以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
本発明の実施の形態の発光装置は、光取り出し面に隣接する面を実装面とする、いわゆるサイドビュー型と称される発光装置であるが、光取り出し面に対向する面を実装面とするトップビュー型と称される発光装置にも適用することができる。この発光装置は、少なくとも、一対の接続端子と母材を有する基体と、発光素子と、を備え、好ましくは封止部材をさらに備える。
本明細書においては、発光装置の光取り出し面を上面、光取り出し面に隣接又は交差する面を側面と称し、側面のうちの1つを発光装置の実装面と称する。これに伴って、発光装置を構成する各要素又は各部材の面のうち、発光装置の光取り出し面に対応する面を第1主面又は正面(つまり、上面)と、第1主面の反対側の面を第2主面(つまり、下面)と、第1主面及び第2主面に隣接又は交差する面(つまり、発光装置の側面に対応する面)を端面と称することがある。
〔基体〕
基体は、母材と、少なくとも母材の第1主面に正負に対応する一対の接続端子を備える。基体の形状は特に限定されず、後述する母材の形状に相当する形状となる。例えば、少なくとも第1主面が、長手方向と、長手方向に交差する又は直交する短手方向を有することがより好ましい。基体の厚さは、後述する母材の厚さによって調整することができる。例えば、最も厚い部位の厚さは、500μm程度以下が好ましく、300μm程度以下がより好ましく、200μm程度以下がさらに好ましい。また、40μm程度以上が好ましい。
基体の強度は、後述する母材の材料、接続端子の材料等によって調整することができる。例えば、上述した厚さの範囲において、曲げ強度が300MPa以上であることが好ましく、400MPa以上であることがより好ましく、600MPa以上であることがさらに好ましい。これにより、発光装置の強度を確保することができる。ここでの曲げ強度は、例えば、市販の強度測定機、例えば、インストロンによる3点曲げ試験によって測定した値を意味する。
このように、基体が薄く、かつ適当な強度を備えることにより、小型又は薄型、及び高性能で高信頼性の発光装置が得られる。
(母材)
母材は、線膨張係数が、後述する発光素子の線膨張係数の±10ppm/℃以内の範囲であれば、どのような材料によって形成されていてもよい。好ましくは、±9ppm/℃以内、±8ppm/℃以内、±7ppm/℃以内、±5ppm/℃以内である。これによって、発光素子を基体に実装する場合に、これまで問題となっていた、発光素子と基体との線膨張係数の差異に起因する、発光素子の基体(接続端子)からの剥がれ又は発光素子への不要な応力負荷を効果的に防止することができる。これにより、フリップチップ実装によって、発光素子の電極を基体の接続端子に直接接続することができ、より小型又は薄型の発光装置を提供することが可能となる。本発明では、線膨張係数は、TMA法で測定した値を意味する。α1及びα2のいずれかがこの値を満たしていればよいが、両方で満たすことがより好ましい。
母材は、例えば、金属、セラミック、樹脂、誘電体、パルプ、ガラス、紙又はこれらの複合材料(例えば、複合樹脂)、あるいはこれら材料と導電材料(例えば、金属、カーボン等)との複合材料等が挙げられる。金属としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン又はこれらの合金を含むものが挙げられる。セラミックとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン又はこれらの混合物を含むものが挙げられる。複合樹脂としては、ガラスエポキシ樹脂等が挙げられる。
特に、母材は樹脂を含有するものが好ましい。樹脂は、当該分野で使用されているものであればどのようなものを利用してもよい。特に、線膨張係数を発光素子の線膨張係数の±10ppm/℃とするために、線膨張係数の小さいものを利用することが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。また、例えば、特開2013−35960号、WO2011/132674、WO2012/121224、WO2012/165423等に記載されている樹脂、ナフタレン系のエポキシ樹脂が含有されたBT樹脂及びそれらの組成物、市販品(例えば、三菱瓦斯化学社製:Hl832NS、HL832NSF typeLCA、日立化成社製:MCL−E−700G、MCL−E−705G等)、特開2010−114427号等に記載されている液晶ポリマー及びそれらの組成物を利用してもよい。なお、これらには、当該分野で公知の添加剤、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等が含有されていてもよい。なかでも、BT樹脂又はその組成物が好ましい。
樹脂は、その種類にかかわらず、例えば、ガラス転移温度が、250℃程度以上であることが好ましく、270℃程度以上、280℃程度以上、300℃程度以上、320℃程度以上がより好ましい。別の観点から、ガラス転移温度は、後述するように、発光素子を接続端子に接続するために使用する接合部材の溶融温度と同等以上であることが好ましい。ここでの同等とは、5℃程度の変動を許容することを意味する。これによって、発光素子の実装の際の温度変化に影響されず、発光素子の接続不良などの不具合を回避することができる。その結果、発光装置の製造歩留まりを向上させることができる。ガラス転移温度は、例えば、試料の温度をゆっくりと上昇または下降させながら力学的物性の変化、吸熱又は発熱を測定する方法(TMA、DSC、DTAなど)、動的粘弾性測定試料に加える周期的な力の周波数を変えながらその応答を測定する方法のいずれでもよい。
また、樹脂は、熱放射率が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。このような熱放射率を有することにより、発光素子に起因する熱を効率的に逃がすことができ、発光装置の寿命を向上させることができる。熱放射率は放射率測定器(例えば、ジャパンセンサー株式会社製:TSS−5X)によって測定した値を意味する。
樹脂の種類にかかわらず、線膨張係数を発光素子の線膨張係数の±10ppm/℃とするために、あるいは熱放射率を増大させるために、樹脂には、充填材、例えば、無機材料による充填材を含有させることが好ましい。このような充填材の種類及び量等を適宜組み合わせることによって、母材の線膨張係数を調整することができる。充填材及び無機材料としては、例えば、六方晶窒化ホウ素で被覆されたホウ酸塩粒子、アルミナ、シリカ類(天然シリカ、溶融シリカ等)、金属水和物(水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム等)、モリブデン化合物(酸化モリブデン等)、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化アルミニウム、クレー、カオリン、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維(Eガラス、Dガラスなどのガラス微粉末類、ガラスクロス等)、中空ガラス、リン酸ジルコニウム等の熱収縮フィラー、ゴムパウダー及びコアシェル型のゴムパウダー(スチレン系、ブタジエン系、アクリル系、シリコーン等)等が挙げられる。特に、熱伝導率の高い充填材又は無機材料を大量に含有させることにより、熱放射率を調整することができる。例えば、ガラスクロスを用いる場合には、ガラスクロス中の無機材料を50wt%以上、70wt%以上、90wt%以上含有させることができる。
サイドビュー型の発光装置において、光取り出し面(図2のQ)に隣接する面である実装面(図2のR)とそれに対向する面(図2のS)において、母材を黒色とすることが好ましい。これによって、発光装置から出射した光又はその反射光による迷光を吸収することができる。さらに、母材又は基体の迷光の吸収によって、例えば、バックライト用途において、光の色及び/又は明るさのバラツキなど品質を向上させることができる。また、迷光の吸収によって、周辺部材の光劣化を抑制することができる。母材の色を調整するために、樹脂には顔料を含有させてもよい。顔料としては、黒色のカーボンブラック、白色の酸化チタン等が挙げられる。サイズの小さい発光装置では、発光素子自体が発光装置に対して相対的に大きくなるため、発光素子からの発熱、蛍光体によるストークス発熱などによって、発光装置が過度に発熱することが懸念される。このような熱は、バックライトの導光板を劣化、変形させるなどの悪影響を招くことがある。そこで、熱放射係数の大きいカーボンブラックなどの黒色の材料を母材(樹脂)に含有させることにより、発光素子及び蛍光体からの熱を、放熱することができる。
母材の線膨張係数は、用いる発光素子の種類及び構造等にもよるが、例えば、20ppm/℃程度以下が好ましく、10ppm/℃程度以下がより好ましく、8ppm/℃程度以下、7ppm/℃程度以下、6ppm/℃程度以下がより好ましい。このような線膨張係数とすることにより、基体自体の線膨張係数を制御することができる。これにより、後述するように、発光素子をフリップチップ実装した場合でも、製造過程等の温度変化にかかわらず、発光素子を基体に強固に接続させることができ、発光素子の接続不良などの不具合を回避することができる。その結果、発光装置の製造歩留まりを向上させることができる。
