図3は、本発明を実施する前提となる第1の磁界検出素子10、第2の磁界検出素子20、環境磁界および検出磁界の関係を示した模式図である。第1の磁界検出素子10は環境磁界のみを検出する位置に配置される。第2の磁界検出素子20は検出磁界が検出できる位置に配置され、環境磁界と検出磁界の両方に感磁特性を示す。つまり、第2の磁界検出素子20は検出磁界発生源の近傍に配置される。ここで、第2の磁界検出素子20において、検出磁界のみを検出するには環境磁界による検出量を低減する必要がある。環境磁界はおおむね均一であることから、環境磁界に応じた第1の磁界検出素子10の検出量は、第2の磁界検出素子20の環境磁界に応じた検出量と同等であると見做せるため、第1の磁界検出素子10での検出量に応じた磁界を、第2の磁界検出素子20の環境磁界に対して逆方向となるように与えることで、第2の磁界検出素子20において環境磁界の影響を低減した状態で検出磁界を検出することが可能となる。なお、ここで、検出磁界は直流磁界、交流磁界が問われるものではない。また、環境磁界に対して逆方向とは第1の磁気検出素子10および第2の磁気検出素子20の環境磁界に応じた検出量を低減する異なる符号となる磁界の方向を意味する。以降の説明においても、逆方向は同様の意味とする。また、第1の磁気検出素子10および第2の磁気検出素子20以外の磁界検出素子にも同様に適用される。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。なお、図面は、模式的なものであり、説明の便宜上、厚みと平面寸法との関係、及びデバイス相互間の厚みの比率は、本実施形態の効果が得られる範囲内で現実のセンサ構造とは異なっていてもよい。
(実施形態1)
図1は、本実施形態1の磁界検出装置1の概要図である。磁界検出装置1は、第1の磁界発生部110が有する第1の磁界発生導体111、第1の磁界検出素子10、第1の差動演算部210が有する第1の差動演算回路211、第1の抵抗510、第2の磁界発生部120が有する第2の磁界発生導体121、第2の磁界検出素子20、検出抵抗530を備えている。ここで、第1の磁界検出素子10、第1の差動演算部210、第1の抵抗510が第1の磁界検出部410を構成し、第2の磁界検出素子20、検出抵抗530が第2の磁界検出部420を構成する。
第1の磁界発生部110が有する第1の磁界発生導体111の一端は第1の差動演算部210が有する第1の差動演算回路211の出力端に接続されている。第1の差動演算回路211の一対の入力端のうち一方の入力端には、一端が第1の電位(Vc)に接続された第1の磁界検出素子10の他端が接続されている。第1の差動演算回路211の一対の入力端のうち他方の入力端は、第3の電位(Gnd)に接続されている。第1の磁界検出素子10の他端は、一端が第2の電位(−Vc)に接続された第1の抵抗510の他端と接続されている。第1の磁界発生導体111の他端は第2の磁界発生部120が有する第2の磁界発生導体121の一端に接続されている。第2の磁界発生導体121の他端は、第3の電位(Gnd)に接続されている。一端が第1の電位(Vc)に接続された第2の磁界検出素子20の他端は、検出抵抗530の一端に接続されている。検出抵抗530の他端は第2の電位(−Vc)に接続されている。ここで、第1の磁界検出素子10の他端が第1の出力を出力し、第2の磁界検出素子20の他端が第2の出力を出力する。
第1の磁界検出部410が備える第1の差動演算部210の入力端には、第1の磁界発生部110が有する第1の磁界発生導体111の近傍に配置された第1の磁界検出素子10の第1の出力が入力され、第1の出力の変動を低減するように第1の差動演算部210の出力である第1の帰還電流が、第1の磁界発生部110が有する第1の磁界発生導体111に流れ、第1の磁界発生導体111は、環境磁界とは逆方向の第1の帰還電流磁界を発生させる。つまり、第1の磁界検出部410が備える第1の差動演算部210は、地磁気や周囲環境磁界などの概ね均一な環境磁界が第1の磁界検出素子10に印加された場合に、その環境磁界を低減するように第1の差動演算部210から第1の磁界発生導体111に第1の帰還電流を流し、環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界を第1の磁界検出素子10に与えるように動作する。従って、環境磁界の影響は第1の帰還電流による環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界により低減されるので、第1の磁界検出素子10の第1の出力の変動が低減される。つまり、環境磁界に応じた第1の帰還電流により環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界を第1の磁界発生部110が発生することになる。以下、第1の磁界発生部110、第1の磁界検出部410について、説明する。
第1の磁界発生部110は、第1の磁界発生導体111を有している。第1の磁界発生導体111は、第1の帰還電流によって発生する環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界を、第1の磁気検出素子10に与えるものであれば、その形状および材質は特に問われるものではない。例えば、第1の磁界検出素子10が一方向に延在する形状であれば、第1の磁界発生導体111は、直線状の導体であってもよく、第1の磁界検出素子10を巻回するソレノイド形状の導体であってもよい。また、第1の磁界発生導体111は第1の磁界検出素子10と絶縁されるとともに第1の磁界検出素子10と一体に形成されてもよく、第1の磁界検出素子10と離間して配置されるとともに第1の磁界検出素子10を囲むようにソレノイド状に形成される、あるいは、直線状に形成されていてもよい。なお、第1の磁界発生部110は、第1の磁界発生導体111の一端が第1の差動演算部210の出力端に接続される構成としてもよく、第1の磁界発生導体111の一端に、非制御端の一端が第1の電位(Vc)に接続された第1の電界効果トランジスタ(図示せず)の他端が接続され、第1の差動演算部210の出力が第1の電界効果トランジスタ(図示せず)の制御端に接続される構成としてもよい。第1の磁界発生導体111の一端が第1の差動演算部210の出力端に接続される場合、第1の差動演算部210の出力端からの出力が第1の帰還電流となる。第1の差動演算部210の出力が第1の電界効果トランジスタ(図示せず)の制御端に接続される場合、第1の差動演算部210の出力端からの出力が電界効果トランジスタ(図示せず)の制御端を制御し、制御端の信号に応じた非制御端の他端に接続された第1の磁界発生導体111に流れる電流が第1の帰還電流となる。また、第1の電界効果トランジスタ(図示せず)に代えて、バイポーラトランジスタ、静電誘導トランジスタなどを適用してもよい。
