以下に、本発明による製氷機構付きアイスディスペンサの一実施形態を図面を参照して説明する。図1〜図3に示したように、本発明による製氷機構付きアイスディスペンサ10は、氷を貯える貯氷槽20と、貯氷槽20の上側(または上部)に設けられた製氷機構30と、貯氷槽20の内部に貯えた氷を放出口22aに向けて搬出する搬出機構50とを備えている。この製氷機構付きアイスディスペンサ10は、製氷機構30で製氷した氷を落下させて貯氷槽20に貯え、貯氷槽20の内部に貯えた氷を搬出機構50によって放出口22aに向けて搬出し、搬出された氷を放出口22aから放出させるようにしたものである。
特に、本発明の製氷機構付きアイスディスペンサ10は、貯氷槽20の内部にて製氷機構30によって製氷した氷が局部的に積み上がることに起因して、貯氷槽20の内部の氷の収容率が低くなることを防ぐことを目的としたものである。本発明の製氷機構付きアイスディスペンサ10は、この目的を達成するために、貯氷槽20の内部に製氷機構30によって製氷した氷が落下する位置にて積み上がる氷の塊を崩すための撹拌アーム(撹拌部材)54を回動可能に設けている。以下に、この製氷機構付きアイスディスペンサ10について詳述する。
図2及び図3に示したように、製氷機構付きアイスディスペンサ10は、筐体11の上部に製氷機構30により製氷した氷を貯える貯氷槽20を備えている。筐体11の上面には開口11aが形成され、貯氷槽20の上面には開口部20aが設けられており、貯氷槽20の開口部20aは筐体11の上面の開口11aと同じ高さ位置に配置され、貯氷槽20の開口部20aは筐体11の上面の開口11aから現れるようになっている。貯氷槽20の開口部20aには蓋体12が開閉自在に設けられている。また、蓋体12は、貯氷槽20の開口部20aに対して着脱自在に取り付けられている。さらに、蓋体12の後部には後述する製氷機構30を着脱可能に覆うカバー部12aが設けられている。
貯氷槽20は樹脂製でその内周面を#400以上の表面粗さで滑面となるように加工したものであり、貯氷槽20の氷は滑面に加工された内周面にくっつきにくくなっている。また、貯氷槽20の外周面には断熱材が取り付けられている。図2及び図3に示したように、貯氷槽20は前後方向の中間部より後側を氷を貯える貯氷室21とし、前部を氷を定量するための円筒形定量室22としている。貯氷室21の底面は後端から少し前側が前方に進むに従って下側に傾斜する第1傾斜面21aと、第1傾斜面21aより前側が前方に進むに従って上側に傾斜する第2傾斜面21bとを有している。第1及び第2傾斜面21a、21bの間には左右方向の中央部に小孔よりなる排水口21cが形成されており、排水口21cには排水パイプ21c1が接続されている。図3に示したように、貯氷室21の第2傾斜面21bの左右方向の中央部には上側が開いたU字形をした凹部21dが形成されており、この凹部21dには後述する搬出機構50を構成する搬出羽根52が回転自在に取り付けられている。また、貯氷室21の左右方向の中央部前縁は円筒形定量室22の後縁と連続しており、貯氷室21の氷が円筒形定量室22に搬出されるようになっている。
図2及び図3に示したように、円筒形定量室22は氷を所定の容量(重量)に定量して放出するための領域であり、円筒形定量室22の底壁前部には氷を放出するための放出口22aが形成されている。円筒形定量室22内の底部には後述する定量機構60を構成する氷定量器62が回動自在に取り付けられている。また、円筒形定量室22の上部には入口開口部の一部を塞ぐ調整板23が着脱可能に設けられており、この調整板23は円筒形定量室22の内部に搬入される氷の搬入量を調整する機能を有している。
図2に示したように、円筒形定量室22の上下方向の中間部には氷検知センサ24が設けられている。この氷検知センサ24は円筒形定量室22の周壁の一方の側面に設けた発光部と一方の側面に対向する他方の側面に設けた受光部とを備えた赤外線センサである。円筒形定量室22の内部に上下方向の中間部の高さまで氷が搬入されると、氷検知センサ24の発光部からの赤外線が遮られて受光部にて受光されず、氷検知センサ24は円筒形定量室22内に規定量の氷が搬入されていることを検出する
