JP6410632B2 - 無機質系発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無機質系発泡体の製造方法に関する。
無機質系発泡体は、塩化ビニル樹脂に無機質の物質からなる充填材を混合した混練物を発泡させることにより製造される。具体的には、炭酸カルシウム、タルクなどの無機質充填材、塩化ビニル樹脂、発泡剤、有機溶剤を混練し、得られた混練物を金型に充填して加温・発泡させたものが知られている(例えば、特許文献1〜3)。このような無機質系発泡体は断熱性を有し、燃えにくいため、建材用の断熱材等に使用されている。
特開平11−349720号公報 特開2005−330313号公報 特開2007−39644号公報
こうした無機質系発泡体の製造方法において、発泡前の混練物を可塑化させるために有機溶剤が使用されている。特に、可塑化能力の高さからトルエンが汎用されてきた。ところが、トルエンは、環境への負荷の大きさが懸念される。特に、上記したような無機質系発泡体を建材に使用する場合において、従来よりも環境への負荷が少ない有機溶剤への代替が望まれる。しかしながら、トルエン以外の有機溶剤を用いた場合、発泡体製造時に混練物を発泡させることが困難であることや、発泡体が得られたとしても、発泡体に収縮や亀裂が発生しやすくなる問題がある。
本発明は、環境への負荷が少ない有機溶剤を用いて、良好な無機質系発泡体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、(1)塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、及び発泡剤を混練してなる混練物を加圧した金型内で加温し、冷却した後、除圧することによって得られる、厚み50mm以上、見掛け密度150kg/m 以下の無機質系発泡体の製造方法において、
前記発泡剤が、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P−トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選択される1種以上の発泡剤であり、
前記発泡剤の添加量が、塩化ビニル樹脂100重量部に対して20〜50重量部であり、
前記有機溶剤として炭酸エステル系溶剤を用い、且つ、前記混練物に塩素化パラフィンが配合されており、
前記塩素化パラフィンの塩素含有率が、45〜80%であることを特徴とする、無機質系発泡体の製造方法、
(2)前記炭酸エステル系溶剤は、炭酸ジメチルである、上記(1)に記載の無機質系発泡体の製造方法、
(3)塩素化パラフィンの配合量は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量100重量部に対して5重量部以上である、上記(1)または(2)に記載の無機質系発泡体の製造方法、
(4)塩化ビニル樹脂の配合量は、5〜50重量部であり、無機質充填材の配合量は、50〜95重量部である(ただし、両者の合計が100重量部である)、上記(1)から(3)のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法、
(5)除圧する際の金型の温度が30℃以上50℃未満である、上記(1)から(4)のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法、
(6)塩化ビニル樹脂の配合量は、5〜30重量部であり、無機質充填材の配合量は、70〜95重量部である(ただし、塩化ビニル樹脂の配合量と無機質充填材の配合量の合計が100重量部である)、上記(1)から(5)のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法、を要旨とする。
本発明によれば、有機溶剤として環境への負荷が少ない炭酸エステル系溶剤を用い、さらに塩素化パラフィンを併用することで、塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混練物を発泡させて無機質系発泡体を製造する際に、収縮や亀裂の発生を抑制することが可能となる。
本発明は、塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、塩素化パラフィン及び発泡剤を混練してなる混練物を、加圧した金型内で加温、冷却し、除圧することによって得られる無機質系発泡体の製造方法である。なお、本明細書において、塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、塩素化パラフィン及び発泡剤を混練してなる混練物を混練物Aと呼ぶことがある。
(塩化ビニル樹脂)
本発明で使用される塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルを単量体の主成分とする重合体であれば良く、一般の塩化ビニル系樹脂を広く用いることができる。また、その性状も特に限定されることはなく乳化重合法によるペーストレジン,懸濁重合法によるサスペンションレジン、塊重合法によるマス重合レジンのいずれも使用することができるが、発泡体の製造上、公称目開き45μmのふるいを全て通過するペーストレジンであることが好ましい。
塩化ビニル樹脂は1000〜5000の平均重合度を有するものが好ましい。塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記範囲内であれば、発泡時にセル膜が壊れにくく、発泡体の収縮
