JP6404778B2 - 接合体、及びそれを有する車両用フロントピラー組立体 - Google Patents

接合体、及びそれを有する車両用フロントピラー組立体 Download PDF

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Description

本発明は、2つの部材の接合領域を重ねて配置し、かつこれらの接合領域を溶接により形成される溶接部分を用いて接合した接合体に関する。さらに、本発明は、このような接合体を有する車両用フロントピラー組立体に関する。
工業製品等においては、2つの部材、特に、2つの金属製の板材を溶接により接合した接合体が広く用いられている。接合体には、多くの場合、各部材の周縁領域に沿って延びる接合領域としてフランジが形成され、これらフランジが、互いに重ねられた状態で、溶接により形成される溶接部分を用いて接合されている。
このような接合体には、接合強度、特に、フランジ等の接合領域の強度を高めることが求められる。そのため、接合強度を高めるべく種々の接合体が提案されており、かかる接合体の一例として、線溶接により形成される線状の溶接部分を用いて2つの部材の接合領域を接合する接合体において、溶接後の接合領域における線状の溶接部分の軟化部に対応してプレス加工を施すことによって、軟化部を硬化させた接合体が提案されている。(例えば、特許文献1を参照。)
特開2010−82685号公報
しかしながら、上記接合体の一例では、接合領域における溶接部分の軟化部に対応してプレス加工を施すことは難しく、接合体の作製が難しくなっている。また、接合体の一例における加工硬化は、溶接後の接合領域をプレス加工することが困難な接合体には適用できなくなっている。これらのことは問題である。
本発明は、上記実情を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、接合強度を効率的に高めることができ、容易に作製することができ、かつ接合領域の溶接前に加工硬化を施すことができる接合体を提供することにある。また、本発明の目的は、接合強度を効率的に高めることができ、容易に作製することができ、かつ接合領域の溶接前に加工硬化を施すことができる車両用フロントピラー組立体を提供することにある。
課題を解決するために、本発明の一態様に係る接合体によれば、2つの部材を備え、該2つの部材のそれぞれが、その周縁領域に沿って延びる接合領域を含んでおり、前記2つの部材の接合領域が重ねて配置され、かつ溶接により形成される溶接部分を用いて接合されている、接合体であって、前記接合領域の先端縁が前記接合領域の長手方向に直交する幅方向の一方に位置し、前記接合領域が、前記先端縁及び一方仮想線の一方仮想交差部に位置すると共に加工硬化された一方硬化部であって、前記一方仮想線が、前記溶接部分の長手方向一方端部を通って前記溶接部分から長手方向にて離れながら前記先端縁に向かうと共に幅方向に対して40°以上かつ50°以下の傾斜角度にて延びる直線として定義されている、一方硬化部と、前記先端縁及び他方仮想線の他方仮想交差部に位置すると共に加工硬化された他方硬化部であって、前記他方仮想線が、前記溶接部分の長手方向他方端部を通って前記溶接部分から長手方向にて離れながら前記先端縁に向かうと共に幅方向に対して40°以上かつ50°以下の傾斜角度にて延びる直線として定義されている、他方硬化部と、前記先端縁及び中央仮想線の中央仮想交差部に位置すると共に加工硬化された中央硬化部であって、前記中央仮想線が、前記溶接部分の長手方向の中心を通って幅方向に延びる直線として定義されている、中央硬化部とを有し、さらに、前記一方、他方、及び中央硬化部が、前記先端縁、前記溶接部分、一方境界線、及び他方境界線によって囲まれる硬化領域に位置しており、前記一方境界線が、前記一方仮想線に対して前記溶接部分の長手方向一方端部を中心として長手方向の一方に10°の傾斜角度にて傾けた直線として定義され、前記他方境界線が、前記他方仮想線に対して前記溶接部分の他方端部を中心として長手方向の他方に10°の傾斜角度にて傾けた直線として定義されており、前記一方、他方、及び中央硬化部における硬度が前記硬化領域の周辺の部分における硬度よりも高くなっている。かかる構成について、接合領域に幅方向の他方から一方に向かう荷重が加えられた場合、先端縁、溶接部分、一方境界線、及び他方境界線によって囲まれた硬化領域ではひずみが大きくなる傾向にあり、特に、一方、他方、及び中央仮想交差部ではひずみが大きくなる傾向にある。これに対して、一方、他方、及び中央仮想交差部がそれぞれ加工硬化されて、一方、他方、及び中央硬化部が形成されているので、硬化領域内で一方、他方、及び中央仮想交差部のひずみを低減することができる。ひいては、一方、他方、及び中央仮想交差部を起点として破断が発生することを防止できる。また、一方、他方、及び中央仮想交差部を加工硬化することは容易であり、このような加工硬化は接合領域を溶接する前に行うことができる。よって、接合体の接合強度を効率的に高めることができ、接合体を容易に作製することができ、かつ接合領域の溶接前に加工硬化を施すことができる。
本発明の一態様に係る接合体によれば、(A)前記硬化領域が、前記先端縁、前記一方及び他方境界線、並びに中心境界線によって囲まれた範囲にさらに限定され、前記中心境界線が、前記溶接部分の幅方向一方端及び前記先端縁間における幅方向の中心を通って長手方向に沿って延びる直線として定義されてもよい。かかる構成について、接合領域に幅方向の他方から一方に向かう荷重が加えられた場合、先端縁、一方及び他方境界線、並びに中心境界線によって囲まれるように限定された硬化領域ではひずみがさらに大きくなる傾向にある。これに対して、限定された硬化領域に一方、他方、及び中央硬化部が形成されるので、このような硬化領域内でひずみを効率的に低減することができる。よって、接合体の接合強度を効率的に高めることができる。
