JP2016194056A - 無機質系発泡体の製造方法 - Google Patents

無機質系発泡体の製造方法 Download PDF

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【課題】環境への負荷が少ない有機溶剤を用いると共に、金属水酸化物等を配合した場合でも、良好な無機質系発泡体を製造する方法。【解決手段】塩化ビニル樹脂、無機充填剤、金属水酸化物、発泡剤及び有機溶剤を特定の配合比で含む混練物を加圧した型内で加熱、冷却後に除圧して無機質系発泡体を得る工程を含み、前記混練物は、更に塩素化パラフィンを含み、前記有機溶剤は、(1)ジエチルカーボネート及び/又はエチルメチルカーボネートからなる炭酸ジエステルAと、(2)メチルプロピルケトンと、(3)前記炭酸ジエステルAとジメチルカーボネートとからなり、前記炭酸ジエステルAを20重量%以上の割合で含む混合溶剤と、(4)メチルプロピルケトンと、C1〜2のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとからなり、前記メチルプロピルケトンを5重量%以上の割合で含む混合溶剤と、のいずれかである無機質系発泡体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、無機質系発泡体の製造方法に関する。
独立気泡によって発泡させた無機質系発泡体は、軽量で断熱性に優れ、各種装置や建物などの断熱材などに広く用いられている。なかでも、塩化ビニル樹脂発泡体は、耐薬品性、機械的強度などの点においても優れている。
例えば、特許文献1には、炭酸カルシウム、タルクなどの無機物質充填剤を基材とし、これに塩化ビニル樹脂、発泡剤、有機溶剤を添加後、ニーダーで混練し、得られた混練物を金型に充填、加熱発泡させたものが記載されている。
また、本出願人は、塩化ビニル樹脂、無機物質充填材、発泡剤および有機溶剤の混練物において、ヒュームドシリカを添加した無機質系発泡体の製造方法を提案している(特許文献2)。また、ヒュームドシリカを使用することなく、無機繊維ウィスカーおよび特定の無機物質充填材を所定量添加した無機質系発泡体の製造方法を提案している(特許文献3)。このような無機質系発泡体は断熱性を有し、燃えにくいため、建材用の断熱材等に使用されている。
そして、このような無機質系発泡体の製造方法においては、混練物を発泡に適した粘度に調整するために有機溶剤が使用されている。特に、粘度調整のしやすさからトルエンが汎用されている。
特開平11−349720号公報 特開2005−330313号公報 特開2007−39644号公報
しかしながら、無機質系発泡体の製造方法において、有機溶剤としてトルエンを使用する場合、環境への負荷の大きさが懸念される。特に、上記のような無機質系発泡体を建材に使用する場合において、従来よりも環境への負荷が少ない有機溶剤への代替が望まれる。しかしながら、トルエン以外の有機溶剤を用いた場合、発泡体製造時に混練物を発泡させることが困難であることや、発泡体が得られたとしても、発泡体に収縮や亀裂が発生しやすくなる問題がある。
また、無機質系発泡体をより燃えにくいものとするために、無機物質充填材の他に金属水酸化物等を配合した場合も、同様に発泡体製造時において、混練物の発泡性が低下したり、発泡体に収縮や亀裂が発生しやすくなる問題がある。加えて、金属水酸化物等を配合すると共に、トルエン以外の有機溶剤を用いた場合、この傾向がさらに顕著なものとなるという問題がある。
本発明は、環境への負荷が少ない有機溶剤を用いると共に、金属水酸化物等を配合した場合でも、良好な無機質系発泡体を製造する方法を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するため、塩化ビニル樹脂、無機充填剤、金属水酸化物、発泡剤及び有機溶剤を含む混練物を加圧した型内で加熱、冷却後に除圧することにより無機質系発泡体を得る工程を含む無機質系発泡体の製造方法であって、
塩化ビニル樹脂と無機充填剤と金属水酸化物の配合比は、これらの合計100重量部に対して、塩化ビニル樹脂が5〜30重量部、無機充填材が20〜85重量部、金属水酸化物が10重量部以上であり、
前記混練物は、さらに塩素化パラフィンを含み、
前記有機溶剤は、以下の(1)〜(4)、
(1)ジエチルカーボネート及び/またはエチルメチルカーボネートからなる炭酸ジエステルA、
(2)メチルプロピルケトン、
(3)前記炭酸ジエステルAとジメチルカーボネートとからなり、前記炭酸ジエステルAを20重量%以上の割合で含む混合溶剤、