第1の磁界検出部410が備える第1の差動演算部210は、第1の差動演算回路211を有している。第1の差動演算回路211の一対の入力端の一方の入力端に、第1の磁界検出素子10の出力である第1の出力を入力し、他方の入力端が第3の電位(Gnd)に接続されている。また、第3の磁界検出素子(図示せず)が存在する場合に第3の磁界検出素子(図示せず)の他端と一端が第2の電位(―Vc)に接続された第3の抵抗(図示せず)の他端が第1の差動演回路211の他方の入力端に入力されてもよい。また、第1の差動演算回路211の一対の入力端の一方の入力端に、第1の磁界検出素子10の出力である第1の出力が入力され、他方の入力端に第3の電位(Gnd)に接続され、第2の差動演算回路(図示せず)の一対の入力端の一方の入力端に、第3の磁界検出素子(図示せず)の他端と一端が第2の電位(−Vc)に接続された第3の抵抗(図示せず)の他端が入力され、他方の入力端に第3の電位(Gnd)に接続され、第3の差動演算回路(図示せず)の一対の入力端に第1の差動演算回路211および第2の差動演算回路(図示せず)の出力をそれぞれ入力し、第3の差動演算回路(図示せず)の出力が第1の磁界発生部110に第1の帰還電流を流すように動作するような構成としてもよい。なお、環境磁界が与えられた第1の磁界検出素子10と第3の磁界検出素子(図示せず)とは、その抵抗値の変化率の符号が異なることが好ましい。抵抗値の変化率の符号が異なることにより、第1の差動演算部210の出力を大きくすることが可能となるので、環境磁界の検出精度を上げることが可能となる。
第1の磁界検出部410は、第1の磁界検出素子10を有しており、第1の帰還電流により生じる環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界の影響を受ける場所に配置される。また、第1の磁界検出部410は、第3から第5の磁界検出素子(図示せず)を有していてもよい。ここで、第1の磁界検出素子10および第3から第5の磁界検出素子(図示せず)は第1の磁界発生部110が発生する第1の帰還電流による環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界の影響を受けるように配置される。この場合、第1の磁界検出素子10と第3の磁界検出素子(図示せず)とが接続された第1の接続点と第4の磁界検出素子(図示せず)と第5の磁界検出素子(図示せず)とが接続された第2の接続点とをそれぞれ一対の第1の差動演算部210の入力端と接続してもよい。このように、いわゆるフルブリッジ接続された第1の磁界検出素子10および第3から第5の磁界の磁界検出素子(図示せず)を使用した場合、環境磁界を低減するように、つまり、第1の接続点と第2の接続点との電位差が0となるように第1の差動演算部210は動作する。つまり、第1の差動演算部210は第1の磁界発生導体111に第1の帰還電流を流すように動作する。従って、第1の磁界検出素子10および第3から第5の磁界検出素子(図示せず)は、第1の帰還電流による環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界が与えられるので環境磁界が低減された状態となっている。なお、第1の磁界検出素子10および第3から第5の磁界検出素子(図示せず)は、一体として形成されることが好ましい。また、第3から第5の磁界検出素子(図示せず)のうち1個ないし3個の磁界検出素子を抵抗としてもよい。なお、第1の磁界検出素子10および第3から第5の磁界検出素子(図示せず)は、AM(異方性)磁気抵抗素子、S−V(スピンバルブ)巨大磁気抵抗素子、トンネル型磁気抵抗素子などの磁気抵抗素子、ホール素子などが挙げられる。
ここで、図1に示されるように、一端が第1の電位(Vc)に接続された第1の磁界検出素子10の他端が、一端が第2の電位(−Vc)に接続された第1の抵抗510の他端と接続されている場合は、第1の磁界検出素子10の他端から出力される第1の出力と、第3の電位(Gnd)とが第1の差動演算部210の入力端にそれぞれ入力される。第1の差動演算部210の出力端は、第1の磁界発生部110が有する第1の磁界発生導体111の一端に入力され、第1の磁界発生導体111の他端は、一端が第3の電位(Gnd)に接続されている第2の磁界発生導体121の他端に接続される。環環境磁界に応じて、第1の磁界発生導体111の近傍に配置された第1の磁界検出素子10が影響を受け、その出力である第1の出力の変動を低減するように、第1の帰還電流による環境磁界とは逆方向の第1の帰還電流磁界を第1の磁界検出素子10に与える。すなわち、環境磁界を低減させる第1の帰還電流による環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界と第2の磁界発生導体121に流れる第2の電流による環境磁界とは逆方向となる第2の電流磁界が第1および第2の磁界検出素子(10、20)にそれぞれ与えられるので、第1および第2の磁界検出素子(10、20)の環境磁界による第1および第2の磁界検出素子(10、20)の抵抗変化ΔRは、一様な環境磁界に対して常に零になるように制御されることになる。なお、第1の磁界発生導体111の他端は、一端が第3の電位(Gnd)に接続されている第2の磁界発生導体121の他端に接続されているので、第1の帰還電流と第2の電流は同じである。ΔRが零なので、ΔRの温度変化はほとんどなく、そのため環境磁界のΔRの温度に起因する出力の変動(温度ドリフト)を低減することが可能となっている。特に、第1および第2の磁界検出素子(10、20)がAM磁気抵抗素子、S−V巨大磁気抵抗素子、トンネル型磁気抵抗素子などの磁気抵抗素子である場合、磁気抵抗素子は温度による抵抗値の変動が大きいため出力の変動(温度ドリフト)を低減することは重要である。
