JP6396667B2 - 心耳結紮システム - Google Patents

Description

本発明は、心耳結紮用処置具および心耳結紮システムに関するものである。

不整脈の一つである心房細動の患者数は近年増大傾向にある。心房細動が引き起こす脳梗塞は、心臓内（主に左心耳）に生じた血栓が脳の血管に詰まるために起こると考えられている。心原性脳塞栓症の塞栓源として、もっとも頻度が高いのが心房細動による左心耳内血栓である。

心原性脳塞栓症の予防に推奨される一般的な治療はワルファリンカリウムによる血液抗凝固療法であるが、ワルファリンカリウムは服薬管理が難しく、出血性合併症のリスクがある。その代用として左心耳を閉鎖することで塞栓症を予防する方法が開発されている。（例えば、Watchman、Boston Scientific社）。これは経血管カテーテル的に左心耳を閉塞するクラゲ型のデバイスである。

一方、抗凝固薬を用いることなく、かつ、血管に入ることなく心臓の外側から心耳を結紮する処置具が知られている（例えば、特許文献１参照。）。これは、体外から心嚢内に鉗子および結紮用ループを挿入し、心耳の端部を把持鉗子で把持して引っ張りつつ、結紮用ループを心耳に回しかけた後に、結紮用ループを引き締めて心耳を結紮する処置具である。

この処置具は、結紮用ループを凹部内に収容するスリーブを備え、スリーブによって結紮用ループを広げた状態に保持することにより、心耳の周囲への結紮用ループの回し掛けを容易にするようになっている。

米国特許出願第２００８／０２９４１７５号公報

しかしながら、結紮用ループの挿入に際し、挿入容易性を向上するために心耳の端部を把持鉗子で把持して引っ張るときには、心耳を滑らずに把持できる力以上で、心耳組織に損傷を与えない力より小さい把持力あるいは牽引力を把持鉗子に作用させる必要がある。また、結紮用ループによる心耳の結紮処置においても、心耳の内腔を閉塞できる力以上で、心耳組織に損傷を与える力より小さい結紮力で結紮用ループを緊縮させる必要がある。したがって、心耳の結紮に関連するいずれの処置にも術者の微妙な力加減が必要となり熟練が必要であるという問題がある。特に、心耳は心臓とともに拍動しているため、把持鉗子や結紮用ループによって心耳の動きを拘束すると、心耳の各部に過大な力が作用する場合がある。

本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、心耳の結紮時に意図せず過度の力が作用して心耳組織が損傷しても、損傷による影響を最小限に抑えることができる心耳結紮システムを提供することを目的としている。

上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、心耳を把持する把持鉗子と、結紮手段を有する心耳結紮具と、心耳結紮用処置具とを備え、該心耳結紮用処置具が、心嚢膜を貫通するシースを介して心嚢内に導入され、心耳を外側から圧迫して内部空間を閉塞する圧迫手段と、前記シース内に挿入状態に配置され、前記圧迫手段を先端に支持するシャフトとを備え、前記圧迫手段が、心耳の幅方向全長にわたって厚さ方向に挟む位置に配置可能な２本の棒状の接触部を備え、該接触部が、相互の間隔を変更可能である心耳結紮システムを提供する。

本態様によれば、心嚢膜に貫通させたシースを介して心耳結紮用処置具を心嚢内に導入していき、シースの基端側においてシャフトを長手方向に押すことにより、シャフトの先端に設けた圧迫手段が心嚢内において心耳に向けて前進され、先端部を心耳近傍、例えば心耳の根元付近に配置する。このとき、別に挿入された内視鏡等の観察手段や、Ｘ線透視画像を用いて配置しても良い。心嚢内へのシースは、剣状突起側から挿入されているので、心耳に対してその先端側から心耳結紮用処置具を近接させることができる。

そして、結紮手段を心耳に適用する際等に把持鉗子によって心耳の先端を把持して引っ張り、あるいは、結紮手段によって結紮処置を行う際に、把持鉗子や結紮手段の操作において力加減を誤ると、心耳組織が損傷する場合があるが、そのような場合に、本態様に係る心耳結紮用処置具の圧迫手段を作動させて、結紮手段による結紮位置よりも根元側、あるいは、把持鉗子による把持位置よりも根元側で心耳を外側から圧迫することにより、心耳の内部空間を閉塞し、損傷による影響を最小限に抑えることができる。

上記態様においては、前記圧迫手段が、心耳の幅方向全長にわたって厚さ方向に挟む位置に配置可能な２本の棒状の接触部を備え、該接触部が、相互の間隔を変更可能である。
このようにすることで、シースを介した挿入時には２つの接触部の間隔を狭めることにより、圧迫手段をコンパクト化して挿入容易性を向上し、心嚢内に導入されたときには、２つの接触部の間隔を広げることで、間に心耳を挿入する際の挿入容易性を向上することができる。また、心耳の両側に配置された状態の２つの接触部の間隔を狭めることにより、心耳を厚さ方向に挟んで外側から圧迫し、心耳の内部空間を閉塞することができる。

