以下に、本発明の製氷装置の一実施形態を、アイスディスペンス機能を備えた製氷装置により説明する。図1〜図3に示したように、アイスディスペンス機能を備えた製氷装置10(以下、製氷装置10と記載する)は、基台11と、基台11に設置して氷を製氷する製氷機構部20と、基台11に設置して製氷機構部20の下側にて氷を貯える貯氷槽62と、貯氷槽62内の氷を放出口64aに向けて搬出する搬出機構70と、搬出機構70により搬出された氷を定量して放出口64aから放出する定量機構80とを備えている。また、製氷装置10は、製氷機構部20と貯氷槽62とを囲うハウジング12を備えており、ハウジング12の上部には製氷機構部20と貯氷槽62の上面開口を開閉自在に覆う蓋体13が設けられている。
図2及び図3に示したように、製氷機構部20は、基台11の後側に立設させた支持フレーム14の上部に支持された製氷部21を備えている。図4に示したように、製氷部21は、鉛直に起立して前面を製氷面とした製氷板22と、製氷板22の製氷面側に多数の製氷小室(セル)を形成する格子状の仕切り部材23とを備えている。製氷板22及び仕切り部材23は熱伝導性の良い銅板またはアルミニウム板を用いたものである。製氷板22の上下及び左右の各々の端部には前側に折り曲げられた折曲部22aが設けられており、製氷板22の製氷面側はこれら折曲部22aによって前側に開いた浅い箱形となっている。製氷板22の製氷面側には浅い箱形内にて格子状の仕切り部材23が固着されており、製氷面側の仕切り部材23によって仕切られた空間が製氷小室となっている。製氷部21では、製氷板22の製氷面側を流下する製氷水は製氷小室内にてブロック形氷となるように凍結し、流下する製氷水は仕切り部材23の製氷板22側と反対側の縁部にて製氷小室内にて凍結したブロック形氷が互いに隣り合う上下方向及び横方向(左右方向)で連結するように凍結し、ブロック形氷の縁部が上下方向及び横方向で板状に連結した板形連結氷として製氷される(図5の製氷板22の製氷面側に板形連結氷を2点鎖線にて示した)。図5に示したように、製氷板22の上下及び横方向の中央部には貫通孔22bが形成されており、貫通孔22bには後述する氷離脱装置56のスライドピン56aが挿通可能となっている。
図2、図4及び図5に示したように、製氷板22の製氷面と反対側には冷凍装置30の蒸発管34が固定され、図7及び図8に示したように、製氷板22の製氷面と反対側には温度センサ37が固定されている。図6に示したように、冷凍装置30は、冷媒を圧縮する圧縮機31と、圧縮した冷媒ガスを冷却して液化させる凝縮器32と、液化冷媒を膨張させるキャピラリチューブ33と、膨張させた液化冷媒を気化させて製氷板22を冷却する蒸発管(蒸発器)34とを備え、これら31〜34は冷媒管によって連結されて冷媒が循環する冷媒回路(冷凍回路)となっている。また、冷凍装置30は、圧縮機31と蒸発管34との間を接続するバイパス管35を備え、バイパス管35にはホットガス弁36が介装されている。
ホットガス弁36を閉止させた状態で圧縮機31を作動させて冷媒回路の冷媒を循環させると、液化冷媒は蒸発管34で気化して製氷板22と仕切り部材23を冷却し、製氷板22の製氷面側を流下する製氷水は冷却された製氷板22と仕切り部材23に熱交換により冷却される。また、ホットガス弁36を開放させた状態で圧縮機31を作動させると、圧縮機31から送られたホットガスは蒸発管34を通過するときに製氷板22及び仕切り部材23を加温し、製氷小室内の氷は加温された製氷板22及び仕切り部材23との接触面で融解される。
図2、図3及び図5に示したように、製氷機構部20は、製氷部21の下側に貯水タンク40を備えており、貯水タンク40は製氷部21に送出する製氷水を貯えるものである。貯水タンク40は第1貯水部41と第2貯水部42とを有しており、第1貯水部41は製氷部21の直ぐ下側位置に配置されており、第2貯水部42は第1貯水部41の左側にて第1貯水部41より前側に突出しており、貯水タンク40は上側から見た形状が略L形となっている。第1貯水部41の前壁上縁には切欠き部よりなる入口部41aが形成されており、製氷部21を流下する製氷水はこの入口部41aから貯水タンク40内に戻るようになっている。図5に示したように、貯水タンク40には製氷部21にて板形連結氷を製氷するのに必要は製氷水よりも過剰な水位の水を排出するオーバーフロー部43が設けられている。オーバーフロー部43の上縁の高さは製氷部21で板形連結氷を1回製氷するのに必要な製氷水を貯えるときの水位と同じ高さとなっている。
