図1は、本発明の実施形態に係るカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、カラオケ装置2(コマンダ)と、リモコン装置1を含んで構成されている。なお、図1に示す例では、1台のカラオケ装置2に対して、リモコン装置1aとリモコン装置1b、2台のリモコン装置1が使用されている例である。これらリモコン装置1a、1bの構成は同一であるため、リモコン装置1として説明を行う。カラオケ装置2とリモコン装置1は、LAN100及びアクセスポイント110を利用してネットワークを形成するように接続されている。
カラオケボックスなどの店舗に設置されるカラオケ装置2は、楽曲を再生するための再生部としての音響制御部25を備えている。また、カラオケ装置2は、ユーザからの各種入力を受け付ける操作部21を備える。カラオケ装置2は、操作部21からの入力を解釈してCPU30に伝達する操作処理部22を備える。また、カラオケ装置2は、各種情報を記憶する記憶部としてのHDD32(ハードディスク)を備える。カラオケ装置2は、LAN100に接続してネットワークに加入する通信手段としてのLAN通信部24を備えている。
また、カラオケ装置2は、モニタ41に対して歌詞映像、背景映像を表示させる映像再生手段を備える。この映像再生手段は、映像情報に基づいて映像を再生する映像再生部29、再生する映像を一時的に蓄積するビデオRAM28、再生された映像に対する歌詞テロップの重畳、映像効果を付与する映像制御部31を備えて構成される。
さらに、このカラオケ装置2では、外部に接続されるモニタ41以外に、タッチパネルモニタ33に対して各種情報を表示することを可能としている。タッチパネルモニタ33は映像制御部31から入力された映像情報を表示する表示部35と、タッチ入力された位置を操作処理部22に出力するタッチパネル34が重畳されて構成されている。このタッチパネルモニタ33は、カラオケ装置2の操作部21、あるいは、リモコン装置1のタッチパネルモニタ11等と同様、入力部として機能する。ユーザは、タッチパネルモニタ33にて楽曲を選択することで、直接カラオケ装置2に予約をさせるなど、カラオケ装置2に対する各種操作を行うことが可能である。
さらに、カラオケ装置2は、各構成を統括して制御するためのCPU30、各種プログラムを実行するにあたって必要となる情報を一時記憶するためのメモリ27を備えて構成される。
このような構成にてカラオケ装置2は、各種処理を実行することとなるが、カラオケ装置2の主な機能として、楽曲予約処理、楽曲再生処理などを実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザからの指定に基づいて楽曲を指定、予約するための処理であってリモコン装置1と連携して実行される。ユーザの操作により、リモコン装置1などの入力部で指定された予約情報をメモリ27中の予約テーブルに登録する。楽曲再生処理は、予約された楽曲を再生させる処理であって、楽曲演奏処理と歌詞再生処理とが同期して実行される処理である。
楽曲演奏処理は、楽曲情報に含まれる演奏情報に基づき、音響制御部25に演奏を実行させる処理である。音響制御部25にて演奏された楽曲は、マイクロホン44a、44bから入力される歌唱音声と一緒にスピーカ42から放音される。歌詞再生処理は、楽曲情報に含まれる歌詞情報をモニタ41に表示させることで歌唱補助を行う処理である。この歌詞再生処理で表示される歌詞に、背景映像を重畳させて表示させる背景映像表示処理を実行することとしてもよい。
一方、リモコン装置1は、歌唱する楽曲を選択する選曲処理を実行可能とし、予約情報などカラオケ装置2に対して各種指示を送信可能としている。また、リモコン装置1は、カラオケ装置2あるいはインターネット上に接続されたホスト装置5から各種情報を受信し、ユーザに対して各種情報を提供することも可能である。本実施形態では、ユーザから各種指示を受け付けるユーザインターフェイスとして、操作部17と、タッチパネルモニタ11を備えている。タッチパネルモニタ11は、表示部11aとタッチパネル11bを有して構成され、表示部11aに各種インターフェイスを表示するとともに、ユーザからのタッチ入力を受付可能としている。