また、上記態様においては、前記接触部が前記シース内において前記シャフトに対して一列に配置される形態となり、前記シース内から解放されることにより、前記シャフトの長手軸に対して交差する方向に延びる形態となるように付勢する付勢手段を備えていてもよい。
このようにすることで、心嚢膜に貫通させたシースを介して心耳結紮用処置具を心嚢内に導入していくと、シース内においてはシャフトに対して一列に配置される形態となっていた圧迫手段が、心嚢内においてシースから解放された時点で付勢手段によってシャフトの長手軸に対して交差する方向に延びる形態に付勢される。これにより、心耳を幅方向に横切るように接触部を配置して、心耳の内部空間を閉塞して心耳への血流を停止することができる。

また、上記態様においては、前記付勢手段が、前記シャフトを弾性材料により構成しかつ曲がり癖をつけることにより構成されていてもよい。
このようにすることで、関節機構を設けることなく、圧迫手段をシャフトに対して一列に配置された状態からシャフトに対して傾斜する方向に角度変更することができる。これにより、シャフトおよび圧迫手段をコンパクトに構成し、シースを介した挿入容易性を向上することができる。
また、上記態様においては、前記接触部が、前記シャフトの先端に関節によって揺動可能に支持されていてもよい。

また、上記態様においては、前記接触部の一方に磁性体、他方に磁石を備えていてもよい。
このようにすることで、接触部どうしを近接させるための駆動機構を設けなくても、心耳の厚さ方向の両側に２つの接続部を配置した状態で磁石と磁性体との間の磁力によって接続部どうしを相互に近接させ、心耳を確り挟んで内部空間を閉塞状態に維持することができる。

本発明の参考例としての発明の一参考態様は、心耳の周囲に配置可能な２以上の保持部を備え、前記圧迫手段が、２本の接触部に代えて、前記保持部に解放可能に保持された緊縮可能なループ状のワイヤであってもよい。
このようにすることで、シャフトを操作して、ループ状のワイヤを保持した２以上の保持部を心耳の周囲に配置するように、ループ状のワイヤ内に心耳を挿入した後に、保持部からループ状のワイヤを解放させて緊縮することにより、心耳を緊縮させて内部空間を閉塞することができる。

また、上記態様においては、前記圧迫手段が、２本の前記接触部の間隔を段階的に変更可能であってもよい。
このようにすることで、接触部の間隔を大きく広げて心耳の挿入性を向上し、途中位置まで狭めて心耳の根元に押しつけることで、結紮に際して心耳の根元を露出させることができ、最小限に間隔を狭めることで、心耳の内部空間を閉塞することができる。

また、上記態様においては、前記シャフトの基端側において、２本の前記接触部の間隔を変更するために操作される操作部を備え、該操作部に、前記接触部の間隔の変更途中の段階において、該操作部の操作を解除可能に禁止するストッパが設けられていてもよい。
このようにすることで、同一の操作部の操作をストッパによって禁止することで、接触部の間隔を中途位置まで狭めた状態に一時停止させ、ストッパを解除することによって、接触部の間隔を最小限に狭めることができる。これにより、同一の操作部により、接触部の間隔の段階的な変更を容易に行うことができる。

また、上記態様においては、前記圧迫手段の前記接触部の間隔を各段階に保持可能な保持機構を備えていてもよい。
このようにすることで、操作者が接触部の間隔を維持する労力を省略して、簡易に処置を行うことができる。

また、本発明の態様は、心耳を把持する把持鉗子と、結紮手段を有する心耳結紮具と、心耳結紮用処置具とを備える心耳結紮システムである。
上記態様においては、前記把持鉗子と前記圧迫手段とが長手方向に相対移動可能に設けられていてもよい。

