JP6398835B2 - 回転電機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、界磁巻線型の回転電機を制御する制御装置に関する。
車両において、回生発電を行う発電機と、内燃機関の始動用トルクを発生させる電動機とを兼ねる界磁巻線型の回転電機(ISG: Integrated Starter Generator)が用いられている。このような発電機と電動機とを兼ねる回転電機の界磁巻線では、界磁電流の時定数が大きく、界磁電流の立ち上がりに時間を要し、トルク要求に対する応答性が低下するという問題点が知られている。
この問題点を解消すべく、界磁電流の給電開始時と同時以前から界磁電流による界磁磁束とは反対方向の磁束が発生するように電機子巻線にd軸電流を流すことで、界磁巻線の自己インダクタンスを打ち消し、また、界磁電流を立ち上げる方向に電磁誘導を行う構成が特許文献1に記載されている。
特開2004−144019号公報
ISGを適用する場合に、ISGをモータとして駆動するインバータ回路と電源との間の平滑コンデンサを省略する構成が用いられることがある。平滑コンデンサを省略する構成では、インバータ回路におけるリンギングを抑制するために、パルス幅変調制御に代えて、矩形波駆動を行うことが好ましい。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、矩形波駆動を実施する回転電機の制御装置において、d軸電流を負の方向に増加させることで、界磁電流を高応答に立ち上げる制御を実施することを主たる目的とする。
本発明は、回転電機(10)に電力を供給するインバータの複数の半導体スイッチング素子(SUp1〜SWn2)を、前記回転電機の電気角の回転周期における所定の通電期間にわたって、それぞれオン状態とする矩形波駆動を実施する回転電機の制御装置(40)であって、前記回転電機は、界磁巻線(11)を有する回転子(12)と、3相以上の電機子巻線(10a,10b)を有する固定子(13)と、を備え、前記回転電機に対するトルク指令値の増加に伴う前記界磁巻線に流れる界磁電流の増加の開始後において、前記界磁電流による界磁磁束とは反対方向の磁束が発生する向きで前記電機子巻線に流れるd軸電流を増加させるために、前記複数の半導体スイッチング素子の前記通電期間をそれぞれ進角方向に進める制御を実施する。
進角方向に通電期間を進めることで、印加電圧の位相を進角させ、回転電機に流れる相電流を進角させる。これにより、d軸電流を負の方向に増加させ、界磁電流を増加させる構成とした。つまり、矩形波駆動を実施する回転電機の制御装置において、d軸電流を負の方向に増加させることで、界磁電流を高応答に立ち上げる制御を実施することが可能となる。
本実施形態の電気的構成図。 モータをdq軸モデルで表した図。 進角方向に通電期間を120度から180度へ増加させる制御を表す図。 本実施形態及び従来技術におけるdq軸電流の変化を表すタイミングチャート。 本実施形態及び従来技術における界磁電流の変化を表すタイミングチャート。 本実施形態及び従来技術における出力トルクの変化を表すタイミングチャート。 本実施形態及び従来技術におけるインバータの入力電流を表すタイミングチャート。
以下、本発明にかかる制御装置を車載主機としてエンジンを備える車両に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、モータ10は、多相多重巻線を有する巻線界磁型回転電機であり、具体的には、3相2重巻線を有する巻線界磁型同期モータ(3相回転電機)である。本実施形態では、モータ10として、スタータ及びオルタネータ(発電機)の機能を統合したISG(Integrated Starter Generator)を想定している。
特に本実施形態では、エンジン20の初回の始動に加えて、所定の自動停止条件が成立する場合にエンジン20を自動停止させ、その後、所定の再始動条件が成立する場合にエンジン20を自動的に再始動させるアイドリングストップ機能を実行する場合にも、モータ10がスタータとして機能する。
モータ10を構成するロータ12(回転子)は、界磁巻線11を備え、また、エンジン20のクランク軸20aと動力伝達が可能とされている。本実施形態において、ロータ12は、ベルト21を介してクランク軸20aに連結(より具体的には直結)されている。
