JP6410614B2 - 障害物検出装置および障害物検出方法 - Google Patents

障害物検出装置および障害物検出方法 Download PDF

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Description

この発明は、移動体の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出装置および障害物検出方法に関するものである。
障害物検出装置は、車両に衝突する可能性が高い塀などの背の高い障害物と、車両に衝突する可能性が低い縁石のような背の低い障害物とを見分ける必要がある。
従来の障害物検出装置は、車両上に2つの距離センサを配置し、車両の直進移動前後に測定した障害物までの距離と、車両の直進移動時の移動距離に基づいて、各距離の幾何学的関係から障害物の高さを判定していた(例えば、特許文献1参照)。
また、車両移動中に測定される反射波の振幅の大きさから、障害物の高さを判定する方法もあった。
国際公開第2012/140769号
従来の障害物検出装置は以上のように構成されているので、車両などの移動体が移動しないと障害物の高さを判定できないという課題があった。また、車両移動中に測定した反射波の振幅の大きさから障害物の高さを判定する方法では、判定精度が障害物の反射率に影響を受けるという問題もあった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、移動体の移動の有無にかかわらず、障害物の高さを判定することを目的とする。
この発明に係る障害物検出装置は、同一平面に配置され、かつ一直線に並ばない複数の距離センサの中の2つの距離センサが測定した2つの距離情報を基に描いた円及び楕円の交点を求める2円交点処理を行い、当該交点を同一平面上における反射点候補を判定する処理を、2つの距離センサの組み合わせを変えて複数回行い、複数の反射点候補を判定する反射点候補判定部と、反射点候補判定部が判定した反射点候補それぞれについて、反射点候補の判定に用いた2つの距離センサを結ぶ直線を回転中心軸にして反射点候補を回転させた軌跡を求め、複数の反射点候補から求めた複数の軌跡が交わる3次元位置を反射点と判定する反射点判定部と、反射点判定部が判定した反射点の3次元位置に基づいて反射点が移動体に衝突するか否かを判定し、衝突すると判定した反射点を障害物として検出する障害物位置判定部とを備えるものである。
この発明によれば、同一平面上に配置された複数の距離センサにより測定された距離情報を用いて複数の反射点候補を判定し、複数の反射点候補を回転させた複数の軌跡が交わる3次元位置を反射点と判定するようにしたので、移動体の移動の有無にかかわらず、障害物の高さを判定することができる。
この発明の実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図であり、図4に示した交点J,Jの3次元位置を算出する方法を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図であり、図4に示した交点J,Jの3次元位置を算出する方法を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図であり、図4に示した交点J,Jの3次元位置を算出する方法を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する図であり、図4に示した交点J,Jの3次元位置を算出する方法を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出装置を用いた衝突判定システムの構成例を示すブロック図である。 実施の形態1の距離センサの車両設置例を示す図である。 実施の形態1に係る障害物検出装置の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1の第1の反射点候補判定部および第2の反射点候補判定部が行う2円交点処理を説明する図である。 実施の形態1の反射点判定部が行う反射点判定処理を説明する図である。 実施の形態1の反射点判定部が行う反射点判定処理を説明する図である。 実施の形態1に係る障害物検出装置を用いた衝突判定システムのハードウエア構成図である。 この発明の実施の形態2に係る障害物検出装置が用いる距離センサの車両設置例を示す図である。 実施の形態2による障害物検出方法を説明する図である。 この発明の実施の形態3に係る障害物検出装置が用いる距離センサの車両設置例を示す図である。 実施の形態3による障害物検出方法を説明する図である。 実施の形態3に係る障害物検出装置の構成例を示すブロック図である。 この発明に係る障害物検出装置が用いる距離センサの車両設置例を示す図である。
実施の形態1.
まず、図1〜図9を用いて、この発明の実施の形態1に係る障害物検出方法の原理を説明する。図1は、互いに直交するx,y,z軸が設定された3次元空間において、同一x−y平面上に配置され、かつ一直線に並ばない3つの距離センサ1A,1B,1Cの距離測定結果を示す図である。
以下、距離センサ1A,1B,1Cに超音波センサを使用した場合を例に用いて説明する。また、距離センサ1A,1B,1Cが配置されたx−y平面は、地面と平行な2次元平面であるものと仮定し、z軸は地面からの高さ方向を示すものと仮定する。
距離センサ1Aは、超音波を送信し、障害物で反射した直接反射波を受信する。距離センサ1Aが送受信した結果、x−y平面上では、距離センサ1Aの位置を中心とした半径Rの円2Aが得られる。障害物はこの円2A上のどこかに存在している。
2次元平面から3次元空間に拡張して考えると、障害物は、距離センサ1Aの位置を中心とした半径Rの球体上のどこかに存在している。
距離センサ1Bは、距離センサ1Aから送信された超音波L11が障害物で反射した間接反射波L12を受信する。距離センサ1A,1Bが送受信した結果、x−y平面上では、距離センサ1A,1Bの各位置を焦点とする楕円2Bが得られる。障害物はこの楕円2B上のどこかに存在している。
2次元平面から3次元空間に拡張して考えると、障害物は、距離センサ1A,1Bの各位置を焦点とする回転楕円体上のどこかに存在している。
距離センサ1Cは、距離センサ1Aから送信された超音波L21が障害物で反射した間接反射波L22を受信する。距離センサ1A,1Cが送受信した結果、x−y平面上では、距離センサ1A,1Cの各位置を焦点とする楕円2Cが得られる。障害物はこの楕円2C上のどこかに存在している。