1つの発光装置における母材の形状、大きさ、厚さ等は特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。母材の厚さは、用いる材料、載置する発光素子の種類及び構造等にもよるが、例えば、470μm程度以下が好ましく、370μm程度以下、320μm程度以下、270μm、200μm、150μm、100μm程度以下がより好ましい。また、強度等を考慮すると、20μm程度以上が好ましい。母材の曲げ強度は、基体全体の強度を確保するために、上述した基体の強度と同等、例えば、300MPa程度以上であることが好ましく、400MPa程度以上、600MPa程度以上がより好ましい。
母材の平面形状は、例えば、円形、四角形等の多角形又はこれらに近い形状が挙げられる。なかでも長方形、つまり、長手方向に細長い形状が好ましい。大きさは、後述する発光素子よりも大きい平面積であることが好ましい。1つの発光装置に発光素子が1つ搭載される場合は、発光装置の長手方向が発光素子の一辺の1.5〜5倍程度の長さを有することが好ましく、1.5〜3倍程度の長さがより好ましい。発光装置の短手方向は、発光素子の一辺の1.0〜2.0倍程度の長さを有することが好ましく、1.1〜1.5倍程度の長さがより好ましい。1つの発光装置に発光素子が複数搭載される場合は、その数によって適宜調整することができる。例えば、長手方向に2個又は3個搭載される場合は、長手方向が発光素子の一辺の2.4〜6.0倍程度又は3.5〜7.0倍程度が好ましい。
母材の第2主面の上には、絶縁体、金属等によって補強、放熱、アライメント用等のマーク等の機能を有する層を1以上設けてもよい。
(接続端子)
一対の接続端子は、基体の少なくとも第1主面上に形成されていればよい。この場合、接続端子の縁部の少なくとも一部は、基体の第1主面の縁部の一部に一致するように形成することが好ましい。言い換えると、接続端子の端面の一部と基体の実装面の一部とが同一面となるように形成されていることが好ましい。これにより、発光装置を実装基板に実装する際に、実装基板と接続端子の端面とを接触(または限りなく近接)させることができる。その結果、発光装置の実装性を向上させることができる。ここで同一面とは、段差がない又はほとんどないことを意味し、数μmから十数μm程度の凹凸は許容されることを意味する。本願明細書において、同一面については以下同じ意味である。
接続端子は、第1主面において、発光素子の電極と接続される素子接続部と、発光装置の外部と接続される外部接続部とを有する。外部接続部は、基体の第1主面に加えて、さらに基体の第2主面上にも設けられていることがより好ましい。例えば、接続端子は、(i)第1主面から、第1主面と第2主面との間に存在する面の上に延長して設けられているか、(ii) 母材を貫通するように設けられたビアまたはスルーホール等により第1主面から第2主面上まで延長して設けられているか、(iii)第1主面から、第1主面と第2主面との間に存在する面の上を通って、さらに、第2主面上に延長して(例えば、断面視、U字状に)設けられていることが好ましい。ここで第1主面と第2主面との間に存在する面とは、第1主面と第2主面との間に存在する1つの端面の一部又は全部を指してもよいし、第1主面と第2主面との間に存在する2つ以上の端面の一部又は全部であってもよい。通常、素子接続部は第1主面上に配置され、外部接続部は、(i)第1主面上か、(ii)第1主面及び端面上か、(iii)第1主面、端面及び第2主面上か、(iv)第1主面及び第2主面上に配置される。
接続端子は、基体の第1主面上、端面上及び/又は第2主面上にわたって、必ずしも同じ幅(例えば、基体の短手方向の長さ)でなくてもよく、一部のみ幅狭又は幅広に形成されていてもよい。あるいは、基体の第1主面及び/又は第2主面において、幅狭となるように、接続端子の一部が絶縁材料(例えば、母材等)により被覆されていてもよい。このような幅狭となる部位は、基体の少なくとも第1主面上に配置されることが好ましく、第1主面及び第2主面上の双方に配置されていてもよい。特に、幅狭となる部位は、基体の第1主面上では、後述する封止部材の近傍において配置されることがより好ましい。
このような幅狭となる部位を配置することにより、接続端子に接続される、後述するような接合部材等又はこれらに含まれるフラックスなどが、端子表面に沿って、後述する封止部材の下、さらに発光素子の下にまで浸入することを抑制することができる。また、素子接続部を、基体の長手方向に延びる端面から離間させることによって、発光素子の実装時に、上記と同様に、フラックスの浸入を抑制することができる。
幅狭となる部位は、素子接続部よりも幅狭であることが好ましい。また、幅狭となる部位は、なだらかに幅狭になることが好ましい。
基体は、発光素子に電気的に接続される接続端子の他に、さらに、放熱用の端子、ヒートシンク、補強部材等を有していてもよい。これらは、第1主面、第2主面、端面のいずれに配置されていてもよく、特に、発光素子及び/又は封止部材の下方に配置されていることが好ましい。これにより、発光装置の強度及び信頼性を高めることができる。また、基体の強度を高めることにより、封止部材が金型を用いて成形される場合には、基体のゆがみが低減され、封止部材の成形性を向上させることができる。放熱用の端子又は補強端子が導電性であって、一対の接続端子の間に設けられる場合、放熱用の端子又は補強端子は絶縁性の膜で被覆されていることが好ましい。これにより、接続端子と放熱用の端子又は補強端子との接合部材のブリッジを防止することができる。
さらに、1つの発光装置に発光素子が複数配置される場合、複数の発光素子を電気的に接続するさらなる接続端子を1以上備えていてもよい。1つの基体に実装される発光素子の数、その配列、接続形態(並列及び直列)等によって、接続端子の形状及び位置等を適宜設定することができる。
接続端子は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ti、Fe、Cu、Al、Ag等又はこれらの合金の単層膜又は積層膜によって形成することができる。なかでも、導電性及び実装性に優れているものが好ましく、実装側の接合部材との接合性及び濡れ性の良い材料がより好ましい。特に、放熱性の観点から、銅又は銅合金が好ましい。接続端子の表面には、銀、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム又はこれらの合金の単層膜又は積層膜等、光反射性の高い被膜が形成されていてもよい。接続端子は、具体的には、W/Ni/Au、W/Ni/Pd/Au、W/NiCo/Pd/Au、Cu/Ni/Cu/Ni/Pd/Au、Cu/Ni/Pd/Au、Cu/Ni/Au、Cu/Ni/Ag、Cu/Ni/Au/Agなどの積層構造が挙げられる。また、部分的に厚さ又は積層数が異なっていてもよい。
接続端子は、それぞれ、発光素子と接続される面、つまり、第1主面上において、略平坦であってもよいし凹凸を有していてもよい。例えば、接続端子は、後述する発光素子の電極にそれぞれ対向する位置において、突出パターンを有していてもよい。突出パターンは、発光素子の電極と同等の大きさであることが好ましい。また、接続端子及び突出パターンは、発光素子が基体に搭載された場合に、発光面を水平に配置することができるように、基体の表面(発光素子と接続される面側)に対して水平であることが好ましい。突出パターンは、例えば、アディティブ法、セミアディティブ法、サブトラクティブ法などのフォトリソグラフィーを利用したエッチング法などで形成することができる。
接続端子は、配線、リードフレーム等を利用してもよいが、基体表面において略平坦に又は基体と同一面を形成するために、メッキ等によって上述した材料の膜を形成することが好ましい。接続端子の厚さは、数μmから数十μmが挙げられる。特に、突出パターンは、メッキを積層して形成することが好ましい。突出パターンの厚さは、他の部位の接続端子表面から、数μmから数十μmが挙げられる。
基体は、上述した母材の線膨張係数を大幅に損なわない限り、それ自体がコンデンサ、バリスタ、ツェナーダイオード、ブリッジダイオード等の保護素子を構成するものであってもよいし、これら素子の機能を果たす構造をその一部に、例えば、多層構造又は積層構造の形態で備えるものでもよい。このような素子機能を果たすものを利用することにより、別途部品を搭載することなく、発光装置として機能させることができる。その結果、静電耐圧等を向上させた高性能の発光装置を、より小型化することが可能となる。
〔発光素子〕
発光素子は、基体(本実施の形態では第1主面)上に搭載されており、基体の第1主面において、第1主面上の接続端子と接続されている。1つの発光装置に搭載される発光素子は1つでもよいし、複数でもよい。発光素子の大きさ、形状、発光波長は適宜選択することができる。複数の発光素子が搭載される場合、その配置は不規則でもよく、行列など規則的又は周期的に配置されてもよい。複数の発光素子は、直列、並列、直並列又は並直列のいずれの接続形態でもよい。
発光素子は、少なくとも窒化物半導体積層体を備えることが好ましい。窒化物半導体積層体は、第1半導体層(例えば、n型半導体層)、発光層、第2半導体層(例えば、p型半導体層)がこの順に積層されており、発光に寄与する積層体である。窒化物半導体積層体の厚さは、30μm程度以下が好ましく、15μm程度以下、10μm程度以下がより好ましい。また、窒化物半導体積層体の同一面側(例えば、第2半導体層側の面)に、第1半導体層に電気的に接続される第1電極(正又は負)と、第2半導体層に電気的に接続される第2電極(負又は正)との双方を有することが好ましい。第1電極及び第2電極を構成するものとして、オーミック電極、金属膜、外部接続用電極等を含むものとする。