また、上記(A)に係る接合体に代わって、本発明の一態様に係る接合体によれば、(B)前記硬化領域が、前記先端縁及び円弧境界線によって囲まれた範囲にさらに限定され、前記円弧境界線が、前記先端縁及び前記一方境界線の一方境界交差部、前記先端縁及び前記他方境界線の他方境界交差部、並びに前記溶接部分の幅方向一方端及び前記先端縁間の部分を通って延びる円弧線として定義されてもよい。かかる構成について、接合領域に幅方向の他方から一方に向かう荷重が加えられた場合、先端縁及び円弧境界線によって囲まれるように限定された硬化領域ではひずみがさらに大きくなる傾向にある。これに対して、限定された硬化領域に一方、他方、及び中央硬化部が形成されるので、このような硬化領域内でひずみを効率的に低減することができる。よって、接合体の接合強度をさらに効率的に高めることができる。
本発明の一態様に係る接合体によれば、前記溶接部分がスポット溶接により形成されていると好ましい。かかる構成については、溶接部分を形成するために、該溶接部分のひずみを小さくすることができるスポット溶接が用いられているので、溶接部分の強度を効率的に高めることができる。よって、接合体の接合強度をさらに効率的に高めることができる。
本発明の別の一態様に係るに係る車両用フロントピラー組立体によれば、車体の車両幅方向の側部に設けられる車両用フロントピラー組立体であって、上記一態様に係る接合体を備え、前記2つの部材のうち1つである第1の部材が車両上下方向に沿って配置され、前記2つの部材のうち別の1つである第2の部材が、前記第1の部材に対して車両幅方向の中央側にて車両上下方向に沿って配置され、前記第1及び第2の部材の接合領域が前記接合体の車両前後方向の後端部に位置しており、前記接合体の車両前後方向の前端部にフレーム部材が取り付けられ、前記接合体及び前記フレーム部材の取付部の高さが車両上下方向にて前記溶接部分の高さに対応している。そのため、フレーム部材から加えられる荷重に対して、車両用フロントピラー組立体における接合体の接合強度を効率的に高めることができる。また、車両用フロントピラー組立体に、上述のような接合体が用いられるので、かかる車両用フロントピラー組立体もまた容易に作製することができ、かつ接合領域の溶接前に加工硬化を施すことができる。
本発明の一態様に係る接合体は、接合体の接合強度を効率的に高めることができ、接合体を容易に作製することができ、かつ接合領域の溶接前に加工硬化を施すことができる。本発明の別の一態様に係る車両用フロントピラー組立体は、接合体の接合強度を効率的に高めることができ、接合体を容易に作製することができ、かつ接合領域の溶接前に加工硬化を施すことができる。
本発明の第1実施形態に係る接合体を概略的に示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る接合体を概略的に示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係る接合体を分解すると共に図2のA−A線に沿って切断した状態で示す拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る接合体を概略的に示す正面図である。 本発明の第3実施形態に係る接合体を概略的に示す正面図である。 本発明の第4実施形態に係るフロントピラー組立体を含む車体を概略的に示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係るフロントピラー組立体及びその周辺部を概略的に示す斜視図である。 図7のフロントピラー組立体及びその周辺部を、サイドアウターパネルを取外した状態で概略的に示す斜視図である。 図7のフロントピラー組立体及びその周辺部を、サイドアウターパネル及びヒンジリンフォースメントを取り外した状態で概略的に示す斜視図である。 図7のB−B線拡大断面図である。 実施例の曲げ試験を説明するための斜視図である。 実施例にて用いられる接合体を概略的に示す正面図である。 実施例の曲げ試験時における接合体のフランジのひずみ分布図である。 比較例にて用いられる接合体を概略的に示す正面図である。 比較例の曲げ試験時における接合体のフランジのひずみ分布図である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る接合体について説明する。なお、本実施形態に係る接合体は、工業製品等の構造体として適用可能である。図1に示すように、本実施形態に係る接合体は、互いに接合される2つの部材として第1及び第2の部材11,12を有している。第1及び第2の部材11,12は同種の金属材料によって作製されている。
第1及び第2の部材11,12は、それぞれ、周縁領域11a,12aに沿って延びる接合領域として略板形状のフランジ13,14を有している。ここでは、周縁領域11a,12aは略直線形状に延びるように形成されており、このような周縁領域11a,12aに対応してフランジ13,14もまた略直線形状に延びている。
フランジ13,14は、第1及び第2の部材11,12の構成材料を曲げることによって形作られて、周縁領域11a,12aから立ち上がっている。そのため、フランジ13,14の先端縁15,16は、該フランジ13,14の長手方向に直交する幅方向の一方にて終端するように形成されている。その一方で、フランジ13,14の基端縁17,18は幅方向の他方に位置し、これらの基端縁17,18がそれぞれ周縁領域11a,12aに接続されている。
