JP6400134B2 - 超音波探傷装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献1の場合には、一方のアレイ探触子の測定結果を用いて他方のアレイ探触子の送信条件を補正している。このため特許文献1では第3図のように、試験体の搬送方向に対してそれぞれのアレイ探触子がオフセットしているので、試験体の進行方向において、一方のアレイ探触子と他方のアレイ探触子との間で試験体に曲りが有る場合に、補正量が曲りの影響を受けてしまい、補正精度の低下するおそれがあるという課題がある。
長手形状をなし長手方向へ搬送される試験体に向けて超音波を送受信するアレイ探触子と、
前記超音波として前記試験体の位置検出用の複数の位置検出走査線を前記アレイ探触子に送信させると共に、前記試験体の表面で反射したそれぞれの前記位置検出走査線を前記アレイ探触子に受信させることにより、それぞれの前記位置検出走査線の既知である送信位置と、前記試験体の表面の反射位置との間の2点間距離を計算し、
複数の前記送信位置と、それぞれの前記送信位置に対応する前記2点間距離とに基づいて、前記アレイ探触子に対する前記試験体の位置を示す試験体位置を決定し、
決定した前記試験体位置に応じて、前記アレイ探触子が送受信する探傷用の前記超音波である探傷走査線の送信条件と受信条件とを示す送受信条件を決定する制御部と
を備える。
図1は、試験体30と、アレイ探触子19a等との位置関係を示す図である。図2の左側はアレイ探触子19a等及び試験体30を図1のX方向から見たX方向矢視を示し、図2の右側は超音波探傷装置10のハードウェア構成を示している。図1は側面図に相当し、図2の左側は正面図に相当する。図2のように、複数のアレイ探触子19a等は、試験体30のまわりに配置されている。複数のアレイ探触子19a等は、超音波ビーム(走査線)を発する。なお、図1ではアレイ探触子19b、19dは省略している。
図2のように、複数のアレイ探触子19a等は、試験体30のまわりに配置されている。超音波探傷装置10は、ハードウェア構成として、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、送受信部14、アレイ探触子19a、19b、19c、19dを備えている。プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、送受信部14は、バス15で接続されている。
制御部110は、超音波として試験体の位置検出用の複数の位置検出走査線(ステップS11で後述する)をアレイ探触子に送信させると共に、試験体の表面で反射したそれぞれの位置検出走査線をアレイ探触子に受信させることにより、それぞれの位置検出走査線の既知である送信位置と、試験体の表面の反射位置との間の2点間距離を計算する。そして制御部110は、複数の送信位置と、それぞれの送信位置に対応する2点間距離とに基づいて、アレイ探触子に対する試験体の位置を示す試験体位置を決定する。制御部110は、決定した試験体位置に応じて、アレイ探触子が送受信する探傷用の超音波である探傷走査線の送信条件と受信条件と示す送受信条件を決定する。
図3〜図17を参照して、超音波探傷装置10の制御部110による、試験体30の芯ずれ量の計算と、探傷走査線の送受信条件の補正方法とを説明する。アレイ探触子では、制御部110による、送受信素子の選択及び各種の送受信設定に従って、1本の走査線が形成される。指定された探傷方式に従って、垂直探傷に使用される図3に示す垂直走査線、斜角探傷に使用される図4に示す斜角走査線などの探傷用の探傷走査線がアレイ探触子から送信され、超音波探傷が行われる。