図7に示したように、貯水タンク40内には温度センサ44と、水位センサ45が設けられている。温度センサ44は貯水タンク40内の製氷水の温度を検出するものである。水位センサ45は貯水タンク40内の水位を検出するものであり、貯水タンク40内にて吊設された支持柱45aと、支持柱45aに上下に移動可能に支持されたフロート45bと、支持柱45aに設けられてフロート45bの位置を検知する近接スイッチ等の検知部45cを備えている。水位センサ45は、この実施形態では検知部45cによって第1水位と第1水位より高い水位の第2水位とを検出するようになっている。第1水位は製氷部21にて製氷が完了したときの貯水タンク40内の水位であり、第2水位はオーバーフロー部43よりも少し低い水位となっている。
図8に示したように、製氷機構部20は、貯水タンク40内の製氷水を製氷部21に送出する製氷水送出部50を備えている。製氷水送出部50は、貯水タンク40内に設けた送水ポンプ51と、送水ポンプ51から送出される製氷水を製氷部21の上側に送り出す送水管52と、製氷部21の上側にて送水管52に送られた製氷水を散水する散水器53とを備えている。散水器53は製氷部21の上側にて製氷部21の幅と略同じ長さの管部材を用いたものであり、散水器53の周面下部には長手方向に沿って多数の散水孔53aが穿設されている。送水ポンプ51を作動させると、貯水タンク40内の製氷水が送水管52を通って散水器53に送られ、散水器53に送られた製氷水は散水孔53aから製氷板22の製氷面側を流下するように散水される。
図8に示したように、貯水タンク40には外部の水道等の給水源に接続した給水管54が接続されている。給水管54には給水弁55が介装されており、給水弁55を開放することによって貯水タンク40内に製氷水が供給される。
図5及び図9に示したように、製氷板22の後側には製氷面側にて製氷した氷を製氷板22から離脱させる氷離脱装置56が設けられている。図10に示したように、氷離脱装置56は製氷板22の中央部に形成した貫通孔22bに挿通されるスライドピン56aを備え、スライドピン56aはギヤモータ56bの駆動によって回転するカム56cによって前後方向に移動可能に支持されている。ギヤモータ56bは回転軸56b1の回転角度を検出する角度検出センサ56b2を備えており、角度検出センサ56b2は回転軸56b1に取り付けたエンコーダにより回転軸56b1の回転角度を検出するようになっている。氷離脱装置56では、ギヤモータ56bを駆動させてスライドピン56aを製氷板22の製氷面を突き出るように前側に移動させると、板形連結氷の中央のブロック形氷が製氷面側から離間するように前側に押し出され、板形連結氷は中央のブロック形氷とともに製氷面から離間するように押し出される。
図2、図3、図5及び図11に示したように、製氷板22の製氷面側となる前側にはガイド板57が設けられている。ガイド板57は散水器53から製氷板22の製氷面側を流下させた製氷水を周囲に飛散させることなく貯水タンク40に戻すとともに、製氷板22の製氷面側を流下させた製氷水が周囲に飛散するのを防ぐ機能を有している。また、ガイド板57は製氷部21にて製氷した氷が製氷部21から離脱したことを検知することで、貯氷槽62内が満氷状態であることを検知する検知板としての機能も有している。
ガイド板57は製氷部21の製氷面側を覆うように配設され、製氷部21の製氷面側と対向する位置にて上端部が支持フレーム14に横方向の水平軸線回りに回動可能に軸架されている。ガイド板57は製氷部21の製氷面側と対向する位置にて垂れ下がる垂下姿勢と、下端部が製氷面側から離間する方向に回動した傾斜姿勢との間に回動可能となっている。