このようなフランジ13,14が、該フランジ13,14の厚さ方向に互いに重なった状態で、溶接により形成される複数の溶接部分19を用いて接合される。フランジ13,14を互いに接合した状態(以下、「接合状態」という)においては、第1及び第2の部材11,12の周縁領域11a,12aが、互いに、フランジ13,14を起点としてフランジ13,14の重ね方向の反対側を向くように配置されている。また、接合状態においては、第1及び第2の部材11,12におけるフランジ13,14の先端縁15,16が互いに略一致していると好ましく、これらのフランジ13,14が、互いに対して重ね方向にて略対称になっていると好ましい。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、接合体が以下のように構成されていてもよい。接合体が、互いに接合される2つ以上の部材を有していればよく、例えば、接合体が、互いに接合される3つの部材として、第1及び第2の部材、並びに第1及び第2の部材間に位置する第3の部材を有していてもよい。この場合、第1、第2、及び第3の部材の接合領域が互いに重なって配置され、かつ溶接部分を用いて3枚接合されるとよい。2つ以上の部材のうち少なくとも1つの部材は、それらのうち他の部材とは異なる種類の金属によって作製されていてもよい。2つ以上の部材における周縁領域は略円弧形状に延びるように形成されていてもよい。接合領域もまた周縁領域に対応して略円弧形状に延びるように形成されていてもよい。2つ以上の部材のうち少なくとも1つの部材が曲げられずに、その接合領域の表面が周縁領域の表面と同方向に延びるように形成されてもよい。接合状態において、2つ以上の部材のうち少なくとも1つの部材における周縁領域は、それらのうち他の部材における周縁領域に対して、接合領域を起点として重ね方向の同じ側及び反対側のいずれを向くように配置されてもよい。2つ以上の部材における接合領域は、長手方向に間隔を空けて配置される複数の溶接部分を用いて接合されてもよい。また、互いに重なった接合領域は、溶接部分に加えて接着剤を用いて接合されてもよい。
次に、フランジ13,14の詳細について説明する。なお、当該説明にて参照する図2では、第1の部材11が示される一方で、第2の部材12は第1の部材11によって隠れている。しかしながら、第1及び第2の部材11,12のフランジ13,14は、互いに対して重ね方向にて略対称になっているので、図2においては、第2の部材12の構成要素の符号を、括弧によりくくりながら、それに対応する第1の部材11における構成要素の符号に併記して示す。なお、後述の説明にて参照する図4、図5、図14、及び図16の符号もまた図2の符号と同様に示す。
図2に示すように、フランジ13,14は、加工硬化された一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cを有している。一方硬化部13a,14aは、先端縁15,16及び一方仮想線L1,L2(二点鎖線により示す)を交差させた一方仮想交差部に位置し、他方硬化部13b,14bは、先端縁15,16及び他方仮想線M1,M2(二点鎖線により示す)を交差させた他方仮想交差部に位置し、中央硬化部13c,14cは、先端縁15,16及び中央仮想線N1,N2(二点鎖線により示す)を交差させた中央仮想交差部に位置する。なお、一方仮想線L1,L2は、溶接部分19の長手方向一方端部19aを通って溶接部分19から長手方向にて離れながら先端縁15,16に向かうと共に、中央仮想線N1,N2に対して所定の傾斜角度θ1,θ2にて延びる直線として定義される。他方仮想線M1,M2は、溶接部分19の長手方向他方端部19bを通って溶接部分19から長手方向にて離れながら先端縁15,16に向かうと共に、中央仮想線N1,N2に対して所定の傾斜角度φ1,φ2にて延びる直線として定義される。中央仮想線N1,N2は、溶接部分19の長手方向の中心を通って幅方向に延びる直線として定義される。これらの傾斜角度θ1,θ2,φ1,φ2は約45°であると好ましいが、寸法誤差、ひずみ分布の誤差等を考慮すると、傾斜角度θ1,θ2,φ1,φ2は約40°以上かつ約50°以下の範囲内にあるとよい。
さらに、一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cは、先端縁15,16、溶接部分19、一方境界線P1,P2(一点鎖線により示す)、及び他方境界線Q1,Q2(一点鎖線により示す)によって囲まれる硬化領域H1,H2に位置している。なお、一方境界線P1,P2は、一方仮想線L1,L2に対して溶接部分19の長手方向一方端部19aを中心として長手方向の一方に所定の傾斜角度ψ1,ψ2傾けた直線として定義される。他方境界線Q1,Q2は、他方仮想線M1,M2に対して溶接部分19の長手方向他方端部19bを中心として長手方向の一方に所定の傾斜角度ω1,ω2傾けた直線として定義される。これらの傾斜角度ψ1,ψ2,ω1,ω2は、一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cを硬化領域H1,H2に位置させるように定められるとよく、ひずみ分布の誤差等を考慮すると、傾斜角度ψ1,ψ2,ω1,ω2は約10°であると好ましい。
これらの一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cにおける硬度は、硬化領域H1,H2の周辺の部分における硬度よりも高くなっている。あくまでも一例であるが、硬化領域H1,H2の周辺の部分は、硬化領域H1,H2に対して長手方向の一方及び他方にそれぞれ隣接する一方周辺部13d,14d及び他方周辺部13e,14eとして定義されるとよい。具体的には、一方周辺部13d,14dは、一方境界線P1,P2と、一方境界交差部から幅方向に沿って延びる一方周辺境界線V1,V2(一点鎖線により示す)との間に位置しているとよく、他方周辺部13e,14eは、他方境界線Q1,Q2と、他方境界交差部から幅方向に沿って延びる他方周辺境界線W1,W2(一点鎖線により示す)との間に位置しているとよい。
このような一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cは互いに接続されて一体に形成されている。一体の硬化部13a〜13c,14a〜14cの外周縁は硬化領域H1,H2の境界線に略一致しており、一体の硬化部13a〜13c,14a〜14cの外周縁は略台形状に形成されている。