(4)メチルプロピルケトンと、炭素数1〜2のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとからなり、前記メチルプロピルケトンを5重量%以上の割合で含む混合溶剤
のうちのいずれかであることを特徴としている。
この無機質系発泡体の製造方法では、前記有機溶剤は、前記(1)の炭酸ジエステルAであり、この炭酸ジエステルAがジエチルカーボネートであることが好ましい。
この無機質系発泡体の製造方法では、前記有機溶剤は、前記(3)の混合溶剤であり、前記(3)の混合溶剤は、ジエチルカーボネートとジメチルカーボネートとからなり、ジエチルカーボネートを50重量%以上含むことが好ましい。
この無機質系発泡体の製造方法では、前記塩素化パラフィンの配合比が、塩化ビニル樹脂、無機充填剤、金属水酸化物の合計100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましい。
本発明の無機質系発泡体の製造方法によれば、有機溶剤として、トルエンの代わりに、特定の有機溶剤を用いることにより、金属水酸化物を配合して無機質系発泡体を製造する際に、発泡体の収縮や亀裂の発生を抑制できると共に、低見掛け密度の発泡体を得ることが可能となる。
以下、本発明の無機質系発泡体の製造方法の実施形態について説明する。
本発明の無機質系発泡体の製造方法は、塩化ビニル樹脂、無機充填剤、金属水酸化物、発泡剤および有機溶剤および塩素化パラフィンを含む混練物(以下、単に混練物とも言う)を加圧した型内で加熱、冷却後に除圧して発泡させることにより無機質系発泡体を得る工程を含む。
塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルを単量体の主成分とする重合体であればよく、一般の塩化ビニル系樹脂を広く用いることができる。その性状も特に限定されることなく、乳化重合法によるペーストレジン、懸濁重合法によるサスペンションレジン、塊重合法によるマス重合レジンのいずれも使用することができるが、発泡体の製造上、公称目開き45μmのふるいを全て通過するペーストレジンであることが好ましい。
また、塩化ビニル樹脂は、1000〜5000の平均重合度を有するものが好ましく、1500〜4000の平均重合度を有するものがさらに好ましい。塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記範囲であれば、混練物の発泡時に気泡膜が壊れにくくなるため、発泡体製造時における発泡体の収縮を効果的に抑制することができる。また、より安定して低見掛け密度の発泡体を得ることができる。
塩化ビニル樹脂は、単一の樹脂の使用に限らず、異なる重合度の樹脂を2種以上混合して使用することもできる。なお、塩化ビニル樹脂の平均重合度は、JIS K 6720−2(1999年)に基づいて測定することができる。
さらに、塩化ビニル樹脂の配合割合は、塩化ビニル樹脂と無機充填剤と金属水酸化物との合計100重量部に対し、5〜30重量部であり、好ましくは7〜27重量部、さらに好ましくは10〜25重量部である。塩化ビニル樹脂の配合割合が低すぎると、混練物が十分に発泡せず、発泡体が得られないおそれがある。一方、塩化ビニルの配合割合が高すぎると、発泡体中の有機物質の増加から、難燃性が著しく悪化してしまうおそれがある。
無機充填材は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛などの炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酸化物、もしくはこれらの水和物の粉末状のものが挙げられ、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、石膏、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ガラスフレーク、水和アルミニウム、水和石膏、カオリン、マイカ、シリカ、タルク、クレー、ベントナイト等を例示できる。なお、無機充填材は2種以上を併用しても良い。
無機充填材の粒度は、有機溶剤の吸収量を決定する上で重要な要素となる一方、その材料の種類に応じて好ましい値があるため、これを考慮して適宜設定することができる。例えば、タルクの場合、その分散性を向上させるため、公称目開き106μmのふるいを90%以上通過する程度以上の細かさのものが好ましい。また、炭酸カルシウムの場合、塩化ビニル樹脂の燃焼によって発生する塩素と反応させて無毒化させたり、塩化ビニル樹脂と有機溶剤との密着性を向上させるため、公称目開き150μmのふるいを15〜80重量%通過する粒度分布をすることが好ましい。
