JP4030807B2 - 外科用処置具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体内に挿入される挿入部と、挿入部の基端部に設けられ且つ術者によって把持される操作部と、挿入部の先端に設けられ且つ操作部によって回動および開閉される処置部とを備えた外科用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
体内に挿入される挿入部と、挿入部の基端部に設けられ且つ術者によって把持される操作部と、挿入部の先端に設けられ且つ操作部によって回動および開閉される処置部とを備えた外科用処置具は、従来から様々なタイプのものが知られている。
【0003】
図23には、そのような従来の外科用処置具の一例が示されている。図示のように、この外科用処置具200は、体内に挿入される挿入部202と、挿入部202の基端部に設けられ且つ術者によって把持される操作部204と、挿入部202の先端に設けられ且つ操作部204によって回動および開閉される図示しない処置部とを備えている。また、操作部204は、開閉軸210を中心に開閉可能な一対のハンドル206,208を備えている。ハンドル206,208を含む操作部204全体は、1つの第1の軸O1を中心に上下に回動させることができるとともに、第1の軸O1と直交する第2の軸O2を中心に左右に回動させることができるようになっている。
【0004】
実際の操作においては、まず、操作部204の第1のハンドル206のリング状の指掛け部206aに親指を引掛けるとともに、第2のハンドル208のリング状の指掛け部208aに親指以外の指(図では薬指)を引掛ける。そして、第1のハンドル206と第2のハンドル208とを開閉軸210を中心に相対的に回動させると、図示しない処置部を開閉させることができる。一方、ハンドル206,208を含む操作部204全体を第1の軸O1を支点として上下方向(図中の矢印A方向)に回動すると、図示しない処置部も、操作部204が回動する面と同一の面内で(第1の軸O1と平行な軸を中心に)上下に回動する。また、ハンドル206,208を含む操作部204全体を第2の軸O2を支点として左右に回動すると、図示しない処置部も、第2の軸O2と平行な軸を中心に左右に回動する。なお、ハンドル206,208を含む操作部204全体を第2の軸O2を支点として左方向(手の方向から見て)に回動した状態が図24に示され、また、ハンドル206,208を含む操作部204全体を第2の軸O2を支点として右方向に回動した状態が図25に示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図23に示されるように、操作部204が開閉可能な一対のハンドル206,208からなり、各ハンドル206,208のリング状の指掛け部206a,208aが互いに同一面内で平行に配置されている場合、具体的には、指を挿入するための指掛け部206a,208aの穴に対して2つの指を互いに平行に挿入するような形状では、指掛け部206a,208aによって2つの指が共に同一の方向のみに向けられて拘束され、指の動きが制限されるため、前述したように指掛け部206a,208aの穴の開口方向に対して垂直な第2の軸O2を中心に操作部204全体を回動させる場合には、図24および図25に示されるように手首220を大きく動かす必要がある。したがって、外科用処置具の姿勢によっては、操作性が非常に悪くなり、手首を無理に捻ったり、処置を思うように進行することができないといった不都合が生じ得る。
【0006】
また、リング状の指掛け部を設けることなく、ハンドルを手で握ることができるグリップ形状に形成した外科用処置具も提案されている(例えば特願2002−39134号等参照)が、ハンドルを手の全ての指で握る構成であるため、結局、指の動きが規制され、前述したと同様の問題が生じる。
【0007】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、手首を大きく動かすことなく操作部を回動させることができる操作性が良好な外科用処置具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は目的を達成するために、体内に挿入される挿入部と、前記挿入部の一端に設けられ、前記挿入部の長手軸方向に対して直交する方向に配置される第1の軸の軸方向を中心に回動し、且つ前記挿入部の長手軸方向と前記第1の軸の軸方向に対して直交する方向に配置される第2の軸の軸方向を中心に回動する処置部と、前記挿入部の他端に設けられ、前記第1の軸の軸方向に対して略平行な方向に配置される第3の軸と、前記第2の軸の軸方向に対して略平行な方向に配置される第4の軸を有し、2つの指で把持でき且つ掌の内側で、前記第3の軸の軸方向を中心に回動操作することで、前記処置部を前記第1の軸の軸方向を中心に回動させ、前記第4の軸の軸方向を中心に回動操作することで、前記処置部を前記第2の軸の軸方向を中心に回動させるグリップを有する操作部と、前記第3の軸の軸方向を中心に回動する前記操作部の回動動作を前記処置部側に伝達して前記処置部を前記第1の軸の軸方向を中心に回動させ、または前記第4の軸の軸方向を中心に回動する前記操作部の回動動作を前記処置部側に伝達して前記処置部を前記第2の軸の軸方向を中心に回動させる第1の伝達手段と、を具備する外科手術用処置具であって、前記グリップは、前記掌で支持される棒状の支柱を具備し、前記グリップを前記第3の軸の軸方向を中心に回動させる際に、前記支柱は、前記第3の軸の軸方向と略平行な方向を中心に回動し、前記グリップを前記第4の軸の軸方向を中心に回動させる際に、前記支柱は、前記第4の軸の軸方向と略平行な方向を中心に回動することを特徴とする外科手術用処置具を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1〜図16は本発明の第1の実施形態を示している。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態に係る外科用処置具1は、挿入部2と、挿入部2の先端部に設けられた処置部3と、挿入部2の基端部に設けられた操作部4とから構成されている。
【0013】