本発明によれば、心耳の結紮時に意図せず過度の力が作用して心耳組織が損傷しても、損傷による影響を最小限に抑えることができるという効果を奏する。

本発明の一実施形態に係る心耳結紮用処置具を示す斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具がシース内に収容されている状態を示す縦断面図である。 図１の心耳結紮用処置具の開いた状態の押し当て部の２つの接触部間に心耳を挟んだ状態を示す斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具の２つの接触部を閉じて心耳を圧迫している状態を示す斜視図である。 図３の状態から結紮用ループを心耳に回し掛ける状態を説明する斜視図である。 図５で心耳に回し掛けられた結紮用ループを心耳結紮用処置具の押し当て部に近接させて行く状態を示す斜視図である。 図５の処置の途中で図１の心耳結紮用処置具の２つの接触部を閉じて心耳の内部空間を閉塞した状態を示す斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具の第１の変形例であって、接触部が磁石によって相互に吸引されるものを示す正面図である。 図１の心耳結紮用処置具の第２の変形例であって、シャフトを湾曲させる他の方法として（ａ）中空のシャフトを高剛性の棒によりまっすぐに矯正した状態、（ｂ）棒を引き抜いて曲がり癖により湾曲した状態をそれぞれ示す斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具の第３の変形例であって、関節により押し当て部を湾曲させるものを示す斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具の第４の変形例であって、シャフトに対する押し当て部の湾曲および２つの接触部の開閉の両方を関節によって行うものであり、（ａ）まっすぐに延びた状態、（ｂ）接触部のみ湾曲させた状態、（ｃ）接触部を開閉する状態をそれぞれ示す斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具の第５の変形例であって、結紮用ループを一体に保持するものの（ａ）全体構成、（ｂ）保持部の拡大図をそれぞれ示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る心耳結紮システムであって、（ａ）ループを心耳に回し掛けた状態、（ｂ）把持鉗子をシャフトに沿って移動させ心耳に近接させた状態、（ｃ）把持鉗子により心耳を把持して引っ張った状態、（ｄ）ループを緊縮して心耳の内部空間を閉塞した状態を示す図である。 図１の心耳結紮用処置具の第６の変形例であって、（ａ）接触部の間隔を最大限に開いたときの操作部の状態、（ｂ）操作部が（ａ）の状態のときの押し当て部の状態、（ｃ）接触部の間隔が途中まで狭められたときの操作部の状態、（ｄ）操作部が（ｃ）の状態のときの押し当て部の状態、（ｅ）接触部の間隔が最小限まで狭められたときの操作部の状態、（ｆ）操作部が（ｅ）の状態のときの押し当て部の状態をそれぞれ示す図である。 図１４の心耳結紮用処置具の変形例であって、（ａ）接触部の間隔を最大限に開いたときの操作部の状態、（ｂ）操作部が（ａ）の状態のときの押し当て部の状態、（ｃ）接触部の間隔が途中まで狭められたときの操作部の状態、（ｄ）操作部が（ｃ）の状態のときの押し当て部の状態、（ｅ）接触部の間隔が最小限まで狭められたときの操作部の状態、（ｆ）操作部が（ｅ）の状態のときの押し当て部の状態をそれぞれ示す図である。 図１４の心耳結紮用処置具の変形例であって、（ａ）操作部の縦断面図、（ｂ）操作部の基端側の正面図である。 図１６の動作を説明する（ａ）接触部の間隔を最大限に開いたときの操作部の状態、（ｂ）操作部が（ａ）の状態のときの押し当て部の状態、（ｃ）接触部の間隔が途中まで狭められたときの操作部の状態、（ｄ）操作部が（ｃ）の状態のときの押し当て部の状態、（ｅ）接触部の間隔が最小限まで狭められたときの操作部の状態、（ｆ）操作部が（ｅ）の状態のときの押し当て部の状態をそれぞれ示す図である。 図１６の変形例を示す一部を破断した斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具の第７の変形例であって、（ａ）ワイヤからなるループを開いた状態、（ｂ）ループを閉じた状態をそれぞれ示す斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具の第８の変形例であって、（ａ）ワイヤからなるループを開いた状態、（ｂ）ループを閉じた状態をそれぞれ示す斜視図である。 図１の心耳結紮用処置具の第９の変形例であって、（ａ）ワイヤからなるループを最大限に開いた状態、（ｂ）ループを途中位置まで狭めた状態、（ｃ）ループを最小限に閉じた状態をそれぞれ示す斜視図である。

本発明の一実施形態に係る心耳結紮用処置具１について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る心耳結紮用処置具１は、図１に示されるように、先端を略９０°湾曲させるように曲がり癖が付けられた弾性材料からなる細長いシャフト２と、該シャフト２の先端に配置された押し当て部（圧迫手段）３とを備えている。本実施形態においてはシャフト２自体が曲がり癖によって湾曲する方向に付勢する付勢手段を構成している。

押し当て部３は、所定の間隔をあけて平行に配置される２本の直棒状の接触部４を備える二股に形成されている。シャフト２の曲がり癖による湾曲平面と２本の接触部４が配置されている平面とは略直交している。

シャフト２は、シース５の形状に倣って湾曲可能であるが、シース５の基端側において付与される長手方向の押圧力を伝達可能な剛性を有している。また、シャフト２の、曲がり癖によって湾曲した部分は、図２に示されるように、シース５内に挿入されることにより、直線状に延ばされて、シャフト２の長手方向の略延長線上に押し当て部３を略一列に配置することができるようになっている。

各接触部４は、図１に示されるように、横断面円形に形成されるとともに、各接触部４の先端は丸められて組織に押しつけられても刺さらないように構成されている。
また、２つの接続部４は、関節Ｐの軸回りに揺動可能に設けられ、相互の間隔を変更（開閉）することができるようになっている。

