以下に、本発明による製氷機構付きアイスディスペンサの一実施形態を図面を参照して説明する。図1及び図2に示したように、本発明による製氷機構付きアイスディスペンサ10は、略直方体形状のハウジング11と、氷を製氷する製氷機構20と、製氷機構20により製氷された氷を貯える貯氷槽30と、貯氷槽30内に貯えた氷を放出する放出機構50と、貯氷槽30内に貯えた氷を放出機構50に搬送する搬送機構40と、放出機構50により放出される氷を受けるカップ等の容器を載置する容器台60とを備えている。
図1に示したように、製氷機構20は氷を製氷するものであり、ハウジング11の上側にて右側に寄せて配置されている。図2に示したように、製氷機構20は、鉛直に立設した製氷板(製氷部)21の製氷面側に製氷水を流下し、流下する製氷水を製氷面側で凍結させて製氷する流下式の製氷機構である。製氷板21の製氷面には複数のセルを形成される格子状の仕切り21aが設けられている。製氷板21の製氷面側に製氷される氷は、複数のセルの内部に形成された複数のブロック氷を製氷板21の製氷面と仕切り21aを挟んだ反対側で互いに隣り合うものを凹凸のある板形となるように連結させた板形連結氷となる。
製氷板21の製氷面と反対面には冷凍装置22の蒸発管22dと温度センサ(図示省略)が固着されている。図3に示したように、冷凍装置22は、冷媒を圧縮する圧縮機22aと、圧縮した冷媒ガスを冷却して液化させる凝縮器22bと、液化冷媒を膨張させるキャピラリーチューブ22cと、膨張させた液化冷媒を気化させて製氷板21を冷却する蒸発管22dとを備え、これらは冷媒管によって連結されて冷媒が循環する冷媒回路(冷凍回路)となっている。また、冷凍装置22は、圧縮機22aと蒸発管22dとの間を接続するバイパス管22eを備え、バイパス管22eにはホットガス弁22fが介装されている。
製氷機構20で製氷運転するときに、冷凍装置22のホットガス弁22fを閉止させた状態で圧縮機22aを作動させると、液化冷媒は蒸発管22dで気化して製氷板21と仕切り21aが冷却される。製氷板21の製氷面側を流下する製氷水は冷却された製氷板21と仕切り21aに熱交換により冷却され、製氷水は製氷板21の製氷面側で凍結して氷となる。また、製氷機構20で除氷運転をするときに、冷凍装置22のホットガス弁22fを開放させた状態で圧縮機22aを作動させると、圧縮機22aから送られたホットガスが蒸発管22dを通過させるときに製氷板21及び仕切り21aを加温し、製氷板21の製氷面側に製氷された氷は加温された製氷板21及び仕切り21aとの接触面で融解される。
図2及び図3に示したように、製氷機構20は、製氷水を貯えるタンク23と、タンク23内の製氷水を製氷板21との間で循環させる製氷水回路24とを備えている。タンク23は製氷板21の下側に配置されており、製氷板21の製氷面側を流下する製氷水はタンク23に流れ落ちるようになっている。製氷水回路24はタンク23内に設けた送水ポンプ24aと、送水ポンプ24aに接続された送水管24bと、製氷板21の上側に配設されて送水管24bに接続された散水器24cとを備えている。また、送水管24bの中間部には導水管24dが接続されており、導水管24dには排水バルブ24eが介装されている。導水管24dはタンク23内の製氷水を容器台60に導くものであり、タンク23内の製氷水は排水バルブ24eの開放によって導水管24dを通って容器台60に導かれる。
製氷運転をしたときに、タンク23内の製氷水は送水ポンプ24aの駆動によって送水管24bを通って散水器24cに送られ、散水器24cから製氷板21の製氷面側を流下してタンク23に戻り、タンク23内の製氷水は製氷水回路24によってタンク23と製氷板21の製氷面側とを循環する。タンク23内の製氷水は製氷水回路24によって製氷板21の製氷面側とを循環して冷却され、製氷板21の製氷面側で漸次凍結して仕切り21aの中のセル内で氷となる。製氷運転後に残るタンク23内の製氷水は排水バルブ24eの開放によって導水管24dから容器台60に送られる。