なお、第2の電位は−Vc、第3の電位はGndとして説明したが、これに限るものではなく、第2の電位をGnd、第3の電位をVc/2としてもよい。
なお、環境磁界が概ね0である場合の第1の抵抗510と第1の磁界検出素子10の抵抗値は同等であることが好ましく、第1の磁界検出素子10および第3から第5の磁界検出素子(図示せず)の抵抗値は同等であることが好ましい。
第2の磁界検出部420は、第2の磁界検出素子20、検出抵抗530を備えている。従って、第2の磁界検出素子20は、第2の磁界検出素子20の近傍に発生する検出磁界を検出することが可能となっている。なお、ここで検出磁界とは、第1の磁界検出素子10に直接的に影響を与えない程度の磁界である。従って、検出磁界の影響を受けにくいように、第1の磁界検出部410と第2の磁界検出部420とは、離間して配置される。また、第2の磁界検出素子20の近傍に、第2の磁界発生部120が配置されている。第2の磁界発生部120には、第1の帰還電流に応じた第2の電流が流れ、第2の磁界発生部は環境磁界とは逆方向となる第2の電流磁界を発生する。つまり、第1の帰還電流に応じた第2の磁界発生部120が発生する環境磁界とは逆方向となる第2の電流磁界は環境磁界とは逆方向となる磁界であり、環境磁界の影響を低減させるものである。従って、第2の磁界検出素子20は、環境磁界の影響が低減された状態で、検出磁界を検出することが可能となっている。以下、第2の磁界発生部120、第1の磁界検出部420について、説明する。
第2の磁界発生部120は、第2の磁界発生導体121を有している。第2の磁界発生導体121は、第2の電流によって発生する環境磁界とは逆方向となる第2の電流磁界を、第2の磁気検出素子20に与えるものであれば、その形状および材質は特に問われるものではない。例えば、第2の磁界検出素子20が一方向に延在する形状であれば、第2の磁界発生導体121は、直線状の導体であってもよく、ソレノイド形状の導体であってもよい。また、第2の磁界発生導体121は第2の磁界検出素子20と絶縁されるとともに第2の磁界検出素子20と一体に形成されてもよく、第2の磁界検出素子20と離間して配置されるとともに第2の磁界検出素子20を囲むようにソレノイド状に形成される、あるいは、直線状に形成されていてもよい。なお、第2の磁界発生部120は、第2の磁界発生導体121の一端が第1の磁界発生導体111の端部に導体を介して接続される構成としてもよく、また、第2の磁界発生導体121の一端に、非制御端の一端が第1の電位(Vc)に接続された第2の電界効果トランジスタ(図示せず)の他端が接続され、第1の磁界発生部110の出力端(第1の磁界発生導体111の出力端)が第2の電界効果トランジスタ(図示せず)の制御端に接続される構成としてもよい。なお、第2の磁界発生導体121の一端が第1の磁界発生導体111の端部に導体を介して接続される構成となる場合、第1の帰還電流と第2の電流は同一となる。第1の磁界発生部110の出力端(第1の磁界発生導体111の出力端)が第2の電界効果トランジスタ(図示せず)の制御端に接続される場合、第1の磁界発生部110の出力端(第1の磁界発生導体111の出力端)からの出力が第2の電界効果トランジスタ(図示せず)の制御端を制御し、制御端の信号に応じた非制御端の他端に接続された第2の磁界発生導体121に流れる電流が第2の電流となる。また、第2の電界効果トランジスタ(図示せず)に代えて、バイポーラトランジスタ、静電誘導トランジスタなどを適用してもよい。なお、第1の帰還電流による第1の磁界発生部110が発生する環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界と、第2の電流による第2の磁界発生部120が発生する環境磁界とは逆方向となる第2の電流磁界とを同等な磁界とするためには、第2の磁界発生部120は、第1の磁界発生部110と同等な構造をとることが好ましい。特に、第1の磁界発生導体111と第2の磁界発生導体121は同等な構造をとることが好ましい。また、特に、磁界発生導体111が発生する磁界と第2の磁界発生導体121が発生する磁界は平行であることが好ましい。
第2の磁界検出部420は、第2の磁界検出素子20を有しており、第2の電流磁界の影響を受ける場所に配置される。また、第2の磁界検出部420は、第6から第8の磁界検出素子(図示せず)を有していてもよい。ここで、第2の磁界検出素子20および第6から第8の磁界検出素子(図示せず)は第2の磁界発生部120が発生する第2の電流磁界の影響を受けるように配置される。この場合、第2の磁界検出素子20と第6の磁界検出素子(図示せず)とが接続された第3の接続点と第の7磁界検出素子(図示せず)と第8の磁界検出素子(図示せず)とが接続された第4の接続点とをそれぞれ一対の第3の差動演算部(図示せず)の入力端と接続してもよい。このように、いわゆるフルブリッジ接続された第2の磁界検出素子20および第6から第8の磁界の磁界検出素子(図示せず)を使用した場合、第3の接続点と第4の接続点との電位差から検出磁界を検出することが可能となっている。また、フルブリッジ接続されているので、出力を大きくすることも可能である。また、第2の磁界検出部420の近傍に発生する磁界は環境磁界と第2の電流磁界の両方の磁界を合わせた磁界となり、環境磁界の影響が低減された状態となっているのはいうまでもない。従って、第2の磁界検出素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(図示せず)は、環境磁界の影響が低減された状態で検出磁界を検出することが可能となっている。