また、加工硬化については、図3にて破線により示すように、フランジ13,14における硬化部13a〜13c,14a〜14cに対応する部分を重ね方向に膨出させるように曲げ加工した後、曲げ加工された部分を元の状態に戻すように再び曲げ加工するプロセスを少なくとも1回実施する手法が用いられる。このような加工硬化によって、一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cが形成される。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、フランジが以下のように構成されていてもよい。第1及び第2の部材のうち一方のフランジにのみ一方、他方、及び中央硬化部が形成されてもよい。一体に形成された一方、他方、及び中央硬化部の外周縁が硬化領域の境界線に略一致していなくてもよい。この場合、一体の硬化部の外周縁は略台形状に形成することも可能であるが、一体の硬化部の外周縁が、略台形状以外の形状、例えば、略半円形状、略半楕円形状、略扇形状、略台形状以外の略多角形状等に形成されてもよい。一方、他方、及び中央硬化部のうち1つが、これらの硬化部のうち一体に形成された別の2つと離れて形成されてもよく、一方、他方、及び中央硬化部が互いに離れて形成されていてもよい。一方、他方、及び中央硬化部に加えて、硬化領域に、さらなる硬化部が形成されていてもよい。加工硬化については、塑性変形することによって金属材料を硬化できるのであれば、上記以外の手法が用いられてもよく、例えば、加工硬化において、硬化部に対応する部分を重ね方向に膨出させるように曲げ加工した状態が維持されてもよい。この場合、硬化部は絞り形状に形成されることとなる。また、加工硬化として、鍛造、ショットピーニング等が用いられてもよい。
溶接部分19の詳細について説明する。図2に示すように、溶接部分19は、スポット溶接により形成されており、フランジ13,14の表面上で略円形状に形成されている。あくまでも一例であるが、溶接部分19に対して長手方向両側のうち少なくとも一方に間隔を空けて別の溶接部分が形成される場合、溶接部分19及び別の溶接部分間における長手方向の間隔は、溶接部分19及び一方又は他方仮想交差部間における長手方向の間隔の2倍以上となっていると好ましい。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、溶接部分が以下のように構成されていてもよい。溶接部分はスポット溶接以外の溶接によって形成されてもよい。スポット溶接以外の溶接としては、例えば、ガス溶接、アーク溶接、エレクトロスラグ溶接、電子ビーム溶接、レーザービーム溶接等の融接、摩擦撹拌接合等が挙げられる。さらに、スポット溶接以外の溶接のうち抵抗溶接としては、例えば、シーム溶接、パルセーション溶接、プロジェクション溶接、高周波抵抗溶接等が挙げられる。このような溶接の種類に応じて、溶接部分は、接合領域の表面上で、略円形状以外の形状に形成されてもよく、例えば、略楕円形状、略細長形状等に形成されてもよい。
本実施形態に係る接合体の製造方法について説明する。最初に、第1及び第2の部材11,12のそれぞれにフランジ13,14を形作る。次に、各フランジ13,14における一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cに対応する部分を重ね方向に膨出させるように曲げ加工し、その後、曲げ加工された部分を元の状態に戻す。その結果、各フランジ13,14に、加工硬化された部分として、一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cが形成される。
このような第1及び第2の部材11,12のフランジ13,14を、互いの硬化部13a〜13c,14a〜14cを略一致させるように重ね合わせる。重ね合わされたフランジ13,14にスポット溶接を施して、スポット溶接により形成された溶接部分19を用いてフランジ13,14を接合する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、フランジを接合した後に、接合状態のフランジに加工硬化を施すことも可能である。
本実施形態に係る接合体において得られる効果について説明する。本実施形態に係る接合体においては、図2に示すように、フランジ13,14の基端部分17,18の長手方向にて溶接部分19に対応する位置に、幅方向の他方から一方に向かう荷重Fが加えられた場合、先端縁15,16、溶接部分19、一方境界線P1,P2、及び他方境界線Q1,Q2によって囲まれた硬化領域H1,H2ではひずみが大きくなる傾向にあり、特に、一方、他方、及び中央仮想交差部ではひずみが大きくなる傾向にある。これに対して、一方、他方、及び中央仮想交差部が加工硬化されて、一方硬化部13a,14a、他方硬化部13b,14b、及び中央硬化部13c,14cが形成されるので、硬化領域H1,H2内で一方、他方、及び中央仮想交差部のひずみを低減することができる。ひいては、一方、他方、及び中央仮想交差部を起点として破断が発生することを防止できる。また、一方、他方、及び中央仮想交差部を加工硬化することは容易であり、このような加工硬化はフランジ13,14を溶接する前に行うことができる。よって、接合体の接合強度を効率的に高めることができ、接合体を容易に作製することができ、かつフランジ13,14の溶接前に加工硬化を施すことができる。
本実施形態に係る接合体においては、溶接部分19を形成するために、該溶接部分19のひずみを小さくすることができるスポット溶接が用いられるので、溶接部分19の強度を効率的に高めることができる。よって、接合体の接合強度をさらに効率的に高めることができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る接合体について説明する。図4に示すように、本実施形態に係る接合体における第1及び第2の部材21,22は、それぞれ第1実施形態における第1及び第2の部材11,12に相当する。これら第1及び第2の部材21,22のフランジ23,24が、それぞれ第1実施形態における第1及び第2の部材11,12のフランジ13,14に相当する。
フランジ23,24の先端縁25,26は、第1実施形態と同様に、それぞれフランジ23,24の幅方向の一方にて終端するように形成されている。フランジ23,24の基端縁27,28は、第1実施形態と同様に、それぞれ、フランジ23,24の幅方向の他方に位置し、かつ第1及び第2の部材21,22の周縁領域21a,22aに接続されている。このようなフランジ23,24が、該フランジ23,24の厚さ方向に互いに重なった状態で、第1実施形態と同様の溶接部分29を用いて接合される。