第1半導体層、発光層及び第2半導体層の種類、材料は特に限定されるものではなく、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体が挙げられる。具体的には、InXAlYGa1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料が挙げられ、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等を用いることができる。各層の膜厚及び層構造は、当該分野で公知のものを利用することができる。
窒化物半導体積層体は、通常、半導体層の成長用の基板上に積層される。半導体層の成長用の基板としては、半導体層をエピタキシャル成長させることができるものが挙げられる。このような基板の材料としては、サファイア(Al2O3)、スピネル(MgA12O4)のような絶縁性基板、上述した窒化物系の半導体基板等が挙げられる。基板の厚さは、例えば、190μm程度以下が好ましく、180μm程度以下、150μm程度以下がより好ましい。
基板は、表面に複数の凸部又は凹凸を有するものであってもよい。また、これに伴って、窒化物半導体積層体の基板側の表面(窒化物半導体積層体の前記電極が配置された面の反対面)に複数の凸部又は凹凸があってもよい。この凹凸は、基板形状に起因するものであり、例えば、その高さが0.5〜2.0μm程度、ピッチが10〜25μm程度の表面粗さを有していてもよい。基板は、C面、A面等の所定の結晶面に対して0〜10°程度のオフ角を有するものであってもよい。基板は、第1半導体層との間に、中間層、バッファ層、下地層等の半導体層又は絶縁層等を有していてもよい。
半導体層の成長用の基板は、サファイア基板のような透光性を有する基板を用いることにより、半導体積層体から除去せず発光装置に用いることができる。あるいは、このような基板を半導体積層体から除去してもよい。この成長用の基板の除去は、レーザリフトオフ法等を利用して行うことができる。具体的には、基板側から半導体層に、基板を透過するレーザ光(例えば、KrFエキシマレーザ)を照射し、半導体層と基板との界面で分解反応を生じさせ、基板を半導体層から分離する。ただし、成長用の基板は、半導体層から完全に除去されたものに加えて、半導体層の端部又は隅部に若干の基板が残存していてもよい。なお、半導体層の成長用の基板が除去された発光素子の表面(窒化物半導体積層体の電極形成面とは反対面)は、凹部を有していてもよく、例えば凹部の深さは平均0.5μm〜2.0μm程度である。成長用の基板は、発光素子が基体に実装された前後のいずれかで除去することができる。
窒化物半導体積層体は、半導体層の成長用の基板が除去されたものである場合、より薄型化又は小型化を実現する発光装置を得ることができる。また、発光に直接寄与しない層を除去することにより、これに起因する発光層から出射される光の吸収を阻止することができる。さらに、基板に起因する光散乱を阻止することができる。よって、より発光効率を向上させることができる。その結果、発光輝度を高めることが可能となる。発光素子上面と導光板との距離を小さくすることができる。
また、発光素子は、いわゆるバーティカルダイス又は貼り合わせダイスなどとして公知の積層構造、例えば、特開2008−300719号公報、特開2009−10280号公報等に記載されたような積層構造を有していてもよい。
発光素子の平面視における形状は特に限定されるものではなく、四角形又はこれに近似する形状が好ましい。発光素子の大きさは、発光装置の大きさによって、その上限を適宜調整することができる。例えば、発光素子の一辺の長さが、百μmから2mm程度が挙げられ、1400×200μm程度、1100×200μm程度、900×200μm程度等が好ましい。
発光素子は、その側面及び上面にうねり及びギザギザがなく、直線性が良好であるものが好ましい。これにより、これらのうねり及びギザギザに起因する、微小な外力等による発光素子のクラックを低減することができる。例えば、発光素子の上面の表面粗さRaは15nm以下であることが好ましく、10〜15nm程度が例示される。発光素子の側面の表面粗さRaは2μm以下であることが好ましく、1.0μm以下、0.5μm以下がより好ましい。特に発光素子の側面の表面粗さRaは0.3μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。表面粗さRaは、例えば、J IS B060、’01/ISO4287等に準拠した測定法による値を示す。
(第1電極及び第2電極)
第1電極及び第2電極は、半導体積層体の同一面側(基板が存在する場合にはその反対側の面)に形成されていることが好ましい。これにより、基体の正負の接続端子と発光素子の第1電極と第2電極を対向させて接合するフリップチップ実装を行うことができる。
第1電極及び第2電極は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ti等又はこれらの合金の単層膜又は積層膜によって形成することができる。具体的には、半導体層側からTi/Rh/Au、W/Pt/Au、Rh/Pt/Au、W/Pt/Au、Ni/Pt/Au、Ti/Rh等のように積層された積層膜が挙げられる。膜厚は、当該分野で用いられる膜の膜厚のいずれでもよい。
また、第1電極及び第2電極は、それぞれ第1半導体層及び第2半導体層に近い側に、発光層から出射される光に対する反射率が電極のその他の材料より高い材料層が、これら電極の一部として配置されることが好ましい。反射率が高い材料としては、銀又は銀合金やアルミニウムが挙げられる。銀合金としては、当該分野で公知の材料のいずれを用いてもよい。この材料層の厚さは、特に限定されるものではなく、発光素子から出射される光を効果的に反射することができる厚さ、例えば、20nm〜1μm程度が挙げられる。この反射率の高い材料層の第1半導体層又は第2半導体層との接触面積は大きいほど好ましい。
なお、銀又は銀合金を用いる場合には、銀のマイグレーションを防止するために、その表面(好ましくは、上面及び端面)を被覆する被覆層を形成することが好ましい。このような被覆層としては、通常、導電材料として用いられている金属及び合金によって形成されるものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等を含有する単層又は積層層が挙げられる。なかでも、AlCuを用いることが好ましい。被覆層の厚さは、効果的に銀のマイグレーションを防止するために、数百nm〜数μm程度が挙げられる。
第1電極及び第2電極は、それぞれ第1半導体層及び第2半導体層に電気的に接続されている限り、電極の全面が半導体層に接触していなくてもよいし、第1電極の一部が第1半導体層の上に及び/又は第2電極の一部が第2半導体層の上に位置していなくてもよい。つまり、例えば、絶縁膜等を介して、第1電極が第2半導体層上に配置されていてもよいし、第2電極が第1半導体層上に配置されていてもよい。これにより、素子接続部との接続部における第1電極又は第2電極の形状を容易に変更することができ、一対の接続端子に容易に実装することができる。
ここでの絶縁膜としては、特に限定されるものではなく、当該分野で使用されるものの単層膜及び積層膜のいずれでもよい。絶縁膜等を用いることにより、第1電極及び第2電極は、第1半導体層及び/又は第2半導体層の平面積にかかわらず、任意の大きさ及び位置に設定することができる。
第1電極及び第2電極の形状は、半導体積層体の形状、基体の接続端子(より具体的には素子接続部)の形状等によって設定することができる。第1電極、第2電極及び素子接続部は、それぞれが平面視四角形又はこれに近い形状とすることが好ましい。第1電極及び第2電極の形状と、これらに対応する素子接続部の形状を略同一形状とすることにより、セルフアライメント効果を利用して、半導体積層体と基体との接合及び位置合わせを容易に行うことができる。この場合、少なくとも、基体と接続される半導体積層体の最表面において、第1電極及び第2電極の平面形状が略同じであることが好ましい。また、半導体積層体の中央部分を挟んで、第1電極及び第2電極がそれぞれ配置されていることが好ましい。
第1電極及び第2電極の第1主面(半導体層とは反対側の面)は、段差を有していてもよいが、略平坦であることが好ましい。ここでの平坦とは、半導体積層体の第2主面(第1主面と反対側の面)から第1電極の第1主面までの高さと、半導体積層体の第2主面から第2電極の第1主面までの高さとが略同じであることを意味する。ここでの略同じとは、半導体積層体の高さの±10%程度の変動は許容される。
このように、第1電極及び第2電極の第1主面を略平坦、つまり、実質的に両者を同一面に配置することにより、発光素子を基体に水平に実装することが容易となる。このような第1電極及び第2電極を形成するためには、例えば、メッキ等で金属膜を設け、その後、平坦となるよう研磨又は切削を行うことにより実現することができる。
第1電極と第1半導体層との間及び第2電極と第2半導体層との間に、それぞれ、両者の電気的な接続を阻害しない範囲で、DBR(分布ブラッグ反射器)層等を配置してもよい。DBRは、例えば、任意に酸化膜等からなる下地層の上に、低屈折率層と高屈折率層とを積層させた多層構造であり、所定の波長光を選択的に反射する。具体的には屈折率の異なる膜を1/4波長の厚さで交互に積層することにより、所定の波長を高効率に反射させることができる。材料として、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された少なくとも一種の酸化物または窒化物を含んで形成することができる。
