JP6410632B2 - 無機質系発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
前記発泡剤が、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P−トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選択される1種以上の発泡剤であり、
前記発泡剤の添加量が、塩化ビニル樹脂100重量部に対して20〜50重量部であり、
前記有機溶剤として炭酸エステル系溶剤を用い、且つ、前記混練物に塩素化パラフィンが配合されており、
前記塩素化パラフィンの塩素含有率が、45〜80%であることを特徴とする、無機質系発泡体の製造方法、
(2)前記炭酸エステル系溶剤は、炭酸ジメチルである、上記(1)に記載の無機質系発泡体の製造方法、
(3)塩素化パラフィンの配合量は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量100重量部に対して5重量部以上である、上記(1)または(2)に記載の無機質系発泡体の製造方法、
(4)塩化ビニル樹脂の配合量は、5〜50重量部であり、無機質充填材の配合量は、50〜95重量部である(ただし、両者の合計が100重量部である)、上記(1)から(3)のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法、
(5)除圧する際の金型の温度が30℃以上50℃未満である、上記(1)から(4)のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法、
(6)塩化ビニル樹脂の配合量は、5〜30重量部であり、無機質充填材の配合量は、70〜95重量部である(ただし、塩化ビニル樹脂の配合量と無機質充填材の配合量の合計が100重量部である)、上記(1)から(5)のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法、を要旨とする。
本発明で使用される塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルを単量体の主成分とする重合体であれば良く、一般の塩化ビニル系樹脂を広く用いることができる。また、その性状も特に限定されることはなく乳化重合法によるペーストレジン,懸濁重合法によるサスペンションレジン、塊重合法によるマス重合レジンのいずれも使用することができるが、発泡体の製造上、公称目開き45μmのふるいを全て通過するペーストレジンであることが好ましい。
を抑制する上で好ましい。
本発明で使用される無機質充填材としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛などの金属の塩等が例示される。金属の塩としては、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酸化物、水酸化物、もしくはこれらの水和物が例示される。また、このほかにも、無機質充填材としては、タルク、カオリン、マイカ、ベントナイト、クレーなどが例示される。これら無機質充填材として例示された各物質の中でも、金属水酸化物が好適である。なお、無機質充填材は、2種以上を併用してもよい。
本発明では、有機溶剤として炭酸エステル系溶剤が用いられる。炭酸エステル系溶剤はトルエンよりも環境への負荷が少ない有機溶剤であり、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルやこれらの混合物等が挙げられる。有機溶剤は、可塑剤として機能し、塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物を膨潤させ、該混合物の粘度を発泡に適した粘度に調整するものである。有機溶剤として用いられる炭酸エステル系溶剤は、その沸点が20〜190℃であるものを用いることが好ましい。有機溶剤の沸点が上記範囲内であれば、原料の混練時に有機溶剤が揮発しにくく、適切な配合比率で原料成分を含む混練物を得る上で好ましい。また、上記範囲内であれば、混練物の発泡後の有機溶剤を揮発除去させる上でも好ましい。
本発明で使用される発泡剤としては,有機発泡剤であるアゾジカルボンアミド,アゾビスイソブチロニトリル,ジニトロソペンタメチレンテトラミン,P−トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等、無機発泡剤である重炭酸ソーダ,塩化アンモニウムなどが挙げられる。これら発泡剤は、2種以上組み合わせて用いることもできる。
塩化ビニル樹脂と無機質充填材の配合量については、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量を100重量部として、塩化ビニル樹脂の配合量が5〜50重量部、無機質充填材の配合量が50〜95重量部であることが好ましい。無機質充填材の配合量が50重量%以上であると、機械的強度と難燃性とのバランスに優れた無機質系発泡体が得られる。このような無機質系発泡体は建材用途などに好適に使用される。一方、無機質充填材の配合量が多くなるにしたがい、機械的強度及び難燃性は向上するが、塩化ビニル樹脂の配合量が少なくなるため発泡性は低下する傾向にある。塩化ビニル樹脂の配合割合が5重量部未満では発泡性が著しく低下し、良好な無機質系発泡体が得らなくなる虞がある。本発明においては、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量を100重量部として、塩化ビニルの配合量が5〜30重量部、無機質充填材の配合量が70〜95重量部としても、良好な無機質系発泡体を得ることができる。
ニーダー等の混練機を用いて、上記塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、塩素化パラフィン及び発泡剤を混合する。この際、有機溶剤は数回に分けて添加することが好ましい。また、混練時に混練物の温度が0〜50℃の範囲で保たれていることが好ましい。混練物の温度が上記範囲内であれば、塩化ビニル樹脂がゲル化しにくく、また発泡剤の分解の発生も抑制されやすくなり、効率の良い混練を行うことがより容易となる。
無機質系発泡体の製造時に、混練物には、流動調整剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜添加することができる。
塩化ビニル樹脂:重合度1700
炭酸カルシウムA:ふるい残分 250μm:38.1重量%、150μm:81.7重量%
炭酸カルシウムB:ふるい残分 150μm:45.4重量%、75μm:72.0重量%、45μm:84.9重量%
炭酸カルシウムのふるい残分は、JIS K0069(1992)に基づき、JIS Z8801−1(2006)に記載の公称目開きを有する試験用ふるいを用いて測定された値である。
タルク:平均粒子径(50%粒子径) 22μm
塩素化パラフィンA:炭素数26、塩素含有量68−72%
塩素化パラフィンB:炭素数14、塩素含有量50−52%
(無機質系発泡体の調製)