図2に示したように、円筒形定量室22の放出口22aには筒形のシュート25が着脱可能に接続されており、シュート25は筐体11の下部に設けたドレンパンを兼ねたカップ台13に載置したカップに氷を案内するものである。シュート25には内部を開閉するシャッタ26が開閉自在に取り付けられており、シャッタ26はソレノイドによって開閉動作する。
製氷機構30は、製氷板(製氷部)31の製氷面側に製氷水を流下し、流下する製氷水を製氷面側で凍結させて製氷する流下式の製氷機構である。図2及び図3に示したように、製氷機構30は、製氷板31及び製氷水を循環させる構成部品が貯氷槽20の上側にて後部(一側部)に寄せて配設されている。
図3及び図4に示したように、製氷板31は、貯氷槽20の後部上側にて貯氷槽20の左右両側部に架設された支持フレーム32に取り付けられている。製氷板31の製氷面は貯氷槽20の開口部20a側を向いており、製氷板31の製氷面には複数のセルを形成させる格子状の仕切り31aが設けられている。製氷板31の製氷面側に製氷される氷は、複数のセルの内部に形成された複数のブロック氷を製氷板31の製氷面と仕切り31aを挟んだ反対側で互いに隣り合うものを凹凸のある板形となるように連結させた板形連結氷となる。製氷板31の製氷面と反対面には冷凍装置40の蒸発管41が固着されており、製氷板31は蒸発管41を通過する液化冷媒の気化による冷却作用によって冷却される。なお、冷凍装置40の圧縮機42は筐体11の下部に配設され、冷凍装置40の凝縮器43は筐体11の後部に配設されている。なお、冷凍装置40の構造は公知であるので詳細については省略する。
図2〜図4に示したように、製氷機構30は、製氷板31の製氷面側に製氷水を循環流下させる製氷水回路33を備えている。製氷水回路33は、貯氷槽20の後側上部にて製氷板31の下側に製氷水のタンク34と、タンク34内の製氷水を製氷板31の上側に送る送水管35と、製氷板31の上側に設けた散水器36とを備えている。
タンク34は主として製氷水を貯える貯水部34aと、貯水部34aと連続して製氷板31から流下する製氷水を受ける受皿部34bとからなり、製氷板31を取り付けた支持フレーム32を介して貯氷槽20に着脱自在に取り付けられている。タンク34の貯水部34aは製氷板31より左側に配置され、受皿部34bは製氷板31の直下に配置されている。受皿部34bの前側上縁には製氷水の導入口34cが形成されており、製氷板31を流下する製氷水は導入口34cから受皿部34bに戻される。
図4に示したように、貯水部34aには外部の水道等の給水源に接続した給水管34dが接続されている。給水管34dには給水弁34eが介装されており、給水弁34eを開放することによってタンク34内に製氷水が供給される。タンク34の貯水部34aにはポンプ34fとフロートスイッチ34gが収容されている。ポンプ34fは貯水部34a内の製氷水を送水管35によって製氷板31の上側の散水器36に送り出すものである。送水管35の導入端部はポンプ34fの吐出口に着脱可能に取り付けられており、送水管35の導出端部には散水器36の導入端部が着脱自在に接続されている。散水器36は製氷板31の製氷面側に製氷水を散水するものである。散水器36は製氷板31の幅と略同じ長さの管部材よりなり、周面下部には長手方向に沿って多数の散水孔36aが穿設されている。散水器36は上述したように送水管35に着脱可能に接続されるとともに、支持フレーム32の上端部に着脱可能に支持されている。
フロートスイッチ34gは、タンク34内の上限及び下限水位を検出するものである。フロートスイッチ34gにより検出される上限水位は製氷板31の製氷面側に板形連結氷を形成させるのに必要な水量の水位であり、フロートスイッチ34gにより検出される下限水位は製氷板31に上述した板形連結氷が形成されたことによって製氷水が減少したときの水位である。
