JP2006196365A - 接地体及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コスト上昇を招くこともなく、比較的簡単な施工で低い接地抵抗が得られる接地体を提供する。
【解決手段】 銅製のエキスパンドメタルの少なくとも一端に平板部を設け導線を接続してなる接地体とする。エキスパンドメタルのストランド厚さは1〜3mm、ストランド幅は1.2〜2.5mmとすることが好ましい。また、エキスパンドメタルのメッシュ寸法を短目寸法SW(15〜20mm)、長目寸法LW(35〜40mm)とすることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気設備のア−ス、避雷針、クリーンルームなどの電気、電波あるいは雷に対する防護装置としての接地体の構造に関するものである。
従来、例えば大規模電気設備などに設置される避雷針などは、電気抵抗を少なくした状態で接地する目的で、電気抵抗の低い銅製の棒状体や銅板からなる接地体を予め掘削された地層内の挿入孔に挿入し、挿入後接地抵抗を10Ω以下に下げるためにカーボンを混入した導電性コンクリートや導電性樹脂で該接地体を囲撓して接地施工している(例えば、特許文献1参照。)。
接地は過大な電流を大地に安全に流すための設備であり、重要なのは接地体の材質や形状に起因する電気的特性である。接地体の材質は電気導電率の高い純銅(電気銅)がもっぱら使用されている。形状は棒状、筒状、板状、網状等が多用され、地層との接触面積を増やすために複数の接地体を並列に使用する場合もある。また、地層を数十メートルから100メートル以上も深く掘削し、そこに上端に絶縁被覆した接地線を接続した長さ5〜20メートル程度の接地体を埋設して接触面積を増やす努力もなされている。
また、接地電極を必要以上に深く埋設せずに、地表の電位傾度を低く抑えることができる接地体も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法は被覆導線の先端の5m部分の絶縁被覆を剥がし、剥き出しになった銅撚線を接地電極とし、絶縁被覆のある部分を接地線として、絶縁被覆の境界部分で接地電極を接地線側へ180°折り返えす。この様に形成した接地体を、ほぼ垂直に掘削した掘削孔に挿通した後、この掘削孔を半導体充填物等で埋める。このように構成すると避雷針等から侵入した雷サージ電流は、接地線を介して接地電極の下端に導かれ、この接地電極の中を下端から上端に流れつつ、接地電極の表面から地中に放出される。このため、接地電極の下端から地中に放出される接地電流が大きくなり、上端から地中に放出される接地電流は小さくなって、地表の電位傾度を抑えることができるとされている。
特開平05−82284号公報 特開2002−231335号公報
しかし、地層の固有抵抗は場所によって大きく異なるので、所望の接地抵抗を得るためには掘削作業の難易度も異なり、しばしばコスト上昇を招く結果となる。また、接地抵抗低減剤を使用するとコスト上昇を招く上に、環境にも悪影響を及ぼす結果を招く。その上、棒状や板状の接地体では時間の経過とともに地盤が沈降し、接地体周辺に間隙が生じて低い接地抵抗を維持できなくなることがある。
本発明は、上記事情に鑑み接地体の形状を詳細に検討した結果、コスト上昇を招くこともなく、比較的簡単な施工で低い接地抵抗が得られる方法を見いだしたものである。
本発明は、銅製のエキスパンドメタルの少なくとも一端に平板部を設け、該平板部に導線を接続してなる接地体とした。
本発明においては、前記エキスパンドメタルのストランド幅を1.2〜2.5mmとすることが好ましい。
また、前記エキスパンドメタルのストランド厚さが1〜3mmであることが好ましい。
また、前記エキスパンドメタルのメッシュ寸法は、短目寸法SW:(15〜20mm)×長目寸法LW:(35〜40mm)とすることが好ましい。
接地体をこのように構成すれば、低コストでしかも比較的簡単な施工で目標とする低接地抵抗を得ることができる。しかも丈夫で長期間経過しても接地体近傍に隙間を生じることもないので、安定した低接地抵抗を維持することができる。
また、本発明の接地体の施工方法は、上記本発明のいずれか一つの接地体を地中にほぼ鉛直またはほぼ水平に埋設する施工方法とした。
接地体を地中に埋設する際に接地体の近傍に接地抵抗低減剤を充填し埋設しても良い。
本発明により期待できる効果は以下のような、
(1) 地層との接触面積が素材として使用する板材に比較して約2倍となり、接地抵抗低減に影響を及ぼす効果面積も、素材として使用する板材に比較して約10倍となるので、少ない坑の掘削でも低い接地抵抗が得られる、
