JP6401833B2 - Pca中壁 - Google Patents
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Description
まず、床版を、安価な現場打によらずPca床版とする理由、更に、Pca床版を、横断方向に一体の構造とする理由については、上述のとおりであるところ、この横断方向に一体の構造とする前提が、トンネルが大断面化する場合には、Pca床版の搬送性と架設性を損なうこととなる。ここで、先の前者の2径間を後者の3径間にするなど支承数を増やせば、床版厚は縮小し構造上合理性は確保される。しかし依然として、プレキャスト材を架設する時の取り回しや、支承数が増えた際にその支承とのレベルや位置の調整が難しく、狭隘な坑内では、支承数を増やしても搬送性と架設性を改善することは困難である。要するに、求められる構造は、プレキャスト材が長尺で横断方向に一体の多径間構造ではなく、単径間の短尺部材を組み合わせる多径間構造である。
更に、床版架設クレーンについては、下方のセグメントの搬送性を損なわぬよう、Pca床版上で、設置箇所に対しカンチレバー状に張り出し架設をする構造となり、重量増大に伴う設備仕様の増大には限界が出てくる問題がある。
2)現場打による構築を併用するPca床版は、構築箇所への同床版上の往復のコンクリート運搬が前提となるところ、これを可能にするプレキャスト形状や構造、そのための方法がなかったのが実状である。
3)現場打による構築を併用するPca床版は、現場打による構築のための型枠が、往路復路のセグメント搬送に支障なく、軸方向に連続的に、脱型、移動、組立することが前提となるが、これを実現可能な型枠やプレキャスト形状がなかった。
5)仮に、搬送性および架設性を改善するために、単径間個別のPca床版を接合して横断方向に一体化する方法を採ったとしても、この床版の架設箇所まで同じ床版上にPca床版を運搬するプレキャスト形状や構造、そのための方法がなかったのが実状である。
7)床版架設クレーンは、Pca床版上で、設置箇所に対しカンチレバー状に張り出して架設する不安定構造となっていて、設備構造として重量増大に耐え得るものではなかった。
a 支承は、セグメントに接する左右2列の側壁と、この狭隘にインバートコンクリートより立設される2列以上の中壁とから、構成する。床版は、1列の側壁と隣接の1列の中壁の都合2列の支承に支持させる横断方向に合い向かい合う二組のPca床版と、両者の間にて両者を現場打にて接合する接合部とから、構成する。
加えて、Pca床版は、接合部側端部に、第二の貫通孔を設け、接合用の型枠を懸下する吊り棒を貫通させる。
Pca床版の架設は、向かい合う二組のPca床版の設置において、それぞれ、架設時、拡幅部を貫通する、第一の貫通孔を貫通させつつ、支承側に予め設けた、落とし孔に、落とし棒を落とし込み、支承側に仮固定する。第二の貫通孔に吊り棒を貫通、固定する。向かい合う双方の吊り棒に、ゲージ板を固定し、その設計上の離隔を保持する。
また、ゲージ板の上面には、予めレールクリップを固定できるようにしておき、ここに、床版運搬台車用レール2列を設置する。
また、Pca中壁は、上記アーチ部の上端に接続部となるU字状空間を有し、Pca中壁をインバートに連続的に立設しつつ仮固定後、隣接するPca中壁のU字状空間に、双方を連続して接続する接続鉄筋を配筋の上コンクリート充填することで、双方を軸方向一体化することを、特徴とする。
また、接合部型枠の脱型移動は、インバートコンクリート上の2列のレールを走行する昇降式型枠盛替台車にて、コンクリート強度発現スパンの接合部型枠の脱型移動において、大引き材受けに接続される伸縮支柱を、伸状態時、大引き材の下端を受け、その後、接合部型枠を離脱させつつ縮状態とし、型枠を離脱、脱型し、コンクリート未硬化スパン下方を走行させつつ、未施工スパンの、合い向かうPca床版の間の接合部下方に移動することを特徴とする。