図2及び図5に示したように、製氷板31の前側には導水カバー37が設けられている。導水カバー37は散水器36から製氷板31の製氷面側に散水された製氷水をタンク34の受皿部34bに導くとともに製氷板31の製氷面側を流下する製氷水が貯氷槽20の内部に飛散するのを防ぐためのものである。導水カバー37の上端部は、製氷板31の前側にて支持フレーム32の上端部に水平軸線回りに回動可能に支持されている。導水カバー37の下端部は、後方に湾曲して導入口34cから受皿部34bの内部に挿通されており、製氷板31を流下する製氷水は導水カバー37の下端部で受けられて受皿部34bの内部に導かれる。導水カバー37は製氷板31に氷を形成させている製氷工程時には鉛直方向に垂下した垂下姿勢(図2及び図5にて実線にて示す)となっており、製氷板31から氷を離脱させるときには板形連結氷によって下端部を前方に押し出された傾動姿勢(図2及び図5にて2点鎖線にて示す)となる。
図5に示したように、製氷板31の後側には製氷面に形成させた氷を離脱させる離脱装置38が設けられている。離脱装置38は製氷板31の略中央部に形成された貫通孔31bに挿通されるスライドピン38aを備えており、スライドピン38aはギヤモータ38bの回転駆動を受けて回転するカム38cによって前後方向に移動する。また、ギヤモータ38bは駆動軸38b1の回転角度を検出する角度センサ38b2を備えており、角度センサ38b2は駆動軸38b1に取り付けたエンコーダにより駆動軸38b1の回転角度を検出する。スライドピン38aを製氷板31の貫通孔31bを貫通させるように前方に移動させると、製氷板31の製氷面側に形成された板形連結氷は製氷板31から押し出されて離脱し、貯氷槽20の内部に落下する。スライドピン38aによって板形連結氷が製氷板31の製氷面から押し出されたときには、導水カバー37は板形連結氷によって押し出されることによって傾動姿勢となる。
図2及び図5に示したように、また、製氷機構30は製氷板31にて製氷した氷を製氷板31から離脱させて貯氷槽20の内部に落下させたことを検出する氷離脱検出機構39を備えている。氷離脱検出機構39は導水カバー37の姿勢の状態(上述した垂下姿勢と傾動姿勢)を検出することで、製氷板31から板形連結氷が離脱して貯氷槽20の内部に落下したことを検出するものである。氷離脱検出機構39は製氷板31の支持フレーム32に取り付けたリードスイッチよりなる氷離脱検出センサ39aと、導水カバー37の側面部の上下方向の中央部に取り付けた磁石39bとを備えている。氷離脱検出センサ39aは垂下姿勢にある導水カバー37に取り付けた磁石39bと対向する位置に配置されている。
製氷機構30による製氷工程を実行している状態では、導水カバー37は垂下姿勢となっており、導水カバー37の磁石39bは氷離脱検出センサ39aに対向する位置にて近接している。この状態では、氷離脱検出センサ39aは磁石39bが近接していることに基づいて、製氷機構30による製氷工程中である、すなわち、製氷板31から氷を離脱させていないことを検出する。これに対し、製氷機構30による製氷工程が完了し、製氷板31から板形連結氷を離脱させて貯氷槽20の内部に落下させたときには、導水カバー37は板形連結氷に押されて垂下姿勢から傾動姿勢となり、導水カバー37の磁石39bは氷離脱検出センサ39aに対向する位置から離間する。この状態では、氷離脱検出センサ39aは磁石39bが離間したことに基づいて、製氷板31から板形連結氷を離脱させて貯氷槽20の内部に落下させたことを検出する。
