JP6404083B2 - 筆記具 - Google Patents

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本発明は、軸筒内に複数の筆記体を収容した筆記具に関する。
従来から、筆記具には、クリップが設けられたものが一般的に流通しており、必要時に筆記具を直ぐに取り出せるべく、衣服や鞄のポケット等にクリップを引っ掛けたり、書籍やノート等にクリップを挟んだりすることが可能なものが提供されている。
このような技術は、たとえば、クリップと軸筒内に収容される内筒とを一体に固定した筆記具として下記の特許文献1が開示されている。
特開2014−046482
しかし、上記の特許文献1のように、内筒とクリップとを一体に固定した筆記具においては、何らかの要因でクリップのおがみ(クリップの湾曲の具合。以下同じ。)が大きくなると、クリップが軸筒に当接する力が大きくなる。それに伴い、主にノック時において、クリップを固定した内筒が傾いて内筒の先端部分が軸筒の内周面と接触することで摺動不良が発生し、ノックしたクリップが初期位置に戻らないといった不具合を招くこともあった。
そこで、本発明は、ノック時において内筒が傾いたとしても、摺動不良を生じさせることなく、ノックしたクリップを初期位置に戻らせることを可能とする筆記具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を備える。
(第1の発明)
本発明のうち第1の発明は、先軸20と後軸30とからなり、両端が開口している軸筒10と、前記先軸20内に収容される筆記部50と、前記後軸30内に収容される内筒40とからなる筆記具において、前記内筒40には、クリップ60が一体として固定され、前記クリップ60の先端が前記後軸30の表面と接触する側に対応する前記内筒40の先端部分に、前記後軸30の内周面と当接する嵩上げ構造44が設けられたことを特徴とする。
軸筒10とは、筆記具の外部構造であり、その先端には先軸20を備え、後端には後軸30を備えている。
先軸20とは、筆記具の外部構造のうち、その先端は円錐台形状をしており、筒形状を呈する部材であって、筆記部50が収容される。
後軸30とは、筆記具の外部構造のうち、両端が開口している筒形状を呈しており、その先端の内周に先軸20が嵌入している。
筆記部50とは、先軸20の先端から突出する筆記部50が備える筆記先端54によって、紙面に筆記可能となる部材である。この筆記部50は、特に限定されるものではなく、たとえば、シャープペンシルユニット50a又はボールペンリフィル50b等が適宜用いられる。
クリップ60には、筆記部50の筆記先端54を先軸20の先端から突出させるためのノック部62と、筆記具を衣服や鞄のポケット等に引っ掛けるための狭持部63とが形成されている。
内筒40とは、後軸30内に収容されており、内筒50の後端に一体として固定されたクリップ60が備えるノック部62への加圧を筆記部50に伝えることで、先軸20の先端から筆記先端54を突出させることを介在する部材である。
そして、第1の発明は、クリップ60の先端が後軸30の表面と接触する側の内筒40の先端部分に、嵩上げ構造44が設けられたことを特徴としている。この嵩上げ構造44を設けたことで、何らかの要因でクリップ60のおがみが大きい場合に、クリップ60を固定した内筒40がノック時の衝撃により傾いたとしても、嵩上げ構造44部分が後軸30と接触するため、嵩上げ構造44部分以外の内筒40部分が後軸30の内周面と接触することによる摺動不良が発生しないこととなる。
したがって、第1の発明によれば、クリップ60のおがみの大きさに関係なく、ノック時における摺動不良を発生させず、ノックしたクリップ60を初期位置に戻らせることを可能とした筆記具を提供できる。
(第2の発明)
本発明のうち第2の発明は、前記した第1の発明の特徴に加え、前記嵩上げ構造44は、平たい突起であることを特徴とする。
第2の発明は、嵩上げ構造44を平たい突起に特定したものである。この平たい突起を用いることで、第1の発明においては、内筒40に設けられた平たい突起と後軸30との接触面積が増加するため、平たい突起部分以外の内筒40部分が後軸30の内周面と接触することによる摺動不良の発生をより確実に防止することが可能となる。