接触部４の揺動動作は、シャフト２の内部を長手方向に貫通して基端側から延びるワイヤ（図示略）の牽引操作によって行うことができるようになっている。そして、接触部４は、図３に示されるように、間隔を広げた状態では、通常の状態の心耳Ａの厚さ寸法より広い間隔となり、図４に示されるように、間隔を狭めた状態では、心耳Ａを厚さ方向に圧迫して、内部空間Ｂを閉塞することができる間隔寸法まで近接させられるようになっている。図中、符号Ｓは接触部４の位置における心耳Ａの横断面を示している。

このように構成された本実施形態に係る心耳結紮用処置具１を用いて心耳Ａを結紮する手技について以下に説明する。
本実施形態に係る心耳結紮用処置具１を用いて心耳Ａの結紮を行うには、まず、剣状突起下部から体表組織および心膜を貫通して心嚢内にシース５の先端開口を配置した状態で、押し当て部３の接触部４の間隔を最も狭めるとともに、シャフト２の曲がり癖を略真っ直ぐに延ばした形態の心耳結紮用処置具１をシース５内に挿入し、心嚢内に前進させていく。

このとき押し当て部３は、接触部４間の間隔を狭めて最大幅寸法を小さくしているとともに、シャフト２と略一列に配されているので、シース５内をスムーズに進行することができる。そして、押し当て部３がシース５の先端開口から心嚢内に出ると、拘束されていたシャフト２の曲がり癖が解放されることにより、図１に示されるように湾曲し、押し当て部３がシャフト２の長手方向に対して交差する方向に向けられる。

この状態で、図３に示されるように、押し当て部３の接触部４の間隔を広げた状態とし、別途心嚢内に挿入した内視鏡によって観察しながら、シース５の基端側の体外において、シャフト２を操作して押し当て部３を心耳Ａの先端側から近接させ、図５に示されるように、押し当て部３の２つの接触部４の間に心耳Ａを挿入する。

すなわち、左心耳Ａの右側（正面から見て左側）にシャフト２が配置されるようにする。内視鏡で観察しにくい場合にはシャフト２を左心耳Ａの右側以外の場所、たとえば上方に移動してもよい。心耳Ａは心臓の外面に耳のように突出する袋状の組織であり柔軟性を有しているので、間隔を広げた接触部４の一方を、心耳Ａの裏側に滑り込ませるように挿入することで、２つの接触部４の間に心耳Ａを厚さ方向に挟む位置に配置することができる。

そして、図５に示されるように、シース５を介して導入した把持鉗子７によって心耳Ａの先端を引っ張りながら押し当て部３を前進させることにより、押し当て部３の接触部４を左心房の外壁に押し当てて心耳Ａを引き伸ばすことができる。
この状態で、把持鉗子７の外側から心耳Ａに近接させた結紮ループ（結紮手段）８のシャフト（以下、ループシャフトという。）９と把持鉗子７とを同時に操作して結紮ループ８を心耳Ａの周囲に回し掛ける。

すなわち、把持鉗子７によって心耳Ａの端部を把持した状態で、把持鉗子７を引っ張ると同時にループシャフト９を押し出して、結紮ループ８内から心耳Ａを把持した把持鉗子７を抜き出すように移動させることにより、図６に示されるように、結紮ループ８内に心耳Ａを挿入し、結紮ループ８を心耳Ａに容易に回し掛けることができる。

そして、押し当て部３によって左心房の外壁を押さえつつ把持鉗子７で引っ張ることにより引き伸ばされて露出させられた心耳Ａの根元部分に結紮ループ８が配置された時点で、ループシャフト９を押しながらループシャフト９の基端側から結紮ループ８の一端を引き出すことにより結紮ループ８を引き締めて心耳Ａを結紮することができる。

これらの一連の動作、すなわち、把持鉗子７で心耳Ａの先端を把持する動作、把持鉗子７で心耳Ａを引っ張って引き延ばす動作、および結紮ループ８によって心耳Ａの根元を結紮する動作においては、把持鉗子７に発生させる把持力、心耳Ａを引き延ばす力および方向、および結紮ループ８を緊縮させる牽引力を術者が作用させることになるが、力加減を誤って過大な力がかかってしまうと心耳Ａが損傷する場合がある。
なお、本実施形態では結紮手段として結紮用ループを用いているが、ループによる結紮以外にも、図示しないステープラーや、図示しない超音波・高周波などのエネルギー、もしくはこれらを組み合わせた結紮手段を用いてもよい。

このような場合には、図７に示されるように、本実施形態に係る心耳結紮用処置具１の押し当て部３を構成している２本の接触部４を相互に近接させる方向に揺動させることにより、２本の接触部４間に心耳Ａを挟んで、図３に示されるように、心耳Ａの内部空間Ｂを閉塞する。これにより、閉塞された部分を通過する血流が堰き止められる。

心耳Ａの損傷箇所が把持鉗子７による把持部分である場合、あるいは、結紮ループ８による結紮位置である場合にも、それよりも根元側を心耳結紮用処置具１の押し当て部３によって圧迫することができ、損傷箇所への血流を応急的に抑えるので、心耳Ａの組織の損傷による影響を最小限に抑えることができるという利点がある。押し当て部３によって損傷箇所への血流を応急的に抑えた状態で、損傷箇所よりも根元側の結紮ループ８による結紮あるいは開胸して縫合する等の恒久的な処置をとることができる。