さらにリモコン装置1は、楽曲検索に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶する記憶部として、メモリ14、そして、これら構成を統括して制御するためのリモコン側制御部を備えて構成される。リモコン側制御部には、CPU15、タッチパネルモニタ11に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像情報を一時的に蓄えるビデオRAM12、タッチパネルモニタ11あるいは操作部17からの入力を解釈してCPU15に伝える操作処理部18が含まれている。
また、リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント110と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。なお、各リモコン装置1は、特定のカラオケ装置2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたカラオケ装置2にて受信されることとなる。
このようなリモコン装置1の構成により、ユーザからの各種入力をタッチパネルモニタ11、あるいは、操作部17から受付けるとともに、映像情報をタッチパネルモニタ11の表示により各種情報を提供することで、カラオケ装置2に対して楽曲予約などの各種指示を行うことが可能とされている。
図2には、本実施形態の楽曲確認画面が示されている。本実施形態のカラオケシステムは、各リモコン装置1のタッチパネルモニタ11から認証情報(ユーザIDやパスワード)を入力することで、ログインして使用することが可能となっている。特に、本実施形態のカラオケシステムでは、複数のユーザをログインさせることを可能としており、ログインしたユーザ(ログインユーザ)に関する情報は画面上方に常時表示される。ログインしたユーザの分身像(アバター)を表示するためのログインユーザ欄103が設けられている。なお、分身像としては、人、キャラクターを模した像の他、図形や記号など各種形態を採用することができる。
また、アカウントを有していないユーザのためのゲストアイコン102、ユーザを切り替えるためのユーザ切り替えスイッチ101が表示されている。ログインしたユーザは、ログインユーザ欄103に表示される分身像を選択、あるいは、ユーザ切り替えスイッチ101を操作することで、自分のユーザ情報を利用した各種サービスを受けることが可能となる。また、アカウントを有していないユーザは、ゲストアイコン102を操作することで、選曲など一般的なサービスを受けることが可能となっている。なお、ユーザの切り替えの際には、パスワードなどを使用した認証を行うこととしてもよいが、認証を行うことなく簡易に切り替えることとしてもよい。
図2に示される楽曲確認画面は、リモコン装置1を使用して、歌手名や楽曲名の一部を使用して検索した複数の楽曲の中から1の楽曲を選択する等、歌唱候補となる1の楽曲を選択した際、タッチパネルモニタ11上に表示される画面である。この楽曲確認画面にて選択した楽曲の詳細(楽曲名、歌手名、歌い出しなど)を表示し、予約を行う楽曲に間違いがないかユーザに確認させる。
予約する楽曲に間違いが無い場合、ユーザは楽曲確認画面に表示された予約ボタン104を操作して楽曲を予約する。この楽曲予約画面には、音程キーを設定するための音程キー設定表示欄105が表示されている。カラオケでは、自分の声域にあわせるように音程キーを設定することが可能である。指定する楽曲について、音程キーが予め分かっている場合、この音程キー設定表示欄105の右下に表示される変更ボタンを操作することで、音程キー設定子画面106を表示して、予約する楽曲に対し音程キーを設定することが可能である。