発光素子の厚さは、半導体成長用の基板の有無にかかわらず、電極を含む厚さとして、200μm以下であることが好ましく、180μm以下、150μm以下であることがより好ましい。また、基板が除去された窒化物半導体積層体のみによって、20μm以下であることが好ましく、15μm以下、10μm以下であることがより好ましい。
発光素子は、窒化物半導体積層体の正負電極の配置面側に、補強層が配置されていてもよい。ここでの補強層とは、窒化物半導体積層体に対して、その強度を補強し得る層であれば、絶縁体、半導体及び導電体のいずれの材料から形成されていてもよい。補強層は、全体として単層又は積層層、複数個所に配置される単層又は積層層等のいずれでもよい。また、補強層は、その一部が発光素子の機能に必須となる絶縁性及び導電性等を確保する層であってもよい。特に、発光素子を構成するために用いる膜の一部を厚膜化してもよい。具体的には、電極等として機能する導電性の層をメッキ、スパッタ法等の公知の方法で厚膜化してもよい。これらの間に配置される層間絶縁膜、表面保護膜等を厚膜化してもよい。これにより、適度な強度を確保しながら、付加的な層を配置せずに、発光装置の大型化を招くことを防止できる。
例えば、一観点から、発光素子を構成する窒化物半導体積層体及び正負電極、これらの間で、電気的な絶縁、保護等の目的のために任意に形成された絶縁層以外であって、正負電極よりも基体側の層を、補強層として機能させることができる。また、別の観点から、発光素子として機能するために最小限必要な層を厚膜化することにより補強層として機能させることができる。さらに、このような層に付加的に設けた層を補強層として機能させることができる。これらを補強層として機能させるために、半導体層の成長用の基板を除く、窒化物半導体積層体、電極、絶縁性の保護膜、電極間を埋める樹脂層等の全体積に対して、金属材料からなる層の全体積が、5〜95%程度となるように調節することが好ましく、10〜70%程度、15〜50%程度とすることがより好ましい。さらに、別の観点から、発光素子の電極と接続されない導電層、このような導電層を電極から絶縁するための絶縁層、保護するための保護層、これらの導電層、絶縁層、保護層等を補強層として機能させることができる。これらの補強層は、その最も薄い部位において、総厚さが1μm程度以上であることが好ましく、3μm程度以上、5μm以上、10μm以上であることがより好ましい。適度な厚さを有する補強層を備えることにより、発光装置の強度を確保しつつ、同時に、素子の大型化又は厚膜化を最小限に止めることができる。
発光素子は、基体にフリップチップ実装されていることが好ましい。この場合、通常、第1電極及び第2電極が、接合部材によって、上述した基体の接続端子と接合されている。このような接合部材は、当該分野で公知の材料のいずれをも用いることができ、導電性の接合部材が挙げられる。具体的には、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの半田(具体的には、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金等)、共晶合金(AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等)銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト、バンプ、異方性導電材、低融点金属などのろう材等が挙げられる。なかでも、半田を用いることにより、上述した接続端子の形状、突出パターンの位置及び大きさと相まって、高精度のセルフアライメント効果を発揮させることができる。よって、発光素子を適所に実装することが容易となり、量産性を向上させ、より小型の発光装置を製造することができる。成長用基板を除去する場合、異方性導電ペースト又は異方性導電フィルムを用いることが好ましい。接合部材は、発光素子を接続端子に固定した場合に、窒化物半導体積層体の厚さの1/4〜3倍程度の厚さとなるように設定されていることが好ましく、同等〜3倍程度がより好ましい。これによって、より高精度のセルフアライメント効果を発揮させることができ、より小型化又は薄型化が可能となる。例えば、接合部材は、2〜50μm程度の厚さが好ましく、5〜30μm程度がより好ましい。
〔封止部材〕
封止部材は、少なくとも発光素子の一部を封止(被覆)又は発光素子を基体に固定する機能を有する部材である。その材料は特に限定されるものではなく、セラミック、樹脂、誘電体、パルプ、ガラス又はこれらの複合材料等が挙げられる。なかでも、任意の形状に容易に成形することができるという観点から、樹脂が好ましい。
樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの変性樹脂又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等などが挙げられる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物(シリコーン変性エポキシ樹脂等)、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物(エポキシ変性シリコーン樹脂等)、ハイブリッドシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂、ユリア樹脂、BTレジン、ポリウレタン樹脂等の樹脂が挙げられる。
封止部材で用いる樹脂の線膨張係数及びガラス転移温度等は特に限定されず、例えば、100ppm/℃程度以下の線膨張係数が好ましく、80ppm/℃程度以下、60ppm/℃程度以下がより好まく、100℃以下のガラス転移温度が好ましく、75℃以下、50℃以下がより好ましい。
封止部材は、透光性であってもよいが、発光素子からの光に対する反射率が60%以上、70%以上、80%以上、90%以上の遮光性材料であるものがより好ましい。そのために、上述した材料、例えば、樹脂に、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、カーボンブラック、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)などの光反射材、光散乱材又は着色材等を含有させることが好ましい。封止部材は、ガラスファイバー、ワラストナイトなどの繊維状フィラー、カーボン等の無機フィラーを含有させてもよい。また、放熱性の高い材料(例えば、窒化アルミニウム等)を含有させてもよい。さらに、封止部材には、後述する蛍光体を含有させてもよい。これらの添加物は、例えば、封止部材の全重量に対して、10〜95重量%程度、20〜80重量%程度、30〜60重量%程度含有させることが好ましい。
光反射材を含有させることにより、発光素子からの光を効率よく反射させることができる。特に、基体よりも光反射率の高い材料を用いる(例えば、基体に窒化アルミニウムを用いた場合に、封止部材として二酸化チタンを含有させたシリコーン樹脂を用いる)ことにより、ハンドリング性を保ちつつ、基体の大きさを小さくして、発光装置の光取出し効率を高めることができる。光反射材として二酸化チタンのみ含有させる場合は、封止部材の全重量に対して、20〜60重量%程度含有させることが好ましく、30〜50重量%程度含有させることがより好ましい。
また、封止部材を有することで、半導体層の成長基板又は支持体などを除去、剥離するなどプロセス中の封止部材の強度を向上させることができる。さらに発光装置全体の強度を確保することができる。封止部材を放熱性の高い材料で形成することによって、発光装置の小型化を維持したまま、放熱性を向上させることができる。
封止部材の外形は特に限定されるものではなく、例えば、円柱、四角形柱等の多角形柱又はこれらに近い形状、円錐台、四角錐台等の多角錐台、一部がレンズ状等であってもよい。なかでも基体の長手方向に細長い形状を有していることが好ましい。また、基体の短手方向に沿った面を有することが好ましい。
封止部材は、発光素子の少なくとも1つの側面の一部又は全部に接触して、発光素子の側面を被覆するように配置されていることが好ましく、発光素子の全周囲を取り囲むように、発光素子に接触して配置されていることが好ましい。この場合、封止部材は、発光装置の長手方向に延長する側面(図1C中、7a)において薄く、短手方向に延長する側面(図1C中、7b)において厚く設けられることが好ましい。これにより、発光装置の薄型化を図ることができる。また、封止部材は、実装された発光素子と基体との間を充填するよう設けられることが好ましい。これにより、発光装置の強度を高めることができる。発光素子と基体との間に配置される封止部材は、発光素子の側面を被覆する材料と異なる材料であってもよい。これによって、発光素子の側面に配置される封止部材と、発光素子と基体との間に配置される部材との間で、それぞれ適切な機能を付与することができる。例えば、発光素子の側面に配置される封止部材は反射率が高い材料、発光素子と基体との間に配置される部材は両者の密着性を強固とする材料とすることができる。
特に、発光素子と基体との間に配置される封止部材は、接続端子の線膨張係数と同等±20%の線膨張係数を有する樹脂によって構成されていることが好ましい。別の観点から、30ppm/℃程度以下の線膨張係数を有する樹脂によって構成されていることが好ましく、25ppm/℃程度以下がより好ましい。さらに別の観点から、50℃以下のガラス転移温度が好ましく、0℃以下がより好ましい。これによって、封止部材と基体との剥がれを防止することができる。