2次元平面から3次元空間に拡張して考えると、障害物は、距離センサ1A,1Cの各位置を焦点とする回転楕円体上のどこかに存在している。
以下では、1つの距離センサが送信した超音波を当該距離センサ自身が受信する場合を「直接送受信」と呼ぶ。
2つの距離センサを用い、一方を送信用、もう一方を受信用として使用した場合を「間接送受信」と呼ぶ。
距離センサ1Aの直接送受信結果から描かれる円2Aと、距離センサ1A,1Bの間接送受信結果から描かれる楕円2Bとの交点をD,Eと呼び、この円2Aと距離センサ1A,1Cの間接送受信結果から描かれる楕円2Cとの交点をF,Gと呼ぶ。
円2Aと楕円2Bと楕円2Cの交点D,F(または交点E,G)がx−y平面上の1点で交わらない場合、障害物がこのx−y平面上に存在しないことを意味する。その場合、障害物の位置を3次元空間で考える必要がある。
図2は、3次元空間において、距離センサ1Aの直接送受信結果から描かれる球体と距離センサ1A,1Bの間接送受信結果から描かれる回転楕円体とが交わる交点が集合した円3Bを示す図である。障害物は円3B上のどこかに存在している。
図3は、3次元空間において、距離センサ1Aの直接送受信結果から描かれる球体と距離センサ1A,1Cの間接送受信結果から描かれる回転楕円体とが交わる交点が集合した円3Cを示す図である。障害物が円3C上のどこかに存在している。
図4は、図2に示した円3Bと図3に示した円3Cとが交わる交点J,Jを示す図である。障害物は、交点Jまたは交点Jのいずれか一方に存在する。
他方、距離センサ1Aの直接送受信結果から描かれる円2Aと、距離センサ1A,1Bの間接送受信結果から描かれる楕円2Bと、距離センサ1A,1Cの間接送受信結果から描かれる楕円2Cの交点が、x−y平面上の1点で交わる場合、障害物がこの交点に存在していることを意味する。
図5では、円2Aと楕円2Bと楕円2Cとが1点の交点Jで交わる。さらに、2次元平面から3次元空間に拡張して考えると、距離センサ1Aの直接送受信結果から描かれる球体と距離センサ1A,1Bの間接送受信結果から描かれる回転楕円体とが交わる交点が集合した円3Bと、距離センサ1Aの直接送受信結果から描かれる球体と距離センサ1A,1Cの間接送受信結果から描かれる回転楕円体とが交わる交点が集合した円3Cとが、交点Jの1点で交わる。この場合、障害物は、x−y平面上の交点Jに存在する。
次に、図6〜図9を参照して、図4に示した交点J,Jの3次元位置を算出する方法を説明する。
図6は、x−y平面における距離センサ1A,1B,1Cの座標を示す図である。図7は、車両100における距離センサ1A,1B,1Cの取り付け位置を示す図である。ここで、距離センサ1A,1Bは車両100のフロント中央部に設置されたセンタセンサであり、距離センサ1Cはフロントの角部に設置されたコーナセンサである。x軸は車両100の前後方向、y軸は車両100の左右方向、z軸は車両100の高さ方向である。各距離センサ1A〜1Dの指向性は車両前方、つまりx軸のプラス方向を向いているので、x軸のマイナス方向はセンシングされない。
上記x,y,z軸の座標系において距離センサ1Aは座標(0,P,H)の位置に取り付けられており、距離センサ1Bは座標(0,−P,H)の位置に取り付けられており、距離センサ1Cは座標(−S,Q,H)の位置に取り付けられている。高さHのx−y平面上において、コーナセンサである距離センサ1Cは、センタセンサである距離センサ1A,1Bを通る直線に対して距離にしてSだけ、距離センサ1Aからみた角度にしてθだけ、車両後方に取り付けられている。
距離センサ1Aが作る球体と距離センサ1A,1Bが作る回転楕円体とが交わる交点が集合した円3Bを、x−y平面に射影すると、交点D,Eを結ぶ線分DEになる。ここで、車両前方に位置する交点Eの座標を(Ex,Ey,H)とする。この線分DEは、距離センサ1A,1Bを結ぶ線分に直交する。また、距離センサ1A,1Bを結ぶ線分を回転中心軸にして、交点Dまたは交点Eを回転させると、円3Bになる。
同様に、距離センサ1Aが作る球体と距離センサ1A,1Cが作る回転楕円体とが交わる交点が集合した円3Cを、x−y平面に射影すると、交点F,Gを結ぶ線分FGになる。ここで、車両前方に位置する交点Gの座標を(Gx,Gy,H)とする。この線分FGは、距離センサ1A,1Cを結ぶ線分に直交する。また、距離センサ1A,1Cを結ぶ線分を回転中心軸にして、交点Gまたは交点Fを回転させると、円3Cになる。
なお、高さHのx−y平面における交点Eの座標(Ex,Ey)は、距離センサ1Aの直接送受信の距離情報である円2Aと、距離センサ1A,1Bの間接送受信の距離情報である楕円2Bとを用いた2円交点処理(開口合成処理とも言う)を行うことにより求まる。同様に、高さHのx−y平面における交点Gの座標(Gx,Gy)は、距離センサ1Aで直接送受信の距離情報である円2Aと、距離センサ1A,1Cの間接送受信の距離情報である楕円2Cとを用いた2円交点処理を行うことにより求まる。よって、距離センサ1A,1B,1Cの取り付け位置の座標は既知であり、交点E,Gの座標は、距離センサ1A,1B,1Cの取り付け位置の座標と送受信の結果から得られるため、既知である。
ここでは2円交点処理の対象として、直接送受信した円と間接送受信した楕円の組み合わせを用いているが、直接送受信した円同士を組み合わせても構わない。一方、間接送受信した楕円同士の組み合わせは、計算が複雑になるため、好ましくない。
続いて、高さHのx−y平面における線分DEと線分FGの交点Jの座標を(X,Y)とすると、この座標(X,Y)は以下の式(1),(2)で表される。図4の交点J,Jは、x−y平面上ではz軸方向に重なっているため、図8では交点Jの1点になっている。
Y=Ey (1)
Y−Gy=tanθ(X−Gx) (2)
式(1),(2)を連立させて、式(3),(4)になる。
X={(Ey−Gy)/tanθ}+Gx (3)
Y=Ey (4)
図9は、図8に示した線分DEをx−z平面上に表した図である。線分DEをx−z平面上で考えると円になる。この円は、つまり、距離センサ1Aの直接送受信結果から描かれる球体と距離センサ1A,1Bの間接送受信結果から描かれる回転楕円体とが交わる円3Bである。
図4で説明したように、円3B上の交点Jの座標を(X,Y,Z)とした場合、求めたい障害物の高さZは、下式(5)で表される。
Figure 0006410614