図5は、スキャンとステップとの関係を示す図である。本実施の形態では、1スキャンとは、一つのアレイ探触子において複数の走査線を順次送信する一巡をいう。図5では、走査線A→走査線B→走査線C→走査線Dが一巡である例を示している。なお、走査線A、走査線Bの内容は、それぞれ探傷走査線1と探傷走査線2であるが、走査線C、走査線Dの内容は、それぞれ、探傷走査線3及び位置検出走査線X、位置検出走査線Yである。1スキャンの次は、次の1スキャンとなるが、次の1スキャンも走査線A→走査線B→走査線C→走査線Dの一巡である。このように、走査線の一巡(走査線A〜走査線D)をスキャンと称し、スキャン中の各走査線による探傷をステップと称する。図5では、前記のように探傷走査線3と位置検出走査線Xとの両方を送信するステップ<3>と、位置検出走査線Yのみを送信するステップ<4>と含む。1スキャンには、探傷走査線と位置検出走査線との両方を送信するステップと、位置検出走査線のみを送信するステップとの両方が存在してもよいし、いずれか一方のみが存在してもよい。ステップ<3>のように、探傷走査線3と位置検出走査線Xとの両方を送信する場合、位置検出走査線Xに使用する素子には、通常、探傷走査線3を生成する素子は使用しない。
図5の例のように、ステップ<1>は素子1〜素子20の20個の素子を送信制御することにより一本の探傷走査線1を生成する工程である。ステップ<2>は、素子21〜素子40を送信制御することにより一本の探傷走査線2を生成する工程である。ステップ<3>は、素子41〜素子60を送信制御することにより一本の探傷走査線3を生成し、かつ、素子20を送信制御することにより一本の位置検出走査線Xを生成する工程である。ステップ<4>は、素子dを送信制御することにより一本の位置検出走査線Yを生成する工程である。
(1)制御部110は、それぞれのアレイ探触子の送受信条件を、他のアレイ探触子とは独立に送受信条件を補正する。このため、以下の説明ではアレイ探触子はアレイ探触子19aとする。アレイ探触子19aの説明は、アレイ探触子19b〜19dにも当てはまる。
(2)また、以下の説明では特に断りのない限り、試験体30は丸棒31とする。
(3)図6の動作の主体は制御部110である。なお超音波の送受信は、制御部110が、送受信部14及びアレイ探触子19aを介して行う。
超音波探傷装置10では、垂直・斜角の各種探傷を行う探傷走査線とは別に、アレイ探触子19aと丸棒31との相対位置関係を特定するための位置検出走査線を使用する。この位置検出走査線は、図5の説明で述べたように、1スキャン中の探傷走査線のステップにおいて送受信され、あるいは位置走査線の単独のステップで送受信される。位置検出走査線に関しては、探傷走査線とは超音波的に相互に影響を与え合わないように、制御部110によって、位置検出走査線を送信受信する素子及び位置検出走査線の送受信タイミングが調整され、制御部110によって、探傷走査線とは独立して、位置検出走査線の送受信が行われる。本実施の形態では、制御部110は、位置検出走査線を、1素子のみで送受信させるものとするが、これに限定されるものではない。
図7に示すように、位置検出走査線によって得られる材料表面エコー(位置検出走査線ED)からは、丸棒31の芯ずれ量の有無に関わらず、励振した素子の位置(送信位置)と、丸棒31の中心とを結んだ直線上での、素子と材料表面の線分に等しい経路に相当する伝搬時間が得られる。この理由は、素子を振動させた場合には、超音波は球面波として広い指向性を有して伝搬するからである。この結果、丸棒31の中心を通過する成分が最も伝搬時間が短くなる。
一方、探傷に用いる探傷走査線は複数の素子を同時に駆動して生成するが、この場合、探傷走査線は狭い指向性になる。指向角は以下の式で求められる。
指向角=Kλ/D
K:指向角係数、
λ:波長。
D:素子の寸法。
上記の伝搬時間から、素子位置(送信位置)と丸棒31中心とを結んだ直線上における、素子と丸棒31の表面との距離がわかる。
