JP6405729B2 - ブロー成形容器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このブロック共重合体水素化物[D]の溶融成形体は、縦方向(MD方向: Machine Direction)と横方向(TD方向:Traverse Direction)で機械的弾性率の差が大きく、ブローボトルの成形においては、プリフォームをブロー成形すると胴体部のTD方向に相当する同一周内での偏肉が発生し易いという問題があった。
ブロー成形容器に偏肉があると、煮沸滅菌や蒸気滅菌を繰り返すと容器の変形や機械強度の低下を生じるため好ましくない。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、特定のブロック共重合体水素化物[D]からなる、医薬品容器あるいは食品容器等として好適な、耐熱性の良好な偏肉の少ないブロー成形容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
(1)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が50:50〜80:20であるブロック共重合体[C]の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器であって、胴体部及び首部を有し、胴体部の同一周内での肉厚の最大値をtmax、最小値をtminとしたとき、tmax/tminが1.1以下であることを特徴とするブロー成形容器。
(2)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が50:50〜80:20であるブロック共重合体[C]の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器の製造方法であって、ブロック共重合体水素化物[D]からなるプリフォームを、縦方向の延伸倍率yが1.01〜1.3、該縦方向の延伸倍率yに対する胴体部の最大直径部での横方向の延伸倍率xの比(x/y)が1.1〜2となるように延伸するブロー成形容器の製造方法。
(3)ブロー成形前に50〜120℃の温度で、3時間以上保持したブロック共重合体水素化物[D]のペレットを使用してプリフォームを成形し、連続してプリフォームをブロー成形することを特徴とする(2)に記載のブロー成形容器の製造方法。
本発明のブロー成形容器は、医薬品容器あるいは食品容器等として好適である。
本発明に用いるブロック共重合体水素化物[D]は、その前駆体であるブロック共重合体[C]の全不飽和結合の90%以上を水素化して得られる高分子である。
ブロック共重合体[C]は、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、少なくとも1つの重合体ブロック[B]を含有する。
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主成分とするものである。
重合体ブロック[A]中の、芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。
重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位が少なすぎると、本発明に係るブロー成形容器の耐熱性が低下するおそれがある。
ブロック共重合体水素化物[D]に含まれる複数の重合体ブロック[A]同士は、上記の範囲を満足すれば互いに同じであっても、相異なっていても良い。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とするものである。
重合体ブロック[B]中の、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
重合体ブロック[B]中の、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位が上記範囲にあると、本発明に係るブロー成形容器に柔軟性が付与される。
ブロック共重合体水素化物[D]が重合体ブロック[B]を複数有する場合、重合体ブロック[B]同士は、互いに同じであっても、相異なっていても良い。
ブロック共重合体[C]中の重合体ブロック[A]の数は、通常5個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下である。重合体ブロック[A]及び/又は重合体ブロック[B]が複数存在する際、重合体ブロック[A]の中で重量平均分子量が最大と最少の重合体ブロックの重量平均分子量をそれぞれMw(A)max及びMw(A)minとし、重合体ブロック[B]の中で重量平均分子量が最大と最少の重合体ブロックの重量平均分子量をそれぞれMw(B)max及びMw(B)minとしたとき、Mw(A)maxとMw(A)minとの比(Mw(A)max/Mw(A)min)、及び、Mw(B)maxとMw(B)minとの比(Mw(B)max/Mw(B)min)は、それぞれ4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下である。
ブロック共重合体水素化物[D]は、上記のブロック共重合体[C]の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合、並びに芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化したものである。
その水素化率は通常90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、成形体の耐候性、耐熱性及び透明性が良好である。ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、1H−NMRによる測定において求めることができる。
酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、ブロック共重合体水素化物[D]100重量部に対して、通常0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.3重量部である。