フランジ23,24においては、第1実施形態と同様に、一方仮想線L1,L2、他方仮想線M1,M2、中央仮想線N1,N2、一方境界線P1,P2、及び他方境界線Q1,Q2が定義される。フランジ23,24は、第1実施形態と同様に加工硬化される一方硬化部23a,24a、他方硬化部23b,24b、及び中央硬化部23c,24cを有している。一方硬化部23a,24aは、先端縁25,26及び一方仮想線L1,L2を交差させた一方仮想交差部に位置し、他方硬化部23b,24bは、先端縁25,26及び他方仮想線M1,M2を交差させた他方仮想交差部に位置し、中央硬化部23c,24cは、先端縁25,26及び中央仮想線N1,N2を交差させた中央仮想交差部に位置している。
さらに、これらの一方硬化部23a,24a、他方硬化部23b,24b、及び中央硬化部23c,24cは、先端縁25,26、一方境界線P1,P2、他方境界線Q1,Q2、及び中心境界線R1,R2(一点鎖線により示す)によって囲まれる硬化領域H3,H4に位置している。なお、中心境界線R1,R2は、溶接部分29の幅方向一方端29c及び先端縁25,26間における幅方向の中心を通って長手方向に沿って延びる直線として定義される。
一方硬化部23a,24a、他方硬化部23b,24b、及び中央硬化部23c,24cにおける硬度は硬化領域H3,H4の周辺の部分における硬度よりも高くなっている。あくまでも一例であるが、硬化領域H3,H4の周辺の部分は、一方周辺部23d,24d、他方周辺部23e,24e、及び中央周辺部23f,24fによって定義されるとよい。第1実施形態と同様に、一方周辺部23d,24dは一方境界線P1,P2及び一方周辺境界線V1,V2間に位置し、他方周辺部23e,24eは他方境界線Q1,Q2及び他方周辺境界線W1,W2間に位置する。また、中央周辺部23f,24fは、溶接部分29、一方境界線P1,P2、他方境界線Q1,Q2、及び中心境界線R1,R2によって囲まれている。
このような一方硬化部23a,24a、他方硬化部23b,24b、及び中央硬化部23c,24cは互いに接続されて一体に形成されている。一体の硬化部23a〜23c,24a〜24cの外周縁は硬化領域H3,H4の境界線に略一致しており、一体の硬化部23a〜23c,24a〜24cの外周縁は略台形状に形成されている。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、フランジに形成される硬化部は以下のように構成されてもよい。第1及び第2部材のうち一方のフランジにのみ一方、他方、及び中央硬化部が形成されてもよい。一体に形成された一方、他方、及び中央硬化部の外周縁が硬化領域の境界線に略一致していなくてもよい。この場合、このような硬化部の外周縁は略台形状に形成することも可能であるが、硬化部の外周縁が、略台形状以外の形状、例えば、略半円形状、略半楕円形状、略扇形状、略台形状以外の略多角形状等に形成されてもよい。一方、他方、及び中央硬化部のうち1つが、これらの硬化部のうち一体に形成された別の2つと離れて形成されてもよく、一方、他方、及び中央硬化部が互いに離れて形成されていてもよい。一方、他方、及び中央硬化部に加えて、硬化領域に、さらなる硬化部が設けられていてもよい。
本実施形態に係る接合体の製造方法は第1実施形態と同様である。本実施形態に係る接合体において得られる効果は基本的には第1実施形態と同様であるが、かかる効果は以下の点で異なる。図4に示すように、フランジ23,24の基端部分27,28の長手方向にて溶接部分29に対応する位置に、幅方向の他方から一方に向かう荷重Fが加えられた場合、先端縁25,26、一方境界線P1,P2、他方境界線Q1,Q2、及び中心境界線R1,R2によって囲まれるように限定された硬化領域H3,H4ではひずみがさらに大きくなる傾向にある。これに対して、限定された硬化領域H3,H4に一方硬化部23a,24a、他方硬化部23b,24b、及び中央硬化部23c,24cが形成されるので、このような硬化領域H3,H4内でひずみを効率的に低減することができる。よって、接合体の接合強度をさらに効率的に高めることができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る接合体について説明する。図5に示すように、本実施形態に係る接合体における第1及び第2の部材31,32は、それぞれ第1実施形態における第1及び第2の部材11,12に相当する。これら第1及び第2の部材31,32のフランジ33,34が、それぞれ第1実施形態における第1及び第2の部材11,12のフランジ13,14に相当する。
フランジ33,34の先端縁35,36は、第1実施形態と同様に、それぞれフランジ33,34の幅方向の一方にて終端するように形成されている。フランジ33,34の基端縁37,38は、第1実施形態と同様に、それぞれ、フランジ33,34の幅方向の他方に位置し、かつ第1及び第2の部材31,32の周縁領域31a,32aに接続されている。このようなフランジ33,34が、該フランジ33,34の厚さ方向に互いに重なった状態で、第1実施形態と同様の溶接部分39を用いて接合される。
また、フランジ33,34は、第1実施形態と同様に加工硬化された一方硬化部33a,34a、他方硬化部33b,34b、及び中央硬化部33c,34cを有している。一方硬化部33a,34aは、先端縁35,36及び一方仮想線L1,L2を交差させた一方仮想交差部に位置し、他方硬化部33b,34bは、先端縁35,36及び他方仮想線M1,M2を交差させた他方仮想交差部に位置し、中央硬化部33c,34cは、先端縁35,36及び中央仮想線N1,N2を交差させた中央仮想交差部に位置している。なお、一方仮想線L1,L2、他方仮想線M1,M2、及び中央仮想線N1,N2は第1実施形態と同様に定義される。さらに、一方硬化部33a,34a、他方硬化部33b,34b、及び中央硬化部33c,34cは、先端縁35,36及び円弧境界線S1,S2(一点鎖線により示す)によって囲まれる硬化領域H5,H6に位置している。円弧境界線S1,S2が円弧線として定義され、かかる円弧境界線S1,S2は、中央仮想線N1,N2上にて中央仮想交差部に対して幅方向の一方に位置する中心を有し、かつ一方及び他方仮想交差部、並びに溶接部分39の幅方向一方端39c及び先端縁35,36間の部分を通って延びている。