モータ10のステータ13(固定子)には、2つの電機子巻線群(以下、第1巻線群10a、第2巻線群10b)が巻回されている。巻線群10a,10bに対して、ロータ12が共通とされている。第1巻線群10a及び第2巻線群10bのそれぞれは、異なる中性点を有する3相巻線からなる。なお、本実施形態では、第1巻線群10aを構成する巻線のそれぞれのターン数N1と、第2巻線群10bを構成する巻線のターン数N2とを等しく設定している。
モータ10には、第1巻線群10a及び第2巻線群10bのそれぞれに対応した2つのインバータ(以下、第1インバータINV1、第2インバータINV2)が電気的に接続されている。詳しくは、第1巻線群10aには、第1インバータINV1が接続され、第2巻線群10bには、第2インバータINV2が接続されている。第1インバータINV1及び第2インバータINV2のそれぞれには、共通の直流電源である高圧バッテリ22が並列接続されている。高圧バッテリ22には、昇圧型DCDCコンバータ23によって昇圧された低圧バッテリ24の出力電圧が印加可能とされている。低圧バッテリ24(例えば、鉛蓄電池)の出力電圧は、高圧バッテリ22(例えば、リチウムイオン蓄電池)の出力電圧よりも低く設定されている。
第1インバータINV1は、第1のU,V,W相高電位側スイッチSUp1,SVp1,SWp1と、第1のU,V,W相低電位側スイッチSUn1,SVn1,SWn1との直列接続体を3組備えている。U,V,W相における上記直列接続体の接続点は、第1巻線群10aのU,V,W相の端子に接続されている。本実施形態では、各スイッチSUp1〜SWn1として、NチャネルMOSFETを用いている。そして、各スイッチSUp1〜SWn1にはそれぞれ、ダイオードDUp1〜DWn1が逆並列に接続されている。なお、各ダイオードDUp1〜DWn1は、各スイッチSUp1〜SWn1のボディーダイオードであってもよい。また、各スイッチSUp1〜SWn1(半導体スイッチング素子)としては、NチャネルMOSFETに限らず、例えばIGBTであってもよい。
第2インバータINV2は、第1インバータINV1と同様に、第2のU,V,W相高電位側スイッチSUp2,SVp2,SWp2と、第2のU,V,W相低電位側スイッチSUn2,SVn2,SWn2との直列接続体を3組備えている。U,V,W相における上記直列接続体の接続点は、第2巻線群10bのU,V,W相の端子に接続されている。本実施形態では、各スイッチSUp2〜SWn2として、NチャネルMOSFETを用いている。そして、各スイッチSUp2〜SWn2にはそれぞれ、ダイオードDUp2〜DWn2が逆並列に接続されている。なお、各ダイオードDUp2〜DWn2は、各スイッチSUp2〜SWn2のボディーダイオードであってもよい。また、各スイッチSUp2〜SWn2(半導体スイッチング素子)としては、NチャネルMOSFETに限らず、例えばIGBTであってもよい。
第1,第2インバータINV1,INV2の高電位側の端子(各高電位側スイッチのドレイン側の端子)には、高圧バッテリ22の正極端子が接続されている。低電位側の端子(各低電位側スイッチのソース側の端子)には、高圧バッテリ22の負極端子が接続されている。
界磁巻線11には、界磁回路36によって直流電圧が印加可能とされている。界磁回路36は、界磁巻線11に印加する直流電圧を調整することにより、界磁巻線11に流れる界磁電流Ifを制御する。
本実施形態にかかる制御システムは、回転角センサ30、電圧センサ31、界磁電流センサ32、及び相電流検出部33を備えている。回転角センサ30は、モータ10の回転角(電気角θ)を検出する回転角検出手段である。電圧センサ31は、第1,第2インバータINV1,INV2の電源電圧を検出する。界磁電流センサ32は、界磁巻線11に流れる界磁電流Ifを検出する。相電流検出部33は、第1巻線群10aの各相電流(固定座標系における第1巻線群10aに流れる電流)と、第2巻線群10bの各相電流を検出する。なお、回転角センサ30としては、例えばレゾルバを用いることができる。また、界磁電流センサ32及び相電流検出部33としては、例えば、カレントトランスや抵抗器を備えるものを用いることができる。