本発明のブロー成形容器は、上述したブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器であって、胴体部及び首部を有し、胴体部の同一周内での肉厚の最大値をtmax、最小値をtminとしたとき、tmax/tminが1.1以下、好ましくは1.05以下である偏肉の小さいブロー成形容器である。偏肉を小さくすることにより、容器を繰り返し蒸気滅菌や煮沸滅菌を行った場合にも容器の変形を抑止することができる。
容器の形状としては、胴体部と首部を有するものであれば、その形状は特に限定されない。胴体部の形状としては、円柱状、角柱状、球状等が挙げられるが、機械的強度、使用し易さの観点から円柱状のものが好ましい。また容器の底部の形状については特に制限されず、平面状であっても内側に向かって窪みのある形状であってもよい。
本発明のブロー成形容器は、医薬品や食品等を密閉保存できるように、また、医薬品や食品等を密閉保存した状態でスチーム滅菌等の処理ができるように、蓋を取り付けることができる首部及び胴体部を有する形状であるのが好ましい。首部は、蓋が取り付けられ、かつ密閉できるように、螺子山又は蓋と嵌合可能な凹凸部等を有しているものが好ましい。
本発明のブロー成形容器の製造方法は、上記ブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器の製造方法であって、ブロック共重合体水素化物[D]からなるプリフォームを、縦方向の延伸倍率yが1.01〜1.3、該縦方向の延伸倍率yに対する胴体部の最大直径部での横方向の延伸倍率xの比(x/y)が1.1〜2となるように延伸するものである。
ブロー成形法には、ダイレクトブロー成形法とインジェクションブロー成形法があるが、 本発明では、ブロー成形容器の首部に螺子山を形成し易いインジェクションブロー成形法が好ましく用いられる。
インジェクションブロー成形は、(1)射出成形により、開口部を有する中空体であるプリフォームを成形した後、(2)前記プリフォームをブロー金型内に挿入し、加熱溶融させながら、開口部より内部にエアーを吹き込んでブロー成形を行う。上記方法において、プリフォームは、通常、断面の直径が一定の円柱状のものを用いるのが好ましい。
(i)シリンダー温度を、通常190〜280℃、好ましくは200〜270℃、より好ましくは210〜260℃の範囲にする。シリンダー温度が過度に低いと流動性が悪化し、得られる容器に歪を生じ、シリンダー温度が過度に高いと樹脂の熱分解等により容器表面に荒れが生じるおそれがある。プリフォームの直径及び中空部分の内径、プリフォームの長さは目的とする容器の大きさにより適宜選択することができる。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体及びブロック共重合体水素化物の分子量は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として、38℃において測定した。測定装置として、東ソー社製、HLC8020GPCを用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物[D]の主鎖、側鎖及び芳香環の水素化率は、1H−NMRスペクトルを測定して算出した。
(3)ガラス転移温度
ブロック共重合体水素化物をプレス成形して、長さ50mm、幅10mm、厚さ1mmの試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS−K7244−2法に基づき、粘弾性測定装置(製品名「ARES」、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を使用して、−100℃から+150℃の範囲で、昇温速度5℃/分で粘弾性スペクトルを測定した。損失係数tanδの高温側のピークトップ温度から、高温側のガラス転移温度Tg2を求めた。
ブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器の胴体部を切断し、同一周内で均等な12か所の肉厚を超音波厚み計(KARL DEUTSCH社製)で測定し、最大値tmax及び最小値tminを測定し、tmax/tminを算出した。
(5)ブロー容器の耐熱性
ブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器を、電子レンジ用消毒器(DC電子レンジ用消毒器、レック社製)に設置する。電子レンジ用消毒器内には、水道水を約60ml添加する。次いで、測定試料容器を設置した電子レンジ用消毒器を、電子レンジ(RE−50、定格電圧:100V、定格高周波出力:500W、発振周波数:2450MHz、シャープ社製)に設置し加熱する。加熱処理時間は5分間とした。同様の滅菌処理を30回繰り返し行った後、オーブン中で、温度90℃で2時間乾燥し、外観を目視観察した。形状の変形が認められなかった場合を○(良)、変形が認められた場合を×(不良)と評価した。ブロー成形容器は10本を評価し、良、不良の本数を調べた。
(6)耐ソルベントクラック性
ブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器の胴体部の表面全面に、トリ−13−ドコセン酸グリセロール(東京化成工業社製)を塗布した後、上記と同じ電子レンジ用消毒器に入れ、上記と同じ電子レンジを使用して3分間の加熱処理を行った。サンプルの容器を取り出して、オーブン中で、温度90℃で2時間乾燥した後、外観を目視観察した。微細なクラックによる白化が観察されなかった場合を○(良)、白化が認められた場合を×(不良)と評価した。ブロー成形容器は10本を評価し、良、不良の本数を調べた。
攪拌装置を備え、内部が充分に窒素置換された反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン30.0部、及びn−ジブチルエーテル0.475部を入れた。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.73部を加えて重合を開始させ、さらに60℃で60分間全容を撹拌した。反応液をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、この時点での重合転化率は99.5%であった。
次に、反応液に脱水イソプレン40.0部を加え、そのまま30分間攪拌を続けた。この時点での重合転化率は99.5%であった。その後、更に、脱水スチレンを30.0部加え、60分間攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。
ここでイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させた。得られたブロック共重合体[C1]の重量平均分子量(Mw)は57,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=60:40であった。
次いで、上記溶液を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にてろ過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。連続して溶融ポリマーを、濃縮乾燥器に連結した孔径20μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター製)により、温度260℃でろ過した後、ダイから溶融ポリマーをストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーによりブロック共重合体水素化物[D1]のペレット94部を得た。
ブロック共重合体水素化物[D1]の成形体は、無色透明で、高温側のガラス転位温度Tg2は137℃であった。
スチレン50.0部、イソプレン30.0部、スチレン20.0部をこの順に、それぞれ3回に分けて加え、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.68部に変える以外は、参考例1と同様に重合及び反応停止を行った。
得られたブロック共重合体[C2]の重量平均分子量(Mw)は62,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=70:30であった。
水素化反応終了後、参考例1と同様に酸化防止剤を添加した後、濃縮乾燥してブロック共重合体水素化物[D2]のペレット96部を得た。
ブロック共重合体水素化物[D2]の成形体は、無色透明で、高温側のガラス転位温度Tg2は138℃であった。
スチレン30.0部、イソプレン45.0部、スチレン25.0部をこの順に、それぞれ3回に分けて加え、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.65部に変える以外は参考例1と同様に重合及び反応停止を行った。
得られたブロック共重合体[C3]の重量平均分子量(Mw)は64,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=55:45であった。
水素化反応終了後、参考例1と同様に酸化防止剤を添加した後、濃縮乾燥してブロック共重合体水素化物[D3]のペレット93部を得た。
ブロック共重合体水素化物[D3]の成形体は、無色透明で、高温側のガラス転位温度Tg2は136℃であった。
参考例1で得られたブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で4時間加熱処理した後、インジェクションブロー成形機(ASB−12N/10、日精エー・エス・ビー社製)を用いて、シリンダー温度240℃、プリフォーム金型温度100℃の条件で、高さ130mm、開口部の直径40mm、首下部の断面の直径38mmのプリフォームを成形した。前記プリフォームは、開口部から30mmに渡り首部を有し、首部には螺子山が形成されている。
次いで、上記プリフォームを164℃(Tg2+27℃)に加熱し、縦方向(高さ方向)の延伸倍率yが1.05、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが1.71(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=1.63)となるようなブロー金型を用い、ブロー金型温度100℃の条件で、上記プリフォーム内にエアーを吹き込みながらブロー成形を行い、開口部を有する首部と、胴体部とを有する高さ135mm、胴体部の直径65mmのブロー成形容器1(300ml用)を得た。
電子レンジによる滅菌処理を30回行った後の外観では、変形は認められず、耐熱性は良好であった。耐ソルベントクラック性の評価では、白化したものは認められなかった。結果を表1に示した。
ブロー成形の前にブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを加熱処理せずに使用する以外は、実施例1と同様にしてブロー成形容器2を成形した。
得られたブロー成形容器2を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
参考例2で得られたブロック共重合体水素化物[D2]のペレットを使用し、シリンダー温度を250℃、プリフォームの加熱温度を169℃(Tg2+31℃)に変える以外は、実施例1と同様にしてブロー成形容器3を成形した。
得られたブロー成形容器3を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
参考例2で得られたブロック共重合体水素化物[D2]のペレットを使用し、ブロー成形の前にブロック共重合体水素化物[D2]のペレットを加熱処理せずに使用する以外は、実施例3と同様にしてブロー成形容器4を成形した。
得られたブロー成形容器4を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
参考例3で得られたブロック共重合体水素化物[D3]のペレットを使用し、プリフォームの加熱温度を160℃(Tg2+24℃)に変える以外は、実施例1と同様にしてブロー成形容器5を成形した。
得られたブロー成形容器5を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
参考例3で得られたブロック共重合体水素化物[D3]のペレットを使用し、ブロー成形の前にブロック共重合体水素化物[D3]のペレットを加熱処理せずに使用する以外は、実施例5と同様にしてブロー成形容器6を成形した。
得られたブロー成形容器6を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