また、無機充填材の配合割合は、塩化ビニル樹脂と無機充填剤と金属水酸化物との合計100重量部に対し、20〜85重量部であり、好ましくは25〜75重量部である。無機充填材の配合割合がこの範囲であると、機械的強度と難燃性とのバランスに優れた発泡体を得ることができる。
金属水酸化物は、無機質系発泡体の難燃性を高める作用のあるもので、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化スズなどのうち1種または2種以上を例示することができる。これらの中でも、金属水酸化物が水酸化アルミニウムを含むことが好ましい。水酸化アルミニウムは発泡体が200〜400℃に加熱されたときに脱水分解し、そのときの吸熱によって発泡体燃焼時の発熱量を小さくして発泡体の温度上昇を抑制することができる。
上記観点から、金属水酸化物の配合割合は、塩化ビニル樹脂と無機充填剤と金属水酸化物との合計100重量部に対し、10重量部以上であり、好ましくは20重量部以上である。一方、金属水酸化物の配合割合は、塩化ビニル樹脂と無機充填剤と金属水酸化物との合計100重量部に対し、概ね70重量部以下である。なお、金属水酸化物を2種以上使用する場合は、その合計量を金属水酸化物の配合割合とする。
金属水酸化物の平均粒径は、一般に小さいほど燃焼特性に対する効果が大きくなる傾向にあり、0.5〜40μmのものが好ましく、1〜20μmが更に好ましい。
金属水酸化物の平均粒径は、例えば、株式会社島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000を使用して測定することができる。例えば、金属水酸化物を50mlビーカーにとり、分散剤としてヘキサメタリン酸を0.1wt%添加した純水を約40ml加えて、超音波バスにて分散処理後、測定することができる。
発泡剤は、有機発泡剤であるアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P−トルエンスルホニルヒドラジド、P、P’−オキシビス(ベンセンスルホニルヒドラジド)など、無機発泡剤である重炭酸ソーダ、塩化アンモニウムなどが挙げられる。これら発泡剤は、2種以上組み合わせて用いることもできる。発泡剤は特に限定されることはないが、所望とする発泡倍率が得やすいことなどから、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルが好適に用いられる。発泡剤の添加量は、所望する発泡倍率や発泡剤の種類、有機溶剤の種類およびその量により異なるが、塩化ビニル樹脂と無機充填材と金属水酸化物との合計100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部である。上記範囲であれば、所望とする発泡倍率が得られ、また発泡時に気泡膜が破れて連泡化するおそれが無く好ましい。なお、発泡剤は必要に応じて尿素系の発泡助剤などと組み合わせて使用することができる。
有機溶剤は、可塑剤として機能し、塩化ビニル樹脂と無機充填材と金属水酸化物との混練物を膨潤させ、該混練物の粘度を発泡に適した粘度に調整するものである。
上記観点から、有機溶剤の添加量は、所望の発泡倍率や有機溶剤の種類にもよるが、塩化ビニル樹脂と無機充填材と金属水酸化物との合計100重量部に対して、概ね30〜100重量部であり、より好ましくは40〜90重量部、さらに好ましくは50〜80重量部、特に好ましくは50〜70重量部である。
本発明においては、以下の(1)〜(4)のうちのいずれかからなる、トルエンよりも環境への負荷が少ない有機溶剤を用いる。
(1)ジエチルカーボネート(DEC)及び/またはエチルメチルカーボネート(EMC)からなる炭酸ジエステル;A。
(2)メチルプロピルケトン(MPK)。
(3)前記炭酸ジエステル;Aとジメチルカーボネート(DMC)とからなり、前記炭酸ジエステル;Aを20重量%以上の割合で含む混合溶剤。
(4)メチルプロピルケトン(MPK)と、炭素数1〜2のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとからなり、前記メチルプロピルケトンを5重量%以上の割合で含む混合溶剤。
なお、本発明では、(4)の混合溶剤における「炭素数1〜2のアルキル基を有するジアルキルカーボネート」とは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートのうちから選択される1種または2種以上からなるものである。