ア 往路復路のセグメント搬送路は、Pca床版直下の側壁と隣接の中壁の間にとれるので、現場打にて接合する接合部の型枠支保工はこれに障害せず、Pca床版に安価な現場打構築の併用が実現し、工費を低減する。
イ 両外の中壁の間にとれる接合部は自由に拡張できることから、大断面化に対し設計自由度が高く、安価な現場打を最大限併用でき、構造合理性にも優れる。
エ Pca床版は、2列の支承に支持されるから、分割されていても安定する。そのため、Pca床版材やトラックミキサー車がこの上を安定して運搬でき、床版下方のセグメント搬送に障害しない。
カ 接合部に打設するコンクリート搬送は、向かい合う二組のPca床版上にトラックミキサー車の往路復路の搬送路が取れるので、コンクリート搬送に無理はなく、現場打による構築範囲を拡大しても、シールド掘進工程に遅れを生じさせない。
キ Pca床版は、架設時、拡厚部の第一の貫通孔と、これに合わせて予め支承側に設けた落とし孔に、落とし棒を落とし込めば、即仮固定できる。これにより、接合部の完成を待たずに、床版架設クレーンの稼働やPca床版の運搬に耐荷でき、落橋せず、施工サイクルを短縮することができる。
ク Pca床版の2箇所の支持箇所は、下方に拡幅した剛性が高い拡厚部であるから、支圧荷重は分散し長期耐久性を確保できる。但し、拡厚部がない場合は、剛性は低下するもののコンクリートボリュームを低減でき、同様の効果を得ると共にコストダウンできる。
コ Pca床版は、互いに接合用の鉄筋を突出し合うので、ここに配筋の上型枠を設置し、コンクリート打設すれば、容易に両者を接合できる。
サ Pca床版は、架設時、ゲージ板を、向かい合う第二の貫通孔に貫通する吊り棒に貫通させてボルト固定し、双方の設計上の離隔を保持する。そのため、向かい合う二組のPca床版は、設計上の位置に精度よく、効率よく設置できる。
シ ゲージ板には、上面には予めレールクリップが固定できるようにし、ここに2列の床版運搬台車用レールを設置する。これにより、この左右のPca床版上にトラックミキサー車の往路復路の搬送路が取れ、また、床版運搬台車用レールのゲージは正しく確保でき、同台車の脱線を防止できる。
セ 連続アーチ構造なので、圧縮が卓越する安定した構造とでき耐久性を高めると共に、大きな開口を持てコストダウンを図ることができる。
ソ Pca中壁は、立設時の鉛直端面が支持部とアーチ部を鉛直に分断するので、コンパクトで可搬性に優れる。
タ U字状空間に配筋しコンクリート充填すれば、この接続部が隣接のPca中壁を容易に接続することとなり、設置および接続作業が効率化する。
チ Pca中壁は、U字状空間を設けた上部が軽く、支持部は密実で重いので、架設時に安定性がよく、作業が安全で効率的となる。
テ 接続部のU字状空間に充填したコンクリートが圧縮力にて床版荷重を受け、アーチアクションにてこれを鉛直の軸力に変換し支持部に伝達するので、Pca中壁の根元は曲げモーメントが発生せず、そうでない柱・桁構造に対して構造が簡素化する。
ト 連続アーチ構造は長尺をとるに、トンネル軸方向の分割ではなく、断面方向の分割なので、架設時にクレーンの移動が少なく、施工効率に優れる。
ナ サドルが、Pca床版上の上段、インバートコンクリート上の下段に、段差状に配置するので、Pca床版架設時、カンチレバー状の張出しとならず、構造が簡素化し、クレーン作業も、安定かつ安全となる。
ヌ 下段脚が上方から下方にすぼむ不安定構造であっても、上部フレームから横断方向にアウトリガーを配してセグメントより転倒防止用反力を得るので、常にクレーン作業は安定し、転倒することがない。加えて、下段脚から鉛直下方のセグメント搬送空間に稼働式アウトリガーを配すればさらに確実な効果が得られる(図示せず)。
ネ 吊り棒は、埋め殺しではないので転用が利き、工事費が削減できる。
