JP6404086B2 - エキスパンドメタル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このような最大の特徴から、エキスパンドメタルは歩廊や階段の踏板、コンクリート板のひび割れ防止材、等の高い剛性と滑り止めを必要とする部材に対して、頻繁に用いられるに至っている。
しかし、これら農園芸資材、フェンス、モニュメント等については、踏板等と違って手で触れる機会が多く、このため、金属板を剪断した時に作られた凹凸の角により、手や肌を怪我したり衣服を破いたりする危険性が多い。また、例えば農園芸資材として用いられる場合は、載置した植木鉢をエキスパンドメタル上で円滑に滑らせることができない等、作業性に劣るという問題が生じる。
ここで、本発明の構成では、金属板を送り込む寸法である送り幅を、金属板の厚みに比べて小さくしている。そうすると、形成されたストランド部は、上下面の幅寸法に比べて高さ(開口部の内周面の内、該幅寸法と直交する寸法)を小さくすることができる。また、ボンド部の高さはストランド部の高さ(厚み)の略2倍であるため、ボンド部の高さもストランド部の高さに比例して小さくなる。さらに、ボンド部の高さが小さくなることで、ボンド部どうしの間に斜めに寝たストランド部の角度も小さくなる。このため、ストランド部の高さが単に小さくなっただけではなく、それ以上に全体としての凹凸が小さくなったエキスパンドメタルとすることができる。
従って、この凹凸が小さくなった分、手や肌を怪我したり衣服を破いたりする危険が少なくなり、また、全体的な平坦性も上がるので、例えば棚として利用された場合は、その上に置く物を滑らせることができ、さらに、重量も抑えて取り扱いも容易にすることができる。そして、このような種々の特徴を、金属板を送り込む寸法を小さくするだけで実現できる。
なお、従来、エキスパンドメタルは高い剛性が最大の特徴であり、そのために相当の凹凸は必要であり、また、生産効率を下げないためや、製造時における上刃と下刃との衝突を回避するためにも、製造時には金属板を送り込む寸法を金属板の板厚と同等以上にするのが常識であった。本発明では、この常識を覆して金属板を送り込む寸法を小さくしたものである。
そうすると、流動浸漬塗装法は粉体塗装法であって、エキスパンドメタル本体に対する樹脂部の密着性を上げることができ、さらに、粉体塗装法の中でも流動浸漬塗装法を利用することで、形状が複雑なエキスパンドメタル本体であっても、均一、かつ、大きな膜厚を有する樹脂部を形成し易くなる。従って、高い剛性を有するエキスパンドメタルを形成することができる。
従って、金属板を剪断加工した後の部位が湾曲してしまう事態を有効に防止できる。即ち、上述のように金属板の送り幅を金属板の厚みに比べて小さくすると、剪断してその切れ目を拡幅する際に、製品が送り込む方向に反ってしまう(上向きに反る)ことが分かった。このため、金属板を剪断加工した後の部位を例えば送り込む方向とは反対側に押圧して、送り込む方向に傾斜した上向きの傾斜面に押し付けることで、送り込む方向に反るような事態を防止できる。なお、当該傾斜面の角度はストランド部の斜めに寝た角度に対応するとよい。さらに、この押圧される金属部分はストランド部よりも断面積が大きいボンド部であるため、押圧によって金属部分が変形することも防止できる。
また、上記課題は、金属板を加工して、開口部周縁となる複数のストランド部、及び前記複数のストランド部どうしを連結するボンド部を形成するエキスパンドメタルの製造方法であって、波型を有する上刃と下刃とを接近させて、前記金属板を断続的に剪断して切れ目を形成すると同時に、前記切れ目を前記波型で拡幅し、前記上刃と前記下刃とが前記接近ないし離間する毎に、前記上刃と前記下刃との間に前記金属板を送り込むと共に、前記上刃を前記波型の半ピッチだけスライドさせるようになっており、前記金属板の前記送り込む寸法である送り幅を、前記金属板の厚みに比べて小さくし、順次形成される前記ボンド部を、前記下刃の下側から前記送り込む方向に傾斜した上向きの傾斜面に押さえ付けることを特徴とするエキスパンドメタルの製造方法により解決される。