本発明において、(1)〜(4)を構成する有機溶剤は、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルケトンであり、いずれもトルエンよりも環境への負荷が少ない有機溶剤である。
(1)〜(4)を構成する有機溶剤のそれぞれの沸点は、20〜190℃である。有機溶剤の沸点が上記範囲内のものを用いることで、原料の混練時に有機溶剤が揮発しにくくなり、適切な配合比率で原料成分を含む混練物を得ることができる。また、有機溶剤の沸点が上記範囲内であれば、混練物の発泡後に残存する有機溶剤を揮発除去させる上でも好ましい。さらに、上記(1)〜(4)の有機溶剤は、トルエンなどの有機溶剤に比べ、発泡体からの逃散速度が速いため、発泡体内における有機溶剤の残存量が少なく抑えられると共に、発泡体製造後に発泡体内に有機溶剤が残ったとしても、その養生期間を短縮することができる。
上記有機溶剤のうち、ジエチルカーボネートは、他の有機溶剤に比べ、混練物の粘度調整のしやすさと発泡体からの逃散速度とのバランスに優れると共に、入手しやすいものである。上記観点から、有機溶剤として、ジエチルカーボネート、またはジエチルカーボネートを50重量%以上の割合で含むジエチルカーボネートとジメチルカーボネートとからなる混合溶剤であることが好ましい。さらに、混練物の発泡性と発泡体中の溶剤残量とのバランスの観点から、ジエチルカーボネートを用いることが好ましく、発泡体中の溶剤残量をより低減させる場合には、ジエチルカーボネートを50重量%以上の割合で含むジエチルカーボネートとジメチルカーボネートとからなる混合溶剤であることが好ましい。
さらに、本発明の製造方法においては、混練物に塩素化パラフィンが含まれている。トルエンの代わりに環境への負荷が少ない有機溶剤を用いただけでは、トルエンを用いた場合に比べて混練物を発泡させにくく、混練物を発泡させること自体が難しい。加えて、混練物中の金属水酸化物の配合割合が高くなるほど、この傾向がより顕著になる。
本発明では、上記した特定の有機溶剤を用いると共に、混練物に塩素化パラフィンが含まれていることにより、塩素化パラフィンが含まれていない場合に比べ、混練物の発泡性が向上するため、発泡体を製造しやすくなる。また、塩素化パラフィンが混練物に含まれていることで、発泡後の発泡体の収縮や亀裂を抑制することができ、低見掛け密度の発泡体を得ることができる。上記観点から、塩素化パラフィンの配合割合が、塩化ビニル樹脂と無機充填材と金属水酸化物の合計量100重量部に対して5重量部以上であることが好ましい。また、含まれる塩素化パラフィンの配合割合の上限は、塩化ビニル樹脂と無機充填材と金属水酸化物の合計量100重量部に対して、概ね20重量部である。
塩素化パラフィンは、炭素数14以上のもの、特に炭素数18〜30のものが好ましく、塩素含有量(分子中の塩素原子量の含有率)は35〜80%が好ましい。塩素化パラフィンは、塩素含有量が、45〜80%であることがより好ましい。塩素化パラフィンの塩素含有量がこの範囲であると、より確実に発泡後の発泡体の収縮や亀裂を抑制することができると共に、低見掛け密度の無機質系発泡体を得ることができる。塩素含有量は、例えば、塩素化前のパラフィンと塩素化後のパラフィンの比重の変化から求めることができる。
さらに、混練物には、難燃助剤や無機繊維、その他の添加物を適宜添加することができる。
難燃助剤は、塩化ビニル樹脂の難燃化に作用するもので、燃焼時に表面に強固な炭化被膜を形成し、発泡体への着火と燃焼の継続を抑制する効果を発現するもので従来から使用されるものであればいずれのものでも使用し得る。例えば三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモンなどのアンチモン化合物、ハロゲン含有難燃剤、リン含有難燃剤、窒素含有難燃剤などが挙げられる。中でも三酸化二アンチモンは難燃効果が高いので好ましく用いられる。
難燃助剤の添加量は、塩化ビニル樹脂と無機充填剤と金属水酸化物の合計100重量部に対して0.5〜3重量部であることが好ましい。難燃助剤の添加量が上記範囲であると、より難燃性に優れる発泡体が得られると共に、発泡体燃焼時の体積収縮を効果的に抑制することができる。
無機繊維は、発泡体燃焼時の収縮防止や亀裂抑制に作用するものである。無機繊維を混練物中に均一に分散させることで、発泡後、発泡体中に無機繊維の三次元的網目構造が形成されることにより、燃焼時においても発泡体の形状が保持され、表面の亀裂の発生を効果的に抑制することができる。添加される無機繊維は特に限定されるものではないが、例えば、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、アルミナ、ガラスファイバー、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、グラファイト、マグネシア、ホウ酸マグネシウム、二ホウ化チタン等が挙げられる。