式(5)に式(3)を代入して、式(6)が得られる。よって、図6および図7に示した既知の情報のみを用いて、交点Jにある障害物の高さZを求めることができる。
Figure 0006410614
他方、交点Jの座標を(X,Y,Z’)とした場合、この交点Jにある障害物の高さZ’は、式(7)から求めることができる。
Z’=H+(H−Z) (7)
以上のように、交点J,Jの3次元位置、つまり障害物の位置X,Yと高さZ,Z’を幾何学的に計算することができる。障害物が交点J,Jのどちらに存在するかの判断方法については後述する。
また、上記では3つの距離センサ1A,1B,1Cが設置されたx−y平面を基準にして障害物の3次元位置を幾何学的に計算したが、これに限定されるものではなく、例えば3つの距離センサがy−z平面に設置されている場合にはこのy−z平面を基準にして計算すればよい。この場合の例を下記の実施の形態2で説明する。さらには、3つの距離センサがx,y,z軸のいずれかに平行な平面上に設置されていない場合であっても、それら3つの距離センサを含む任意方向の平面を基準にして計算すればよい。この場合の例を下記の実施の形態3で説明する。
次に、上記の障害物検出方法を実現する障害物検出装置の構成例を説明する。
図10は、実施の形態1に係る障害物検出装置10を用いた衝突判定システム20の構成例を示すブロック図である。衝突判定システム20は、車両100に設置された複数の距離センサ1A〜1Dと、複数の距離センサ1A〜1Dに超音波を送受信させる送受信回路21と、超音波の送受信結果を用いて反射点を判定し車両100に衝突する反射点を障害物として検出する障害物検出装置10と、車両100に衝突する可能性がある障害物が検出された場合に警報を出力する警報部22とを備えている。
ここで、図11に、実施の形態1に係る障害物検出装置10が用いる距離センサ1A〜1Dの、車両設置例を示す。
図11(a)は車両100の上面図、図11(b)は車両100の側面図である。x軸は車両100の前後方向、y軸は車両100の左右方向、z軸は車両100の高さ方向を示す。車両100のフロント中央部に距離センサ1A,1Bが設置され、フロント左右の角部に距離センサ1C,1Dが設置されている。これらの距離センサ1A〜1Dは、地面からの高さ(z軸方向の位置)が同一、かつ、地面と平行な水平面(x−y平面)に設置されている。ただし、距離センサ1C,1Dは距離センサ1A,1Bに比べて車両100の前後方向(x軸方向)にずらして設置されている。
図11に示した距離センサ1A,1B,1Cは、図6と図7に示した距離センサ1A,1B,1Cと同じ取り付け位置であるため、以下では図6および図7を援用する。車両100を基準にしたx,y,z軸の座標系における距離センサ1A〜1Dの取り付け位置を示す座標の情報は、障害物検出装置10に予め与えられている。
送受信回路21は、距離センサ1A〜1Dの中から任意の距離センサを選択して、直接送受信および間接送受信を行わせ、その結果を障害物検出装置10の第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12へ出力する。送受信回路21は、どの距離センサを選択するかの指示を、障害物検出装置10の障害物位置判定部14から受け付ける。
障害物検出装置10は、第1の反射点候補判定部11と、第2の反射点候補判定部12と、反射点判定部13と、障害物位置判定部14とを備えている。
第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12は、まず、送受信回路21が出力した直接送受信および間接送受信の結果を受け取り、超音波の送信から受信までに要した時間に基づいて、距離センサから超音波が反射した反射点までの距離を算出し、距離情報とする。
次に、第1の反射点候補判定部11は、x−y平面に設置された距離センサ1A〜1Dの中の2つの距離センサが測定した2つの距離情報を用いてx−y平面上における第1の反射点候補を判定する。第1の反射点候補判定部11は、判定した第1の反射点候補の情報を反射点判定部13に出力する。
また、第2の反射点候補判定部12は、x−y平面に配置された距離センサ1A〜1Dの中の、第1の反射点候補判定部11が用いた距離センサとは組み合わせが異なる2つの距離センサが測定した2つの距離情報を用いてx−y平面上における第2の反射点候補を判定する。第2の反射点候補判定部12は、判定した第2の反射点候補の情報を反射点判定部13に出力する。
なお、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12は、反射点候補の判定用にどの距離センサの送受信結果を選択するかの指示を、障害物位置判定部14から受け付ける。
反射点判定部13は、第1の反射点候補判定部11が出力した第1の反射点候補の情報と、第2の反射点候補判定部12が出力した第2の反射点候補の情報を受け取る。反射点判定部13は、第1の反射点候補判定部11が第1の反射点候補の判定に用いた2つの距離センサを結ぶ直線を回転中心軸にして、第1の反射点候補を回転させた第1の軌跡を求める。同様に、反射点判定部13は、第2の反射点候補の判定に用いた2つの距離センサを結ぶ直線を回転中心軸にして、第2の反射点候補を回転させた第2の軌跡を求める。さらに、反射点判定部13は、第1の軌跡と第2の軌跡の交点を求めて反射点とし、この反射点の情報を障害物位置判定部14に出力する。
ただし、反射点判定部13は、第1の反射点候補と第2の反射点候補が一致する場合には、一致する点を反射点とし、この反射点の情報を障害物位置判定部14に出力する。
なお、反射点判定部13は、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12が反射点候補の判定にどの距離センサを用いたかを示す情報を、障害物位置判定部14から受け取る。
障害物位置判定部14は、反射点判定部13が出力した反射点の情報を受け取り、反射点の3次元位置に基づいて反射点が車両100に衝突するか否かの可能性を判定する。障害物位置判定部14は、反射点が車両100に衝突すると判定した場合、その反射点を障害物として検出し、警報部22に対して警報出力を指示する。反射点が車両100に衝突するか否かの判定としては、例えば、反射点が車両100に衝突する高さか否か、およびこの障害物が車両100に衝突するほど接近した位置にあるか否かを判定する。