この発明のエキスパンドメタルの製造方法では、波型を有する上刃と下刃とを接近させて、金属板を断続的に剪断して切れ目を形成すると同時に、この切れ目を波型で拡幅し、上刃と下刃とが接近ないし離間する毎に、上刃と下刃との間に金属板を送り込むと共に、上刃を波型の半ピッチだけスライドさせている。従って、波型に対応した形状を有する複数のストランド部と、この複数のストランド部どうしを継ぎ目なく連結するボンド部とを正確に形成できる。そして、このように形成したエキスパンドメタルは、ボンド部とボンド部の間でストランド部が斜めに寝た態様が連続して、全体的に凹凸のある製品となる。
ここで、本発明の構成では、金属板を送り込む寸法である送り幅を、金属板の厚みに比べて小さくしている。そうすると、形成されたストランド部は、上下面の幅寸法に比べて高さ(開口部の内周面の内、該幅寸法と直交する寸法)を小さくすることができる。また、ボンド部の高さはストランド部の高さ(厚み)の略2倍であるため、ボンド部の高さもストランド部の高さに比例して小さくなる。さらに、ボンド部の高さが小さくなることで、ボンド部どうしの間に斜めに寝たストランド部の角度も小さくなる。このため、ストランド部の高さが単に小さくなっただけではなく、それ以上に全体としての凹凸が小さくなったエキスパンドメタルとすることができる。
従って、この凹凸が小さくなった分、手や肌を怪我したり衣服を破いたりする危険が少なくなり、また、全体的な平坦性も上がるので、例えば棚として利用された場合は、その上に置く物を滑らせることができ、さらに、重量も抑えて取り扱いも容易にすることができる。そして、このような種々の特徴を、金属板を送り込む寸法を小さくするだけで実現できる。
なお、従来、エキスパンドメタルは高い剛性が最大の特徴であり、そのために相当の凹凸は必要であり、また、生産効率を下げないためや、製造時における上刃と下刃との衝突を回避するためにも、製造時には金属板を送り込む寸法を金属板の板厚と同等以上にするのが常識であった。本発明では、この常識を覆して金属板を送り込む寸法を小さくしたものである。
また、金属板を剪断加工した後の部位が湾曲してしまう事態を有効に防止できる。即ち、上述のように金属板の送り幅を金属板の厚みに比べて小さくすると、剪断してその切れ目を拡幅する際に、製品が送り込む方向に反ってしまう(上向きに反る)ことが分かった。このため、金属板を剪断加工した後の部位を例えば送り込む方向とは反対側に押圧して、送り込む方向に傾斜した上向きの傾斜面に押し付けることで、送り込む方向に反るような事態を防止できる。なお、当該傾斜面の角度はストランド部の斜めに寝た角度に対応するとよい。さらに、この押圧される金属部分はストランド部よりも断面積が大きいボンド部であるため、押圧によって金属部分が変形することも防止できる。
この発明の構成によれば、ストランド部は上下面の幅寸法に比べて高さが小さく形成されているため、ストランド部で囲まれる開口部の内周面の高さや、ボンド部の高さは低くなり、また、ストランド部の斜めに寝た角度も小さくなり、全体として凹凸の小さいエキスパンドメタルとなる。
従って、この凹凸が小さい分、手や肌を怪我したり衣服を破いたりする危険が少なくなり、また、全体的な平坦性も上がって、例えば棚として利用された場合は、その上に置く物を容易に滑らせることができ、さらに、重量も抑えて取り扱いも容易にすることができる。
しかも、複数のストランド部及びボンド部の表面に密着するようにして樹脂がコーティングされているため、全体的に凹凸が小さくなって剛性が低下したエキスパンドメタル本体であっても、高い剛性を維持することができる。また、このコーティングにより、手や肌を怪我したり衣服を破いたりする危険を最小限に抑えることもできる。