図4、図5及び図7に示したように、タンク23内には水位センサ25とオーバーフロー部26とが設けられている。水位センサ25はタンク23内の製氷水の第1水位と第1水位より高い第2水位を検出するものである。水位センサ25により検出される第1水位は製氷板21にて製氷が完了したときのタンク23内の水位であり、第2水位は製氷板21の製氷面側にて板形連結氷を製氷するのに必要なタンク23内の水位である。オーバーフロー部26は第2水位よりも高い水位の水を排出するものである。タンク23の下部にはオーバーフロー部26から排水する排水口23aが形成されており、排水口23aは後述する貯氷槽30の一時貯留部32の上側にて第2搬送機構45における筒体46の氷の導入口46aの周囲となる位置に配置されている。タンク23には水道などの給水源に接続した給水管27が接続されており、給水管27には給水弁27aが介装されている。給水源の水は給水弁27aの開放によって給水管27を通ってタンク23に供給される。
図4に示したように、製氷板21の製氷面側と反対側には製氷板21から氷を離脱させる氷離脱装置28が設けられている。氷離脱装置28は製氷板21の中央部に形成した貫通孔に挿通されるスライドピンを備え、製氷板21の製氷面側に製氷された板形連結氷はスライドピンを貫通孔に挿通することによって押し出されて製氷板21の製氷面側から離脱する。
図2に示したように、製氷板21の製氷面側にはガイド板29が設けられている。ガイド板29は散水器24cから製氷板21の製氷面側を流下させた製氷水を周囲に飛散させることなくタンク23に戻すとともに、製氷板21の製氷面側を流下させた製氷水が周囲に飛散するのを防ぐ機能を有している。また、ガイド板29は製氷板21の製氷面側にて製氷した氷が製氷板21から離脱したことを検知することで、貯氷槽30内が満氷状態であることを検知する検知板としての機能も有している。
ガイド板29は製氷板21の製氷面側を覆うように配設され、製氷板21の製氷面側と対向する位置にて上端部が水平軸線回りに回動可能に軸架されている。ガイド板29は製氷板21の製氷面側と対向する位置にて垂れ下がる垂下姿勢と、下端部が製氷面側から離間する方向に回動した傾斜姿勢との間に回動可能となっている。
図6に示したように、ガイド板29の下部には水平軸線回りに回動可能に取り付けられたフラップ29aと、フラップ29aの横方向の両側部の上部にてフラップ29aと交差する方向に延出したアーム29bとを備えている。フラップ29aは製氷板21の製氷面側を流下する製氷水をタンク23内に導くためのものである。アーム29bはフラップ29aをガイド板29の姿勢に応じて回動させるものであり、フラップ29aとアーム29bとは横側から見たときに略く字形をしている。ガイド板29の下端部には幅方向の両側に円錐状の突起部29cが突設されており、フラップ29aの上端部には幅方向の中央部に突起部29dが突設されている。これら突起部29c,29dはガイド板29と対向するハウジング11の壁面にガイド板29が水の表面張力によって吸着するのを防ぐ機能を有している。
上述したように、ガイド板29は製氷板21にて製氷した氷が製氷板21から離脱したことを検知して、貯氷槽30内が満氷状態であることを検知する検知板としての機能も有している。ガイド板29の側部には磁石よりなる被検知部29eが設けられており、ハウジング11には垂下姿勢にあるガイド板29の被検知部29eと対向する位置にリードスイッチ等の近接センサを用いた氷離脱検出センサ(満氷検知センサ、図示省略)が設けられている。
製氷運転の終了後に氷離脱装置28のスライドピンを前進させると、製氷板21にて製氷した板形連結氷はスライドピンにより押し出される。ガイド板29は押し出された板形連結氷によって垂下姿勢から一時的に傾斜姿勢となり、板形連結氷が貯氷槽30内に落下すると、ガイド板29は傾斜姿勢から再び垂下姿勢に戻る。このとき、氷離脱検出センサはガイド板29の被検知部29eが近接した状態から一時的に離間して再び近接した状態に戻ることを検出すると、板形連結氷が製氷板21から離脱して貯氷槽30に落下した、すなわち、貯氷槽30が満氷状態にないことを検知する。これに対し、製氷板21で製氷した板形連結氷を氷離脱装置28のスライドピンで押し出したときに、押し出された板形連結氷が貯氷槽30内で積み上がる氷によって落下しないことがある。このとき、ガイド板29は押し出された板形連結氷によって垂下姿勢から傾斜姿勢となり、製氷板21の製氷面側に残る板形連結氷によって垂下姿勢に戻らずに傾斜姿勢を維持するようになる。氷離脱検出センサはガイド板29の被検知部29eが近接した状態から継続して離間していることを検出すると、製氷板21から板形連結氷が離脱せずに留まっている、すなわち、貯氷槽30が満氷状態にあることを検知する。