(第3の発明)
本発明のうち第3の発明は、前記した第1の発明の特徴に加え、前記嵩上げ構造44は、リブ形状であることを特徴とする。
第3の発明は、嵩上げ構造44をリブ形状に特定したものである。このリブ形状を採用することで、内筒40における長手方向に対し、第1の発明と比較して嵩上げ構造44の長さが伸びることとなる。そのため、何らかの要因で内筒の先端付近が傾いたとしても、リブ形状により内筒の先端付近までカバーすることができるため、内筒40と後軸30との接触による摺動不良の発生をより確実に防止することが可能となる。
(第4の発明)
本発明のうち第4の発明は、前記した第1、第2、第3の発明の特徴に加え、前記軸筒には、複数の筆記体を収容したことを特徴とする。
本発明は、嵩上げ構造を設けたことにより、何らかの要因でクリップのおがみが大きい場合に、クリップを固定した内筒が傾いたとしても、嵩上げ構造部分が後軸と接触するため、嵩上げ構造部分以外の内筒の先端部分が後軸の内周面と接触することによる摺動不良が発生することがない。そのため、ノックしたクリップが初期位置に戻らないといった不具合を防止することが可能となっている。
本発明の実施形態に係るスライド式複式筆記具の側面図(A)及び側面断面図(B)である。 本発明の実施形態に係る内筒の側面図(A)、側面断面図(B)及び正面拡大図(C)である。 本発明の実施形態に係る内筒の正面拡大図であって、内筒段部をリブ形状としたものである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る筆記具として、軸筒10内に複数の筆記体であるリフィル50を備えたスライド式複式筆記具1を例に説明する。なお、本発明の実施形態において、スライド式複式筆記具1及びその構成部品についての「後方」とはクリップ60を備えた方向を示し、「前方」とはその反対側の方向を示すものとする。
(全体構造)
本発明の実施形態に係る筆記具は、図1(A)に示すように、先軸20と後軸30とからなる軸筒10の後端、すなわち後軸30の後端にクリップ60が取り付けられるとともに、後軸30の後端付近に設けられたスライド溝31から突出するスライド突起71を前方にスライドさせることにより、それに連動して軸筒10内に収容されたリフィル50が先軸20の先端から突出する構造のスライド式複式筆記具1である。
(各部材の構造)
図1(B)に示すように、軸筒10内には、前方から順に、筆記用のリフィル50(シャープペンシルユニット50a又はボールペンリフィル50b)と、リフィル50の後端と連結するスライド棒70と、スライド棒70が取り付けられる内筒40とが収容されている。また、この内筒40の後端には、クリップ60が一体として固定されている。
(軸筒10の構造)
図1(B)に示すように、本発明の実施形態に係る軸筒10は、先端は円錐台形状をしており、筒形状を呈する先軸20と、両端が開口している筒形状を呈し、その先端の内周に先軸20が嵌入している後軸30とから構成されている。
先軸20の筒形状部分の表面には、その外周を覆うように、ゴムなどの軟質な素材により形成されたグリップ部材23が装着されている。また、先軸20の先端面には、リフィル50を突出させるための開口部22が形成されている。
後軸30の後端付近には、指先でスライド突起71を前方にスライドさせ、スライド棒70と連結しているリフィル50を開口部22より突出させるべく、そのスライド突起71を後軸30の表面に露出させるためのスライド溝31が形成されている。
また、本発明の実施形態に係る軸筒10は、先軸20の後端に形成された先軸ネジ21と、後軸30の先端に形成された図示しない後軸ネジとを螺合させることにより組み立てられる。
(リフィル50の構造)
図1(B)に示すように、本発明の実施形態に係るリフィル50は、シャープペンシルとして筆記可能なシャープペンシルユニット50aと、ボールペンとして筆記可能なボールペンリフィル50bとを備えている。なお、図面上ではリフィル50が2本しか視認できないが、実際にはシャープペンシルユニット50aの背面には、図面上のボールペンリフィル50bとは別のボールペンリフィル50bが存する。