この発明の構成によれば、上述のように、全体的に凹凸の小さいエキスパンドメタルとして、手や肌の怪我や衣服の破損を防止できる。また、農園芸用の鉢等を置く棚として利用された場合、その鉢等を棚の上で容易に滑らせて、作業効率を上げることができる。さらに、重量も抑えられるため、エキスパンドメタルを棚から容易に着脱したり、或いは、スライド式の農園芸用ベンチでは棚を容易にスライドしたりすることもできる。また、樹脂コーティングにより高い剛性を維持することもでき、しかも、種々の作業をする際の手・肌の怪我や衣服の破損を最小限に抑えることができる。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の図において、同一の符号を付した箇所は同様の構成である。
図1は、本発明の実施形態に係るエキスパンドメタル10を利用した農園芸用ベンチ1の概略平面図、図2は図1のA−A断面図であり、図2(A)は棚2をバランスよく配置した図、図2(B)は棚2をスライドさせて片側に寄せた図である。なお、図1では、図面が煩雑にならないように、エキスパンドメタル10の一部分のみを示しているが、エキスパンドメタル10は平面の略全面に配置されている。
これらの図の農園芸用ベンチ1は、例えば、稲・野菜・果実等の苗や花卉を育成・保管する際に使用されるものであり、栽培ベンチ・栽培棚などとも呼ばれる。
本農園芸用ベンチ1は、作業が容易な高さとされ、脚柱3で支持された棚2の上に苗床ポットや鉢等が載置される。棚2は、複数枚のエキスパンドメタル10と、このエキスパンドメタル10を固定するための骨状の支持台4とからなっている。エキスパンドメタル10を利用するのは、剛性が高く、さらに、水・薬品(養液等)・風が通過可能な多数の開口部を有する網状であるためである。
支持台4に並べられる複数のエキスパンドメタル10は水平に配列されている。この配列に際しては、支持台4の短手方向Yと、エキスパンドメタル10の図5のSW方向とを一致させて配置するのが好ましい。本実施形態のエキスパンドメタル10は支持台4に対して着脱可能とされ、これにより、不使用の際はエキスパンドメタル10を外して片付けられるようにし、また、他の農園芸用ベンチ1にも利用して、ハウス内のレイアウトを容易に変更することができる。
一方、農園芸用ベンチ1用のエキスパンドメタル10は、剛性は多少低くても、作業時の怪我を回避するための「高い安全性」、棚2の可動や可搬時に楽に運べる「軽量性」、日光・薬品などに対する「耐久性」を有することが好ましい。
以下、このエキスパンドメタル10について詳細に説明する。
図3は本発明の実施形態に係るエキスパンドメタル10の部分拡大正面図、図4は図3のB−B断面図、図5は図3の樹脂部30を取り除いたエキスパンドメタル本体12の部分拡大正面図、図6は図5のC−C断面図である。なお、図5の一点鎖線で囲った図はストランド部16のD−D拡大端面図、図6の一点鎖線で囲った図はボンド部18の概略拡大断面図である。
図3に示すように、エキスパンドメタル10は、複数の開口部14を千鳥状に配列してなり、全体が網目状(「メッシュ状」と呼ぶ場合もある)とされている。図の開口部14は、その短手方向の開口寸法S1が約19mm、長手方向の開口寸法L1が寸法S1の約2倍である約38mmとされた略菱形であるが、植木鉢・苗床ポッド等の被載置物の落下が防止できれば、本発明はこのサイズに限られず、また、正面視における開口部の形状も亀甲形等であってもよい。
本体12は金属材料からなり、鉄やステンレス、或いはチタン等の非鉄金属を薄板状にした一枚の金属板から形成される。本実施形態の本体12は、厚みが2.3mmの熱間圧延軟鋼板から形成されるが、冷間圧延鋼板を利用しても構わない。この製造方法については後で詳細に説明する。
図5及び図6に示すように、本体12は、開口部14の周縁を構成する複数のストランド部16と、この複数のストランド部16どうしを連結する複数のボンド部18とからなっており、図6に示すように、開口部14の短手方向の縦断面視ではストランド部16とボンド部18とが交互に連続して配列され、ギザギザになっている。