ノ 接合部の型枠は、第二の貫通孔に貫通させる吊り棒で懸下でき、型枠支保工にて受ける必要がないので、下方に空間がとれ、軸方向の設置、脱型および移動を容易に実現し効率がよい。
フ 伸縮式型枠盛替台車はレール走行であり、位置が自動的に決まるので、効率と精度を確保することができる。
図1(c)に示すように、本発明に係るPca床版による設置構造は、2径間の場合には、Pca中壁の間のPca床版同士を接合部で結合し、3径間の場合には、中に位置するPca中壁に載置される接合部でPca床版同士を結合している。
(a)に示すPca床版1は、平面図に示すとおり、長方形の平面形状であり、横断方向に重ね継手12、長手方向にループ継手11を有する。また、正面図に示すとおり、一方の端部及び他方の端部付近に、それぞれ拡幅する拡厚部14を設け、その下面には支承ゴム板13を貼り付ける(側面図も参照)。
(b)に示すように、Pca床版2は、平面図に示すとおり、落とし棒用の第一の貫通孔15が拡厚部14に配され、吊り棒用の第二の貫通孔16が接合部側端部に配される。
また、図7の「IV横断面」では、Pca床版2に設けた吊り棒用の貫通孔16を使ってゲージ板17を吊り棒21によって設置固定し、このゲージ板17の上に長手方向に床版運搬台車レール18を敷設することになる。
図8の下部に示す側面図において、「I縦断図」では、Pca床版2に設けた落とし棒用の貫通孔15およびPca中壁3の落とし孔19を介して落とし棒20を設置して双方を接合し、その後この落とし棒20を抜き出し、替わって、アンカーバーを挿入しモルタル充填する様子を示す。
また、「II縦断面」では、Pca床版2に設けた吊り棒用の貫通孔16を吊り棒21が貫通し、Pca床版2上に床版運搬台車レール18が敷設されている様子を示す。
本発明の実施例2として、Pca中壁について、その構造及びそれをトンネル内に設置した状態を説明する。
図2(b)に示すように、本発明に係るPca中壁は、従来のような矩形形状ではなく、隣り合う2つのPca中壁を結合してアーチ構造の形状を成す。そのために、アーチ部の上端に接続部となるU字状空間を設け隣り合う2つのPca中壁を結合する。
図9の上図に示すように、Pca中壁3の内側は、Aのアーチ部からBの支持部に至って外形形状に合わせたU字構造(CおよびF)を成し、底部にはアンカー4本を設けている(DおよびE)。ここで、図示のとおり、CおよびF、DおよびEは、それぞれ入れ子状に形成することにより、一旦組み合わせると抜け出すことがない。また、組み合わせの際、別途接合用ボルトで相互に仮固定しつつ立設、固定すれば施工効率がよい(図示せず)。
図9の下図に示すように、上図で結合した1セットのPca中壁3のU字状空間に、双方を連続して接続する接続鉄筋を配筋の上コンクリート充填することで、双方を軸方向に一体化する(この点は後述する)。
以上、図2(b)および図9では、Pca中壁3を、アーチ部および支持部それぞれで鉛直に分断した形状を1パーツとして、それを2つ組み合わせて1セットとしたが、1パーツは当該形状に限定されるものではない。すなわち、図10(a)に示すように、鉛直に分断したアーチ部から支持部を経て次の鉛直に分断したアーチ部までを1パーツとする形状、または、図10(b)に示すように、鉛直に分断した支持部からアーチ部を経て次の鉛直に分断した支持部までを1パーツとする形状としてもよい。なお、図10の(a)および(b)では、支持部をインバートコンクリートに至るまで延びた構造とするのではなく、インバートコンクリートとある程度の離隔を残してここにはアンカーを延伸し、インバートコンクリート上への据え付け時に、根巻部を配筋とコンクリート打設により支持部とインバートコンクリートとの間に設けるようにしている。
ステップ1では、シールド掘削方向に向かって、Pca中壁を設置するためのアンカー孔を設けたトンネル内接地面に、スペーサを順に設置する。