一方硬化部33a,34a、他方硬化部33b,34b、及び中央硬化部33c,34cにおける硬度は硬化領域H5,H6の周辺の部分における硬度よりも高くなっている。あくまでも一例であるが、硬化領域H5,H6の周辺の部分は、一方周辺部33d,34d、他方周辺部33e,34e、及び中央周辺部33f,34fによって定義されるとよい。第1実施形態と同様に、一方周辺部33d,34dは一方境界線P1,P2及び一方周辺境界線V1,V2間に位置し、他方周辺部33e,34eは他方境界線Q1,Q2及び他方周辺境界線W1,W2間に位置するとよい。また、中央周辺部33f,34fは、溶接部分39、一方境界線P1,P2、他方境界線Q1,Q2、及び円弧境界線S1,S2によって囲まれているとよい。このような一方硬化部33a,34a、他方硬化部33b,34b、及び中央硬化部33c,34cは互いに接続されて一体に形成されている。一体の硬化部33a〜33c,34a〜34cの外周縁は硬化領域H5,H6の境界線に略一致しており、一体の硬化部33a〜33c,34a〜34cの外周縁は略円弧形状に形成されている。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、フランジに形成される硬化部は以下のように構成されてもよい。第1及び第2部材のうち一方のフランジにのみ一方、他方、及び中央硬化部が形成されてもよい。円弧境界線S1,S2の中心は、中央仮想交差部に対して幅方向の一方に位置していれば、中央仮想線N1,N2以外に位置していてもよい。一体に形成された一方、他方、及び中央硬化部の外周縁が硬化領域の境界線に略一致していなくてもよい。この場合、このような硬化部の外周縁は略台形状に形成することも可能であるが、硬化部の外周縁が、略台形状以外の形状、例えば、略半円形状、略半楕円形状、略扇形状、略台形状以外の略多角形状等に形成されてもよい。一方、他方、及び中央硬化部のうち1つが、これらの硬化部のうち一体に形成された別の2つと離れて形成されてもよく、一方、他方、及び中央硬化部が互いに離れて形成されていてもよい。一方、他方、及び中央硬化部に加えて、硬化領域に、さらなる硬化部が設けられていてもよい。
本実施形態に係る接合体の製造方法は第1実施形態と同様である。本実施形態に係る接合体において得られる効果は基本的には第1実施形態と同様であるが、かかる効果は以下の点で異なる。図5に示すように、フランジ33,34の基端部分37,38の長手方向にて溶接部分39に対応する位置に、幅方向の他方から一方に向かう荷重Fが加えられた場合、先端縁35,36、一方境界線P1,P2、他方境界線Q1,Q2、及び円弧境界線S1,S2によって囲まれるように限定された硬化領域H5,H6ではひずみがさらに大きくなる傾向にある。これに対して、限定された硬化領域H5,H6に一方硬化部33a,34a、他方硬化部33b,34b、及び中央硬化部33c,34cが形成されるので、このような硬化領域H5,H6内でひずみを効率的に低減することができる。よって、接合体の接合強度をさらに効率的に高めることができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る車両用フロントピラー組立体について説明する。本実施形態では、フロントピラー組立体がトラックの車体に設けられているものとして説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、フロントピラー組立体がトラック以外の車両の車体に設けられていてもよい。なお、トラック以外の車両としては、ワンボックス型車両、セダン型車両、ハッチバック型車両、SUV型車両等が挙げられる。
図6に示すように、車体41は、車両幅方向に互いに間隔を空けて配置される一対のフロントピラー組立体42を有している。また、車体41は、車両幅方向に互いに間隔を空けて配置される一対のサイドメンバ43を有している。一対のサイドメンバ43における車両前後方向の前側領域43aは、車両前後方向に延びるように形成されている。これらの前側領域43aの前端部は、車両幅方向に延びるフロントクロスメンバ44によって連結されている。サイドメンバ43は、前側領域43aに対して車両後方に傾斜領域43bを有している。傾斜領域43bは、車両前方から車両後方に向かうに従って車両上方から車両下方に傾斜するように延びている。かかる傾斜領域43bの前端部が前側領域43aの後端部に連結されている。
一対のフロントピラー組立体42のうち少なくとも一方には、第1〜第3実施形態のいずれか一つに係る接合体と同様の接合体45が設けられている。この接合体45は車両上下方向に沿って配置されている。接合体45に対して車両前方には、車両前後方向に延びるフレーム部材としてフロントピラーメンバ46が設けられている。
図7〜図10に示すように、接合体45は、第1〜第3実施形態のいずれか一つの第1の部材に相当するサイドアウターパネルのフロントピラー部分47と、第1〜第3実施形態のいずれか一つの第2の部材に相当するダッシュサイドパネル48とを有している。ダッシュサイドパネル48は、サイドアウターパネルのフロントピラー部分47に対して車両幅方向の中央側に位置している。さらに、接合体45は、上記第1及び第2の部材間に位置する第3の部材に相当するヒンジリンフォースメント49を有している。すなわち、ヒンジリンフォースメント49は、フロントピラー部分47及びダッシュサイドパネル48間に位置している。サイドアウターパネルのフロントピラー部分47、ダッシュサイドパネル48、及びヒンジリンフォースメント49は車両前後方向に沿って配置されている。