ガイド板57の下部には横方向の水平軸線回りに回動可能に取り付けられたフラップ58と、フラップ58の横方向の両側部の上部にてフラップ58と交差する方向に延出したアーム59とを備えている。フラップ58は製氷部21の製氷面側を流下する製氷水を入口部41aから貯水タンク40内に導くためのものである。アーム59はフラップ58をガイド板57の姿勢に応じて回動させるものであり、フラップ58とアーム59とは側面から見たときに略く字形をしている。図5(a)に示したように、ガイド板57が垂下姿勢にあるときには、アーム59が支持フレーム14に沿って起立姿勢となることで、フラップ58はガイド板57の下部から貯水タンク40の入口部まで傾斜している。また、図5(b)に示したように、ガイド板57が傾斜姿勢にあるときには、アーム59が起立姿勢から支持フレーム14側に傾倒することで、フラップ58はガイド板57の下部で回動して下側に垂下するようになっている。なお、ガイド板57とフラップ58との重なり合う部分には1.0mm以上の隙間が設けられており、フラップ58はこの隙間に流入した製氷水の表面張力によって回動運動に支障が生じないようになっている。
上述したように、ガイド板57は製氷部21にて製氷した氷が製氷部21から離脱したことを検知して、貯氷槽62内が満氷状態であることを検知する検知板としての機能も有している。図5に示したように、ガイド板57の側部には磁石よりなる被検知部60が設けられており、支持フレーム14には垂下姿勢にあるガイド板57の被検知部60と対向する位置にリードスイッチ等の近接センサを用いた氷離脱検出センサ(満氷検知センサ)61が設けられている。
製氷運転の終了後に氷離脱装置56のスライドピン56aを前進させると、製氷部21の製氷した板形連結氷はスライドピン56aにより押し出される。ガイド板57は押し出された板形連結氷によって図5(a)に示した垂下姿勢から一時的に図5(b)に示した傾斜姿勢となり、板形連結氷が貯氷槽62内に落下すると、ガイド板57は傾斜姿勢から再び垂下姿勢に戻る。このとき、氷離脱検出センサ61はガイド板57の被検知部60が近接した状態から一時的に離間して再び近接した状態に戻ることを検出すると、板形連結氷が製氷部21から離脱して貯氷槽62に落下した、すなわち、貯氷槽62が満氷状態にないことを検知する。これに対し、製氷部21で製氷した板形連結氷を氷離脱装置56のスライドピン56aで押し出したときに、押し出された板形連結氷が貯氷槽62内で積み上がる氷によって落下しないことがある。このとき、ガイド板57は押し出された板形連結氷によって垂下姿勢から傾斜姿勢となり、垂下姿勢に戻らずに傾斜姿勢を維持するようになる。氷離脱検出センサ61はガイド板57の被検知部60が近接した状態から継続して離間していることを検出すると、製氷部21から板形連結氷が離脱せずに留まっている、すなわち、貯氷槽62が満氷状態にあることを検知する。
図2及び図12に示したように、貯氷槽62は、製氷機構部20にて製氷した氷を貯えるものであり、製氷機構部20の下側にて基台11に設けた支持フレーム14に支持されている。貯氷槽62は前後方向の中間部より後側を氷を貯える貯氷室63とし、前部を氷を定量するための円筒形定量室64としている。貯氷室63の底面は後端から少し前側が前方に進むに従って下側に傾斜する第1傾斜底面63aと、第1傾斜底面63aより前側にて前方に進むに従って上側に傾斜する第2傾斜底面63bとを有している。貯氷室63の第2傾斜底面63bの左右方向の中央部には斜め上側前部が開いたU字形の凹部63cが形成されており、この凹部63cには搬出機構70を構成する搬出羽根72が回転自在に取り付けられている。また、貯氷室63の左右方向の中央部前縁は円筒形定量室64の後縁と連続しており、貯氷室63の氷が円筒形定量室64に搬出されるようになっている。