上記各種センサの検出値は、制御装置40に取り込まれる。制御装置40は、中央処理装置(CPU)やメモリを備え、メモリに格納されたプログラムをCPUにて実行するソフトウェア処理手段である。制御装置40は、モータ10の制御量をその指令値に制御すべく、これら各種センサの検出値に基づき、第1インバータINV1及び第2インバータINV2を操作する操作信号を生成して出力する。ここで、力行時におけるモータ10の制御量は、クランク軸20aに出力される出力トルクTであり、その指令値は、トルク指令値T*である。
界磁巻線型のモータ10の出力トルクTは、
T=2Pn{Mf・If・Iq+(Ld−Lq+Md−Mq)Id・Iq}
と表すことができる。Pnはロータ12の極対数、Mfはロータ12・ステータ13間の相互インダクタンス、Ifは界磁電流、Idはd軸電流、Iqはq軸電流、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンスである。なお、d軸電流Id及びq軸電流Iqは、第1巻線群10a、及び、第2巻線群10bにそれぞれ流れるd軸電流及びq軸電流である。つまり、モータ10は、界磁電流If、d軸電流Id、及び、q軸電流Iqを適切に調整することで、出力トルクTを制御することができる。
制御装置40は、界磁巻線11に流れる界磁電流If及び電機子巻線群10a,10bに流れる相電流を調整することで、モータ10の出力トルクTをトルク指令値T*に近づける制御を行うことができる。ここで、ロータ12の界磁巻線11は、ステータ13の電機子巻線群10a,10bに比べて、ターン数が多く、リアクタンス値が大きく、回路の時定数が大きい。このため、界磁電流Ifの立ち上がりは、相電流に比べて遅く、出力トルクTの応答性が低下する。
そこで、本実施形態の構成では、d軸電流Idを時間変化させることで、d軸インダクタンスLdによって生じるd軸磁束φdを変化させる。そして、d軸磁束φdの変化によって、界磁巻線11に電磁誘導を生じさせることで、界磁電流Ifと同じ向きに誘導電流ΔIfを流す構成とする。
図2にモータ10をdq軸モデルで表した図を示す。界磁巻線11の自己インダクタンスLfによる界磁磁束φaと、d軸インダクタンスLdによるd軸磁束φdとは、対向して生じる。
界磁巻線11に対する印加電圧をVf、界磁巻線11の抵抗成分である巻線抵抗をRf、微分演算子をsとした場合に、印加電圧Vfを、
Vf=Rf・If+s・Lf・If+s・Mf・Id
と表すことができる。この式を変形することで、界磁電流Ifを、
If=(Vf−s・Mf・Id)/(Lf・s+Rf)
と表すことができる。
ここで、d軸電流Idの寄与により生じる誘導電流ΔIfは、
ΔIf=−(Mf・s(Id))/(Lf・s+Rf)
となる。界磁電流Ifと同じ向き(正の向き)の誘導電流ΔIfを発生させることで、界磁電流Ifの時間遅れを補うことができる。界磁電流Ifを正の値とするには、d軸電流Idに微分演算子を作用させたs(Id)を負の値にすればよい。
つまり、界磁電流Ifによる界磁磁束φaとは反対方向のd軸磁束φdが発生する向きでd軸電流Idを増加させることで、界磁電流Ifを増加させることができる。さらに、d軸電流Idを急峻に増加させることで、効率的に誘導電流ΔIfを発生させることができる。
本実施形態のモータ10は、インバータINV1,INV2と高圧バッテリ22との間の平滑コンデンサを省略する構成としている。このような平滑コンデンサを省略する構成では、インバータINV1,INV2におけるリンギングを抑制するために、パルス幅変調制御に代えて、矩形波駆動を行うことが好ましい。
本実施形態の制御装置40は、モータ10に電力を供給するインバータINV1,INV2のスイッチSUp1〜SWn2を、モータ10の電気角の回転周期における所定の通電期間にわたって、それぞれオン状態とする矩形波駆動を実施する。さらに、制御装置40は、巻線群10a,10bに印加される電圧(印加電圧)の振幅を一定値にするとともに印加電圧の位相δを調整することで、電圧位相制御を実施する。電圧位相制御によって、矩形波駆動においてd軸電流Idを変化させることが可能になる。
ここで、電圧位相制御では、q軸電流Iqとd軸電流Idとを独立して制御することが困難である。このため、スイッチSUp1〜SWn2の通電期間を進角することで、d軸電流Idを負の方向に増加させると、q軸電流Iqが減少することが懸念される。このため、d軸電流Idを負の方向に増加させた場合に、q軸電流Iqが減少することでマグネットトルクが減少し、かえってトルク応答性が悪化するということが懸念される。
