示素子用スペーサとしての使用例
STN型液晶表示素子の作製:
イソプロピルアルコール70重量部と水30重量部とを含む分散媒に、得られるスペーサ分散液100重量%中で実施例1〜7の加熱前の液晶表示素子用スペーサ(基材粒子)を固形分濃度が2重量%となるように添加し、撹拌し、液晶表示素子用スペーサ分散液を得た。
一対の透明ガラス板(縦50mm、横50mm、厚さ0.4mm)の一面に、CVD法によりSiO2膜を蒸着した後、SiO2膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成した。得られたITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜組成物(日産化学社製、品番:SE3510)を塗工し、280℃で90分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。配向膜にラビング処理を施した後、一方の基板の配向膜側に、液晶表示素子用スペーサを1mm2当たり100個となるように湿式散布した。他方の基板の周辺にシール剤を形成した後、この基板とスペーサを散布した基板とをラビング方向が90°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた。その後、160℃で90分間処理してシール剤を硬化させて、空セル(液晶の入ってない画面)を得た。得られた空セルに、カイラル剤入りのSTN型液晶(DIC社製)を注入し、次に注入口を封止剤で塞いだ後、120℃で30分間熱処理してSTN型液晶表示素子を得た。
得られた液晶表示素子では、実施例1〜7の加熱前の液晶表示素子用スペーサにより基板間の間隔が良好に規制されていた。また、液晶表示素子は、良好な表示品質を示した。また、実施例1〜7の液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子に衝撃を付与した結果、衝撃付与後でも、液晶表示素子の表示品質は良好に維持されていた。なお、液晶表示素子の周辺シール剤に、実施例1〜7の基材粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いた場合でも、得られた液晶表示素子の表示品質は良好であった。