ボンド部18は、本体12の厚み方向(図6の上下方向)の断面が略矩形状であり、複数のストランド部16どうしを一体的に繋ぎ目なく連結すると共に、開口部14の周縁を構成する部分ともなる。このボンド部18の正面視における長手方向の長さL3は、エキスパンドメタルを製作する上刃の金型で決まっており、今回のは約3mmである。ボンド部18の高さW2はストランド部16の高さW1の略2倍であり、このボンド部18も水平方向(図6の左右方向)に対して角度θ2をもって傾斜している。傾斜角度θ2はストランド部10の傾斜角度θ1と同様である。
このように傾斜角度θ1,θ2だけ寝かせた各ストランド部16及び各ボンド部18により、本体12の上下面の夫々には、ストランド部16とボンド部18の連結部分毎に段部20が形成され、全体的に凹凸のある本体12となる。
また、ストランド部16は、本体12の全体の厚み方向について、ボンド部18における厚みH2の範囲内にあるため、ボンド部18の高さW2と傾斜角度θ2により、エキスパンドメタル10の全体の厚み(全厚)が決められる。
なお、図5の開口部14の短手方向(「メッシュの短目方向」ともいう)の中心間距離SWは22mm、長手方向(「メッシュの長目方向」ともいう)の中心間距離LWは50.8mmである。
本体12と樹脂部30との密着性は高いことが好ましく、これは流動浸漬塗装法・静電塗装法・散布法などの粉体塗装法により実現でき、より好ましくは、粉体塗料を流動浸漬塗装法によりコーティングして樹脂部30を形成するとよい。これにより、上述のように形状が複雑で凹凸のエッジを有する本体12であっても、均一、かつ、大きな膜厚(本実施形態の膜厚は約500μm)を有する樹脂部30を形成できる。
粉体塗料には、ポリエチレンを主体する粉体塗料を好適に用いることができ、このポリエチレンを主体する粉体塗料には、高密度ポリエチレン、中・低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系重合体などを利用したポリオレフィン系樹脂を挙げることができ、例えば旭化成ケミカルズ株式会社製サンファイン(商標)を利用できる。これにより、本体12への密着性は勿論のこと、耐候性・耐薬品性を向上することもでき、肥料などが付着する農園芸用ベンチとして、エキスパンドメタルを好適に使用できる。
次に、図5の本体12の製造装置について、図7を用いて説明する。
図7は図5の本体12を製造するための装置の特徴的な部分を示す概略断面図である。なお、一点鎖線で囲った図は、後述する傾斜面39aの拡大図である。
図7の製造装置40は、金属板35を剪断加工などするための上型44及び下型46と、この上型44と下型46との間に金属板35を送り込むための搬送手段42と、を有している。
また、上型44には、上刃48が剪断加工する際に、金属板35を剪断加工した後の部位(以下、「加工後部分」という)を、搬送手段42側に向うベクトル成分を有する方向に押圧して、後述する傾斜面39aに押さえ付ける押圧手段50を有している。押圧手段50は、エキスパンドメタル本体の曲りを防止するためのものであり、本実施形態の場合、上型44の下端であって、上刃48よりも金属板35の送り込み方向(図7の右側)に接続されている。また、押圧手段50は、金属板35の板幅以上の長さを有する丸棒状である(図8参照)。この押圧手段50の動き等については後で詳細に説明する。
そして、このブロック状の下刃52には、加工後部分を適正に送り出していくためのガイドとなる規制手段39が着脱可能に設けられている。規制手段39は、ボルト56で下刃52に接続され、下刃52の上端角部52aからの所定の高さH1を保持できるようにしている。この高さH1は、金属板35を剪断して形成された切れ目を上刃48で拡幅する際の押し広げ幅に対応しており、図5の開口部14の短手方向の中心間距離SWの略1/2の寸法である。また、規制手段39は、金属板35を送り込む方向(図の右側)に傾斜した上向きの傾斜面39aを有している。傾斜面39aの下刃52の垂直の壁に対する傾斜角度θ3は図6のθ1と同様である。
次に、上述したエキスパンドメタルの製造方法について、図8〜図12を用いて説明する。