貯氷槽30は製氷機構20にて製氷した氷を貯えるものであり、ハウジング11内にて製氷機構20の下側に配置されている。図2及び図5に示したように、貯氷槽30は氷を貯える貯氷室31と、貯氷室31の底部より高い位置に設けて放出機構50に送る氷を一時的に留める一時貯留部32とを備え、貯氷室31をハウジング11内にて左側部から左右方向の中間部にわたって配置し、一時貯留部32をハウジング11内にて右側部に配置している。貯氷室31の底面は左側から左右方向の中央部に進むに従って下側に傾斜する第1傾斜面31aと、左右方向の中央部から右側に進むに従って上側に傾斜する第2傾斜面31bとを有している。第2傾斜面31bの頂部から上側が一時貯留部32となっており、一時貯留部32の底部は第2傾斜面31bよりも緩く右側に進むにつれて上側に傾斜する傾斜面を有している。
図2に示したように、搬送機構40は貯氷槽30内の氷を放出機構50に搬送するものであり、貯氷槽30の貯氷室31の氷を一時貯留部32に搬送する第1搬送機構41と、一時貯留部32に搬送された氷を放出機構50に搬送する第2搬送機構45とを備えている。第1搬送機構41は貯氷室31の底部に設けたギヤモータ42と搬送羽根43とを備えている。ギヤモータ42は搬送羽根43を回転させるものであり、貯氷室31の第2傾斜面31bの下側に固定されている。ギヤモータ42の出力軸は貯氷室31内に突出しており、ギヤモータ42の出力軸には貯氷室31内で第2傾斜面31bに沿って搬送羽根43が固定されている。搬送羽根43は円板形の本体部43aと、本体部43aの周部にて等間隔に配置した12箇所から外側に突出する羽根部43bとを備えている。搬送羽根43はギヤモータ42の駆動により回転し、貯氷室31内の氷を回転する羽根部43bにより第2傾斜面31bを上らせて一時貯留部32に搬送する。
また、ギヤモータ42の出力軸には撹拌装置44が固定されている。撹拌装置44はギヤモータ42の出力軸に固定された撹拌軸44aと、撹拌軸44aに固定された2本の撹拌棒44bとを備えている。撹拌棒44bは撹拌軸44aと交差する方向に延出している。撹拌軸44aがギヤモータ42の駆動により搬送羽根43とともに回転すると、撹拌棒44bは貯氷室31内を回動して製氷機構20により製氷された板形連結氷を1つまたは複数個が連結したブロック形の氷に砕くとともに、貯氷室31内に局部的に氷が貯まるのを防ぐようにしている。
図2及び図5に示したように、第2搬送機構45は一時貯留部32の氷を放出機構50に搬送するものであり、一時貯留部32に立設した円筒形の筒体46と、筒体46の下側に設けたギヤモータ47と、筒体46内に回転可能に支持されたオーガスクリュー48とを備えている。筒体46の下端部には一時貯留部32の氷を導入する導入口46aが形成されており、一時貯留部32に搬送された氷は導入口46aから筒体46内に導入される。筒体46はハウジング11の上壁を超える高さで立設しており、筒体46の上端部には放出機構50に氷を導出する導出口46bが形成されている。図7に示したように、筒体46の内周面には突起46cが形成されており、この突起46cはオーガスクリュー48の回転によって氷を上方に移動させるときに、氷が筒体46内で空回りするのを防ぐストッパの機能を有している。