図3には、本実施形態の音程キー設定子画面106が示されている。この音程キー設定子画面106は、図2の楽曲確認画面中、音程キー設定表示欄105の右下に表示されている変更ボタンを操作したとき、楽曲確認画面上に表示される子画面である。ユーザはこの音程キー設定子画面106に表示されたキー選択ボタン群108を使用し、予約する楽曲について音程キーを設定することが可能である。本実施形態では、「−6」から「+6」までの音程キーを選択することが可能である。図3の状態は、「0」(カラオケ用に設定された標準キー)が設定されている状態である。
本実施形態では、音程キー設定子画面106において、音程キー測定機能の使用について設定することが可能となっている。音程キー設定機能は、後述する再生キー決定処理で実現される機能であり、ユーザが予約した楽曲について歌唱する前に、予約した楽曲について、最高音を含んだ所定区間について、音程キーを変更して繰り返し再生し、自分の歌唱能力と比較して、再生に使用する音程キーを決定する機能である。この音程キー設定機能を使用する場合は、音程キー設定子画面106中に表示されたオンボタン107aを操作して反転表示させる。図3の状態は、オフボタン107bが選択されている状態であり、オフボタン107bが反転表示されている。なお、音程キー測定機能がオン状態にあるとき、キー選択ボタン群108は、選択不可能な状態、あるいは、選択された音程キーは使用されない。
ここで、本実施形態で使用する各種情報のデータ構成について図4を使用して説明する。図4(A)は、本実施形態で使用する楽曲情報のデータ構成を示したものである。楽曲情報は、楽曲情報に関連する各種情報であるメタ情報と、演奏等、各種処理を実行する実情報を含んで構成される。メタ情報には、楽曲情報を識別するための楽曲識別情報、曲名、歌手名、作詞者名、作曲者名、測定開始キー、測定終了キー、測定区間情報、原曲キーが含まれている。測定開始キーは、後述する再生キー設定処理において、現在キーの初期値となる音程キーである。測定終了キーは、後述する再生キー設定処理において、現在キーの最終値となる音程キーである。測定区間情報は、後述する再生キー設定処理において、再生する所定区間を示す情報である。本実施形態では、楽曲を指定したユーザが本楽曲をどの音程キーで歌唱できるかを確認するため、歌唱する最高音を含んだ箇所を含んで指定されている。再生キー設定処理では、この測定区間情報が指定する区間の演奏情報が繰り返し再生される。なお、本実施形態では、再生キー設定処理において、測定区間情報で指定する区間の演奏情報を再生することとしているが、再生キー設定処理のための演奏情報を別途、楽曲情報中に含ませて構成することとしてもよい。原曲キー(オリジナルキーとも呼ばれる)は、楽曲情報に対する歌手が歌唱するオリジナルの音程キーを規定した情報である。カラオケでは歌唱し易いように原曲キーから音程キー(標準キー)を調整することがある。カラオケ装置2では、ユーザに原曲キーを提示する、あるいは、演奏情報を原曲キーに変更することで、歌手が歌唱しているのと同じ音程キーでユーザに歌唱させることが可能である。
楽曲情報の実情報には、演奏情報、歌詞情報、歌唱基準情報が含まれている。演奏情報は、MIDI規格に基づいて電子楽器用の制御情報、あるいは、実際の演奏を録音した圧縮音声情報等で構成され、カラオケの伴奏音を演奏するための情報である。歌詞情報は、歌唱補助のため、演奏情報に同期して表示される情報であり、演奏に同期して表示された歌詞の色替えを行うように構成することも可能である。歌唱基準情報は、歌唱評価処理(採点処理)に使用される情報であり、歌唱の基準となる音高等を示す情報である。楽曲再生時、この歌唱基準情報を、マイクロホン44a、44bから入力される歌唱音声信号の音高と比較することで、ユーザの歌唱能力を評価することが可能である。