図8、図9は一つのアレイ探触子に対する丸棒31の芯ずれの検出を示す図である。一つのアレイ探触子に対し、図8に示すように、複数本(n本)の位置検出走査線を使用することにより、図9の結果を取得する。図9の(a)は丸棒31に芯ずれのない場合を示し、図9の(b)は丸棒31に芯ずれがある場合を示す。図9の(a)及び(b)の横軸は位置検出走査線を示し、縦軸は、位置検出走査線を送受信する素子位置(送信位置)と、丸棒31での反射位置との距離を示す。図9の結果から、数値計算あるいは芯ずれ量テーブル13aにより、一つのアレイ探触子に対する丸棒31の相対位置(芯ずれ量)を得ることができる。
図10は、芯ずれ量の計算を行う現在のステップ(走査線A(i+5))から1スキャン分だけ遡る場合を示す。1スキャンは図5と同じとする。つまり、1スキャンでは走査線Aから走査線Dが送信される。図10では現在のステップ(走査線A(i+5))に対して、走査線Dから走査線Aまで4ステップだけ遡る。1スキャンにおいて、複数の位置検出走査線エコーEDが取得されるとする。少なくとも異なる2本の位置検出走査線エコーEDが取得されるとする。
制御部110は、芯ずれ量を計算から求めるか、芯ずれ量テーブル13aを使用して芯ずれ量を求めるか判定する。制御部110は以下のように判定する。制御部110は探傷開始前に指定される条件コードから判定する。条件コードとは、芯ずれ量を計算で求めるか、芯ずれ量テーブル13aを使用して求めるかを指定するコードである。制御部110には条件コードが予め設定されている。
あるいは別の判定方法として、探傷装置の手前に丸棒31(試験体)の通過速度(搬送速度)を測定する速度測定装置を配置する。制御部110は、速度測定装置の測定した丸棒31の速さを受信し、予め設定されている閾値と速さを比較し、速さが閾値以下の場合は芯ずれ量を計算から求め、速さが閾値を超える場合には芯ずれ量テーブル13aを使用して芯ずれ量を求める。
制御部110は、芯ずれ量を計算から求める。N個の位置検出走査線エコーEDと、丸棒31との位置関係は、図11のように、位置検出走査線を送受信した素子の位置を中心とし、半径rがその位置検出走査線エコーEDである円に、外接するように丸棒31(丸棒31の断面の円)が位置する事になる。この位置関係を利用して、制御部110は、数値計算を行い、数値計算から芯ずれ量(△x,△y)を求めることができる。半径r1等は、各素子の送信位置と丸棒31の表面の反射位置との間の2点間距離である。芯ずれ量(△x,△y)は、この例では、アレイ探触子19aに対する丸棒31の既知である正規位置としての中心を座標(0,0)とした場合の、実際の丸棒31の中心座標である。つまり、アレイ探触子19aに対する丸棒31の正規位置における、丸棒31の搬送方向41を法線方向とする断面の中心の座標を(0,0)とする。座標(0,0)に対して、アレイ探触子19aによって検出された丸棒31の中心が座標(△x,△y)であり、この座標が芯ずれ量を示す。この場合、座標(△x,△y)が試験体の正規位置からの位置ずれ量である試験体位置である。
制御部110は、位置ずれ量テーブルの例である芯ずれ量テーブル13aを使用して、芯ずれ量(△x,△y)を求める。
図12は芯ずれ量テーブル13aを示す図である。芯ずれ量テーブル13aは補助記憶装置13に格納されている。一番上の行のED1〜EDNは、位置検出走査線1〜位置検出走査線Nに対する、素子の位置と丸棒31の反射位置との間の2点間距離を示す。なお、ED1〜EDNは、2点間距離のかわりに位置検出走査線1〜位置検出走査線Nのそれぞれの送信時刻から受信時刻までの時間でもよい。2行目から下は、ED1〜EDNのそれぞれの範囲と、芯ずれ量(△x,△y)との対応を示す。a、b等は数値を示すものとする。例えば2行目は、ED1〜EDNのそれぞれが、a〜b、c〜d、e〜fの範囲に属する場合に、芯ずれ量(△x,△y)が(△x1,△y2)になることを示し、3行目は、ED1〜EDNのそれぞれ、g〜h、i〜j、k〜lの範囲に属する場合に、芯ずれ量(△x,△y)が(△x2,△y2)になることを示している。制御部110は、ステップS12で取得した位置検出走査線EDからED1〜EDNの値を求め、求めた値から図12の芯ずれ量テーブル13aを参照して、芯ずれ量(△x,△y)を決定する。なお、制御部110は、ステップS14aあるいはステップS14bで求めた芯ずれ量(△x,△y)が閾値を超える場合、警報部111を用いて警報を発する。