図2及び図3に示したように、貯氷室21の底部には製氷機構30により製氷した氷を円筒形定量室22に搬出する搬出機構50が設けられている。搬出機構50は、貯氷室21の底部に設けたギヤモータ51と搬出羽根52とを備えている。ギヤモータ51は主として搬出羽根52を回転させるものであり、貯氷室21の第2傾斜面21bの下側に固定されている。ギヤモータ51の出力軸には駆動軸51aが固定されており、駆動軸51aはギヤモータ51の出力軸と同期回転する。駆動軸51aは貯氷室21内の第2傾斜面21bの凹部21dの略中央部に突出しており、駆動軸51aには搬出羽根52がねじによって着脱可能に取り付けられている。また、ギヤモータ51は出力軸の回転角度を検出することで駆動軸51aの回転角度を検出する角度センサ51bを備えている。角度センサ51bはフォトセンサよりなり、出力軸に固定したロータリエンコーダ51cによって駆動軸51aの回転角度を検出する。
図3に示したように、搬出羽根52は略円板形をした本体部52aと、本体部52aの周部にて等間隔に配置した6箇所から外側に突出する羽根部52bとを有している。搬出羽根52は、貯氷室21の第2傾斜面21bの凹部21dの中央部にてギヤモータ51の駆動軸51aに取り付けられている。搬出羽根52の本体部52aの周面とU字形をした凹部21dの下部の円弧形をした内周面との間には羽根部52bによって仕切られた氷の搬出空間53となっている。ギヤモータ51により搬出羽根52を回転させると、搬出空間53内の氷は羽根部52bによって第2傾斜面21bを登り、第2傾斜面21bの前縁から円筒形定量室22の内部に搬出される。
図2及び図3に示したように、貯氷室21内には製氷機構30の製氷板31から落下した板形連結氷(氷の塊)をブロック形氷に崩すための撹拌アーム(撹拌部材)54が設けられている。撹拌アーム54は、ギヤモータ51の駆動軸51aに搬出羽根52とともに着脱可能かつ回転可能に取り付けられている。撹拌アーム54は、駆動軸51aと搬出羽根52の本体部52a上面とに固定された固定板部54aと、固定板部54aの長手方向の両端部から搬出羽根52の上面側となる貯氷室21の内部側に延びる一対の第1及び第2アーム部54b,54cとを備えている。固定板部54aは駆動軸51aを中心に非対称の長さとなっており、第1アーム部54bを延出させた側は搬出羽根52の本体部52aの半径の略1/3の長さとなっており、第2アーム部54cを延出させた側は本体部52aの半径より少し短い長さとなっている。第1アーム部54bは固定板部54aの端部から本体部52aに対して略垂直に起立した状態で延びている。また、第2アーム部54cは本体部52aに対して約45°に外側に傾斜して起立した状態で延びている。これら第1及び第2アーム部54b、54cは貯氷室21内にて製氷機構30によって製氷した板形連結氷が落下して積み上がる位置を通るように配置されている。第1アーム部54bは貯氷室21内の板形連結氷が落下して積み上がる位置の上下方向の中央部を通るように配置されており、第2アーム部54cは貯氷室21内の板形連結氷が落下して積み上がる位置の上下方向の下部を通るように配置されている。
図2及び図3に示したように、円筒形定量室22は氷を所定の容量(重量)に定量して放出するための領域となっており、円筒形定量室22には定量機構60が設けられている。定量機構60は、円筒形定量室22の底部にギヤモータ61と氷定量器62とを備え、円筒形定量室22の氷定量器62の上側に氷定量器62の扇形定量空間63cの上側からはみ出る氷を除く除去装置65をさらに備えている。
ギヤモータ61は氷定量器62を回動させるものであり、円筒形定量室22の底壁下面に固定されている。ギヤモータ61の出力軸には駆動軸61aが固定されており、駆動軸61aはギヤモータ61の出力軸と同期回転する。駆動軸61aは円筒形定量室22の略中央部に突出しており、駆動軸61aには氷定量器62が着脱可能に取り付けられている。また、ギヤモータ61は出力軸の回転角度を検出することで駆動軸61aの回転角度を検出する角度センサ61bを備えている。角度センサ61bはフォトセンサよりなり、出力軸に固定したロータリエンコーダ61cにより駆動軸61aの回転角度を検出する。