図2〜図6に示されるように、挿入部は、細径棒からなる開閉リンク機構を構成する第1の駆動棒5と、回動リンク機構を構成する第2の駆動棒6および第3の駆動棒7とが平行または略平行に配置されて成る。第1の駆動棒5は挿入部2の長手中心軸の片側(本実施形態では、後述する支持部8に対して下側)に偏って配置されている。また、第2および第3の駆動棒6,7は、挿入部2の長手中心軸に対して第1の駆動棒5と反対側(本実施形態では、後述する支持部8に対して上側)に偏って左右対称的に配置されるとともに、軸方向に独立して進退できる。
【0014】
図2および図3には、処置部3が詳細に示されている。図示のように、挿入部2には、その略全長にわたって、剛性を有する支持部(基体)8が一体に設けられている。この支持部8の先端部にはすり割部8aが設けられ、このすり割部8aには、挿入部2の軸方向と直交する枢支軸9によって左右方向に回動可能な第1の回動板10が連結されている。この第1の回動板10には枢支軸9と直交する方向に第1の枢支ピン11が固定され、この第1の枢支ピン11には第1の処置片12の基端部が回動自在に枢支されている。また、第1の枢支ピン11の近傍に位置する第1の処置片12の部位は屈曲部12aとして形成されており、この屈曲部12aには後述する手段によって第2および第3の駆動棒6,7が連結されている。
【0015】
第1の処置片12の中間部には第1の開閉枢支ピン13によって第2の処置片14が回動自在に連結されており、これにより、第1の処置片12と第2の処置片14は、第1の開閉枢支ピン13を支点として、互いに回動することができる。第2の処置片14の基端部には、左右方向(挿入部2の軸方向と直交する方向)に延びる第1の連結ピン15を介して、第1の連結部材16の一端が回動自在に連結されており、第1の連結部材16の他端は、挿入部2の軸方向と直交する第2の連結ピン17を介して、第2の連結部材18に連結されている。また、第2の連結部材18の他端は、左右方向に延びる第3の連結ピン19を介して、第1の駆動棒5の先端部に回動自在に連結されている。
【0016】
また、第1の処置片12の屈曲部12aには、左右方向に延びる第2の枢支ピン20を介して、第2の回動板21が連結されている。この第2の回動板21の基端側は左右方向に幅広であり、第2の回動板21の基端側には、挿入部2の軸方向と直交する第1の回動ピン22と第2の回動ピン23とが左右方向に離間して設けられている。そして、第1の回動ピン22は第2の駆動棒6に連結され、第2の回動ピン23は第3の駆動棒7に連結されている。
【0017】
なお、前述した3本の駆動棒5,6,7は、外部に露出している。すなわち、挿入部2は3本の駆動棒5,6,7を収容するカバーを有しておらず、3本の駆動棒5,6,7が全て剥き出しになっている。そのため、処置部3の開閉に関与する第1の駆動棒5が処置部3を開く際に下方にぶらつく(支持部8から脱落する)ことを防止するべく、挿入部2の先端部には、第1の駆動棒5を両側から支持する断面がコの字状のカバー101が設けられている。
【0018】
また、第1の処置片12は把持面12bを有しており、また、第2の処置片14は把持面14bを有している。この場合、これらの把持面12b,14bは、互いに平行に対向して位置しており、協働して把持対象物を把持することができる。なお、これらの把持面12b,14bには、必要に応じて凹凸加工が施されており、これにより、把持対象物である縫合針、縫合糸、生体組織等を確実に把持することができるようになっている。また、本実施形態では、処置片12の幅を小さくして細い針でも容易に把持することができるように、第1の処置片12の先端部の両側に段差部12cが形成されている。
【0019】
次に、図4〜図6を参照しながら、操作部4について説明する。
【0020】
これらの図から分かるように、挿入部2の基端部においても、第1の駆動棒5はその基端部が挿入部2の長手中心軸より下側(支持部8に対して下側)に偏って配置され、第2および第3の駆動棒6,7はその基端部が挿入部2の長手中心軸より上側(支持部8に対して上側)で左右対称的に配置されている。
【0021】
操作部4側に位置する支持部8の基端には、挿入部2の軸方向と直交する第2の枢支軸32を有する第1の枢支部33が設けられ、この第1の枢支部33には、第2の枢支軸32を中心に左右に回動可能な第3の回動板34が設けられている。
【0022】
また、第3の回動板34には、左右方向に延びる第3の枢支ピン35を有する第2の枢支部36が設けられており、この第2の枢支部36には、第3の枢支ピン35を中心に上下に回動可能な第1の操作体37が連結されている。この第1の操作体37には、第2の開閉枢支ピン38によって、第2の操作体39が上下に回動自在に連結されている。更に、図1に明確に示されるように、第1の操作体37には、術者が操作時に親指以外の指を用いて把持する第1のグリップ37aが設けられ、第2の操作体39には、術者が操作時に親指を用いて把持する第2のグリップ39aが設けられている。
【0023】
また、第1の駆動棒5は、挿入部2の軸方向と直交する(上下方向に延びる)第4の連結ピン42を介して、左右方向に回動可能な第3の連結部材41に接続されている。この第3の連結部材41は、第4の連結部材43の一端に設けられた左右方向に延びる第5の連結ピン40を介して、第4の連結部材43に連結されている。また、第4連結部材43の他端には、左右方向に延びる第6の連結ピン44を介して、第2の操作体39が上下に回動可能に接続されている。
【0024】
第1のハンドル37の第3の枢支ピン35の近傍には、左右方向に延びる第4の枢支ピン45が位置されている。この第4の枢支ピン45は第4の回動板46の一端に設けられており、このピン45には、第3の枢支ピン35を中心に上下に回動する第1のハンドル37が回動可能に連結している。第4の回動板46の他端部には、挿入部2の軸方向と直交する(上下方向に延びる)第3の回動ピン47および第4の回動ピン48が左右に離間して設けられている。そして、第3の回動ピン47および第4の回動ピン48にはそれぞれ、互いに左右に位置する第5の駆動棒72の基端部および第6の駆動棒73の基端部が回動自在に連結されている。
【0025】