そして、上述の1サイクルを一定の施工区間(1スパン)毎に繰り返して、シールド掘削方向に順々に、Pca中壁を設置固定していくことになる。
ステップ1では、シールド掘削方向に落とし孔を設けたRC側壁およびPca中壁に、Pca床版を設計上のレベル位置に設置できるよう、正しいレベル位置にスペーサを順に設置する。並行して、床版架設クレーンを使って床版運搬台車からPca床版を持ち上げて長手方向前方(矢印方向)へ移動する。
そして、上述の1サイクルを一定の施工区間(1スパン)毎に繰り返して、シールド掘削方向に順々に、Pca床版を設置固定していくことになる。
ステップ1では、1施工区間(1スパン)毎に、設置固定した3径間の両側のPca床版に対して双方を接続する接合部を構築するために、鉄筋を組み立てる。
また、図16に、伸縮支柱が伸びた状態時の横断方向の接合部型枠を拡大して示し、図17に、第2の貫通孔の部分における接合部型枠の長手方向の断面形状を拡大して示す。
ここで、大引き材は、間に隙間を有する2本の桁材を上下方向に背合わせにした構造である。せき板は、大引き材の上部に根太材を介して固定されている。また、吊り棒は予めPca床版の第二の貫通孔に設置し、ここに接合部型枠を上昇させた場合に、大引き材の隙間をこの吊り棒が貫通し、その後、大引き材の下面に設けた有孔プレートを介してナットによって接合部型枠を吊り棒に保持、固定する。
そして、上述の1サイクルを1施工区間(1スパン)毎に繰り返して、接合部を構築していく。ここで、向かい合うPca床版上には、往路復路のトラックミキサー車の搬送路が、その下方には、往路復路のセグメントの搬送路が、それぞれ確保できる。
本発明の実施例3として、Pca床版の設置に用いる床版架設クレーンの構造及びそれによるPca床版の架設手順を説明する。
図18は、Pca床版架設時に使用する床版架設クレーンの三面図である。図18の(a)は、床版架設クレーンの平面図、(b)は、側面図(横断方向から見た図)、(c)は、左図が(b)のA断面から前方側(図の左方側)の正面図で、右図が(b)のB断面から前方側(図の左方側)の正面図である。A断面では、下段脚が上部フレームからY字状に、上方から下方に中央へ寄るように勾配を設け、下に延び、車輪を設けた下段サドルと接合している。B断面では、4本の上段脚が上部フレームから鉛直に下に延び車輪を設けた上段サドルと接合し、上段サドル巾に対し下段サドル巾は縮小している。上部フレームには、クレーンサドルが載置され、上部フレーム上を長手方向に移動する。また、クレーンサドルには、クレーンガーダを介してトロリが載置されクレーンガーダ上を横断方向に移動する。
13…支承ゴム、14…拡厚部、15…落とし棒用の貫通孔、16…吊り棒用の貫通孔、
17…ゲージ板、18…床版運搬台車レール、19…落とし孔、20…落とし棒、
21…吊り棒、22…スペーサ、23…交差筋
Claims (2)
- トンネル内に設置するPca中壁であって、
支持部およびアーチ部から構成され、長手方向に当該Pca中壁を連続的に立設することで前記支持部それぞれの間の前記アーチ部の下方側に概半円のアーチ状開口を形成し、
前記支持部または前記アーチ部のいずれかを横断方向に鉛直に分断した形状を当該Pca中壁の鉛直端面とし、
向かい合う前記鉛直端面の間に連続するU字状空間を当該Pca中壁の上端側に形成した構造を有し、
Pca床版を載置する当該Pca中壁の載置面に、前記Pca床版を鉛直に貫通する貫通孔と正対する落とし孔を有する
ことを特徴とするPca中壁。 - 請求項1に記載のPca中壁の設置接続方法であって、
前記Pca中壁を長手方向に連続してインバート上に立設し、隣接する前記Pca中壁の前記U字状空間にコンクリートを充填して当該隣接する前記Pca中壁双方を長手方向に一体化する
ことを特徴とするPca中壁の設置接続方法。
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