表2に示すような混練物を形成するための塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、塩素化パラフィン、及び発泡剤といった各物質が準備された。有機溶剤としては炭酸エステル系溶剤を用いたものが準備された。なお、表2中の各物質の重量部は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量を100重量部とした際の値である。また、実施例9については、有機溶剤としてメチルプロピルケトン(イーストマンケミカル社製、メチルn−プロピルケトン)が炭酸エステル系溶剤に併用して用いられた。
得られた無機質系発泡体について、見掛け密度、独立気泡率、熱伝導率、有機溶剤残量、厚みを下記の方法に従って測定した。また、得られた無機質系発泡体の表面の亀裂の有無を目視により確認した。結果を表2に示す。
無機質系発泡体から100mm×100mm×30mmの寸法となるように切り出してサンプルとなし、サンプルについて体積(m3)と重量(kg)を測定して、それらの値に基づき、見掛け密度(kg/m3)を算出した。
ASTM−D2856−70の手順Cに従って,東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定された発泡体(カットサンプル)の真の体積Vxを用い,下記(1)式により独立気泡率S(%)を計算し,N=3の平均値の値として、独立気泡率を算出した。測定用サンプルとしては、発泡体から25mm×25mm×40mmのサイズに切り出された成形表皮をもたないカットサンプルを用いた。
Vx:上記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm3)であり,カットサンプルを構成する塩化ビニル樹脂と無機質充填材との混合物の容積と,カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)。
W:測定に使用されたカットサンプルの全重量(g)。
ρs:無機質系発泡体を構成する樹脂組成物の密度(g/cm3)。
表2、3における熱伝導率は、製造後の無機質系発泡体の成形表皮の部分を避けるように無機質系発泡体の中央部から150mm×150mm×30mmの大きさの部分を切り出して試験片となした。次に、試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下の条件下に保存した。保存時の条件を保ちつつ4週間経過した試験片を用いてJIS A1412−2:1999記載の熱流計法(試験体1枚・対称構成方式)に準拠し、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃の温度条件にて熱伝導率(W/mK)を測定した。
発泡体製造後の発泡体から切り出した150mm×150mm×30mmの成形表皮が存在しない試験片を、23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。次に、製造後1日後、7日後に該試験片からサンプルの重量が1gとなるように切り出し、サンプルとした。このサンプルを、内部標準物質としてエタノールを含むジメチルエーテルの入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し発泡体中の有機溶剤をジメチルエーテル中に溶解した溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行って残存量を求め、サンプルの重量に対する重量比率(%)から溶剤残量を算出した。
得られた無機質系発泡体の板面の中央付近と四隅付近の計5箇所の厚みをノギスにて測定し、その算術平均値を無機質系発泡体の厚み(mm)とした。
表3に示すような配合量で混練物を調製し、実施例1と同様の手順で無機質系発泡体を調製した。なお、表3中の各物質の重量部は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量を100重量部とした際の値である。比較例1では、有機溶剤としてトルエンを使用した。得られた無機質系発泡体について、見掛け密度、独立気泡率、熱伝導率、溶剤残量を実施例1から10で示した上記の方法に従って測定した。結果を表3に示す。無機質系発泡体内に残存する溶剤量は実施例1に比べ多いものであった。
比較例2では、塩素化パラフィンを使用せず、表3に示すような配合量で混練物を調製し、該混練物を実施例1の一次発泡と同様の条件で発泡させようとしたが、混練物は発泡せず、発泡体を得ることができなかった。また、除圧した際に、混練物から炭酸ジメチルの分離が確認された。
比較例3では、実施例1から10で塩素化パラフィンを使用することに替えて流動パラフィンを使用し、表3に示すような配合量で混練物を調製し、該混練物を実施例1の一次発泡と同様の条件で発泡させたところ、見掛け密度200kg/m3の発泡体が得られた。しかしながら、その後、80℃での溶剤揮散工程において、発泡体が著しく収縮していまい、良好な発泡体を得ることは出来なかった。なお、比較例3の発泡体の見掛け密度は、無機質系発泡体から100mm×100mm×20mmの寸法となるように切り出したサンプルを用いて測定した値である。
Claims (6)
- 塩化ビニル樹脂、無機質充填材、有機溶剤、及び発泡剤を混練してなる混練物を加圧した金型内で加温し、冷却した後、除圧することによって得られる、厚み50mm以上、見掛け密度150kg/m 3 以下の無機質系発泡体の製造方法において、
前記発泡剤が、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P−トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選択される1種以上の発泡剤であり、
前記発泡剤の添加量が、塩化ビニル樹脂100重量部に対して20〜50重量部であり、
前記有機溶剤として炭酸エステル系溶剤を用い、且つ、前記混練物に塩素化パラフィンが配合されており、
前記塩素化パラフィンの塩素含有率が、45〜80%であることを特徴とする、無機質系発泡体の製造方法。 - 前記炭酸エステル系溶剤は、炭酸ジメチルである、請求項1に記載の無機質系発泡体の製造方法。
- 塩素化パラフィンの配合量は、塩化ビニル樹脂と無機質充填材の合計量100重量部に対して5重量部以上である、請求項1または2に記載の無機質系発泡体の製造方法。
- 塩化ビニル樹脂の配合量は、5〜50重量部であり、無機質充填材の配合量は、50〜95重量部である(ただし、両者の合計が100重量部である)、請求項1から3のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法。
- 除圧する際の金型の温度が30℃以上50℃未満である、請求項1から4のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法。
- 塩化ビニル樹脂の配合量は、5〜30重量部であり、無機質充填材の配合量は、70〜95重量部である(ただし、塩化ビニル樹脂の配合量と無機質充填材の配合量の合計が100重量部である)、請求項1から5のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法。
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