氷定量器62は貯氷室21から送られる氷を所定の容量(重量)に定量するものであり、特に、氷の容量を変更可能に定量するものである。図2及び図6に示したように、氷定量器62は、第1氷定量器63と、第1氷定量器63の下側に着脱可能に取り付けられる第2氷定量器64とを備えている。氷定量器62の第1氷定量器63は、貯氷室21から送られる氷を所定の容量(例えば約40gの倍数)に定量するものであり、第2氷定量器64は第1氷定量器63の高さを変えることによって定量される氷の容量を変える(例えば定量される氷の容量を約50gの倍数)ことを目的としたものである。
図2及び図6に示したように、第1氷定量器63は、円筒形定量室22の内部に同心的かつ回動自在に支持された第1中心軸部63aと、第1中心軸部63aの周面にて周方向に等間隔の6カ所の位置から放射状に延びて第1中心軸部63aの周囲に6つの扇形定量空間63cを形成する6つの第1セパレータ部63bとを有している。第1氷定量器63の高さは各扇形定量空間63cによって所定の容量の氷(例えば約40g分のブロック形氷)が定量される高さとなっている。図6に示したように、第1セパレータ部63bの下面には凹溝63b1が形成されており、凹溝63b1は後述する第2氷定量器64の第2セパレータ部64bの上面に形成された突条64b1に係合可能となっている。
図2及び図6に示したように、第2氷定量器64は、第1氷定量器63の高さを変えることにより扇形定量空間63cの容積を増加させるためのものである。第2氷定量器64は、円筒形定量室22の内部にて第1中心軸部63aの下側に同心的かつ回動自在に支持された第2中心軸部64aと、第2中心軸部64aの周面にて第1セパレータ部63bの下側、すなわち、第2中心軸部64aの周面にて周方向に等間隔の6カ所の位置から放射状に延びた6つの第2セパレータ部64bとを有している。第2氷定量器64の高さは第1氷定量器63とともに形成される各扇形定量空間63cによって所定の容量の氷(例えば約50g分のブロック形氷)が定量される高さとなっている。図6に示したように、第2セパレータ部64bの上面には上述した第1セパレータ部63bの凹溝63b1に係合可能な突条64b1が形成されており、突条64b1が凹溝63b1に係合することによって、第2セパレータ部64bが第1セパレータ部63bに対して周方向にずれるのを防いでいる。
図2及び図3に示したように、除去装置65は、氷定量器62の上側にて扇形定量空間63cの上側からはみ出る氷を除くものである。除去装置65は、円筒形定量室22の周壁の上部前面に着脱可能に固定された支持アーム(支持部)66と、支持アーム66に取り付けられて下方に延出する支持シャフト67とを備えている。図7に示したように、氷定量器62に高さに対応させるために、支持シャフト67は支持アーム66に上下方向に移動可能に取り付けられている。支持シャフト67の上部には上下に2つのねじ孔67a,67bが穿設されている。図7(a)に示したように、氷定量器62に第1及び第2氷定量器63、64の両方を用いたときには、支持アーム66を挿通したねじを支持シャフト67の下側のねじ孔67bに螺合させて取付ける。図7(b)に示したように、氷定量器62に第1氷定量器63だけを用いたときには、支持アーム66を挿通したねじを支持シャフト67の上側のねじ孔67aに螺合させて取付ける。
図2及び図3に示したように、支持シャフト67の下端部にはガード部材68が固定されている。ガード部材68は、円筒形定量室22の放出口22aの鉛直上方にて氷定量器62の上面位置に配置されており、少なくとも放出口22aの鉛直上方の扇形定量空間63cを塞いで氷の流入を塞ぐものである。ガード部材68の下側には円板状のカッタ69が固定されており、カッタ69は扇形定量空間63cの上側からはみ出る氷を切除するものである。円筒形定量室22の後部にて扇形定量空間63cの内部に投入された氷は一部が扇形定量空間63cの上側にはみ出る。ブロック形氷が扇形定量空間63cの上側にはみ出た状態では、扇形定量空間63cによって正確な容量のブロック形氷を定量することができない。氷定量器62を反時計回りに例えば180°回動させると、円筒形定量室22の後部に位置していた扇形定量空間63cが反時計回りに回動して円筒形定量室22の前部に位置するようになる。このとき、扇形定量空間63cの上側にはみ出た氷がカッタ69によって切除され、扇形定量空間63cの内部に投入されているブロック形氷が正確に定量されるようになる。また、支持シャフト67の上下方向の中間部には水平方向に延びるバー70が突設されている。バー70は氷定量器62を回動させたときに、円筒形定量室22の内部にてブロック氷が複数連結した氷の塊を砕く機能を有している。