リフィル50は、前方から順に、筆記用の筆記先端54と、シャープペンシルユニット50aにあっては図示しない鉛芯が収容され、ボールペンリフィル50bにあっては図示しないインクが充填されるリフィル管53と、リフィル50を前後に移動自在にすべくスプリング52の伸縮作用を利用するためのスプリング受け部材51と、このスプリング受け部材51を覆うように装着されるスプリング52とから構成されている。
このリフィル50とスライド棒70とを連結させ、スライド棒70をスライドさせることより、スライド棒70の先端部分は、スプリング受け部材51との間でスプリング52を伸縮させながら前後に移動自在となされている。
また、いずれのリフィル50も、軸筒10内に収容された状態にあっては、スプリング52の付勢力によって、内筒40の先端部分に、そのスライド棒70の先端部分が係止するようになされている。
なお、シャープペンシルユニット50aについては、シャープペンシルユニット50aの筆記先端54が開口部22から突出した状態で、ノック部62が前方に押圧されると、筆記先端54は鉛芯を把持するチャックが開き、鉛芯が繰り出されるようになっている。
そして、シャープペンシルユニット50aの筆記先端54が開口部22から突出している状態で、ボールペンリフィル50bに係るスライド棒70をスライド溝31に沿って押し出すことで、シャープペンシルユニット50aを支持するスライド棒70は、内筒40に形成されたリブ47に対する係合が外され、シャープペンシルユニット50aは、スプリング52の作用により軸筒10内に収容される。そして、押し出されたボールペンリフィル50bに係るスライド棒70が後軸30内に形成された図示しない後軸リブに係合し、ボールペンリフィル50bの筆記先端54が開口部22から突出した状態となる。
(内筒40の構造)
図2(A)、(B)に示すように、本発明の実施形態に係る内筒40は、前方から順に、筒形状の内筒前筒部41aと、この内筒前筒部41aの一端から軸方向に沿って伸びる内筒底面部42と、内筒前筒部41aの他端から軸方向に沿って、内筒40の後端にかけて内方になだらかな傾斜を有する内筒天面部43と、内筒底面部42及び内筒天面部43の後端に連接する内筒後筒部41bと、内筒後筒部41bに連接し、その表面にはクリップ60と係合固定するための内筒突起46が形成された接続部45とから構成されている。
また、内筒天面部43及び内筒底面部42の内周面には、各々の後端から先端にかけて約1/2程度の長さまで、棒状のリブ47が形成されている。このリブ47が形成されたことで、全てのリフィル50が軸筒10内に完全に収容された状態から、たとえば、ボールペンリフィル50bに係るスライド突起71を前方に押し出すと、スライド棒70の図示しない係合突起がリブ47の端部に係合するようになされている。これにより、スライド棒70の前進に連動して、ボールペンリフィル50bが軸筒10内を前進し、その筆記先端54が、開口部22より突出した状態となされる。
さらに、内筒天面部43の先端部分には、内筒段部44が形成されており、内筒天面部43の先端部分の高さを嵩上げした構造となっている。
なお、内筒段部44の形状は、図2に示す平たい突起に限定されるものではなく、本発明の実施形態と同様の作用効果を奏することが可能な形状であればよい。たとえば、図3に示すように、内筒段部44をリブ形状とすることも可能であり、軸方向に沿って内筒天面部43の表面に突起を設けることもできる。
図2(C)は、本発明の実施形態に係る内筒40の正面拡大図であるが、前方の内筒前筒部41aを入り口として内筒後筒部41bまでにかけて、スライド棒70を装着すべく、各リブ47と内筒40の後方側面との間に複数の縦溝48が形成されている。
(スライド棒70の構造)
図1(B)に示すように、本発明の実施形態に係るスライド棒70は、前方から順に、リフィル50の後端に挿入される棒状の挿入部72と、挿入部72よりも太いスライド棒基部73と、その一部が後軸30の表面から突出しているスライド突起71とから構成されている。
そして、スライド棒70は、後軸30が有する縦溝48に摺動自在に装着されることで、指先でスライド突起71を前方にスライドさせると、スライド突起71が縦溝48に沿って摺動可能となっている。
(クリップ60の構造)