なお、第2の磁界検出素子20および第6から第8の磁界検出素子(図示せず)は一体として形成されることが好ましい。また、第6から第8の磁界検出素子(図示せず)のうち1個ないし3個の磁界検出素子を抵抗としてもよい。なお、第2の磁界検出素子20および第6から第8の磁界検出素子(図示せず)は、AM磁気抵抗素子、S−V巨大磁気抵抗素子、トンネル型磁気抵抗素子などの磁気抵抗素子、ホール素子などが挙げられる。なお、第1の帰還電流により生じる環境磁界とは逆方向となる第1の帰還電流磁界および第2の電流により生じる環境磁界とは逆方向となる第2の電流磁界に対して同等な磁界の影響を受けるためには、第2の磁界検出部420は、第1の磁界検出部410と同等な構造をとることが好ましい。特に、第1の磁界検出素子10と第2の磁界検出素子20は同等な構造をとることが好ましい。複数の磁界検出素子が存在する場合も同様であり、第2の磁界検出部420は、第1の磁界検出部410と同等な磁界検出素子の構造および配置とすることが好ましい。また、特に、第2の磁界検出部420と第1の磁界検出部410とは平行に配置されることが好ましい。
第2の磁界検出部420は、第3の差動演算部(図示せず)を有していても良く、第3の差動演算部(図示せず)は第7の差動演算回路(図示せず)を有していてもよい。ここで、第7の差動演算回路(図示せず)の一対の入力端の一方の入力端に、第2の磁界検出素子20の出力である第2の出力を入力し、他端が第3の電位(Gnd)に接続されたものであっても良い。また、第6の磁界検出素子(図示せず)が存在する場合に、第6の磁界検出素子(図示せず)の他端と一端が第2の電位(−Vc)に接続された第4の抵抗(図示せず)の他端とが接続された接続端が第7の差動演回路(図示せず)の他方の入力端に接続されてもよい。また、第7の差動演算回路(図示せず)の一対の入力端の一方の入力端に、第2の磁界検出素子20の出力である第2の出力が入力され、他方の入力端に第3の電位(Gnd)が接続され、第8の差動演算回路(図示せず)の一対の入力端の一方の入力端に、第6の磁界検出素子(図示せず)の他端と一端が第2の電位(−Vc)に接続された第4の抵抗(図示せず)の他端とが接続された接続端が接続され、他方の入力端に第3の電位(Gnd)が接続され、第9の差動演算回路(図示せず)の一対の入力端に第7の差動演算回路(図示せず)および第8の差動演算回路(図示せず)の出力をそれぞれ入力し、第9の差動演算回路(図示せず)の出力を第3の差動演算部(図示せず)の出力としてもよい。なお、環境磁界が与えられた第2の磁界検出素子20と第6の磁界検出素子(図示せず)とは、その抵抗値の変化率の符号が異なることが好ましい。抵抗値の変化率の符号が異なることにより、第3の差動演算部(図示せず)の出力を大きくすることが可能となるので、環境磁界の検出精度を上げることが可能となる。
ここで、図1に示されるように一端が第1の電位(Vc)に接続された第2の磁界検出素子20の他端は、一端が第2の電位(−Vc)に接続された検出抵抗530の他端に接続されている。従って、検出抵抗530の他端から検出磁界に応じた出力を得ることが可能となっている。また、第3の差動演算部(図示せず)が存在する場合、第3の差動演算部(図示せず)の出力が検出磁界に応じた出力となっている。
なお、第2の電位は−Vc、第3の電位はGndとして説明したが、これに限るものではなく、第2の電位をGnd、第3の電位をVc/2としてもよい。
なお、環境磁界が概ね0である場合の第1の磁界検出素子10と第2の磁界検出素子20の抵抗値は同等であることが好ましく、第2の磁界検出素子20および第6から第8の磁界検出素子(図示せず)の抵抗値は同等であることが好ましい。
従来のように、環境磁界の影響を低減するために演算により各磁界検出部の出力の差分をとる方式では、第1および第2の磁界検出素子(10、20)に対応する磁界検出部の出力を出力する2つの差動演算部と、当該差動演算部の出力の差動を出力する差動演算部が必要となる。一方、本実施形態1では、第1の磁界検出部410が備える第1の差動演算部210だけで同等な働きが得られるため、差動演算部の部品点数の低減、小型化が可能となっている。また、第3の差動演算部(図示せず)が存在したとしても同様である。つまり、従来では、第1および第3の差動演算部の出力の差動演算を行う差動演算部が必要であるが、本実施形態では必要とはならない。
また、本実施形態1では、検出磁界を検出するに当たり、第1の差動演算部210の出力により環境磁界検出用の磁界検出部(第1の磁界検出部410)および検出磁界用の磁界検出部(第2の磁界検出部420)のそれぞれに、概ね一様と考えられる環境磁界と逆方向の第1の磁界発生部110が発生する第1の帰還電流磁界および第2の磁界発生部120が発生する第2の電流磁界を与える電流帰還ループを形成することで、環境磁界の環境温度の変化に起因する検出磁界用の磁界検出部(第2の磁界検出部420)の出力の変動(温度ドリフト)を低減することが可能となっている。
(実施形態2)
図2は、本実施形態2の磁界検出装置2の概要図である。磁界検出装置2は、第1の磁界発生部110が有する第1の磁界発生導体111、第1の磁界検出素子10、第1の差動演算部210が有する第1の差動演算回路211、第1の抵抗510、第2の磁界発生部120が有する第2の磁界発生導体121、第3の磁界発生導体122、第2の磁界検出素子20、第2の差動演算部220が有する第4の差動演算回路221、第2の抵抗520、検出抵抗540を備えている。ここで、第1の磁界検出素子10、第1の差動演算部210、第1の抵抗510が第1の磁界検出部410を構成し、第2の磁界検出素子20、第2の差動演算部220、第2の抵抗520、検出抵抗540が第2の磁界検出部420を構成する。以下に接続関係を示す。