封止部材の平面視(光取り出し面側から見た平面視)における縁部は、基体の縁部よりも内側又は外側に配置してもよい。封止部材が長手方向に細長い形状である場合、その長手方向に沿う1つの縁部は、基体の長手方向に沿う縁部と一致していることが好ましい。つまり、封止部材の長手方向に延びる端面の少なくとも一方は、基体の長手方向に延びる端面の一方と同一面を形成することが好ましく、双方が同一面を形成することがより好ましい。これにより、発光装置の厚さを大きくすることなく、光取出し面の面積を大きくすることができ、光取出し効率を高めることができる。封止部材の短手方向に沿った縁部は、基体の短手方向に沿う縁部よりも、通常、内側に配置されている。ここで同一面とは、厳密な意味のみならず、封止部材が若干のアール形状を有する場合には、そのアール形状の一部が基体の端面と一致しているものも含む。
封止部材の大きさは、光取り出し面側から見た場合、発光素子よりも大きい平面積であることが好ましい。特に、その最外形の長手方向の長さは、発光素子の一辺の1.01〜4.0倍程度の一辺長さを有することが好ましい。具体的には、300〜2000μm程度が好ましく、1000〜1500μm程度がより好ましい。封止部材の厚さ(光取り出し面側から見た場合の発光素子の端面から封止部材の最外形までの幅又は発光素子の側面における封止部材の最小幅ともいう)は、例えば、1〜1000μm程度が挙げられ、50〜500μm程度、100〜200μm程度が好ましい。封止部材は、発光素子を基体上に搭載した場合、封止部材の上面が、発光素子の上面と同一面を形成する高さとすることが好ましい。封止部材は、スクリーン印刷、ポッティング、トランスファーモールド、コンプレッションモールド等により形成することができる。成形機を用いる場合は離型フィルムを用いてもよい。
封止部材は、通常、発光素子の側面の全面、発光素子の基体と対向する面等を封止(被覆)するために、発光素子が基体に実装された後に形成される。さらに、発光素子が基体に実装される前に、発光素子の上面又は側面を被覆するように設けてもよい。
なお、基体に凹部又は貫通孔が形成され、その凹部又は貫通孔に封止部材の一部が充填されて、封止部材が基体に係止されていてもよい。これにより、封止部材と基体との密着性を高めて、封止部材の基体からの剥離を防止することができる。
〔透光性部材〕
発光素子はその上面に、つまり、発光装置の光取り出し面には、透光性部材が設けられていることが好ましい。発光素子の側面が遮光性の封止部材で被覆されており、発光素子の上面が封止部材で被覆されていない場合には、透光性部材は、封止部材の上面を被覆していることが好ましい。透光性部材は、その端面が封止部材で被覆されていても、被覆されていなくてもよい。
透光性部材は、発光層から出射される光の60%以上を透過するもの、さらに、70%、80%又は90%以上を透過するものが好ましい。このような部材としては、封止部材と同様の部材であってもよいが、異なる部材であってもよい。例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂、ガラス等が挙げられる。なかでもシリコーン樹脂又はエポキシ樹脂が好ましく、特に耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂がより好ましい。
透光性部材には、発光素子からの光に励起される蛍光体を含有するものが好ましい。蛍光体は、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al2O3−SiO2)系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)2SiO4)系蛍光体、βサイアロン蛍光体、CASN系又はSCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn)、硫化物系蛍光体などが挙げられる。これにより、可視波長の一次光及び二次光の混色光(例えば、白色系)を出射する発光装置、紫外光の一次光に励起されて可視波長の二次光を出射する発光装置とすることができる。発光装置が液晶ディスプレイのバックライト等に用いられる場合、青色光によって励起され、赤色発光する蛍光体(例えば、KSF系蛍光体)と、緑色発光する蛍光体(例えば、βサイアロン蛍光体)を用いることが好ましい。これにより、発光装置を用いたディスプレイの色再現範囲を広げることができる。照明等に用いられる場合、青緑色に発光する素子と赤色蛍光体とを組み合わせて用いることができる。
蛍光体は、例えば、中心粒径が50μm以下、30μm以下、10μm以下であるものが好ましい。中心粒径は、市販の粒子測定器又は粒度分布測定器等によって測定及び算出することができる。なお、上記の粒径は、F.S.S.S.No(Fisher Sub Sieve Sizer’s No)における空気透過法で得られる粒径を指す。特に、蛍光体としてYAG等を用いる場合には、これらの超微粒子を均一に分散して焼結されたバルク体(例えば、板状体)であることが好ましい。このような形態によって、単結晶構造及び/又は多結晶構造として、ボイド、不純物層を低減し、高い透明性を確保することができる。
蛍光体は、例えば、いわゆるナノクリスタル、量子ドットと称される発光物質でもよい。これらの材料としては、半導体材料、例えば、II−VI族、III−V族、IV−VI族半導体、具体的には、CdSe、コアシェル型のCdSxSe1−x/ZnS、GaP等のナノサイズの高分散粒子が挙げられる。このような蛍光体は、例えば、粒径1〜20nm程度(原子10〜50個)程度が挙げられる。このような蛍光体を用いることにより、内部散乱を抑制することができ、光の透過率をより一層向上させることができる。内部散乱を抑制することにより、上面に対して垂直な方向への光の配光成分を増加させることができ、同時に、発光装置の側面又は下面に向かう光を抑制することができ、よって、光取り出し効率をより向上させることができる。例えば、バックライトに適用する場合に、バックライトへの入光効率をさらに増加させることができる。量子ドット蛍光体は、不安定であるため、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの樹脂で表面修飾又は安定化してもよい。これらは透明樹脂(例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等)に混合されて成形されたバルク体(例えば、板状体)であってもよいし、ガラス板の間に透明樹脂とともに封止された板状体であってもよい。
透光性部材は、粒子状の蛍光体を含む粒子層が複数積層された層状部材であるか、透明の多結晶の蛍光体板部材であるか、透明の単結晶の蛍光体板部材が好ましい。これによって、透光性部材において、散乱をより一層低減させることができ、光の取り出し効率等をより一層向上させることができる。蛍光体板部材などの透光性部材の発光素子との接合は、樹脂接着材を利用してもよいし、表面を清浄、平滑にした後、直接接合技術を用いてもよい。
蛍光体は、上記の部材中に含有されることに限られず、発光装置の種々の位置又は部材中に設けてもよい。例えば、蛍光体を含有しない透光性部材の上に塗布、接着等された蛍光体層として設けられてもよい。
透光性部材は、充填材(例えば、拡散剤、着色剤等)を含んでいてもよい。例えば、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、ガラス、蛍光体の結晶又は焼結体、蛍光体と無機物の結合材との焼結体等が挙げられる。任意に、充填材の屈折率を調整してもよい。例えば、1.8以上が挙げられる。
充填剤の粒子の形状は、破砕状、球状、中空及び多孔質等のいずれでもよい。粒子の平均粒径(メジアン径)は、高い効率で光散乱効果を得られる、0.08〜10μm程度が好ましい。蛍光体及び/又は充填材は、例えば、透光性部材の全重量に対して10〜80重量%程度が好ましい。
透光性部材を形成する方法は、透光性部材をシート状に成形して、ホットメルト方式で又は接着剤により接着する方法、電気泳動堆積法で蛍光体を付着させた後で透光性樹脂を含浸させる方法、ポッティング、圧縮成型、スプレー法、静電塗布法、印刷法等が挙げられる。この際、粘度又は流動性を調整するために、シリカ(アエロジル)などを添加してもよい。なかでも、透光性部材に蛍光体を含有させる場合には、スプレー法、特に、パルス状、すなわち間欠的にスプレーを噴射するパルススプレー方式が好ましい。間欠的にスプレー噴射することにより、単位時間当たりの透光性部材の噴射量を少なくすることができる。このため、スプレー噴射のノズルを、少ない噴射量でスプレー噴射させながら低速で移動させることにより、凹凸形状を有する塗布面に均一に蛍光体を塗布することができる。また、パルススプレー方式では、連続スプレー方式に比べて、ノズルからのスラリーの噴出速度を低減することなく、エアの風速を低減することができる。このため、塗布面に良好にスラリーを供給することができ、かつ、塗布されたスラリーがエア流によって乱されない。その結果、蛍光体の粒子と発光素子の表面との密着性が高い塗布膜を形成することができる。また、粒子状の蛍光体を含む薄膜の粒子層を複数の積層数で形成することができる。このように、積層数を制御することによって、その厚さの精度を向上させることができる。また、蛍光体の分布の偏りを抑制することができ、均一に波長変換した光を出射させることができ、発光素子の色むら等の発生を回避することができる。