図8〜図12は図5の本体12の製造方法を示す図であり、その製造工程を時系列に沿って示している。なお、これらの図では、理解の便宜のため、上型44の一部のみを図示し、図8では押圧手段50を透明にして図示し、図9及び図10(A)(C)では押圧手段50を省略している。また、図10(B)は図10(A)のE−E位置の概略断面である。また、図8及び図9(C)のW3及びW4で示す寸法は図8のD1で示す寸法に比べて、見た目と異なり小さい。
先ず、母材として鋼材等からなる帯状の金属板35を用意し、図8に示すように、この金属板53の先端部53aを上刃48と下刃52の間に送り込み、先端部53aを下刃52から送り込む方向Yに突出させる。ここで、このY方向への送り込み寸法である送り幅(下刃52からの突出幅)W3を、金属板35の厚みD1に比べて小さくするように、搬送手段42は駆動する。この金属板35の厚みD1は、製造後の図5の状態では、ストランド部16の上下面の幅寸法T1に該当し、本実施形態の場合は2.3mmである。また、図8の金属板35の送り幅W3は、図5のストランド部16の高さW1に該当し、本実施形態の場合は1.7mmである。従って、図8の送り幅W3を金属板35の厚みD1に比べて小さくすることで、図5の一点鎖線で囲った図に示すように、上下面の幅寸法T1に比べて高さW1を小さくしたストランド部16を形成することができる。なお、リブ付きのエキスパンドメタルを製造する場合は、送り幅W3に、リブの幅分を加えた寸法を送り出してもよい。
次いで、図9(B)に示すように、上型44を上昇させて上刃48を下刃52から離間させ、その離間から次に下刃52に接近させるまでの間に、金属板53を図のY方向にさらに送り込み、図9(C)に示すように、金属板53の先端部53aに続く未加工部分53bを下刃52から突出させる。ここでも、この金属板53を図のY方向にさらに送り込む寸法である送り幅W4は、図8と同様に、金属板35の厚みD1に比べて小さくする。
そして、この金属板53を送り込んでいる間、或いはその後、図9(C)に示すように上刃48をその波型の半ピッチP1分だけ金属板53の板幅方向Xにスライドさせる。この波型の半ピッチP1は、図5の開口部14の長手方向の中心間距離LWの1/2分に相当する。
この切れ目を押し広げた(上型44が下降した)図10(B)の状態では、上型44に設けられた押圧手段50が加工後部分(金属板35を剪断加工した後の部位)を、搬送手段側に向うベクトル成分を有する方向に押圧して、規制手段39に押さえ付けるようになっている。
具体的には、押圧手段50で押圧する加工後部分は、順次形成されるボンド部18であり、このボンド部18はストランド部16よりも断面積が大きいため、該押圧によって金属部分が変形する恐れも防止できる。また、この押圧手段50が押すボンド部18は、上刃48が切れ目を押し広げて形成している最中のボンド部18であるのが好ましく、さらには該ボンド部18の角部であるとより好ましい。なお、ストランド部16が変形する恐れがなければ、ボンド部18とストランド部16を同時に押圧しても勿論構わない。
そして、この押圧するボンド部18を、下刃52の下側で送り込む方向(図の右側)に傾斜した上向きの傾斜面39aに押さえ付けるようにしている。この傾斜面39の角度θ3は図7で説明した通り図6の角度θ1と同様である。従って、加工後部分が上向きに沿ってしまう事態を有効に防止すると共に、完成後のエキスパンドメタル本体のストランド部の小さい傾きを効率よく形成できる。
具体的には、完成した本体12をフック60などで吊り下げ、これをコンベア等の搬送装置62で前加熱炉64に投入し、この前加熱炉64内で本体12を300〜400℃(樹脂粉体を溶融可能な温度)で2〜4分間、加熱する。なお、この加熱前にサンドブラストで本体12の表面を粗面化し、汚れ等を除去しもよい。
その後、加熱した本体12を流動層65に投入して、熱可塑性樹脂からなる粉体塗料を本体12の全体に密着させる。即ち、流動槽65には多孔性のある仕切り板67があり、この仕切り板67の上側空間68にポリエチレンを主体する樹脂粉体が収容され、仕切り板67の下側空間69から空気ARを送り込んで、上側空間68内の樹脂粉体を撹拌させ、そこに加熱した本体12を投入して、本体12に付着した樹脂粉体を溶融させて塗膜を形成する。