図7に示されるように、第1の操作体37に取り付けられた第1のグリップ37aの外面には、親指以外の指を引掛けることができる円弧状の凹面(把持面)37bが形成されている。また、第2のグリップ39aの外面には、親指をその延在方向で載置できる平坦な載置面(矩形状の把持面)39bが形成されている。そして、凹面37bの中心軸O’と載置面39bの延在方向に延びる軸線L’とが互いに略直交するようになっている。
【0026】
また、第1のグリップ37aと第2のグリップ39aとの間には、第1のグリップ37aに対する第2のグリップ39aの回動角度を規定する(第1のグリップ37aと第2のグリップ39aとを一定の開放角度に固定する)ためのラチェット機構が設けられている。具体的には、ラチェット機構は、第2のグリップ39aに固定ピン106を介して固定されたラチェット82と、第1のグリップ37aに固定され且つラチェット82の歯82aに係止する爪83aを先端に有するラチェット解除レバー83とから成る。
【0027】
ラチェット82は、第2のグリップ39aから、第1のグリップ37aに形成されたラチェット機構収納部108内へと延びている。収納部108は、第2のグリップ39aと対向する第1のグリップ37aの対向面37cからこれと反対側の面へと貫通する貫通孔として形成されている。ラチェット収納部108内には、ラチェット解除レバー83が収容されている。このラチェット解除レバー83は、第1のグリップ37aに固定された軸107に回動可能に取付けられており、ラチェット82の歯82aに係脱可能に係止する爪83aをその一端に有するとともに、他端がラチェット収納部108から外側に突出している。
【0028】
また、ラチェット解除レバー83と第1のグリップ37aとの間には、爪83aをラチェット歯82aに係止させる方向でラチェット解除レバー83を常時付勢する板バネ109が設けられている。板バネ109は、その一端がラチェット解除レバー83に固定されるとともに、その他端がラチェット収納部108を形成する第1のグリップ37aの内面の板バネ受け部110に弾性的に当接している。
【0029】
第1のグリップ37aと第2のグリップ39aとの間には、第1のグリップ37aと第2のグリップ39aとを互いに離間させる方向(開放方向)に付勢するハンドル開放バネ(トーションバネ)105が設けられている。このハンドル開放バネ105の一端は、第2のグリップ39aと対向する第1のグリップ37aの対向面37cに当接され、また、ハンドル開放バネ105の他端は、第1のグリップ37aと対向する第2のグリップ39aの対向面39cに当接され、ハンドル開放バネ105の途中部分は、第2の開閉枢支ピン38の周囲に巻回されている。なお、第2の操作体39には、第2の開閉枢支ピン38の周囲に、ハンドル開放バネ105を収容するための切り欠き39bが形成されている。
【0030】
第1のグリップ37aには支柱100が取り付けられている。この支柱100は、第2の開閉枢支ピン38と直交する軸O3に沿って延在している。また、支柱100の端部には、掌に受けられる球部100aが形成されている。
【0031】
また、本実施形態においては、操作部4の良好な操作性を確保するため、支柱100の長手方向軸O4が、第2の開閉枢支ピン38と直交する軸O3と略平行に近接している。また、載置面39bに載置される親指の移動量と凹面37bに引掛けられる指の移動量とをほぼ等しくして操作部4を回動し易くするため、凹面37bを形成する円弧の接線Lと軸O3との間の距離L1は、載置面39bの延在方向に延びる軸線L’と軸O3との間の距離L2に等しくなるように設定されている(L1,L2は、10〜25mmであることが好ましい)。
【0032】
なお、本実施形態において、第1のグリップ37aと第2のグリップ39aと支柱100は、これら全体が掌に容易に収まる大きさに設定されており(具体的には、凹部37bの円弧と接線Lとの接点から支柱100の端部までの距離L3(図7参照)は、術者の掌に収まる寸法に設定されており)、特に、第1のグリップ37aおよび第2のグリップ39aは、図15および図16にも示されるように、例えば親指113と人差し指114と中指115とを無理なく開いて形成される空間内に収まるような大きさに形成されている。
【0033】
また、後述するように、本実施形態では、グリップ37a,39a(操作体37,39)の開閉によって処置部3が開閉するため、ラチェット82の歯82aのピッチθ1は、グリップ37a,39a間の開度の分解能、すなわち、処置部3の開度の分解能を規定する作用を成す。したがって、処置部3による把持性を向上させるためには、処置部3の開度の分解能を適切に設定する必要がある。そこで、本実施形態では、ラチェット82の歯82aのピッチθ1が、把持対象となる例えば縫合針111の径よりも小さく設定されている。具体的には、図8に示されるように、縫合針111を処置片12,14によって掴む際に想定される掴み位置、特に、その掴み想定位置で掴まれた縫合針111の断面中心O”を通り且つ第1の開閉枢支ピン13を中心とする円弧R(図中の一点鎖線)の半径をrとし、縫合針111の径をDとし、縫合針111を把持した時の処置片12,14の開き角度をθ2とした場合、rに対してDが十分に小さいと仮定すると、縫合針111と処置片12,14との接点の成す距離はDに限りなく近づくため、θ2=2sin−1(D/2r)と表わすことができる。したがって、ラチェット82の歯82aのピッチθ1を縫合針111の径よりも小さく設定するためには、θ1<2sin−1(D/2r)=θ2とする必要がある。
【0034】
また、本実施形態の外科用処置具1には、第3の枢支ピン35を支点とする操作部4の上下方向の回動範囲を規制する手段が設けられている。具体的には、図1,図9,図10にそれぞれ示されるように、第2の開閉枢支ピン38と直交する方向に延びる板状のストッパ104が第1の操作体37に設けられ、ストッパ104と協働して操作部4の上下方向の回動範囲を規制する回動規制カバー102が挿入部2の基端部に設けられている。回動規制カバー102は、止めネジ103によって挿入部2に取り付けられており、ストッパ104と当接可能な第1の突出部102aおよび第1の操作体37と当接可能な第2の突出部102bとを有している。第1および第2の突出部102a,102bは、挿入部2の長手方向に沿って延びるとともに、挿入部2の長手方向軸を挟んで互いに対向している。この場合、各突出部102a,102bの幅寸法L4は、支持部8の幅寸法L5よりも小さく設定されている。