パルススプレー法は、例えば、特開昭61−161175号公報、特開2003−300000号公報及びWO2013/038953号公報に記載された公知の方法であり、適宜、その使用材料、条件等を調整することができる。例えば、塗布されるスラリーは、溶剤と、熱硬化性樹脂と、粒子状の蛍光体とが含有される。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂などを用いることができる。溶剤としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、アセトン、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤を用いることができる。蛍光体は、例えば、10〜80重量%で使用することが好ましい。スラリーは、0.01〜1000mPa・s程度に調整することが好ましく、0.1〜100mPa・s程度がより好ましい。
透光性部材の厚さは特に限定されるものではなく、例えば、1〜300μm程度が挙げられ、1〜100μm程度が好ましく、2〜60μm程度、5〜40μm程度がより好ましい。なかでも、スプレー法によって積層する場合には、透光性部材は、窒化物半導体積層体の全厚さの20倍以下の厚さであることが好ましく、10倍以下がより好ましく、6倍以下、4倍以下、3倍以下がさらに好ましい。このような厚さとすることにより、光の波長変換を十分に行いながら、より小型で薄膜の発光装置を提供することができる。別の観点から、透光性部材は、発光素子の側面における封止部材の厚さの2倍以下の厚さを有することが好ましく、最小幅の2倍以下とすることがより好ましく、同等以下がさらに好ましい。このような比較的薄い厚さとすることにより、後述するように、封止部材での被覆の有無にかかわらず、発光素子から出射される光を、透光性部材の端面(側面)から出射させることなく、光取り出し面の1方向にのみ、光を取り出すことができる。よって、光取り出し効率を向上させることができる。
特に、バックライト用途においては、このような比較的薄い厚さの透光性部材は、発光素子の発光効率及びバックライトの発光効率をより高めることができる。例えば、上述したように、正面光に対する側面光の割合を減らすことができ、バックライトの導光板への入光効率を高めることができる。また、樹脂量を少なくすることができるので、熱放射率の比較的低い透明樹脂の割合を低減することができ、蓄熱を減らすことができる。同時に発光素子と蛍光体又は蛍光体同士の接触面積を増やすことができるため、伝熱経路を確保できる。よって、放熱性を改善して、発光効率を改善することができる。さらに、発光素子表面から導光板入光までの距離を最小にすることができるため、より高輝度でバックライトの導光板に入光させることができ、バックライトでの発光効率を高めることができる。
透光性部材の上面(光取り出し面)は平面であってもよく、配光を制御するために、その上面(光取り出し面)及び/又は発光素子と接する面を凸面、凹面等の凹凸面にしてもよい。上述したように、粒子状の蛍光体を含む複数の粒子層が積層されている場合には、蛍光体の粒径に対応した凹凸が、透光性部材の表面に引き継がれることとなる。これにより、蛍光体を含有する、薄い透光性部材を積層することで蛍光体の凝集を防止し、その脱落を防止しながら、樹脂を減らして適度な凹凸形状を得ることができる。その結果、光取出しに有効となる。つまり、透光性部材の変色又は寿命、放熱性を考慮すると、透光性部材のような樹脂含有部材は、接着強度等が維持できる限り薄い方が好ましい。その一方で透光性部材の脱落の懸念があった。しかし、樹脂を減らして適度な凹凸形状を得ることにより、これらの問題を解消することができる。
透光性部材は、発光素子が基体に実装される前に発光素子の上面に接着して、発光装置に設けられてもよい。特に、発光素子が、半導体層の成長用の基板が除去された半導体積層体によって構成される場合には、例えば、ガラス、セラミック等の硬質な透光性部材に接着又は固定されることによって発光素子の強度が高まり、ハンドリング性、発光素子の実装の信頼性等を高めることができる。
〔発光装置の寸法関係〕
本発明の発光装置は、別の観点から、例えば、図5A及び5Bに示すように、基体Mの上に搭載された発光素子部(発光素子、封止部材及び透光性部材を含む)Nにおいて、
基体Mの厚さ:E
基体Mの短手方向の長さ:A
基体Mと発光素子Nとの総高さ:B
発光素子部N(透光性部材Q)の短手方向の長さ:C(=F)
発光素子部N(透光性部材Q)の長手方向の長さ:D(=J)とした場合、
B≧A (1)
D≧C (2)
A≧C (3)
E≧A (4)を満たすことが好ましい。
これにより、本発明の発光装置の長手方向の側面を実装面とした場合(側面実装)、安定性を確保することができる。特に、(1)を満たすことにより、側面実装がしやすくなる。また、(2)を満たすことにより、側面実装をした場合に、より安定した構造となる。(3)を満たし、かつ、実装面と封止部材の長手方向の側面とを離間させることにより、実装時に半田が発光素子方向に侵入することを防止することができる。同時に、基体Mの長手方向の側面で実装基板に安定的に保持することができる。(4)を満たすことにより、安定した実装が可能となる。これら(1)〜(4)を組み合わせることによって、さらに安定した側面実装が可能となる。また、例えば、発光装置の基体にスルーホールを形成し、そこに比重の重い金属等を埋め込むことにより重心を偏心させることにより、側面実装を容易にしてもよい。さらに、半田フィレットの形状制御によって、半田の表面張力を利用して側面実装を確実にしてもよい。これらは、任意に1以上を組み合わせることができる。
また、図5Bに示すように、発光素子部Nの一部を構成する透光性部材Qにおいて、
透光性部材Qの厚さ:G
透光性部材Qの短手方向の長さ:F
透光性部材Qの長手方向の長さ:J
発光素子の上面の短手方向の長さ:H
発光素子の長手方向の長さ:I
封止部材の長手方向に延長する端面から発光素子の長手方向に延長する端面の幅:L
封止部材の短手方向に延長する端面から発光素子の短手方向に延長する端面の幅:Kとした場合、
側面発光面積:2×{G×(F+J)}
上面発光面積:F×Jであり、
G≦100μm、好ましくはG≦50μm (5)
F×J≧2×{G×(F+J)} (6)を満たすことが好ましい。
本発光装置は、主にサイドビュー型の発光装置で、特に液晶バックライトに用いられる導光板に光を入射させることができる。そのため、光の配光を制御し、正面輝度を上げることが重要である。従って、(6)を満たすことが好ましい。これにより発光装置の透光性部材の上面発光を強くすることができ、バックライト用として効率の良い発光を得ることができる。また、図5B中の点線で示す発光素子I×Hの直上のみを透光性部材とし、外周を遮光性の封止樹脂で封止することによって、より正面の光束が増し、導光板への入射効率を高めることができる。
さらに、図5Cに示すように、発光装置をバックライト用途に用いる場合、透光性部材10の上面を導光板75に接着させて使用する形態において、発光素子5の上面から導光板75への距離Rをより短くすることが好ましい。発光素子5の上面と導光板75との間の距離Rは、100μm程度以下であることが好ましく、40〜100μm程度がより好ましい。ただし、蛍光体を含有しない場合は、10μm程度以下であることが好ましい。この場合、透光性部材10の上面は、サファイア等の基板であってもよいし、サファイア等の基板又は窒化物半導体層をコーティングしたコーティング層であってもよい。なお、距離Rは、発光面の全ての部位において、上述した距離を満たすことが好ましい。発光素子5の上面に極めて薄い透光性部材10を配置する場合には、発光素子5上面と導光板75との間での光散乱を最小とすることができる。また、透光性部材10を、内部の光散乱が少ない量子ドット蛍光体又は透明の蛍光体板とすることにより、より一層上面の輝度を上げることができる。このように、発光素子5から導光板75の距離を小さくすることにより、導光板への光の入射効率を向上させることができる。
以下に本発明の発光装置の実施形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
<実施の形態1>
本実施形態の発光装置1は、図1A〜図1Cに示すように、基体4と、発光素子5と、封止部材7と、を含んで構成されている。基体4は、母材2と、接続端子3と、を有する。母材2は、長手方向と該長手方向に直交する短手方向を有する第1主面2aと、第1主面2aの反対側の第2主面2bと、長手方向に延びる第1端面2cと、短手方向に延びる第2端面2dと、を含む。接続端子3は、少なくとも正負一対あって、母材の第1主面2a上に設けられている。ここでは、接続端子3は、母材2の第1主面2aである上面、短手方向に延びる第2端面2d及び第2主面2bである下面に、母材2側からCu/Ni/Au(合計厚さ:20μm、線膨張係数:20ppm/℃程度)が積層されて構成されている。基体4は、長手方向の長さが1.8mm、短手方向の幅が0.3mm、厚さが0.45mmであり、配線基板として機能する。基体4の強度は、引っ張り試験機によって測定される値が300MPa以上である。