図1(B)に示すように、本発明の実施形態に係るクリップ60は、前方から順に、その下面から後軸30の表面に向けて突出する狭持部63と、アーチ状に湾曲しているクリップ基部61と、内筒40との固定を介在するノック部62とから構成されている。また、ノック部62の内周面には、内筒40に固定されるためのクリップ突起64が形成されている。なお、狭持部63の突出部分と後軸30の外周面との間で衣服のポケット等に挟持可能となっている。
このとき、クリップ60と内筒40との固定方法は、まずクリップ60を後軸30と内筒40との間に嵌入し、その際にクリップ突起64が内筒突起46を乗り越えることで、各々の突起が抜け止めとして作用することにより固定されるものである。
(スライド式複式筆記具1の特性)
従来提供されている内筒40とクリップ60とを一体に固定したスライド式複式筆記具は、何らかの要因でクリップ60のおがみが大きくなると、主にノック時において、クリップ60を固定した内筒40が傾いて内筒40の先端部分(本発明の実施形態に係る内筒天面部43に相当。)が後軸30の内周面と接触することで摺動不良が発生し、ノックしたクリップ60が初期位置に戻らないといった問題があった。
しかし、本発明の実施形態に係るスライド式複式筆記具1は、上述のように構成されているため、以下のような特性を有する。
本発明の実施形態に係る内筒40には、内筒段部44を設けたことで、何らかの要因でクリップ60のおがみが大きい場合に、クリップ60を固定した内筒40がノック時の衝撃により傾いたとしても、内筒段部44が後軸30と接触するため、内筒天面部43が後軸30の内周面と接触することによる摺動不良が発生しないこととなる。
したがって、本発明の実施形態によれば、クリップ60のおがみの大きさに関係なく、ノック時における摺動不良を発生させず、ノックしたクリップ60を初期位置に戻らせることを可能としたスライド式複式筆記具1を提供できる。
なお、本発明の実施形態は、内筒40側に段差(内筒段部44)を設けることで、内筒天面部43と後軸30の内周面とが接触することで摺動不良が発生し、ノックしたクリップ60が初期位置に戻らないといった問題を解決するものであるが、後軸30側に内筒段部44と同様の作用を発揮する突起や段差を設けることで、本発明の実施形態と同様の特性を奏するスライド式複式筆記具1を提供することも可能である。
たとえば、後軸30の内周面と内筒天面部43の先端とが接触する、後軸30側に嵩上げ構造44を設けることで、何らかの要因でクリップ60のおがみが大きい場合に、クリップ60を固定した内筒40がノック時の衝撃により傾いたとしても、嵩上げ構造44部分が内筒天面部43と接触するため、嵩上げ構造44部分以外の後軸30の内周面と内筒天面部43とが接触することによる摺動不良が発生しないこととなるものである。
1 スライド式複式筆記具
10 軸筒
20 先軸 21 先軸ネジ
22 開口部 23 グリップ部材
30 後軸 31 スライド溝
40 内筒 41a 内筒前筒部
41b 内筒後筒部 42 内筒底面部
43 内筒天面部 44 内筒段部(嵩上げ構造)
45 接続部 46 内筒突起
47 リブ 48 縦溝
50 リフィル(筆記部) 50a シャープペンシルユニット
50b ボールペンリフィル 51 スプリング受け部材
52 スプリング 53 リフィル管
54 筆記先端
60 クリップ 61 クリップ基部
62 ノック部 63 狭持部
64 クリップ突起
70 スライド棒 71 スライド突起
72 挿入部 73 スライド棒基部

Claims (3)

  1. 先軸と後軸とからなり、両端が開口している軸筒と、
    前記先軸内に収容される筆記部と、
    前記後軸内に収容される内筒とからなる筆記具において、
    前記内筒には、クリップが一体として固定され、前記クリップの先端が前記後軸の表面と接触する側に対応する前記内筒の先端部分に、前記後軸の内周面に当接する嵩上げ構造が設けられ
    前記軸筒には、複数の筆記体を収容したことを特徴とする筆記具。
  2. 前記嵩上げ構造は、平たい突起であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
  3. 前記嵩上げ構造は、リブ形状であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
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