上述した製氷機構付きアイスディスペンサ10の作動を制御装置(図示しない)の制御に基づいて説明する。先ず、製氷機構付きアイスディスペンサ10の製氷機構30における製氷工程の作動について説明をする。製氷板31は冷凍装置40を循環する冷媒が蒸発管41で蒸発することによって冷却されている。給水弁34eを開放することにより給水管34dからタンク34に製氷水が供給され、フロートスイッチ34gにより上限水位を検出してから所定時間経過後に給水弁34eを閉止させて給水を終了させる。なお、上限水位を超えた製氷水はタンク34に設けたオーバーフロー(図示省略)から排水される。ポンプ34fを駆動させると、送水管35によって散水器36に製氷水が供給され、散水器36の散水孔36aから製氷板31の製氷面側に製氷水が流下する。流下した製氷水は導水カバー37によってタンク34の受皿部34bに戻される。製氷水は、タンク34と製氷板31の製氷面側とを循環し、製氷板31の製氷面側で徐々に凍結する。
製氷板31の製氷面側を流下する製氷水は、製氷板31の製氷面側の各セルの内部で徐々にブロック形氷として凍結されながら、製氷板31の製氷面の仕切り31aを挟んだ反対側で互いに隣接するものどうしが凹凸のある板状に連結した板形連結氷として製氷される。製氷板31に板形連結氷が形成されると、タンク34内の製氷水は下限水位まで減少する。フロートスイッチ34gによって下限水位を検出すると、ポンプ34fの駆動を停止させるとともに、冷凍装置40の圧縮機42から送出されるホットガスを蒸発管41に送出させる。板形連結氷を製氷板31及び仕切り31aとの接触面で僅かに融かして製氷板31から離脱可能な状態にし、離脱装置38のスライドピン38aを製氷板31の貫通孔31bから前方に移動させることで、板形連結氷を製氷板31から離脱させて貯氷槽20の内部に落下させる。
板形連結氷が製氷板31から離脱して貯氷槽20の内部に落下するときには、導水カバー37が鉛直方向に垂下した垂下姿勢から板形連結氷によって下端部を前方に押されて傾動した傾動姿勢となる。氷離脱検出機構39では、氷離脱検出センサ39aは導水カバー37の磁石39bが近接した状態から離間した状態、すなわち、製氷板31の製氷面側から板形連結氷が押し出されて離脱したことを検出する。
氷離脱検出センサ39aが磁石39bの離間を検出すると、ギヤモータ51を駆動させることによって撹拌アーム54を回転させる。貯氷槽20の内部に落下して積み上がった板形連結氷(氷の塊)は撹拌アーム54の第1及び第2アーム部54b,54cによって1つごとのブロック形氷または数個が連結した状態のブロック形氷に崩される。これら1つごとまたは数個が連結した状態のブロック形氷は撹拌アーム54によって製氷板31の直下から貯氷槽20の貯氷室21の左右の側部にも送られ、貯氷室21の内部に均一にブロック形氷が収容されるようになる。
また、製氷工程を繰り返し実行して、氷離脱検出センサ39aが磁石39bの離間を検出する度に、すなわち、氷離脱検出センサ39aにより氷を貯氷槽20に落下させたことを検出する度に、ギヤモータ51によって撹拌アーム54を時計回りと反時計回りとで交互に回動させるように制御している。撹拌アーム54を時計回りと反時計回りとで交互に回動させるようにしたことで、貯氷槽20の貯氷室21の左右の一方の側部に氷が偏在するのを防ぐことができた。さらに、撹拌アーム54の第1または第2アーム部54b,54cをギヤモータ51の角度センサ51bの検出角度に基づいて貯氷室21内の製氷板31の直下となる位置に停止させている。撹拌アーム54の第1または第2アーム部54b,54cを製氷板31の直下となる位置に停止させることで、製氷板31から離脱させて落下する板形連結氷が第1または第2アーム部54b,54cに衝突するようになり、板形連結氷がブロック形氷に崩されやすくなる。