【0035】
次に、前述のように構成された外科用処置具1の動作について説明する。図1〜図3に示される状態から、第2および第3の駆動棒6,7を同時に前進させると、第2の回動板21を介して第1の処置片12の屈曲部12aが前方に押し出されるため、第1の開閉枢支ピン13を介して第1の処置片12と連結する第2の処置片14も、第1の処置片12と同一の方向に回動する。その結果、第1および第2の処置片12,14は、挿入部2の長手中心軸と直交する第1の枢支ピン11を中心として略水平まで回動することができる。
【0036】
次に、第2の駆動棒6を後退させて第3の駆動棒7を前進させると、第1の枢支軸9を支点として第1の回動板10が右方向(操作部4側から見て)に回動するため、第1および第2の処置片12,14(処置部3全体)が第1の枢支軸9を支点として右向に回動する。
【0037】
逆に、第2の駆動棒6を前進させて第3の駆動棒7を後退させると、第1の枢支軸9を支点として第1の回動板10が左方向(操作部4側から見て)に回動するため、第1および第2の処置片12,14(処置部3全体)が第1の枢支軸9を支点として左方向に回動する。
【0038】
また、いずれの回動状態においても、第1の駆動棒5を前進させると、第1の連結部材16および第2の連結部材18を介して、第2の処置片14の基端部が前方に押されるため、第1の処置片12に対して第2の処置片14が第1の開閉枢支ピン13を支点として回動され、これによって、処置部3が開かれる。逆に、この開放状態から第1の駆動棒5を後退させると、第1の連結部材16および第2の連結部材18を介して、第2の処置片14の基端部が後方へ引き戻されるため、第1の処置片12に対して第2の処置片14が第1の開閉枢支ピン13を支点として回動され、処置部3が閉じる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、開閉可能な第1および第2の処置片12,14を備えた処置部3全体を上下方向および左右方向に回動させることができるため、第1および第2の処置片12,14を目的部位に容易にアプローチすることができ、処置の自由度を向上させることができる。
【0040】
実際の操作においては、まず、図15に示されるように、操作部4の第1の操作体37の第1のグリップ37aを親指以外のいずれかの指を用いて把持するとともに、第2の操作体39の第2のグリップ39aを親指で把持する。具体的には、第2のグリップ39aの載置面39bに親指113を置き、第1のグリップ37aの凹面37bに中指115を引掛ける。この時、凹面37bの中心軸O’と載置面39bの延在方向に延びる軸線L’とが互いに略直交しているため、親指113と中指115はそれぞれ、互いに略直交するように方向付けられる。また、このように2つの指113,115でグリップ37,39を把持した状態では、グリップ37,39が掌の内側に収まるとともに、支柱100の球部100aが掌に当たり、支柱100を掌で支持することができる。なお、人差し指114を支持部8に添えると、グリップ37,39を安定して把持することができる。また、中指115の代わりに人差し指114を凹面37bに引掛けても良い。なお、図15中、118は処置具1を体内に導入するためのトロッカーであり、119は患者の体壁であり、120は臓器である。
【0041】
以上のようにして2本の指113,115でグリップ37,39を掴んだ後、図10および図11の(b)に示される水平状態から、操作部4の第1の操作体37および第2の操作体39を第3の枢支ピン35を支点として同時に下方へ90°回動すると、第4の回動板46を介して第2および第3の駆動棒6,7が同時に挿入部2に沿って後退するとともに、これに連動するように、第4の連結部材43と第3の連結部材41とを介して第1の駆動棒5が処置部3側に前進する。したがって、第1の駆動棒5に連結された処置部3側の第1の連結部材16を介して第1の連結ピン15が先端側へ突出されるとともに、第2の回動板21を介して第1の処置片12の屈曲部12aが後方に引き戻されるため、第1および第2の処置片12,14は、相対的に回動することなく、閉じた状態を維持したまま、第1の枢支ピン11を支点として90°上向きになるまで回動する。その状態が図9および図11の(a)に示されている。また、このように操作部4を90°下方に回動すると、第1の操作体37が挿入部2側の回動規制カバー102の第2の突出部102bに当接し、操作部4のそれ以上の回動が規制される。この時、突出部102bの幅寸法L4が支持部8の幅寸法L5よりも小さく設定されているため、図15に示されるように回動規制カバー102の近傍に指114が添えられている場合でも、この指114は、幅の狭い突出部102bではなく、幅の広い支持部8の側面に当接することになり、したがって、第1の操作体37と第2の突出部102bとの間で指114を挟んでしまうことを防止できる(その結果、操作性が良くなる)。
【0042】
また、逆に、図9および図11の(a)に示す状態から、第1の操作体37および第2の操作体39を第3の枢支ピン35を支点として上方へ回動させ、第1の操作体37および第2の操作体39を水平にすると、第4の連結部材43と第3の連結部材41とを介して第1の駆動棒5が操作部4側に後退するとともに、第4の回動板46を介して第2および第3の駆動棒6,7が同時に挿入部2に沿って前進する。したがって、第1の駆動棒5に連結された処置部3側の第1の連結部材16を介して第1の連結ピン15が操作部4側に引き寄せられるとともに、第2の回動板21を介して第1の処置片12の屈曲部12aが前方に押し出されるため、第1および第2の処置片12,14は、相対的に回動することなく、閉じた状態を維持したまま、第1の枢支ピン11を支点として略水平まで回動する(真っ直ぐになる)。その状態が図10および図11の(b)に示されている。また、このように操作部4を90°上方に回動すると、第1の操作体37のストッパ104が挿入部2側の回動規制カバー102の第1の突出部102aに当接し、操作部4のそれ以上の回動が規制される。この時、突出部102aの幅寸法L4が支持部8の幅寸法L5よりも小さく設定されているため、図15に示されるように回動規制カバー102の近傍に指114が添えられている場合でも、この指114は、幅の狭い突出部102aではなく、幅の広い支持部8の側面に当接することになり、したがって、ストッパ104と第1の突出部102aとの間で指114を挟んでしまうことを防止できる(その結果、操作性が良くなる)。