また、障害物位置判定部14は、距離センサ1A〜1Dの中から、直接送受信に用いる距離センサと間接送受信に用いる距離センサを選択する。そして、障害物位置判定部14から送受信回路21へ、送信用と受信用にどの距離センサを選択するかの指示を出力する。また、障害物位置判定部14から第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12へ、反射点候補の判定用にどの距離センサの送受信結果を選択するかの指示を出力する。さらに、障害物位置判定部14から反射点判定部13へ、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12が反射点候補の判定にどの距離センサを用いるかを示す情報を出力する。
警報部22は、障害物検出装置10の障害物位置判定部14から警報出力の指示を受け取ると、表示、音声出力、または表示と音声出力の組み合わせにより警報を出し、車両100の乗員に対して障害物に衝突する可能性があることを知らせる。これにより、車両100に衝突する可能性がある背の高い壁などが車両周囲に存在する場合に、乗員に衝突回避行動を促すことができる。一方、車両100に衝突する可能性がない背の低い縁石などが存在する場合は警報を出力しないので、不要な衝突回避行動を抑制できる。
次に、障害物検出装置10の動作を説明する。
図12は、障害物検出装置10の動作を示すフローチャートである。障害物検出装置10はこのフローチャートで示された動作を所定の周期で繰り返し実行する。
まず、障害物位置判定部14が送受信回路21、第1の反射点候補判定部11、第2の反射点候補判定部12および反射点判定部13へ、距離センサの選択指示を出力する(ステップST1)。
具体例として、障害物位置判定部14から送受信回路21へ、直接送受信用として距離センサ1Aを選択し、間接送受信用として距離センサ1B,1Cを選択する指示を出力したこととする。また、障害物位置判定部14から第1の反射点候補判定部11および反射点判定部13へ、距離センサ1Aの直接送受信結果と距離センサ1A,1Bの間接送受信結果を選択する指示を出力したこととする。さらに、障害物位置判定部14から第2の反射点候補判定部12および反射点判定部13へ、距離センサ1Aの直接送受信結果と距離センサ1A,1Cの間接送受信結果を選択する指示を出力したこととする。
この場合、送受信回路21は、距離センサ1Aから超音波を送信させ、その超音波を距離センサ1A,1B,1Cのそれぞれで受信させる。そして、送受信回路21は、距離センサごとに送信から受信までに要した時間を、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12に出力する。
図13は、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12が行う2円交点処理を説明する図である。
図13(a)は、第1の反射点候補判定部11の2円交点処理を示す図である。第1の反射点候補判定部11は、距離センサ1Aが超音波を送信してからこの距離センサ1Aで受信するまでに要した時間から、直接送受信の反射点までの距離を算出する。また、第1の反射点候補判定部11は、距離センサ1Aが超音波を送信してから距離センサ1Bで受信するまでに要した時間から、間接送受信の反射点までの距離を算出する。(ステップST2)。
続いて第1の反射点候補判定部11は、距離センサ1Aの取り付け位置を中心とし、直接送受信の距離を半径とした円2Aを求める。また、第1の反射点候補判定部11は、距離センサ1A,1Bの各取り付け位置を焦点とし、2つの焦点からの距離の和が間接送受信の距離と等しくなる楕円2Bを求める。最後に第1の反射点候補判定部11は、円2Aと楕円2Bの交点Eを判定し、交点Eの座標(Ex,Ey,H)を第1の反射点候補の情報として、反射点判定部13へ出力する(ステップST3)。
交点Eの座標計算に必要となる距離センサの取り付け位置の座標は、第1の反射点候補判定部11に予め与えられているものとする。
第2の反射点候補判定部12も、第1の反射点候補判定部11と並行して、距離情報を算出し(ステップST2)、第2の反射点候補を判定する(ステップST3)。
図13(b)は、第2の反射点候補判定部12の2円交点処理を示す図である。第2の反射点候補判定部12は、距離センサ1Aの直接送受信の結果から円2Aを求めると共に、距離センサ1A,1Cの間接送受信の結果から楕円2Cを求める。そして、第2の反射点候補判定部12は、円2Aと楕円2Cの交点Gを判定し、交点Gの座標(Gx,Gy,H)を第2の反射点候補の情報として、反射点判定部13へ出力する。
交点Gの座標計算に必要となる距離センサの取り付け位置の座標は、第2の反射点候補判定部12に予め与えられているものとする。
図14(a)と図14(b)と図15は、反射点判定部13が行う反射点判定処理(ステップST4)を説明する図である。
反射点判定部13は、図14(a)に示すように距離センサ1A,1Bを結ぶ直線を回転中心軸4Bにして、交点E(第1の反射点候補)を回転させた第1の軌跡を求める。この第1の軌跡は、図2に示した円3Bに相当するので、符号を流用して第1の軌跡3Bと呼ぶ。
続けて反射点判定部13は、図14(b)に示すように距離センサ1A,1Cを結ぶ直線を回転中心軸4Cにして、交点G(第2の反射点候補)を回転させた第2の軌跡を求める。この第2の軌跡は、図2に示した円3Cに相当するので、符号を流用して第2の軌跡3Cと呼ぶ。
図15に示すように、反射点判定部13は、第1の軌跡3Bと第2の軌跡3Cの交点Jを求める。その手順は既に図8と図9で説明したとおりである。即ち、反射点判定部13はまず、第1の軌跡3Bを高さHのx−y平面に射影して図8の線分DEを求めると共に、第2の軌跡3Cを高さHのx−y平面に射影して図8の線分FGを求める。射影方向は図15に矢印101で示す。続いて反射点判定部13は、高さHのx−y平面における線分DE,FGの交点Jを判定する。交点Jの位置X,Yは、上式(3),(4)より算出される。さらに交点Jの高さZは、上式(6)より算出される。
反射点判定部13は、算出した交点Jが地面より上に位置する場合、この交点Jに障害物が存在すると判断し、交点Jの座標(X,Y,Z)を反射点の情報として障害物位置判定部14へ出力する。
一方、反射点判定部13は、算出した交点Jが地面より下に位置する場合、この交点Jに障害物は存在せず、もう一方の交点Jに障害物が存在すると判断する。その場合、反射点判定部13は、上式(7)より交点Jの高さZ’を算出し、交点Jの座標(X,Y,Z’)を反射点の情報として障害物位置判定部14へ出力する。