このように、本実施形態に係る心耳結紮用処置具１によれば、押し当て部３を構成している２本の接触部４の間隔を狭めることにより、シース５内のスムーズな通過を可能とし、シース５の先端から心嚢内に導入された後には、２本の接触部４の間隔を広げることにより心耳Ａを間に挿入しやすくすることができる。さらに、心耳Ａに何らかの損傷が生じた場合には、２本の接触部４の間隔を狭めて心耳Ａを厚さ方向に圧迫し、心耳Ａ内への血流を停止することができる。

なお、２つの接触部４を開閉する機構は、通常の把持鉗子のようにシャフト２に沿って導いたワイヤによって開閉するものの他、図８に示されるように、２つの接続部４の一方の先端部１０を磁性材料により構成し、他方を電磁石１１によって磁化可能にする構成を採用してもよい。電磁石１１が磁化されていない状態で間に心耳Ａを挿入した後、電磁石１１を磁化することによって、２つの接触部４を磁力により相互に近接させ、確りと心耳Ａを厚さ方向に挟んで内部空間を閉塞することができる。

なお、２つの接触部４の両方に電磁石１１を備えることにしてもよい。また、２つの接触部４を別々のシャフト２によって導入する場合には、電磁石１１に代えて永久磁石を採用することにしてもよい。

また、本実施形態においては、シャフト２の曲がり癖をシース５によって真っ直ぐに矯正することとしたが、これに代えて、シャフト２の長手方向に貫通する貫通孔２ａにシャフト２よりも剛性の高い真っ直ぐな棒１２を挿脱可能に挿入することで、図９（ａ）に示されるように、シャフト２を真っ直ぐに矯正し、図９（ｂ）に示されるように、棒１２を貫通孔２ａから抜き出すことで、シャフト２をその曲がり癖によって湾曲させることにしてもよい。これにより、シース５によって矯正する場合よりも、シース５との間の摩擦力を減らして、心嚢内へ導入する際および抜き出す際の容易性を向上することができる。

また、本実施形態においては、曲がり癖を有する弾性材料からなるシャフト２によって心嚢内でシャフト２の長手方向に対して交差する方向に押し当て部３が配置される形態をとることができるようにした。これに代えて、図１０に示されるように、シャフト２と押し当て部３との間に関節Ｑを設け、バネ等の付勢手段（図示略）によって、関節Ｑを揺動させるように付勢してもよい。このときの関節Ｑの揺動方向は、２つの接続部４を含む平面に対して直交する平面に沿っている。

関節Ｑによりシャフト２と押し当て部３との角度を変化させるには、図１０に示されるように、押し当て部３の２つの接触部４を開閉する関節Ｐよりも基端側に、押し当て部３全体をシャフト２に対して揺動させる関節Ｑを備えることにしてもよいし、図１１に示されるように、シャフト２に対して接触部４を揺動させる関節Ｑよりも基端側に、２つの接触部４を開閉する関節Ｐを備えることにしてもよい。

また、本実施形態においては、心耳結紮用処置具１として、２本の開閉する接触部４によって、心耳を厚さ方向に圧迫する圧迫手段を有するものを例示して説明したが、これに代えて、図１２（ａ）に示されるように、圧迫手段としてループ状のワイヤ１３を採用してもよい。
図１２（ａ）に示す例では、心耳結紮用処置具１のシャフト２が中空に形成されてワイヤ１３が貫通させられ、シャフト２の先端側に結び目１３ａによってループ１４が形成されている。この例では、接触部４にループ１４の一部を保持する保持部１５を備えている。

保持部１５は、図１２（ｂ）に示されるように、ループ１４を構成するワイヤ１３を通す環状に形成され、ワイヤ１３の外径寸法より若干小さい幅寸法を有するスリット１５ａを備えている。これにより、ループ１４が引き締められていない状態では、保持部１５がループ１４を保持していて、接触部４の間隔が開かれることによってループ１４が広げられた状態となって心耳Ａを挿入し易くすることができる。また、ループ１４が引き締められて心耳Ａの圧迫が行われると、その張力によって、ループ１４がスリット１５ａを備える保持部１５による保持から解放される。

また、図１３に示されるように、把持鉗子７が心耳結紮用処置具１のシャフト２に沿って、長手方向に相対移動可能に取り付けられた心耳結紮システム２０を採用してもよい。符号１６は把持鉗子７の操作部であり、把持して前後進させるとともに、押しボタン１６ａによって把持鉗子７を開閉することができるようになっている。符号１７は、ループ１４を前後進させるハンドルであり、符号１８はループ１４を緊縮するためのハンドルである。