母材2は、市販のガラスクロスを含有するナフタレン系のエポキシ樹脂が含有されたBT樹脂組成物からなる(三菱瓦斯化学社製:HL832NSF typeLCA)。母材2は、ガラス繊維、球状シリカ、球状シリコーン、カーボンを含有する。母材2は、少なくとも後述する窪み部25がない状態において、直方体形状を有する。母材2(接続端子なしの状態)の線膨張係数は3ppm/℃程度であり、それを構成する樹脂のガラス転移温度は280℃程度である。
一対の接続端子3は、母材2の第1主面2a側の長手方向中央部において、互いに接近し、素子接続部として突出パターン3aを有する。突出パターン3aは、例えば銅からなる層(厚さ20μm)によって形成される。突出パターン3aは、例えばマスクを利用したメッキによって形成することができる。この突出パターン3aは、後述する発光素子5に形成されている一対の電極と対向する位置において、それらの大きさと同等の大きさである。一対の接続端子3は其々、素子接続部である突出パターン3aから長手方向に延びて、母材2の第1主面2aから第2端面2dを経て第2主面2bに連続して形成されている。接続端子3では、素子接続部である突出パターン3aから延長して母材2の第2主面2bに連続する部位(断面視U字状の部位)が外部接続部3bとなる(図1B参照)。接続端子3の長手方向に沿った縁部は、基体4の長手方向に沿った縁部に略一致している。接続端子3の長手方向に延びる端面は、基体4の長手方向に延びる端面と略同一面を形成している。
接続端子3は、突出パターン3aと外部接続部3bとの間において、幅狭となる部位を有する(図1C参照)。
母材の第1主面2a側において、基体4上の封止部材7の両側で、接続端子3の幅狭の部位の一部と外部接続部3bが封止部材7から露出されている。母材の第2主面2b側において、接続端子3が配置されていない部位に補強、放熱等のために、金属層3dが配置されている。この金属層3dの上を含む領域において、2つの絶縁性の膜8が形成されている。2つの絶縁性の膜8は、大きさが異なり、発光装置のアノード及びカソードを区別するマークとして機能させることができる。
基体の第1主面2a上には、発光素子5が搭載され、接続端子3に接続されている。より詳細には、接続端子3の突出パターン3aには、1つの発光素子5がフリップチップ実装されている。発光素子5は、サファイア基板(厚さ:150μm程度)上に窒化物半導体の積層体(厚さ:8〜12μm程度)が形成され、積層体のサファイア基板と反対側の表面に正負一対の電極を有する。発光素子5は、正負一対の電極が其々、基体4の一対の接続端子3の突出パターン3aに、Au−Sn共晶半田である溶融性の接合部材6(厚さ:20μm)によって接続されている。接合部材6は、突出パターン3aを略完全に被覆している。サファイア基板の表面は凹凸(高さ:0.5μm、ピッチ:10μm)を有しているため、窒化物半導体積層体の対応する面にも、これに起因する凹凸を有する。このような接続端子の突出パターン3aを利用することによって、発光素子5の実装時において、その形状及び位置と相まって、溶融性の接合部材6の量的なコントロールを行うことにより、意図しない領域への接合部材6の侵入を防止することができる。その結果、発光素子5を高精度にアライメントさせ、発光素子5を適所に固定することができる。
発光素子5は、長手方向の長さが0.9mm、短手方向の幅が0.2mm、厚さが0.15mmの直方体状の青色発光(発光ピーク波長455nm)のLEDチップである。発光素子5は、その側面の表面粗さRaが1.0μm以下である。
封止部材7は、長手方向の長さ(全長)が1.2mm、短手方向の幅(全長)が0.3mm、厚さが0.15mmの略直方体状の外形に形成されている。つまり、封止部材7の長手方向に沿った縁部は其々、基体4の長手方向に沿った縁部と略一致している。封止部材7は、発光素子5に接し、その側面の全周に接触して被覆するように、基体4の第1主面に設けられている。また、封止部材7は、発光素子5の基体4と対向する面側にも設けられている。より詳細には、封止部材7は、接合部材6の表面(周囲)を略完全に被覆しており、さらに発光素子5と基体4の間に設けられている。これによって、発光素子5から上方に効率良く光を取り出すことができる。また、封止部材7が、発光素子5の基体4と対向する面側にも設けられていることによって、より強固に発光素子5を基体4に接続させることができる。封止部材7の上面は、発光素子5の上面と略一致している。
封止部材7は、平均粒径14μmのシリカと、無機粒子として平均粒径0.25〜0.3μmの酸化チタンと、を其々、封止部材7の全重量に対して、2〜2.5wt%及び40〜50wt%で含有するシリコーン樹脂によって形成されている。シリコーン樹脂のガラス転移温度は40℃であり、線膨張係数は50ppm/℃程度である。封止部材7の長手方向に沿った縁部は、基体4の長手方向に沿った縁部に略一致している。封止部材7の長手方向に延びる端面は、基体4の長手方向に延びる端面と略同一面を形成している。
発光素子5上、つまり、正負一対の電極と反対側の表面に透光性部材10(厚さ:20μm)が配置されている。この透光性部材10は、中心粒径が8μm程度のYAG:Ceの蛍光体を含有するシリコーン樹脂が、パルススプレー法によって、3層積層されて形成されたものである。透光性部材10は、封止部材7の上面を被覆している。透光性部材10の端面は、封止部材7の端面と略一致している。
このような発光装置は、発光素子を搭載する基体が、極めて線膨張係数が低いために、製造工程中及び後に負荷される熱による発光素子と基体との間の線膨張の差異を極めて低く抑えることができる。これによって、両者の線膨張差に起因する両者間の剥がれ又は発光素子への不要な応力負荷を防止することができ、電気的接続を確保することができる。その結果、寿命が長く、優れた特性を有する発光装置を得ることができる。
上述したように、基体を構成する母材は、250℃以上の高いガラス転移温度を有し、線膨張係数の小さい樹脂によって形成している。この樹脂に、SiO2、Al2O3、ガラスクロスなどの無機フィラーを、任意に、放熱性を有するカーボンブラック、弾性率を付与するシリコーンフィラー等を、高い割合で含有させている。これにより、発光素子の駆動で発生した熱を効率良く放熱することができる。特に、カーボンブラックなどで黒色に着色した母材に用いる場合には、遠赤外線などの放射率が高いため、熱放射により、効率的に放熱することができる。また、基体の封止部材と接する面側を熱吸収率の高い材料、可視域の電磁波の吸収率が低い材料、遠赤外線などの長波長の電磁波を吸収する材料、熱伝導率の高い材料で塗装する場合には、より放熱性を高めることができる。これによって、小型の発光装置の放熱性を改善し、蛍光体による光の波長変換効率を改善することができるとともに、発光素子の発光効率を改善することができる。
ここで、母材の第1端面2cは、第1主面2aと第2端面2dに連続する、及び/又は第2主面2bと第2端面2dに連続する、窪み部25を有している。窪み部25は、短手方向の深さdより長手方向の長さ(幅)wのほうが大きい。そして、接続端子3は、窪み部25上に延長して設けられている。なお、窪み部25は、母材2の長手方向の両側に其々設けられているが、一方の側についてのみ言及し、他方の側も同様として説明を省略する。
このように、窪み部25を形成することにより、基体4の分割端面である第1端面2c側に接続端子3(外部接続部3b)を延長して設けることができる。ひいては、基体4の半田接合面積を増大させ、発光装置1の半田接合強度を高めることができる。また、加えて、窪み部25を、母材2の長手方向に長く、母材2の短手方向に短く(浅く)形成することにより、基体の(特に端部の)機械的強度を維持することができ、母材2の割れや欠けを抑制することができる。したがって、発光装置1は、薄型であっても、基体4の機械的強度を維持しながら、高い半田接合強度を得ることができる。
接続端子3は、第2端面2d上に延長して設けられている。これによって、発光装置1の側面に半田フィレットを形成することができ、発光装置1の半田接合強度をよりいっそう高めることができる。さらに、接続端子3は、第2端面2dを経て第2主面2b上に延長して設けられていると、なお良い。
窪み部25は、第1主面2aと第2主面2bに連続している。これによって、窪み部25と実装基板(後述する実装基板51)の間に溶融した半田を濡れ広がらせやすく、発光装置1の半田接合強度を高めやすい。このような形態は、後述する第2溝15bを第1主面2aから第2主面2bまで貫通させることで形成することができる。また、後述する第2溝15bを非貫通の溝とすることで、窪み部25は、第1主面2aと第2主面2bのいずれか一方のみに連続するように形成することもできる。このほか、後述する第2溝15bを例えば波線状など曲げて形成することで、窪み部25は、凹凸を有するように形成することもできる。窪み部25は、母材2の長手方向の両側に其々複数設けられてもよいが、母材2の長手方向の両端に1つずつ設けられることが好ましい。
窪み部25の短手方向の深さdは、例えば0.25mm以下であり、0.1mm以下であることが好ましく、0.05mm以下であることがより好ましい。窪み部25の短手方向の深さdがこのような範囲であれば、基体4の機械的強度を維持しやすく、母材2の割れや欠けを抑制しやすい。特に、窪み部25の短手方向の深さdが0.02mm以下であると、溶融した半田を、窪み部25と実装基板(後述する実装基板51)の間に、毛細管現象を利用して濡れ広がらせることができる。窪み部25の短手方向の深さdの下限値は、例えば0.005mm以上である。窪み部25の長手方向の長さwは、例えば0.05mm以上0.3mm以下であり、0.1mm以上0.25mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.2mm以下であることがより好ましい。また、窪み部25及びその上に延在する接続端子3は、封止部材7から離間していることが好ましい。