無機繊維の添加量は、塩化ビニル樹脂と無機充填剤と金属水酸化物の合計100重量部に対して1〜25重量部であり、3〜15重量部がさらに好ましい。無機繊維の添加量が上記範囲であると、混練物の発泡性を阻害することなく発泡体を製造できると共に、発泡体燃焼時の体積収縮や亀裂の発生を効果的に抑制できる。
また、その他に塩化ビニル樹脂の分解劣化を防止する目的で、二塩基性亜リン酸塩、二塩基性ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの安定剤、また、酸化チタンなどの顔料、アルキルスルホン酸塩などの帯電防止剤、その他にも流動調整剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、着色剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて適宜使用することができる。
本発明の無機質系発泡体の製造方法では、以上のような塩化ビニル樹脂、無機充填剤、金属水酸化物、発泡剤、有機溶剤および塩素化パラフィンなどの材料をニーダーなどの混練機を用いて混合して混練物を得る。
この際、有機溶剤は数回に分けて添加することが好ましい。また、混練時に混練物の温度が0〜50℃の範囲で保たれていることが好ましい。混練物の温度がこの範囲内であると、塩化ビニル樹脂がゲル化しにくく、また発泡剤の分解の発生も抑制されやすくなり、効率の良い混練を行うことがより容易となる。
得られた混練物を金型内に隙間なく充填し、プレス機にて密閉、加圧する。また、プレス機にて加圧する際のプレス圧は、13MPa(G:ゲージ圧)以上であることが好ましい。
次に、プレス機による加圧下において、金型を100〜170℃に加温し5〜40分間その状態を保持することで、塩化ビニル樹脂のゲル化及び発泡剤の分解を促進させる。これにより、有機溶剤は塩化ビニル樹脂と無機充填材と金属水酸化物との混練物中に取り込まれる。また、金型内部は、高温・高圧状態となっているため、発泡剤の分解ガスは混練物中に均一に拡散された状態となる。
水などの冷却媒体を用いて金型を冷却した後、プレス機の圧力を開放し、除圧することで、混練物を発泡させる。
なお、除圧する際の金型の温度は30℃以上50℃未満であることが好ましい。このような温度範囲で除圧し、発泡させることで、独立気泡率が高く、見掛け密度の低い発泡体が得られやすくなる。
さらに、得られた無機質系発泡体を、常圧下において、オーブンなどの温風循環装置内にて60〜80℃に加温することで、発泡体を目標とする見掛け密度まで高めることができる(二次発泡)。
発泡体を目標の見掛け密度まで膨張させた後、再び室温まで温度を下げ、形状を安定させるために養生を行う。
その後、無機質系発泡体を徐々に加温し、残存する有機溶剤を揮発除去することで、無機質発泡体が得られる(溶剤揮散工程)。
本発明の無機質系発泡体の製造方法では、有機溶剤として、トルエンの代わりに、特定の有機溶剤を用いることにより、金属水酸化物を配合して無機質系発泡体を製造する際に、発泡体の収縮や亀裂の発生を抑制できると共に、低見掛け密度の発泡体を得ることができる。
本発明の無機質系発泡体の製造方法により得られた無機質系発泡体は、建築用断熱材としてはもちろん、建築物の壁・床・屋根・ダクトなどの部材、車両用内装材、各種装置の構成材などとして、好適に使用することができるものである。
また、無機質系発泡体は、燃焼時に発泡体表面に強固な炭化被膜を形成し、発泡体への着火と燃焼の継続の抑制効果を発現するが、難燃性能をより高いものとする上で、無機質系発泡体の見掛け密度は60kg/m3〜300kg/m3であることが好ましく、60kg/m3〜150kg/m3であることがより好ましい。また、同様の観点から無機質系発泡体の厚みは30mm以上であることが好ましく、50mm以上がより好ましい。なお、無機質系発泡体の厚みは、5箇所以上の厚みの算術平均値とする。
本発明の無機質系発泡体の製造方法は、以上の実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の無機質系発泡体の製造方法について実施例とともに詳しく説明するが、本発明の無機質系発泡体の製造方法は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<1>無機質系発泡体の調製