すなわち、図１３（ａ）に示されるように、心耳結紮用処置具１のシャフト２先端に設けたループ１４を広げた状態で心耳Ａに回し掛け、図１３（ｂ）に示されるように、操作部１６を操作して、押しボタン１６ａを押すことによって把持鉗子７を広げた状態とし、把持鉗子７をシャフト２に沿って前進させることにより、心耳Ａの先端に近接させる。

そして、図１３（ｃ）に示されるように、操作部１６の押しボタン１６ａを放すことにより把持鉗子７を閉じて心耳Ａの先端を把持し、操作部１６を後退させるとともに、ハンドル１７を前進させることにより、心耳Ａを引っ張りながらループ１４を前進させる。
この状態で、心耳Ａが損傷した場合には、図１３（ｄ）に示されるように、ハンドル１８を押してループ１４を緊縮させることにより、心耳Ａを圧迫して内部空間Ｂを閉塞し、心耳Ａ内への血流の流入を停止させることができる。このように、心耳結紮用処置具１の動作と把持鉗子７の動作とは同じ直線状にあり、両者が相対移動可能に取り付けられていることで、操作性を向上することができる。

また、本実施形態においては、押し当て部３を構成している２本の接触部４の間隔を広げた状態と狭めた状態の２つの状態で切り替えることとしたが、これに代えて、図１４に示されるように、接触部４の間隔を３段階で切り替えることができるようにしてもよい。

図１４に示す例では、接触部４の間隔を変更するための操作部２１が、把持部２２と、把持部２２に対して揺動可能に設けられたレバー２３とを備えている。レバー２３には、把持部２２側に突出する円弧状の突起２４が設けられている。また、把持部２２には、レバー２３が把持部２２側に揺動させられてきたときに突起２４を収容するトンネル部２５と、トンネル部２５に交差するように設けられた収容孔２６と、該収容孔２６内に移動可能に挿入されたストッパ部材（ストッパ）２７とが設けられている。

図１４（ａ）に示されるように、レバー２３を引いていない状態では、図１４（ｂ）に示されるように、接触部４の間隔は最も広がっている。この状態は、接触部４の間隔は心耳Ａの厚さ寸法よりも十分に大きく開いており、２つの接触部４間に心耳Ａを容易に挿入していくことができる。

そして、この状態からレバー２３を引いて把持部２２に近接させていくことにより、接触部４の間隔は狭くなっていき、図１４（ｃ）に示されるように、突起２４の先端がトンネル部２５に入ってストッパ部材２７に突き当たった時点で接触部４の間隔は図１４（ｄ）に示されるように、若干開いた状態となる。この状態では、接触部４の間隔は、接触部４間に配置した心耳Ａを厚さ方向に挟み、心耳Ａの外面に括れを形成するとともに、結紮ループ８を心耳Ａの根元に回し掛けるために心耳Ａの根元を露出させる押し当て部３として機能させるのに適した間隔となっている。

そして、心耳Ａを圧迫して内部空間Ｂを閉塞し、心耳Ａ内への血液の流入を停止させる必要が生じたときには、図１４（ｅ）に示されるように、収容孔２６に挿入されているストッパ部材２７を収容孔２６から引き出すように移動させる。これにより、ストッパ部材２７によって閉塞されていたトンネル部２５が解放されるので、操作者は、レバー２３をさらに引くことができるようになり、レバー２３を把持部２２にさらに近接する方向に揺動させることによって、図１４（ｆ）に示されるように、２つの接触部４を最も近接させ、心耳Ａを厚さ方向に圧迫して内部空間Ｂを閉塞することができる。

また、ストッパ部材２７を手動で引き抜くことに代えて、図１５に示されるように、バネ等の付勢部材２８によって、ストッパ部材２７をトンネル部２５内に突出させておいてもよい。この場合、突起２４の先端およびストッパ部材２７の先端に斜面２４ａ，２７ａが設けられている。

図１５（ａ），（ｂ）に示されるように、接触部４の間隔が最も広がった状態から、レバー２３を揺動させて、図１５（ｃ）に示されるように、突起２４の斜面２４ａがストッパ部材２７の斜面２７ａに突き当たった時点で、レバー２３の揺動は一旦停止する。この状態で、図１５（ｄ）に示されるように、接触部４は押し当て部３として機能させるのに適した状態となる。そして、心耳Ａ内への血液の流入を停止させる必要が生じたときには、レバー２３をさらに把持部２２に近づけるように外力を加えることにより、図１５（ｅ）に示されるように、突起２４の斜面２４ａが付勢部材２８の付勢力に抗してストッパ部材２７をトンネル部２５内から押し出し、レバー２３をさらに揺動させて、図１５（ｆ）に示されるように、２つの接触部４を最も近接させ、心耳Ａを厚さ方向に圧迫して内部空間Ｂを閉塞することができる。

また、レバー２３を揺動させる操作部２１に代えて、外筒２９に対してシャフト３０を挿脱することにより接触部４を開閉する方式の操作部３１を採用してもよい。この場合、図１６（ａ）、（ｂ）に示されるように、外筒２９の貫通孔２９ａ内面にキー溝３２を形成し、シャフト３０の外面に突起３３を設けておくことにより、突起３３がキー溝３２に一致していない状態では突起３３が外筒２９の端部に突き当たってシャフト３０の挿入が係止される。