図2で説明したように、楽曲確認画面に表示された予約ボタン104を操作することで、楽曲の予約が確定し、確定した楽曲に関する予約情報が、リモコン装置1からカラオケ装置2に送信される。図4(B−1)、図4(B−2)は、どちらも予約情報のデータ構成を示した図であり、図4(B−1)は、通常時、すなわち、音程キー測定機能を使用しない場合の、また、図4(B−2)は、音程キー測定機能を使用する場合の予約情報について、そのデータ構成を示した図である。図4(B−1)に示される通常時の予約情報は、楽曲を識別するための楽曲識別情報と、予約したユーザを示すユーザ識別情報と、キー選択ボタン群108を使用して選択した再生音程キーを含んで構成されている。一方、図4(B−2)に示される音程キー測定機能を使用する場合、すなわち、図3の音程キー測定機能について、オンボタン107aを操作した場合に形成される予約情報は、楽曲識別情報と、ユーザ識別情報の他、再生キー決定処理フラグを有して構成される。後述する楽曲再生処理では、予約情報中、再生キー決定処理フラグがある場合、楽曲を再生する前に再生キー設定処理を実行することとなる。
図5には、本実施形態の楽曲再生処理を示すフロー図が示されている。楽曲再生処理が開始されると、カラオケ装置2内のメモリ27に記憶している予約テーブルを参照し、次に再生させる楽曲の有無が判定される(S101)。予約テーブル中、次に再生させる楽曲がある場合(S102:Yes)、次に再生する楽曲について、予約情報中に再生キー設定処理の指示があるか否か、本実施形態では、予約情報中に再生キー決定処理フラグを有しているか否かが確認される(S103)。予約情報中に再生キー設定処理の指示がある場合(S103:Yes)には、再生キー設定処理(S200)を実行して再生キーを決定し、決定した再生キーを使用して楽曲再生を開始する(S104)。一方、通常の予約情報である場合(S103:No)には、予約情報に含まれる再生音程キーを使用して楽曲再生を開始する(S104)。楽曲の再生が終了した場合(S105:Yes)、楽曲再生処理の先頭に戻り、予約テーブル中、次に再生させる楽曲の有無を判定する。
図6は、本実施形態の再生キー決定処理を示すフロー図であり、図7は、本実施形態の再生キー決定処理を説明するための図である。図5の楽曲再生処理で説明したように、再生キー決定処理は、予約情報中に再生キー決定処理の指示がある場合、実行される処理である。再生キー決定処理では、自分の歌唱能力にあった、すなわち、自分の声域内で歌唱できる歌唱可能キーと、自分の歌唱能力を少し上回るキー(本実施形態では、自分が歌唱できる最高音よりも少し上の挑戦キー)を選択することが可能である。
再生キー決定処理が開始されると、まず、指定されている楽曲について、楽曲情報中のメタ情報に含まれる測定開始キーを読み出し、測定開始キーを現在キーに設定する(S201)。この測定開始キーは、楽曲情報中、メタ情報内に定義されている情報である。再生キー決定処理で最初に使用する現在キーは、このように楽曲情報に対応付けられたものを使用する形態の他、予め定められた音程キー、例えば、演奏情報から所定数の差を有する音程キーを使用する、あるいは、原曲キーから所定数の差を有する音程キーを使用するなど、適宜形態を採用することが可能である。
次に、楽曲情報のメタ情報中に規定される測定区間情報が示す所定区間について、現在キーで演奏情報を再生する(S202)。測定区間情報が示す所定区間は、楽曲の最高音が含まれているため、ユーザは、演奏情報の再生に合わせて歌唱してみることで、楽曲の最高音を歌唱できるか否かを確認することが可能となる。このとき、同所定区間について歌詞情報も併せて再生することが好ましい。再生された歌詞情報は、通常の楽曲再生と同様、モニタ41に表示出力する、あるいは、カラオケ装置2のタッチパネルモニタ33、あるいは、リモコン装置1のタッチパネルモニタ11に表示出力することが考えられる。ユーザは表示される歌詞を参照しつつ歌唱を行うことで、測定区間情報が示す所定区間で最高音が出せるか否かを確認することが可能である。