第1の軌跡3B、第2の軌跡3C、および交点J,Jの座標計算に必要となる距離センサの取り付け位置の座標は、反射点判定部13に予め与えられているものとする。
なお、車両100に対する距離センサ1A〜1Dの設置高さを可及的に低くした場合には、交点Jが地面より下に位置しやすくなるため、障害物が交点Jに存在する蓋然性を高めることができる。
なお、反射点判定部13は、高さHのx−y平面において交点Eと交点Gが一致する場合、この一致位置に障害物が存在すると判断する。その場合、反射点判定部13は、交点Eの座標(Ex,Ey,H)または交点Gの座標(Gx,Gy,H)を反射点の情報として障害物位置判定部14へ出力する。
障害物位置判定部14は、反射点判定部13が出力した反射点の情報を受け取り、反射点のx,y軸上の座標を障害物の位置とみなし、反射点のz軸上の座標を障害物の高さとみなして、この障害物が車両100に衝突するか否か判定する(ステップST5)。
障害物位置判定部14は、障害物の高さを予め設定された高さ閾値と比較し、障害物の高さが高さ閾値より大きい場合に車両100に衝突する可能性が高いと判定する。この高さ閾値は、例えば車両100に衝突しない背の低い縁石などと、車両100に衝突する背の高い壁またはポールなどとを区別できる値である。障害物の高さが高さ閾値より大きい場合、障害物位置判定部14は、車両100に対する障害物の位置を予め設定された位置閾値と比較する。障害物位置判定部14は、車両100に対する障害物の位置が位置閾値より小さい場合、障害物が車両100に近接しており衝突する可能性が高いと判定し(ステップST6“YES”)、警報部22に対して警報を出力するよう指示する(ステップST7)。
一方、障害物の高さが高さ閾値以下、または障害物の位置が位置閾値以上の場合、障害物位置判定部14は、障害物が車両100に衝突する可能性は低いと判定し(ステップST6“NO”)、ステップST7の処理をスキップする。
なお、上記説明では、x−y平面上の距離センサ1A,1B,1Cを選択した場合を例示したが、距離センサの組み合わせはこれに限定されるものではなく、同じx−y平面上の距離センサ1A,1B,1Dを選択することも可能である。
図16は、衝突判定システム20のハードウエア構成図である。
ECU(Electronic Control Unit)30は、送受信回路21と、メモリ31と、プロセッサ32とを備えている。図16の送受信回路21は、図10に示した送受信回路21であり、距離センサ1A〜1Dに超音波の送受信を行わせる回路である。メモリ31は、x,y,z軸の座標系における距離センサ1A〜1Dの取り付け位置の座標など、第1の反射点候補判定部11、第2の反射点候補判定部12および反射点判定部13が座標計算に必要とする情報を記憶している。
プロセッサ32が、メモリ31に記憶されているプログラムを実行することにより、図10に示した第1の反射点候補判定部11、第2の反射点候補判定部12、反射点判定部13および障害物位置判定部14としての機能を実現する。プロセッサ32は、CPU(Central Processing Unit)またはシステムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路である。また、複数の処理回路と複数のメモリが連携して上記機能を実行してもよい。
ディスプレイ33とスピーカ34は、図10に示した警報部22である。なお、ディスプレイ33とスピーカ34のいずれか一方だけでも構わない。
以上より、実施の形態1に係る障害物検出装置10は、地面からの高さが同一のx−y平面に配置され、かつ一直線に並ばない複数の距離センサ1A〜1Dの中の2つの距離センサが測定した2つの距離情報を用いてx−y平面上における反射点候補を判定する処理を、2つの距離センサの組み合わせを変えて複数回行い、複数の反射点候補を判定する第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12と、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12が判定した反射点候補それぞれについて、反射点候補の判定に用いた2つの距離センサを結ぶ直線を回転中心軸にして反射点候補を回転させた軌跡を求め、複数の反射点候補から求めた複数の軌跡が交わる3次元位置を反射点と判定する反射点判定部13と、反射点判定部13が判定した反射点の3次元位置に基づいて反射点が車両100に衝突するか否かを判定し、衝突すると判定した反射点を障害物として検出する障害物位置判定部14とを備える構成にした。このため、車両100の移動の有無にかかわらず、障害物の高さを判定することができる。また、反射波の振幅の大きさから障害物の高さを判定する方法ではないので、反射率に依存せずに信頼性の高い判定が実現できる。
なお、実施の形態1では、図11に示すように同一水平面に設置された距離センサ1A,1B,1Cのうち、距離センサ1Cは距離センサ1A,1Bと比べて車両100の前後方向にずらして設置されている。この設置要件の場合、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12は、同一水平面における複数の反射点候補を判定し、反射点判定部13は、反射点候補の判定に用いた2つの距離センサを結ぶ同一水平面上の直線を回転中心軸にして反射点候補を回転させた軌跡を求めて反射点を判定する。
また、実施の形態1によれば、反射点候補の判定に用いる2つの距離情報として、複数の距離センサ1A〜1Dの中のある距離センサが送信した超音波の反射波を同一の距離センサで直接的に受信して測定した距離情報、および超音波を送信した距離センサ以外の距離センサで当該反射波を間接的に受信して測定した距離情報を使用する構成にしたので、1回の超音波送信で2つの距離情報を得ることができ、障害物検出までにかかる時間を短縮できる。原理的には直接送受信を2回行って得た2つの距離情報を使用して2円交点処理を行うことが可能であるが、その場合には超音波の送受信を2回行う必要があるため、1回の超音波送受信で済む上記の場合に比べて、障害物検出までにかかる時間が長くなる。