混練物を形成するための塩化ビニル樹脂、無機充填材、有機溶剤、塩素化パラフィン、発泡剤などの材料として、表1〜表5の材料を使用した。
Figure 2016194056
Figure 2016194056
Figure 2016194056
Figure 2016194056
Figure 2016194056
また、表1〜5の各物性の性状を以下に示す。
塩化ビニル樹脂:重合度1700
炭酸カルシウムA:ふるい残分 250μm:38.1重量%、150μm:81.7重量%
炭酸カルシウムB:ふるい残分 150μm:45.4重量%、75μm:72.0重量%、45μm:84.9重量%
炭酸カルシウムのふるい残分は、JIS K0069(1992)に基づき、JIS Z8801−1(2006)に記載の公称目開きを有する試験用ふるいを用いて測定された値である。
タルク:平均粒子径(50%粒子径) 22μm
塩素化パラフィン:炭素数26、塩素含有量70%
金属水酸化物A:平均粒子径(50%粒子径) 4.4μm
金属水酸化物B:平均粒子径(50%粒子径) 4.3μm
そして、表6に示す割合(重量部)で、塩化ビニル樹脂、無機充填材、塩素化パラフィン及び発泡剤をニーダーに投入し、10分間混合した。なお、各材料の重量部は、塩化ビニル樹脂と無機充填材と金属水酸化物との合計量を100重量部とした際の値である。
その後、ニーダー内に有機溶剤を4回に分けて添加してさらに混練して、混練物を形成した。なお、ニーダー内に有機溶剤を1回投入するたびに10分間混練し、有機溶剤の全量が投入された後、さらに30分間混練し、合計70分間混練を行った。混練時においては、混練物の温度が30℃になるようニーダー内の温度を調整した。溶剤の添加量について、その4回の総添加量が、表6に示す添加量(重量部)となっている。
得られた混練物を、縦100mm、横100mm、深さ25mmの内部空間を形成した金型に隙間なく充填し、上部に蓋をして、加圧プレス機で16MPa(G)の圧力まで加圧した。その後、金型内部の加圧状態を保ちつつ金型を100℃まで昇温させ、昇温後、その温度で10分間保持した。
さらに、その後金型内を150℃まで昇温させ、さらにその温度で18分間保持した。これにより、混練物中の塩化ビニル樹脂のゲル化及び発泡剤の分解を行った。
その後、金型を速やかに40℃まで冷却し、金型に加えられた圧力を開放して除圧を行うことで、混練物を発泡させて無機質系発泡体を得た(一次発泡)。そして、得られた無機質系発泡体を80℃のオーブン中にて3時間収容してさらに発泡させた(二次発泡)。その後、無機質系発泡体を23℃にて12時間養生した後、80℃のオーブン中に10時間収容し、残存する有機溶剤を揮散させた(溶剤揮散工程)。その後、さらに、無機質系発泡体を23℃にて2時間養生した。養生後の発泡体の後述の性能について測定を行なった。
<2>無機質系発泡体の物性の測定・評価方法
得られた無機質系発泡体について、見掛け密度、熱伝導率、有機溶剤残量、厚みを下記の方法に従って測定した。また、得られた無機質系発泡体の表面の亀裂の有無を目視により確認した。
(無機質系発泡体の厚み)
得られた無機質系発泡体の板面の中央付近と四隅付近の計5箇所の厚みをノギスにて測定し、その算術平均値を無機質系発泡体の厚み(mm)とした。
(見掛け密度)
無機質系発泡体から100mm×100mm×30mmの寸法となるように切り出してサンプルとなし、サンプルについて体積(m)と重量(kg)を測定して、それらの値に基づき、見掛け密度(kg/m)を算出した。
(熱伝導率)
熱伝導率は、製造後の無機質系発泡体の成形表皮の部分を避けるように無機質系発泡体の中央部から150mm×150mm×30mmの大きさの部分を切り出して試験片となした。次に、試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下の条件下に保存した。保存時の条件を保ちつつ4週間経過した試験片を用いてJIS A1412−2:1999記載の熱流計法(試験体1枚・対称構成方式)に準拠し、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃の温度条件にて熱伝導率(W/m・K)を測定した。
(有機溶剤残量)