測定区間情報が示す所定区間の再生中、カラオケ装置2では、ユーザによる一時停止操作の入力があったか否かを監視する(S203)。本実施形態では、カラオケ装置2のタッチパネルモニタ33を使用して、歌唱するユーザからの一時停止操作を受付可能としている。図8には、測定区間情報が示す所定区間の再生中におけるカラオケ装置のタッチパネルモニタ33の様子が示されている。タッチパネルモニタ33には、現在、再生キー決定処理の対象となっている楽曲の歌手名、曲名の他、現在使用している現在キー301、及び、対原曲キー情報302、一時停止ボタン303が表示されている。対原曲キー情報は、現在キーと原曲キーの関係を示す内容であり、図8の表示例では、現在キー「+2」が原曲キーであることを示している。対原曲キー情報は、このように現在キーが原曲キー一致している(差分が0)ときのみに表示してもよい。また、現在キーと原曲キーの差分を表示することとしてもよい。カラオケでは、原曲キーで歌唱を行うことを好むユーザがいる。このようなユーザに対して、原曲キーとの関係を示すことで、現在、自分の声域が歌手の声域に対してどのような関係にあるのかを把握させることが可能である。
一時停止ボタン303は、タッチパネルモニタ33上の説明書きに示されるように、測定区間情報が示す所定区間の再生中、ユーザが現在キーで歌唱可能と判断した場合、操作する入力手段である。本実施形態では、カラオケ装置2のタッチパネルモニタ33を一時停止操作の入力手段として使用しているが、リモコン装置1を使用する等、他の入力形態を採用することも可能である。測定区間情報が示す所定区間の再生中、一時停止ボタン303が操作さなかった場合(S203:No)、現在キーが測定終了キーであるか否かが判定される(S208)。本実施形態の測定終了キーは、測定開始キーと同様、楽曲情報のメタ情報内に規定されている情報である。測定終了キーは、このように楽曲情報に対応付けられたものを使用する形態の他、予め定められた音程キー、例えば、演奏情報から所定数の差を有する音程キーを使用する、あるいは、原曲キーから所定数の差を有する音程キーを使用するなど、適宜形態を採用することが可能である。
使用した現在キーが測定終了キーで無い場合(S208:No)、現在キーを1下げた上(S209)で、再度、同じ所定区間について再生を行う(S202)。なお、現在キーを1下げる際の量は、全音とする、半音とする、n音とする等、適宜量とすることが可能である。図7には、再生キー決定処理における現在キーの変更の様子が示されている。図7中、横軸は、所定区間の再生回数であり、縦軸は、現在キーを示す数値である。この例では、測定開始キーが「+4」に、測定終了キーが「−4」に設定されている。なお、この例では、原曲キーは「+2」、標準キーは「0」である。一時停止ボタン303の操作が無いまま、再生キー決定処理が継続した場合、図7に示すように、所定区間を再生する毎に再生キーは、「+4」から「−4」まで1ずつ下がっていく。すなわち、測定区間情報が示す所定区間に存在する楽曲の最高音も再生の度に下がることになる。
測定区間情報が示す所定区間の再生中、一時停止ボタン303が操作された場合(S203:Yes)には、所定区間の再生を中断し、音程キー選択画面を表示する(S204)。図9には、本実施形態の音程キー選択画面が示されている。本実施形態では、カラオケ装置2のタッチパネルモニタ33に音程キー選択画面を表示させているが、音程キー選択画面は、リモコン装置1に表示させる等、各種形態を採用することが可能である。音程キー選択画面には、再生キー決定処理で対象となっている楽曲の歌手名、曲名の他、歌唱可能キー指示ボタン304、挑戦キー指示ボタン305、戻るボタン306が表示されている。