図2及び図12に示したように、貯氷室63の底部には製氷機構部20により製氷した氷を円筒形定量室64に搬出する搬出機構70が設けられている。搬出機構70は、貯氷室63の底部に設けたギヤモータ71と搬出羽根72とを備えている。ギヤモータ71は主として搬出羽根72を回転させるものであり、貯氷室63の第2傾斜底面63bの下側に固定されている。ギヤモータ71の出力軸には駆動軸71aが固定されており、駆動軸71aはギヤモータ71の出力軸とともに一体的に回転する。駆動軸71aは貯氷室63内の第2傾斜底面63bの凹部63dの略中央部に突出しており、駆動軸71aには搬出羽根72がねじによって着脱可能に取り付けられている。また、ギヤモータ71は出力軸の回転角度を検出することで駆動軸71aの回転角度を検出する角度センサ71bを備えている。角度センサ71bはフォトセンサよりなり、出力軸に固定したロータリエンコーダ71cによって駆動軸71aの回転角度を検出する。
図2及び図12に示したように、貯氷室63内には製氷機構部20の製氷部21から落下した板形連結氷(氷の塊)をブロック形氷に崩すための撹拌アーム73が設けられている。撹拌アーム73は、搬出羽根72を介してギヤモータ71の駆動軸71aに着脱可能かつ回転可能に取り付けられている。撹拌アーム73は、駆動軸71aと搬出羽根72の上面とに固定された固定板部73aと、固定板部73aの長手方向の両端部から搬出羽根72の上面側となる貯氷室63の内部側に延びる1対の第1及び第2アーム部73b,73cとを備えている。これら第1及び第2アーム部73b,73cは貯氷室63内にて製氷機構部20によって製氷した板形連結氷が落下して積み上がる位置を通るように配置されている。
図2及び図12に示したように、円筒形定量室64は氷を所定の容量(重量)に定量して底部に形成した放出口64aから放出するための領域となっており、円筒形定量室64には氷を所定の容量に定量する定量機構80が設けられている。定量機構80は、円筒形定量室64の底部にギヤモータ81と氷定量器82とを備えている。ギヤモータ81は氷定量器82を回動させるものであり、円筒形定量室64の底壁下面に固定されている。ギヤモータ81の出力軸には駆動軸81aが固定されており、駆動軸81aはギヤモータ81の出力軸とともに一体的に回転する。駆動軸81aは円筒形定量室64の略中央部に突出しており、駆動軸81aには氷定量器82が着脱可能に取り付けられている。また、ギヤモータ81は出力軸の回転角度を検出することで駆動軸81aの回転角度を検出する角度センサ81bを備えている。角度センサ81bはフォトセンサよりなり、出力軸に固定したロータリエンコーダ81cにより駆動軸81aの回転角度を検出する。
氷定量器82は貯氷室63から送られる氷を所定の容量(重量)に定量するものである。図2及び図12に示したように、氷定量器82は、円筒形定量室64の内部に同心的かつ回動自在に支持された中心軸部82aと、中心軸部82aの周面にて周方向に等間隔の6カ所の位置から放射状に延びて中心軸部82aの周囲に6つの扇形定量空間82cを形成する6つのセパレータ部82bとを有している。また、氷定量器82の上側には扇形定量空間82cの上側からはみ出る氷を除く除去装置83が設けられている。氷定量器82を例えば60°回動させると、氷定量器82の1つ分の扇形定量空間82c内で定量された氷が放出口64aの上側に移動し、定量された氷が放出口64aから放出され、氷定量器82を例えば180°回動させると、氷定量器82の3つ分の扇形定量空間82c内で定量された氷が放出口64aの上側に移動し、定量された氷が放出口64aから放出される。
製氷装置10は制御装置90を備えており、図13に示したように、この制御装置90は冷凍装置30の圧縮機31と、ホットガス弁36と、製氷板22の温度センサ37と、貯水タンク40内の温度センサ44と、水位センサ45(特に検知部45c)と、送水ポンプ51と、給水弁55と、氷離脱装置56のギヤモータ56bと、氷離脱検出センサ61と、搬出機構70のギヤモータ71と、定量機構80のギヤモータ81とに接続されている。制御装置90はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置90は製氷機構部20の製氷部21にて板形連結氷を製氷する製氷プログラムと、搬出機構70により円筒形定量室64に搬出されたブロック形氷を定量機構80により定量して放出口64aから放出させる定量放出プログラムを有している。