そこで、本実施形態の制御装置40は、図3に示すように、各スイッチSUp1〜SWn2の通電期間を120度とした状態から、進角方向に通電期間を増加させる。より具体的には、進角方向に通電期間を60度増加させ、通電期間を120度から180度に増加させる。これにより、印加電圧Vaの実効値を増加させつつ、印加電圧Vaの位相δを進角させることができる。具体的には、印加電圧Vaの実効値を√(3/2)倍とし、印加電圧の位相δを30度進角させることができる。これにより、q軸電流Iqの減少を抑制しつつ、d軸電流Idを負の方向に急峻に増加させることが可能となる。また、通電期間を120度から180度に切り替える際に、モータ10の回転周期におけるオフタイミングを固定する。
さらに、本実施形態では、トルク要求の発生後に、d軸電流Idを0Aにする制御を実施する。その後、通電期間を進角方向に広げる制御を実施することで、d軸電流Idを負の方向に急峻に増加させる。また、界磁電流Ifが、界磁電流指令値If*から、d軸電流Idを負の方向に急峻に増加させることで発生する誘導電流ΔIfを減算した値に達した場合に、通電期間を進角方向に広げる制御を実施する。これにより、界磁電流Ifを応答性よく界磁電流指令値If*に近づけることができる。
図4〜図7を用いて、本実施形態の制御と、従来の制御との比較を行う。図4に本実施形態の制御(実線)、及び、従来の制御(破線)を実施した場合のdq軸電流の変化をタイミングチャートとして示す。従来の制御では、トルク要求の発生後に通電期間180度で、最大トルク制御を実施する。
時刻T0において、トルク要求が発生する。従来の制御では、時刻T0において、各スイッチSUp1〜SWn2の通電幅が180度とされるとともに、最大トルク制御が実施される。これにより、トルク指令値T*の増加に伴って、q軸電流Iqが正の方向に増加するとともに、d軸電流Idが負の方向に増加する。
一方、本実施形態の制御では、時刻T0において、各スイッチSUp1〜SWn2の通電幅が120度とされるとともに、Id=0制御が実施される。これにより、トルク指令値T*の増加に伴ってq軸電流Iqが正の方向に増加する一方、d軸電流Idが0とされる。その後、時刻T1において、通電期間が120度から180度に増加されるとともに電圧位相δが進角されることで、d軸電流Idが急峻に減少する。その後、通電期間180度の状態で最大トルク制御が実施される。
図5に本実施形態の制御(実線)、及び、従来の制御(破線)を実施した場合の界磁電流Ifの変化をタイミングチャートとして示す。
時刻T0において、トルク要求の発生(トルク指令値T*の増加)に伴い、界磁電流Ifの増加が開始する。従来の制御では、時刻T0において、d軸電流Idが増加することで、誘導電流ΔIfが生じる。これにより、界磁電流Ifが急峻に増加する。その後、界磁巻線11の時定数に応じた速度で界磁電流Ifが増加し、時刻T2において、界磁電流Ifが界磁電流指令値If*に達する。
一方、本実施形態の制御では、時刻T0において、Id=0制御が実施されるため、誘導電流ΔIfが生じない。このため、界磁巻線11の時定数に応じた速度で界磁電流Ifが増加していく。その後、時刻T1において、界磁電流Ifが、界磁電流指令値If*から、d軸電流Idを負の方向に急峻に増加させることで発生する誘導電流ΔIfを減算した値に達すると、通電期間を進角方向に広げる制御が実施される。これにより、d軸電流Idが急峻に増加し、誘導電流ΔIfが生じる。誘導電流ΔIfにより、界磁電流Ifが界磁電流指令値If*に達する。このように、本実施形態における制御を実施することで、従来の制御に比べて、界磁電流Ifを界磁電流指令値If*まで高速に立ち上げることができる。
図6に本実施形態の制御(実線)、及び、従来の制御(破線)を実施した場合の出力トルクTの変化をタイミングチャートとして示す。
時刻T0において、トルク要求が発生する。トルク要求の発生に伴い、トルク指令値T*が0から22.5Nmに増加する。従来の制御では、界磁電流Ifの立ち上がり及びq軸電流Iqの立ち上がりに応じて、時刻T0において、出力トルクTが急峻に立ち上がる。その後、緩やかに出力トルクTがトルク指令値T*に近づいていく。