図10に示すように、このようなフロントピラー部分47、ダッシュサイドパネル48、及びヒンジリンフォースメント49には、第1〜第3実施形態のいずれか一つのフランジに相当するフランジ50,51,52がそれぞれ形成されている。フランジ50,51,52は、それぞれ、フロントピラー部分47、ダッシュサイドパネル48、及びヒンジリンフォースメント49の車両後方側にて終端している。接合体45においては、少なくともフロントピラー部分47及びダッシュサイドパネル48のフランジ50,51が互いに重ねて配置され、かつ上記溶接部分と同様の溶接部分53を用いて接合されているとよく、特に、図10に示すように、フロントピラー部分47、ダッシュサイドパネル48、及びヒンジリンフォースメント49のフランジ50,51,52が、互いに重ねて配置され、かつ上記溶接部分と同様の溶接部分53を用いて3枚接合されていると好ましい。
さらに、図9及び図10に示すように、フロントピラー部分47及びヒンジリンフォースメント49間には、フロントピラーリンフォースメント54が配置されている。図12に示すように、かかるフロントピラーリンフォースメント54は、サイドアウターパネルのフロントピラー部分47に接合されている。特に、フロントピラー部分47、ヒンジリンフォースメント49、及びフロントピラーリンフォースメント54の車両前後方向の後端部は、互いに重ねて配置され、かつ3枚接合されていると好ましい。
接合体45の車両前後方向の前端部には、フロントピラーメンバ46の車両前後方向の後端部が取り付けられている。具体的には、フロントピラーメンバ46の後端部が、ダッシュサイドパネル48を貫通すると共に、フロントピラーリンフォースメント54に取り付けられている。図7に示すように、接合体45及びフロントピラーメンバ46の取付部の高さは、車両上下方向にて、溶接部分53の高さに略一致している。図6に示すように、フロントピラーメンバ46の車両前後方向の前端部は、サイドメンバ43における前側領域43aの後端部に取り付けられている。サイドメンバ43の前側領域43a及びフロントピラーメンバ46は、車両前後方向に延びる直線上に並んで配置されていると好ましい。
本実施形態に係る接合体において得られる効果は基本的には第1〜第3実施形態のいずらかと同様であるが、かかる効果は以下の点で異なる。フロントピラーメンバ46から加えられる荷重に対して、フロントピラー組立体42における接合体45の接合強度を効率的に高めることができる。また、フロントピラー組立体42に、上述のような接合体45が用いられるので、かかるフロントピラー組立体42もまた容易に作製することができ、かつフランジ50,51の溶接前に加工硬化を施すことができる。
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、その技術的思想に基づいて変形かつ変更可能である。
例えば、本発明の第1変形例として、第1〜第3実施形態のいずれか一つに係る接合体が、車両用センターピラー組立体又はルーフサイドレール組立体に用いられてもよい。
本発明の第2変形例として、第1〜第3実施形態のいずれか一つに係る接合体の幅方向の他方端部に追加の部材が取り付けられてもよく、接合体及び追加の部材の取付部における長手方向の位置は、溶接部分における長手方向の位置に略一致しているとよい。
[実施例]
実施例について説明する。実施例においては、第3実施形態に係る接合体を用いる。図11に示すように、接合体における第1及び第2の部材31,32は、L字形状に形成されて、フランジ33,34がそれぞれ周縁領域31a,32aから略直角に立ち上がっている。
さらに、図12に示すように、接合体においては、スポット溶接により形成される溶接部分39のナゲット径が4mmとなっている。溶接部分39の幅方向の中心とフランジ33,34の先端縁35,36との距離が10mmとなっている。一方境界線P1,P2の傾斜角度θ1,θ2及び他方境界線Q1,Q2の傾斜角度φ1,φ2が45°となっている。円弧境界線S1,S2の半径が22.5mmとなっている。中央仮想線R1,R2上における円弧境界線S1,S2と先端縁35,36との距離が4mmとなっている。一方及び他方境界交差部間の長手方向の距離は24mmとなっている。
このような条件にて定められる硬化領域H5,H6に、一体となった一方硬化部33a,34a、他方硬化部33b,34b、及び中央硬化部33c,34cが形成され、一体の硬化部33a〜33c,34a〜34cの外周縁が硬化領域H5,H6の境界線に一致している。このようなフランジ33,34が、互いに重なった状態で接合部分39を用いて接合され、さらに、第1及び第2の部材31,32の周縁領域31a,32a上に平板形状の板部材Kが接合されている。
実施例においては、このような接合体に対して曲げ試験を行う。図11に示すように、かかる曲げ試験では、接合体における長手方向の両端部のそれぞれを冶具J1,J2によって支持する。このように支持された状態の接合体に対して荷重Fを加える。具体的には、板部材Kの長手方向にて溶接部分39に対応する位置に冶具J3を当接させ、幅方向の他方から一方に向かう荷重Fを冶具J3に加える。このような曲げ試験時において、フランジ33,34には、図13に示すようにひずみが分布する。なお、図13及び後述する図15においては、ひずみの分布は各種ハッチングを用いて描かれた領域a1〜a9によって示されている。ここで、ひずみの大きさは領域a1〜a9の順に増加しているものとする。さらに、図13では、円弧境界線S1,S2を一点鎖線により示している。
[比較例]
比較例について説明する。図14に示すように、比較例においては、第1及び第2の部材101,102におけるフランジ103,104に加工硬化を施していない点を除いて実施例と同様の接合体を用いる。なお、比較例のフランジ103,104もまた、互いに重なった状態で、スポット溶接により形成された溶接部分107を用いて接合されており、さらに、第1及び第2の部材101,102の周縁領域101a,102a上に平板形状の板部材Kが接合されている。比較例においては、かかる接合体に対して実施例と同様の曲げ試験を行う。このような曲げ試験時において、フランジ103,104には、図15に示すようにひずみが分布する。