発泡体製造後の発泡体から切り出した150mm×150mm×30mmの成形表皮が存在しない試験片を、23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。次に、製造後1日後、7日後に該試験片からサンプルの重量が0.5gとなるように切り出し、サンプルとした。このサンプルを、内部標準物質としてエタノールを含むジメチルエーテルの入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し発泡体中の有機溶剤をジメチルエーテル中に溶解した溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行って残存量を求め、サンプルの重量に対する重量比率(%)から溶剤残量を算出した。
<3>結果
結果を表6、表7、表8に示す。
Figure 2016194056
Figure 2016194056
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実施例1〜18は、混練物が、塩化ビニル樹脂、無機充填剤、金属水酸化物、発泡剤、塩素化パラフィンを含み、有機溶剤が、以下の(1)〜(4)のいずれかである。
(1)ジエチルカーボネート(DEC)及び/またはエチルメチルカーボネート(EMC)からなる炭酸ジエステル;A。
(2)メチルプロピルケトン(MPK)。
(3)前記炭酸ジエステル;Aとジメチルカーボネート(DMC)とからなり、前記炭酸ジエステル;Aを20重量%以上の割合で含む混合溶剤。
(4)メチルプロピルケトン(MPK)と、炭素数1〜2のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとからなり、メチルプロピルケトンを5重量%以上の割合で含む混合溶剤。
実施例1〜18では、環境への負荷が少ない有機溶剤を使用しても、発泡体表面に亀裂がないと共に、見掛け密度の低い無機質系発泡体が得られることが確認された。また、実施例1〜18の無機質系発泡体内における有機溶剤の残存量が少なく抑えられ、また、製造7日後の無機質系発泡体では、有機溶剤の残存量がさらに低下していることが確認された。
一方、混練物が塩素化パラフィンを含んでいない比較例1では、発泡体が得られず、有機溶剤がジメチルカーボネート(DMC)のみである比較例2では、有機溶剤が抜け易い為に発泡体が得られなかった。また、混練物が塩素化パラフィンを含まず、有機溶剤がジメチルカーボネート(DMC)のみ、ジエチルカーボネート(DEC)のみである比較例3、5では、発泡体が得られなかった。さらに、混練物が塩素化パラフィンを含まず、有機溶剤がエチルメチルカーボネート(EMC)のみである比較例4では、発泡体は得られるが見かけ密度が高いものであることが確認された。

Claims (4)

  1. 塩化ビニル樹脂、無機充填剤、金属水酸化物、発泡剤及び有機溶剤を含む混練物を加圧した型内で加熱、冷却後に除圧することにより無機質系発泡体を得る工程を含む無機質系発泡体の製造方法であって、
    塩化ビニル樹脂と無機充填剤と金属水酸化物の配合比は、これらの合計100重量部に対して、塩化ビニル樹脂が5〜30重量部、無機充填材が40〜85重量部、金属水酸化物が10重量部以上であり、
    前記混練物は、さらに塩素化パラフィンを含み、
    前記有機溶剤は、以下の(1)〜(4)、
    (1)ジエチルカーボネート及び/またはエチルメチルカーボネートからなる炭酸ジエステルA、
    (2)メチルプロピルケトン、
    (3)前記炭酸ジエステルAとジメチルカーボネートとからなり、前記炭酸ジエステルAを20重量%以上の割合で含む混合溶剤、および
    (4)メチルプロピルケトンと、炭素数1〜2のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとからなり、前記メチルプロピルケトンを5重量%以上の割合で含む混合溶剤
    のうちのいずれかであることを特徴とする無機質系発泡体の製造方法。
  2. 前記有機溶剤は、前記(1)の炭酸ジエステルAであり、この炭酸ジエステルAがジエチルカーボネートであることを特徴とする請求項1に記載の無機質系発泡体の製造方法。
  3. 前記有機溶剤は、前記(3)の混合溶剤であり、前記(3)の混合溶剤は、ジエチルカーボネートとジメチルカーボネートとからなり、ジエチルカーボネートを50重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の無機質系発泡体の製造方法。
  4. 前記塩素化パラフィンの配合比が、塩化ビニル樹脂、無機充填剤及び金属水酸化物の合計100重量部に対して、5重量部以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無機質系発泡体の製造方法。
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