を抑制する上で好ましい。
(無機質充填材)
本発明で使用される無機質充填材としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛などの金属の塩等が例示される。金属の塩としては、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酸化物、水酸化物、もしくはこれらの水和物が例示される。また、このほかにも、無機質充填材としては、タルク、カオリン、マイカ、ベントナイト、クレーなどが例示される。これら無機質充填材として例示された各物質の中でも、金属水酸化物が好適である。なお、無機質充填材は、2種以上を併用してもよい。
無機質充填材の粒度は、有機溶剤の吸収量を決定する上で重要な要素となる一方、その材料の種類に応じて好ましい値がある。例えば、無機質充填材がタルクである場合、無機質充填材の分散性を向上させるため、公称目開き106μmのふるいを90重量%以上通過する粒度分布を有するものが好ましい。また、無機質充填材が炭酸カルシウムである場合には、塩化ビニル樹脂の燃焼によって発生する塩素と反応させて無毒化させたり、有機溶剤による塩化ビニル樹脂の可塑化効率を向上させるため、公称目開き150μmのふるいを15〜80重量%通過する粒度分布を有するものが好ましい。また、無機質充填材が水酸化アルミニウムである場合には、脱水反応による効率的な不燃性向上の効果を得るため、平均粒径は0.5〜40μmのものが好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。
(有機溶剤及び塩素化パラフィン)
本発明では、有機溶剤として炭酸エステル系溶剤が用いられる。炭酸エステル系溶剤はトルエンよりも環境への負荷が少ない有機溶剤であり、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルやこれらの混合物等が挙げられる。有機溶剤は、可塑剤として機能し、塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物を膨潤させ、該混合物の粘度を発泡に適した粘度に調整するものである。有機溶剤として用いられる炭酸エステル系溶剤は、その沸点が20〜190℃であるものを用いることが好ましい。有機溶剤の沸点が上記範囲内であれば、原料の混練時に有機溶剤が揮発しにくく、適切な配合比率で原料成分を含む混練物を得る上で好ましい。また、上記範囲内であれば、混練物の発泡後の有機溶剤を揮発除去させる上でも好ましい。
本発明においては、有機溶剤として、炭酸エステル系溶剤のほかに、炭酸エステル系溶剤以外の有機溶剤を組み合わせて使用することができる。炭酸エステル系溶剤以外に併用できる有機溶剤としては、トルエンよりも環境への負荷が少なく、混練物の発泡を阻害しない溶剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、メチルプロピルケトン等を用いることができる。その場合には、炭酸エステル系溶剤以外の割合は、炭酸エステル系溶剤100重量部に対して20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
上記炭酸エステル系溶剤の中でも、炭酸ジメチルは得られた発泡剤からの逃散速度が速く、炭酸ジメチルを使用した発泡体は他の炭酸エステル系溶剤を使用した場合に比べ、養生工程に要する時間を特に短縮できる。かかる観点から、有機溶剤として、炭酸ジメチル、又は炭酸ジメチルを50重量%以上含む炭酸ジメチルと他の炭酸エステルとの混合物を用いることが好ましく、炭酸ジメチルを用いることがより好ましい。
本発明では前記混練物Aには塩素化パラフィンが配合されている。炭酸エステル系溶剤はトルエンよりも環境への負荷は少ないが、有機溶剤として炭酸エステル系溶剤を用いると、トルエンを用いる場合に比べて塩化ビニル樹脂と無機質充填剤との混練物を発泡させにくく、混練物を発泡させること自体が難しい。この点、本発明では混練物Aに塩素化パラフィンが配合されていることにより、塩素化パラフィンが配合されていない場合に比べ、塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物の発泡性が向上している。また、塩素化パラフィンが混練物Aに配合されていることで、発泡後の発泡体の収縮や亀裂を抑制することができ、所望の密度を有する発泡体を得ることができる。
本発明において使用される塩素化パラフィンは炭素数14以上のものを指し、特に炭素数18〜30のものが好ましい。また、塩素化パラフィンの塩素含有量(分子中の塩素原子量の含有率)は35〜80%が好ましく、より好ましくは45〜80%である。塩素含有率は、例えば、塩素化前のパラフィンと塩素化後のパラフィンの比重の変化から求めることができる。
また、塩化ビニル樹脂の可塑剤の中でも、塩素化パラフィンは難燃性を阻害しにくい観点からも、混練物Aに配合されるものとして好ましい。
(発泡剤)
本発明で使用される発泡剤としては,有機発泡剤であるアゾジカルボンアミド,アゾビスイソブチロニトリル,ジニトロソペンタメチレンテトラミン,P−トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンンスルホニルヒドラジド)等、無機発泡剤である重炭酸ソーダ,塩化アンモニウムなどが挙げられる。これら発泡剤は、2種以上組み合わせて用いることもできる。