歌唱可能キー指示ボタン304は、ユーザが歌唱可能な音定キーで歌唱することを指示するボタンであり、この歌唱可能キー指示ボタン304には、音程キー(この例では「−2」)が表記されている。図8で説明した所定区間の再生時に表示されるタッチパネルモニタ33の説明書きにもあるように、ユーザは、所定区間の再生時、現在再生中の音程キーで歌唱できると判断した場合、一時停止ボタン303を操作する。したがって、歌唱可能キー指示ボタン304を操作した場合(S205:No)には、現在キーが、再生音程キーに設定され(S207)、一連の再生キー決定処理を終了し、楽曲再生処理に戻る。楽曲再生処理では、設定された再生音程キーを使用して、楽曲情報を再生開始する(S104)。
一方、挑戦キー指示ボタン305には、ユーザが歌唱できる音程キー(上述したように現在キーに相当)よりも1つ高い音程キーが、再生音程キー(再生音程キー=現在キー+1)に設定され(S206)、一連の生成キー決定処理を終了し、楽曲再生処理に戻る。したがって、楽曲再生処理では、ユーザが歌唱可能な音程キーよりも1つ高い音程キーで楽曲情報の再生が行われる(S104)。図7には、再生音程キーの設定例が示されている。図7のように、現在キーが「−2」の時点で、一時停止ボタン303が操作された場合を想定してみる。この場合、一時停止操作が行われた時点で再生に使用していた現在キー「−2」が、ユーザが歌唱可能な音程キー(歌唱可能キー)であり、それよりも1つ高い音程キー「−1」が、ユーザが現在の声域では歌唱できないと考えられる音程キー(挑戦キー)である。
このように、本実施形態では、楽曲を聴きながら音程キーが最も高い音程キーから最も低い音程キーへ下げる中で、ユーザが歌唱可能な音程キーよりも、1つ高い音程キーを選択可能とすることで、練習を重ねることで歌唱可能となる音程キーを容易に選択させることが可能である。練習を繰り返すことで、挑戦キーを歌唱可能となったユーザは、再度、再生キー決定処理を行うことで、次に高い音程キーに挑戦することとなり、徐々に自分の声域の拡大を図ることが可能である。例えば、原曲キーで楽曲を歌唱したいユーザについて、自己の声域が、楽曲の原曲キーと比較してかけ離れている場合、いきなり原曲キーで歌唱することには無理があり、練習半ばであきらめてしまうことが考えられる。本実施形態では、再生キー決定処理を利用した楽曲再生処理を繰り返し使用することで、自己の歌唱できる音程キーを次第に拡大し、最終的には自分の歌唱したい音程キー(例えば、原曲キー)で歌唱することも可能となる。
本実施形態の再生キー決定処理では、楽曲情報のメタ情報内で規定する測定開始キーから測定終了キーまで、再生キーを変更することとしている。所定区間の再生中、測定終了キーまで一時停止操作が行われないことが考えられる。本実施形態では、このような場合を想定し、ユーザが楽曲の再生に使用する再生音程キーを設定できる音程キー予備選択画面を用意している。再生キー決定処理中、現在キーが測定終了キーである場合(S208:Yes)、音程キー予備選択画面を表示して、ユーザに再生音程キーの設定を促す(S210)。図10には、音程キー予備選択画面の表示例が示されている。本実施形態では、カラオケ装置2のタッチパネルモニタ33に表示させる形態を採用しているが、再生キー決定処理で表示する他の画面と同様、モニタ41、あるいは、リモコン装置1のタッチパネルモニタ11を使用して表示することとしてもよい。
本実施形態の音程キー予備選択画面には、再生キー決定処理で対象となっている楽曲の歌手名、曲名の他、キー選択ボタン群307、原曲キー選択ボタン308、決定ボタン309、再実行ボタン310が表示されている。ユーザは、この音程キー予備選択画面を使用して、楽曲の再生に使用する再生音程キーを設定することが可能である。キー選択ボタン群307には、「−6」から「+6」までの音程キーを選択可能なボタンが表示されている。図3に示す状態は、音程キーが「0」、すなわち、標準キーを選択している状態である。楽曲情報のメタ情報内には、原曲キーを示す情報が含まれている。音程キー予備選択画面では、この原曲キーを示す情報を使用して原曲キー選択ボタン398を表示させている。図3に示す楽曲の例では、「+2」の音程キーが原曲キーとなっている。音程キー予備選択画面では、キー選択ボタン群307を使用せずに、原曲キー選択ボタン308を操作することで、直接、原曲キーを選択することも可能である。