ギヤモータ47はオーガスクリュー48を回転させるものであり、一時貯留部32の下側に固定されている。ギヤモータ47の出力軸は筒体46内に突出しており、ギヤモータ47の出力軸にはオーガスクリュー48が固定されている。オーガスクリュー48は筒体46の軸方向に延在する回転軸の外周面に螺旋状に羽根部が形成されたものである。オーガスクリュー48はギヤモータ47の駆動により回転し、一時貯留部32から導入口46aを通って筒体46内に導かれた氷は回転するオーガスクリュー48により筒体46内を上昇して導出口46bから放出機構50に搬送される。
図2及び図4に示したように、放出機構50は搬送機構40により搬送された氷を容器台60に載置したカップ等の容器に放出するものであり、この実施形態の放出機構50は搬送機構40により搬送された氷を定量してカップ等の容器に放出するものである。放出機構50はハウジング11の上側にて右側に寄せて配置されている。放出機構50は、ハウジング11の上部に設けた円柱形の定量室51を備え、定量室51の底部には氷放出口51aが形成されている。定量室51の底部にはギヤモータ52と氷定量器53が設けられている。ギヤモータ52は氷定量器53を回動させるものであり、定量室51の底壁下面に固定されている。
ギヤモータ52の出力軸は定量室51内に突出しており、ギヤモータ52の出力軸には氷定量器53が固定されている。氷定量器53は定量室51の内部に同心的かつ回動自在に支持された中心軸部53aと、中心軸部53aの周面にて周方向に等間隔の6カ所の位置から放射状に延びて中心軸部53aの周囲に6つの扇形定量空間を形成する6つのセパレータ部53bとを備えている。また、氷定量器53の上側には扇形定量空間の上側からはみ出る氷を除く除去装置54が設けられている。氷定量器53を例えば60°回動させると、氷定量器53の1つ分の扇形定量空間内で定量された氷が氷放出口51aの上側に移動し、定量された氷は氷放出口51aから容器台60の容器内に放出され、氷定量器53を例えば180°回動させると、氷定量器53の3つ分の扇形定量空間内で定量された氷が氷放出口51aの上側に移動し、定量された氷は氷放出口51aから容器台60の容器内に放出される。定量室51には赤外線センサよりなる氷検出センサ55が設けられており、氷検出センサ55は定量室51内に氷が搬入されていることを検出する。
図2及び図4に示したように、容器台60は放出機構50から放出される氷を受けるカップ等の容器を載置するものであり、ハウジング11の上部にて放出機構50の氷放出口51aの下側に設けられている。容器台60はカップ等の容器を載置する網材61と、網材61の下側で氷や水を排出する排水路62とを備えている。排水路62は網材61の下側で氷や水を受けるドレンパン63とドレンパン63に接続された排水管64とを備えている。網材61の上側に載置したカップ等の容器からこぼれ落ちた氷や水はドレンパン63で受けられ、ドレンパン63で受けた氷や水は排水管64を通ってハウジング11外に排出される。ドレンパン63には上述した製氷機構20の導水管24dが接続されており、ドレンパン63には製氷機構20にて製氷運転後にタンク23内に残る製氷水が導水管24dによって導かれるようになっている。
製氷機構付きアイスディスペンサ10は制御装置70を備えており、図8に示したように、この制御装置70は製氷機構20、搬送機構40及び放出機構50に接続されている。制御装置70はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置70は製氷機構20の製氷板21にて板形連結氷を製氷する製氷プログラムと、搬送機構40により搬送された氷を放出機構50から放出させる放出プログラムを有している。
次に、制御装置70による製氷プログラム及び放出プログラムの制御を説明する。制御装置70は、製氷プログラムを実行したときに、製氷機構20の製氷運転と除氷運転を交互に実行する。制御装置70は、製氷プログラムの製氷運転を実行したときに、冷凍装置22の圧縮機22aを作動させて製氷板21を冷却する。また、制御装置70は製氷運転にて給水弁27aを開放させると、給水源の水は製氷水として給水管27を通ってタンク23に送られる。タンク23内の製氷水が徐々に上昇して第2水位となり、水位センサ25による第2水位となったことの検知結果が制御装置70に入力されると、制御装置70は給水弁27aを一旦閉止させて送水ポンプ24aを駆動させる。