発泡剤は前記物質から選択されれば、特に限定されることはないが、所望とする発泡倍率が得やすいことなどから、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルが好適に用いられる。
なお、発泡剤は必要に応じて尿素系の発泡助剤などと組み合わせて使用することができる。
(混練物の各成分の配合量)
塩化ビニル樹脂と無機質充填材の配合量については、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量を100重量部として、塩化ビニル樹脂の配合量が5〜50重量部、無機質充填材の配合量が50〜95重量部であることが好ましい。無機質充填材の配合量が50重量%以上であると、機械的強度と難燃性とのバランスに優れた無機質系発泡体が得られる。このような無機質系発泡体は建材用途などに好適に使用される。一方、無機質充填材の配合量が多くなるにしたがい、機械的強度及び難燃性は向上するが、塩化ビニル樹脂の配合量が少なくなるため発泡性は低下する傾向にある。塩化ビニル樹脂の配合割合が5重量部未満では発泡性が著しく低下し、良好な無機質系発泡体が得らなくなる虞がある。本発明においては、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量を100重量部として、塩化ビニルの配合量が5〜30重量部、無機質充填材の配合量が70〜95重量部としても、良好な無機質系発泡体を得ることができる。
混練物における塩素化パラフィンの配合量は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量100重量部に対して5重量部以上であることが好ましい。塩素化パラフィンの配合量が5重量部以上であることで、塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物の発泡性が向上し、見掛け密度が低い無機質系発泡体が得られ易くなる。
次に、発泡剤の添加量については、所望する発泡倍率や発泡剤の種類、有機溶剤の種類およびその量により異なるが、塩化ビニル樹脂100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部、特に好ましくは20〜50重量部である。発泡剤の添加量が上記範囲内であれば、所望とする発泡倍率を有する発泡体を得やすく、また独立気泡率の高い発泡体を得る上で好ましい。
(無機質系発泡体の製造)
ニーダー等の混練機を用いて、上記塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、塩素化パラフィン及び発泡剤を混合する。この際、有機溶剤は数回に分けて添加することが好ましい。また、混練時に混練物の温度が0〜50℃の範囲で保たれていることが好ましい。混練物の温度が上記範囲内であれば、塩化ビニル樹脂がゲル化しにくく、また発泡剤の分解の発生も抑制されやすくなり、効率の良い混練を行うことがより容易となる。
得られた混練物は金型内に隙間なく充填され、プレス機にて密閉、加圧される。また、プレス機にて加圧される際のプレス圧は、13MPa(G:ゲージ圧)以上であることが好ましい。
次に、プレス機による加圧下において、金型を100〜170℃に加温し5〜40分間その状態を保持することで、塩化ビニル樹脂のゲル化及び発泡剤の分解が促進される。これにより、有機溶剤は塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物中に取り込まれる。また、金型内部は、高温・高圧状態となっているため、発泡剤の分解ガスは塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物中に均一に拡散される。
水などの冷却媒体を用いて金型を冷却した後、プレス機の圧力を開放し、除圧することで、塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物を発泡させる。
なお、除圧する際の金型の温度は30℃以上50℃未満であることが好ましい。このような温度範囲で除圧することで、独立気泡率が高く、見掛け密度の低い発泡体が得られやすくなる。
得られた無機質系発泡体を、常圧下において、オーブンなどの温風循環装置内にて60〜80℃に加温することで、発泡体の発泡倍率をさらに高めることができる(二次発泡)。さらにその後、無機質系発泡体を徐々に加温することで、残存する有機溶剤を揮発除去することができる(溶剤揮散工程)。
従来、無機質系発泡体の調製においては、有機溶剤として環境負荷の高いトルエンが汎用されていたところ、本発明の製造方法によれば、有機溶剤として環境への負荷が少ない炭酸エステル系溶剤を用い、さらに塩素化パラフィンを併用することで、塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物を発泡させて無機質系発泡体を製造する際に、得られた発泡体が収縮することや発泡体に亀裂が発生することを抑制でき、良好な無機質系発泡体を製造することができる。
本発明の製造方法で有機溶剤として使用される炭酸エステル系溶剤は、トルエンに比べて早く揮発するため、無機質系発泡体内における有機溶剤の残存量を少なくすることができる。また、仮に、無機質系発泡体内に炭酸エステル系溶剤が残っていたとしても、トルエンを使用して得られる従前の無機質系発泡体よりも、養生期間を短くすることができる。
本発明の製造方法によれば、炭酸エステル系溶剤を使用した場合にも、無機質系発泡体として、厚みが50mm以上であり、見掛け密度が150kg/m以下のものを好適に製造することができる。なお、無機質系発泡体の厚みは、5箇所以上の厚みの算術平均値とする。