したがって、図１７（ａ）に示されるように、突起３３が外筒２９の端部から離れているときには、図１７（ｂ）に示されるように２つの接触部４の間隔が広げられており、図１７（ｃ）に示されるように、突起３３が外筒２９の端部に突き当たった時点で、図１７（ｄ）に示されるように接触部４の間隔が中間の寸法まで狭められる。そして、心耳Ａ内への血液の流入を停止させる必要が生じたときには、シャフト３０を軸回りに回転させて、突起３３とキー溝３２との位相を一致させることで、図１７（ｅ）に示されるように、突起３３をキー溝３２内に挿入してシャフト３０をさらに押し込むことが可能となり、図１７（ｆ）に示されるように、２つの接触部４を最も近接させ、心耳Ａを厚さ方向に圧迫して内部空間Ｂを閉塞することができる。

また、図１８に示されるように、キー溝３２から周方向に延びる周方向溝（保持機構）３４を設けておくことにより、突起３３が周方向溝３４の位置に一致するまでシャフト３０が外筒２９内に挿入された時点で、シャフト３０を軸回りに回転させて突起３３を周方向溝３４内に挿入することにより、接触部４の間隔を各位置に維持することができる。これにより、操作者が長時間にわたってシャフト３０と外筒２９との位置関係を維持しておく必要がなく、処置を容易にすることができる。

また、図１２および図１３に示される例では、糸状のワイヤ１３からなるループ１４によって心耳Ａの内部空間Ｂを閉塞することとしたが、これに代えて、図１９に示されるように、糸状のワイヤ１３よりも剛性が高い、太目のワイヤ３５によって構成したループ３６によって心耳Ａの内部空間Ｂを閉塞することにしてもよい。この場合、図１９（ａ）に示されるように、広がった形態を容易に維持することができ、図１等の棒状の接触部４からなる心耳結紮用処置具１と同様に、単独で心耳Ａの根元まで押し進めることができる。

シャフト２の貫通孔の先端開口の外側でワイヤ３５を折り返して形成されたループ３６の両端の２本のワイヤ３５が貫通孔内を貫通してシャフト２の基端側まで延びている。また、ループ３６には、シャフト２の貫通孔の先端開口から相互に離れる方向に広がる傾斜部分３６ａが設けられていて、ワイヤ３５がシャフト２の貫通孔内に引き込まれるときに、傾斜部分３６ａが徐々に閉じられていくようになっている。

そして、心耳Ａ内への血液の流入を停止させる必要が生じたときには、シャフト２を押し出して２本のワイヤ３５をシャフト２内に引き込むことにより、ループ３６を畳むように変形させて、内側の心耳Ａを厚さ方向に挟むことができる。先端が連結されているループ３６によって心耳Ａを挟むので、挟む力が強く、心耳Ａの硬さに負けることなく、より確実に心耳Ａの内部空間Ｂを閉塞することができる。

また、１本のシャフト２によってループ３６を支持することに代えて、図２０に示されるように、２本のシャフト２の間に２本のワイヤ３５を支持して、ワイヤ３５の両端をそれぞれシャフト２内に引き込むことによって、ワイヤ３５の間隔を狭める構造の心耳結紮用処置具１を採用してもよい。２本のシャフト２の貫通孔の先端開口の外側に、それぞれ傾斜部分３６ａを設けることにより、シャフト２間に配置される２本のワイヤ３５の間隔を均等に狭めていくことができ、心耳Ａを幅方向に均等に圧縮して内部空間Ｂをより確実に閉塞することができる。

また、図２１（ａ）に示されるように、傾斜部分３６ａに２段階の傾斜角度を設けることにより、図２１（ａ）のようなシャフト２間のワイヤ３５間隔が最も広がった状態から、シャフト２の基端側においてシャフト２を前方に押しながらワイヤ３５を牽引することで図２１（ｂ）のワイヤ３５間隔が狭められた状態に変形させて、押し当て部３としての機能を発揮しやすい状態とすることができる。この状態からさらにワイヤ３５を牽引することにより、図２１（ｃ）に示されるように、ワイヤ３５間隔を最も狭め、心耳Ａの内部空間Ｂを閉塞する状態に段階的に変形させることができる。

本実施形態に係る心耳結紮用処置具１を用いて心耳Ａを結紮する手順は以下の通りである。
まず、剣状突起下部から心嚢内まで貫通させたシース５を介して体外から心嚢内に導入した把持鉗子７によって心耳Ａの先端をつかんで心耳Ａを引き伸ばす（把持ステップ）。次いで、シース５を介して心嚢内に導入した結紮ループ８を引き伸ばされている状態の心耳Ａに回し掛けて、心耳Ａの根元に結紮ループ８を配置する（ループ配置ステップ）。そして、体外において結紮ループ８を構成しているワイヤを牽引することにより、結紮ループ８を緊縮し、心耳Ａを結紮する（結紮ステップ）。