【0043】
このように、本実施形態の外科用処置具1では、操作部4側の第1および第2の操作体37,39を第3の枢支ピン35を支点として上下方向に回動することにより、処置部3を挿入部2の軸方向に沿って真っ直ぐに位置させたり、あるいは、挿入部2の軸に対して角度を持たせることができる。
【0044】
また、第1の操作体37と第2の操作体39とを相対的に回動させれば、第1および第2の処置片12,14が相対的に回動して、処置部3を開くことができる。すなわち、第1の操作体37に対し第2の操作体39を第2の開閉枢支ピン38を支点として回動させると(第1のグリップ37aと第2のグリップ39aとを開閉すると)、第4の連結部材43および第3の連結部材41を介して第1の駆動棒5が前後に進退する。したがって、 第1の駆動棒5に連結された処置部3側の第1の連結部材16を介して第1の連結ピン15が前後に移動するため、第1の開閉枢支ピン13を支点として第2の処置片14が第1の処置片12に対して回動し、 処置部3が開閉する。
【0045】
また、このように、第1のグリップ37aと第2のグリップ39aとを相対的に回動させる際には、前述したラチェット機構がその効果を発揮する。すなわち、ハンドル開放バネ105の付勢力に抗してグリップ37a,39aを閉じる(摘んで締め込む)と、ラチェット解除レバー83の爪83aは、ラチェット82の歯82aに係止した状態のまま、歯82aに沿って移動する。そのため、第1のグリップ37aと第2のグリップ39aとの開度、すなわち、第1の処置片12と第2の処置片14との開度を段階的に変化させることができるとともに、その開度を任意の開度で固定できる。
【0046】
なお、グリップ37a,39aを閉じていくと、開放バネ105が弾性的に変形されてバネ力が蓄えられる。そのため、バネ力が蓄えられた状態で、板バネ109の付勢力に抗してレバー83を押し下げると、爪83aとラチェット歯82aとの係止状態が解除されるとともに、開放バネ105のバネ力が解放され、開放バネ105の付勢力によって第2のグリップ39aが第2の開閉枢支ピン38を支点として第1のグリップ37aから離間するように自動的に回動される。
【0047】
また、このように処置部3を開閉動作させて対象物を把持する場合、本実施形態では、前述したラチェット歯82aの設定ピッチにより、以下のような利点が得られる。すなわち、本実施形態では、前述したように、ラチェット82の歯82aのピッチθ1を縫合針111の径Dよりも小さく設定するために、θ1<2sin−1(D/2r)に設定している。したがって、ラチェット歯82aを1ピッチ単位でずらしながらグリップ37,39を閉じていくと、図14に示されるように、処置片12,14も、ラチェット歯82aの設定ピッチθ1に対応する幅、すなわち、縫合針111の径Dよりも小さい幅X’(θ1)で閉じていく。そのため、縫合針111がリンク機構の適度な弾性変形をもって把持されることになり、縫合針111を理想的な状態で把持することができる。これに対し、ラチェット82の歯82aのピッチθ1が縫合針111の径Dよりも大きい場合には、ラチェット歯82aを1ピッチ単位でずらしながらグリップ37,39を閉じていくと、図13に示されるように、処置片12,14も、縫合針111の径Dよりも大きい幅Xで閉じていくため、縫合針111を上手く掴める位置で処置片14が静止しない。無理に処置片14を閉じて針111を把持しようとすると、リンク機構が過大に変形し、リンク機構が壊れる可能性がある。仮にこの状態で針111を把持できたとしても、針111を損傷する虞があり、また、術者に余計な力を強いることになる。
【0048】
図12は、第1の操作体37および第2の操作体39を共に左横方向(操作部4側から見て)へ60°回動した状態を示している。この状態では、第1の操作体37および第2の操作体39の回動に伴って、第1および第2の処置片12,14も閉じた状態で右横方向へ60°回動される。すなわち、第1の操作37と第2の操作体39とを同時に第2の枢支軸32を支点として左方向に回動する(図16参照)と、第4の回動板46を介して第2の駆動棒6が後退し、第3の駆動棒7が前進する。したがって、処置部3における第1の回動ピン22が後退し、第2の回動ピン23が前進するため、第2の回動板21を介して第1の処置片12が第1の枢支軸9を支点として右方向に回動し、その結果、処置部3全体が右方向に回動する。
【0049】
逆に、第1の操作体37および第2の操作体39を同時に第2の枢支軸32を支点として右方向に回動すると、第4の回動板46を介して第2の駆動棒6が前進し、第3の駆動棒7が後退する。したがって、処置部3における第1の回動ピン22が前進し、第2の回動ピン23が後退するため、第2の回動板21を介して第1の処置片12が枢支軸9を支点として左方向に回動し、その結果、処置部3全体が左方向に回動する。
【0050】
このように、本実施形態の外科用処置具1では、第1および第2の操作体37,39の右方向の回動に連動して第1および第2の処置片12,14が操作体37,39と略平行状態を保ったまま左方向に回動し、また、第1および第2の操作体37,39の左方向の回動に連動して第1および第2の処置片12,14が操作体37,39と略平行状態を保ったまま右方向に回動する。すなわち、第1および第2の操作体37,39の上下左右の回動操作によって処置部3を任意の方向に向けることができる。
【0051】