離脱装置38のスライドピン38aが後側に戻ったことをギヤモータ38bの角度センサ38b2により検出すると、上述した製氷機構30による製氷工程を再び実行させる。また、製氷板31の製氷面側から板形連結氷が離脱して落下すると、導水カバー37は板形連結氷に押されて傾動する傾動姿勢から再び鉛直方向に垂下した垂下姿勢に戻る。しかし、貯氷槽20の貯氷室21の内部にブロック氷が満たされた状態となると、製氷板31から離脱させた板形連結氷が撹拌アーム54を回転させても崩されずに残るようになる。このようなときには、導水カバー37は板形連結氷が除かれないために継続的に傾動姿勢となる。このため、氷離脱検出センサ39aにより導水カバー37の磁石39bが離間した状態が継続的に検出される、すなわち、導水カバー37が傾斜姿勢から垂下姿勢に戻らないときには、貯氷槽20の貯氷室21の内部に十分な量のブロック形氷を貯えていると判断して、製氷機構30による製氷工程を中断させる。なお、貯氷室21の内部のブロック形氷が再び減少すると、製氷板31の前側に離脱させた板形連結氷が貯氷室21の内部に落下し、導水カバー37が再び傾斜姿勢から垂下姿勢に戻る。氷離脱検出センサ39aにより導水カバー37の磁石39bが離間した状態から近接した状態が検出されるようになれば、製氷機構30によって製氷工程を再び実行させる。
次に、製氷機構付きアイスディスペンサ10の氷の定量放出の作動について説明をする。貯氷槽20の円筒形定量室22の内部には規定量のブロック形氷が常に搬入されている。すなわち、氷検知センサ24によって円筒形定量室22の内部に規定量のブロック形氷が搬入されていることが検出されてないときには、ギヤモータ51を駆動させて搬出羽根52を回転させる。貯氷室21の凹部21dの内周面と搬出羽根52の本体部52aの周面との間にて羽根部52bによって仕切られた氷の搬出空間53の内部の氷は搬出羽根52の回転によって第2傾斜面21bを登り、第2傾斜面21bの前縁から円筒形定量室22の内部に搬入される。なお、円筒形定量室22の入口開口部には調整板23が設けられているので、円筒形定量室22の内部には搬出羽根52の回転によって送られるブロック形氷が適量に調整されて搬入される。円筒形定量室22の内部に搬入されたブロック形氷は氷定量器62の扇形定量空間63cの内部に投入される。
この状態にて、筐体11の前面のカップ台13にカップを載置する。筐体11の前面には放出ボタン14aまたは14bが設けられており、左側の放出ボタン14aは小型のカップに対応した容量の氷を放出させるものであり、右側の放出ボタン14bは大型のカップに対応した容量の氷を放出させるものである。放出ボタン14a,14bの一方をオン操作すると、角度センサ61bの検出角度に基づいてギヤモータ61の駆動を制御し、氷定量器62を放出ボタン14a,14bに応じた角度で回動させる。具体的には、左側の放出ボタン14aをオン操作すると、角度センサ61bの検出角度に基づいてギヤモータ61の駆動を制御し、氷定量器62(第1及び第2氷定量器63,64)を扇形定量空間63cに応じた角度単位(60°)として120°回動させる。氷定量器62を120°回動させることにより、2つ分の扇形定量空間63cの内部のブロック形氷が放出口22aから放出され、放出されたブロック形氷はシュート25を通ってカップに投入される。また、右側の放出ボタン14bをオン操作すると、角度センサ61bの検出角度に基づいてギヤモータ61の駆動を制御し、氷定量器62(第1及び第2氷定量器63,64)を扇形定量空間63cに応じた角度単位(60°)として180°回動させる。氷定量器62を180°回動させることにより、3つ分の扇形定量空間63cの内部のブロック形氷が放出口22aから放出され、放出されたブロック形氷はシュート25を通ってカップに投入される。