キー選択ボタン群307、あるいは、原曲キー選択ボタン308を使用して音程キーを選択し、決定ボタン309を操作する(S212:Yes)ことで、再生する楽曲の再生音程キーが設定される(S213)。本実施形態では、測定終了キーまで一時停止を行わなかった場合、ユーザが再生音程キーを設定できるようにしているが、このようにユーザに選択させる形態に代え、業者側で定めた所定の音程キー(例えば、標準キーや原曲キーなど)を再生音程キーに設定する形態としてもよい。また、本実施形態の音程キー予備選択画面には、再実行ボタン310が設けられており、ユーザは、この再実行ボタン310を操作する(S211:Yes)ことで、再生キー決定処理の先頭に戻って、再度、再生キー決定処理を実行させることが可能となっている。
以上、本実施形態の再生キー決定処理について説明を行ったが、本実施形態のカラオケ装置2では、指定した楽曲の最高音を含んだ所定区間を、再生する毎に音程キー(現在キー)を変更して再生を行うこととしている。ユーザは、歌唱できる音程キーとなったときに一時停止することで、図9で説明した音程キー選択画面を表示させ、歌唱可能な音程キー、もしくは、歌唱可能な音程キーよりも1つ高い挑戦キーを選択することが可能となっている。本実施形態では、歌唱可能な音程キーと挑戦キーを選択できる形態としているが、歌唱可能な音程キーは、必ずしも選択可能とする必要は無く、挑戦キーのみ選択する形態であってもよい。その場合、一時停止することで、音程キー選択画面を表示することなく、現在キーよりも1つ高い挑戦キーで再生を開始する形態とすることも可能である。
以上説明した再生キー決定処理の実施形態は、楽曲中の最高音を含む所定区間を再生することで、ユーザが声域の高い側について歌唱の可否を確認する形態であったが、声域の低い側、すなわち、最低音を歌唱できるか否かを確認する形態としてもよい。図11には、他の実施形態の再生キー決定処理を説明するための図が示されている。本実施形態では、楽曲の所定区間を再生する場合、最低音を含んだ所定区間を再生することとしている。この所定区間は、最高音の場合と同様、メタ情報内に測定区間情報として規定される。あるいは、再生キー決定処理を実行する際、歌唱する音程を示す歌唱基準情報を検索し、最低音を含む区間を決定してもよい。最高音を確認する形態では、所定区間を再生する毎に1つずつ、音程キーを低くしていったのに対し、最低音に基づいて歌唱可能か否かを確認する場合、所定区間を再生する毎に1つずつ、音程キーを高くしていく点で異なっている。本実施形態についても測定開始キー(図11の例では「−4」)と測定終了キー(図11の例では「+4」)は、楽曲情報内に規定しておくことや、標準キーや原曲キーに基づいて決定することが可能である。
前実施形態の再生キー決定処理の場合と同様、ユーザは再生される所定区間にあわせて歌唱できる、すなわち、最低音を歌唱できると判断した場合、一時停止ボタンすることで、音程キー選択画面(図示せず)を表示させる。歌唱可能キー指示ボタンを操作した場合には、一時停止時に使用していた現在キーを再生音程キー(歌唱可能キー)として設定する。一方、挑戦キー指示ボタンを操作した場合には、一時停止時に使用していた現在キーよりも1つ低い音程キーを再生音程キー(挑戦キー)に設定する。図11には、再生音程キーの設定例が示されている。図11のように、現在キーが「+2」の時点で、一時停止ボタン303が操作された場合を想定してみる。この場合、一時停止操作が行われた時点で再生に使用していた現在キー「+2」が、ユーザが歌唱可能な音程キー(歌唱可能キー)であり、それよりも1つ低い音程キー「+1」が、ユーザが現在の声域では歌唱できないと考えられる音程キー(挑戦キー)となる。