プリフォームの形状を、高さ117mm、開口部の直径40mm、開口部から30mmに渡り首部を有し、首部には螺子山が形成されおり、首下部の断面の直径38mmのものに変更し、縦延伸倍率y及び横延伸倍率xを変える以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同外形形状を有するブロック共重合体水素化物[D1]からなるブロー成形容器7を成形した。縦延伸倍率yは1.21、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが1.71(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=1.42)であった。
得られたブロー成形容器7を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。胴体部の最大径部での肉厚の最大値tmaxは1.71mm、最小値tminは1.58mmで、tmax/tminは1.08であり、偏肉は小さかった。電子レンジによる滅菌処理を30回行った後の外観では、変形は認められず、耐熱性は良好であった。耐ソルベントクラック性の評価では、白化したものは認められなかった。
ブロック共重合体水素化物[D2]を使用し、プリフォームの形状を、実施例7と同様にする以外は、実施例3と同様にして、実施例1と同外形形状を有するブロー成形容器8を成形した。縦延伸倍率yは1.21、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが1.71(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=1.42)であった。
得られたブロー成形容器8を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
ブロック共重合体水素化物[D3]を使用し、プリフォームの形状を、実施例7と同様にする以外は、実施例5と同様にして、実施例1と同外形形状を有するブロー成形容器9を成形した。縦延伸倍率yは1.21、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが1.71(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=1.42)であった。
得られたブロー成形容器9を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
プリフォームの形状を、高さ107mm、開口部の直径40mm、開口部から30mmに渡り首部を有し、首部には螺子山が形成されおり、首下部の断面の直径38mmのものに変更し、縦延伸倍率y及び横延伸倍率xを変える以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同外形形状を有するブロック共重合体水素化物[D1]からなるブロー成形容器10を成形した。縦延伸倍率yは1.36、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが1.71(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=1.25)であった。
得られたブロー成形容器10を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。胴体部の最大径部での肉厚の最大値tmaxは1.84mm、最小値tminは1.52mmで、tmax/tminは1.21であり、明らかに偏肉が認められた。電子レンジによる滅菌処理を30回行った後の外観では、肉厚の薄い側の曲率が小さくなり、変形が認められ、耐熱性が不十分であった。耐ソルベントクラック性の評価では、白化したものは認められなかった。
ブロック共重合体水素化物[D2]を使用し、プリフォームの形状を、比較例1と同様にする以外は、実施例3と同様にして、実施例1と同外形形状を有するブロー成形容器11を成形した。縦延伸倍率yは1.36、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが1.71(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=1.25)であった。
得られたブロー成形容器11を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
ブロック共重合体水素化物[D3]を使用し、プリフォームの形状を、比較例1と同様にする以外は、実施例5と同様にして、実施例1と同外形形状を有するブロー成形容器12を成形した。縦延伸倍率yは1.36、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが1.71(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=1.25)であった。
得られたブロー成形容器12を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
参考例1で得られたブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを使用し、プリフォームの形状を、高さ130mm、開口部の直径25mm、開口部から20mmに渡り首部を有し、首部には螺子山が形成されおり、首下部の断面の直径23mmのものに変更する以外は、実施例1と同様にしてブロー成形し、開口部を有する首部と、胴体部とを有する高さ135mm、胴体部の直径65mmのブロー成形容器13(300ml用)を得た。縦延伸倍率yは1.05、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが2.83(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=2.69)であった。
得られたブロー成形容器13を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。胴体部の最大径部での肉厚の最大値tmaxは1.51mm、最小値tminは1.17mmで、tmax/tminは1.29であり、明らかに偏肉が認められた。電子レンジによる滅菌処理を30回行った後の外観では、肉厚の薄い側の曲率が小さくなり、変形が認められ、耐熱性が不十分であった。耐ソルベントクラック性の評価では、白化したものは認められなかった。
ブロック共重合体水素化物[D2]を使用し、プリフォームの形状を、比較例4と同様にする以外は、実施例3と同様にして、比較例4と同外形形状を有するブロー成形容器14を成形した。縦延伸倍率yは1.05、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが2.83(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=2.69)であった。