次に、制御装置90による製氷プログラム及び定量放出プログラムの制御を説明する。制御装置90は、製氷プログラムの実行によって、冷凍装置30の圧縮機31を作動させることにより製氷板22を冷却している。また、制御装置90は給水弁55を開放させると、給水源の水は製氷水として給水管54を通って貯水タンク40に送られる。貯水タンク40内の製氷水が徐々に上昇して第2水位となり、水位センサ45による第2水位となったことの検知結果が制御装置90に入力されると、制御装置90はこの検知結果の入力から所定時間経過後に給水弁55を閉止させる。貯水タンク40内の製氷水は第2水位よりも高くなってオーバーフロー部43から溢出し、製氷部21で板形連結氷を製氷するのに必要な水量となる。
制御装置90は、送水ポンプ51を作動させると、貯水タンク40内の製氷水が送水管52によって散水器53に送られ、散水器53に送られた製氷水は散水孔53aから製氷板22の製氷面側に散水されて流下する。このとき、ガイド板57が垂下姿勢にあり、アーム59が支持フレーム14に沿って起立姿勢となることで、フラップ58はガイド板57の下部から貯水タンク40の入口部41aまで傾斜している。製氷板22の製氷面側を流下する製氷水は格子状の仕切り部材23により仕切られた製氷小室内に流入しながらガイド板57によって周囲に飛散することなく落下し、落下した製氷水はフラップ58によって貯水タンク40内に戻り、製氷水は製氷板22及び仕切り部材23と熱交換されて冷却される。製氷板22の製氷面側を流下する製氷水は製氷小室内にてブロック形氷となるように凍結し、流下する製氷水は製氷小室内にて凍結したブロック形氷が仕切り部材23の製氷板22側と反対側の縁部にて互いに隣り合う上下及び左右で連結するように凍結し、ブロック形氷の縁部が上下及び左右で板状に連結した板形連結氷として製氷される。
製氷板22の製氷面側で板形連結氷が製氷されると、貯水タンク40内の製氷水は第1水位となる。水位センサ45による第1水位となったことの検知結果が制御装置90に入力されると、制御装置90はこの検知結果に基づいて送水ポンプ51の作動を停止させて製氷水の送水を停止するとともに、ホットガス弁36を開放させる。圧縮機31から送出されたホットガスはホットガス弁36の開放によって蒸発管34に流入し、製氷板22は蒸発管34に流入したホットガスによって加温される。製氷板22及び仕切り部材23はホットガスによって徐々に加温され、製氷小室内で凍結した板形連結氷のブロック形氷は製氷板22及び仕切り部材23との接触面が徐々に融解する。
温度センサ37によって製氷板22が所定温度して5℃以上となったことを検出すると、制御装置90は氷離脱装置56のギヤモータ56bを作動させることでスライドピン56aを前進させる。板形連結氷は中央のブロック形氷が製氷面側から離間するように前側に押し出され、ガイド板57は押し出された板形連結氷によって図5(a)に示した垂下姿勢から図5(b)に示した傾斜姿勢となる。このとき、アーム59が起立姿勢から支持フレーム14側に傾倒することで、フラップ58はガイド板57の下部で下側に垂下するように回動する。このため、板形連結氷はガイド板57の下部のフラップ58に引っ掛かることなく貯氷槽62に落下する。
また、ガイド板57は押し出された板形連結氷によって垂下姿勢から傾斜姿勢となり、氷離脱検出センサ61はガイド板57の被検知部60が近接した位置から離間したことを検出することでガイド板57が傾斜姿勢となったことを検知すると、制御装置90は搬出機構70のギヤモータ71を作動させることで、搬出羽根72とともに撹拌アーム73を回動させる。なお、氷離脱検出センサ61はガイド板57の被検知部60が近接した位置から離間したことを検出してガイド板57が傾斜姿勢となったことを検知するたびに、制御装置90は搬出機構70のギヤモータ71を正回転と逆回転とで交互に作動させ、搬出羽根72とともに撹拌アーム73を正回転と逆回転とで交互に回動させる。貯氷槽62に落下した板形連結氷は撹拌アーム73によって1つごとのブロック形氷または数個が連結した状態のブロック形氷に崩されるとともに、貯氷槽62の貯氷室63にて製氷部21の直下の位置から左右の側部にも送られ、ブロック形氷は貯氷室63内にて製氷部21の直下に局部的に固まることなく全体的に均一に収容される。また、撹拌アーム73を回動させるときに、搬出機構70の搬出羽根72も回動することで、貯氷室63内のブロック形氷は円筒形定量室64にも搬出される。