第1の磁界発生部110が有する第1の磁界発生導体111の一端は第1の差動演算部210が有する第1の差動演算回路211の出力端に接続されている。第1の差動演算回路211の一対の入力端のうち一方の入力端には、一端が第1の電位(Vc)に接続された第1の磁界検出素子10の他端が接続されている。第1の差動演算回路211の一対の入力端のうち他方の入力端は、第3の電位(Gnd)に接続されている。第1の磁界検出素子10の他端は、一端が第2の電位(−Vc)に接続された第1の抵抗510の他端と接続されている。第1の磁界発生導体111の他端は第2の磁界発生部120が有する第2の磁界発生導体121の一端に接続されている。第2の磁界発生導体121の他端は、第3の電位(Gnd)に接続されている。一端が第1の電位(Vc)に接続された第2の磁界検出素子20の他端は、第2の差動演算部220が有する第4の差動演算回路221の一対の入力端の一方の入力端に接続されている。第4の差動演算回路221の一対の入力端の他方の入力端は、第3の電位(Gnd)に接続されている。第2の磁界検出素子20の他端は、一端が第2の電位(−Vc)に接続された第2の抵抗520の他端と接続されている。第4の差動演算回路221の出力端は、検出抵抗540の一端に接続されている。検出抵抗540の他端は第3の磁界発生導体122の一端に接続されている。第3の磁界発生導体122の他端は、第3の電位(Gnd)に接続されている。ここで、第1の磁界検出素子10の他端が第1の出力を出力し、第2の磁界検出素子20の他端が第2の出力を出力する。実施形態1と異なるのは、第2の磁界検出部420が第2の差動演算部220を備える点、第2の磁界発生部120が、第3の磁界発生導体122を備える点であり、第2の磁界検出部420で検出される検出磁界に対して電流帰還ループを形成していることである。他の構成は実施形態1と同様であるので、第2の磁界発生部120、第2の磁界検出部420について以下に説明する。実施形態1と同等な構成についての説明は割愛する。
第2の磁界検出部420は第2の差動演算部220を有し、第2の差動演算部220は第4の差動演算回路221を有している。ここで、第4の差動演算回路221の一対の入力端の一方の入力端に、第2の磁界検出素子20の出力である第2の出力を入力し、他方の入力端は第3の電位(Gnd)に接続されている。また、第6の磁界検出素子(図示せず)が存在する場合に、第6の磁界検出素子(図示せず)の他端と一端が第2の電位(−Vc)に接続された第3の抵抗(図示せず)の他端とが接続された接続端が第4の差動演回路221の他方の入力端に接続されてもよい。また、第4の差動演算回路221の一対の入力端の一方の入力端に、第2の磁界検出素子20の出力である第2の出力が入力され、他方の入力端に第3の電位(Gnd)が接続され、第5の差動演算回路(図示せず)の一対の入力端の一方の入力端に、第6の磁界検出素子(図示せず)の他端と一端が第2の電位(−Vc)に接続された第3の抵抗(図示せず)の他端とが接続された接続端が接続され、他方の入力端に第3の電位(Gnd)が接続され、第6の差動演算回路(図示せず)の一対の入力端に第4の差動演算回路221および第5の差動演算回路(図示せず)の出力をそれぞれ入力し、第6の差動演算回路(図示せず)の出力端が検出抵抗540の一端に接続されていてもよい。なお、環境磁界が与えられた第2の磁界検出素子20と第6の磁界検出素子(図示せず)とは、その抵抗値の変化率の符号が異なることが好ましい。抵抗値の変化率の符号が異なることにより、第2の差動演算部220の出力を大きくすることが可能となるので、環境磁界の検出精度を上げることが可能となる。
ここで、図2に示されるように、第2の磁界発生部120が有する第3の磁界発生導体122の一端は、一端が第2の差動演算部220の出力端に接続された検出抵抗540の他端に接続され、検出抵抗540には第2の帰還電流が流れる。従って、検出抵抗540の一端から検出磁界に応じた出力を得ることが可能となっている。また、第2の差動演算部220の出力端と、非制御端の一端が第1の電位(Vc)に接続された第3の電界効果トランジスタ(図示せず)の制御端が接続され、検出抵抗540の一端が第3の電界効果トランジスタ(図示せず)の非制御端の他端に接続される構成としてもよい。この場合、第2の差動演算部220の出力端からの出力が第3の電界効果トランジスタ(図示せず)の制御端を制御し、制御端の信号に応じた非制御端の他端に接続された検出抵抗540に流れる電流が第2の帰還電流となる。また、第3の電界効果トランジスタ(図示せず)に代えて、バイポーラトランジスタ、静電誘導トランジスタなどを適用してもよい。なお、第1の帰還電流と第2の電流とがそれぞれ異なる導体に個別に流れる構成とすることも可能である。第1の磁界発生導体111の一端と一端がGndに接続された第2の磁界発生導体121の他端とを導体で接続する場合は、第1の帰還電流と第2の電流を同じにすることができる。
また、検出抵抗540の他端は、第2の磁界発生部120が有する第3の磁界発生導体122の一端に接続されているので、第2の差動演算部220の出力端から第2の磁界発生部120が有する第3の磁界発生導体122に第2の帰還電流が流れることによって、検出磁界を低減する検出磁界とは逆方向の第2の帰還電流磁界を第2の磁界発生部120が発生する。ここで、検出磁界に対して逆方向とは第2の磁気検出素子20の検出磁界に応じた検出量を低減する異なる符号となる磁界の方向を意味する。また、第2の磁界検出部420が有する第2の磁気検出素子20以外の磁界検出素子にも同様に適用される。つまり、第2の差動演算部220は第3の磁界発生導体122に第2の帰還電流を流すように動作する。従って、第2の磁界発生部120は、第2の磁界発生導体121に流れる第2の電流に応じた第2の電流磁界および第3の磁界発生導体122に流れる第2の帰還電流に応じた第2の帰還電流磁界を発生することになる。従って、検出磁界を低減する第2の帰還電流に応じた検出磁界とは逆方向の第2の帰還電流磁界と、環境磁界を低減する第1の帰還電流に応じた環境磁界とは逆方向の第2の電流磁界とが第2の磁界検出素子20に与えられる。