一方、本実施形態の制御では、時刻T0において、従来の制御に比べて緩やかに出力トルクTが立ち上がる。その後、時刻T1において、出力トルクTは、界磁電流Ifの立ち上がりによって急峻に立ち上がり、トルク指令値T*に達する。
図7に本実施形態の制御(実線)、及び、従来の制御(破線)を実施した場合のインバータINV1,INV2の入力電流Idcをタイミングチャートとして示す。
時刻T0において、インバータINV1,INV2の出力電流である相電流Idqが増加する結果、インバータINV1,INV2の入力電流Idcが急増する。ここで、従来制御では、時刻T0において180度通電を実施し、本実施形態の制御では、時刻T0において120度通電を実施する。これにより、本実施形態の制御では、従来制御に比べて、トルク要求の発生後に流れる突入電流を抑制することが可能となる。
以下、本実施形態の作用を述べる。
進角方向に通電期間を進めることで、印加電圧の位相を進角させ、回転電機に流れる相電流を進角させる。これにより、d軸電流を負の方向に増加させ、界磁電流を増加させることができる。さらに、進角方向に通電期間を広げることで、d軸電流Idを負の方向に増加させ、界磁電流Ifを増加させる構成とした。これにより、界磁電流Ifの応答性を向上させることができる。また、進角方向に通電期間を広げる構成では、単純に通電期間を進角する構成と比べて、電機子巻線群10a,10bに印加される電圧振幅が増加する。このため、q軸電流Iqの減少を抑制することができる。つまり、q軸電流Iqの減少を抑制しつつ、d軸電流Idを負の方向に増加させることで、界磁電流Ifを高応答に立ち上げる制御を実施することができる。
本実施形態では、通電期間を120度から180度に切り替える際に、モータ10の回転周期におけるオフタイミングを固定する構成とした。このように回転周期におけるオフタイミングを固定することで、通電期間の増加分をd軸電流Idの増加に寄与させることができ、より効率的に界磁電流Ifの応答性を向上させることができる。
通電当初の通電期間を120度とすることで、駆動開始時における通電期間を180度とする構成に比べて、電機子巻線群10a,10bに流れる突入電流を減少させることができる。
d軸電流Idを0とした後にパルス幅を進角方向に広げる構成とした。このような構成にすることで、d軸電流Idを急峻に負の方向に変化させることが可能になる。
印加電圧Vfを界磁巻線11に印加することで生じる界磁電流Ifの変化は、いわゆるステップ応答波形であるため、界磁電流Ifの増加量は、界磁電流指令値If*と界磁電流Ifとの差に比例する。つまり、界磁電流指令値If*と界磁電流Ifとの差が大きいほど、界磁電流Ifの増加量は大きくなる。そこで、界磁電流If、及び、その指令値If*の差と、界磁電流Ifによる界磁磁束φaとは反対方向の磁束が発生する向きで電機子巻線群10a,10bに流れるd軸電流Idを増加させることによる界磁電流の増加量ΔIfと、が等しくなった場合に、通電期間を進角方向に広げる制御を実施する構成とした。このような構成とすることで、界磁巻線11に印加電圧Vfが印加されることで生じる界磁電流Ifの増加を利用して、界磁電流Ifの応答性を向上させることができる。この構成は、電圧位相δを進角させることで生じる誘導電流ΔIfが、界磁電流Ifと界磁電流指令値If*との差より小さい場合に特に有効である。
本実施形態では、通電期間を進角方向に広げる制御を実施した後、通電期間をそれぞれ広げたまま、モータ10のトルクが最大値となるように電機子巻線群10a,10bに印加される電圧の位相δを制御する構成とした。このように通電期間を広げたまま電圧位相制御を実施することで、電圧利用率を増加させることができ、トルク応答性を向上させることができる。
(他の実施形態)
・上記実施形態では、通電期間を120度から180度に変更する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、180度を超えない範囲で、初期の通電期間を120度より大きくしてもよい。
・電気角の回転周期において、スイッチSUp1〜SWn2のオフタイミングを固定しつつ、通電期間を進角方向に広げる構成としたがこれを変更してもよい。例えば、電気角の回転周期において、通電期間全体が進角方向に移動しつつ、通電期間を進角方向に広げる構成としてもよい。