また、製氷機構付きアイスディスペンサ10のユーザによっては使用するカップの大きさが異なることがあり、この場合には、氷定量器62(第1及び第2氷定量器63,64)により定量するブロック形氷の容量を変えるようにする。第1及び第2氷定量器63,64を用いたときには、扇形定量空間63cでは約50gのブロック形氷が定量される。このため、第1及び第2氷定量器63,64を扇形定量空間63cに応じた角度として60°を単位として回動させることによって、約50gの倍数の氷を定量して放出させることができる。一方、第1氷定量器63だけを用いたときには、扇形定量空間63cでは約40gのブロック形氷が定量される。このため、第1氷定量器63を扇形定量空間63cに応じた角度として60°を単位として回動させることによって、約40gの倍数の氷を定量して放出させることができる。
上記のように構成した製氷機構付きアイスディスペンサ10においては、貯氷槽20の内部には製氷機構30によって製氷した氷が落下する位置にて積み上がる板形連結氷の塊を崩すための撹拌アーム54が回動可能に設けられている。これにより、貯氷槽20の内部には製氷機構30によって製氷した板形連結氷が落下する位置に局部的に積み上がることがなくなり、貯氷槽20の内部の氷の収容率が低くなるのを防ぐことができた。
また、製氷機構付きアイスディスペンサ10においては、搬出機構50は貯氷槽20の貯氷室21の外側から内側に駆動軸51aを突出させたギヤモータ51と、貯氷槽20の貯氷室21の内部にて駆動軸51aに取り付けられて氷を搬出する搬出羽根52とを備え、ギヤモータ51により搬出羽根52を回動させることによって氷を放出口22aに向けて搬出させるようにしたものである。撹拌アーム54は駆動軸51aと搬出羽根52と(駆動軸51aと搬出羽根52の少なくとも一方)に取り付けられている。これにより、撹拌アーム54を回動させるための駆動源を新たに設置する必要がなく、コストアップとなるのを防ぐことができた。
また、製氷機構30は製氷板31にて製氷した氷を製氷板31から離脱させて貯氷室21に落下させたことを検出する氷離脱検出センサ39aをさらに備え、氷離脱検出センサ39aにより氷を貯氷室21に落下させたことを検出したときに、撹拌アーム54を回動させるように制御した。これにより、貯氷室21の内部に板形連結氷が積み上がるタイミングで板形連結氷(氷の塊)を崩すことができるようになり、板形連結氷を効率よく崩すことができるようになった。また、氷離脱検出センサ39aにより氷を貯氷室21に落下させたことを検出する度に、撹拌アーム54を時計回りと反時計回りとで交互に回動させるように制御した。これにより、貯氷室21の内部にて一方の側部に氷が偏在するのを防ぐことができ、貯氷室21の内部に満遍なく氷を収容することができるようになった。
なお、本実施形態では、撹拌アーム54の第1または第2アーム部54b,54cをギヤモータ51の角度センサ51bの検出角度に基づいて貯氷室21内の製氷板31の直下となる位置に停止させている。しかし、撹拌アーム54の第2または第3アーム部54b,54cを製氷板31の直下、すなわち、製氷板31から氷が落下する位置に停止させる技術はこれに限られるものでなく、第2または第3アーム部54b,54cの位置を光検出器(フォトセンサ)によって検知するようにしてもよい。また、同様に、第2または第3アーム部54b,54cに磁石を設け、第2または第3アーム部54b,54cが製氷板31の直下の位置に有るときの磁石を検出するリードスイッチによって検知するようにしてもよい。さらに、第2または第3アーム部54b,54cが製氷板31の直下の位置に有るときにオンされるマイクロスイッチによって検知するようにしてもよい。
上記の実施形態においては、製氷機構30を貯氷槽20の上側に設置したが、本発明はこれに限られるものでなく、製氷機構30を貯氷槽20の上部に設けたものであってもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。