タンク23内の製氷水が送水管24bによって散水器24cに送られ、散水器24cに送られた製氷水は製氷板21の製氷面側に散水されて流下する。製氷板21の製氷面側を流下する製氷水は格子状の仕切り21aにより仕切られたセル(製氷小室)内に流入しながらガイド板29によって周囲に飛散することなく落下し、落下した製氷水はフラップ29aによってタンク23内に戻る。タンク23の製氷水は製氷板21の製氷面側を流下し、製氷水の一部が製氷水回路24を循環するとともにセル内に留まることにより第2水位より減少する。タンク23内の製氷水がある程度減少した状態で所定時間経過すると、制御装置70は再び給水弁27aを開放して、タンク23内に製氷水を給水する。タンク23内の製氷水が再び第2水位となり、水位センサ25による第2水位となったことの検知結果が制御装置70に再び入力されると、制御装置70は給水弁27aを閉止させて給水を終了する。
タンク23内の製氷水は、継続的に作動させている送水ポンプ24aにより、製氷板211の製氷面側とタンク23とを循環し、製氷板21と熱交換されて冷却される。製氷板21の製氷面側を流下する製氷水はセル内にてブロック形氷となるように凍結し、流下する製氷水はセル内にて凍結したブロック形氷が仕切り21aの製氷板21側と反対側の縁部にて互いに隣り合う上下及び左右で連結するように凍結し、ブロック形氷の縁部が上下及び左右で板状に連結した板形連結氷として製氷される。
製氷板21の製氷面側で板形連結氷が製氷されて、タンク23内の製氷水は第1水位となると、制御装置70は製氷運転を終了して除氷運転を開始させる。制御装置70は除氷運転を開始させると、排水バルブ24eを開放させて、タンク23内の製氷水を製氷板21に送水するのを停止するとともに、タンク23内の製氷水を導水管24dを通して容器台60のドレンパン63に流す。ドレンパン63内に送られた製氷水は排水管64を通ってハウジング11外に排出される。なお、制御装置70は、第1水位のタンク23内の製氷水を排出するのに要する時間の経過後に、送水ポンプ24aの作動を停止させるとともに排水バルブ24eを閉止させて、タンク23から容器台60を介した製氷水の排水を停止させる。
また、制御装置70は、除氷運転の開始によって、上述した排水バルブ24eを開放するとともに、ホットガス弁22fを開放させる。圧縮機22aから送出されたホットガスはホットガス弁22fの開放によって蒸発管22dに流入し、製氷板21は蒸発管22dに流入したホットガスによって加温される。製氷板21及び仕切り21aはホットガスによって徐々に加温され、セル内で凍結した板形連結氷のブロック形氷は製氷板21及び仕切り21aとの接触面が徐々に融解する。
製氷板21に取り付けた温度センサによって製氷板21が所定温度して5℃以上となったことを検出すると、制御装置70は氷離脱装置28を作動させることでスライドピンを前進させる。板形連結氷は中央のブロック形氷が製氷面側から離間するように前側に押し出され、ガイド板29は押し出された板形連結氷によって垂下姿勢から傾斜姿勢となる。また、ガイド板29は押し出された板形連結氷によって垂下姿勢から傾斜姿勢となり、氷離脱検出センサはガイド板29の被検知部29eが近接した位置から離間したことを検出することでガイド板29が傾斜姿勢となったことを検知すると、制御装置70は第1搬送機構41のギヤモータ42を作動させることで、搬送羽根43とともに撹拌装置44を回動させる。貯氷槽30に落下した板形連結氷は撹拌装置44の撹拌棒44bによって1つごとのブロック形氷または数個が連結した状態のブロック形氷に崩されるとともに、貯氷槽30の貯氷室31にて製氷板21の直下に局部的に固まることなく全体的に均一に収容される。