(2) 土圧変化による土の伸縮に対応できるので、接地体周辺に間隙ができることもなく、長期にわたって低接地抵抗を維持することができる、
(3) 素材に銅を使用しているため、接地抵抗値の経年変化がない、
(4) 接地抵抗低減剤を使用しなくても充分低い接地抵抗値が得られるので、環境に与える悪影響が無い、
(5) エキスパンドメタルの角部が針状電極となるので、放電効果が大きい、
(6) 形状が網状であるので、柔軟性に富み、地層との接触面積が大きくなるとともに、施工時の利便性がよい、
(7) 他の低接地抵抗低減剤と比較して、施工時に水の使用は必要ない、
(8) 比較的低コストで目標とする接地抵抗が得られる、
等の効果が期待できる。
図1に本発明の接地体の平面図を示す。図に示すように本発明の接地体1は、端部に平板部3を有するエキスパンドメタル2の平板部3にターミナル4を介して導線5を接続したものである。
本発明で使用するエキスパンドメタルとは、金属板に細かい切れ目を交互に入れたものを引っ張り、図2に示すように金網状に広げたものである。図2において一つ一つの金網の目をメッシュ21と呼ぶ。1つのメッシュ21の詳細は図3に示す通りであり、12で示す部分をストランド、13で示す部分をボンドという。また、ストランド12の板の厚さを板厚T、ストランド12の幅をストランド幅W、メッシュ21の長手方向の大きさを長目寸法LW、短い方向の大きさを短目寸法SWと呼ぶ。
図3のボンド13,13を通る線A−A’に沿った断面を図4に示す。ストランド12及びボンド13は製造時の拡開工程によって、素材の位相方向と反対側が斜めに立ち上がった緩斜面をなしている。斜めに立ち上がった角部はエッジをなしている。エッジ部は放電効果が大きく、本発明の接地体には多数のエッジ部があるので、効率よく放電することができる。
このようにして、素材が全体として引き伸ばされて、見かけ上の面積が増加して網状になっており、有効接地面積は10倍以上に増加しているので放電効率が極めて高くなる。
一つのメッシュの21サイズは、短目寸法SW、長目寸法LW及びストランド幅Wで表わされる。なお、一般にエキスパンドメタルのストランド幅Wはすべてのメッシュについて同一寸法である。
接地体として使用する場合、前記エキスパンドメタルは純銅を使用する。電気抵抗率は1.7μΩ・cm程度である。
また、前記エキスパンドメタルは素材の厚さTが1〜3mm、ストランド幅Wは1.2〜2.5mm、メッシュ寸法は長目寸法LWが35〜40mm、短目寸法SWが15〜20mm程度とするのが好ましい。
このようなエキスパンドメタルを使用すれば、素材を平板のままで使用する場合と比較して、接地面積が約2倍となり、有効面積(見かけの平面積)は素材の10倍以上となるので、接地抵抗を低くすることが可能となる。また、埋設材料として充分な強度を具備し、メッシュ部分に土壌や導電性コンクリートが充填されるので、施工後時間が経過しても接地体近傍に間隙が生じることが無く、メッシュ部分と土壌との接触が確実に保たれるので、接地抵抗を低く維持することが可能となる。
接地体として使用する端部に平板部を有するエキスパンドメタルを製造するには、公知のエキスパンドメタルの製造方法を使用して、予め平板部と最初のメッシュとの境界部分に抜き穴をあけた素材を用いて製造する。そしてこの素材をメッシュのストランド幅Wずつ送りながら、図示省略の上刃を1ストローク毎に長目寸法LWの1/2だけ左右に振って、図示省略の上刃と下刃で素材を剪断しながら切れ目を入れ、これを引っ張って順次メッシュを拡開していく。
次に、上記のようにして製造した端部に平板部を有するエキスパンドメタルを使用した接地体について説明する。
図1に示したように本発明の接地体1は、端部に平板部3を有するエキスパンドメタル2の平板部3にターミナル4を取り付け、このターミナル4に導線5を接続する。これらの接続にはボルト締めを用いても良いが、ろう付けとするのがより好ましい。
接地体の大きさは特に制限はなく、必要な接地抵抗に応じて決めれば良く、例えば幅200mm以上で長さ20m以上とすることも可能である。また、このエキスパンドメタルを使用して、さらに籠状に加工して用いても良い。
次に、本発明の接地体の施工方法について説明する。
本発明の接地体の施工方法は特に変わったものではなく、従来からのあらゆる施工方法が利用できる。
図5に示すように、先ずボーリングによって大地の土壌6にほぼ鉛直に、接地体の幅よりも大きな直径の孔7を掘削する。次に掘削した孔7に本発明の接地体1を挿入する。ついで、接地体1の周囲に掘削した土壌を埋め戻す。この際、炭素粉末等を混入した導電性コンクリート8や半導体充填物を接地体1の近傍に流し込むと、より確実に低い接地抵抗を得ることができる。もちろん導電性コンクリート等に代えて、各種接地抵抗低減剤を使用することも有効である。孔7の上部には掘削した土壌を埋め戻せば施工は完成である。