この状態で、把持鉗子７を操作して、心耳Ａを動かしながら、内視鏡あるいは経食道超音波観察により結紮ループ８による心耳Ａの結紮状態を確認する（確認ステップ）。
結紮状態が確認されたら、把持鉗子７により把持している心耳Ａを把持鉗子７から解放し把持鉗子７を体外に取り出す。また、結紮ループ８を支持していたループシャフト９も体外に取り出す（取り出しステップ。）そして、シース５を介して心嚢内に鋏鉗子（図示略）を導入し、結紮ループ８の余ったワイヤを切断する（切断ステップ）。

ここで、上述した把持ステップ、結紮ステップにおいて心耳Ａの組織が損傷する可能性があり、そのような場合に本実施形態に係る心耳結紮用処置具１によって心耳Ａの内部空間Ｂを閉塞する。具体的には、シース５を介して導入した心耳結紮用処置具１の先端の接触部４間に心耳Ａが配置されるように体外において心耳結紮用処置具１を操作する。心耳組織が損傷した場合には、心耳結紮用処置具１を操作して接触部４の間隔を狭めることで、心耳Ａを外面から圧迫して内部空間Ｂを閉塞する。ループ１４，３６により閉塞する場合も同様である。

なお、心耳結紮用処置具１の接触部４の配置を把持ステップあるいは結紮ステップに先立って行っておき、心耳Ａの組織が損傷したときにはすぐに心耳Ａを圧迫して内部空間Ｂを閉塞できるようにしておいてもよい。
また、確認ステップは、取り出しステップや切断ステップの後でもよい。また、取り出しステップは、切断ステップの後でもよい。

また、図１４〜図１８および図２１に示されるように、接触部４の間隔の変更あるいはループ３６の大きさの変更を段階的に行う場合には、把持ステップに前後して心耳結紮用処置具１の接触部４間あるいはループ３６内に心耳Ａを配置しておき、結紮ステップに先立って、途中位置まで間隔を狭めた接触部４あるいはループ３６を押し当て部３として使用して心耳Ａの根元を露出させればよい。そして、いずれかのステップにおいて心耳Ａの組織に損傷が生じた時点で、即座に接触部４の間隔あるいはループ３６の大きさを最小限に狭めて心耳Ａの内部空間Ｂを閉塞することにすればよい。

Ａ 心耳
Ｂ 内部空間
Ｐ 関節
１ 心耳結紮用処置具
２ シャフト
３ 押し当て部（圧迫手段）
４ 接触部
５ シース
７ 把持鉗子
８ 結紮ループ（結紮手段）
１０ 磁性体
１１ 電磁石（磁石）
１４ ワイヤ（圧迫手段）
１５ 保持部
２０ 心耳結紮システム

Claims (9)

1. 心耳を把持する把持鉗子と、結紮手段を有する心耳結紮具と、心耳結紮用処置具とを備え、
   該心耳結紮用処置具が、心嚢膜を貫通するシースを介して心嚢内に導入され、心耳を外側から圧迫して内部空間を閉塞する圧迫手段と、
   前記シース内に挿入状態に配置され、前記圧迫手段を先端に支持するシャフトとを備え、
   前記圧迫手段が、心耳の幅方向全長にわたって厚さ方向に挟む位置に配置可能な２本の棒状の接触部を備え、
   該接触部が、相互の間隔を変更可能である心耳結紮システム。
2. 前記接触部が前記シース内において前記シャフトに対して一列に配置される形態となり、前記シース内から解放されることにより、前記シャフトの長手軸に対して交差する方向に延びる形態となるように付勢する付勢手段を備える請求項１に記載の心耳結紮システム。
3. 前記付勢手段が、前記シャフトを弾性材料により構成しかつ曲がり癖をつけることにより構成されている請求項２に記載の心耳結紮システム。
4. 前記接触部が、前記シャフトの先端に関節によって揺動可能に支持されている請求項２に記載の心耳結紮システム。
5. 前記接触部の一方に磁性体、他方に磁石を備える請求項１に記載の心耳結紮システム。
6. 前記圧迫手段が、２本の前記接触部の間隔を段階的に変更可能である請求項１に記載の心耳結紮システム。
7. 前記シャフトの基端側において、２本の前記接触部の間隔を変更するために操作される操作部を備え、
   該操作部に、前記接触部の間隔の変更途中の段階において、該操作部の操作を解除可能に禁止するストッパが設けられている請求項６に記載の心耳結紮システム。
8. 前記圧迫手段の前記接触部の間隔を各段階に保持可能な保持機構を備える請求項６または請求項７に記載の心耳結紮システム。
9. 前記把持鉗子と前記圧迫手段とが長手方向に相対移動可能に設けられている請求項１から請求項８のいずれかに記載の心耳結紮システム。

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