また、実施の形態1によれば、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12は、高さHのx−y平面上において2つの距離情報を基に描いた2つの円の交点を求める2円交点処理を行い、当該交点を反射点候補と判定する構成にしたので、反射点候補の座標を幾何学的に簡単に計算できる。よって、計算負荷を小さくでき、計算時間を短縮できる。原理的には、直接送受信の距離情報と間接送受信の距離情報を使用した2円交点処理だけでなく、直接送受信の距離情報2つを使用した2円交点処理または間接送受信の距離情報2つを使用した2円交点処理も可能である。しかし、直接送受信の距離情報と間接送受信の距離情報を使用した場合および直接送受信の距離情報2つを使用した場合に比べ、間接送受信の距離情報2つを使用した場合には楕円同士の交点を求めるための計算が複雑になる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、車両に設置された複数の距離センサのうち、地面に水平な同一平面に設置された少なくとも3つの距離センサを用いて、障害物の位置と高さを判定する構成にした。これに対し、実施の形態2では、地面に垂直な同一平面に設置された少なくとも3つの距離センサを用いて、障害物の位置と高さを判定する構成にする。
図17は、実施の形態2に係る障害物検出装置10が用いる距離センサ1A〜1Dの車両設置例を示す。
図17(a)は車両100の上面図、図17(b)は車両100の側面図である。x軸は車両100の前後方向、y軸は車両100の左右方向、z軸は車両100の高さ方向を示す。車両100のフロント中央部に距離センサ1A,1Bが設置され、フロント左右の角部に1C,1Dが設置されている。これらの距離センサ1A〜1Dは、車両100の前後方向の奥行き(x軸方向の位置)が同一な垂直面(y−z平面)に設置されている。ただし、距離センサ1C,1Dは距離センサ1A,1Bに比べて車両100の高さ方向(z軸方向)にずらして配置されている。
次に、図17に示す設置要件の場合の、障害物検出装置10の障害物検出方法を説明する。なお、実施の形態2に係る障害物検出装置10の構成は、上記実施の形態1の図10で示した構成と図面上は同じであるため、以下では図10を援用する。
実施の形態2に係る障害物検出装置10の障害物位置判定部14は、直接送受信用として距離センサ1Aを選択し、間接送受信用として距離センサ1B,1Cを選択し、この選択に基づく指示を送受信回路21、第1の反射点候補判定部11、第2の反射点候補判定部12および反射点判定部13へ出力する。あるいは、距離センサ1Bを直接送受信用、距離センサ1C,1Dを間接送受信用に選択することも可能である。
図18は、実施の形態2による障害物検出方法を説明する図である。
上記実施の形態1では距離センサ1A,1B,1Cがx−y平面に設置されていたのに対し、実施の形態2ではy−z平面に設置されている。そのため、実施の形態1のx,z軸を、実施の形態2ではz,x軸に置換して、第1の反射点候補、第2の反射点候補および反射点の座標を幾何学計算すればよい。
図18に示すように、第1の反射点候補判定部11は、距離センサ1Aが直接送受信した距離情報と距離センサ1A,1Bが間接送受信した距離情報とを用いて2円交点処理を行い、y−z平面上における交点E(第1の反射点候補)を判定する。第2の反射点候補判定部12は、距離センサ1Aが直接送受信した距離情報と距離センサ1A,1Cが間接送受信した距離情報とを用いて2円交点処理を行い、y−z平面における交点G(第2の反射点候補)を判定する。反射点判定部13は、距離センサ1A,1Bを結ぶ直線を回転中心軸4Bにして、交点Eを回転させた第1の軌跡3Bを求める。同様に、反射点判定部13は、距離センサ1A,1Cを結ぶ直線を回転中心軸4Cにして、交点Gを回転させた第2の軌跡3Cを求める。さらに、反射点判定部13は、第1の軌跡3Bと第2の軌跡3Cを矢印101の射影方向へ射影してy−z平面上の線分DE,FGを求め、これらの線分DE,FGの交点J(反射点)の座標(X,Y,Z)を判定する。
上記実施の形態1のようにx−y平面上の距離センサ1A,1B,1Cを用いると交点Jがz軸方向に2点存在したが、実施の形態2のようにy−z平面上の距離センサ1A,1B,1Cを用いると交点Jがx軸方向に2点存在することになる。交点Jの一方(例えば、図18に示す交点J)は車両100の前方側、もう一方(同図の交点J)は車体側に在るので、反射点判定部13は車両100の前方側の交点J(同図の交点J)の座標を採用すればよい。
以上より、実施の形態2では、図17に示すように同一垂直面に設置された距離センサ1A,1B,1Cのうち、距離センサ1Cが距離センサ1A,1Bと比べて車両100の上下方向にずらして設置されている設置要件に適した障害物検出装置10を構成した。具体的には、第1の反射点候補判定部11および第2の反射点候補判定部12が、同一垂直面における複数の反射点候補を判定し、反射点判定部13が、反射点候補の判定に用いた2つの距離センサを結ぶ同一垂直面上の直線を回転中心軸にして反射点候補を回転させた軌跡を求め反射点を判定する。この構成の場合にも、上記実施の形態1と同様に、車両100の移動の有無にかかわらず障害物の高さを判定することができると共に、反射点の反射率に依存せずに信頼性の高い判定が実現できる。
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、車両に設置された複数の距離センサのうち、同一水平面または同一垂直面に設置された少なくとも3つの距離センサを用いて、障害物の位置と高さを判定する構成にした。これに対し、実施の形態3では、同一水平面および同一垂直面に並ばない配置の少なくとも3つの距離センサを用いて、障害物の位置と高さを判定する構成にする。
図19は、実施の形態3に係る障害物検出装置10が用いる距離センサ1A〜1Dの車両設置例を示す。
図19(a)は車両100の上面図、図19(b)は車両100の側面図である。x軸は車両100の前後方向、y軸は車両100の左右方向、z軸は車両100の高さ方向を示す。車両100のフロント中央部に距離センサ1A,1Bが設置され、フロント左右の角部に距離センサ1C,1Dが設置されている。距離センサ1A〜1Dは、x,y,z軸方向すべてにずらして配置されているため、同一水平面にも同一垂直面にも並ばず、かつ一直線上にも並ばない。
次に、図19に示す設置要件の場合の、障害物検出装置10の障害物検出方法を説明する。
図20は、実施の形態3による障害物検出方法を説明する図である。