ところで、このような回動操作、すなわち、第1の操作37(第1のグリップ37a)と第2の操作体39(第2のグリップ39a)とを同時に第2の枢支軸32を支点として左右に回動させる操作は、図15および図16に示されるように、掌の内側で簡単に行なうことができる。これは、前述したように、2つの指113,115でグリップ37a,39aを把持した状態で、グリップ37a,39aが掌の内側に収まるとともに、支柱100の球部100aが掌に当たり、支柱100を掌で支持することができるようになっているからである。しかも、この場合、凹面37bの中心軸O’と載置面39bの延在方向に延びる軸線L’とが互いに略直交しているため、親指113と中指115はそれぞれ、互いに略直交するように方向付けられる。したがって、指掛け部206a,208aによって2つの指が共に同一の方向のみに向けられて拘束される図23〜図25に示される場合とは異なり、指の動きが制限されず、操作部4を第2の枢支軸32を支点として左右に回動させても、手首を大きく動かす必要がない。したがって、操作性が非常に良好であり、手首を無理に捻ったり、処置を思うように進行することができないといった不都合を回避することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の外科用処置具1の操作部4は、2つの指で把持でき且つ掌の内側で回動操作可能なグリップ37a,39aを備え、2つの指をそれぞれ互いに略直交する軸に沿って方向付ける把持面37b、39bがグリップ37a,39aに形成されている。したがって、2つの指が共に同一の方向のみに向けられて拘束されることはなく、掌の内側にあるグリップ37a,39aを、手首を大きく動かすことなく、指先の動きだけで、第2の枢支軸32を支点として左右に回動させることができる。そのため、例えば微細な縫合操作が可能になり、術者の疲れが低減され、術者の集中力も増す。その結果、手術時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
また、このように、掌の中にあるグリップ37a,39aの回動を指先で行なうことができれば、特に細い血管同士を縫合する場合に、微細なコントロールが可能となる。また、心臓外科手術では、図15に示されるように処置部3を挿入部2に対して略直角に回動させた位置で左右に回動させる動作が最も多く、この動作を指先の動きだけで行なえれば、非常に有益である。
【0054】
また、本実施形態では、リンク機構を構成する駆動棒5,6,7が外部に露出して剥き出しになっているため、洗浄性が良好となる。特に、心臓外科手術等では、肋骨の存在によって体腔が確保されているため、体内にエアーを送気する気腹作業が不要であり、体外と体内とにわたって延在する挿入部2に、体内からのエアー漏れを防止する気密手段を設ける必要がなくなる。したがって、本実施形態のようにリンク機構を剥き出しにして、洗浄性の向上を図ることが可能になる。
【0055】
図17〜図19は、本発明の第2の実施形態を示している。なお、本実施形態において、第1の実施形態と共通する構成部分については、以下、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図17に示されるように、本実施形態では、駆動棒5,6,7の座屈を防止するための座屈防止カバー128が、挿入部2の中央部付近に設けられている。この座屈防止カバー128は、止めネジ103によって支持部8に固定されており、駆動棒5,6,7をその全周にわたって覆っている。
【0057】
このような構成によれば、操作部4や処置部3において不意な力が加わって駆動棒5,6,7が撓むことがあっても、座屈防止カバー128によって駆動棒5,6,7の座屈が防止されるため、駆動棒5,6,7の寿命を伸ばすことができる。なお、この座屈防止カバー128が第1の実施形態の外科用処置具1に設けられていても良い。
【0058】
また、本実施形態では、図18に詳しく示されるように、第2のグリップ39aが、グリップ板バネ127を介して、第2の操作体39に取り付けられている。第2のグリップ39aには第2の指リング123が設けられている。また、第1のグリップ37aには、第1の指リング121と、指当て部122とが設けられている。この場合、第1の指リング121の開口方向と第2の指リング123の開口方向は互いに略直交している。なお、第2の指リング123は、図18の(c)に示されるように円形を成していても良く、また、図18の(d)に示されるようにC形状を成していても良い。
【0059】
また、第1のグリップ37aの対向面37cには、3段板バネラチェット124が設けられ、また、第2のグリップ39aには、3段板バネラチェット124に係脱可能に係止して3段板バネラチェット124とともに板バネラチェット機構126を構成する1段板バネラチェット125が設けられている。
【0060】
図19には、板バネラチェット機構126の作用が模式的に示されている。板バネラチェット機構126が完全に解除されてバネ127の付勢力が第2のグリップ39aに作用していない図18の(b)の状態では、処置部3が完全に閉じられた状態にある。この状態から、第2のグリップ39aを第1のグリップ37aに向けて押し込んでいくと、まず、1段板バネラチェット125の爪が1段目のラチェット溝に係止し、この位置で第2のグリップ39aが固定される(図19の状態1)。この状態1から第2のグリップ39aを更に押し込んでいくと、1段板バネラチェット125の爪が2段目、3段目のラチェット溝に順次係止する状態2から状態3へと推移し、グリップ板バネ127のバネ力が徐々に強くなる。そして、第2のグリップ39aを更に押し込むと、1段板バネラチェット125の爪が3段目のラチェット溝から外れる状態4となり、そのまま第2のグリップ39aの把持力を解放すると、1段板バネラチェット125は、図中に矢印で示されるように、第1のグリップ37aから離間して自動的にラチェットが解除される。なお、処置部3を開く場合には、図18の(b)の状態から第2のグリップ39aを第1のグリップ37aから離間させる方向に回動させれば良い