(添加剤)
無機質系発泡体の製造時に、混練物には、流動調整剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜添加することができる。
次に、実施例を用いて更に具体的に説明する。
まず、混練物を形成するための塩化ビニル樹脂、無機質充填材、塩素化パラフィン、発泡剤及び有機溶剤として用いられる炭酸エステル系溶剤について、表1に示す。
Figure 0006410632
表1中の各物質の性状を以下に示す。
塩化ビニル樹脂:重合度1700
炭酸カルシウムA:ふるい残分 250μm:38.1重量%、150μm:81.7重量%
炭酸カルシウムB:ふるい残分 150μm:45.4重量%、75μm:72.0重量%、45μm:84.9重量%
炭酸カルシウムのふるい残分は、JIS K0069(1992)に基づき、JIS Z8801−1(2006)に記載の公称目開きを有する試験用ふるいを用いて測定された値である。
タルク:平均粒子径(50%粒子径) 22μm
塩素化パラフィンA:炭素数26、塩素含有量68−72%
塩素化パラフィンB:炭素数14、塩素含有量50−52%
実施例1から10
(無機質系発泡体の調製)
表2に示すような混練物を形成するための塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、塩素化パラフィン、及び発泡剤といった各物質が準備された。有機溶剤としては炭酸エステル系溶剤を用いたものが準備された。なお、表2中の各物質の重量部は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量を100重量部とした際の値である。また、実施例9については、有機溶剤としてメチルプロピルケトン(イーストマンケミカル社製、メチルn−プロピルケトン)が炭酸エステル系溶剤に併用して用いられた。
まず、表2に示す割合(重量部)で、塩化ビニル樹脂、無機質充填材、塩素化パラフィン及び発泡剤をニーダーに投入し、10分間混合した。その後、ニーダー内に炭酸エステル系溶剤を用いた有機溶剤を4回に分けて添加してさらに混練して、混練物を形成した。なお、ニーダー内に有機溶剤を1回投入するたびに10分間混練し、有機溶剤の全量が投入された後、さらに30分間混練し、合計70分間混練を行った。混練時においては、混練物の温度が30℃になるようニーダー内の温度を調整した。溶剤の添加量について、その4回の総添加量が、表2に示す添加量(重量部)となっている。
得られた混練物を、縦100mm、横100mm、深さ25mmの内部空間を形成した金型に隙間なく充填し、上部に蓋をして、加圧プレス機で16MPa(G)の圧力まで加圧した。その後、金型内部の加圧状態を保ちつつ金型を100℃まで昇温させ、昇温後、その温度で10分間保持した。
さらに、その後金型内を150℃まで昇温させ、さらにその温度で18分間保持した。これにより、混練物中の塩化ビニル樹脂のゲル化及び発泡剤の分解を行った。
その後、金型を速やかに40℃まで冷却し、金型に加えられた圧力を開放して除圧を行うことで、混練物を発泡させて無機質系発泡体を得た(一次発泡)。そして、得られた無機質系発泡体を80℃のオーブン中にて3時間収容してさらに発泡させた(二次発泡)。その後、無機質系発泡体を23℃にて12時間養生した後、80℃のオーブン中に10時間収容し、残存する有機溶剤を揮散させた(溶剤揮散工程)。その後、さらに、無機質系発泡体を23℃にて2時間養生した。養生後の発泡体の後述の性能について測定を行なった。
(無機質系発泡体の物性)
得られた無機質系発泡体について、見掛け密度、独立気泡率、熱伝導率、有機溶剤残量、厚みを下記の方法に従って測定した。また、得られた無機質系発泡体の表面の亀裂の有無を目視により確認した。結果を表2に示す。
(見掛け密度)
無機質系発泡体から100mm×100mm×30mmの寸法となるように切り出してサンプルとなし、サンプルについて体積(m)と重量(kg)を測定して、それらの値に基づき、見掛け密度(kg/m)を算出した。
(独立気泡率)
ASTM−D2856−70の手順Cに従って,東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定された発泡体(カットサンプル)の真の体積Vxを用い,下記(1)式により独立気泡率S(%)を計算し,N=3の平均値の値として、独立気泡率を算出した。測定用サンプルとしては、発泡体から25mm×25mm×40mmのサイズに切り出された成形表皮をもたないカットサンプルを用いた。
Figure 0006410632
上記数式(1)において、Vx、W、ρs、Vaは、以下の通りである。すなわち、
Vx:上記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm)であり,カットサンプルを構成する塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物の容積と,カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm)。
W:測定に使用されたカットサンプルの全重量(g)。
ρs:無機質系発泡体を構成する樹脂組成物の密度(g/cm)。
(熱伝導率)