得られたブロー成形容器14を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
ブロック共重合体水素化物[D3]を使用し、プリフォームの形状を、比較例4と同様にする以外は、実施例5と同様にして、比較例4と同外形形状を有するブロー成形容器15を成形した。縦延伸倍率yは1.05、胴体部の最大径部での横方向(直径方向)の延伸倍率xが2.83(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=2.69)であった。
得られたブロー成形容器15を用い、ブロー成形容器の肉厚、ブロー容器の耐熱性及び耐ソルベントクラック性を評価した。
スチレンとイソプレンを3回に分け、スチレン20.0部、イソプレン60.0部、スチレン20.0部をこの順に、それぞれ3回に分けて加え、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.65部に変える以外は参考例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[C4]の重量平均分子量(Mw)は63,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=40:60であった。
水素化反応終了後、参考例1と同様に酸化防止剤を添加した後、濃縮乾燥してブロック共重合体水素化物[D4]のペレット93部を得た。
ブロック共重合体水素化物[D4]の成形体は、無色透明で、高温側のガラス転位温度Tg2は127℃であった。
参考例4で得られたブロック共重合体水素化物[D4]のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて50℃で4時間加熱処理した後、シリンダー温度230℃、プリフォーム金型温度80℃とする以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同様の高さ130mm、開口部の直径40mm、首下部の断面の直径38mmのプリフォームを成形した。次いで、上記プリフォームを154℃(Tg2+27℃)に加熱し、縦延伸倍率yが1.05、胴体部の最大径部での横延伸倍率xが1.71(横延伸倍率/縦延伸倍率=x/y=1.63)となるブロー金型を用い、ブロー金型温度90℃の条件でブロー成形を行い、実施例1と同形状のブロー成形容器16(300ml用)を得た。
また、実施例1〜9、比較例1〜7のブロー成形容器1〜16についての、胴体部の肉厚、耐熱性試験、及び耐ソルベントクラック性試験の結果を表2にまとめて示す。
なお、表2中、1)は、薄肉部の曲率低下又は変形があったことを示し、2)は、容器の胴体部の収縮、又は変形があったことを示す。
本発明の範囲の特定のブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器1〜9は、縦延伸倍率y及び横延伸倍率/縦延伸倍率=x/yが特定の範囲内であると、偏肉が小さく、電子レンジを使用した繰り返しの蒸気滅菌処理でも変形せず、また、油脂が付着した状態でもクラックは発生せず、良好な耐熱性及び良好な耐ソルベントクラック性を示す(実施例1〜9)。
また、ブロー成形の前に、ブロック共重合体水素化物[D]のペレットを加熱処理して溶存空気量を低減することにより、より偏肉の小さなブロー成形容器が得られる(実施例1、3、5)。
一方、特定のブロック共重合体水素化物[D]を使用した場合であっても、縦延伸倍率y及び/又は横延伸倍率xが本発明の範囲を超える場合は、ブロー成形容器の胴体部の同一周内での偏肉が大きくなり、電子レンジを使用した繰り返しの蒸気滅菌処理で、肉厚の薄い側が収縮して変形を生じ、耐熱性が不良となる(比較例1〜6)。
芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率wAが本発明の範囲よりも低い場合は、偏肉の小さいブロー成形容器であっても、電子レンジを使用した繰り返しの蒸気滅菌処理で変形し、耐熱性が不十分である(比較例7)。
Claims (3)
- 芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、
全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が50:50〜80:20であるブロック共重合体[C]の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物[D]からなるブロー成形容器であって、
胴体部及び首部を有し、
ブロック共重合体水素化物[D]からなるプリフォームを、縦方向の延伸倍率yが1.0〜1.3となるように延伸された、
胴体部の同一周内での肉厚の最大値をtmax、最小値をtminとしたとき、tmax/tminが1.1以下であること
を特徴とするブロー成形容器。 - 芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、
全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が50:50〜80:20であるブロック共重合体[C]の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物[D]からなる、胴体部及び首部を有し、胴体部の同一周内での肉厚の最大値をt max 、最小値をt min としたとき、t max /t min が1.1以下であることを特徴とするブロー成形容器の製造方法であって、
ブロック共重合体水素化物[D]からなるプリフォームを、縦方向の延伸倍率yが1.01〜1.3、該縦方向の延伸倍率yに対する胴体部の最大直径部での横方向の延伸倍率xの比(x/y)が1.1〜2となるように延伸する
ブロー成形容器の製造方法。 - ブロー成形前に50〜120℃の温度で、3時間以上保持したブロック共重合体水素化物[D]のペレットを使用してプリフォームを成形し、連続してプリフォームをブロー成形することを特徴とする請求項2記載のブロー成形容器の製造方法。
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