制御部110は、探傷走査線の送受信条件の補正量を、求めた芯ずれ量を用いて計算で求めるか、または求めた芯ずれ量を用いて送受信条件テーブル13bを使用して求めるか判定する。判定方法はステップS13と同じである。なお、条件コードと閾値は、テップS13と同じでもよいし、ステップS15に特有の、条件コード及び閾値を用いてもよい。制御部110は、芯ずれ量(△x,△y)を用いることにより、垂直走査線および斜角走査線に対して、芯ずれ量(△x,△y)に応じた補正を行う。制御部110が芯ずれ量(△x,△y)を用いた計算によって補正量(後述の遅延時間)を求め、あるいは芯ずれ量(△x,△y)から補正量が求まる送受信条件テーブル13bを用いて、計算によらず補正量(遅延時間)を求める。
制御部110は、送受信条件の補正量であるビーム制御のための遅延時間を、数値計算で求める。
図13は、制御部110が計算によって送受信条件を求める場合を模式的に説明する図である。図13を参照してステップ16aを説明する。丸棒31に芯ずれ量が有る場合、各走査線から目標位置までの距離に、距離差△Rが生じる。図13では5本の走査線を示しており、2本の走査線について距離差△Ri及び距離差△Ri−1を示している。図13において、実線の円が丸棒31の正規の位置(芯ずれのない)である。破線の円が芯ずれ位置の丸棒31を示す。正規の丸棒31の中心はアレイ探触子19aの表面19a−1の曲率中心でもある。一点鎖線19a−2は、芯ずれ位置の丸棒31からみた場合の表面19a−1に相当する。よって、芯ずれ位置の丸棒31の中心31aと、一点鎖線19a−2との距離はRに等しい。中心31aと、各走査線の矢印先端との距離がRである。そして、中心31aと表面19a−1との距離からRを引いたものが、それぞれの走査線の距離差△Rである。それぞれの走査線の距離差を△Ri,△Ri−1,△Ri−2・・・とする。
制御部110は、送受信条件における送信遅延時間を、例えば以下の式で求める。
送信遅延時間=(△Rk−△Rk−1)/音速。
ここでの(△Rk−△Rk−1)は隣接する走査線どうしの距離差△Rの差を意味しており、例えば、(△Ri−△Ri−1)あるいは(△Ri−1−△Ri−2)などである。受信遅延時間は送信遅延時間と同じ値を用いることができる。
ビーム制御のための遅延時間は、一般的には数値計算で求めるが、処理の高速化のため、あらかじめ芯ずれ量(△x,△y)に対するビーム制御(走査線制御)のための遅延時間が登録されている送受信条件テーブル13bを使用する。送受信条件テーブル13bは補助記憶装置13に格納されている。
図14は、送受信条件テーブル13bを示す図である。送受信条件テーブル13bは、芯ずれ量(△x,△y)と送受信条件との対応を示す。A,B等は送受信条件を示す。例えば、芯ずれ量(△x,△y)が(0.5mm,0mm)の場合、送受信条件がBとなる。送受信条件のBは、それぞれの探傷走査線を形成する各素子について、送信遅延時間と受信遅延時間とが規定されている。送受信条件テーブル13bにおける送受信条件Bでは、例えば図5で述べた探傷走査線1をつくる素子1〜素子20について、素子1〜素子0のそれぞれの送信遅延時間と受信遅延時間とが、*1〜*20、及び**1〜**20になることが定義されている。*1、**1等は数値を示すとする。図5で述べた探傷走査線2及び探傷走査線3を形成する素子21〜素子40、素子41〜素子60についても同様である。制御部110は、ステップS16aあるいはステップS16bで取得した芯ずれ量(△x,△y)から、送受信条件テーブル13bを用いて送受信条件を決定する。制御部110は送受信条件テーブル13bによって、芯ずれ量(△x,△y)に対する適切な送受信条件(遅延時間)を高速に選択できる。