なお、検出抵抗540の他端を第2の磁界発生導体121の一端に接続し、第2の磁界発生導体121に第2の電流と第2の帰還電流を流してもよい。この場合、第2の磁界発生導体121に流れる第2の電流と第2の帰還電流とに応じた磁界が発生することになる。従って、部品点数が低減できることになる。また、第1の磁界発生導体111がソレノイド形状であれば、第2の磁界発生導体121は第1の磁界発生導体111と同等のソレノイド形状とすることが可能である。さらに、第1の磁界発生導体111と第2の磁界発生導体121を同一の材料を利用することで、第3の磁界発生導体122を利用する必要がないので温度係数の依存性をより低減できることになる。また、第2の磁界発生導体121と第3の磁界発生導体122が発生するそれぞれの磁界の相互作用を考慮する必要がないので、検出磁界の領域を広くすることが可能となる。
なお、第2の電位は−Vc、第3の電位はGndとして説明したが、これに限るものではなく、第2の電位をGnd、第3の電位をVc/2としてもよい。
このように、本実施形態2では、環境磁界検出磁界を検出するに当たり、第2の帰還電流と第2の電流とに応じた磁界が第2の磁界検出部420に与えられる。よって、第2の差動演算部220の出力に応じて検出磁界を低減する第2の帰還電流を第2の磁界発生部120に流し、電流帰還ループを形成しているので、第2の磁界検出部420が有する第2の磁界検出素子20の抵抗変化ΔRは検出磁界に対して常に零になるように制御されるため、実施形態1と比較して環境温度に起因する第2の磁界検出部420の検出磁界に対する出力変動(温度ドリフト)を抑制しながら検出磁界を検出することが可能となっている。また、電流帰還ループを形成することにより第2の磁界検出部420が有する第2の磁界検出素子20の動作領域が制限され、抵抗変化ΔRの温度に起因する変動分を抑制しているので第2の磁界検出部420の出力の直線性も改善することが可能となっている。
(実施例1)
図4は、実施例1の第1の磁界検出部410の構成図である。磁界検出部410は第1の差動演算回路211と、第1の磁気抵抗素子10、第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)を有している。ここで、第1の磁気抵抗素子10および第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)はS−V巨大磁気抵抗素子であり、基板上に形成され、自由層と導電層とピン止め層が積層された構造となっている。第1の磁気抵抗素子10の一端は第1の電位(Vc)に接続され、第1の磁気抵抗素子10の他端と第3の磁気抵抗素子30の他端が接続され、第3の磁気抵抗素子30の一端が第3の電位(Gnd)に接続されている。第4の磁気抵抗素子40の一端は第1の電位(Vc)に接続され、第4の磁気抵抗素子40の他端と第5の磁気抵抗素子50の他端が接続され、第5の磁気抵抗素子50の一端が第3の電位(Gnd)に接続されている。ここで、第1の磁気抵抗素子10と第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)は同一平面に配置され、第1の磁気抵抗素子10と第3の磁気抵抗素子30の長手方向が同一直線上になるように配置され、第4の磁気抵抗素子40と第5の磁気抵抗素子50の長手方向が同一直線上になるように配置されている。第1の磁気抵抗素子10、第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)が有するそれぞれのピン止め層のピン止めの向きは長手方向と直交するとともに、第1の磁気抵抗素子10に対して第3の磁気抵抗素子30のピン止めの向きは逆方向とし、第4の磁気抵抗素子40に対して第5の磁気抵抗素子50のピン止めの向きは逆方向とする。また、対角に配置される第1の磁気抵抗素子10と第5の磁気抵抗素子50、第3の磁気抵抗素子30と第4の磁気抵抗素子40のピン止めの向きは同一方向となっている。さらに、第1の磁気抵抗素子10および第3の磁気抵抗素子30と、第4の磁気抵抗素子40および第5の磁気抵抗素子50とは、互いに平行に配置されている。このように第1の磁気抵抗素子10および第3から第5の磁気抵抗素子(30、40,50)を配置することにより、ある方向の環境磁界に対して、第1の磁気抵抗素子10と第3の磁気抵抗素子30の接続電位(V1)が変動し、第4の磁気抵抗素子40と第5の磁気抵抗素子50の接続電位(V2)は第1の磁気抵抗素子10と第3の磁気抵抗素子30の接続電位(V1)とは反対の極性で同等の変動を示すので、第1の差動演算回路211の入力電位差を大きくすることが可能となる。すなわち、環境磁界に応じて出力される第1の差動演算回路211の出力の精度を高めることになる。
図5は、実施例1の第2の磁界検出部420と第2の磁界発生部120が有する第3の磁界発生導体122の構成図である。第2の磁界検出部420は第4の差動演算回路221と、検出抵抗540、第2の磁気抵抗素子20、第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)を有している。ここで、第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)はS−V巨大磁気抵抗素子であり、基板上に形成され、自由層と導電層とピン止め層が積層された構造となっている。また、第2の磁気抵抗素子20、第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)の上に絶縁膜が形成され、その上部に第3の磁界発生導体122が絶縁膜と一体となって形成されている。第2の磁気抵抗素子20の一端は第1の電位(Vc)に接続され、第2の磁気抵抗素子20の他端と第6の磁気抵抗素子60の他端が接続され、第6の磁気抵抗素子60の一端が第3の電位(Gnd)に接続されている。第7の磁気抵抗素子70の一端は第1の電位(Vc)に接続され、第7の磁気抵抗素子70の他端と第8の磁気抵抗素子80の他端が接続され、第8の磁気抵抗素子80の一端が第3の電位(Gnd)に接続されている。ここで、第2の磁気抵抗素子20と第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)は同一平面に配置され、第2の磁気抵抗素子20と第6の磁気抵抗素子60の長手方向が同一直線上になるように配置され、第7の磁気抵抗素子70と第8の磁気抵抗素子80の長手方向が同一直線上になるように配置されている。