上記実施の形態1,2では距離センサ1A,1B,1Cすべてがx−y平面またはy−z平面に並んでいたが、実施の形態3では図20(a)に示すように距離センサ1A,1Bはy−z平面上にあるが距離センサ1Cはこのy−z平面上になく、また距離センサ1A,1Cはx−y平面上にあるが距離センサ1Bはこのx−y平面上にない。つまり、3つの距離センサ1A,1B,1Cすべてが並ぶ同一x−y平面または同一y−z平面が存在しない。
そこで、実施の形態3の障害物検出装置10は、図20(a)に示すように距離センサ1A,1B,1Cを含む任意の基準平面102を設定し、図20(b)に示すように基準平面102と水平なx,y軸および垂直なz軸を基準にして第1の反射点候補、第2の反射点候補および反射点の座標を幾何学計算する。車両100を基準にしたx,y,z軸の座標系における距離センサ1A,1B,1Cを、変換後のx,y,z軸の座標系では距離センサ1A,1B,1Cと表記する。
以下では、図20(b)に示すように、x−y平面に平行な基準平面102を設定し、実施の形態1の障害物検出方法を流用して反射点を計算するが、これに限定されるものではなく、y−z平面に平行な基準平面を設定し、実施の形態2の障害物検出方法を流用して反射点を計算しても構わない。
図21は、実施の形態3に係る障害物検出装置10の構成例を示すブロック図である。この障害物検出装置10は、x,y,z軸の座標系で表現された距離センサ1A〜1Dの取り付け位置の座標をx,y,z軸の座標系に座標変換すると共に、x,y,z軸の座標系で表現された反射点の3次元位置を元のx,y,z軸の座標系に座標変換する座標変換部15を備えている。この座標変換部15は、図16のプロセッサ32がメモリ31に記憶されているプログラムを実行することにより、実現される。
第1の反射点候補判定部11a、第2の反射点候補判定部12aおよび反射点判定部13aは、座標変換部15が座標変換したx,y,z軸の座標系において、上記実施の形態1と同様の処理を実施する。
第1の反射点候補判定部11aは、x,y,z軸の座標系における距離センサ1A,1B,1Cの取り付け位置の座標を、座標変換部15から取得する。第1の反射点候補判定部11aは、距離センサ1Aが直接送受信した距離情報と距離センサ1A,1Bが間接送受信した距離情報とを用いて、x,y,z軸の座標系で2円交点処理を行い、基準平面102を含むx−y平面上における第1の反射点候補を判定する。
第2の反射点候補判定部12aは、x,y,z軸の座標系における距離センサ1A,1B,1Cの取り付け位置の座標を、座標変換部15から取得する。第2の反射点候補判定部12aは、距離センサ1Aが直接送受信した距離情報と距離センサ1A,1Cが間接送受信した距離情報とを用いて、x,y,z軸の座標系で2円交点処理を行い、基準平面102を含むx−y平面上における第2の反射点候補を判定する。
反射点判定部13aは、x,y,z軸の座標系における距離センサ1A,1B,1Cの取り付け位置の座標を、座標変換部15から取得する。反射点判定部13aは、距離センサ1A,1Bを結ぶ直線を回転中心軸にして、第1の反射点候補を回転させた第1の軌跡を求める。同様に、反射点判定部13aは、距離センサ1A,1Cを結ぶ直線を回転中心軸にして、第2の反射点候補を回転させた第2の軌跡を求める。さらに、反射点判定部13aは、基準平面102を含むx−y平面上に第1の軌跡と第2の軌跡を射影して交点を判定する。
反射点判定部13aは、x,y,z軸の座標系における交点の座標(X,Y,Z)を座標変換部15へ出力し、元のx,y,z軸の座標系における交点の座標(X,T,Z)に座標変換させる。反射点判定部13aは、座標変換後の交点の座標(X,T,Z)を座標変換部15から取得し、この交点が地面より上に位置する場合、この交点の座標を反射点の情報として障害物位置判定部14へ出力する。
一方、反射点判定部13aは、この座標(X,T,Z)の交点が地面より下に位置する場合、この交点に障害物は存在しないと判断し、もう一方の交点(X,Y,Z’)を座標変換部15に指示して座標変換させたあと障害物位置判定部14へ出力する。
また、反射点判定部13aは、x−y平面上において第1の反射点候補と第2の反射点候補が一致する場合、この一致位置に障害物が存在すると判断し、この一致位置の座標を座標変換部15に指示して座標変換させたあと障害物位置判定部14へ出力する。
以上より、実施の形態3では、図19に示すように同一水平面および同一垂直面に並ばない配置の距離センサ1A,1B,1Cの設置要件に適した障害物検出装置10を構成した。具体的には、障害物検出装置10は、3つの距離センサ1A,1B,1Cを含む基準平面102の座標系(x,y,z軸)を設定する座標変換部15を備え、第1の反射点候補判定部11aおよび第2の反射点候補判定部12aは、座標変換部15が設定した基準平面102における複数の反射点候補を判定し、反射点判定部13aは、反射点候補の判定に用いた2つの距離センサを結ぶ基準平面102上の直線を回転中心軸にして反射点候補を回転させた軌跡を求め反射点を判定し、座標変換部15は、反射点判定部13aが判定した反射点の3次元位置を、基準平面102の座標系から車両100の座標系(x,y,z軸)に座標変換する。この構成の場合にも、上記実施の形態1と同様に、車両100の移動の有無にかかわらず障害物の高さを判定することができると共に、反射点の反射率に依存せずに信頼性の高い判定が実現できる。さらに、座標変換部15を備えたことにより距離センサの設置要件を問わないため、センサ設置の自由度が高まる。
なお、上記実施の形態1〜3では、複数の反射点候補判定部が複数の反射点候補を並行して判定する構成にしたが、1つの反射点候補判定部が判定処理を複数回繰り返し行って複数の反射点候補を判定する構成にしても構わない。
また、上記実施の形態1〜3では、距離センサ1A〜1Dとして超音波センサを使用したが、センサの送信波を超音波に限定するものではなく、電波または光などのTime Of Flight方式で距離を測定可能なものであればよい。
また、上記実施の形態1〜3では、車両100のフロント側に設置された距離センサ1A〜1Dを使用したが、図22に示すように車両100のリア側に設置された距離センサ1A〜1Dも使用可能である。その場合、リア側の距離センサ1A〜1Dの設置要件に応じて、上記実施の形態1〜3のいずれかの障害物検出方法を選定すればよい。
また、上記実施の形態1〜3では、障害物検出装置10が障害物を検出した場合、警報部22が車両100の乗員に警報を出力して衝突回避行動を促す構成にしたが、この用途に限定されるものではない。例えば、障害物検出装置10が障害物を検出した場合、制動装置がブレーキ操作を行って衝突を回避または衝突時の衝撃を軽減する構成にしてもよい。