制御部110は、ステップS16aあるいはステップS16bで求めたビーム制御条件(遅延時間)を、図10で説明したように、そのステップの次のステップのビーム制御条件に反映する。
図15は計算例1の場合を示す。図15では実線の円が正規の丸棒31の位置を示し、一点鎖線の円が芯ずれ時の丸棒31を示す。破線を含む円はアレイ探触子の曲率半径Rを半径とする円を示し、この円の中心は正規の丸棒31の中心と一致する。
図16は計算例2の場合を示す。図15及び図16は、芯ずれ量(△x,△y)を求める計算方法の例を示す。
まず図15を説明する。偏芯時の丸棒31の仮想中心(△x,△y)を以下で求める。仮想中心点(△x,△y)が芯ずれ量(△x,△y)となる。定められた任意の2点あるいは3点(座標が明確な点)で超音波を送受信する。これらの点は位置検出走査線を送受信する各素子の送信位置である。制御部110は、この送受信結果から、制御部110は、距離L1と距離L2(3点の場合はさらに距離L3)を取得する。距離L1等は素子と丸棒31表面との2点間距離である。制御部110は、仮想中心点(△x,△y)の象限を特定する。制御部110は、下記の式1、式2(3点の場合はさらに式3)の連立方程式から、丸棒31の中心座標(偏芯量)を算出する。芯ずれ量テーブル13a、送受信条件テーブル13bを使用する場合は以下のようである。制御部110は芯ずれ量テーブル13aと送受信条件テーブル13bを検索する。制御部110は送受信条件テーブル13bのプリセットデータ(芯ずれなし状態)を送受信部14に自動設定し、送受信部14は次の送受信タイミング(次のステップ)で送受信条件(照射方向)を更新して送受信する。
(r+L1)2=(X−△x)2+(Y+△y)2 (式2)
(r+L3)2=(△x)2+(Y+Y’+△y)2 (式3)
ここでY’=R−Y、
座標軸の原点(0,0)は、アレイ探触子に対する丸棒31の正規の位置における丸棒31中心である。
L1,L2,L3:各素子と丸棒31表面との距離、
r:丸棒31の半径、
X及びY:各素子の位置、
R:アレイ探触子の表面の曲率半径。
(1)丸棒31の半径rが既知の場合
制御部110は、式1と式2の連立により、2つの未知数である△x、△yを求める。
(2)丸棒31の半径rが未知の場合
制御部110は、式1〜式3の連立により、3つの未知数である△x、△y及びrを求める。
図16を参照して計算例2を説明する。図16でも実線の円が正規の丸棒31の位置を示し、一点鎖線の円が芯ずれ時の丸棒31を示す。破線を含む円はアレイ探触子の曲率半径Rを半径とする円を示し、この円の中心は正規の丸棒31の中心と一致する。図16において上から3つめの素子mの位置検出走査線mに関しては,芯ずれ時の丸棒31の中心からみた、素子mまでの水平距離及び垂直距離は、
<△x+Rcosθm、△y+Rsinθm>である。
位置検出走査線mが芯ずれ時の丸棒31の表面と交差する際の、芯ずれ時の丸棒31の中心と交際する点との水平距離及び垂直距離は、
<r×cosφm、r×sinφm>
である。ここで、
θm≒φmとすると、
<r×cosθm、r×sinθm>と書ける。
従って、直角三角形mbcに三平方の定理を適用すると、
(Lm)2=(△x+(R−r)cosθm)2+(△y+(R−r)sinθm)2 (式4)
が成立する。制御部110は、Lm及びθm違いの3点の素子に対して式4を立てることで、3つの式から未知数(△x、△y、r)を求めることができる。
Lm:素子aと芯ずれ時の丸棒31表面との検出距離、
φm:素子aと芯ずれ時の丸棒31中心との成す角、
θm:素子aと正規位置の丸棒31中心との成す角、
r:丸棒31の半径。
丸棒31以外の例として、試験体30として、断面が四角形の角材32の場合を説明する。
図17、図18は角材32の場合を説明する図である。図17に示す角材32の場合は、位置検出走査線は球面波ではなく、探傷走査線と同様の狭い指向性のものを使用する。