第2の磁気抵抗素子20、第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)が有するそれぞれのピン止め層のピン止めの向きは長手方向と直交するとともに、第2の磁気抵抗素子20に対して第6の磁気抵抗素子60のピン止めの向きは逆方向とし、第7の磁気抵抗素子70に対して第8の磁気抵抗素子80のピン止めの向きは逆方向とする。また、対角に配置される第2の磁気抵抗素子20と第8の磁気抵抗素子80、第6の磁気抵抗素子60と第7の磁気抵抗素子70のピン止めの向きは同一方向となっている。さらに、第2の磁気抵抗素子20および第6の磁気抵抗素子60と、第7の磁気抵抗素子70および第8の磁気抵抗素子80とは、互いに平行に配置されている。第3の磁界発生導体122は、第2の磁気抵抗素子20と第6の磁気抵抗素子60との上部では同一直線上の第1導電体部123となり、第7の磁気抵抗素子70と第8の磁気抵抗素子80との上部でも同一直線上の第2導電体部124になるように配置されており、検出磁界とは逆方向となる磁界を第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)に与えられるように配置されている。ここで、平行に配置された同一の材料、線幅および長さである第1および第2導電体部(123、124)間の中央に、直線状の第3導電体部125が第1および第2導電体部(123、124)と平行に存在する。また、第1の方向の第1および第3の導電体部(123、125)の一端同士が接続され、第1の方向とは逆方向の第2および第3の導線体部(124、125)の他端同士が接続される。このように第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗子(60、70,80)と、第3の磁界発生導体122を配置することにより、検出磁界に対して、第2の磁気抵抗素子20と第6の磁気抵抗素子60の接続電位(V3)が変動し、第7の磁気抵抗素子70と第8の磁気抵抗素子80の接続電位(V4)は第2の磁気抵抗素子20と第6の磁気抵抗素子60の接続電位(V3)とは反対の極性で同等の変動を示すので、第4の差動演算回路221の入力電位差を大きくすることが可能となる。すなわち、検出磁界に応じて出力される第4の差動演算回路221の出力の精度を高めることになる。また、第4の差動演算回路221の出力端は一端が第3の磁界発生導体122の第1の導電体部123の他端に接続される検出抵抗540の他端に接続され、第3の磁界発生導体122の第2の導電体部124の一端は第3の電位(GND)に接続される。
図6は実施例1の磁界検出装置3の構造図である。実装基板1aには図4に示した第1の差動演算回路211を有する第1の磁界検出部410と図5に示した第4の差動演算回路221を有する第2の磁界検出部420および第2の磁界発生部120が有する第3の磁界発生導体122が実装されている。ここで、第1の磁界発生導体111は第1の磁気抵抗素子10および第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)と離間して配置され、第1の磁気抵抗素子10および第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)を囲むように配置された第1のソレノイドコイルであり、第2の磁界発生導体121は第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)と離間して配置され、第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)を囲むように配置された第2のソレノイドコイルである。なお、第1および第2のソレノイドコイルはターン数、巻回方向、材質、幅、長さが同等なものとなっている。また、第1および第2のソレノイドコイルは実装基板1aの両端部側にそれぞれ配置され、第1および第2のソレノイドコイルの中心線が平行となるように配置されている。ここで、中心線とはソレノイドコイルを長さ方向から見た場合のソレノイドコイルの中心を延長した直線である。第1の磁界発生部110が有する第1の磁界発生導体111は環境磁界とは逆方向の第1の帰還電流磁界を第1の磁気抵抗素子10および第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)に与えられるように配置されており、第2の磁界発生部120が有する第2の磁界発生導体121は環境磁界とは逆方向の第2の電流磁界を第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)に与えられるように配置されている。第1の磁界発生導体111の一端と第1の差動演算回路211の出力端が接続され、第1の磁界発生導体111の他端と第2の磁界発生導体121の一端が接続され、第2の磁界発生導体121の他端は第3の電位(Gnd)に接続されている。従って、第1の磁界発生導体111に流れる第1の帰還電流と第2の磁界発生導体121に流れる第2の電流は同じ電流となる。ここで、第1および第2のソレノイドコイルの巻回方向が同じであるので、第1の帰還電流磁界の第1のソレノイドコイルの中心線の磁界と第2の電流磁界の第2のソレノイドコイルの中心線の磁界は概ね同じ方向となる。