窪み部25の長手方向の長さwに対する短手方向の深さdの比は、0.5以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.2以下であることがよりいっそう好ましい。また、基体の母材2の短手方向の幅(最大幅)に対する窪み部25の短手方向の深さdの比は、0.5以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.2以下であることがよりいっそう好ましい。窪み部25をこのような形状に形成することにより、基体4の機械的強度を維持しやすく、母材2の割れや欠けを抑制しやすい。
基体の母材2の短手方向の幅(最大幅)は、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましく、0.3mm以下であることがよりいっそう好ましい。基体4の短手方向の幅がこのような範囲であれば、発光装置1を薄型に形成することができ、窪み部25が効果を奏しやすい。
窪み部25は、長手方向に延びる一対の端面の双方に設けられてもよいが、長手方向に延びる一対の端面のうちの一方にのみ設けられることが、基体4の機械的強度を維持する観点において好ましい。
この発光装置1は、図2に示すように、基体4の長手方向に延びる一対の端面と、封止部材7の長手方向に延びる一対の端面と、が其々、略同一面を形成するように配置されている。発光装置1は、これらの略同一面を形成する一方の端面を、発光装置1の実装面として、表面に配線パターン52を有する実装基板51上において、サイドビュー型で実装される。実装は、発光装置1の一対の外部接続部3bが其々、実装基板51の正極及び負極に対応する配線パターン52上に載置され、半田53により接合されることによりなされる。半田53は、U字状に屈曲した外部接続部3bにおいて、基体4の第1主面のみならず、第2端面及び第2主面にわたって、小型の接続端子3と接触している。これによって、発光装置1の側面に半田フィレットを形成することができ、発光装置1の放熱性及び実装安定性を向上させることができる。また、半田53は、窪み部25と実装基板51の間にも設けられ、窪み部25上に形成された接続端子3とも接触している。これによって、発光装置1と半田53との接触面積をさらに増大でき、発光装置1の放熱性及び実装安定性をよりいっそう向上させることができる。
また、接続端子3において、突出パターン3aと外部接続部3bとの間に幅狭となる部位を配置することにより、外部接続部3bに接続される半田53又はこれに含まれるフラックスなどが、封止部材7下に浸入するのを抑制することができる。
さらに、封止部材7の長手方向に延びる端面及び基体4の長手方向に延びる端面の双方が実装基板51の表面に接していることが、発光装置1の放熱性の向上などの観点から好ましい。
このような発光装置1は、図3A〜図3Cに示すように、母材12に複合接続端子13が形成された複合基体14を用いて製造することができる。この複合基体14は、個片化工程後に各発光装置の基体となるものが複数個連なって構成されている。この複合基体14は、母材12において、第1溝15aと第2溝15bを有している。ここでは、第1溝15aと第2溝15bは、母材12の上面から下面(裏面)に及ぶ貫通溝(スリット)である。第1溝15a及び第2溝15bは、エンドミルなどによる機械的切削、レーザ照射、金型成形、予備成形シートの積層・焼結などにより形成することができる。第1溝15aは、複合基体14上において縦方向に延長する直線状の溝であって、互いに略平行に複数設けられている。第1溝15aの内壁は、個片化工程後に、各発光装置の基体の第2端面2dを構成するようになる。第2溝15bは、複合基体14上において横方向に延長する直線状の溝であって、互いに略平行に複数設けられている。第2溝15bは、第1溝15aに連続して設けられている。より詳細には、第2溝15bは、第1溝15aに略垂直に交差している。第2溝15bの内壁は、個片化工程後に、各発光装置の基体の第1端面2cの窪み部25を構成するようになる。第2溝部15bは、例えば、上面視において一方向に長い矩形状(角は丸みを帯びていてもよい)に設けられる。第2溝15bは、第1溝15aより幅が小さいことが好ましい。また、第2溝15bは、加工精度に優れるレーザ照射により形成されることが好ましい。そして、複合接続端子13は、この第1溝15aと第2溝15bの内壁にも設けられている。また、複合接続端子13は、この第1溝15aと第2溝15bの内壁を通って、複合基体14の母材12の上面から下面に連続して設けられていることが好ましい。なお、図3A〜図3Cでは、18個の発光装置を得る複合基体14を表しているが、生産効率を考慮して、より多数(数百〜数千個)の発光装置を得る複合基体14とすることができる。
このような複合基体14上に、発光素子5を接続し、発光素子5の端面を被覆するよう、複数の封止部材17を一括でトランスファー成型により成形する。その後、封止部材から露出している複合基体14の上面をマスクして、封止部材17の上面から露出した発光素子5の上面及び封止部材17の上面を、例えばパルススプレー法によって、透光性部材10で被覆する。その後、複合基体14と封止部材17とを分割予定線Lに沿って一方向(横方向)に切断する。これによって、第1溝15aの配置により、第1溝15aの延長方向にも分離され、比較的少ない工数で個片化した発光装置を得ることができる。切断の工具には、ダイサー、レーザなどを用いることができる。なお、このとき、図3(a)及び(c)に示すように、第2溝15b上に通って複合基体14を切断するが、第2溝15bの内壁の一部及びその上に設けられた複合接続端子13が個片化後の各発光装置に残るように複合基体14を切断する。例えば、分割予定線Lを第2溝15bの中央線からずらす、及び/又は第2溝15bの幅より小さい厚さ(切削幅)の切断工具を使用する、などすればよい。また、本実施の形態では、透光性部材10を発光素子5の上面から封止部材17の上面にかけてパルススプレー法により形成しているが、発光素子5の上面にのみ透光性部材10を形成してもよい。また、発光素子5と平面視において略同じ形状の板状の透光性部材10を発光素子5の上面に接着し、発光素子5及び透光性部材10の端面を被覆するよう封止部材17を形成してもよい。
<実施の形態2>
本実施形態の発光装置21は、図4A〜図4Cに示すように、接続端子23を有する基体24と、複数の発光素子5と、封止部材27とを含んで構成されている。接続端子23は、母材22の長手方向の両側において、上面、端面及び下面に延長して配置されている。また、母材22の上面においては、複数の発光素子5を、例えば、直列接続し得る端子29がさらに配置されている。基体24の一面上において、接続端子23及び端子29は、素子接続部として突出パターン23aをそれぞれ有しており、この突出パターン23a上において発光素子5が溶融性の接合部材6によってフリップチップ実装されている。
発光素子5は、複数が一列に整列して配置されている。なお、一列のみならず、行列方向に配置されていてもよい。
母材22は、2つの発光素子5の間つまり長手方向の略中央に、スルーホールを有している。端子29は、このスルーホールを埋め込み、母材22の第2主面2b上に外部接続部23b(第2の外部接続部)を形成している。このような第2の外部接続部23bは、発光装置21の半田接合強度の増大させるほか、放熱用の端子としても機能する。また、母材22の第2主面2b上には、2つの絶縁性の膜8が形成されている。
封止部材27は、これら複数の発光素子5を一体的に封止している。封止部材27の長手方向に延びる端面は、基体24の長手方向に延びる端面と略同一面を形成している。封止部材27の短手方向に沿った縁部は、基体24の内側に配置されている。
上述した構成以外は実質的に実施の形態1と同様の構成を有する。よって、実施の形態1と同様の効果を示す。さらに、この発光装置は、線状又はマトリクス状のサイドビュー型の発光装置として利用することができる。従って、この発光装置は、個々のサイドビュー型の発光装置を、それぞれ実装基板に実装することと比較して、実装精度を向上させることができる。また、例えば、バックライト光源として、導光板とのアライメント性を向上させることができる。
このように、発光素子5が複数搭載される場合には、基体24がより長尺に形成されやすくなるが、上述のような窪み部25であれば、基体24の機械的強度を維持しながら、半田接合強度を高めることができる。
以上、窪み部25が第2端面2dに連続する例について示したが、変形例として、基体の母材2の第1端面2cに設けられる窪み部が、第1主面2a及び/又は第2主面2bには連続するが、第2端面2dから離間して設けられ、接続端子が窪み部上に延長して設けられる形態が挙げられる。これによって、基体の母材2の角が切り欠かれず、基体の長手方向の端部が薄肉になるのを回避しながら、発光装置の半田接合強度を高めることができる。また、発光装置が立って実装されてしまうこと(マンハッタン現象)を抑制することができる。この場合も、窪み部は、短手方向の深さより長手方向の長さのほうが大きいことが好ましく、また上述の窪み部25に係る他の好ましい形態についても同様に好ましいが、それらに限定はされない。この形態の製造方法としては、第2溝15bを第1溝15aから離間して設ければよい。