図17のように、アレイ探触子33では、複数の素子の配置される面は曲面ではなく平面である。図18はアレイ探触子33による検出結果を示し、図9の(a)あるいは(b)に対応する。図18は、アレイ探触子33において複数の素子が配置された配置面33aと角材表面32aとの、配置面33aに対する垂直方向(Y方向)の距離を示す。制御部110は、図18の検出結果を用いて、探傷走査線の送受信条件を決定することができる。
(1)超音波探傷装置10ではアレイ探触子ごとに送受信条件を補正している。よって、超音波探傷装置10は、複数のアレイ探触子の配置によるアレイ探触子の相対位置ずれ及びアレイ探触子において素子が配置される曲面の曲率半径Rの製造誤差の影響を受けずに探傷を行うことができる。
(2)超音波探傷装置10ではアレイ探触子ごとに送受信条件を補正している。よって、試験体30に曲りがある場合でも、送受信条件の補正に曲りの影響を受けることはない。つまり曲りの影響を反映した送受信条件の補正ができる。
(3)超音波探傷装置10は、数値計算により丸棒31の径を求めることができる。よって、この場合は丸棒31の製造誤差が芯ずれ量算出に影響を受けない。
(4)一つのアレイ探触子を用い、丸棒31を回転させながら搬送させて一つのアレイ探触子で探傷する場合にも、丸棒31の周囲に円周状に複数のアレイ探触子を配置する探傷と同様の探傷を行える。この場合でも芯ずれ補正を行うことができる。
Claims (8)
- 長手形状をなし長手方向へ搬送される試験体に向けて超音波を送受信するアレイ探触子と、
前記超音波として前記試験体の位置検出用の複数の位置検出走査線を前記アレイ探触子に送信させると共に、前記試験体の表面で反射したそれぞれの前記位置検出走査線を前記アレイ探触子に受信させることにより、それぞれの前記位置検出走査線の既知である送信位置と、前記試験体の表面の反射位置との間の2点間距離を計算し、
複数の前記送信位置と、それぞれの前記送信位置に対応する前記2点間距離とに基づいて、前記アレイ探触子に対する前記試験体の位置を示す試験体位置を決定し、
決定した前記試験体位置に応じて、前記アレイ探触子が送受信する探傷用の前記超音波である探傷走査線の送信条件と受信条件と示す送受信条件を決定する制御部と
を備える超音波探傷装置。 - 前記アレイ探触子は、複数の素子を有し、
前記制御部は、
それぞれの前記位置検出走査線を、一つの前記素子によって送受信させる請求項1に記載の超音波探傷装置。 - 前記制御部は、
前記アレイ探触子に対する前記試験体の既知である正規位置からの前記試験体の位置ずれ量を、前記試験体位置として決定し、
決定した前記位置ずれ量に応じて、前記探傷走査線の前記送受信条件を決定する請求項1または請求項2に記載の超音波探傷装置。 - 前記制御部は、
前記位置ずれ量を、複数の前記2点間距離を使用する計算から求めて決定する請求項3に記載の超音波探傷装置。 - 前記制御部は、
前記送受信条件を、前記位置ずれ量を使用する計算から求めて決定する請求項3または請求項4に記載の超音波探傷装置。 - 前記制御部は、
前記位置ずれ量を、複数の前記2点間距離から前記位置ずれ量を決定可能な位置ずれ量テーブルを使用して決定する請求項3に記載の超音波探傷装置。 - 前記制御部は、
前記送受信条件を、前記位置ずれ量から前記送受信条件を決定可能な送受信条件テーブルを使用して決定する請求項3または請求項6に記載の超音波探傷装置。 - 前記制御部によって決定された前記位置ずれ量が閾値を超える場合に警報を出力する警報部を備える請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
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JP2017011054A JP6400134B2 (ja) | 2017-01-25 | 2017-01-25 | 超音波探傷装置 |
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