その後、後加熱炉70に投入して、180〜400℃の温度で2〜4分間だけ、塗膜を再度均一に加熱して、本実施形態では膜厚が500μmとなるように表面を仕上げて、エキスパンドメタル10を完成させる。
例えば、本実施形態では、農園芸用ベンチに好適に利用されるエキスパンドメタルとしたが、本発明はこれに限られず、エキスパンドメタルはフェンスやモニュメント等にも利用可能である。
また、流動浸漬塗装法によりエキスパンドメタル本体の全表面に塗膜を形成したが、塗膜は静電粉体塗装法などを用いて形成してもよい。
また、図8及び図9の母材となる金属板35の送り幅W3,W4は、農園芸用ベンチに好適な剛性を得るための寸法にしたが、本発明では、金属板35の送り幅は金属板35の厚みよりも小さければよく、上述した寸法に限られるものではない。
また、本実施形態は上型が可動型で、下型が固定型となっているが、本発明はこれに限られず、上型と下型は相対的に接近及び離間するようになっていればよい。
また、本実施形態の上刃及び下刃の形状は、製造するエキスパンドメタルに対応して変更してもよく、例えば下刃を湾曲させてもよい。
Claims (6)
- 金属板を加工して、開口部周縁となる複数のストランド部、及び前記複数のストランド部どうしを連結するボンド部を形成するエキスパンドメタルの製造方法であって、
波型を有する上刃と下刃とを接近させて、前記金属板を断続的に剪断して切れ目を形成すると同時に、前記切れ目を前記波型で拡幅し、
前記上刃と前記下刃とが前記接近ないし離間する毎に、前記上刃と前記下刃との間に前記金属板を送り込むと共に、前記上刃を前記波型の半ピッチだけスライドさせるようになっており、
前記金属板の前記送り込む寸法である送り幅を、前記金属板の厚みに比べて小さくし、
前記エキスパンドメタルの表面に密着するようにして樹脂をコーティングしたことを特徴とするエキスパンドメタルの製造方法。 - 前記コーティングは粉体塗料を用いた流動浸漬塗装法により行うことを特徴とする請求項1に記載のエキスパンドメタルの製造方法。
- 順次形成される前記ボンド部を、前記下刃の下側から前記送り込む方向に傾斜した上向きの傾斜面に押さえ付けることを特徴とする請求項1または2に記載のエキスパンドメタルの製造方法。
- 金属板を加工して、開口部周縁となる複数のストランド部、及び前記複数のストランド部どうしを連結するボンド部を形成するエキスパンドメタルの製造方法であって、
波型を有する上刃と下刃とを接近させて、前記金属板を断続的に剪断して切れ目を形成すると同時に、前記切れ目を前記波型で拡幅し、
前記上刃と前記下刃とが前記接近ないし離間する毎に、前記上刃と前記下刃との間に前記金属板を送り込むと共に、前記上刃を前記波型の半ピッチだけスライドさせるようになっており、
前記金属板の前記送り込む寸法である送り幅を、前記金属板の厚みに比べて小さくし、
順次形成される前記ボンド部を、前記下刃の下側から前記送り込む方向に傾斜した上向きの傾斜面に押さえ付けることを特徴とするエキスパンドメタルの製造方法。 - 開口部周縁となる複数のストランド部と、前記複数のストランド部どうしを連結するボンド部と、を備えたエキスパンドメタルであって、
前記ストランド部は、上下面の幅寸法に比べて、高さが小さく形成され、
前記複数のストランド部及び前記ボンド部の表面に密着するようにして樹脂がコーティングされている
ことを特徴とするエキスパンドメタル。 - 開口部周縁となる複数のストランド部と、前記複数のストランド部どうしを連結するボンド部とを有するエキスパンドメタルを、植物載置用の棚とした農園芸用ベンチであって、
前記ストランド部は、上下面の幅寸法に比べて、高さが小さく形成され、
前記複数のストランド部及び前記ボンド部の表面に密着するようにして樹脂がコーティングされている
ことを特徴とする農園芸用ベンチ。
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