このように、本実施形態の再生キー決定処理では、声域の低い側、すなわち、最低音を歌唱できるか否かを確認し、挑戦キーあるいは歌唱可能キーを容易に設定することが可能である。本実施形態についても、前実施形態で説明したのと同様、挑戦キーのみを選択可能とする構成を採用してもよい。
図7で説明した、声域の高い側について歌唱可能か否かを確認する形態と、図11で説明した、声域の低い側について歌唱か否かを確認する形態は、同じ楽曲についてユーザが選択できるようにしてもよい。あるいは、楽曲には高音を重視する楽曲と、低音を重視する楽曲があるため、楽曲毎にどちらか一方の形態の再生キー決定処理を決めておいてもよい。あるいは、1回の再生キー決定処理において、声域の高い側について歌唱か否かを確認する形態と、声域の低い側について歌唱か否かを確認する形態を併せて実行することとしてもよい。
図12には、他の実施形態の再生キー決定処理を説明するための図が示されている。本実施形態では、まず、声域の高い側について歌唱か否かを確認し、ユーザによる操作入力が無い場合、引き続き、声域の低い側について歌唱か否かを確認することとしている。図12の例では、1回目〜6回目までが声域の高い側について歌唱可能か否かを確認する処理であり、7回目〜12回目までが声域の高い側について歌唱可能か否かを確認する処理となっている。第1の所定区間の測定開始キー「+4」、測定終了キー「−1」、第2の所定区間の測定開始キー「−4」、測定終了キー「+1」は、楽曲情報中のメタ情報に規定しておく、あるいは、楽曲情報の標準キーや原曲キーに基づいて決定することが可能である。
声域の高い側について確認を行う場合(1回目〜6回目)には、楽曲中の最高音を含んだ所定区間(第1の所定区間)について再生を行う。その際、回を追う毎に現在キーを1つずつ低くしていく。一方、声域の低い側について確認を行う場合(7回目〜12回目)には、楽曲中の最低音を含んだ所定区間(第2の所定区間)について再生を行う。その際、回を追う毎に現在キーを1つずつ高くしていく。声域の高い側について確認したいユーザは、1回目〜6回目の再生中、歌唱可能と判断した場合、一時停止させる等の入力を行うことで再生音程キーを決定する。一方、声域の低い側について歌唱可能か否かを確認したいユーザは、1回目〜6回目までの再生中、入力することなく待ち、7回目以降の再生中、歌唱可能と判断した場合、一時停止させる等の入力を行うことで再生音程キーの決定を行う。なお、このように2つの確認を一度に行う場合、再生キー決定処理では、ユーザに対して、現在どちらの声域について確認を行っているかを確認できるようにタッチパネルモニタ33等の表示部に表示を行うことが好ましい。
以上説明したように、図12の実施形態の再生キー決定処理では、声域の高い側についての確認と声域の低い側についての確認を、1の処理中に行うことを可能としている。本実施形態では、声域の高い側についての確認に引き続いて、声域の低い側の確認を行うこととしているが、その順番は逆であってもよい。
以上、本発明の再生キー決定処理を実行可能なカラオケ装置について、各種実施形態を説明したが、本発明の再生キー決定処理は、カラオケ装置のみならず、パーソナルコンピュータやスマートホン等の情報処理装置で実行可能なカラオケ用プログラムとして提供することも可能である。その際、カラオケ装置2の場合のように、再生キー決定処理で決定した再生音程キーで楽曲を再生することは必ずしも必要なく、ユーザに対して挑戦キー、歌唱可能キーを通知するだけであってもよい。ユーザは、ある楽曲をカラオケ装置2で再生させる際、情報処理装置から通知された挑戦キーあるいは歌唱可能キーを設定することで、自分の声域を多少上回る再生音程キー(挑戦キー設定時)、あるいは、歌唱可能な再生音程キー(歌唱可能キー設定時)で歌唱を行うことが可能である。