製氷運転と除氷運転を交互に実行して、貯氷槽30の貯氷室31が満氷状態になると、製氷板21から板形連結氷を押し出しても、板形連結氷は貯氷室31内に積み上がった氷によって落下しないようになり、ガイド板29は傾斜姿勢を維持するようになる。氷離脱検出センサによりガイド板29の被検知部29eが継続して離間したことを検出すると、制御装置70は貯氷室31が満氷状態にあることを検知して、上述した製氷運転を待機させるように制御する。後述する、放出プログラムの実行により、貯氷室31内の氷が減少すると、製氷板21の製氷面側から板形連結氷が貯氷室31内に落下し、ガイド板29は傾斜姿勢から再び垂下姿勢となり、氷離脱検出センサによりガイド板29の被検知部29eが近接したことを検出すると、制御装置70は貯氷室31が満氷状態でなくなったことを検知して、上述した製氷運転及び除氷運転を実行するように制御する。
また、貯氷槽30の一時貯留部32及び第2搬送機構45の筒体46の氷の導入口46aの周囲に細かく砕かれた氷が残らないようにするために、制御装置70はこれから説明する屑氷排出プログラムを実行する。制御装置70は、製氷運転後、または、除氷運転後に、オーバーフロー部26から溢出するようにタンク23内に製氷水を供給する。具体的には、制御装置70は、給水弁27aを開放して、給水管27からタンク23内に製氷水を供給させ、水位センサ25により第2水位を検知した検知結果が制御装置70に入力されてから所定時間経過後に給水弁27aを閉止させて、オーバーフロー部26から所定量の製氷水を溢出させる。オーバーフロー部26の排水口23aから排出される製氷水は、一時貯留部32及び第2搬送機構45における筒体46の氷の導入口46aの周囲に残る屑氷を融かし、融けた製氷水は貯氷室31の底部に流れ落ちてハウジング11の外側に排出される。なお、この屑氷排出プログラムは、製氷運転後、または、除氷運転後に実行するように制御してもよいし、操作ボタンの操作により手動で実行させるように制御してもよい。
次に、放出プログラムについて説明する前に、貯氷室31内の氷を放出機構50へ搬送する搬送機構40の作動について説明する。貯氷室31内の氷は第1搬送機構41により一時貯留部32に搬送され、一時貯留部32に搬送された氷は第2搬送機構45により放出機構50の定量室51に搬送される。具体的には、貯氷室31内の氷はギヤモータ42により回転する搬送羽根43により第2傾斜面31bを上がって一時貯留部32に搬送され、一時貯留部32に搬送された氷の一部は底部の傾斜面を滑って氷の導入口46aから第2搬送機構45の筒体46の内部に流入し、筒体46内に流入しなかった氷は再び貯氷室31に落下する。一時貯留部32から筒体46の内部に流入した氷はギヤモータ47により回転するオーガスクリュー48により筒体46内を上昇し、筒体46の氷の導出口46bから放出機構50の定量室51内に搬入される。氷検出センサ55により定量室51内に氷が満たされた状態となるまで、貯氷室31内の氷は一時貯留部32を経て第1及び第2搬送機構41,45によって放出機構50に搬送される。また、貯氷室31内の氷が再凍結してアーチングを形成するのを防ぐために、第1搬送機構41のギヤモータ42を駆動させることで、貯氷室31内の氷を撹拌装置44により撹拌している。このとき、ギヤモータ42の駆動によって搬送羽根43も回動して、貯氷室31内の氷が搬送羽根43によって第2傾斜面31bを上って一時貯留部32に搬送されるが、筒体46の氷の導入口46aの周囲に氷が満たされているときには、一時貯留部32に搬送された氷は再び貯氷室31に落下することになる。
放出機構50の前面に設けた複数の操作スイッチ56の1つを押動操作すると、制御装置70はギヤモータ52によって操作スイッチ56に応じた角度で氷定量器53を回動させ、定量室51の底部に形成した氷放出口51aから容器台60に載置したカップ等の容器に氷を放出させる。定量室51内の氷がカップ等の容器に放出されることで減少し、氷検出センサ55により定量室51内の氷が少なくなったことを検知すると、制御装置70は、第2搬送機構45のギヤモータ47を駆動させてオーガスクリュー48を回転させ、数秒後に、第1搬送機構41のギヤモータ42を駆動させて搬送羽根43を回動させる。第2搬送機構45のギヤモータ47を第1搬送機構41のギヤモータ42より先に駆動させることにより、筒体46の導入口46aの周囲に残る氷を予め筒体46内を上昇させてから、第1搬送機構41により貯氷室31内の氷を一時貯留部32に搬送するため、筒体46の導入口46aの周囲に氷が積み上がらないようにして、一時貯留部32に搬送された氷が導入口46aを塞がないようにすることができた。これによって、第2搬送機構45の筒体46内に導入口46aから氷が導入できないようになるのを防ぐことができた。