このような構成によれば、状態1から状態4への変化に伴って徐々に弾性変形されていくグリップ板バネ127のバネ力が、閉じられた処置部3の把持力として作用するため、第1の実施形態のようなラチェットの細かい設定が不要となり、縫合針111の線径Dにある程度の幅を持たせることができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、持針器を例にとって本発明の外科用処置具が説明されているが、本発明は、持針器に限らず、図20に示されるような組織把持鉗子や図21に示されるハサミ鉗子などの外科用処置具にも適用可能である。本発明を図20に示されるような組織把持鉗子に適用すると、窪んだ部位の組織を挟んでソフトに掴むことができるとともに、処置部3の姿勢を無理なく容易に変えられるため、把持した組織に対して不要なテンションをかけずに済む。また、本発明を図21に示されるようなハサミ鉗子に適用すると、ハサミの向きを無理なく容易に変えられるため、姿勢制約の多い内視鏡手術において使い勝手が向上する。また、前述した第1の実施形態では、支柱100の長さが固定されていたが、図22に示されるように、支柱100をその軸方向で第1のグリップ37aに対して移動できるようにしても良い。この場合、第1のグリップ37aに形成された調整穴152内に支柱100を挿脱可能に挿入し、止めネジ150によって支柱100の位置を固定することにより、支柱100の長さを変えられるようにしても良い。この時、L3の長さは、例えば75〜115mmの範囲で変えられることが望ましい。また、前述した実施形態では、支柱100の長手方向軸O4が、第2の開閉枢支ピン38と直交する軸O3から偏心していたが、図22に示されるように、これらの軸O3,O4が一致していても良い。この場合、左右の回動によって支柱100の軸O4がずれることがなく、回動時の把持がより安定する。
【0062】
なお、以上説明してきた技術内容によれば、以下に示されるような各種の構成が得られる。
【0063】
(付記1)
体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の一端に設けられた処置部と、
前記挿入部の他端に設けられ、1つの軸を中心に回動可能な操作部と、
を備えた外科用処置具において、
前記操作部は、2つの指で把持でき且つ掌の内側で回動操作可能なグリップを備え、
前記グリップは、2つの前記指をそれぞれ互いに略直交する軸に沿って方向付ける把持面を有していることを特徴とする外科手術用処置具。
【0064】
(付記2)
前記操作部は、開閉可能な一対の前記グリップから成り、
一方の前記グリップの外面には、親指以外の前記指を引掛けることができる円弧状の第1の把持面が形成され、
他方の前記グリップの外面には、前記親指を、前記親指の延在方向で載置できる平坦な矩形状の第2の把持面が形成され、
前記第1の把持面の中心軸と、前記第2の把持面の延在方向に延びる軸線とが、互いに略直交していることを特徴とする付記1に記載の外科手術用処置具。
【0065】
(付記3)
体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の一端に設けられた開閉可能な処置部であって、少なくとも2つの軸を中心に回動可能な処置部と、
前記挿入部の他端に設けられた開閉可能な操作部であって、少なくとも2つの軸を中心に回動可能な操作部と、
前記操作部と前記処置部とを連結するとともに、前記操作部の操作力を前記処置部に伝達して処置部を動作させる駆動手段と、
を備え、
少なくとも2つの平面内で前記操作部および前記処置部が回動可能な外科用処置具において、
前記操作部は、2つの指で把持でき且つ掌の内側で回動操作可能なグリップを備え、
前記グリップは、2つの前記指をそれぞれ互いに略直交する軸に沿って方向付ける把持面を有していることを特徴とする外科手術用処置具。
【0066】
(付記4)
前記操作部は、開閉可能な一対の前記グリップから成り、
一方の前記グリップの外面には、親指以外の前記指を引掛けることができる円弧状の第1の把持面が形成され、
他方の前記グリップの外面には、前記親指を、前記親指の延在方向で載置できる平坦な矩形状の第2の把持面が形成され、
前記第1の把持面の中心軸と、前記第2の把持面の延在方向に延びる軸線とが、互いに略直交していることを特徴とする付記3に記載の外科手術用処置具。
【0067】
(付記5)
前記第1の把持面および前記第2の把持面は、前記グリップの開閉軸と直交する直交軸に対して互いに反対側に位置し、
前記第1の把持面と前記直交軸との間の距離は、前記第2の把持面と前記直交軸との間の距離とほぼ等しいことを特徴とする付記4に記載の外科手術用処置具。
【0068】
(付記6)
前記グリップには、前記掌で支持される棒状の支柱が形成され、前記支柱の長手方向軸が前記直交軸と近接もしくは一致していることを特徴とする付記5に記載の外科手術用処置具。
【0069】
(付記7)
前記挿入部の前記操作部側に設けられ、前記操作部に設けられたストッパと当接して前記操作部の回動範囲を規制する回動規制カバーを更に備え、
前記ストッパと当接する前記回動規制カバーの当接部の幅は、前記操作部が回動可能に連結される前記挿入部の基体の幅よりも小さいことを特徴とする付記3に記載の外科手術用処置具。
【0070】
(付記8)
前記処置部に設けられ、前記処置部の開閉により縫合針を把持する2つの対向する縫合針把持面と、
前記処置部の開閉を段階的に行なわせるための段階的開閉機構であって、2つの対向する前記縫合針把持面の開閉間隔を前記縫合針の線径以下に設定する段階的開閉機構と、
を更に備えていることを特徴とする付記3に記載の外科手術用処置具。
【0071】
(付記9)
掴み想定位置で前記縫合針把持面によって掴まれた前記縫合針の断面中心を通り且つ前記グリップの開閉軸を中心とする円弧の半径をrとし、前記縫合針の径をDとし、前記縫合針を把持した時の前記縫合針把持面の開き角度をθ2とした場合、前記段階的開閉機構により設定される開閉間隔θ1は、
θ1<2sin−1(D/2r)=θ2
によって与えられることを特徴とする付記8に記載の外科手術用処置具。
【0072】
(付記10)
前記駆動手段が外部に露出していることを特徴とする付記3に記載の外科手術用処置具。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、手首を大きく動かすことなく操作部を回動させることができる操作性が良好な外科用処置具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る外科用処置具の全体構成を示す側面図。
【図2】図1の外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図。
【図3】図1の外科用処置具の処置部を下方から見た斜視図。
【図4】図1の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図。