図13及び図15を参照して、実施例及び比較例のひずみ分布を対比する。実施例のフランジ33,34全体及び比較例のフランジ103,104全体の両方において、一方仮想線L1,L2他方仮想線M1,M2、及び中央仮想線N1,N2の周辺部(以下、「仮想線周辺部」という)にてひずみが大きくなる傾向にある。しかしながら、実施例の仮想線周辺部のひずみは、比較例の仮想線周辺部のひずみに対して減少している。そのため、実施例においては、一方硬化部33a,34a、他方硬化部33b,34b、及び中央硬化部33c,34cによって、フランジ33,34のひずみが低減することが確認できる。
特に、実施例のフランジ33,34の先端部分35,36における一方及び他方交差部のひずみが、比較例のフランジ103,104の先端部分105,106における一方及び他方交差部のひずみに対して減少しているので、実施例のフランジ33,34は、比較例のフランジ103,104と比較して、一方及び他方交差部から破断し難くなっていることが確認できる。
11,21,31 第1の部材
11a,21a,31a 周縁領域
12,22,23 第2の部材
12a,22a,23a 周縁領域
13,14,23,24,33,34 フランジ
13a,14a,23a,24a,33a,34a 一方硬化部
13b,14b,23b,24b,33b,34b 他方硬化部
13c,14c,23c,24c,33c,34c 中央硬化部
13d,14d,23d,24d,33d,34d 一方周辺部
13e,14e,23e,24e,33e,34e 他方周辺部
15,16,25,26,35,36 先端縁
19,29,39 溶接部分
19a,29a,39a 長手方向一方端部
19b,29b,39b 長手方向他方端部
23f,24f,33f,34f 中央周辺部
29c,39c 幅方向一方端
H1,H2,H3,H4,H5,H6 硬化領域

42 フロントピラー組立体
45 接合体
46 フロントピラーメンバ
47 サイドアウターパネルのフロントピラー部分
48 ダッシュサイドパネル
50,51 フランジ
53 溶接部分

L1,L2 一方仮想線
M1,M2 他方仮想線
N1,N2 中央仮想線
P1,P2 一方境界線
Q1,Q2 他方境界線
R1,R2 中心境界線
S1,S2 円弧境界線
V1,V2 一方周辺境界線
W1,W2 他方周辺境界線
θ1,θ2,φ1,φ2,ψ1,ψ2,ω1,ω2 傾斜角度
F 荷重

Claims (5)

  1. 2つの部材を備え、該2つの部材のそれぞれが、その周縁領域に沿って延びる接合領域を含んでおり、
    前記2つの部材の接合領域が重ねて配置され、かつ溶接により形成される溶接部分を用いて接合されている、接合体であって、
    前記接合領域の先端縁が前記接合領域の長手方向に直交する幅方向の一方に位置し、
    前記接合領域が、
    前記先端縁及び一方仮想線の一方仮想交差部に位置すると共に加工硬化された一方硬化部であって、前記一方仮想線が、前記溶接部分の長手方向一方端部を通って前記溶接部分から長手方向にて離れながら前記先端縁に向かうと共に幅方向に対して40°以上かつ50°以下の傾斜角度にて延びる直線として定義されている、一方硬化部と、
    前記先端縁及び他方仮想線の他方仮想交差部に位置すると共に加工硬化された他方硬化部であって、前記他方仮想線が、前記溶接部分の長手方向他方端部を通って前記溶接部分から長手方向にて離れながら前記先端縁に向かうと共に幅方向に対して40°以上かつ50°以下の傾斜角度にて延びる直線として定義されている、他方硬化部と、
    前記先端縁及び中央仮想線の中央仮想交差部に位置すると共に加工硬化された中央硬化部であって、前記中央仮想線が、前記溶接部分の長手方向の中心を通って幅方向に延びる直線として定義されている、中央硬化部と
    を有し、
    さらに、前記一方、他方、及び中央硬化部が、前記先端縁、前記溶接部分、一方境界線、及び他方境界線によって囲まれる硬化領域に位置しており、前記一方境界線が、前記一方仮想線に対して前記溶接部分の長手方向一方端部を中心として長手方向の一方に10°の傾斜角度にて傾けた直線として定義され、前記他方境界線が、前記他方仮想線に対して前記溶接部分の長手方向他方端部を中心として長手方向の他方に10°の傾斜角度にて傾けた直線として定義されており、
    前記一方、他方、及び中央硬化部における硬度が前記硬化領域の周辺の部分における硬度よりも高くなっている、接合体。
  2. 前記硬化領域が、前記先端縁、前記一方及び他方境界線、並びに中心境界線によって囲まれた範囲にさらに限定され、前記中心境界線が、前記溶接部分の幅方向一方端及び前記先端縁間における幅方向の中心を通って長手方向に沿って延びる直線として定義されている、請求項1に記載の接合体。
  3. 前記硬化領域が、前記先端縁及び円弧境界線によって囲まれた範囲にさらに限定され、前記円弧境界線が、前記先端縁及び前記一方境界線の一方境界交差部、前記先端縁及び前記他方境界線の他方境界交差部、並びに前記溶接部分の幅方向一方端及び前記先端縁間の部分を通って延びる円弧線として定義されている、請求項1に記載の接合体。
  4. 前記溶接部分がスポット溶接により形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接合体。
  5. 車体の車両幅方向の側部に設けられる車両用フロントピラー組立体であって、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の接合体を備え、
    前記2つの部材のうち1つである第1の部材が車両上下方向に沿って配置され、
    前記2つの部材のうち別の1つである第2の部材が、前記第1の部材に対して車両幅方向の中央側にて車両上下方向に沿って配置され、
    前記第1及び第2の部材の接合領域が前記接合体の車両前後方向の後端部に位置しており、
    前記接合体の車両前後方向の前端部にフレーム部材が取り付けられ、
    前記接合体及び前記フレーム部材の取付部の高さが車両上下方向にて前記溶接部分の高さに対応している、車両用フロントピラー組立体。
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