製氷部21で製氷された板形連結氷が貯氷槽62内に落下して、製氷板22の製氷面側から離脱していると、ガイド板57は傾斜姿勢から再び垂下姿勢に戻ることになる。氷離脱検出センサ61はガイド板57の被検知部60が離間した位置から再び近接したことを検知すると、制御装置90は貯氷槽62内が満氷状態にないことを検知して、上述した製氷運転を連続的に実行するように制御する。これに対し、製氷した板形連結氷を製氷部21から押し出しても、板形連結氷が貯氷槽62内に積み上がった氷によって落下しないときには、ガイド板57は傾斜姿勢を維持するようになる。氷離脱検出センサ61はガイド板57の被検知部60が継続して離間したことを検出すると、制御装置90は貯氷槽62内が満氷状態にあることを検知して、上述した製氷運転を待機させるように制御する。
製氷運転によって製氷したブロック形氷を貯氷槽62内に収容した状態で、ハウジング12の前面パネルの操作ボタン15をオン操作すると、搬出機構70のギヤモータ71の作動によって、貯氷室63内のブロック形氷が搬出羽根72によって円筒形定量室64に搬出される。円筒形定量室64内のブロック形氷は氷定量器82の扇形定量空間82cの内部に投入され、氷定量器82が所定角度(例えば120°または180°)で回動するように、定量機構80のギヤモータ81の作動を制御することにより、2つまたは3つ分の扇形定量空間82c内に投入されたブロック形氷が放出口64aの上側に移動し、定量されたブロック形氷が放出口64aからカップ等の容器に落下して放出される。
上記のように構成した製氷装置10においては、ガイド板57の下部には横方向の水平軸線回りに回動可能に取り付けられたフラップ58と、フラップ58の横方向の両側部の上部にてフラップ58と交差する方向で製氷部21の製氷面側に延出して支持フレーム14の製氷部21の側方に位置する部分に当接するアーム59とを備えた。図5(a)に示したように、ガイド板57が垂下姿勢にあるときには、アーム59が支持フレーム14に沿って起立姿勢となることで、フラップ58がガイド板57の下部から貯水タンク40の入口部41aまで傾斜してガイド板57を流下する製氷水をフラップ58によって貯水タンク40に導くようにでき、製氷板22の製氷面側を流下する製氷水を周囲に飛散させることなく貯水タンク40に戻すことができた。また、図5(b)に示したように、ガイド板57が傾斜姿勢に回動すると、アーム59が起立姿勢から支持フレーム14側に傾倒することで、フラップ58が製氷部21側から離間するように下側に回動するので、製氷部21の製氷面側から落下する氷が製氷部21とガイド板57の下部との間で引っ掛かりにくくなった。特に、図5(b)に示したように、離脱装置56によって押し出された板形連結氷が分裂した場合であっても、分裂した氷がガイド板57の下部のフラップ58と製氷部21との間で引っ掛かることなく貯氷槽62に落下するようになった。
また、この実施形態の製氷装置10においては、ガイド板57は製氷部21にて製氷した氷が製氷部21から離脱したことを検知して、貯氷槽62内が満氷状態であることを検知する検知板としての機能も有している。ガイド板57と製氷部21との間に氷が引っ掛かって、ガイド板57が傾斜姿勢から垂下姿勢に戻らないと、氷離脱検出センサ51により貯氷槽62内が満氷状態であることを検知できなくなるが、ガイド板57の下部にフラップ58を回動可能に設けたので、ガイド板57と製氷部21との間に氷が引っ掛からないようになり、貯氷槽62内が満氷状態であることを正確に検知できるようになった。
なお、この実施形態では、アーム59をフラップ58の横方向の両側部の上部に設けたが、本発明はこれに限られるものでなく、アーム59をフラップの横方向の一方にのみ設けたものであってもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。