【図5】操作部のガードを取り外した状態で、図1の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図。
【図6】図1の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図。
【図7】図1の外科用処置具のグリップの断面図。
【図8】図7のグリップに設けられたラチェット機構のラチェット歯のピッチ設定と処置部の寸法との関係を示す模式図。
【図9】(a)は操作部を垂直に方向付けた状態を示す側面図、(b)は(a)のX方向矢視図。
【図10】(a)は操作部を水平に方向付けた状態を示す側面図、(b)は(a)のY方向矢視図。
【図11】(a)は処置部および操作部を垂直に方向付けた状態を示す側面図、(b)は処置部および操作部を水平に方向付けた状態を示す側面図
【図12】(a)は操作部および処置部を水平にした状態の平面図、(b)は操作部および処置部を左右に回動させた状態の平面図。
【図13】処置部の把持状態の悪い例を示す図。
【図14】処置部の把持状態の良い例を示す図。
【図15】図1の外科用処置具を手で把持して処置している状態を示す図。
【図16】図15の状態から操作部および処置部を左右に回動させた状態を示す図。
【図17】(a)は本発明の第2の実施形態に係る外科用処置具の全体構成を示す側面図、(b)は(a)のZ−Z線に沿う断面図。
【図18】(a)は図17の外科用処置具の操作部のグリップの閉状態の拡大図、(b)は図17の外科用処置具の操作部のグリップの開状態の拡大図、(c)(d)は(a)のR方向矢視図。
【図19】図17の外科用処置具のラチェット機構の作用を説明するための模式図。
【図20】組織把持鉗子の先端部の斜視図。
【図21】ハサミ鉗子の先端部の斜視図。
【図22】図1の外科用処置具の操作部の変形例に係る、一部断面を有する側面図。
【図23】従来の外科用処置具の操作部を手で把持した状態を示す側面図。
【図24】図23の状態から操作部を左に回動させた状態を示す斜視図。
【図25】図23の状態から操作部を右に回動させた状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1・・・外科用処置具
2・・・挿入部
3・・・処置部
4・・・操作部
5,6,7・・・駆動棒
37a,39a…グリップ
37b…凹面(把持面)
39b…載置面(把持面)

Claims (5)

  1. 体内に挿入される挿入部と、
    前記挿入部の一端に設けられ、前記挿入部の長手軸方向に対して直交する方向に配置される第1の軸の軸方向を中心に回動し、且つ前記挿入部の長手軸方向と前記第1の軸の軸方向に対して直交する方向に配置される第2の軸の軸方向を中心に回動する処置部と、
    前記挿入部の他端に設けられ、前記第1の軸の軸方向に対して略平行な方向に配置される第3の軸と、前記第2の軸の軸方向に対して略平行な方向に配置される第4の軸を有し、2つの指で把持でき且つ掌の内側で、前記第3の軸の軸方向を中心に回動操作することで、前記処置部を前記第1の軸の軸方向を中心に回動させ、前記第4の軸の軸方向を中心に回動操作することで、前記処置部を前記第2の軸の軸方向を中心に回動させるグリップを有する操作部と、
    前記第3の軸の軸方向を中心に回動する前記操作部の回動動作を前記処置部側に伝達して前記処置部を前記第1の軸の軸方向を中心に回動させ、または前記第4の軸の軸方向を中心に回動する前記操作部の回動動作を前記処置部側に伝達して前記処置部を前記第2の軸の軸方向を中心に回動させる第1の伝達手段と、
    を具備する外科手術用処置具であって、
    前記グリップは、前記掌で支持される棒状の支柱を具備し、
    前記グリップを前記第3の軸の軸方向を中心に回動させる際に、前記支柱は、前記第3の軸の軸方向と略平行な方向を中心に回動し、前記グリップを前記第4の軸の軸方向を中心に回動させる際に、前記支柱は、前記第4の軸の軸方向と略平行な方向を中心に回動することを特徴とする外科手術用処置具。
  2. 前記グリップが前記第3の軸の軸方向を中心に回動し、前記処置部が前記第1の軸の軸方向を中心に回動した際、前記支柱は、前記処置部の先端から前記挿入部と接続する基端までの長さ方向と略平行状態となり、
    前記グリップが前記第4の軸の軸方向を中心に回動し、前記処置部が前記第2の軸の軸方向を中心に回動した際、前記支柱は、前記処置部の先端から前記挿入部と接続する基端までの長さ方向と略平行状態となることを特徴とする請求項1に記載の外科手術用処置具。
  3. 前記グリップは、一対のグリップから成り、
    一方の前記グリップの一端と他方の前記グリップの一端は、前記他方のグリップに対して開閉可能な一方の前記グリップが開閉するための開閉軸にて連結されており、
    一方の前記グリップの外面には、親指以外の前記指を引掛けることができる円弧状の第1の把持面が形成され、
    他方の前記グリップの外面には、前記親指を、前記親指の延在方向で載置できる平坦な矩形状の第2の把持面が形成され、
    前記第1の把持面の中心軸と、前記第2の把持面の延在方向に延びる軸線とが、互いに略直交する方向に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の外科手術用処置具。
  4. 前記第1の把持面および前記第2の把持面は、前記開閉軸の方向に対して直交し、前記支柱に対して略平行に配置される直交軸に対して互いに反対側に位置し、
    前記直交軸と前記支柱に対して略平行に配置され、前記第1の把持面における円弧の接線と前記直交軸との間の距離は、前記第2の把持面の延在方向に延びる軸線と前記直交軸との間の距離とほぼ等しいことを特徴とする請求項3に記載の外科手術用処置具。
  5. 前記処置部に設けられ、前記第1の軸の軸方向を中心に開閉する2つの処置片と、
    一方の前記グリップを前記他方のグリップに対して前記開閉軸を中心に開閉させた際に、一方の前記グリップの開閉動作を前記処置片側に伝達させて前記処置片を開閉させる第2の伝達手段と、
    を具備することを特徴とする請求項4に記載の外科手術用処置具。
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