大地ほぼ鉛直に埋設する施工方法は、必要な土地面積が狭くても良い利点を有する。
あるいは、図6に示すように、大地の土壌6にほぼ水平の溝9を掘削し、その中に本発明の接地体1をほぼ水平にして布設しても良い。
大地ほぼ水平に埋設する施工方法は、広い面積の土地が必要であるが掘削工事が容易な利点がある。
図1に示す接地体を使用して接地性能を測定した。接地体の各部寸法は、素材とした銅板の厚さTは1.2mm、メッシュのストランド幅Wを1.4mm、メッシュの短目寸法SWを18mm、長目寸法LWを36mmとし、接地体全体の大きさは200mm×10.2mとした。接地体の有効面積は4.08mとなった。
地層への埋設は深さ11mの孔を掘削し、接地体を孔底迄挿入して上部を掘削した土で再び埋め戻し、接地抵抗低減剤や水は一切使用しなかった。
メガーで接地抵抗を測定したところ、1.5Ωの低い接地抵抗が得られた。長期間経過後も接地抵抗の変化は認められず、周囲の土壌に対する環境変化も何ら認められなかった。
接地体を掘り起こして目し観察したところ、エキスパンドメタルのどのメッシュも均一にし湿っており、周囲に空洞ができているのは認められなかった。また、エキスパンドメタルに電位差による電食は全く認められなかった。
図6に示すように、実施例1で使用したのと同じ銅製のエキスパンドメタルを使用して、幅200mm、長さ10mの接地体を準備し、これを地表から750mmの深さに水平に埋設した。実施例1と同様に接地抵抗を測定したところ、8.3Ωであった。なお、測定時の気温は28℃、湿度は58%であった。
[比較例1]
直径13mm、長さ10mの純銅製の丸棒の一端に断面積60mmの裸導線を取り付けて接地体とし、これを地表から750mmの深さに接地体上端が来るようにして垂直に埋設した。実施例1と同様に接地抵抗を測定したところ、35.0Ωであった。なお、測定時の気温は28℃、湿度は58%であった。
[比較例2]
幅200mm、長さ10mの純銅製の平板の一端に断面積60mmの裸導線を取り付けて接地体とし、これを地表から750mmの深さに接地体上端が来るようにして垂直に埋設した。接地体周囲には接地抵抗低減剤を使用して埋設した。実施例1と同様に接地抵抗を測定したところ、9.5Ωであった。なお、測定時の気温は28℃、湿度は58%であった。
本発明の接地体の平面を示す図である。 本発明で使用するエキスパンドメタルの一部を拡大した平面図である。 図2のエキスパンドメタルのメッシュの一つを拡大して示した図である。 図3のA−A´線に沿った断面図である。 本発明の接地体を地中に埋設施工する場合の一例を示す断面図である。 本発明の接地体を地中に埋設施工する場合の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1 接地体
2 エキスパンドメタル
3 平板部
4 ターミナル
5 導線
6 土壌
7 孔
8 接地抵抗低減剤
9 溝
21 メッシュ

Claims (7)

  1. 銅製のエキスパンドメタルの少なくとも一端に平板部を設け、該平板部に導線を接続してなることを特徴とする接地体。
  2. 前記エキスパンドメタルのストランド幅が1.2〜2.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の接地体。
  3. 前記エキスパンドメタルのストランド厚さが1〜3mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接地体。
  4. 前記エキスパンドメタルのメッシュ寸法が短目寸法SW:(15〜20mm)×長目寸法LW:(35〜40mm)であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接地体。
  5. 前記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接地体を、地中にほぼ鉛直に埋設することを特徴とする接地体の施工方法。
  6. 前記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接地体を、地中にほぼ水平に埋設することを特徴とする接地体の施工方法。
  7. 前記接地体の近傍に接地抵抗低減剤を充填して接地体を埋設することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の接地体の施工方法。

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