また、上記実施の形態1〜3では、車両に用いる障害物検出装置10を例示したが、車両の他、三輪または四輪等の電動カート、鉄道、船舶、航空機などの移動体に用いてもよい。
本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
1A、1B,1C 距離センサ、2A 円、2B,2C 楕円、3B 円(第1の軌跡)、3C 円(第2の軌跡)、4B,4C 回転中心軸、10 障害物検出装置、11,11a 第1の反射点候補判定部、12,12a 第2の反射点候補判定部、13,13a 反射点判定部、14 障害物位置判定部、15 座標変換部、20 衝突判定システム、21 送受信回路、22 警報部、30 ECU、31 メモリ、32 プロセッサ、33 ディスプレイ、34 スピーカ、100 車両、101 射影方向、102 基準平面。

Claims (7)

  1. 送信波を送信して反射波を受信する距離センサにより測定された距離情報を用いて、移動体の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出装置において、
    同一平面に配置され、かつ一直線に並ばない複数の前記距離センサの中の2つの距離センサが測定した2つの距離情報を基に描いた円及び楕円の交点を求める2円交点処理を行い、当該交点を前記同一平面上における前記反射点候補判定する処理を、前記2つの距離センサの組み合わせを変えて複数回行い、複数の前記反射点候補を判定する反射点候補判定部と、
    前記反射点候補判定部が判定した前記反射点候補それぞれについて、前記反射点候補の判定に用いた前記2つの距離センサを結ぶ直線を回転中心軸にして前記反射点候補を回転させた軌跡を求め、複数の前記反射点候補から求めた複数の前記軌跡が交わる3次元位置を反射点と判定する反射点判定部と、
    前記反射点判定部が判定した前記反射点の3次元位置に基づいて前記反射点が前記移動体に衝突するか否かを判定し、衝突すると判定した前記反射点を前記障害物として検出する障害物位置判定部とを備えることを特徴とする障害物検出装置。
  2. 前記距離センサは少なくとも3つとし、当該3つのうちの少なくとも1つは残りの距離センサと比べて前記移動体の上下または前後の方向にずらして配置されていることを特徴とする請求項1記載の障害物検出装置。
  3. 前記反射点候補判定部が前記反射点候補の判定に用いる前記2つの距離情報は、複数の前記距離センサの中のある距離センサが送信した送信波の反射波を同一の前記距離センサで直接的に受信して測定した距離情報、および前記送信波を送信した前記距離センサ以外の距離センサで前記反射波を間接的に受信して測定した距離情報であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の障害物検出装置。
  4. 前記距離センサは同一水平面に配置された少なくとも3つであり、当該3つのうちの少なくとも1つは残りの距離センサと比べて前記移動体の前後方向にずらして配置されている場合、
    前記反射点候補判定部は、前記同一水平面上における複数の前記反射点候補を判定し、
    前記反射点判定部は、前記反射点候補の判定に用いた2つの前記距離センサを結ぶ前記同一水平面上の直線を回転中心軸にして前記反射点候補を回転させた軌跡を求めて前記反射点を判定することを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項記載の障害物検出装置。
  5. 前記距離センサは同一垂直面に配置された少なくとも3つであり、当該3つのうちの少なくとも1つは残りの距離センサと比べて前記移動体の上下方向にずらして配置されている場合、
    前記反射点候補判定部は、前記同一垂直面上における複数の前記反射点候補を判定し、
    前記反射点判定部は、前記反射点候補の判定に用いた2つの前記距離センサを結ぶ前記同一垂直面上の直線を回転中心軸にして前記反射点候補を回転させた軌跡を求めて前記反射点を判定することを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項記載の障害物検出装置。
  6. 前記距離センサは同一水平面および同一垂直面に並ばない配置の少なくとも3つである場合、
    前記3つの距離センサを含む基準平面の座標系を設定する座標変換部を備え、
    前記反射点候補判定部は、前記座標変換部が設定した前記基準平面における複数の前記反射点候補を判定し、
    前記反射点判定部は、前記反射点候補の判定に用いた2つの前記距離センサを結ぶ前記基準平面上の直線を回転中心軸にして前記反射点候補を回転させた軌跡を求めて前記反射点を判定し、
    前記座標変換部は、前記反射点判定部が判定した前記反射点の3次元位置を、前記基準平面の座標系から前記移動体の座標系に座標変換することを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項記載の障害物検出装置。
  7. 送信波を送信して反射波を受信する距離センサにより測定された距離情報を用いて、移動体の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出方法において、
    反射点候補判定部が、同一平面に配置され、かつ一直線に並ばない複数の前記距離センサの中の2つの距離センサが測定した2つの距離情報を基に描いた円及び楕円の交点を求める2円交点処理を行い、当該交点を前記同一平面上における前記反射点候補判定する処理を、前記2つの距離センサの組み合わせを変えて複数回行い、複数の前記反射点候補を判定し、
    反射点判定部が、前記反射点候補判定部が判定した前記反射点候補それぞれについて、前記反射点候補の判定に用いた前記2つの距離センサを結ぶ直線を回転中心軸にして前記反射点候補を回転させた軌跡を求め、複数の前記反射点候補から求めた複数の前記軌跡が交わる3次元位置を反射点と判定し、
    障害物位置判定部が、前記反射点判定部が判定した前記反射点の3次元位置に基づいて前記反射点が前記移動体に衝突するか否かを判定し、衝突すると判定した前記反射点を前記障害物として検出することを特徴とする障害物検出方法。
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