上述した通り、第1の磁界発生導体111および第2の磁界発生導体121は、ソレノイド状のコイルとなっており、第1の磁界発生導体111と離間して配置された第1の磁気抵抗素子10および第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)は第1の磁界発生導体111である第1のソレノイドコイルの内部に配置され、第2の磁界発生導体121と離間して配置された第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)は第2の磁界発生導体121である第2のソレノイドコイルの内部に配置されている。さらに、第1の磁気抵抗素子10および第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)は、第1の磁界発生導体111の中心、すなわち第1のソレノイドコイルの中心線から概ね等距離に配置され、第1の磁気抵抗素子10および第3の磁気抵抗素子30と第4の磁気抵抗素子40および第5の磁気抵抗素子50とが第1の磁界発生導体111である第1のソレノイドコイルの中心を通る第1直線(図示せず)に対して線対称となり、かつ、第1の磁気抵抗素子10および第4の磁気抵抗素子40と第3の磁気抵抗素子30および第5の磁気抵抗素子50とが第1の磁界発生導体111である第1のソレノイドコイルの中心を通る第1直線(図示せず)と直交する第2直線(図示せず)に対して線対称となることが好ましい。第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)は、第2の磁界発生導体121の中心、すなわち第2のソレノイドコイルの中心線から概ね等距離に配置され、第2の磁気抵抗素子20および第6の磁気抵抗素子60と第7の磁気抵抗素子70および第8の磁気抵抗素子80とが第2の磁界発生導体121である第2のソレノイドコイルの中心を通る第3直線(図示せず)に対して線対称となり、かつ、第2の磁気抵抗素子20および第7の磁気抵抗素子70と第6の磁気抵抗素子60および第8の磁気抵抗素子80とが第2の磁界発生導体121である第2のソレノイドコイルの中心を通る第3直線(図示せず)と直交する第4直線(図示せず)に対して線対称となることが好ましい。さらに、第1の磁気抵抗素子10および第3から第5の磁気抵抗素子(30、40、50)が配置されている面と第2および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)が配置されている面は、第1から第8の磁気抵抗素子(10〜80)の長手方向が同一方向を向くように、平行となっていることが好ましい。なお、本実施例1では、第2直線と第1のソレノイドコイルの中心を通る中心線がほぼ一致しており、第4直線と第2ソレノイドコイルの中心を通る中心線がほぼ一致した配置となっている。このような配置とすることで、第1から第8の磁気抵抗素子(10〜80)は、長手方向と直交する磁界に対して抵抗が変化することになるので、同一磁界に対する図4、5に示されるそれぞれのブリッジ回路の出力を大きくすることが可能である。また、第1および第2のソレノイドコイルを個別に配置するので、一体となったソレノイドコイルと比較して設計が容易となっている。また、一体となったソレノイドコイルよりコイル自体の小型化が可能となっている。
第1の磁界検出部410で環境磁界が検出されると第1の磁気抵抗素子10と第3の磁気抵抗素子30の接続電位(V1)と第4の磁気抵抗素子40と第5の磁気抵抗素子50の接続電位(V2)に電位差が発生し、第1の差動演算回路211はこの電位差に応じた出力、すなわち第1の帰還電流を第1の磁界発生導体111へ流し、環境磁界を低減させるように環境磁界とは逆方向の磁界を発生させる。結果、第1の差動演算回路211の一対の入力端の電位差は零となり、環境磁界に応じた第1の帰還電流が第2の電流として第2の磁界発生導体121へ流れる。
第1の磁界検出部210および第2の磁界検出部420に影響する環境磁界は概ね均一であると考えられるため、第2の磁界発生導体121において第2の電流により発生する磁界が環境磁界を低減させることで、第2の磁気抵抗素子20、第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)は環境磁界が低減された状態で検出磁界を検出することができる。
第2の磁界検出部420で検出磁界が検出されると第2の磁気抵抗素子20と第6の磁気抵抗素子60の接続電位(V3)と第7の磁気抵抗素子70と第8の磁気抵抗素子80の接続電位(V4)に電位差が発生し、第4の差動演算回路221はこの電位差を0とするように第2の帰還電流を検出抵抗540および第3の磁界発生導体122へ流し、第3の磁界発生導体122は検出磁界を低減させるように検出磁界とは逆方向の磁界を発生させる。
従って、第4の差動演算回路221の一対の入力端の電位差は零となり、検出磁界に応じた第2の帰還電流を検出抵抗540と第4の演算回路221との接続点において電圧値として検出することが可能となる。
第1の差動演回路211の出力は、第1の磁界発生導体111に対して環境磁界を低減させる磁界を発生させる電流を流す電流帰還ループを形成しているので、第1の磁界検出部410が有する磁気抵抗素子(10、30、40、50)の抵抗変化ΔRは環境磁界に対して第1の差動演回路211の出力が常に零になるように制御されるため、抵抗変化△Rにおける温度による出力変動(温度ドリフト)を抑制することができる。また、第2の磁界発生導体121にも同等の電流が流れることから第2の磁界発生導体121が発生する環境磁界を低減させる第2の電流磁界も第2の磁界検出部420が有する磁気抵抗素子(20、60、70、80)の抵抗変化△Rの温度による出力変動(温度ドリフト)が抑制されることになる。つまり、第4の差動演算回路221の出力は環境磁界における磁気抵抗素子の抵抗変化△Rの温度による出力変動(温度ドリフト)が抑制された状態で検出磁界を検出することが可能である。また、検出磁界においても第2の帰還電流を第3の磁界発生導体122に流す電流帰還ループを形成しているので、第2の磁界検出部420が有する磁気抵抗素子(20、60、70,80)の抵抗変化△Rの温度による出力変動(温度ドリフト)を抑制させることが可能である。
第2の磁界発生導体121において第2の電流により発生する磁界が環境磁界を低減するため、第2の磁気抵抗素子20および第6から第8の磁気抵抗素子(60、70、80)は環境磁界が低減された状態で検出磁界を検出することができるので、環境磁界を除くための演算回路が必要なく、部品点数が削減でき、コストを抑え小型化が可能である。