また、操作スイッチ56の押動操作がないときでも、定量室51内の氷が融けることによって減少して、氷検出センサ55により定量室51内の氷が少なくなったことを検知すると、上述したように、制御装置70は第2搬送機構45のギヤモータ47を駆動させ、数秒後に、第1搬送機構41のギヤモータ42を駆動させ、貯氷室31内の氷を一時貯留部32を介して定量室51内に搬送する。なお、操作スイッチ56の押動操作がないときに、定量室51内への氷の搬送は設定した回数以上行わないように制御している。
上記のように構成した製氷機構付きアイスディスペンサ10においては、製氷水回路24には容器台60のドレンパン63に製氷水を導く導水管24dを設け、製氷運転後にタンク23内に残る製氷水を導水管24dを通して容器台60のドレンパン63に導くようにした。これにより、容器台60のドレンパン63及び排水管64は製氷運転後にタンク23に残る製氷水が流れるようになり、容器台60を清潔に保つことができるようになった。また、製氷運転後にタンク23に残る製氷水を容器台60のドレンパン63に流すようにしたため、容器台60のドレンパン63を洗い流すための水を新たに供給するものでないため、製氷機構付きアイスディスペンサ10のランニングコストを増加させないようにすることができた。
また、この製氷機構付きアイスディスペンサ10では、第2搬送機構45の筒体46の氷の導入口46aの周囲には、オーガスクリュー48の回転による氷の搬送時に生じる屑氷(細かく砕かれた氷)が溜まり、屑氷がオーガスクリュー48を巻き込んで再び凍結するおそれがあった。この製氷機構付きアイスディスペンサ10においては、製氷機構20はタンク23内にて所定の水位を超える製氷水を溢出させて排出するオーバーフロー部26を備え、オーバーフロー部26の製氷水の排水口23aを筒体46の氷の導入口46aの周囲に配設して、オーバーフロー部26から溢出させる製氷水を筒体46の氷の導入口46aの周囲に導くようした。これにより、筒体46の氷の導入口46aの周囲に屑氷が溜まるようになっても、屑氷はオーバーフロー部26から溢出させた製氷水により融かされて洗い流されるようになり、屑氷がオーガスクリュー48を巻き込んで再び凍結するのを防ぐことができた。
また、この製氷機構付きアイスディスペンサ10においては、貯氷槽30は氷を貯める貯氷室31と、貯氷室31の底部より高い位置に設けて放出機構50に送る氷を一時的に留める一時貯留部32とを備えている。また、搬送機構40は貯氷室31内の氷を一時貯留部32に搬送する第1搬送機構41と、一時貯留部32に搬送された氷を放出機構50に搬送する第2搬送機構45とを備えている。この製氷機構付きアイスディスペンサ10においては、制御装置70は第1及び第2搬送機構41,45の各々を独立して制御している。具体的には、貯氷室31内の氷を放出機構50に搬送するときに、制御装置70は、第1搬送機構41のギヤモータ42を第2搬送機構45のギヤモータ47の駆動をさせてから所定時間として数秒後に駆動させるように制御している。このように、第1搬送機構41のギヤモータ42を第2搬送機構45のギヤモータ47の駆動をさせてから所定時間として数秒後に駆動させるように制御するように、第1及び第2搬送機構41,45の各々を独立して制御したので、第2搬送機構45の筒体46の導入口46aの周囲に氷が積み上がって導入口46aを塞がないようにすることができるようになった。
また、この製氷機構付きアイスディスペンサ10においては、ハウジング11の天板上にて貯氷槽30の上側に製氷機構20と放出機構50とを配置し、製氷機構20と放出機構50とを右側(左右方向の一方)に寄せて配置した。このようにしたことで、ハウジング11の天板上にて製氷機構20と放出機構50とを配置していない左側(他方)を他の機器の設置スペースとすることができる。