・モータは3相以上の回転電機であってもよい。
・d軸電流Idが0となるように電圧位相を制御した状態において、通電期間を進角方向に広げる制御を実施する構成としたがこれを変更してもよい。
・界磁電流If、及び、その指令値If*の差と、界磁電流Ifによる界磁磁束φaとは反対方向の磁束が発生する向きで電機子巻線群10a,10bに流れるd軸電流Idを増加させることによる界磁電流の増加量ΔIfと、が等しくなった場合に、通電期間を進角方向に広げる制御を実施する構成とした。これを変更し、異なるタイミングで通電期間を進角方向に広げる制御を実施する構成としてもよい。
・通電期間を進角方向に広げる制御を実施した後、通電期間をそれぞれ広げたまま、モータ10の出力トルクTが最大値となるように最大トルク制御を実施する構成とした。これを変更し、通電期間を進角方向に広げる制御を実施した後、所定時間経過後に、通電期間を元の値(例えば、120度)に戻す構成としてもよい。また、最大トルク制御以外の制御(例えば、最大効率制御)を実施する構成としてもよい。
・通電期間を進角方向に広げる制御を実施する構成としたが、これを変更し、通電期間の長さを固定したまま、通電期間を進角方向に進める制御を実施する構成としてもよい。
10…モータ、10a…第1巻線群、10b…第2巻線群、11…界磁巻線、12…ロータ、13…ステータ、40…制御装置、インバータ…INV1,INV2。

Claims (6)

  1. 回転電機(10)に電力を供給するインバータ(INV1,INV2)の複数の半導体スイッチング素子(SUp1〜SWn2)を、前記回転電機の電気角の回転周期における所定の通電期間にわたって、それぞれオン状態とする矩形波駆動を実施する回転電機の制御装置(40)であって、
    前記回転電機は、界磁巻線(11)を有する回転子(12)と、3相以上の電機子巻線(10a,10b)を有する固定子(13)と、を備え、
    前記回転電機に対するトルク指令値の増加に伴う前記界磁巻線に流れる界磁電流の増加の開始後において、前記界磁電流による界磁磁束とは反対方向の磁束が発生する向きで前記電機子巻線に流れるd軸電流を増加させるために、前記複数の半導体スイッチング素子の前記通電期間をそれぞれ進角方向に進める制御を実施し、
    前記通電期間を進角方向に進めるに際し、前記通電期間を進角方向に広げる制御を実施することを特徴とする制御装置。
  2. 前記制御装置は、前記回転電機の電気角の回転周期において、前記複数の半導体スイッチング素子のオフタイミングをそれぞれ固定しつつ、前記通電期間を進角方向に広げる制御を実施することを特徴とする請求項に記載の制御装置。
  3. 前記通電期間を進角方向に広げる制御を実施した後、前記通電期間をそれぞれ広げたまま、前記回転電機のトルクが最大値となるように前記電機子巻線に印加される電圧の位相を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記制御装置は、前記d軸電流が0となるように前記電機子巻線に印加される電圧の位相を制御した状態において、前記通電期間を進角方向に進める制御を実施することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 前記回転電機は、前記電機子巻線が3相である3相回転電機であり、
    前記制御装置は、前記通電期間を進角方向に進めるに際し、前記回転電機に対するトルク指令値の増加に伴う前記界磁巻線に流れる界磁電流の増加の開始時に前記通電期間を120度とし、その後に前記通電期間を進角方向に広げることで、前記通電期間を180度とする制御を実施することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
  6. 前記界磁電流、及び、その指令値の差と、前記界磁電流による界磁磁束とは反対方向の磁束が発生する向きで前記電機子巻線に流れるd軸電流を増加させることによる界磁電流の増加量と、が等しくなった場合に、前記通電期間を進角方向に進める制御を実施することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
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