表2、3における熱伝導率は、製造後の無機質系発泡体の成形表皮の部分を避けるように無機質系発泡体の中央部から150mm×150mm×30mmの大きさの部分を切り出して試験片となした。次に、試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下の条件下に保存した。保存時の条件を保ちつつ4週間経過した試験片を用いてJIS A1412−2:1999記載の熱流計法(試験体1枚・対称構成方式)に準拠し、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃の温度条件にて熱伝導率(W/mK)を測定した。
(有機溶剤残量)
発泡体製造後の発泡体から切り出した150mm×150mm×30mmの成形表皮が存在しない試験片を、23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。次に、製造後1日後、7日後に該試験片からサンプルの重量が1gとなるように切り出し、サンプルとした。このサンプルを、内部標準物質としてエタノールを含むジメチルエーテルの入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し発泡体中の有機溶剤をジメチルエーテル中に溶解した溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行って残存量を求め、サンプルの重量に対する重量比率(%)から溶剤残量を算出した。
(無機質系発泡体の厚み)
得られた無機質系発泡体の板面の中央付近と四隅付近の計5箇所の厚みをノギスにて測定し、その算術平均値を無機質系発泡体の厚み(mm)とした。
比較例1
表3に示すような配合量で混練物を調製し、実施例1と同様の手順で無機質系発泡体を調製した。なお、表3中の各物質の重量部は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量を100重量部とした際の値である。比較例1では、有機溶剤としてトルエンを使用した。得られた無機質系発泡体について、見掛け密度、独立気泡率、熱伝導率、溶剤残量を実施例1から10で示した上記の方法に従って測定した。結果を表3に示す。無機質系発泡体内に残存する溶剤量は実施例1に比べ多いものであった。
比較例2
比較例2では、塩素化パラフィンを使用せず、表3に示すような配合量で混練物を調製し、該混練物を実施例1の一次発泡と同様の条件で発泡させようとしたが、混練物は発泡せず、発泡体を得ることができなかった。また、除圧した際に、混練物から炭酸ジメチルの分離が確認された。
比較例3
比較例3では、実施例1から10で塩素化パラフィンを使用することに替えて流動パラフィンを使用し、表3に示すような配合量で混練物を調製し、該混練物を実施例1の一次発泡と同様の条件で発泡させたところ、見掛け密度200kg/mの発泡体が得られた。しかしながら、その後、80℃での溶剤揮散工程において、発泡体が著しく収縮していまい、良好な発泡体を得ることは出来なかった。なお、比較例3の発泡体の見掛け密度は、無機質系発泡体から100mm×100mm×20mmの寸法となるように切り出したサンプルを用いて測定した値である。
Figure 0006410632
Figure 0006410632

Claims (6)

  1. 塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、及び発泡剤を混練してなる混練物を加圧した金型内で加温し、冷却した後、除圧することによって得られる、厚み50mm以上、見掛け密度150kg/m 以下の無機質系発泡体の製造方法において、
    前記発泡剤が、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P−トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選択される1種以上の発泡剤であり、
    前記発泡剤の添加量が、塩化ビニル樹脂100重量部に対して20〜50重量部であり、
    前記有機溶剤として炭酸エステル系溶剤を用い、且つ、前記混練物に塩素化パラフィンが配合されており、
    前記塩素化パラフィンの塩素含有率が、45〜80%であることを特徴とする、無機質系発泡体の製造方法。
  2. 前記炭酸エステル系溶剤は、炭酸ジメチルである、請求項1に記載の無機質系発泡体の製造方法。
  3. 塩素化パラフィンの配合量は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量100重量部に対して5重量部以上である、請求項1または2に記載の無機質系発泡体の製造方法。
  4. 塩化ビニル樹脂の配合量は、5〜50重量部であり、無機質充填材の配合量は、50〜95重量部である(ただし、両者の合計が100重量部である)、請求項1から3のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法。
  5. 除圧する際の金型の温度が30℃以上50℃未満である、請求項1から4のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法。
  6. 塩化ビニル樹脂の配合量は、5〜30重量部であり、無機質充填材の配合量は、70〜95重量部である(ただし、塩化ビニル樹脂の配合量と無機質充填材の配合量の合計が100重量部である)、請求項1から5のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法。
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